■年金支給開始が75歳からに引き上げられようとしているということが現実味を帯びてきている中で、いつ破綻するかが判らな
いと囁かれ続ける年金問題。

 ここ十数年、高齢化による財源不足が問題視されている年金問題ですが、依然として年金の財源確保の目処は立っていない。不足分はこれまでの積立金から補填しているわけですが、年々この積立金の切り崩しが加速している。
日本では世界に前例のない4人に1人が65歳以上という超高齢化社会を迎えており、3人で1人の高齢者を支えていかなけらばならないという厳しい現実だ。15歳~65歳までの労働人口もついに8000万人を切ってっしまった中で、今後どうやって働き手が不足してきている日本経済を再建していけばいいのかが大きな課題だとも言える。

 この切り崩し額が微々たるものならばまだいいが、10年度には4.7兆円、11年度には6兆円。そして12年度は過去最高の8.8兆円と、年々その切り崩し額は増大している。11年度の時点での年金積立金残高は、厚労省の発表によると約121.9兆円。財源が増える見込みはほとんどなく、今後は高齢者が増加していくという前提で、このペースで積立金を崩していくと、当然いつかは底をつきます。試算すると25年後、つまり、2037年には今ある年金積立金が底をつくと言われている。2037年といえば、1973年生まれがちょうど65歳になる年齢だ。

■財源も積立金もないなか、どうやって年金を確保できるのだろうか?
 支給する金額を変えずに、いかに財源を抑えるかを考えたとき、簡単なのは支払期間を減らすことです。厚生年金は、2013年から従来の60歳から65歳へと段階的に支給開始年齢が引き上げられますが、これだけでは足りず、65歳から70歳へさらに引き上げようという動きがある。一般サラリーマンの平均的な厚生年金の受給額は年190万円程度。仮に5年分年金の支払いが遅れるとすると、950万円は損することになる。つまり、この世代の人たちは、当初のライフプランよりも、少なくとも厚生年金5年分の貯蓄を余分に用意しておく必要がある。

 現在、団塊世代の大量高齢化により、医療費財政を圧迫しています。1972~1973年世代が高齢者になる頃には、今のように頻繁に病院通いができる過保護な医療制度は改正される可能性が高い。そうなれば、入院日数の削減、軽度の患者に対しての医者の門前払いなどが日常化していくことも考えられます。1972~1973年生まれはよほどお金を持っていないと今の高齢者のような手厚い保障は受けられないと、覚悟を強いられることになる。

 年金や医療保険も減らされれば、現役時代の貯蓄がなにより重要になってくる。1972~1973年世代には既存
のライフプランはもはや通用しない。65歳定年とすると、働けるのは残り25年。ここをどう過ごすかで、老後に大きな格差が生まれる。団塊ジュニア世代の老後は、親はもちろん、子供にも金銭的に頼れない。国の年金は破綻しないでしょうが年金だけでは生きられないのも事実。ならば、老後の資金は自分で用意するしかない。

 団塊世代までは、子供が金銭的にも親の老後を援助できた。社会全体が成長基調だったので、子供が親の年収を抜く仕組みになっていたからだ。。しかし、今は年収が下がる可能性のほうが高い。その試算はこうだ。寿命が85歳として、年金で足りない生活費が最低でも月5万円。これが20年で1200万円。ほか、消費税増税、医療費の自己負担増などを考えると、もう500万円は余分に見ておく必要がある。加えて老人ホームに入ったり、医療の進歩で寿命が延びたりすれば、もう1000万円は見込んでおいたほうがいい。すると、合計は2700万円。3000万円とは、決して大げさな金額ではないのだ。

 こうなってくると、年金が当てにはならなくなることで、今後は生活保護を受ける人口がさらに加速をしていく
ことも考えられる。政府はいったいこのことをどう考えているのか。今でさえ、生活保護費が財源を圧迫してきているというのに、年金が破綻してしまうことによって、もはや生活保護制度が年金にとって代わる、重要な役割をもってくることになる。


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最終更新:2015年01月01日 21:57