朽木ルキア&ランサー ◆DpgFZhamPE




冷たい風が、美しい黒髪を撫でる。
そのどこか気品が漂う風貌の彼女は、掌を握り離しを繰り返していた。

「───ふむ、特に問題はなく魔力供給とやらは出来ているらしい。
霊力でも代用できるのだな、魔力というものは」

灰色の制服を纏った少女───朽木ルキアは、そう呟く。
彼女がこの場に呼ばれてからまず行ったことは、現状確認。
死神たるもの、ある程度の危機には慣れている───が流石にここまでのことは想定外だが。
ポケットに閉まってある伝令神機もこの場では機能しないらしい。
尸魂界との通信も、完全に断たれていた。

「天戯、弥勒・・・!!」

ルキアとしてはあのような人物を許すつもりはない。
死神として、このような暴虐を見過ごせはしないのだ。
しかし。

(今の私に、そこまで行える力があるのか・・・?)

───今のルキアは、死神の力を失っているのだ。
微かには残っている。
威力は下がるものの、鬼道も問題なく使用できる。
しかし、霊力が一向に回復する気配を見せないのだ。
今彼女が使用している肉体は、本来『義骸』と呼ばれる物だ。
霊体である死神が、力が弱った場合などに使う仮の肉体───それを使い、身体を休め、回復を待つのだ。
しかし、結果はこの通り。
そして、ルキアにはもう一つの問題がある。

「そう思い詰めた顔しなさんなって。
 命短し、人よ恋せよってな。
 悩んでる時間なんか勿体無ぇっての」

───この、能天気なサーヴァントのことだ。
黄色の着物に虎の毛皮、見るからに派手なこのサーヴァントは、命が懸かっているこの状況でもずっとこの調子なのだ。

「たわけ、全員が全員貴様のような能天気な訳ではないのだ」
「意地っ張りだねえ、全く」
「貴様が能天気過ぎるのだ・・・!!」
「そりゃ、嫌なことはさっさと考えないようにして楽しく生きるのが一番なのよ」
「・・・まあよい」

怒りはまだ収まらないが、とりあえずひと段落。
この目の前のサーヴァントについても聞かなければならない。
勝負の基本は己を知ること。
己を知り相手を知れば百戦危うからず、とは誰が言った言葉かは知らないが、まさにその通りである。

「貴様のクラスは───見たところ、セイバーか?」

ルキアは目の前の大男が背に負う大きな刀を見て問う。
これほどの大刀、誰が見てもセイバーのクラスと思ってもおかしくはない。

「いんや。俺はランサー、槍兵のクラスだ」

大男は、ランサーと名乗った。
ランサーと言えば、槍を主武装にするクラス。
とてもじゃないが、目の前の大男がランサーとはとても信じられなかった。

「む・・・?じゃあその大刀は何だ」
「ん?話すより見せた方が速いな。んじゃあちょっくら見せてやるよ、ッと!」

抜かれる大刀。
───その名も、超刀。
ルキアの体躯など軽く越えるソレは、まるで重みなどないかのように軽々しくランサーの腕力で自由自在に動き回る。
そのまま超刀の柄に、超刀と仕舞うだけの大きさを持った鞘を差し込む。
───これが、ランサーが槍兵として召喚された由縁。
あり得ないほどに巨大な槍、『朱槍』である。

「───大きいな。こんなものを振り回せるのか?」
「当ったり前よ!これしきのモン、軽い軽い」

ドンッ!と地面を揺るがすほどの音と共に、朱槍を地面に差し、自立させる。

「で、マスター。アンタの願いはなんなんだ」

ランサーの瞳がルキアを射抜く。
そう、この聖杯戦争は───願いのある者しか呼ばれない。
天戯弥勒とやらも、そう言っていたではないか。
ルキアとしても、願いが無いと言えば、嘘になる。

「私は───力を取り戻したい。
緊急事態だったとはいえ、あるヤツに力を譲り渡してしまってな。
あやつ一人に戦わせるのは私としても嫌なのだ」

正直に、全てを曝け出した。
しかし、ルキアとしても人を犠牲にしてまで叶えるべき願いだとは思わない。
そのような方法で手に入れた力では兄様に、海燕殿に───何より、黒崎一護に合わせる顔がない。

「力ァ?お、なら丁度いいね」

ランサーはいともたやすく、言い放つ。
その顔には、祭りを楽しむような笑顔があった。

「力が欲しいなら丁度いい。ここは聖杯戦争、猛者の中の猛者が集まる大喧嘩の大祭りよ!
踊る阿呆に見る阿呆、こんだけのヤツらがいるんだ、踊って楽しんで強くなりゃいい!」

聖杯などに頼むより。
己の力を聖杯戦争の最中で磨けと。
ランサーは、そう言い放った。

「幸い、相手にゃ困らねぇ。鍛えたいってんなら俺が鍛えてやるよ」

そう、これがランサー。
祭りと喧嘩をこよなく愛し、恋と愛を掲げ戦場で踊り狂う。
天下一の傾奇者。

普段なら一蹴しているほどの、無茶な理論。

「───滅茶苦茶だな、貴様は」
「無法天に通ず、ってのはこういうことよ」

だが、今回ばかりは───その姿が、その声が『彼』に似ているからだろうか───この男を、信じてみたくなった。

「ではランサー・・・私を、強くしてくれるか?」
「おうよ、任せとけっての!」
ランサーは笑顔で言い放つ。
ここに。
力を失った死神と、天下一の傾奇者の主従が誕生した。
地に突き立てた朱槍を引き抜き、空へと掲げる。
未だ見ぬ強敵との大喧嘩に胸を踊らせ、彼は決意の一言を言い放つ。

「サーヴァント・ランサー───前田慶次。
此度の聖杯戦争にて、いざ、罷り通る───!」

【CLASS】
ランサー
【真名】
前田慶次
【パラメーター】
筋力B 耐久B 敏捷A 魔力C 幸運C 宝具C
【属性】
 秩序・中立
【クラススキル】
対魔力:C
魔術詠唱が二節以下のものを無効化する。大魔術・儀礼呪法など、大掛かりな魔術は防げない。
【保有スキル】
傾奇者:A
ランサーの生前の行いによって追加されたスキル。
威圧、混乱、幻惑といった精神干渉を無効化する。また、格闘ダメージを向上させる。

恋のかけひき:B
ランサーの戦闘技術。
あらゆる行動を途中キャンセルし、動きの異なった攻撃を放つことで相手の反応外からの攻撃を可能にする。

不殺:B
ランサーの誓いがスキルとなったもの。
如何なる時も彼の戦いは喧嘩であり、戦ではない。
相手を戦闘不能・撤退を選ばせる絶妙なラインを見定め相手を攻撃することが可能になるスキル。
しかし、相手を殺害したorしようとした場合、俊敏以外のステータスが一時的に一段階ダウンする。

心眼(真):B
修行・鍛錬によって培った洞察力。
窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す戦闘論理。

【宝具】
『喧嘩よ恋よの大回転 魅せるは前田の傾奇者』(バサラワザ)
ランク:C 種別:大軍宝具 レンジ:5~40 最大補足:50

朱槍を掲げ、目にも留まらぬ大回転を行う。
一度受けたら最後、嵐のような大回転による連撃によって防御、逃走も許さず相手を斬り伏せ叩きのめす。
その威力、素早さ、範囲は凄まじい者があり、生前はこの技で多くの武士を戦闘不能に追いやったという。

『休息・眠りの一時 誘うは魅惑の夢心地』(ゆめごこち)
ランク:D 種別:- レンジ:ー 最大補足:ー

ランサーの急速な自然回復能力が宝具にまで昇華されたもの。
その場で休息(睡眠)をとることにより、体力・魔力を大幅に回復することが可能。

【weapon】
超刀
ランサーの主武装。身の丈以上の大きな刀で、重量もかなりある。
しかしランサーはこの超刀を振り回し突き立て薙ぎ払い、アクロバティックな動きで強烈な一撃をお見舞いする。
朱槍
超刀の柄に鞘を合体させたもの。巨大な槍となり、威力も更に跳ね上がる。
【人物背景】
前田夫妻の甥っ子で、前田家の風来坊。
自由をこよなく愛し、戦よりも喧嘩好き。
京の都では、老若男女問わず彼を慕う者も多く、慶次の舞う舞は絶品だとも言われている。
束縛を嫌い、普段は前田軍に属しておらず、京都で自由に暮らす遊び人として扱われている。
京の町人からは老若男女問わず人気があり、京の遊び人達を仲間として連れている。
戦場では敵を殺さないが、これは彼の卓越した戦闘技術が成せる技であり彼が戦場で戦った相手は皆撤退扱いとなった。
行く行くは「新生・前田軍」の総大将となり謙信の依頼を受けて将軍・義輝との謁見に臨む。
今回は朱槍を扱っていたことがランサーとしての適性となり、現界した。

【サーヴァントとしての願い】
聖杯戦争、この祭りを楽しむしかない。
殺しはしない。

【基本戦術、方針、運用法】
戦闘力・技術、共に高水準のサーヴァント。
基本は一対一。大勢の敵とも戦ったことがあるので二対一でもいけるだろうが少し厳しいか。
漢らしく一対一に持ち込み、傾奇者らしいトリッキーな動きで敵を翻弄し、強烈な一撃を叩き込もう。
相手を撤退・戦闘不能に追いやることに特化しているが、殺しをしようとしないのが最大の難点か。
拠点や集団を組んで安全な場所で『休息・眠りの一時 誘うは魅惑の夢心地』にて回復を狙うのも一つの手だ。
使い方によっては色々な戦法が取れるサーヴァントであり、非常に万能である。

【マスター】
朽木ルキア@BLEACH
【参加方法】
ゴフェルの木片の伝承(願いを叶える)ことを聞き、浦原商店から盗み出す
【マスターとしての願い】
死神としての能力の復活
しかしランサーの提案により、この場で強くなれるのなら優勝して叶えなくてもいいと思い始めている
【weapon】
鬼道
【能力・技能】
死神の頃に培った身体能力。
主に鬼道を使用する。
死神の能力は殆ど失われているため使用不可。
使える鬼道は以下記載
破道の四 白雷
  • 白い雷をビーム状にして発射 貫通力に特化している
破道の三十一 赤火砲
  • 対象に向け火の塊を飛ばす。直撃すると爆発・炎上。
破道の三十三 蒼火堕
  • 蒼い炎を発射する。並の虚なら一撃の威力らしい
破道の七十三 双蓮蒼火堕
  • 蒼火堕の更に上の技。威力も桁違いに上昇している。
縛道の一 塞
  • 四肢を己の背中で固めさせる。身動きが取れなくなり、その場で地面に伏せることとなる。
縛道の四 這縄
  • 指先から紐上の光を発射。敵に絡ませ動きを鈍くする。
縛道の六十三 六杖光牢
  • 六つの光の杖が、敵に突き刺さり動きを完全に止める。ダメージはないが身動きが取れなくなる。

威力は死神の力を殆ど失っているため、威力は下がりサーヴァントにはほとんど効かない。
対魔力Cもあれば完全に防がれてしまう。
しかし、人間に対しては十分の威力を持っている。
【人物背景】
護廷十三隊の十三番隊に所属し、物語開始時に初めての現世駐在任務として、本来は一ヶ月程の短期予定で空座町を担当していた死神。口癖は「馬鹿者」「たわけ」。
黒髪のセミロングで後髪がはね、真ん中辺りの前髪が鼻の付け根を通って左斜め下に向かって伸びている。
外見は小柄で、初期の頃は小学生だった一護の妹の遊子のパジャマがちょうど合うほど。
恋次曰く「どこか気品が漂っている」。
基本的にやや古風な固い言葉遣いで話し、男勝りで気が強いが、常に自分より相手を気遣う優しい性格。
一話目で一護の10倍近く生きていると言っているため、年齢は少なくとも150歳弱。
黒崎一護との接触の際、虚に襲われ重傷を負う。
家族を、ルキアを助けたいと願う一護に力を授けるが、その代わり自分の力を失ってしまった。
戦闘が続くにつれ、大虚などの強大な敵と戦う一護を見て「力があれば」と思うようになる。
そして今回の聖杯戦争に巻き込まれ、戦場で出会ったサーヴァントは、背が高く身の丈ほどの大刀に漢らしい声。
───どこか黒崎一護を思わせる青年だった。
【方針】
まずは情報収集。
力をつけるための手段も探す。







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参戦 朽木ルキア&ランサー(前田慶次 020:Bとの邂逅/ネジレタユガミ

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最終更新:2014年10月25日 21:02