人吉善吉&アサシン ◆iDawWxUUzg




「傑作だな、聖杯戦争」



 ◇ ◇ ◇



生まれた時から、彼女は総てにおいて満たされていた。
恵まれた家庭環境、才覚に溢れた身体と頭脳。
他の人ができないことを簡単にやってのける彼女を、尊敬していた。
それが、眩しくて、愛おしくて――少しでも追いつこうと努力した。

「子供の頃から、めだかちゃんの横に並び立てる男になりたいと俺は努力していた」

いつかはきっと。
その想いを胸に、ひたすらに前を向いてきた。
あらゆる知識を頭に詰め込んで、あらゆる武術をかじり、自分に適応するモノを極めて。
ただ一人、彼女の為に。そして、何よりも誰に対しても真っ直ぐでいられる自分で在り続ける為に。
人吉善吉は、努力の最果てまで辿り着いたのだ。

「だけど、もっと見るべきもんもあったんだよな。言ってやるべきだった、めだかちゃんに」

だが、その最果てで見た景色は、違った。
絶対に正しいと信じていた彼女は歪で、救われない女の子だった。
何処にでもいるありふれた少女。正しさに動かされているだけのか弱い女の子だった。

「ナメてんなよ、バーカ。お前が全部背負う必要なんざ何処にもありやしねぇってな」

そして、善吉は気づいてしまった。
間違いを正さないと――彼女は破綻する。
黒神めだかはどうしようもなく報われず、救われない。

「聖杯戦争。万感の想いも世界へと響かせる聖杯なら、めだかちゃんの呪縛も無くなるのかねぇ」

そうして、善吉はめだかに期待することを諦めた。
立たないといけない。振るわないといけない。
彼女を抜きに、自分が正しいと思える拳を。

――それなら、これを使うといい。

安心院なじみはそんな善吉を、くつくつと嗤いながらも、認めた。
これまでの『主人公』を押しのけてでも。めだかと敵対することになってでも。
自分だけの想いを貫く覚悟をついに得たことを。
オリエンテーションで打ちひしがれていた善吉に差し伸べられたモノは赤いテレホンカード。

「ま、取れる手段は何でも取らないといけねぇか」

願いを叶える戦争へと誘う魔性の宝具を、善吉は手に取ることを選んだ。
命の保証はない。もしかすると、何も得ることができず死にゆく結末がまっている可能性だってある。
そんな、なじみの優しい忠告をはねのけ、善吉は頬を釣り上げて笑った。

――命ぐらい懸けれなきゃ、俺は一生めだかちゃんに追いつけねぇよ。

この決意は、間違いなんかじゃない。
人吉善吉が一人で考え、一人で決めた願いの意志。
だから、

「つー訳だ、力を貸せッ!」

彼は迷いなく、テレホンカードを公衆電話の差し口へと押し込んだ。




 ◇ ◇ ◇



「いいや、戯言だね。聖杯戦争」



 ◇ ◇ ◇



「よう、愉快なお祭り騒ぎへの招待状――確かに受け取ったぜ」

そして、天戯弥勒の開催宣言を経て、人吉善吉は此処にいる。

「……えーっと、アンタがサーヴァントでいいのか?」
「ったりめーだろ。どっからどう見てもサーヴァントじゃねーか」
「いや、見るからに普通の男子高校生なんだけどよ……」

善吉の前に現れたサーヴァントは一見しても、化け物じみた雰囲気を出さない普通の青年だった。
茶色に染めた髪、胸元を開けた制服に、鋭い目つき。
年齢的には、自分とそこまで変わらないだろう。

「おいおい、心配すんなって。見た感じ、強そーじゃねーって自覚はある。
 だが、肝心なのは中身? そうだろうが、つーかそうだから」
「そういう意味じゃなくてさ。俺と同年代の奴が出てきて驚いただけだっての。
 こっちは最初から信じてるよ、アンタのこと」

そんな心配を読み取ったのか、サーヴァントは皮肉げに笑った。
最後の一人になるまで生き残る。その果てに、聖杯は産声を上げるらしい。
全く、大した苦難の道程だ。
もっとも、相対するサーヴァントはそんなこと知ったことではない。
サーヴァントが求めているのは何が何でも勝ち抜く決意。何を切り捨てて、何を掴み取るかを決める一歩なのだ。

「……そういう照れることを真正面から言うかねぇ。お前、人誑しだな?」
「は、はぁ?」
「ま、ともかくだ。呼ばれたからには勝ちに行きたいね」

願いを叶えるには代償が存在する。重複した願いは、争いを生む。
聖杯戦争ではありふれた茶飯事であり、常識とさえ言える絶対のルールだ。

「ああ。というか、アンタにも願いがあるんだな」
「当然だろ。願いがあるからこそ、サーヴァントになってんだ。
 何事にも報酬ってのは必要だぜ? 生憎とボランティアは嫌いなんでね」

だから、迷うな。一直線に聖杯を勝ち取るべく、駆け抜けろ。
サーヴァントは善吉に対して言外に伝えているのだろう。

「そんで、俺の願いが聞きたいってか。言ってしまえば簡単なんだけどよ。
 つまるところ、リベンジマッチだ。もう一度、やり返したい奴がいるんだよ。
 無様に負けちまったから、今度こそ俺は勝ちたい。負け犬のまま終わるのは御免なんでね」

サーヴァント――垣根帝督のすることは英霊になる前と変わらなかった。
上へと登り、自分こそが最強だという証明を勝ち取るのだ。
例え、マスターに理解されずとも、知ったことか。
彼の根本は英霊になろうとも、揺らがない。

「へっ、シンプルでいいじゃねぇか。それに、そういうのわかるぜ。
 俺も負けたまま終わるのは嫌だ。どうせなら、勝ちに行きてぇよ」

だが、今回当てられたマスターは――少し違った。
彼の願いを馬鹿にせず、笑って肯定してくれる変わった奴だ。
それが、帝督の頭に強く残った。




【マスター】人吉善吉@めだかボックス

【参戦時期】第一回オリエンテーリング終了後。

【マスターとしての願い】黒神めだかを打ち砕く。

【weapon】なし

【能力・技能】

『欲視力』
他人の視界を覗くスキル。

『サバット』
大抵の武術はかじった善吉だが、その中でも足技を多用するサバットを一番の得手としている。
また、銃火器対策も積んでいる。

『???』
なぜかは知らないが、異常性を持った人物に好かれる。
ある意味、人誑し。

【人物背景】
めだかボックスの主人公。箱庭学園の第98・99代生徒会庶務を務めている1男子生徒。
ヒロインであり、主人公でもある黒神めだかとは2歳の頃からの幼馴染。
昔からめだかの正しさを信じ多大な好意と信頼を寄せていたが……。

【方針】

聖杯を取る為にも、生き残る。



【クラス】
アサシン

【真名】
垣根帝督@とある魔術の禁書目録

【パラメーター】
筋力C 耐久C 敏捷B 魔力E 運D 宝具A

【属性】
混沌・悪

【クラススキル】
気配遮断:D
自身の気配を消す能力。完全に気配を断てばほぼ発見は不可能となるが、攻撃態勢に移るとランクが大きく下がる。

【保有スキル】

見切り:B 
敵の攻撃に対する学習能力。
相手が同ランク以上の『宗和の心得』を持たない限り、同じ敵からの攻撃に対する回避判定に有利な補正を得ることができる。
但し、範囲攻撃や技術での回避が不可能な攻撃は、これに該当しない。

生存:B
暗部に長くいる経験からか、戦場にて生還する事に長けている。

対魔力:C
精神汚染系の魔術に対する強い耐性を持つ。物理的耐性にも強い。
未元物質を纏うことで得られるスキル。

【宝具】

『未元物質』
ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:- 最大補足:1
学園都市第二位のレベル5であった垣根帝督が有する、 「この世に存在しない素粒子を生み出し(または引出し)、操作する」能力 。
及びそれによって作られた「この世に存在しない素粒子(物質)」。
能力仕様の際は基本的に天使のような白い6枚の翼の形になる。
これらの能力を活かし、飛行や防御・打撃・斬撃・烈風・衝撃波・光攻撃に応用が可能。
また、未元物質を利用し、体の傷を癒やすことも出来る為、かなり万能である。

【Weapon】

拳銃。

【人物背景】
学園都市で暗部組織、『スクール』のリーダーを務めていた青年。
能力『未元物質』を所持する、学園都市第2位の超能力者(レベル5)。
基本的に敵でない一般人は攻撃しないし、敵を許す寛容さもあるが、逆上すると周りに気を使わなくなる。
それでも裏社会ではまだ人間味のある方だが、一方通行にはチンピラと酷評されるレベル。

【サーヴァントとしての願い】

再誕。一方通行へのリベンジ。

【基本戦術、方針、運用法】
宝具を活かした機動戦、もしくはトラップ主体の待ち戦術。
正面戦闘もこなせるが、長期的な戦いを踏まえ、消耗は避けたい。





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最終更新:2014年10月25日 21:40