CALL.1:通達◆wd6lXpjSKY


 針は決められた仕組みに従い動き続ける。
 喩え時を止められても針は我を崩さず廻り続ける。
 それは世界に刻まれた理であり、架空世界に位置付けされたこの空間にも適用。
 状況に匙を投げられようが針は止まらず、唯ひたすらに未来を追い続けている。

 終着点に至るまでの過程には点がある、彼らにとって一種の目安だ。
 行き着く先を終点と喩えるなれば之は通過点である。
 何も聖杯戦争と云えど意思関係なく拉致、放り込んで勝手に殺し合え――運営にも考えがある。

 つまり、だ。
 参加者に座する彼らに対しての情け、温情。その真意は計り知れない。
 だが彼にも考えは在るらしく、こうして語りかける――。



 ◆  ◆  ◆



 聞こえるか? 聞こえている筈だ、今の心境はどうだ。
 ……お前達にどんな力があろうと俺を感知することは出来ない、覚えておけ。

 俺が誰だか見当は付いていると思うが一応名乗っておく、天戯弥勒だ。聞き覚えが在るだろう。
 お前達に語りかけた男だ、今と同じように聖杯戦争の幕開けを言い放った時にな。
 俺の声はお前達の脳内に直接響いている。受話器を取っても解除されることはないぞ。
 まぁ、いい。俺の声は参加者だけ、令呪を持っているマスターとそのサーヴァントにしか聞こえん。
 最も今は主を失ったサーヴァントは居ないからな、この声は全員に聞こえている。

 何故俺が今こうして語りかけているか、だ。
 情報提供だと思えばいい、必要ないなら流せばいい、強要はしない。


 お前達参加者は他人の情報を知らない。何人参加しているか、誰が参加しているか。
 一つ教えてやる、招かれたマスターは十四人だ。もう一度言う、十四人だ。


 本来の聖杯戦争、その倍の数が今回参加している。サーヴァントも各クラスに席を二つ用意してある。
 仮に目の前にセイバーが居るとしよう。そいつを斃したとしても他のセイバーが潜んでいる訳だ。
 自分の相手として優位に立たれると面倒な相手は複数居ると言うことだ。

 そして、もう一つ。早い話だがサーヴァントが一人消えた。
 クラスはアサシン、暗殺者と云えど正面から戦える力を持っていた優秀なサーヴァントだった。
 だが終わりは呆気無い、アサシンは油断していた訳ではないが消えた、それを上回ったサーヴァントが存在していただけの話だ。
 まだマスターは消えていないがな……始まりのテレホンカードを思い出してみればいい。
 お前達がソレで帰還することに俺は干渉しない、他人の帰還が気に喰わないならば潰せばいい。

 この聖杯戦争にルールなど存在しない、お前達の好きなように動けばいい。
 同盟を組むのも、ただ時間が過ぎるのを待つのも、NPCを喰らい己の糧にするのにも――勝手にすればいい。
 最後に笑う奴は一組だけだ、其処に例外は無い。


 ――乗り遅れる事など無いよう、健闘を期待している。



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