翼をください◆A23CJmo9LE





時は遡る。
とあるビルの屋上にたたずむ人ならざる美女と、どこにでもいるような少年。
モリガン・アーンスランドと浅羽直之。

「どうかしら?共闘のお願い、受けてもらえない?
 悪い話じゃないと思うのだけれど」

正面に立ち顔を覗き込み、念を押すように囁きかける。
美しい目鼻立ち。
香り立つ色香。
吐息交じりの声。
さりげなく肩に置かれた手。
息を乱し、呑み込んだ自分の唾液さえもが甘露。
五感の全てに甘い香りが絡みつき、思考が鈍化していく。
全てがどうでもよくなっていく。
流されてしまえ、と胸のうちの獣が雄たけびを上げる。
冷静になれ、と頭のどこかで囁いているような気がする。
しかしそんなちっぽけな理性を獣性が押しのけるかのように、肯定の声を上げようとするが

バタン!と大きな音が響く。
扉を蹴り開け、遅れたが穹徹仙が合流した。

「荒っぽいわねえ。霊体化すれば開ける必要もないでしょうに。
 そういうの、嫌いじゃないけれど」
「いきなり男を攫って、あげく誘うような女性にたしなめられてもね」

軽く呼吸を整え、武装を構える。
仮初とはいえ主を攫った相手にいい印象は当然ない。

「待っていてくれ浅羽君。今、助ける」
「あら、怖い。荒っぽいわね、あなたのサーヴァント。
 戦うつもりはないって、あなたからも言ってあげて頂戴」

背後から浅羽の躰に手をまわし抱きしめるモリガン。
耳元で感じる声と全身で感じる柔らかさにただでさえ平静でない浅羽はさらに体温を上げる。
穹は首元に回された手に穏やかならざるものを感じ、より冷たい視線を向ける。

「あ、アーチャーさん…」
「何だい?」

掠れた声で懇願するような主人の様子。
習得したてとは言え念話もできるようになったのに、言葉を発するのはあまり戦略的に賢くない。
にもかかわらず肉声であり――穹の念話での呼びかけにもレスポンスを返さない。
何らかの精神的、あるいは魔術的な異常状態。
そして自身もまた僅かながら尋常ならざる精神状態にあるのを自覚し、女サーヴァントを観察する。

(翼による飛行。頭部にも翼のようなものがある。
 人外の異形……昼に公園で見た美樹さやかのサーヴァントにどことなく近いか?何より――)

美しい――
人ならざる在り方に魅入られる。
視線が胸元や口元に引き寄せられ、呼吸も乱れる。

(見た目通りの、男を惑わす魔の類か。浅羽君も、それに僕も平静ではないな…)

文字通りマスターを握られている状態で、さらに魅了。
クラス補正程度の対魔力では無効化できず、この地で今まで魅了された者たちのように正気に戻してくれる誰かもいない。
その状態で、モリガンからの提案を受けた浅羽が言葉を発する。
……湯だった頭で、彼女の誘惑を受け入れて。

「こちらの女性…えっと」
「アーチャーよ。私も、アーチャー。お揃いね?ふふっ」
「あ、はい。アーチャーさんはキャスターを倒すために協力しようって」

浅羽から発せられた言葉は予想した中ではかなりましなものだった。
もしやる気なら、とうに浅羽は殺されている。
それにマスターを人質に露払い扱いしないだけ有情と言えよう。

「君もアーチャーならキャスター相手に組もうというのは少し分かりかねるが?」
「単独ならこんな話しないわよ。厄介なサーヴァントと一緒にいるの。長物持ちだからランサーかしら?」
「僕らにそれの相手をしろというわけか」

状況的に不利な要求をされると予期するが、モリガンはそれを訂正する。

「いいえ。あなたたちにはキャスターの方を仕留めてほしいのよ。
 強いお爺ちゃんは私がやるわ。彼とは昼に一度闘ってるんだけど、その決着をつけなきゃ」

獲物は譲らない。
キャスターを狙うのは、闘争を愉しめない形に貶められるのを避けるためなのだから。
楽しめる闘いを逃してなるものかと、肉食獣の笑みを浮かべる。

「……察してはいたが、かなりの好きものだな君は」
「サーヴァントですもの。色事も戦いも、英霊なら少なからずそういう面はあるでしょう?
 で、悪い話じゃないでしょう?ちなみにキャスターは大したものじゃない。
 少なくとも体運びは完全に素人。私のマスターの方が、単純な力比べなら強いかも」

こうした詳細を浅羽が考えてまでこの状況に至ったのかは甚だ疑問だが、信じるなら悪条件ではない。
それだけなら、受諾してもよいかと思える。

そんな思考を裂く声が、響いた。

「あら、また主催者さん。お昼振りね」
「天戯弥勒。精力的なことだ」
「さっきまで――――」

浅羽が口にしようとした言葉を一睨みして黙らせる。
やたら情報は漏らすものでもない。
幸い話の方に聞き入って、こちらに意識はさほど向いていなかったか聞きとがめられることはなかった。
通達を聞きながら穹はかつて学園であった場所へ、モリガンはどことも知れぬ方角へ視線を向けていたが、それが終わると浅羽も含め全員の視線が空へと向かう。

「……私の知っている月は、もっと美しかったんだけれど」
「これじゃあ漱石の訳に誰も同意はしてくれなそうだね」

見上げた月に映る顔。
その顔が迫りゆくリミットを告げる存在であると、全員が察した。

「時間がないわよ?協力してもらえないかしら」
「そうだね。わかったよ。ちなみにキャスターの居所はどのあたりかつかんでいるのか?
 今から殴り込み、というには問題あるところなら一休み入れたいが」
「海の方角。温泉街で確認しているわ」
「もう一度確認するが、キャスターは大したものじゃないと」
「ええ。私は強いサーヴァントと、したいのよ」
「……そうか。君は自分の快楽のために戦うのか。それなら納得だ」

す、と右腕を差し出し、握手を申し込む。

「僕からは名乗っていなかった。アーチャーのサーヴァントだ」
「ええ、よろしく」

浅羽の背後から抱きしめるように回していた腕を放して、握手に応じる。
すると穹はダンスをリードするように、抱きとめるように軽く腕を引き寄せ
――――屋上から地面に向けて、モリガンを全力で投げ飛ばす。

「え!?アーチャーさん!?」

驚く浅羽をよそに追撃。
落下する彼女に対して二矢、投擲。
翼を広げ、それを回避されると、そこに向けて穹自身の肉体を矢として放つ。
重力も加え加速した突進で飛翔を許さず、モリガンを地面にたたきつける。
しかしモリガンはその勢いを翼による抵抗で抑え、ダメージを回避。
地に背をつけ、反動をつけた蹴りで吹き飛ばす。

「ちょっと情熱的が過ぎるハグね?」
「天にも昇る心地だろう?いや、君には衆合地獄あたりが相応しいかな。
 夜も遅いし……俺が送ってあげよう」
「そう。決裂ってわけ。残念ね、友達になれると思ったのに」
「そうだね。もしこれが人類を救うため、なーんて大義ある戦いだったら轡を並べるのも悪くはなかった」

二間ほどの距離をとりにらみ合う。
互いに弓兵、間合いを読み違えれば敗北に繋がる。
モリガンは撤退を考えじりじりと距離を開け、穹は逃がすまいといつでもダーツを放てるよう構える。

『アーチャー…アーチャー、聞こえたら返事をしてくれ』
『あら、タダノじゃない。よかった、起きたのね』

モリガンの脳裏に声が響いた。
眠っていたであろうマスターの復活に、声が僅か喜色に染まる。

『今、どこで何をしている?できれば合流して欲しいんだが』
『今?うーん、そうね。あの学園の近く…なんだけど。
 もう学園って呼んでいいのかしらあれ。ほとんど廃墟よねえ』

先ほど視線を向けなかった方角へ僅かに意識を裂く。
しかしすぐに目の前の敵と、周囲からの横槍を警戒するに戻る。

『もう慣れてきてしまったな……
 理由とか廃墟がどうとか気にはなるが、とりあえず君の速度なら労せず合流できると思うが難しいのか?』
『独断で動いたのはごめんなさいね。あの小娘を見つけて、居ても立ってもいられなくって。
 それにあなた、間がいいのか悪いのかよくわからないのだけど』

告げていいものか、若干の後ろめたさを憶えるが警戒の対象の特徴を告げる。

『丁度今、白い髪のキレイなサーヴァントといい雰囲気になったところよ』

するとタダノが自らと視覚を共有する感覚が走った。

『あれか。近接ステータスはそれなりだな。しかし魔力値は優れているとはいいがたい。
 それに……ゴムかあれは。あとダーツ。神秘の薄い、近現代のサーヴァントだな。クラスは?』
『アーチャーと。武装的にも間違いないでしょうね』

見えない駆け引きを続ける二騎のアーチャーをよそに思考を巡らせるタダノ。
自身とサーヴァントの消耗。敵の戦力。今後の展望。

『敵マスターは?』
『離れてる。仮に来ても戦力外』
『君のコンディションは?セイバーと戦ったと聞いたが』
『撤退戦なら何の問題もないわ』

令呪を使ってまで離れる必要はない、と言外に言い含めるモリガン。
戦術的な物言いよりもプライドの問題だろうが、それもまた材料として考え……タダノは決定を下した。

『ルーシー君、そこの栄養点滴をとってくれ……そっちじゃない、その透明な液が入っているパックだ。
 違う、それは尿瓶だ!そっちのチューブがつながっている方!』
『え?』
『ああ、すまない。こっちの話だ。アーチャー、君は闘ってそのサーヴァントを倒してくれ』

まさかの指示に目を見張る。
先の戦闘では撤退を指示したが、ここにきて強気になったか。

『通達通りなら急ぎ始めた方がいいだろう。事情も変わった』
『あなたの方は大丈夫なの?』
『病院にいる。手当は受けたし、装備で補っている。
 むしろ僕を労るなら、僕の魔力を使い、敵を倒してくれた方が助かるんだ。
 幸いブドウ糖の点滴があるから、多少消耗しても疲労で倒れる心配はない』

完治はしていなのでは。
無理はしなくてもいい。
そんならしくない言葉が口をついて出そうになるが、続くタダノの言葉にぐうの音も出なくなる。

『それに、そいつは天然ものだろう?かの魔王モリガン・アーンスランドが、据え膳を逃すなどあっていいのか?』

ゾクリ、と背筋が震えた。
この堅物のマスターはこんな科白も吐けるのか、と。
畏怖と、歓喜と、恍惚に全身を染めて、開戦。
ちまちました駆け引きをやめ、刹那に距離を詰める。

「遊んであげる…!」

腰が引き気味だったモリガンの突撃に僅かひるむ穹。
しかし即座に矢を放ち、迎え撃つ。
その矢を低空をすべるように飛行して躱し、制空権を犯す。
姿勢を起こし様に後ろ回し蹴りを放つが、それを受けつつその衝撃を利用して今度は穹の方が距離をとる。
続けざまに牽制の射。
一矢撃ち、二矢投擲。
モリガンはくるりと舞うようにそれを躱し、翼でもって宙に浮かぶ。

「やる気になったか。その方が外見通り悪魔らしくていい」
「ええ、あなたの望み通りに相手してあげる」
「望み通りはそっちだろう?誰のためでもなく、ただ戦いのために意味なく戦うのなら、僕が無意味に消してやろう」

僅かに距離を置き、視線が交錯。
互いに必殺の間合いに入った。

「ソウルフィストッ!!」
「しっ!!」

光弾。
射撃。
両弓兵の矢が、時に交差し、時に衝突し、風切り音を鳴らす。
弾けた欠片を、それた弾丸を互いに回避し、時に撃ち落とし、一定の距離を保つ。
射の腕は概ね互角。
しかし、地の利……いや天の利がモリガンに味方する。
翼を振るわせ、空を舞う。
上方よりコウモリ状の弾丸をわずかな動作で打ち放つ。
時折電線や建物が軌道をふさぐが、同じ轍は踏まない。
刹那霊体化することでそれを躱し、さらに流れ弾により少しづつだが空より障害物は減る。
対する穹に地の利は味方しない。
時に駆け、時に身を投げ、回避と構えの動作を最低限に。
強靭なゴムを引き、ダーツを放つ。あるいは肉体を弓とし、投擲する。
敵の軌道を邪魔するように放つが、二次元的に動く自分に対し、敵は四方八方自在に翔ける。
敵の光弾を躱せば足場は弾痕に乱れ、倒壊した電柱やコンクリートブロックが少しづつ足元を脅かす。
長期戦は穹に不利になりつつあった。

「まるで天に唾するようね。そうは思わない?」

悪魔(きょうしゃ)は口にする。
無為な抵抗だ、と。

「人が獣に勝利を掴み、霊長の頂点となったのはリーチが長かったからだ。
 そして神が死んだのは、それを落とす文明があったからだよ」

人類(じゃくしゃ)は口にする。
ケダモノを落としてこそ弓兵だ、と。

互いにふ、と小さく笑い闘い続ける。
しかしそこに乱入者。

「はぁっ、はぁっ…あ、アーチャーさん!」

ビルの一階部分、出入り口に浅羽直之。
屋上からやっとの思いで駆け下りてきたために息を切らし、アーチャーに呼びかける。
一瞬二人の意識はそちらに向く。
そして二人はほぼ同時に動いた。
穹は浅羽のもとへと駆けながらモリガンに向けて矢を放つ。
モリガンは右腕の光弾を建物に撃ち、左腕から穹に放ち、足を止めようとする。
そして、急速に滑空。真っ直ぐに浅羽の方へと翔ける。
穹の矢が外れ、ソウルフィストがビルへと着弾。
粉塵が辺りを覆い、光弾の影響もあり、コースを変えざるを得ない穹。
その差に先んじ、モリガンが浅羽の前に立った。

瞬間、浅羽はメスに食われるカマキリの気持ちを理解した。
蠱惑的な笑みを浮かべ、こちらに手を伸ばすモリガンが目の前に。

――――そして地に伏せ、鷹のような眼でモリガンを狙う穹が視界の隅に。

「読んでいたよ。浅羽君が顔を出せば、君はそちらに飛びつくだろうとね」

声がかかり、浅羽の視線を確かめ、反射的にそちらに体を向けるモリガン。
それもまた狙い通り、と矢を握る指に力がこもる。
僅かながら下方から角度をつけて射抜けば、浅羽に当たる心配もない。
こちらを向いてくれれば狙いもつけやすい。
心臓を、もらい受ける。
狙いはとうに定めた。
あとは射つのみ。

放たれた矢は真っ直ぐに、モリガンの左胸へと向かう。
――――しかし、まるでその矢がどこに来るか予期していたかのように紙一重で回避するモリガン。
反撃とばかりに唇に指を添えてベーゼを投げる。

「今夜は眠らせないわよ」

ベーゼと共に唇からハート型の光弾が放たれ、真っ直ぐ穹のもとへ。
さほど速くはないが、射のために地に伏せていた穹はそれをまともに受けてしまう。

瞬間、彼はケダモノとなった。
受けた光弾はモリガンの魅了の魔力の結晶のようなもの。
無抵抗にそれを受けてしまえば、抗える男は悟りに至った救世主くらいの者だろう。
理性を失い、しかし同時に過ぎたる美に硬直し動きが止まる。
そこへモリガンが突撃。
身に纏ったコウモリと魔力が形を変える。
桃色のベール状となって周囲を覆い、他の介入を許さない淫靡な空間を作り上げる。
中に残されたのは一人の男と女。

全てのコウモリが離れ、一糸纏わぬ姿となったモリガンを前に全身を固くするしかない穹。
芸術品のような高貴さを感じる美しさではなく、男を堕落させる魔性の美。
近寄りがたく眺めていたいものでなく、むしゃぶりつき汚したくなる衝動が沸き起こる。
英雄ならぬ、反英雄の在り方。女神の美でなく淫魔の美。
その瑞々しい肉体が歩み寄るのを呆けた頭で眺め…………
魔王に抱かれるのを、受け入れた。

指と指が絡む。掌で感じるなど、知らなかった。
脚と脚が絡む。その刺激で、彼の男が小さな死を迎えた。
躰と躰が絡む。意外と鍛えられている、などと見当はずれの感想を抱く。
舌と舌が絡む。体内の水が全て奪われるのでは、というほど激しい口づけ、その刺激でさらに体中から水分を吐き出し
精も、根も貪りつくされた。

「堕ちたかしら?永遠の眠りに。おやすみなさい、素敵な夢を……フフッ」

倒れ、粒子が散りつつある穹に背を向け、桃色のベール状となった魔力を再びコウモリのごとき衣装として身に着ける。
ピロートーク染みた上気した表情と声色で、思い出になってしまった男とのひと時を思い返す。

「私相手に必死になって飛び道具を打つオトコって、ココを狙うことが多いのよね」

心臓の上、左胸を軽く握る。
柔らかく形を変えるそれに視線が刺さる気配。

「心臓を狙って?体の中心は躱しにくいから?それとも、そんなにここが気になる?」

艶美な笑みを浮かべながら問いかけ。
浅羽に向けたものか、倒れた穹に向けたものか、あるいはタダノに向けたものか。
誰も答えはしなかったが。

『勝ったようだな。さすがだ、アーチャー』
『ありがとう、タダノ。ところでどこまで見ていたのかしら?あなたなら、エターナル・スランバーの最中も覗けたと思うけど?』
『人の情事を覗き見る趣味はない。盛り上がっているところ申し訳ないが、まだマスターの少年が残っているな?』
『ええ、そうだけど』

改めてそちらに視線を向ける。
呆然としていた。
己のサーヴァントの敗北を目の当たりにしたためか、あるいはいまだ魅了に囚われたままか。

『その少年も、喰らえ。アーチャー』
『へえ』

それに対しタダノは冷酷な指示を下す。
それを聞き、モリガンは愉しそうに笑う。

『意外ね。そんなこと言うとは思わなかったわ。勿論私は構わないんだけど。
 天使のように冷徹で、悪魔のように大胆で。とっても好み』

――ニンゲンだから、仕方ないんだよな。悪魔より恐ろしいニンゲンなんだからよ――
かつてかけられた、皮肉のような、賞賛のような、侮蔑のような友の言葉。
それを思い返し、目を閉じる。

『僕は、あくまでただの人間さ。勝つために手段を選ぶことのできない、弱い人間だ。
 ……少し訂正する。君がその少年を食らうことで勝算が増すなら、やってくれ』
『それなら安心していいわよ。彼の魂は無駄にしないから』

NPCよりは格段に上物だ。
なにやら奇妙な質だが、たしかな魔力も感じる。
抗魔力はほとんどないようだから、あらゆる意味で未熟なようだが。

(さすがにあの坊やじゃサーヴァントほどタフじゃないでしょうけど。
 デザートには青い果実も悪くないでしょ)

ちろり、と舌なめずり。
ごくり、と喉を鳴らしたのはどちらだったか。
もう一歩で手が届く。




「去れ、悪魔よ。彼への手出しは私が許さない」




そこへ介入する者があった。
白く、丈の長い、どことなく神秘的な装い。
特徴的な、目の周りを覆う白いマスク。
黒い一対の、猛禽類のような翼。
頭上に光る光輪。
それが浅羽とモリガンの間に立ち塞がり、はっきりとモリガンに敵意を向けていた。

「天使……!そう、さっきから嫌な匂いがすると思ったらあなたがいたの」

通達が聞こえたあたりから様子を窺っていたのか、妙な気配だけは感じていた。
あのサーヴァントも薄々気付いていたようだが、お互い目の前の敵に集中していたら、このタイミングで。
それに邪魔されたことにいら立ち、さらに相手がよりにもよって秩序を強制するものであると知り、美しい顔を歪ませる。
そしてモリガンを視界を通じて状況を把握しているタダノも驚きを覚えた。

『マンセマット…!』
『知り合いかしら?』
『見知った顔だ。かつて僕の仲間を一人天使に変えて、僕と殺し合わせた奴さ』
『つまり、敵ね。よかったわ。あなたが天使の味方でなくて』

誘うような手つきだったが、それを排他的な拳へと変える。

『悪いけど、さすがにアレは食べないわよ。ゲテモノ食いの趣味はないの』

排除するのみ。
そう考え戦闘態勢に移行する。
消耗はしたが、それ以上に補った。まだやれる。
距離を詰め一息に仕留めようとするが……背後に気配。
天使もまた驚いたように視線を向けているのを見て、背後を振り向く。




穹徹仙が、消えかけた体で立っていた。




「水龍なき今でも、まだ……零れ落ちる水を…掬い取るくらいはできるんだ……!」

体液に溶けた魔力を奪われまいと、激流の一滴だけだが内に残した。
そして弓兵の特長、単独行動。
霊核を失っても短時間ならば行動を可能にするそれも加わり、瀕死の穹徹仙を辛うじてこの世に残していた。

「タフね。いいわ、あなた。本当にいい……
 ねえ、改めて協力しない?あの天使を敵にするために」

それを見てモリガンは心底嬉しそうに、愉しそうに笑う。

「今ならまだ、私から魔力を返されれば残れるわよ。
 もし協力してくれるなら、もう一度この口から、あなたに魔力を返してあげるわ」

欲しいでしょう?
現界するための魔力はもちろん、それを返す行為が。
唇に指を当てて言外に問う。
誰もが飛びつくような、あらゆる意味で魅力的な提案だ。
だが穹は睨んで返す。
そんなことに構ってはいられないと。

(この悪魔につけば、浅羽君はいずれ骨抜きにされてしまう。
 気に食わないが、俺も危ない。今も、知らず魅了されていたようだ。こいつとは、組めない。
 あの天使も同じだ。見ていたならなぜ俺がこんなになるまで放っておいた?
 邪魔だからだ。浅羽君をものにするのに、俺は邪魔でしかないからだ。
 あいつにも浅羽君は任せられない)

残された魔力は雀の涙。
もはやしゃべる体力も魔力も惜しい。
……念話も魔術だ。行使する余裕はない。
ならば、最期にこれだけ。

「浅羽君!病院で美樹さやかと合流しろ!
 彼女の悪魔憑きなら信用できるはずだ!」

実際のところは分らない。
だが他に頼る当てもない。
走馬燈に姿を現した彼女たちしか。
三騎士ではない。暗殺者は全滅した。騎兵でもないだろう。魔術師が殴り合うものか。
ならば彼は、悪魔を宿した狂戦士。
しかしあの技巧はヒトのものだ。
あのサーヴァントは悪魔でありながら、人でもあるようだった。
異端児というのはどこでも排他される。
この天使も、この悪魔もアレは敵にする可能性が高い。
それに美樹さやか…彼女は悪い人じゃなさそうだったから。

……思い悩んでも仕方ない。
今僕ができる務めは、この悪魔と天使を殺すことだ……!

悪魔も、天使も、人より長い歴史を積んでいるのだろう。
この人の身に持つ神秘では、英霊としての格では及ばないのだろう。
だがそれがどうした。
穹徹仙の歴史は及ばずとも、一族が研鑽してきた武の血統なら、劣ることはない!

「Fが一人、穹家頭首、穹徹仙!
 その最期の一矢、受けるがいい!」

中らざれば……貫かざれば……久しからずば……全て死。
上体をそらし、肉体を弓とする。
上腕に力を籠め、過剰な筋力により流れ出た血を矢とする。
この存在、魂の全て、残された魔力を力に回し弦とする。
全てを懸けた一撃。
蒼穹をかける、一矢。
――――それは一条の流星のごとく。

「ッッテラァァァァ!!!」

離れ。
全てを込めた血の流星。
これを放てば、もはや消え去るのみ。
未練はない。
たった数度にすぎないが、水龍とは異なる力で、弓‐あるじ‐と矢‐おのれ‐を繋ぐことはできたのだから。

(さよならだ、仮初の主にして真実の友。生きてくれ)

轟音。
弾が空を切る音が響きわたる。
その流星は天使と悪魔がいた場所も軌道の一部として呑み込み、わずかな閃光を名残として即座に見えなくなる。
その後に、穹徹仙の姿はなかった。


【アーチャー(穹徹仙)@天上天下 死亡】





……後に残されたのは二つの影。
一人は浅羽直之。
尻もちをついて放心している
そんな彼にもう一人の影が歩み寄り、手を差し伸べる。

「立てますか?アサバナオユキ。よければ手を貸しましょう」

その正体は大天使マンセマット。
射線上にいたにも関わらず傷一つない。

「あなたは…大丈夫なんですか?あんなに凄いのに……彼女は消えてしまったのに」

周りを見渡す。
矢の余波で先ほどまでいたビルの窓ガラスは残らず砕けていた。
射線上の建物のいくつかは貫通した穴があり、そこからいくつかは崩れていた。
穹は全てを使い果たし、この地から消えた。
あの女アーチャーもまた、影も形もない。

「ええ。神のご加護です。私に人の手による銃撃に類する攻撃は一切通用しません。
 原初の力たる炎や雷を纏えばまた別ですが。
 さ、それより手を。お立ちなさい」

差し伸べられた手を今気づいた、とばかりに慌てて掴み立ち上がる。
軽く引いたその手――正確にはその手に宿る令呪――をじっと見るマンマセット。

「足取りはしっかりしていますね。あのサーヴァント、最期に余計な魔力を持っていかなかったのは評価してもいい。
 令呪も残っている。これならまだ戦う権利は残されていますが、あなたにその意思はありますか?」

その言葉で現実に目を向けさせられる。
もう、穹はいないのだと。
――だがすでに現実感など失せていた。
突然の発熱。
公園で見た激闘。
突如芽生えた超能力。
この時点で方針など頭の内から失ったに等しい。
呼びかけられたことも無視して、ただ穹に導かれるままに。
巨人を見た。
主催者と会い、訳の分らぬ問答。
そして……彼女と出会った。
今まで見た何よりも、誰よりも美しいヒト。
夢でも見ているのではないか。
彼女と会ってから、急速に浮足立ってしまい思考は回ってなかった。

「彼女…あのアーチャーは」
「あの悪魔が気になっていますか。仕留められていればこちらとしても喜ばしいのですが……」

周囲を軽く検めるマンマセット。
しかし特に収穫はなかったらしく、軽く嘆息して終わる。

「何の痕跡もない。恐らくまだあの悪魔は生きている。
 戦い続けるなら、再び敵として巡り合うこともあるかもしれません」

まだ、生きている。
また、会うかもしれない。
前を見据えると、マンセマットと目が合う。

「ほおう。どうやら戦意はあるようだ。よろしい。
 ならば、私からあなたに天使を贈りましょう」
「天使?」

何のことか、と疑問を憶えるが、それを口に出す間もなくマンマセットが懐から何かを取り出す。
それは白い羽だった。
今までに見たこともないような白さの、生き物のものか疑わしい、美しい羽。

「これは人の科学が天使の域に刹那届いた証。
 天使とならんとした、勇ましきイカルスの如きニンゲン、その羽です。
 彼の死後残ったこのフォルマを触媒とし、その人間をあなたのサーヴァントとして預けましょう」
「フォルマ?」
「悪魔、あるいは天使から奪った力の結晶を一部のニンゲンはそう呼称するのです。
 これはこの地で散った、天使に近き者の力の欠片」

その羽を地に置き、奇妙な魔方陣を描いた。
離れるように手招きされ、それに従って方陣から距離を置く。

「これより召喚の術式を行いますが……その炎を人の子が見ることは許されません。災いをもらいますから。
 私が合図したら、目を閉じて、再び合図するまで開けないでください」
「あ、はい。わかりました」
「では、目を閉じて」

指示に従うしかない。
何も映らない世界の外で、なにやら人のものとも思えない言語が紡がれている。
……何か、一瞬ノイズのような雑音が走った気がしたが。
その直後に光が発され、瞼の裏まで真っ白に染まり、
轟音と、強大な気配が現れた。

「終わりました。もう目を開けても結構ですよ」

目を開いたそこには天使の横に、一人の男が立っていた。
陣の中心に置かれていた白い羽。
それと同じように白い翼を6枚背に生やし、それと同じくらい白い装いをしていた。

「……お前が、俺のマスターか?」
「私ではなく、そちらの少年に力を貸してあげてください」

指し示されて浅羽の方を向く。
歩み寄る男のどことなく恐れ多い雰囲気に呑まれる。

「では、私はこれで、アサバナオユキ。あなたが魂を磨き、神の歌唱に耳を傾けるよき霊であることを願っています」
「あ、待って。待ってください、名前とかいろいろ……」
「これは失敬。私はマンセマット。神の代弁者です。あなたがよき霊であるなら、また見えることもあるでしょう」

そう言い残してマンセマットは去っていった。
後に残されたのは浅羽と、白いサーヴァント。

「で、お前が俺のマスターでいいんだな?」
「あ、はい。たぶんそういうことになります」

余所余所しい距離感。
雰囲気から察するにこのサーヴァントも天使とかの類なのだろうか、と未だに呆けた頭で思考する。

「場所を移すぜ。騒ぎすぎだ、いつ野次馬が来るか。
 ……俺の外観は目立つ目立たねーってもんじゃねえしよ」

真っ白な服装に翼と、メルヘン染みた男はそう語り、先行する。
別段当てがあるわけでもない、ココではないどこかへ。
そうして足を向けた方角は偶然にも、少しだけ話題に上がった方で。

「あ、そっちのほうにはキャスターのサーヴァントがいるって――――」

伝え聞いていただけの、不確かな情報。
なんとなく、そっちは嫌だなと思うが、明確に呼び止めるほどでもない。
そんななんとなく口を突いて出た言葉。
それに、白いサーヴァントは文字通り跳びついた。

「なんでそんなこと知ってる?そのキャスターってのはどういうやつだ?」

掴みかかるような勢いで詰め寄る。
端正な面立ちに狂気と憎悪を浮かべ、答えを誤れば殺されるのではないかと恐怖する。

「あの…さっき、聞いただけで。えと、戦ってたアーチャーの敵だから協力して倒そうって言われて。
 それで居所だけ聞いてて、どんなやつとかは、ちょっとよくわからないです」

滅裂な情報の羅列を咀嚼するサーヴァント。
少しすると落ち着きを取り戻し、僅かな憎悪の名残を歩もうとした方角に向ける。

「あのクソアマか?だったら嬉しいねェ。殺してやるよ。再会の記念にぶち殺してやる。
 いい情報に感謝するぜ。で、俺はそいつを殺りにいきてえんだが異存はあるか?」

え……と声が漏れる。
否はない。
だが迷いはある。
事態の推移についていけていない。

「お前も聖杯は必要なんだろ?なら、俺たちは協力できる。
 俺がお前を勝たせてやるから、お前も俺を勝たせろ。手始めに、キャスターを殺す。
 手を貸せ、マスター」

天使というにはあまりに傲岸で、俗な科白だったが、だからこそ……同意できるものがあると思えた。
聖杯。
目的のために……彼女との再会のために。
こくり、と小さく確かに頷いた。

「よし。名は?マスター」
「浅羽、直之です」
「オーケイ。浅羽、よろしくな。俺は…ん?」

名を交わし、主従の契約を果たそうとするが、少し悩む素振り。
浅羽の頭部をじっと眺め、目を閉じて集中するそぶり。

「…少し違う。が、力はある。足りないが……少し足してやるか。丁度いい」

ぶつぶつと呟き、翼を震わせる。
そのうち一枚が浅羽へと大きく近づく。
その異形の接近にのけぞってよけようとするが

「びびんな、痛くはねえよ。力をやる」

そういうと翼が一枚、男の背を離れて浅羽に飛びつく。
ずるずるずる、と何かが――白い翼のようなものが――体内に入り込む不気味な感覚。

「な、なにを――――」
「サンプル・ショゴス。外なる存在の名を冠する、代替機関みてえなもんだ。
 人体に入りこんだのち、脂肪の代わりの機能を果たす。今回は特別性だ、魔術回路の代用も兼ねる。
 ついでに、お前も能力者の端くれみてーだからな。上手くすりゃ、武器にもできる。
 これが俺の宝具の一端……自己紹介がてら、出会いを祝して贈り物だ」

どことなく攻撃的な笑みを浮かべ。
翼を収め、向き合い。
そして我が意を得たりとばかりに改めて名乗る。

「バーサーク・アサシン。垣根帝督だ。ここに契約は完了した」

天使の手による召喚で、その外観を純白に染め上げ。
かつてのように、自らを殺めた超能力者への漆黒の殺意と狂気に心中を満たし。
垣根帝督は再臨した。

通常、サーヴァントにとって聖杯戦争の記憶というのは強い実感を伴わない。
そのため、ひとたび脱落し、再度召喚された際にはそれ以前の聖杯戦争の記憶は残らないのがほとんどだ。
しかし、垣根帝督は復活の逸話を持つ英霊。
四肢を失い、脳を三分割され、生身の臓器を失い、ただ能力を吐き出すだけの機械のような存在となっても。
垣根帝督は生きており、そして自らの肉体を形成して復活した。
幾度も、幾度も。
プラナリアが記憶を保全して復活するように。
ネズミという個体を殺しても、ネズミという種は死なないように。
『垣根帝督』は、再びこの地にいた『垣根帝督』として蘇る。

(ああ、はっきり覚えてる。食峰祈操ィ……俺を殺させたクソ女。
 今度は俺が、お前を殺してやる)

もう片方のキャスターかもしれないが、それならそれで仕方ない。
そいつも殺すだけだ。

「あの、えーとバーサ―…?」
「ああは言ったが、まあアサシンでいい」
「それじゃあ、アサシンさん。お願いというか、提案があるんですけど」
「なんだ?」

ぐずついたガキかと思ったが、何かあるのか。
続きを促す。

「もう一騎、サーヴァントがいるらしいんです。それは放っておいてもいいじゃないかって」
「あ?どういう意味だ」
「キャスターよりはずっと強いって。でも、キャスターさえ倒せばそっちはやりたいって言ってるサーヴァントがいたんです」

黙考。
さほど意味のあることとも思わない。
通じているのか。
怪しくはあるが、否定して関係に余計な皹を入れる必要もない。
用心はしてあるし、問題はない。

「邪魔しねえなら、殺すのは後に回してやってもいいさ」

それだけでも納得したらしく沈黙した。
……ボケてるのかと不安になるほどに何を考えてるのかよくわからんやつだが。
布石は打った。
サンプル・ショゴス。
体内に寄生した未元物質は脂肪を排除し、その代替機能となる。
魔術回路としても機能し、魔力量も増す。
宿主を守る武装にもなり、能力者になら多少操れるようにも調節した。
――――それを失くせばどうなる?
魔術回路が、脂肪がなくなれば。
人体は機能を維持できず、死に至る。
前回はマスターを操られ、令呪によって殺された。
もしそうなりかけても、それ以外の事情でマスターが俺を裏切ろうとしても。
未元物質は抜け出し、こいつは死に至る。
同じ轍は二度踏まない。

(こんどこそ、殺す。食峰)

黒く染まった思考で考える。
……しかし同時に、それに僅かながら自己嫌悪も覚える。

(ちっ、狂化の影響か。思考が短絡化してやがる。あの天使、なんでこんな面倒な属性つけやがった?)

天使。
学園都市の理事長、アレイスターも触れんとした域。
あるいは魔神とかいうやつに近いのか。
呼び出したのには感謝してもいいが、狂化付与とは余計な真似を。
それに

(なんだよ、この格好。未元物質使うたびに似合わねえデザインになるのにも嫌気がするってのに。
 全身白に、やたらと襟立てやがって。餃子かよ。何が天使だ、センスの欠片もねえ)

まったく

(デビルダセえぜ、くそったれ)

苛立った素振りを見せ、北上を始めたアサシンの後を追う。
小鳥が親鳥の後を追うように、反射的に、深い考えなく。
ひたすらに目標に向かって。
彼女と、再び出会うため。
目を閉じればリアルに思い出せる


――わたしも、浅羽のためだけにt――


思い出せる、はずだった。


――私一人じゃ寂しいから貴方達もお願い――


その女の子以上に、色濃い女性の記憶ができてしまった。
彼女の言葉を。腕を。温もりを。
そして、桃色のベールの中で彼女が穹徹仙に何をしていたかも、彼の視界を通じて知ってしまった。
それは穹の最期すら記憶の彼方に放ってしまうような衝撃を与え。
結果、浅羽直之は、モリガン・アーンスランドの魔性に囚われてしまった。
願いは変わっていない。
しかしその道中、彼は願ってしまうだろう。
再び夢魔と出会うことを。夢魔の目的の妨げにならないことを。

もし彼が、愛する人の幻影を200年以上追い続ける錬金術師であったなら。
海賊女帝の魅了に靡かない海賊王であったなら。
揺らぐことはなかったかもしれない。
だが、彼はどこにでもいる少年だった。
大きな力に流されことしかできず、この地でもひたすらに揺蕩ってきた少年は魔王の魅了にも流される。
水の龍でもなくば、この流れを変えるのは難しいだろう。


【バーサーク・アサシン(垣根帝督・オルタ)@とある魔術の禁書目録 霊基再臨】


【C-3/町中/二日目・未明】

【浅羽直之@イリヤの空、UFOの夏】
[状態]魔力消費(中)、魅了状態
[令呪]残り3画
[装備]サンプル・ショゴス(未元物質)
[道具]なし
[思考・状況]
基本行動方針:彼女のため、聖杯の獲得を目指す。
0.多数の埒外の事象に加え、魅了状態に伴う現実感の喪失
1.垣根と共に温泉にいるというキャスターのもとへ
2.キャスターと共にいるというサーヴァントはアーチャーさんが闘いたいらしいから、できれば相手にしたくない

[備考]
※PSI粒子の影響を受け、PSIの力に目覚めかけています。身体の不調はそのためです。
→念話を問題なく扱えるようになりました。今後トランス系のPSIなどをさらに習得できるかは後続の方にお任せします。
※学園の事件を知りました。
※タダノがマスターであることを知りました。
※まどか、ライダー(ルフィ)を確認しました。
※巨人を目撃しました。
※天戯弥勒と接触しました。
※モリガンを確認しました。
※未元物質が体内に入り込み、脂肪、魔術回路の代用となっています。これにより魔力量が増大しています。
 また武装にもなり、宿主を守るよう機能します。PSIを利用できればある程度はコントロールもできます。
 ただし、脂肪をすべて排泄してしまっているため、これが抜け落ちた場合何らかの対処をしなければ死に至ります。


【バーサーク・アサシン(垣根帝督)@とある魔術の禁書目録】
[状態]健康
[装備]天使の装い
[道具]なし
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯戦争を勝ち抜く。そして一方通行を殺す。
1.食峰祈操は殺す。
2.北上し、温泉にいるというキャスターのもとへ。
3.もし浅羽が裏切るか、食峰などに操られたら切り捨てるのもいとわない。

[備考]
※鬼龍院皐月がマスターでは無いと分かっています。
※屋上の異変に気付きました。
※夜科アゲハがマスターであると断定しています。
※リンク、犬養、食峰を確認しています。

※アサシンのころの記憶はほぼ全て覚えています。
※審判者ゼレーニン@真・女神転生 STRANGE JOURNEY のような衣装になっています。
 なぜか未元物質が翼の形になってしまうのと同様、デザインを変えることはできないようです。
※ステータスはアサシン垣根帝督のものとほぼ同様です。
 ただし狂化の属性が付与されたことで、知性は保ちつつも、一方通行への復讐に囚われていた時期以上に狂暴化し、思考も短絡化しています。






【全体備考】
※C-3の街中において、穹の放った弾丸でいくつかビルが損傷しています。
 それ以外にも戦闘の余波は伝わっているでしょう。


◇  ◇  ◇

水龍の名残、血の一矢。
それを受けたはずの悪魔は、病院にいた。
不機嫌そうな顔でベッドに横たわる男性の腰辺りにのしかかり、詰め寄る。

「コレは、どういうつもりだったのかしら?タダノ」

栄養点滴のためにスーツの一部を取り外し、露出した左腕。
そこに覗く、二画の令呪を撫でて睨みつける。
あの男――穹と最後に名乗ったか――が放たんとした一撃を目の当たりにした瞬間、脳裏に強く声が響いた。

『令呪を以て命じる!直ちに帰還しろアーチャー!』

絶対命令権の行使。
時に魔法すら再現するそれによって、モリガンは戦場から主のもとへと、空間を超えて舞い戻った。
不承不承、どころでなく、極めて不本意ではあるが。

「言葉通りだ。切り上げるにはあそこが目途だと判断した。あれ以上は消耗の方が大きい。
 まだ敵はいるんだ。引き際はわきまえなければ」

アーチャーに搦めとられ、喰われてなお放とうとした決死の一撃。
受ければ確実にただでは済まなかった。

「あれを倒せと言った目的の一つはこのスーツのレベルアップ。
 ひいては僕の戦線復帰だった。一応、その目的は果たせたよ。
 それに、マンセマットまで出張ってきたんだ。いったん状況を整理する意味でも合流したかった」

それはその通りだ。
だが、言いたいことはある。
そう、躍起になって口を開こうとするモリガンだが

「なあ、あーちゃん」

もう一人、蚊帳の外だった男が口をはさんだ。

「おれは何が起きてたのかよくわかんねーけど。
 なんかすげー奴が出てきたっぽいってのは分かった。
 お前がそこから逃げてきたのも」
「別に逃げたわけじゃ――」
「逃げるのは間違いじゃねえよ。仲間を死なせないために、仲間にまた会うために逃げるのは、絶対間違いじゃない。
 おれは、またお前にあえて嬉しいぞ」

無邪気な笑みで、帰還した女傑を改めて歓迎するルフィ。
にしし、と笑うその顔を見ていると、なんだか苛立っているのが馬鹿らしくなってきた。
……一応は借りのあるこの男が言うなら矛を収めるもやぶさかではないか。
そう考えて、タダノの上から降り、衣装もまた戦闘時の一張羅から元に戻す。

「…そうね。次の戦いのためのインターバル。そう思うことにしましょう。
 タダノの言う通り、考えることも増したことですし」

隣のベッドに腰を掛け足を組むモリガン。
近くにあった椅子を引き寄せ、そこに座るルフィ。
モリガンがどいたことで自由度を増し、態勢を起こすタダノ。

「さて、何から話すかな。とりあえずコンディションを確認しようか。
 僕の傷は当然治ってはいないが、このスーツのバックアップがある。
 今しがたの戦闘でレベルアップしたことで、ダメージを補うことができている。
 着ている間は問題なく動けるよ。アーチャー、君は?」
「今の戦いでのダメージはほとんどないわ。橋でセイバーと戦ったから、そのダメージはあるけど。
 それも天然ものを味わえて、ほとんど問題ないくらいよ」
「なるほど、何よりだ。ルーシー君は?何か不調はあるか?」
「腹減った!」
「……あとで食事に出るか」

サーヴァントに食事は不要なのでは、と疑念がついて出るが、このアーチャーも刺激がなければ死んでしまうという存在だ。
食事を抜け、というのも聊か酷ではあるし、機会があれば。

「その戦闘について、あとで詳しく教えてくれ。まどかちゃんは休んでいるが、特に負傷などはない、と」
「ん、大丈夫だ。なんかぶつぶつ言ってたけど」

全員のコンディションはおおむね把握。
内面的にはともかく、肉体的には食事や装備でフォローできるレベルのハンデだ。
最悪、今すぐここを飛び出すこともできなくはない。

「まず気になるのは通達か。アサシンが一騎、マスターが二人脱落した」
「妥当な線ね。戦力で劣るアサシンが落ちて、そのマスターと昼に言われたはぐれマスターかしら。
 帰ったのはともかく、落ちたアサシンはたぶん私がさっきまでいた学園のあたりでしょうね」

モリガンの収集した情報……本人はそのような意図はなかったろうが。
あふれる魔力に引き寄せられ、垣間見た闘争と、その成れの果て。
巨人の手で崩落した学園。

「遠目に巨人を見ただけだから細かくは分りかねるけど、相当な規模の戦いだったみたい。
 サーヴァントの気配も一つや二つじゃきかなかったから、そこにアサシンがいたんでしょ」
「なるほど。君が惹かれたのはそういう訳か」
「へー、巨人族までいんのか。面白えーな」

僅かなものだが、敵の動きとして貴重な情報。
さらに学園倒壊となれば警察官の役割を当てられているタダノに仕事が増えるかもしれない。
連絡が来る前に知れたのは大きい。

「そのあとすぐにあのアーチャーとやり取りしていたから、私からは他に語ることはないかしら……
 あとは、そうね。北の温泉街であのキャスターを見つけた報告と。
 あの天使について聞きたいかしら」

いつの間にか通達についての議論から話題がシフトしつつある。
落ち着きのないサーヴァントだ、と思いつつも他に語ることも特になし。
あの月については気になるが、現状議論できる材料もない。
モリガンの話に応じるタダノ。

「あいつ、マンセマットの事か。ルーシー君は把握していないが、先ほど天使がアーチャーの前に現れて、僕らの邪魔をしたんだ」
「天使?コニスみたいな?」
「そのコニスというのが誰の事かは知らないが、一般的に想像する天使の姿を思い描いてくれ。
 白い格好に猛禽類の翼をした、神に仕えるあれだ」
「モウキンルイってなんだ?」
「……鷲とか鷹みたいな大きな肉食の鳥のことだ」

ああー、あれか。そうか、と納得したような調子を見せる。
本当に分かったのかは定かではないが。

「なんで邪魔したんだ?」
「なぜ。なぜか。なぜだろうな……」

あれもまた聖杯戦争の参加者なのか。
ステータスは見えなかったから、だとするとマスターだが。
いや、それは考えにくい。
仮にも天使が、聖杯戦争に参加するか?
聖杯とは神の子の血を受けた聖遺物。
人より天使の領分に近い。
それを人と同じ土俵で奪い合う闘争に身を投じるか?
むしろ、聖杯を掲げて参加者を煽り立てる方がしっくりくる。

「いくつか考えはある。
 一つは、天使であるあいつは悪魔であるアーチャーが気に入らず、その邪魔をした。
 もう一つ。以前彼の計画を邪魔した僕が気に入らず、そのサーヴァントであるアーチャーの邪魔をした。
 最後に。たぶん、これが本命だと思うんだが」

やつの所業を思い返す。
奴の目的とやらを思い返す。

「あいつが庇った少年。彼を天使とし、自らの計画に利用しようとしている」

ゼレーニンと同じ道を彼に歩ませようとしているのではないか。

「天使になる?そりゃーいいことなんじゃないのか?」
「そう思うかい、ルーシー君。その天使というのが、自らの力で思うようにならないものを排除したり、洗脳して思うままにしようとしているとしても?」

ジャック部隊の…惨状。
自分を失くした彼らの姿は、正視に堪えなかった。
僕自身、あの歌声に揺らがされそうになり、そして倒れる仲魔を見た。
そんな振る舞いを何の葛藤もなく行うゼレーニンの姿もまた、できるなら見たくはなかった。
マンセマットは、あの少年もそうした天使にしようとしているのでは。

「マンセマット自身の歌は人に効き目が薄くなっているらしい。
 だから代弁者、とは名ばかりの蓄音機を探してるんだろう。利用しやすい、手ごまを」
「…そっか。コニスじゃなくてゴッドみたいなやつなのか」
「洗脳、ね。そういうのは好きになれないって言ってるのに。おまけに天使。救いようがないわね」

うっすらとだが、英霊二人の顔に戦意が宿る。
向けられる対象が自分でないとわかっても、それには聊か畏怖を憶えた。

「あくまで仮説だ。とはいえ、僕とアーチャーは間違いなくあいつと仲良くはできない。敵対することになる」
「生きてるかしら?たぶん、あのアーチャーの攻撃を受けたと思うけど」
「勝算がなければ出てこないよ、あいつは。肝心な局面まで全て僕たちに投げ出し、いざ僕が闘う構えを見せればさっさと引き上げていった。
 生きている、そう考えるべきだよ。
 マンセマットの実力は闘っていないので何とも言えないが、奴の手で天使にされた人はもとは一研究者に過ぎない女性にもかかわらずかなりの強さだった。
 あの少年が天使になった場合、相応の難敵と考えていい」

厄介な敵が増えた。
それは事実だ。

「しかし、マンセマットがいるということは……聖杯がキチンと存在する可能性も極めて高いということだ。
 天使であるアイツなら、多少の知識は持ち合わせているだろう。
 万一を考えて、あいつからはその情報も手に入れたい。奴が持っているなら奪い取ることも考えよう。安易にはアイツの命を奪わないでほしい」

悪魔と天使。
双方から宇宙卵を奪ったように、その時が来ればマンセマットか、あるいは天戯弥勒から、聖杯を奪いとる。

「ひと手間かかりそうね。まあ、少しくらいなら付き合ってあげるわよ」
「おれはよくわかんねーけど。まどかもお前も欲しいものがあるっていうならしょうがないな。うん、しょうがない」

ひとまずの協力を得られて幸い。
ルーシー君とは、聖杯をめぐりいずれ破局するだろうか。
ヒメネスや、ゼレーニンのように敵にしなければならないのか。
……今は、味方だ。それを喜ぼう。
それにマンセマットに聞きたいことはもう一つある。
あいつの歌は人間には効き目が薄いといっていた。
ならば天使にはどうなのだ?相応の効果を発揮するのではないか?
あいつの手によって、天使へと変えられたゼレーニンは、あいつの手で洗脳することもできるのではないか?
……都合のいい妄想だとは思う。
彼女が変わってしまったのは、全て奴のせいだと思いたいだけだと。
しかし機会があれば確かめたいとは思っていた。
聖杯のついでくらいに望んでも、損はしないだろう。

「サーヴァントとマスター以外にも敵がいることは覚えておいてくれ。
 一応距離をとった以上、どうなるかは未知数。直近の方針はまた別になるが」
「それじゃあやっぱりあのキャスターのところにいかない?こうして合流もできたことだし」

敵として…否、獲物として見定めた女。
居場所もつかんだ魔女に余計な真似をされる前に仕留めたいと提言。

「それも一つの考えではあるな。だが、もう一つ気になる情報がある。
 あのアーチャーが言っていたこと…〈病院でミキサヤカの悪魔憑きと合流しろ〉だったか?
 ここだと、思うか?」

デコイの可能性もあるが、今際の言葉でマスターまで混乱させるとは思い難い。
あるいは何らかの符号だったらお手上げだが。
その名前を聞いてうなり始めた相手に声をかける。

「どうかしたか、ルーシー君?」
「う~ん。どっかで聞いたような気がするんだよな~。さやかって」

唸ってはいるが答えは出ない。
答えは出なそうだと判断して話す相手を変える。

「アーチャー、少し出るのは待ってくれ。
 まず僕の担当医を呼ぶから、それと話すのに協力してくれ。負傷を理由に仕事を休み、かつ自宅療養の退院まで持ち込みたい。
 それがすんだら、入院患者と、一応見舞いリストも含めてミキサヤカとやらを探してみよう。
 そこまで聞き出すには、君の魅力が頼りになる」

お預けを食らった子犬のような顔をするモリガン。

「まあ、お休みの連絡は必要よね。帰る許可も。でも人探しは必要かしら?」
「悪魔憑きというなら、間違いなくマンセマットは受け入れない。
 奴への対策くらいなら、協力できるかもしれない。
 キャスターの一件は…まどかちゃんとも相談する必要があるだろうから、いったん後だ。
 その時は場合によっては別行動してでも、君の意を尊重しよう」

そう言い含めても難しい顔をするが、ようやく妥協したらしくナースコールに手を伸ばした。
さっさと済ませよう、ということなのだろう。

「ルーシー君、君は……」
「おれは難しいことはよくわかんねえからここにいるよ」

身勝手に動かれるよりはましか。
彼に期待するべきは、先のカーチェイスで見せたような働きだな。
……夢のことは気になるが、今はいいか。
アスカリョウと名乗る男はただの夢ではないようだが、やはり確実性に欠く。
そもそもアーチャーも彼も思考を巡らせるタイプではなさそうだ。

マンセマットの存在。
再現された施設、都市。
……この地の在り方が、僕たちの手で消したはずのシュバルツバースを思わせるなど、口にしても仕方ない。
ジャック部隊はシュバルツバース内でも人間の活動領域を作り出すことは示していた。
もし、ここがあの悪魔生まれる地、シュバルツバースなら。
アーサーとゴア隊長の遺志を継ぎ、今度こそ、この地を消し去らなければならない。
あんな月になど、任せずに、確実に。




【C-7/病院/二日目・未明】

【タダノ ヒトナリ@真・女神転生 STRANGE JOURNEY】
[状態]魔力消費(小)、ダメージ(処置済み)
[令呪]残り二画
[装備]デモニカスーツ、アバ・ディンゴM
[道具]なし
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯戦争に勝利する
1.欠勤及び自宅療養のための手続きをする
2.入院患者と見舞客のリストをモリガンを利用して確認し、ミキサヤカがいるか探してみる
3.マンセマットを警戒。ただし同時に彼から情報を得る手段を模索
4.展開次第だが、キャスター(食峰)討伐も視野に
5.もしもここが地上を侵すシュバルツバースならば、なんとしても確実に消滅させる

[備考]
※警察官の役割が割り振られています。階級は巡査長です。
※セイバー(リンク)、カレン、ライダー(ニューゲート)、刑兆について報告を受けました。(名前は知らない)
 ライダー(ニューゲート)のことはランサーと推察しています。
※ルフィの真名をルーシーだと思っています。
※ノーヘル犯罪者(カレン、リンク)が聖杯戦争参加者と知りました。
※まどか&ライダー(ルフィ)と同盟を結ぶました。
 自分たちの能力の一部、連絡先、学生マスターと交戦したことなどの情報を提供しましたが、具体的な内容については後続の方にお任せします。
※人吉、セイバー(纒流子)、ルキア、ランサー(慶次)、キャスター(食蜂)を確認しました。
※浅羽を確認しました。
※飛鳥了を確認しました。ルイ・サイファーに近しい存在と推察しています。
※マンセマットを確認しました。ゼレーニンの後継を探していると推察しています。
 なお聖杯と『歌』について知識を得るためにむやみに殺害するつもりはありません。
※デモニカスーツが穹との戦闘を通じてレベルアップしました、それによりダメージを気にせず動けます。
 ただし激しい戦闘など行えば傷は開きますし、デモニカを脱げば行動は難しくなります。
※ここがシュバルツバースではないかと考え始めました。
 モリガンやルーシーに話しても特に意見は求められないと思って話題にあげなかっただけで、特に隠すつもりはありません。

【アーチャー(モリガン・アーンスランド)@ヴァンパイアシリーズ】
[状態]魔力消費(小)、右肩に裂傷(だいぶ回復)
[装備]
[道具] なし
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯戦争を堪能しマスターを含む男を虜にする
0.あーちゃんって……アーンスランドだから間違ってはいないけど
1.今はタダノに助力
2.済んだらキャスター(食峰)討伐に動きたい

[備考]
※セイバー(リンク)、カレンを確認しました。(名前を知りません)
※リンクを相当な戦闘能力のあるサーヴァントと認識しています。
※拠点は現段階では不明です。
※NPCを数人喰らっています。
※ライダー(ニューゲート)、刑兆と交戦しました。(名前を知りません)
※まどか&ライダー(ルフィ)と同盟を結ぶました。
 自分たちの能力の一部、連絡先、学生マスターと交戦したことなどの情報を提供しましたが、具体的な内容については後続の方にお任せします。
※人吉、セイバー(纒流子)、ルキア、ランサー(慶次)、キャスター(食蜂)を確認しました。
※アゲハの攻撃はキャスター(食蜂)が何らかの作用をしたものと察しています。
※セイバー(纏流子)と交戦しました。宝具の情報と真名を得ています。
※C-6を中心に使い魔の蝙蝠を放ち、キャスター(食蜂)を捜索しています。
→発見したため現在撤収中です。
※巨人を目撃しました。
※アーチャー(穹)を確認しました。
※浅羽を確認しました。
※マンセマットを確認しました。

【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]睡眠中、疲労(小)、若干の不安
[装備]なし
[道具]なし
[思考・状況]
基本行動方針:人を殺したくないし死にたくもない。けれど願いのために聖杯を目指す。
0.睡眠中。
1.キャスター(食蜂)への親近感、タダノへの攻撃、ほむらの襲撃などいろいろあって混乱。まずはほむらと話したい 。
2.起きたらタダノと会話をする。
3.聖杯戦争への恐怖はあるが、『覚悟』を決める。
4.魔女のような危険人物は倒すべき…?
[備考]
※バーサーカー(一方通行)の姿を確認しました。
※ポケットに学生証が入っています。 表に学校名とクラス、裏にこの場での住所が書かれています。
※どこに家があるかは後続の方に任せます。
※アーチャー(モリガン)とタダノは同盟相手ですが、理由なくNPCを喰らうことに少なくない抵抗感を覚えています。
※セイバー(流子)、ランサー(慶次)、キャスター(食蜂)を確認しました。
※『とある科学の心理掌握(メンタルアウト)』により食蜂に親近感を抱かされていました。
※暁美ほむらと自動人形を確認しました。
※夢を通じてルフィの記憶を一部見ました。それによりニューゲートの容姿を垣間見ました。


【モンキー・D・ルフィ@ONE PIECE】
[状態]健康、空腹
[装備]なし
[道具]なし
[思考・状況]
基本行動方針:まどかを守る。
1. 腹減ったけど、なんか難しい話してるから待った方がいいような気がする。
2.バーサーカー(一方通行)に次会ったらぶっ飛ばす。
3.バーサーカーに攻撃がどうやったら通るか考える。
4.タダノとの同盟や今後の動きについてはまどかの指示に従う。
5.肉食いたい。
[備考]
※バーサーカー(一方通行)と交戦しました。
 攻撃が跳ね返されているのは理解しましたがそれ以外のことはわかっていません。
※名乗るとまずいのを何となく把握しました。以降ルーシーと名乗るつもりですが、どこまで徹底できるかは定かではありません。
※見聞色の覇気により飛鳥了の気配を感知しました。もう一度接近した場合、それと気づくかもしれません。

[共通備考]
※タダノ&アーチャー(モリガン)と同盟を組みました。
 自分たちの能力の一部、バーサーカー(一方通行)の容姿や能力などの情報を提供しましたが、具体的な内容については後続の方にお任せします。







◇  ◇  ◇

「帰ったか、マンセマット。派手に動いたな」
「おや、あなたがそれを仰いますかミロク」

他には誰もいない、妙に幾何学的な空間で向き合う二人。
参加者を神の視点で眺める天使と人間。

「俺が盛んに動くのは仕方ないだろう。
 間桐雁夜は放っておけば魔術を使って自滅しかねなかった。
 浅羽直之たちはお前がやたら気にかけていたからだし、暁美ほむらに至ってはお前の頼まれごとのついでだ。
 アッシュフォード学園から未元物質を回収してくれなどと言うから何かと思えば、あんなことに使うとはな」
「お気に召しませんでしたかな?ですが、彼ならばあなたの望み通りより戦端を加速させてくれるはず」
「だろうな。だからこそ、そこには文句は言わんさ」

それだけ聞くとマンセマットは背を向けて去っていく。
弥勒の耳目の届かないスペースで部下の一人を呼び出す。

「ノルン、私の留守中に変わったことはありましたか?」

呼びかけると現れたのは女神の一柱。
運命をつかさどる女神ノルン。

「マンセマット様の外出中に彼はエレン・イェーガーの死体を回収しています。
 あの地で灰にならないよう、処置しているようですが」
「ほう」

脱落者の死体を使って何かしようというのか。
それともエレン・イェーガーが特別なのか。
巨人族の力を振るう少年、か。

「ノルン、あなたは巨人族の出でしたね」
「はい、そうです」
「現在あなたはミロクの何を手伝っています?」
「私の力は運命と時間を統べるもの。それによって、暁美ほむらの時間操作能力に制限を課しています」
「それだけですか?」
「はい」

エレン・イェーガーの力でノルンを乗っ取ろうというわけではないのか。
ではなぜ?
そのことを伝えてこないのは隠しているのか、わざわざ告げる必要もないと思っているのか。

「まあいいでしょう。ニンゲンの為すことだ。勝手にさせておけば」

こちらもこちらで勝手にやるつもりなのだから。
浅羽直之。
彼に課した、『聖なる試練』。ハニエルもカズフェルもいない以上、私がやるしかない。
悪魔の跋扈するこの地で、天使を連れて生きのびよ。
さすれば魂は磨かれ、天使に相応しき霊となろう。
そうすれば、彼をゼレーニンのように天使にできる。
それに美樹さやか。
一度は神の御使いとなりながらニンゲンに堕とされた霊。
厄介な悪魔さえ従えていなければ、出向くものを。
加えて一方通行、垣根帝督というイカルスのごとき人造天使。
世界を変える力を秘めた聖なる子らよ。
彼らを連れ帰り、世界を新たな高みに導けば。
オレは今度こそ主に認められ、上位の存在になれるはずだ。

「ノルン。ミロクへの警戒は怠らずに。我らが主の聖遺物に手を伸ばす不埒者に気を許してはなりませんよ」
「……はい」
「迷いは分ります、ノルン。かつて『遊びふける国』や『路を管する国』であなたを救ったニンゲン。
 ヒトナリのような期待をしているのですね。
 ですが、ヒトナリもまた愚かなる道を選んでしまった。ニンゲンは我らの手で導かねばならないのです」





【マンセマット@真・女神転生 STRANGE JOURNEY】
[状態]健康
[令呪]???
[装備]???
[道具]???
[思考・状況]
基本行動方針:主に認められ、天使以上の存在となる
1.聖杯戦争を利用して天使候補を手に入れる。
2.天戯弥勒を警戒。

[備考]
※天戯弥勒の協力者、主催側です。
※女神ノルンを仲魔のような形で弥勒に貸しています。
 それによってほむらの能力に制限をかけています。


◇  ◇  ◇

マンセマットを見送り、弥勒もまた自らのパーソナルスペースへ。
コンクリートで形作られた空間に巨大な水槽と、その中に少年が一人。

「やあ、邪魔をさせてもらっているよ天戯弥勒君」

誰もいないはずのその部屋に少女が一人。
しかしそれに驚くようなそぶりは見せず軽く対応する。

「お前か、ルイ・サイファー。すぐそばに天使がいるというのに大胆な奴だ」
「今の私は不完全だからね。だからこそ、彼らはわたしたちの事には気づけない」

柔和な、しかしどことななく他人を見下したような笑みを浮かべながら弥勒の来た方角を見据えて告げる。

「彼は一応君の協力者だが、あまり君のために動いているわけではなさそうだね」
「あのぺ天使のことなら承知の上だ。いや、だからこそ口にしているのか」
「そうだね。私は君たちニンゲンを捨てはしないが、可愛がりもしない。アドバイスなどは私ではなく、おれに期待してくれ」

口元から笑みを消し、足音一つ立てずに部屋を横断するルイ。
壁際の水槽にたどり着くと、そこに手を触れて中身をじっと見る。

「エレン・イェーガー。ガイアの子ら、巨人族の末裔。いや、ヨトゥンヘイムの民というべきかな?
 ここにきて堕落してしまった戦士。
 ぬるま湯につかり、夢に夢見て、退屈なありさまだった。
 だが最期の数瞬の彼はとても美しかった。
 どんな時代でもどんな場所でも、荒ぶる魂でもって生きるニンゲンは美しい。
 ……この地での戦争も、とても興味深い。
 神の子の血で濡れた杯を手にするために、多くのヒトや悪魔が血を流す。演出のしがいもあるというものだ」
「演出、か。やはり垣根帝督を狂化させたのはお前だな?」
「おや、何のことかな?」

くっくっ、と今度はからかうようなとぼけた笑みを浮かべる。
それに反応を示すことはなく、淡々と言葉を紡ぐ弥勒。

「強制詠唱(スペル・インターセプト)。他者の術式に割り込む、魔力を要さない技術だ」
「ほう」
「マンセマットの召喚なら、おそらく神の寵愛か信仰の加護あたりがスキルとして付与されるはずだ。
 だが垣根帝督はなぜか狂化して現れた。さっさと立ち去った奴は気づいてないかもしれんが。
 奴の詠唱は古代の神の言語そのもの。
 神代の魔術師といえど割りこむのは無理だ。できるとしたら、奴と同等以上の位階の天使か、その地位にかつていた者。
 違うか、ルイ・サイファー?いや、かつて大天使ルシフェルだったものよ」

推論のような、詰問のような言葉。
それに対して笑みを深め、朗々と答える。

「だってその方が面白い。何より束縛されたものより、自由な魂の方が美しい。
 それに、だ。
 私は演者の近くで野次を飛ばしただけ。そのせいで台詞をとちったのは演者が大根すぎるだけだと思わないか?」
「いいさ。どうでもいい。俺の目的の邪魔をしないなら、勝手にやれ」

ルイに背を向け、彼女の触れるものとは別の水槽へと歩み寄る。

「なあ、君はなんであんな下賤な霊の手を借りてる?」

その背に向けてルイが語り掛けた。
部隊を眺める観客のようなものではなく、台本に疑問を憶えた演者のように。

「ノルンの力で暁美ほむらを縛るのがそんなに大切か?
 時間遡行に悪い思い出でもあるのかい?
 聖杯だって、あんな小物に手を借りずともどうとでもなる。
 人の力だけでもやれたんじゃないか。少なくとも、余計な横槍は少なかったと思うよ」
「さて。なぜだと思うね?」

試すような口ぶりで返す。
魔王の中の魔王は、人の思惑をどう読む。
そう問われるのを望んでいたかのように、舌をまわし始めるルイ。

「あの『月』。世界を滅ぼす月は君の領分ではない。それは夜科アゲハの領分だ。
 ならば、君のつかさどる太陽もあるはずだ。
 では太陽とは何だ?恐らくは、あの月と同じように彼方からの来訪者……」

考えるようなそぶり。
何と呼ぶのか相応しいか吟味する。

「例えば、『ウロボロス』」

永遠に転生し続ける、星を喰らうもの。
星に寄生し、命を喰らう。
古代よりありし超抜種。
その在り方に近似する宙を翔ける〈生命〉がある。

「あるいは『原初生命繊維』」

さらにウロボロスとは永遠を象徴する世界蛇の名だ。
自らの尾を口に咥え、無限の円環を作り出す龍王。
それが世界を喰わんとするならすなわち

「もしくは魔女となりし『円環の理』」

それらは全て異なるもので。
しかしその本質を同じくする、彼方よりの侵略者。
そんな『太陽』を呼び寄せようとしているのではないか。

「あいつと関係があるようには聞こえんが?」
「あいつは触媒として用意したんだろう?いや、正確には触媒の触媒としてか。
 『太陽』を呼び寄せる触媒Aが必要で、その触媒Aを呼び寄せる触媒Bとしてアレを選んだ。
 こういうとき君たちニンゲンは何と言うのだったか……腐っても鯛、だったかな?
 まあ大天使も私ほどに堕ちてしまうと使い物にならないが」
「…………」

返答は沈黙。
肯定の否定もなく、呆れた素振りも驚いた素振りも見せず弥勒はじっと見つめ返すだけだった。

「まあいいさ。興味はあるが、ネタバレをされちゃつまらない。
 私は今後も観客を続けるだけだからね。
 とはいえ、私はともかくおれはマナーの悪い観客だ。知っているだろうが、役者の一人はおれが捻じ込んだものだしね。
 それではまた会おう。天戯弥勒君」

そういってルイ・サイファーは姿を消した。
後には今度こそ一人になった天戯弥勒のみが残された。
ふと、月を見上げる。

「当たらずとも遠からず、というのは便利な言葉だ。
 とりあえずそう言っておけば、それらしくなる」

自らの目的と、ルイの言葉をかみしめ。
最後に戦場の事を思い返す。

「夜科アゲハと俺はもとより、多くのものが天に手を伸ばし始めた。
 浅羽直之。間桐雁夜。犬養伊介。
 いずれ俺の目的を為すには十分な準備が整う」

とはいえ、紅月カレンが帰還した以上、残されたほとんどは能力者。
タダノヒトナリもスーツを纏われてはPSI粒子の影響は激減する。
残された、人間らしいものは

「現状の、鹿目まどかくらいか」

急げ。
草の冠に相応しい新たな世界を目指して。




【天戯弥勒@PSYREN-サイレン-】
[状態]魔力(PSI)消費(小)
[令呪]???
[装備]???
[道具]???
[思考・状況]
基本行動方針:???
1.聖杯戦争を通じて目的を達成する。


[備考]
※エレンの死体を巨大なビーカーのようなものに保存しています。







◇  ◇  ◇

「やあ、おれよ。相変わらず好き勝手やっているようで羨ましいよ」
「やあ、私よ。そちらもさほど変わるまい」

闇の中で向き合う、金色の髪に青い瞳の美しい男女。

「ヒトナリは元気そうだったかい?」
「心配はいらないさ。そんなに気になるなら私がいけばいいだろうに」
「不動明を呼び寄せておいたくせに、会いに行かないおれに言われたくはないな」

分り切った軽口のような何かをぶつけ合う。
嬉しそうに、愉しそうに。
話題に上がる男のことを思い浮かべるだけで愉快だという風に。
ひとしきり笑い合った後に揃ってまじめな表情を浮かべる。

「『月』が近づいている。それはかの地にある演算機もまた、ということだ」
「『月』が近づいている。それは引力の変化により、洪水をもたらすだろう」
「月の演算機にアクセスする、そのための子機としては」
「生命の全てを滅ぼす洪水を生き延びる、そのためには」



「「方舟が必要だ」」



「マンセマットごときのために来るのか?方舟は」
「そのくらいできなければ、奴がここにいる意味はない」
「まあ、神々との闘争を引き起こすにはあの程度でも十分さ」
「そうだ。おれの目的はあの頃から変わらない。傲慢な神々を、愛する者と共に撃ち落とす」

愛しい我が子ら、デーモンよ。
誰より愛しい、デビルマンよ。

「方舟が来る――神々が訪れる。
 英霊を呼ぶ――『座』に逝ってしまった明と、また会える。
 この聖杯戦争以上におれの目的を果たすのに相応しいものはない。
 ……邪魔はしないよ、天戯弥勒。おれもまた、おれの目的のために」

青年は少女に歩み寄り、その腹部に触れながら語りかける。

「『座』の明を産み落とすことはできないから、召喚に介入して彼を喚んだ。
 タダノヒトナリ。モリガン・アーンスランド。明。
 それに、暁美ほむら。我ら悪魔の側に彼らを導く。
 彼らをはじめ、神々との戦争のために兵力がいる。私には、新たな悪魔を生んでもらう必要もあるか」
「メムアレフが死した今、残された母は私だけか。仕方ないな」

神々との闘争。
ひたすらそれに向けて邁進し、その準備を。




【飛鳥了@デビルマン】
[状態]健康
[令呪]???
[装備]???
[道具]???
[思考・状況]
基本行動方針:神々との闘争に勝利し、デーモンの天下を
1.聖杯戦争を通じて明たち同胞に神を敵としてもらいたい
2.神々との闘争に備えて準備
3.必要に応じて参加者にも主催にも介入する
4.戦力増強のためルイと子を産むことも考える

[備考]
※ルシファーの男性としての面を強く顕現した分身です。
 両性具有の堕天使としての特徴を失うことで神々の一派の目を欺いています。



【ルイ・サイファー@真・女神転生 STRANGE JOURNEY】
[状態]健康
[令呪]???
[装備]???
[道具]???
[思考・状況]
基本行動方針:神々との闘争に勝利し、混沌に満ちた世界を
1.基本的に観客に徹する
2.聖杯戦争を通じて明たち同胞に神を敵としてもらいたい
3.神々との闘争に備えて準備
4.戦力増強のため了と子を産むことも考える

[備考]
※ルシファーの女性としての面を強く顕現した分身です。
 両性具有の堕天使としての特徴を失うことで神々の一派の目を欺いています。





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057-a:未知との再会 投下順 058:真夜中の狂想曲
時系列順

057-a:未知との再会 タダノヒトナリ&アーチャー(モリガン・アーンスランド 061:Dはまた必ず嵐を呼ぶ/嵐の中嬉しそうに帆を張った愚かなドリーマー
鹿目まどか&ライダー(モンキー・D・ルフィ
050-c:紅蓮の座標 アーチャー(穹徹仙 DEAD END
浅羽直之 062:英雄たちの交響曲
034:錯綜するダイヤグラム バーサーク・アサシン(垣根帝督)
参戦 ルイ・サイファー
マンセマット 065-a:聖なる柱聳え立つとき
飛鳥了 065-c:太陽は闇に葬られん
056:CALL.2:満月 天戯弥勒

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最終更新:2017年09月24日 23:02