CR-0978-ダークホース における考察文


開発経緯


クレスト社の保有する機甲部隊郡の要望により、一つのプランがクレスト兵器開発部に提出された。
『地下区画という密閉空間において、機動力を確保し、防御力に優れた機甲兵器の開発』
同兵器開発部は、無理難題ともいえるプランに多少の反論をしたが、独自の規格を用いた『カスタム・アーマードコア』の開発を提案し、立案した。
生産コストのバランスと、機動力及び防御力確保。同兵器開発物は生産コストを切り捨てるという苦渋の決断をする。
よって既存のACより1.5倍という莫大なコストが掛かるものの、『プロトタイプ・ダークホース』が立案から1年後にロールアウトした。

市街戦におけるMT3個分隊(MT9機編成)と第三世代戦車郡(5両編成)を相手にした、模擬演習において6分34秒で敵全滅。クレストの機甲兵器模擬演習におけるレコードタイムを記録した。

対するプロトタイプ・ダークホースの損害は、右腕部大破(戦車による120ミリメートルAPFSDS弾直撃)と胸部装甲中破(戦車からの対戦車ミサイル<9M119レフレークス>)と散々だったが、肝心のMT部隊による損害は一切無いことによって、更なる改良と実戦配備が前向きに検討された。

主な欠点として、リアクティヴ・アーマー(爆発反応装甲)と呼ばれる使い捨ての増加装甲に、防御力を任せてしまったことだった。

模擬演習の失敗と成功を糧にし、同兵器開発部はダークホースの空中戦による三次元戦法を廃止。ブースターの空中出力を廃止し、ジェネレーターの駆動率を向上。エネルギー効率が良くなり、扱いやすく操縦性を確保。更に余分なブースター出力を地上出力に回した為に、機動力が大幅に上昇した。

最大の欠点である防御力については、戦車やACに用いられる『複合装甲』の強化版である『強化複合装甲』を装着することに決定した。
(なお、強化複合装甲は主に『戦術/戦略機甲兵器』と呼ばれる大型兵器に用いられ、コストや重量の関係でACに装着されることはなかった)

この強化複合装甲の装着が大きな壁となり、2年もかけてダークホースに強化複合装甲が取り付けられることになる。(この功績として、有名なMT開発の父と呼ばれる『クワイオ=ラトリフ博士』の甥である、クワイオ=マクタヴィッシュ博士の才能が決め手となった)

プロトタイプによる失敗を経て、レイヤード暦0186年のセクション756のゲリラ掃討作戦にてダークホース一個分隊(4機編成)が実践テストの兼ねての出撃。対する相手は機甲兵器2個小隊(高性能MT30機編成)という明確な物量差があったのに関わらず、敵部隊を全滅。ダークホースの損害はゼロという輝かしい戦績だった。

この戦績はプロパガンダレポートと指摘する声も多い。この時の戦闘で少なくとも一機が破壊され、もう一機が中破された、と証言する人も多い。現にダークホースはロールアウトしてから、大掛かりなメンテナスを一年間に5回行っている。このことから、『急ごしらえと言うべきダークホースの開発経緯故に欠陥や欠点が多く、極秘裏にパイロットが命を落としている』とされている。

現在のダークホースは、クレスト特別機甲部隊限定で配備されている。また同部隊は特殊作戦部隊郡と同意義の為、公の舞台では姿を現さない。その為、ダークホースの性能を確かめる機会は非常に少ない。



現在の運営状況及びコストについて



現在はクレスト特別機甲部隊のメンバーにしか支給されておらず、今後の計画として量産する見込みはない、とのこと。総生産数は20機から30機程度と数えられ、一機辺りのコストは内装除くフレームパーツ一式で50万コーム。
コストが割高な件については、上記に述べた様に『強化複合装甲』がネックとなっており、ダークホース一機分のコストの7割を食っている。フレームパーツは完全なクレスト社オリジナルの規格と思われるが、完全な軍事機密として詳細なスペックは語られていない。
(ダークホースのフレームパーツは、クレスト製重量型パーツと類似点が多く見られる点が多い。中身は強化複合装甲を装着した既存のパーツであると考える評論家も多い)

またダークホースのフレームパーツはクレスト社の方針で売り出すことは無いと発表されている。


戦術、兵装及びスペック



複雑に入り組んだ市街戦を想定して開発されたために、メインブースター及びサブブースターの出力関連は地上出力に回され、空中戦における対応はゼロといっても差し支えない。空中戦を可能とするACには苦戦を虐げられるが、ダークホースが出撃する場面は市街戦(特に地下区画)となっている為に、そのような状況には滅多にならない。
またランデスロッテ(二機一組)と呼ばれる戦法により、多人数の陣形を取った行動はとらない。これは、個人個人の力量を重視した戦法と考えられる。



打ち上げ式多段頭ディスペンサー 『CR-VTMD-mk67』


敵を探知し発射。上空に打ち上げられたディスペンサーは目標下に到達すると、対装甲特化子弾8個を降り注がせる。また、射出する親爆弾は信号弾のように強烈な光を発光させることができる。
爆発範囲としては、周囲50メートルから80メートルまで。
余談だが、クラスター爆弾またはディスペンサー関連の兵器は、不発弾による地雷の危険性が大いにあり得る。各軍事企業は一種の軍事条約『レイヤード条例』の中に、クラスター爆弾やディスペンサーに搭載される『爆発性子弾』の容量が取り決められた。
ダークホースのディスペンサーは、レイヤード条例に定められた爆発量の、最高値の爆発性子弾を搭載している。

グレネードガン


既存のクレスト製ACパーツ。腕部兵装向けに開発されたグレネードガンであるが、更なる小型化を目指して75mm榴弾を装填することになった。実際の戦闘では、建築物に隠れた敵機ごと吹き飛ばしたり、邪魔な建築物を破壊する用途で使われる。クレスト特別機甲部隊では、グレネードライフルよりショットガンやマシンガンといった安定する兵器を選ぶ傾向があるらしい。



強化複合装甲



この強化複合装甲は、戦略/戦術機甲兵器と呼ばれる大型兵器に使われると前述したが、ACという機甲兵器でこの装甲を取り付けたのが、ダークホースが始めてである。クレスト社の厳格な情報機密によって、詳細なスペックは把握していないが、ここでは可能な限り公開されている情報を元に、短いながら考察する。

複合装甲の中で、もっとも防御力に優れる重量複合装甲の上を行くと考えられ、その防御力は戦車の主砲及びACが使用する大口径スナイパーライフルの直撃を受けても、戦闘を続行できると考えられる。
(戦闘続行できると言っても、装甲に中規模の損害が与えられると思われる)
また、上記の砲弾を直撃して戦闘続行できるクラスの複合装甲となると、ペイロードと重量の問題は必然的である。この問題をどうやってクリアしたかは、クレスト兵器開発部の面々しか知らない。

参考として、一般的なACが装備するライフル砲で装填される45ミリメートル弾の最大有効射程距離から直撃しても、装甲は無傷だったケースがある。また、3連装ロケットランチャー(HEAT弾)の直撃を耐えることや、中型ミサイル6基命中しても戦闘続行したことが報告されていた。

参考備考


45ミリメートル弾……一般的なAC/MTが使用するアサルトライフル(ライフル砲/滑空砲)に装填される弾薬。主にAPDS(弾の直径を小さくすることによって、空気抵抗と装甲から受ける抵抗を少なくし、貫通力を高めた砲弾)と上位相互のAPFSDS弾が用いられる。しかし、APFSDSの場合、対応している兵器が少ない為、もっぱらAPDSがメジャーとなっている。また、シティガードに配備しているMTや護衛任務に適用されるACの場合、極端に貫通力が高いAPFSDS弾は、民間施設への被害を抑える為に敬遠されている。また、弾薬費を少なくするために、普通の徹甲弾が用いられるケースがある。

75mm榴弾


腕部兵装に用いられる小型グレネードライフルの弾種。小型化を主にした為に、使用する榴弾はいささか頼りない。同系統のパーツであり、上位相互の武器では、105mm榴弾を装填している。75ミリメートルと言えども、榴弾は榴弾。軽量ACなど容易く破壊できる破壊力を持っている。


以上



スペック一覧


生産企業 クレスト・インダストレアル社
平均時速250km 緊急時300km OB駆動時560km
連続稼働時間 不明
生産費 50万コーム(内装、武装除く)
生産数 20~30機
オプション装備 20mmミサイル迎撃機銃 オーバード・ブースター


今後の課題



ダークホースは市街戦に特化したACの為、空中出力を犠牲にしている。その為、対戦車の有効な戦法……トップアタックを苦手としている。これは、頭部に強化複合装甲を装着できなかったと考えられた。
また強化複合装甲は、連続しての被弾に非常に弱い。この対弾性能は複合装甲より脆いと噂される。致命的な弱点としては、旋回性能が既存の重量級ACより遅くなっており、機動戦を重視したACとの戦闘には慣れていないとされる。
この他に、上記で言われている『致命的な欠陥』を直すことが、ダークホースの最大の課題と言えよう。


最後に



ダークホースはレイヤードという限定された閉鎖空間故に、開発された機体と言える。このACの開発は、今後のAC開発に深い衝撃と共に革命とも言われている。だが、人類が地上に躍進すればダークホースの存在価値は、となる。が、この機体は治安維持目的でも十分に活躍すると言える。例えテロリストが襲撃したとしても、強化複合装甲があれば余程の重武装で攻められない限り、破壊されないといえよう。

なお、この場合はクレスト社がダークホースの一般発売を許可したことを想定で話をしている。一般のシティガードにこの機体が配備されることは、決して無いだろう。それ故に、ダークホースの量産取り止めは多くの者(クレスト関係者含む)を落胆させた。


最後に余談になるが、ダークホースの脚部は奇妙な案が出ていた。
安定性と火力を両立させた4脚案(強化複合装甲の重量関係で廃止)、と大火力を用いた無限軌道案。この無限軌道案は最終決定案まで進んだはずだったが、著しい機動力劣化が目に見えていたので、3機だけ製造されて、打ち切りとなった。この無限軌道型ダークホースはクレスト第6火力支援機甲部隊に配備された。詳細なスペックは現在のところ(0185暦)把握しておらず、その存在を疑う者も多かった。

話は若干、脱線したが、今後この様な機動性、装甲性を極限まで求めたACが出てくるのは、随分先のことになりそうである。

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