セカンダリアの間で暗に存在が囁かれる、暗殺ギルド。
その四天王の一人が彼だ。
情報を漏らそうものなら、明日にはその者は消される・・・。
と言われていたが、四天王が存在を調律者ギルドにバラしまくったので、現在暗殺ギルドは普通に認可されている。
名前もそのままで、主に【対・原生生物の急所、また攻撃方法】等を教えているようだ。
ただ、悪人は裁かれるだろう。
彼自体は、とても寡黙な男である。
いつもフードを被っている。その為か肌は白い。
またフードのせいで見えないが、彼はノックスだ。当然耳も尻尾も生えている。
そして彼の本業は、暗殺者ではない。内容は後述。
彼の戦闘は、対峙した時には勝敗が決まっている【隠密・一撃型】。
活力発動での身体強化、性質発動をカモフラージュに使い、観察・接近。
間合いを詰め、相手の意識の外から急所に攻撃を加える。
また、通り名にもなっている特殊な技術【影縫い】は、彼オリジナルの拘束術だ。
SOMによって強化した糸と、極細の針でまさに相手の体を「縫う」
痛みも感じない為、相手は金縛りや調律発動の類かと錯覚するほどの【技術】だ。
因みに、まともに対峙しても痛みが増えるだけだ。鎌やナイフ等、どんどん得物は大きくなる。
【影縫い】は、戦闘術ではなく、この時が一番輝く。
彼の本業は、セカンダリアで最も有名なぬいぐるみ【影ぬいぐるみ】の制作者なのだ。
最初は趣味でやっていたが、品質が良すぎてデルクーンから来た名家の目に留まったらしい。
その後、ひっそりとトリキュミア【夜灯街】にて制作、現在では店(移動を繰り返す)となってしまった。
定番の動物などから、シュヌ独特の発想を活かしたぬいぐるみまで、ありとあらゆるぬいぐるみが生を受けている。
普通の職人では、再現できない作りの物もちらほら。
マスクで口元は見えないが、ぬいぐるみと語る彼は微笑んでいるとかなんとか。
彼は、他の【通り名持ち】と比べて、単純な戦闘力やSOMの扱いでは劣る。
純粋にスキルだけを比べれば、【上級~特級】程度だろう。
しかし彼は【観察力】に富んでおり、地形や自然物、相手の行動や癖・真理、道具の状態やSOMの特性、ありとあらゆる事象を観察し、活かす行動をする。
それゆえに【通り名持ち】に認定された。
それは戦闘時だけではなく、通常の生活や仕事でも如何なく発揮される。
仮に、彼に一日探偵を依頼すれば、浮気は100%見透かされるだろう。