直枝理樹&アサシン ◆S2NYXu2lPk



 世界を埋め尽くしていく白い雪の中に混じる一点の赤。
 窓の外でひらひらと舞い落ちるそれを認識した瞬間、直枝理樹は駆けだす。
 何度も繰り返される6月20日という一日。
 その中で起きた小さな変化に、体は自然と反応していた。
 もしかしたら自分が気付いていなかっただけで、あの赤はいつもこの時間帯に落ちていたのかもしれない。
 それでも、この世界の異常はもうどうしようもないと思い知らされた少年にとっては、その赤いカードは闇の中に差した光に違いなかった。

 ■  ■  ■

 生暖かい夜風が吹き付ける学校の屋上にて、二人の少年は対峙していた。
 同年代に見える二人の姿は、端から見れば深夜に学校に忍び込んだ悪ガキに見えなくもない。
 だが、一方の少年の藍色の着物に日本刀という場違いな格好が、その場を異様な雰囲気にしていた。

「えっと、君が……僕のサーヴァント?」

 失礼だとは思ったが、理樹は思わず疑問系で問い掛けていた。
 左手に刻まれた令呪からは確かに彼との繋がりを感じる。
 他に人影も見当たらない以上、目の前の少年が自分のサーヴァントなのは間違いないだろう。
 腰に差した日本刀や頬に刻まれている十字傷、友人である宮沢謙吾に似た佇まいから、腕に覚えのある人物なのも何となくだが分かる。
 それでも確信が持てなかったのは、彼が男性としては小柄な部類に入る理樹よりも更に一回り小さかったからだ。
 理樹の女友達と比べても下から数えた方が早いくらいだろう。
 付け加えるならば、中性的で幼い顔立ちをしていたのも疑問に拍車を掛けた。
 人は見た目ではないといっても、どう見ても自分より年下の少年にしか見えない彼が、英霊という超常の存在だとは思えなかった。
 そのような理樹の戸惑いと疑問を見て取っても、少年は表情を変えずに淡々と口を開いた。

「左様。あさしんのさーう゛ぁんと、緋村剣心。ここに参上しました。
 貴方が、俺のますたーか?」
「……無理にカタカナ語を使わなくてもいいよ」

 何故か発音が怪しい彼の姿に仲間の一人を重ねながら、理樹はマスターとして最初の指示を行った。
 どうやら聖杯でも治せないものはあるらしい。

 ■  ■  ■

 アサシンと簡単な情報交換を終えた理樹は、ひとまず校内に入った。
 夜の学校に忍び込んだことは何度かあるため足取りは慣れたものだ。
 万が一自分の学校のように侵入者対策のセンサーが仕掛けられていても、アサシンが一緒ならば逃げられるだろう。
 誰もいない廊下を歩いていると、理樹はふと立ち止まって窓の外に目を向けた。
 目に映るのは煌々とした月明かりを放つ満月と、満天の星々。
 照らされた地上を見ても白一色に埋め尽くされているなんてことはない。
 ここしばらくどんなに願っても見られなかった明るい夜空が、そこにあった。
 この調子なら、朝になれば久しぶりの太陽と青空を拝むことも出来るだろう。

(でも、ここには僕しかいない……)

 空を見られた安堵感と共に理樹の心中を埋めたのは、孤独感だった。
 この場所には頼りになる仲間たちや、最愛の人はいない。
 元の世界に異常が起こってからは彼らもおかしくなっていったが、存在自体はしていた。
 だが、ここには自分一人きりだ。
 これほどの孤独を味わったのは、両親を亡くしたとき以来かもしれない。
 だとしても、挫けるわけにはいかない。
 そのような弱い気持ちでは、とても聖杯戦争を勝ち抜けはしないからだ。

(これから、僕は人殺しになる)

 普段の理樹ならば、決して殺し合いになど乗らないだろう。
 だが、彼の居た世界はどうしようもなくおかしくなってしまった。
 この場に至る直前まで、散々抗ってももう手遅れだと分かった諦観が理樹の心を満たしていたのだ。
 そんなところに差し出されたのが願いを叶えられる殺し合いの舞台。
 このままだと迎えるだろう終りを防げるならばと、理樹は自らの手を汚すと決めていた。
 しかし、まだ迷いは残る。
 一人でも殺してしまえば、二度と仲間たちと笑いあえないかもしれない。
 それでも、あのまま終わるよりは余程マシだ。
 だから、理樹は迷いを振り払うためにある言葉を口にすることにした。
 それは彼の尊敬する少年がいつも口にしていた言葉。
 殺し合いを始めるために使うことを彼に謝りながら、理樹はその言葉を口にした。

「ミッション、スタートだ」

【CLASS】アサシン
【真名】緋村剣心(抜刀斎)
【パラメーター】
 筋力:C 耐久:D 敏捷:A 魔力:E 幸運:D 宝具:B
【属性】
 中立・善 
【クラススキル】

 気配遮断:B
 サーヴァントとしての気配を断つ。隠密行動に適している。
 完全に気配を絶てば発見することは非常に難しい。
 ただし、自らが攻撃態勢に移ると気配遮断のランクは大きく落ちる。

【保有スキル】

 飛天御剣流:A+
 戦国時代に端を発する古流剣術。
「剣の速さ」「身のこなしの速さ」「相手の動きの先を読む速さ」という三つの速さを最大限に生かし、
 最小の動きで複数の相手を一瞬で仕留めることを極意とする、一対多数の戦いを得意とする実戦本位の殺人剣である。
 その使い手は天空を飛翔するかのごとき跳躍力を持ち、相手のはるか上空から斬撃を放つこともしばしばあり、
 体さばきや斬撃の速さは「神速」とされる。

 戦闘続行:B
 瀕死の傷でも戦闘を可能とし、決定的な致命傷を受けない限り生き延びる。

 心眼(真):B
 修行・鍛錬によって培った洞察力。
 窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す“戦闘論理”
 逆転の可能性が1%でもあるのなら、その作戦を実行に移せるチャンスを手繰り寄せられる。

 直感:D
 戦闘時、つねに自身にとって有利な展開を”感じ取る”能力。
 攻撃をある程度は予見することができる。

【宝具】

『九頭龍閃』
 ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:一 最大補足:
 奥義・天翔龍閃の伝授の試験のために開発された技のはずだが、こちらこそが奥義だという説もある。
 定説では天翔龍閃習得時に会得したとされていたが、東京に戻った際に既に使用していたという伝承もあるので使用可能となった。
 神速を最大に発動させ、剣術の基本である9つの斬撃「壱(いち):唐竹(からたけ)、もしくは切落(きりおろし)」
「弐(に):袈裟斬り(けさぎり)」「参(さん):右薙(みぎなぎ)、もしくは胴(どう)」「肆(し):右斬上(みぎきりあげ)」
「伍(ご):逆風(さかかぜ)」「陸(ろく):左斬上(ひだりきりあげ)」「漆(しち):左薙(ひだりなぎ)、もしくは逆胴(ぎゃくどう)」
「捌(はち):逆袈裟(さかげさ)」「玖(く):刺突(つき)」を同時に繰り出す乱撃術にして突進術の技。
 九つの斬撃それぞれが一撃必殺の威力を持っており、技の性質上、神速を超えるか使用者の技量を上回る実力がない限り、
 防御・回避ともに不可能とされている。だが小柄の剣心では重量、腕力が足りず技本来の威力を発揮できない。 

『天翔龍閃』
 ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:一 最大補足:
 剣心の隠し宝具。習得したのが抜刀斎時代以降のため上記の九頭龍閃がメインの宝具となる。
 逆刃刀・真打ちでのみ発動できる。
 飛天御剣流奥義にして超神速の抜刀術。
 右足を前にして抜刀する抜刀術の常識を覆し、抜刀する瞬間に絶妙のタイミングで鞘側の足、
 つまり左足を踏み出し、その踏み込みによって刀を加速し神速の抜刀術を、超神速にまで昇華させる。
 初撃をかわされたとしても、超神速の刀が空を切ることで弾かれた空気が敵を打ち据えて行動を阻害し、
 さらに空気が弾かれてできた真空の空間が元に戻ろうとする作用で相手を引き寄せ、
 回転による遠心力と更にもう一歩の踏み込みも加えた強力な二撃目で斬る、二段構えの抜刀術。
 しかし、この宝具で人を殺めたという伝承がないため使用しても『絶対に相手は死なない』という因果の逆転が起きる。

【weapon】

「日本刀」
 剣心が抜刀斎時代に使用していた日本刀。
 全刃刀と呼ばれる刀を使っていたとの伝承もあるが、今回はこの刀を使用する。

「逆刃刀・真打ち」
 宝具『天翔龍閃』使用時に使う刀。幕末の刀工・新井赤空の最後の一振り。
 その名のとおり通常の刀とは刃と峰が逆向きに打たれた構造のため、
 普通に使用すれば常に峰打ちの状態となり殺傷力を持たない非致死性兵器として機能する。

【人物背景】
 るろうに剣心の主人公。短身痩躯で赤髪の優男。中性的な顔立ちをしており左頬にある大きな十字傷が特徴である。
 幕末時代に派維新志士にして伝説の剣客「人斬り抜刀斎」として名を馳せ、修羅さながらに殺人剣を振るい数多くの佐幕派の要人を殺害してきた。
 とある事件にて妻を失ってからは暗殺稼業を止め、先陣を切って幕臣達と戦う遊撃剣士として働く。
 鳥羽・伏見の戦い以降は不殺を誓い、逆刃刀を携えながら流浪人として全国を放浪していた。
 明治十年に東京に戻ってからは数々の強敵との激闘に身を投じることになり、結果的に日本を救い、過去の因縁とも決着を付けた。
 しかし、死後に英霊の座に昇ったのは人々を救った流浪人としての彼ではなく、あまりにも有名となった人斬り抜刀斎としての彼だった。

【サーヴァントとしての願い】
 自身にはない。

【基本戦術、方針、運用法】
 マスターである理樹には持病があるため、もし戦闘中に発作が起きた場合、剣心は意識を失ったマスターを守りながら戦わねばならない。
 このような事態を避けるために正面からの戦闘はできる限り避け、アサシンらしく不意打ちからの一撃離脱が主な戦法となるだろう。

【マスター】直枝理樹

【マスターとしての願い】
 おかしくなってしまった世界を元に戻したい。

【weapon】
 なし。

【能力・技能】
 これといって特殊な能力はない。
 強いてあげるならば幼少時より鍛えられたツッコミスキルだろうか。
 マイナス点としてナルコレプシーという持病を患っており、発作を起こすと日中において場所や状況を選ばずに眠ってしまう。

【人物背景】
 リトルバスターズ!の主人公。俗に言う女顔で男性メンバーでは一番背が低い。
 称号は異様に賑やかな青春を送る普通の少年。口癖は「いやいやいや」
 幼いときに両親を亡くし塞ぎ込んでいたところを、棗恭介少年率いるリトルバスターズに手を差し伸べられメンバーに加わった。
 基本的に温厚かつお人好しな性格で、荒事は苦手で少々気弱な面もある。
 しかし、理不尽な事に対しては自分より強そうな相手に対しても声を荒らげる勇気も持ち併せている。
 リトルバスターズのメンバーの大半はボケ体質なため、常識人であり貴重なツッコミスキルを持つ彼の存在は欠かせないものになっている。

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最終更新:2015年01月25日 21:19