憧れだったカードたち

▼時は流れる

前回のコラムでも触れたことだが、カード価値というものは当然環境に大きく左右される。
特にその影響を受けるのがスタンダードだ。
発売後間もないカードは、スタンダードで使用可能だ。
当然そこで需要があるカードは、発売後から価値が高くなる。
私が中学生の頃もそうだったが、金銭面に余裕のないプレイヤーは価値のあるカードを集めるのがとても困難だ。
どこかしらで妥協点を探したり、実生活で経済的工面をする必要がある。

そのような憧れだったカードたちも、ローテーションによりスタンダードで使用不可となる日がやってくる。
その時に、別のフォーマットでも需要があるカードであれば、急激に価値が下がることはそうそうない。
しかし、スタンダードで活躍した多くのカードは、別のフォーマットで場所がないことがほとんどだ。
そのようなカードは、スタンダードでの華やかな活躍が嘘だったかのように価値を下げてしまう。
 (もちろん、後から発売されたカードとのシナジー発覚により、逆に高騰してしまうケースも多い・・・。)

憧れだったカードを価値が下がってから集めて2サイクルで遊ぶ!
いつかは自分が思い描く完璧なデッキを完成させたい!
幼い頃のそんな夢を、ぜひ2サイクルで叶えてもらいたい。


▼憧れだったカードたち

では、多くの方々が憧れたであろうカードを、私の個人的な思い出と共に簡単に紹介していきたい。
なお、今回紹介するカードたちは、私がもっともMTGを楽しんでいたウルザブロック~インベイジョンブロックの頃のカードである。

まずは、白の強力なリセットカードを2枚。

ハルマゲドン/Armageddon  (3)(白)
 ソーサリー, レア
 すべての土地を破壊する。

神の怒り/Wrath of God  (2)(白)(白)
 ソーサリー, レア
 すべてのクリーチャーを破壊する。それらは再生できない。
どちらも有名すぎるほどのカードだ。
多くのデッキで採用され、当時ではかなり高価な部類だったが、現在ではどちらもかなり容易に入手することができる。

続いて、いくつかリセットカードを中心に紹介する。

ネビニラルの円盤/Nevinyrral's Disk  (4)
 アーティファクト 5ED, レア
 ネビニラルの円盤はタップ状態で戦場に出る。
 (1),(T):すべてのアーティファクトとすべてのクリーチャーとすべてのエンチャントを破壊する。
これまた非常に強力なリセットカード。
特に赤や黒、青などのエンチャントに対処できない色で重宝された。
ハルマゲドンと一緒にアンソロジーというカードセットに収録されていたものの非常に価値の高いカードだった。

火薬樽/Powder Keg  (2)
 アーティファクト UDS, レア
 あなたのアップキープの開始時に、あなたは火薬樽の上に導火線(fuse)カウンターを1個置いてもよい。
 (T),火薬樽を生け贄に捧げる:
 点数で見たマナ・コストが、火薬樽の上に置かれた導火線カウンターの数に等しい、すべてのアーティファクトとすべてのクリーチャーを破壊する。
前日のネビニラルの円盤がローテーション落ちした後、同ブロックのミシュラランドへの対抗手段として大活躍した。

虚空/Void  (3)(黒)(赤)
 ソーサリー TSB, タイムシフト
 数字を1つ選ぶ。
 点数で見たマナ・コストが選ばれた数字に等しい、すべてのアーティファクトとすべてのクリーチャーを破壊する。
 その後プレイヤー1人を対象とする。
 そのプレイヤーは、自分の手札を公開し、土地でないカードのうち、
 点数で見たマナ・コストが選ばれた数字に等しいカードを、すべて捨てる。
プレイヤーの技量が試されるカードだが、非常に人気の高かったカード。
相手のデッキの中身だけでなく、現在の状況まで読み取る力が必要となる。

地震/Earthquake  (X)(赤)
 ソーサリー, レア
 地震は、飛行を持たない各クリーチャーと各プレイヤーにそれぞれX点のダメージを与える。
序盤から終盤まで幅広く活躍できるカード。
飛行クリーチャーにこそ対処できないものの、赤いデッキでは非常に重宝された全体除去呪文の1枚。

ウルザの激怒/Urza's Rage  (2)(赤)
 インスタント INV, レア
 キッカー(8)(赤)(あなたがこの呪文を唱えるに際し、あなたは追加の(8)(赤)を支払ってもよい。)
 ウルザの激怒は、呪文や能力によっては打ち消されない。
 クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。ウルザの激怒は、それに3点のダメージを与える。
 ウルザの激怒がキッカーされていた場合、代わりにウルザの激怒はそれに10点のダメージを与え、そのダメージは軽減されない。
多くの人がその性能とあまりの高価格に度肝を抜かれたカード。
火力呪文としてのダメージ効率は悪いが、打ち消されない&軽減されないことで、非常に安心感のある火力呪文。
当時はこれを4枚揃えていることがステータスだったりもした。

次は、土地カードの紹介だ。
今でこそ多色土地で溢れかえっているが、当時は多色土地の種類が少なく、実用的なものとなると非常に限られていた。
そのため土地カードはそれなりの価値を保っていた。

真鍮の都/City of Brass  
 土地, レア
 真鍮の都がタップ状態になるたび、それはあなたに1点のダメージを与える。
 (T):あなたのマナ・プールに、好きな色のマナ1点を加える。
常に好きな色が出せるものの、常に1点ダメージを受けてしまう土地。
5色土地の代表格といっても過言ではない。
「リシャーダの港」と「対立」が天敵だったのは言うまでもない。

リシャーダの港/Rishadan Port  
 土地 MMQ, レア
 (T):あなたのマナ・プールに(1)を加える。
 (1),(T):土地1つを対象とし、それをタップする。

対立/Opposition  (2)(青)(青)
 エンチャント 7ED, レア
 あなたがコントロールするアンタップ状態のクリーチャー1体をタップする:
 アーティファクト1つかクリーチャー1体か土地1つを対象とし、それをタップする。

アダーカー荒原/Adarkar Wastes  
 土地, レア
 (T):あなたのマナ・プールに(1)を加える。
 (T):あなたのマナ・プールに(白)か(青)を加える。アダーカー荒原はあなたに1点のダメージを与える。

シヴの浅瀬/Shivan Reef  
 土地, レア
 (T):あなたのマナ・プールに(1)を加える。
 (T):あなたのマナ・プールに(青)か(赤)を加える。シヴの浅瀬はあなたに1点のダメージを与える。
2色土地として長い間活躍したペインランドたちだ。
アダーカー荒原をはじめとする友好色のサイクル5種はアイスエイジブロックから愛用され続けた。
シヴの浅瀬をはじめとする対抗色のサイクル5種はテンペストブロックからの流れを受け継ぎ、
満を持してインベイジョンブロックで初登場した。
個人的にテンペストブロックのタップイン対抗色ペインランドを愛用していたので、
インベイジョンブロックでアンタップインの上位互換が登場したのはかなりショックだった。

マナ基盤に関連させて、やはりこのカードの紹介は欠かせないだろう。

極楽鳥/Birds of Paradise  (緑)
 クリーチャー ― 鳥(Bird), レア
 飛行
 (T):あなたのマナ・プールに、好きな色のマナ1点を加える。
 0/1
ラノワールのエルフと双璧を成すマナクリーチャーの代表格だ。
MTGの基本であるマナを生み出すことしかできないが、
このカードのあまりの高価っぷりを見れば、マナの大切さが分かったかもしれない。
ちなみに、私の近所のカードショップでは全盛期に2200~2700円もした。
それでも普通に売切れたりしていたのだから、最早すごいの一言だ。

青全盛期に大活躍したカードも紹介しておきたい。

変異種/Morphling  (3)(青)(青)
 クリーチャー ― 多相の戦士(Shapeshifter) USG, レア
 (青):変異種をアンタップする。
 (青):変異種はターン終了時まで飛行を得る。
 (青):変異種はターン終了時まで被覆を得る。(このパーマネントは呪文や能力の対象にならない。)
 (1):変異種はターン終了時まで+1/-1の修整を受ける。
 (1):変異種はターン終了時まで-1/+1の修整を受ける。
 3/3
【青い悪魔」の愛称で猛威を振るった当時最強のクリーチャー。
それまで優勢だったはずなのに、このカード1枚にやられてしまうケースも多かった。
当初は安価だったのだが、その凶悪さが分かると途端に高騰してしまったカードとしても有名。

パリンクロン/Palinchron  (5)(青)(青)
 クリーチャー ― イリュージョン(Illusion) ULG, レア
 飛行
 パリンクロンが戦場に出たとき、土地を最大7つまでアンタップする。
 (2)(青)(青):パリンクロンをオーナーの手札に戻す。
 4/5
フリースペルクリーチャーで飛行まで持っており、しまいには手札に戻すことまでできるとんでもないカード。
変異種と共に青を最強の座に押し上げた立役者的なクリーチャー。
変異種ほどではないがそれなりに高価だった。

マスティコア/Masticore  (4)
 アーティファクト・クリーチャー ― マスティコア(Masticore) UDS, レア
 あなたのアップキープの開始時に、あなたがカードを1枚捨てないかぎり、マスティコアを生け贄に捧げる。
 (2):クリーチャー1体を対象とする。マスティコアはそれに1点のダメージを与える。
 (2):マスティコアを再生する。
 4/4
当時多くのクリーチャーデッキを壊滅させた強力すぎたクリーチャー。
「ゴブリンの太守スクイー」が良き相棒だったのは懐かしい話。
当初は維持コストのきつさから見向きもされないレベルだったが、
変異種同様に強力さが判明するとすさまじい高騰っぷりを見せた。
私の地元のカードショップでは500円から2000円前後まで跳ね上がったのを覚えている。

青最強を支えたのはクリーチャーだけではなかった。
強力な2枚の呪文も人気を博した。

不実/Treachery  (3)(青)(青)
 エンチャント ― オーラ(Aura) UDS, レア
 エンチャント(クリーチャー)
 不実が戦場に出たとき、土地を最大5つまでアンタップする。
 あなたはエンチャントされているクリーチャーをコントロールする。
フリースペルで相手のクリーチャーを永続的に奪ってしまう、
コントロール奪取のカードトしては破格のパフォーマンスを誇ったカード。
フィニッシャーだけに頼ったデッキは、このカード1枚で詰んでしまう事態に陥ることになった。

袖の下/Bribery  (3)(青)(青)
 ソーサリー, レア
 対戦相手1人を対象とする。
 そのプレイヤーのライブラリーから、クリーチャー・カードを1枚探し、それをあなたのコントロール下で戦場に出す。
 その後そのプレイヤーは自分のライブラリーを切り直す。
不実とは違い、こちらは相手のライブラリーからいきなり戦場に出してしまうカード。
不実とは違い隙ができてしまうものの、こちらも非常に愛用されていた。

当時は赤は不遇の時代といってもいいくらいだったが、そんな赤にも大人気の高額カードがあった。

ボール・ライトニング/Ball Lightning  (赤)(赤)(赤)
 クリーチャー ― エレメンタル(Elemental), レア
 トランプル
 (このクリーチャーが、自身をブロックしているすべてのクリーチャーを破壊するのに十分な戦闘ダメージを割り振る場合、
 あなたはその残りのダメージを防御プレイヤーかプレインズウォーカーに割り振ってもよい。)
 速攻(このクリーチャーは、あなたのコントロール下になってすぐに攻撃したり(T)したりできる。)
 終了ステップの開始時に、ボール・ライトニングを生け贄に捧げる。
 6/1
【歩く6点火力】の愛称にふさわしい性能を持つカード。
トリプルシンボルなので赤単くらいでしか見かける機会はなかったが、
逆を言えば赤単には必ず入っているカードだった。
イラスト人気もあって高価だった。

多くの人に愛されたインベイジョンブロックでは多色のカードに人気が集まった。

追放するものドロマー/Dromar, the Banisher  (3)(白)(青)(黒)
 伝説のクリーチャー ― ドラゴン(Dragon) INV, レア
 飛行
 追放するものドロマーがプレイヤーに戦闘ダメージを与えるたび、あなたは(2)(青)を支払ってもよい。
 そうした場合、色を1色選ぶ。その後、選ばれた色のすべてのクリーチャーをオーナーの手札に戻す。
 6/6
追放するものドロマーをはじめとする伝説のドラゴンサイクルは、6/6というサイズと飛行能力のおかげで、
色が合う多くのデッキで採用されることとなった。

魂売り/Spiritmonger  (3)(黒)(緑)
 クリーチャー ― ビースト(Beast) APC, レア
 魂売りがクリーチャーにダメージを与えるたび、魂売りの上に+1/+1カウンターを1個置く。
 (黒):魂売りを再生する。
 (緑):魂売りは、ターン終了時まであなたが選んだ1色の色になる。
 6/6
当時非常に多くの強力カードを抱えていた黒緑ということと、
持っている起動型能力のどちらもが非常に環境に噛み合っていたおかげで、
回避能力を持たないにもかかわらず、インベイジョンブロック終盤にフィニッシャーとして大活躍した。

また、インベイジョンブロックはアンコモンも非常に優秀だった。
火炎舌のカヴー/Flametongue Kavu  (3)(赤)
 クリーチャー ― カヴー(Kavu) PLS, アンコモン
 火炎舌のカヴーが戦場に出たとき、クリーチャー1体を対象とする。
 火炎舌のカヴーは、それに4点のダメージを与える。
 4/2
タフネス4以下の中型~大型クリーチャーから存在活躍を奪ってしまった凶悪クリーチャー。
アンコモンであるにもかかわらず、その破格のコストパフォーマンスから高価なカードとなってしまった。

火/Fire  (1)(赤) / 氷/Ice  (1)(青)
 インスタント APC, アンコモン
 1つか2つのクリーチャーとプレイヤーの組み合わせを対象とする。火は、それらに2点のダメージを望むように割 り振って与える。
 インスタント APC, アンコモン
 パーマネント1つを対象とし、それをタップする。
 カードを1枚引く。
初代分割カードにおいて、最強の座を欲しいままにした、非常に使い勝手のいいカード。
トリココントロールで採用された。
いまでもレガシークラスの実力を保持しているとんでもないカード。

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最終更新:2014年09月18日 00:08