2013年5月24日、大阪市北区天満の賃貸マンションの一室で、職業不詳・井上充代さん(28)と息子の瑠海(るい)君(3)が餓死をしてしまうという実に痛ましい事件が起こった。部屋の片隅には、公共料金の請求書の裏側に最後におなかいっぱい食べさせられなく
てごめんねとの、最後まで幼い子供へのやさしい母親の気持ちがこもった内容のメモが残されていた。

 母親の口座残高は数十円で、室内に食料はなく、生活保護などを受けていなかったことも判明し、充代さんは昨年10月、夫と3人で暮らしていたが、その後に離婚をして大阪府守口市内の家を出て、知人の紹介で瑠海君と同区のマンションに転居。室内に冷蔵庫は
なく食塩があるだけで食料は見当たらなかった。

 転居の際、離婚をした夫から居所を探されることを怖れて、住民票を異動させておらず生活保護なども受けていなかった。室内からは、夫も署名済みの離婚届も見つかっている。2人は2月頃に死亡をしたとみられ、瑠海君の遺体に毛布がかけられていたことなどから先に瑠海君が亡くなったとみているが、死因は特定できておらず、充代さんは病死か衰弱死とみられている。

 3ヶ月も前に若い母親と幼い子供が窮地に追い込まれていたことに対して、行政もご近所も何一つ機能していなかった。充代さんは北区の区役所の生活保護課にも相談にいっておりその時のケースワーカーの判断では、それほど生活に困窮をしていないように見えたなどということで追い返しているのだ。

 大阪は全国一の生活保護費の不正受給が多いということもあって、生活保護申請者に対しての対応も非常に厳しくなっており、こういった福祉行政の遅れで今回のような悲惨な事態に至ってしまったことは否めないと共に、歪んだ格差社会が生んだ貧困層への救いの手を差し伸べることが、今後の社会福祉行政においては早急な課題だ。

 井上充代さん(28)が生前に夫婦関係がうまくいかず、夫に居場所を知られたくないと周囲に漏らしてしていたことがわかっっており、充代さんと幼い子供は夫と暮らす家を出た後住民登録していなかったため生活保護などの行政サービスを受けられず困窮した可能性もあって、離婚をしたご主人との間で何かDV(ドメスティック バイオレンス)的なことで悩んでいたのではないかと思える。ホームレスでも生活保護が受けられるはずで、住民登録をしていないことで生活保護が受けられないということは、実に矛盾をしている生活保護制度の行政としての大きな矛盾点があると言わざるを得ない。

 夫婦関係がうまくいっていないと周囲にも話していたことで、どうしてその時にもっとご近所や親戚が親身になって相談にのってあげなかったのかが、本当に悔やまれてならない。昔は、ご近所とのつながりも強く、社会全体での子育てを育んでいったものだが、今では隣は何をする人ぞといったご時勢で、お互いに無関心になっていることで、こういった事態が起こってからでないと誰も気がつかないというのも、実に心が痛むと共にそうした社会環境にも怒りが込み上げてくる。

 そういった点では、今回の事件は社会福祉(生活保護制度)等の抜本的な見直しも視野にいれていくべきで、このような痛ましくて悲しい事件が起こらないような社会作りをしていくことが、残された私共を含む全て人達の責務ではないだろうか?

 私共は、今回の事件をつうじて本当に今の社会環境といったものに対して、最大の危機感をもっており、こんなにも若い母親と幼い子供の命を守ってやれなかったことが、悔しくてなりません。私共のサイトでトップページとして掲載をさせていただいた経緯としましては、今回のような事件を教訓として、決して風化をさせてはならないということを、ご覧になっていただいている皆さんの心の中に深く刻み込んでおいて欲しいと思っております。

 最後に、瑠海君が天国でやさしいお母さんにいっぱい甘えて美味しいものをたくさん食べさせてもらうんだよと言ってあげたいです。井上充代さんと瑠海君のご冥福を心よりお祈りをさせていただきます。合掌。


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最終更新:2015年01月01日 21:56