エレン・イェーガー&アサシン ◆wd6lXpjSKY






『この世界は残酷なんだから』





 コンビニから出て来た少年の右手には買い物袋が握られている。
 その中身は主にパンと飲料水、年頃な少年らしく量も多目であった。
 少年はそのまま近場のベンチに腰を降ろすとまずは喉を潤すべく水分を体内へ。
 周りに音が聞こえるように吸い込む光景は他者に水分補給を勧めるが如くの勢いだった。


 喉を潤すと少年はパンの包装を荒く破り口に放り込む。
 中から溢れるカレー、それを荒くも大切に体内へ取り込むともう一度水分を。
 それらを何度も繰り返し、繰り返し……少年は生命の意義を感じ取っていた。


 少年の説明をしよう、名をエレン・イェーガー。
 巨人を駆逐する野心を抱えた一人の少年――その運命はやがて世界の鍵を握る事になる。


「美味ぇ……美味ぇ……」


 彼の住んでいた世界は巨人に怯えていた、この空間の時代の人間ではない。
 人々は巨人に恐怖を抱きながら生活しておりその圏内は壁の中にしか存在しない。
 調査兵団と呼ばれる巨人討伐組織も存在はするが毎回目立った戦果を挙げられず帰還。
 むしろ遠征の度に人数が減っておりその打撃は組織において大きな損傷となっていた。


「こんな美味いパン……固くない、よく分かんねぇけど美味ぇ味だ」


 エレンは幼い頃から調査兵団に憧れていた。
 当時見た調査兵団出陣の光景は彼の脳裏に焼きつきその少年心を虜にされていたのだ。
 時が流れたある日、エレンは幼馴染であるミカサと言う少女とアルミンと呼ばれる少年と遊んでいた。
 何も変わらない日常、打開されること無い現状、それでも笑顔な表情――その時までは。


「こんな……こんな事があっていいのかよッ」


 震撼する大地、覆う影、見上げる視線。
 聖域を守る壁には巨人の顔、規格外な大きさを誇る超大型巨人。
 硬い壁をその身で突き破る鎧の巨人、そして穴から群がる無数の巨人たち。


 たった一瞬の出来事で偽りの平穏は破られた。


 彼らの移住区に押し寄せる巨人、逃げる人々、喰われる餌。
 駐屯兵団と呼ばれる在駐兵士はいるもののその戦力は調査兵団に大きく劣る。
 対巨人駆逐組織である調査兵団が満足に巨人を狩れていないならば、劣る駐屯兵団が叶うはずもない。
 一般市民が喰われる中で兵士も喰われて行き人口の現象など止める術も無かった。


「俺達が巨人に怯えている中、あの天戯弥勒とか言う男や他の人間はこんな生活をしている……クソッ」


 エレンも例外ではなく、巨人から逃げようと必死だった。
 その中で彼は自分の家が崩れていることを知る、そして母が埋もれている事実も見てしまった。
 何とか救おうと頑張るが人間、それも子供の力では無理があったのだ、助からない。
 駐屯兵団の兵士も巨人に立ち向かおうとするが戦意喪失、そのままエレン達を連れて逃走。


 抱えられた少年が最後に見た母の光景は巨人に喰われる哀れな姿だった。


「……してやる、ああしてやるよ。
 願いが叶う何て馬鹿げている、でも俺が此処に居ることの説明になっちまってる……クソッ!
 俺が手を汚せば! あいつらが! 人類が! 助かるってんならやってやる……もう綺麗事は言わねぇ」


 そして少年エレンは困難を乗り越え念願の調査兵団に入団する。
 しかしそれは終わりでもなければ着地地点でもないのだ、既に巨人に仲間の多くは喰われている。
 選んだ運命の途中にも満たない、分岐点はおろか出発にも居ないかもしれない。


 調査兵団に入団した後でも仲間は死んだ、先輩も死んだ。
 仲間それも同期が裏切り者なのも知ってしまった、この世は残酷だ。
 それでも何処かに美しさを、愛着を得ている、簡単に諦められるほど彼は大人じゃない。


「俺のために何人死んだんだ……ジャンも言っていた『俺にどれだけの価値が在るか』。
 今更甘いこと何て言えねぇよ、俺がこうしている間にもミカサは、アルミンは、あいつらは!
 ――巨人と戦っている、なら俺は帰る……それも『聖杯』って奴を引っさげて」

 エレンに聖杯のビジョンなど存在しない、分かるのは天戯弥勒が言った『願いが叶う』一点のみ。
 それでも彼は求める、例え願いが叶わなくても彼は帰る、そのためには天戯弥勒に会う必要がある。
 ならば勝ち残り生き残れ、お前は此処で死ぬ存在か――残された者を考えた時、彼の命は彼だけの物では無い。



 食事を終えたエレンは袋を持ち立ち上がる、此処に用がないならば今の居住居に帰る。
 少年に与えられたのは普通のマンション一室、所持金は調査兵団時代のモノ――この世界用に換算されている。
 幾ら程の額かは不明だがこの世界で一年、その期間は生活出来るだけの資金を持っていた。


「――泣き止んだか?」


 突然聞こえる声、そのとおりに少年は涙を無意識で流していた。
 辛かったのだろう。今までの生活が、残された仲間を考えると自分だけ悠々と過ごしている時間に押し潰される。
 罪悪感と幸福感、二つの感情に挟まれた少年は無意識に涙を流していた。


「……済まないアサシン」


 霊体となっていた彼のサーヴァントが形をもって現界する。
 その姿は黒い、一言で言うならば『死神』が当て嵌るだろう。
 年齢は外見からすれば若い、最も英霊に関係はないのだが。

 アサシンはエレンに背を向けたまま言葉を紡ぐ。
 英霊――そのクラスがアサシンならば彼も日の当たる人生では無かったのかもしれない。


「足を止めるな――お守りは好きではない」


 例えマスターであろうと彼は言葉を丁寧に選ぶつもりは無いようだ。
 冷たく、それも強気な言葉でエレンに発破を……掛けているのかもしれない。
 対するエレンはアサシンの言動には馴れてしまい特に返す言葉も無いようだ。


「俺は聖杯が欲しい――力を貸せ、アサシン」


 その言葉を背中越しでアサシンに伝えると彼は歩き出す。
 アサシンの言う通り足を止める訳にはいかない、せめて心だけでも前を向かなくては。
 袋を握る力が自然と強まる、彼はやる、殺らなければならないのならば。


「……勝手にしろ」


 一言呟くとアサシンは姿を消す、まるで最初から存在しなかったように。
 その姿、振る舞いは死神そのもの、されど力は英霊に恥じぬ物を持っている。


 少年は夢に憧れ現実を知り、運命を告げられ、闇の中を駆け抜けていた。


 英霊は現実を知らなければ夢も持たず、指令通りに動く機械だった。


 けれど彼らは人々の出会い、触れ合いにより少しずつ変化を伴った。


 彼らにはまだ――待ってくれている人が存在しているのだ。



【マスター】
 エレン・イェーガー@進撃の巨人

【参加時期】
 不明(ライナー達の正体が巨人だとは知っています)

【マスターとしての願い】
 聖杯を手に入れ帰還する。その願いは巨人の完全なる駆逐。

【weapon】
 立体機動装置。


【能力・技能】
 訓練兵時代、調査兵団時代に叩きこまれた技術が彼の武器となり活路となる。
 対人訓練を彼は怠っていないため武術に心得のない者に遅れを取ることはない。
 また、彼の真の覚醒は巨人になること。己の理性を吹き飛ばし感情に身を任せることによって多大な力を得る。(理性が失われる訳ではない)

【人物背景】
 調査兵団に憧れる少年だった彼は超大型巨人の襲来により運命を大きく動かされた。
 最初から決まっていたかもしれない、調査兵団入団前に巨人に襲われた訓練兵である彼らは立ち向かう。
 その中で死んでいく仲間、エレンも例外ではなく巨人に喰われた――そこで彼は覚醒する。
 巨人に変身する力に気付いた彼はその力を世界のために使う――否、世界のために使われていた。
 彼の意思も所詮は野論だ。裏に巣食う悪意とも戦いながら彼は巨人に立ち向かう、それが例え叶わない夢であっても。

【方針】
 他人を殺すことに容赦はしない。だが彼は甘く、脆い。
 実際に人を殺す状況になった時、彼は手を止めてしまうだろう。
 だが殺せないわけではなく、殺る時は殺る。

【クラス】
 アサシン

【真名】
 ジャファル@ファイアーエムブレム烈火の剣

【パラメータ】
 筋力C 耐久D 敏捷A+ 魔力C 幸運E 宝具C

【属性】
 秩序・中庸

【クラス別スキル】

 気配遮断:A
 サーヴァントとしての気配を断つ。隠密行動に適している。 完全に気配を絶てば探知能力に優れたサーヴァントでも発見することは非常に難しい。
 ただし自らが攻撃態勢に移ると気配遮断のランクは大きく落ちる
【保有スキル】

 対魔力:E
 魔術に対する守り。無効化は出来ず、ダメージ数値を多少削減する。

 直感:C
 戦闘時、つねに自身にとって最適な展開を”感じ取る”能力。敵の攻撃を初見でもある程度は予見することができる。

 単独行動:D
 マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。ランクDならば、マスターを失っても半日間は現界可能。

 死神:A
 彼の代名詞。
 その力は闇の中ならば相手に気配を更に気付かれにくくなり、背後を取るのが容易になる。


【宝具】


『死神』
 ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1~20 最大捕捉:1~50人
 この宝具は彼が戦闘態勢に入った時に常時発動する言わば『現象』の一種。
 その力はある一定の確率、それも極稀に起こる現象であり効果は『必殺』。
 発動された時には彼の剣に斬り裂かれた相手は絶命す唯一無二の技である。
 その確率は彼と相手の幸運に大きく左右される。


【weapon】
 彼の武器は剣。


【人物背景】
 ネルガルと呼ばれる悪に拾われた彼は殺人兵器として育てられた。
 その性質は冷徹、機械のように感情を消し暗殺こなす黒い牙のアサシンとして活動を行う。
 在る時彼は任務において致命傷を負うがニノと呼ばれる少女に助けられた。
 彼は後にニノと共にとある国の王子を暗殺する任務に取り掛かる、此処が運命分岐点。
 彼女は暗殺を拒むが彼をそれを拒否、しかし声を聞かれており、彼らは裏切り者として見なされ包囲。
 彼は少女を逃すべく今までの組織に敵対し孤軍奮闘――其処に加勢に入ったのは皮肉も敵対していたエリウッド達だった。

 ここまでが彼の伝記に共通している部分であり、この先は伝記によって大きく異なっている。
 彼がどの文献の彼かは不明だがその心は冷徹な殺人機械――変化が訪れているようだ。


【サーヴァントとしての願い】
 不明。


【基本戦術、方針、運用法】
 伝記でもアサシンと呼ばれている彼の生業は暗殺、故に獲物の命を気付かれるまでもなく狩る。
 闇に行動を主に置き、日が明るい内は行動を控える。
 なお、正面からでも戦える力は持っている。





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最終更新:2014年10月25日 21:32