共同注意(ジョイントアテンション)

Joint Attention.

他者と同じものに注意を向け、情報を共有・伝達するための行動システムのこと。

 (行動のパターンであり、能力ではない)

単に他者と同じ方向に視線を向けるだけではなく、

相手と同じイメージを共有しているという「間主観性」(相互主観性)が成立している必要がある。

 

ジョイントアテンションの手掛かりには、視線・身振り・指差し・発声・ことばなどがある。

 

▼ジョイント・アテンションの発達

生後3カ月頃~:相手の視線を追う

生後5~6カ月:声で相手の注意を引く

生後9~10カ月:指差しが出現する

・乳幼児期はまず目を合わせるところからジョイントアテンションが始まる。

 頻繁に相手と視線を合わせることで、相手の意図を確認する。

 ことばが発達すると、ことばがジョイントアテンションの手掛かりの主流となる。

 

▼ジョイントアテンションの分類(Mundy、2003)

○Responding to Joint Attention(RJA)

相手の視線、頭の方向、指差しに追随する。

通常3~18か月に発達する(18か月でも生起しない場合は注意が必要である)

○Initiating Joint Attention(IJA)

原叙述行為である。注意を共有すること自体が目的となる。

子ども側からジョイント・アテンションを開始する行為で、アイコンタクトや指差し・提示などで相手の注意を誘導する。

通常6~24か月に発達する。

○Initiating Behavior Request(IBR)

原命令行為である。事物を手に入れるために生起する行動で、相手の行為を引きだす行動である。いわゆる要求行動。

通常6~24か月に発達する。

 

▼ジョイント・アテンションと発達

○Lerning To段階

ジョイント・アテンション行動を形成する時期である。

3~12カ月に発達する。

○Learning From段階

ジョイント・アテンション行動を用いて、知識(語彙・社会的参照)を獲得していく時期である。

12カ月以降に生起する。

 

▼自閉症におけるジョイント・アテンション

ASD児にとってジョイント・アテンションは難しいことが知られおり、診断基準となっている場合もある。

 (指差しの出現が初語の後になる場合もある)

特にInitiating Joint Attention(IJA)において困難さが見られ、改善も難しい。

要求行動による指差し(IBR)は障害されにくく、出現もしやすい。

 (一方で、他者へ注意を引かずに指差しだけ行う場合も多い)

他者への指差しへの追随(RJA)は発達により軽減したり、訓練により学習できる。

 (指差しの追随は出現しても、意図の共有は出現しにくいとも言われている)

ASD児は「自分を見ている視線を検知」することが難しいため、ジョイント・アテンションが困難となっている。

また、物への注意が強く、視線へと向きにくくなっていることも原因とされている。

最終更新:2014年09月20日 16:00