本編B-1

へっぽこ部の朝は早い。…筈である。
生田から「明日から朝練やるけんね!」と強引に誘われ、中西は朝6時に集合場所とされる河川敷に来ていた。
全く何をするかも聞かされていないが、生田の勢いにおされるがまま、いつもならまだ夢の中にいる時間、片道20分もかかる距離を自転車で走って来たのに。
…誰もいない。集合時間からもう45分も過ぎている。川に向かって石を投げるのにももう飽きた。
流石の中西でもこれはおかしいと思い始めた頃、土手の上を
向こうから宮崎がいつもの様に困り顔で歩いてきた。

「ゆかにゃー、おはよぉさーん!」
「あ、かななん、おはよう。」
宮崎由加、葉廊高校へっぽこ部員の一人、と昨日生田から聞かされていた。
クラスは違うがおっとりとした雰囲気をもつ宮崎が中西は大好きである。
彼女が部員の一人なのであればきっと楽しい部活なのだろう。なんとなく中西はそう思ったりしていた。
「なぁなぁ、今日から練習なんやろ。ところでへっぽこ部って何するんやろなぁ。うち何も聞いてへんねん。」
「え?なにそれ?」
「は?へっぽこ部の話やん。昨日生田さんが…って、もしかして聞いてへん?」
元来困り顔の宮崎がさらに困り顔になる。どうやら宮崎は何も聞かされていないらしい。
ここを通りかかったのは、単に学校へ向かう通学路であっただけとのこと。
無言のまま見つめ合う二人。
しかしこうしていても埒が明かない。とにかく二人は学校へ向かうことにした。




本編B-2

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最終更新:2014年07月12日 01:46