本編B-2

「んあ”あ”あ”あ”あ”あ”ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああーーーーー!!!」
中西と宮崎が学校へ着いてからおよそ一時間後、生田家では奇声が上がった。
都会の住宅街であればややもすれば警察が呼ばれる事態にでもなりそうかというほどの大音量。
しかし幸いな事に、ここは隣家まで数十メートルはあるような田舎町。
さらにこの事態も周囲の人間にとって見れば日常茶飯時である。
ああ生田が起きたのね。もはやそんな風にすら思わない日常の一コマ。
しかし生田にとって、今日は本物の一大事であった。
「忘れてた…。」
そう、忘れていたのである。とても大切な事を。

昨日、生田はあるきっかけでハロプロヘッポコ部発足を思い立った。
頭のなかでメンバーを選出、取り敢えず近くにいた中西に声をかけたのである。
その後、他のメンバーを探しながらこれからのことに思いを馳せていた。
要は単なる妄想であるのだが。その妄想から現世へ戻ってきたのがつい先程のことであった。
考えてみれば昨日の晩、何を食べたか覚えていない。あれ、お風呂入ったっけ?
そんなことが頭をよぎったが、今はそれどころじゃない。
なにせ時刻は8時15分。いくら学校から近いといえ急がなければ確実に遅刻である。
奇声を合図に母が焼いてくれたパンをくわえ、ボサボサの頭で家を飛び出した。




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最終更新:2014年07月12日 01:48