『アクシズ』




 アクシズは、宇宙世紀0072年に公国と月企業連合体が共同で開発した小惑星で、極秘裏に建造した恒久基地である。
ソロモンやア・バオア・クーといった小惑星を地球圏に送り出す際にも使用され、ヘリウム輸送船団の基地として
運用されることもあった。
 一年戦争に敗れたジオン公国は、地球連邦政府と終戦協定を締結し、ジオン共和国となった。
しかし、一年戦争が終結したその日、共和国となった本国の帰還命令を無視して、温存されていた宇宙艦艇の約半数が
地球圏を脱出。火星と木星の軌道の間の小惑星帯に向けて発進した。
また、ザビ家内部の派閥間の反目などから、戦況の趨勢が決した時点で戦線を離脱した艦艇も多数あったという。


 小惑星帯まで逃げ延びた艦隊は、デギン・ザビ公王の側近だったマハラジャ・カーンを指導者として、ザビ家復興を期し、
ドズル・ザビの忘れ形見であるミネバ・ザビを拠り所としてアクシズを目指した。
 0081年3月に小惑星帯に辿り着いた艦隊は、2年の歳月をかけて資源採掘用の小惑星アクシズを要塞化し、
総勢3万人にも及ぶ人々を収容するため、居住ブロックとなるモウサを建造。
施設の規模としては初期の球形コロニーに匹敵し、永住も可能であった。
また、地球圏を脱して以来の窮乏生活を続けながらも、MSの開発は継続していた。


 そんな状況の中、0081年5月にミネバの母親であるドズルの未亡人ゼナが死去し、
モウサの完成から間もない0083年8月には、マハラジャ・カーンも死去してしまう。
閉鎖空間における指導者の不在は、集団を危機に陥れる。
 そこで当時、アクシズにおいてかなりの発言力を有していたシャア・アズナブルは、
当時16歳の少女ハマーン・カーンをミネバの摂政に推薦し、アクシズの首脳部もこれを承認した。
そして、マハラジャの死から二日後、アクシズに新たなる指導者が誕生するのである。

 ハマーンはマハラジャの娘であり、彼女の姉はドズルの愛妾であった。
しかし、彼女は血統や情実で選ばれたのではなく、天才と呼ぶにふさわしい指導力と洞察力、政治手腕を合わせ持っていた。
とりわけ、民衆を心酔させるカリスマ性は天性のものであった。
 彼女は瞬く間にアクシズを掌握し、父が生存を主眼に置いて指導を行っていたのに対し、
地球圏への帰還とザビ家再興を目標として掲げた。
 こうした目標設定は、人心の掌握に非情に有効であり、長期間に渡る窮乏生活や閉鎖された空間に対する人々の不安を緩和し、不満を分散させる効果があった。実際のアクシズに、現在の地球連邦に抗する十分な戦力があるはずもなかったが、
この目標設定は非情に有効に機能した。指導者を喪失し、希望を失いかけていた人々は、ハマーンの言葉を信じることで、
生きる力を取り戻すことができたのだ。


 ハマーンは、摂政に就任して間もなく「デラーズ・フリート」の蜂起を知り、2年前の共闘の確約に応える形で
先遣隊を送り出した。
 実際にはギレン派、ドズル派、キシリア派が乱立する当時のアクシズの状況を解消したいという思惑も働いていた。
エギーユ・デラーズは、熱烈なギレン信奉者であり、彼とともに闘うことは小異を捨てて大同につくという行動を
自ら示すことにも繋がるからだ。事実、エギーユ・デラーズ自身も作戦遂行中の同志よりの支援に感激し、
艦隊内の結束もより強固なものとなった。


 シャアは、ハマーンの補佐役として動いていたが、ハマーンの掲げる地球圏への帰還やザビ家再興が民意を統合する為の
方便ではなく、彼女自身の志向であることを知り、次第にアクシズの意志決定から距離を置くようになっていった。
 スペースノイドの自治権確立やニュータイプの覚醒はシャアの目的ではあったものの、ザビ家による独裁政治の復活を
望んでいるわけではなかったからである。この事から、彼はアクシズ内で個人的な協力者を見つけ出す事にした。
 「ザビ家による地球圏支配」ではなく、「ジオンの理想とした未来像の実現」を目指す同志を増やしていったのである。
そしてこの事が、ハマーンとの間に更なる溝を作っていく事になるのである。



『アクシズの機動兵器』


アクシズがネオ・ジオンと改称する前の機体。

モビルスーツ

AMX-002 ガザB
AMX-003 ガザC
     ガザC ハマーン専用機
AMX-003C ガザC改
AMX-006 ガザD
AMX-007 ガザE

試作モビルスーツ

MS-09RN シュネー・ヴァイス
MS-09RN-2 トゥッシェ・シュヴァルツ
MS-14J リゲルグ
MS-21C ドラッツェ
AMX-004 キュベレイ

モビルアーマー

AMA-00GR ゼロ・ジ・アール
AMA-002 ノイエ・ジール


最終更新:2017年09月03日 10:01