REBIRTH~女神転生~◆A23CJmo9LE


「■■■ーーーーーーーーー!!!」

建造物が崩れるような轟音と、野獣のような悲鳴を上げて肉の柱が吹き飛ばされる。
城を打ち崩す砲撃のような二つの巨大な炎の拳がそれを可能にしたのだ。
一時だが魔神柱の危機を退け、海賊船モビー・ディック号の船上で多くの戦士が息をついた。
鹿目まどか、虹村刑兆、犬飼伊介。
モンキー・D・ルフィ、エドワード・ニューゲート、食蜂操祈。
それとニューゲートにより召喚されたポートガス・D・エースに、完全に部外者のルイ・サイファー。

「久しいな、麦わらァ。しばらく見ねえ間に随分と覇気を上げたようだが」
「おー、やっぱり白ひげのおっさんか。また会えるとは思わなかったなー。エースも!ところで、なんだ?あれ」

やはりいたか、とお互いに何となく感じていた事実を改めて確認する。
さほど深い因縁という仲ではないが、それでも。
このマリンフォードという戦場が互いの人生に与えた影響はあまりに大きく、穏やかな邂逅で済んだのは誰しもが予想だにしていなかっただろう。特に、ニューゲートは。

「……意外だな」
「ん?」
「エースと会って淡白な反応なのが意外だと言ったんだよ」

ルフィがインペルダウンやマリンフォードで命を削ってまで乗り込むほどに敬愛していた家族を目の前で失ったのをニューゲートは知っている。
ニューゲート自身その苦しみを共有出来る一人でもある以上、平静を失ったとしてもそれを責めるつもりは毛頭ない。
だがルフィは感情を乱すことなく殴り飛ばした魔神柱を静かに睨んでいる。

「あれから目を離せねェから」

もしここが戦場でなかったなら、もう一人の兄と再会したときのように涙を流していただろう。
だが今は視界を曇らせてはならない理由がある。見据えるべき敵がいる。

「おれは弟で、エースは兄ちゃんでそれは変わらねえ。また会えてすげえ嬉しいよ。
 でもあの変なデカいのを放っておいたらまた誰かが殺されちまう。だからおれはあれから目を離さねェ!」

かつて宣言した、いつかエースも超えて見せると。
エースは応じた、今はまだおれが守ろうと。
ならば今度こそ、自分がエースを守るのだと先陣に立とうとする。

「一端の船長やってるじゃねえか、ルフィ」

それはエースがかつてしていたことで、ニューゲートに下ってからはすることの少なくなった行動だった。
兄としての誇らしさと少しばかりの憧憬が胸をつくが、唇をかみしめてルフィに倣い魔神柱を見据える。
二つの拳に吹き飛ばされた状態からアモンは立て直りつつあるが、転移したそれに白ひげ海賊団が我先にと襲い掛かる。
先陣を切るのは二人の戦士、魔神柱を見下ろす巨躯の戦士リトルオーズJr、そして白ひげ海賊団の中でも中心人物である不死鳥マルコが空を舞い攻める。
それに続いて続々と益荒男たちも戦列に加わり状況は拮抗。その間隙で船上の中心人物たちが情報を束ねていく。

「それじゃあ私が少しお話しさせてもらうわぁ☆」

モビーディックに偶然集った因縁ある陣営、その中でも一番の知恵者であろう操祈がまず口火を切った。

「まず紹介するわね。彼女が鹿目まどかさん。先刻私がそちらの…えー、ルフィさんとお話しするために拐かしたマスター。
 ただし交渉は決裂したので、私たちは川に跳びこんで逃げ出して、別のマスターに襲われていたところを虹村さんたちに保護されたの。
 つまり彼女にケガをさせたりはしていないし、するつもりもない。ここまで理解力は追いついてるかしらぁ?」

同盟者である刑兆とニューゲートに未知であろう乱入者のことを伝える。
一応の頷きを確かめたら今度は逆だ。

「こちらは犬飼伊介さん」
「伊介様、ね♡」
「もう、急いでるんだから細かいこと気にしてないでよねぇ。伊介様、私のマスター。
 学ランの男の人が虹村刑兆さん、ライダーこと『白ひげ』エドワード・ニューゲートさんのマスターで私の同盟相手よ、鹿目さんにモンキー・D・ルフィさん☆」

刑兆が少し眉をしかめたのを見て宝具からようやく看破した真名は当たりだと検討をつけつつ。
最も大きな問題について、最後の一人に話を振ってみる。

「あの大きな怪物は…ええっと魔神柱でよかったかしらぁ?できれば知識力豊富そうなあなたに解説願えるかしら、ルイ・サイファーさん」
「私かね。君たちの仲間でも何でもないただ固有結界に巻き込まれただけの私に聞くか」

不機嫌という風ではない。観劇中に舞台に上がる羽目になってしまっとでも言うような当人意識のなさでルイ・サイファーは彼方を眺めながら答えた。

「あれの名は魔神柱アモン。ゲーティアに刻まれた悪魔の一柱、その一つと捉えてもらって結構。
 (おれ)の親友であり、そして……鹿目まどか。君の友人、美樹さやかの成れの果てだ」

衝撃的、あるいは絶望的な真実。
かつて経験したこととはいえ、心優しい少女にとってそれは幾度も経験すればなれるというようなものではない。

「どういう意味ですか!?さやかちゃんがああなったって……なんでさやかちゃんがここで、あんな!?」
「願いを裡に秘めた魔法少女が聖杯を欲するのは不思議ではないだろう。加えて君は美樹さやかが異形に転じたのを見るのは初めてではないはずだ。
 ソウルジェムに穢れが満ち、さらにサーヴァントの能力で擬似サーヴァント染みたせいで君も私も知らない姿になったようだが」

まどかを見ることもなく、かといってアモンを見るでもなく。
全く別のものを見定めるように、あるいは独り言のようにルイ・サイファーは語ってきかせた。

「私からは以上だ。本来は私が手を下すつもりだったのだが、やることができたので失礼。君たちがあれを無事に倒してくれるよう願っているよ」
「え、ちょっと!」

そして最後までまどかたちと視線を交わすことなく、ルイ・サイファーは身をひるがえして船から飛び降りて、次の瞬間には姿を消してしまった。

遺されるのは痛いほどの沈黙。
戦いの音だけが鼓膜に響く中、沈黙を破ったのは最も幼い少女だった。

「白ひげ……エドワード・ニューゲートさんですよね?初めまして。鹿目まどかといいます。
 ライダーさん、いえルフィさんの夢の中であなたのことは見せてもらいました。
 ルフィさんと、私と一緒に。さやかちゃんを助けるために戦ってくれませんか」

まどかはまっすぐとニューゲートを見据える。
体躯も力も比べるべくもない相手に確かに恐れを抱きつつも、友達を助けたいという意志が彼女をそこにとどめていた。
それはまるで頂上戦争の一幕の再演。
白ひげ相手に兄を助けると威勢よく述べた麦わらのように、今度は麦わらのマスターである少女が言葉少なに主張する。

「……へえ、上等じゃねェか」

言外に言うのだ。助け戦いでなければ協力する気はないと。
ルフィの武力を前提とした打算的な申し立てではあるが、それでも懇願でなく交渉の体をとれる度胸にニューゲートは感服する。
何よりそういう無謀な若者は嫌いじゃない。

「キャスター。疑似サーヴァントとかいうのに覚えは?」
「え?本来サーヴァントになれない存在が人間を依り代にして無理矢理現界するもの、だと思うけど……アモンというのが本当ならエジプトの神霊が大本でしょうし、その一面力だけを美樹さんを通じて再現しているんじゃないかしらぁ」
「あー……いつだか聞いたジャケジャケの実みてえなモンか?」

敵の能力を思い返す。
合体して鎧のような姿をとっていた。鎧が変形するようにして悪魔染みた戦士へ転じた。あげく肉の柱へと成り果てた。

「なら核となるマスターはいるはずだな……キャスター、マスターの小娘が見えたらお前が能力で令呪を使わせて止めろ。おれ達で腹掻っ捌いてでも機会を作る」
「エドワードさん……!」

倒すでなく止める方針を提言したニューゲートにまどかは喜び、刑兆たちは渋い顔をする。だがニューゲートは腕の矢傷を見せてそれを制した。
緑衣のセイバーとの戦闘で受けた傷は無視できるものではなく、悪魔のバーサーカー相手の戦闘でも決め手に欠く要因となった。
ルフィが前線で暴れるならそれを補って余りある補強になる。
操祈と刑兆はそれを汲み、へそを曲げた伊介を抑える側に回った。
そしてニューゲートはルフィに向けて握りこぶしを真っすぐ突き出し明確に協力の返事とする。そこにルフィも拳を合わせようとする。

そこへ再度の危機。
魔神柱アモンが魔女Oktaviaの能力を行使し、モビーディックのもとへと転移。
そして刮目し、一瞥する……ただそれだけで多大な損害を与える、はずだった。

「“大炎戒、炎帝”!!」

そうはさせじとモビーディックとアモンの間に太陽の如く輝く巨大な火の玉が割って入り、アモンの視界を塞ぐ。

「ウチの家族が大事な話の最中だ。邪魔しねえでもらおうか」

その功労者はルフィの兄で、ニューゲートの息子であるポートガス・D・エース。
彼の手によってアモンは邪視には至れず、それどころか眼球のすべてを焼き尽くすほどの炎熱で迎撃されて初撃以上のダメージを負う。
それを横目にニューゲートとルフィはしっかりと拳をぶつけ合わせ、そして即座に戦端へと加わる。

「ゴムゴムのォ!!“鷹銃乱打(ホーク・ガトリング)”!!!」

ルフィは前線へ。
ギア2も解放して、エースの攻撃で怯んだアモンへさらに追い打ちを仕掛けた。
だがアモンとて容易くそれを許すことはない。邪視により反撃を試み、それが通じないとなれば海面の水を通じて退避する。

いずこかへと転移し姿を消したアモンへの対処にはすでにニューゲートが対処にむかっていた。
子電伝虫を通じて傘下へと警戒・探索に当たるよう指示をとばす。

「こちら白ひげ。スクアードはいるな?よし、アモンの奴がどこから現れるか分からねえ。人間兵器のようなことにはならねェとは思うが、周囲の警戒を怠らず、遊撃と守勢のために部隊を編成しなおせ……今度こそ、全海賊団の指揮はお前がとれ」

通達を終えて子電伝虫を切るとニューゲート自身も視線を走らせ、アモンの警戒と捜索にあたる。

空間移動(テレポート)よねぇ?」
「おそらくはな」

どこへともなく姿を消し、どこからともなく姿を現すこと三度。
さすがに能力の大筋は掴めてくる。

「学園都市でも希少力高いわよ☆私が学生の頃は100人もいなかったはずだし、自分自身を移動させられる大能力者(レベル4)級ならさらにレア。
 というか空間移動って移動させる重量にも限りはあるはずなんだけど、あのアモンっていったい何トンくらいあるのよぉ……」

操祈に空間移動は専門外だが、身近に白井黒子というテレポーターがいたために多少の知識はある。
3次元から11次元への特殊ベクトル変換だとかはさっぱりだが、定期的に行っていた試験で飛ばせる物体の飛距離や質量の計測をしていたのは知っている。
つまりアモンの転移にも射程や載量に限度があるはずだと考えたのだが。

「スタンド能力なら重さに意味はない可能性もある。というか見た目はでけぇが、悪魔だのサーヴァントだのに重さはあるのか?質量保存の法則が成り立つならせいぜいあの美樹さやかってのと悪魔を合わせた程度の重量じゃねーのか?」
「んー、さっきおれとエースで殴った時は結構重かったぞ。オーズとかでかくなったモリアほどじゃなかったけど」
「オーズ?あそこにいるバカでかいやつか?」
「あいつと同じくらいデカいのだな」
「取り合えず相応の重量はあるってことか」

刑兆も前線に加われないなりに戦術面で役立とうと思索するが、戦場は待ってはくれない。
再びアモンが戦場に姿を現す。

「時間をかけて移動したわねぇ。距離と……え、それに魔力も稼ぐため!?」

モビーディックとも他の白ひげ海賊団とも離れた沖合に、まるで宝具の解放でもするかのような魔力の高まりを伴って出現したアモン。
その全身の眼が輝きを増し、魔術に疎い伊介や刑兆にもその脅威がはっきりと伝わる。

「覗覚星、開眼。数多の残像、全ての痕跡を捉える」

言葉も知性もなくしていたアモンから初めて意味のある言葉が漏れる。
それはまるで魔術の詠唱か宝具の真名解放のように。
ニューゲートたちもただそれを見ているだけではない。
砲撃、銃撃、能力の行使、さまざな手段で対抗を試みるがそれを見越して距離をとったアモンには当然足止めにすら至らない。

「焼却式アモン」

詠唱が終わる。
それとともにアモンの視線が一筋の光線となって世界を焼く。
其は全てを修めるものの一端。オリジナルのように人類の歴史全てを薪にするとまではいかずとも、『白ひげという名の時代』を焼き払うには十分であろう術式。
パシフィスタのレーザーすら些末に見える一閃が、白ひげ海賊団の放った砲弾銃弾その他の抵抗も些事と塗りつぶし一団に迫る。

それに対処しようとルフィは足元に手を伸ばした。
だがそこがモビーディック号、白ひげ海賊団の船であることに思い至り、さしもの彼も能力の行使に刹那ですらないが戸惑う。
その僅かの間にも危機は迫る。
そしてその僅かの間でそれに立ち向かう影があった。
美しく、黒く輝く金剛石が真っ先に焼却式アモンに立ち塞がる。

「“ブリリアント・パンク”!!!!」

白ひげ海賊団三番隊隊長、“ダイヤモンド”ジョズ。世界最“硬”峰の能力者だ。
異名の通り右半身をダイヤモンドに変え、さらに武装色の覇気を纏って硬度を増して突撃した。

激突。
世界一に斬撃すらものともせぬ男が、時代を焼却する光線に挑む。
ジョズもアモンも容赦なく敵をねじ伏せんと力を籠める。
しかし拮抗は一瞬だけ。
次の瞬間にはジョズの体が焼かれていく。
武装色の覇気を貫き、金剛の肉体を砕き、その命にまで危機が迫る。
一個の存在として根を下ろしたアモンと、サーヴァントの宝具で呼ばれたに過ぎないジョズでは霊基の差異があまりに大きく、矛を合わせれば自然そうなってしまう。
だがジョズは退かない。
皮膚を焦がし、肉を削がれ、骨を砕かれようとも立ち向かうことをやめはしない。
…………結果、相殺。
放たれた焼却式の全てをジョズはその身で受け止めた。
当然その対価は高くつき、かつてのマリンフォードと原因は違えど右腕がジョズの体からなくなっていた。
誰もが見惚れる勇姿であるが、誰もが目を背ける沈痛な光景でもある。
家族を守るためのジョズの献身は白ひげ海賊団の胸に義憤や悲しみ、様々な形で響いた。

「ジンベエーーーーー!!いるだろ!?」

一人、そうした感情に流されていない存在がいる。
モンキー・D・ルフィ、白ひげ海賊団ではない部外者であり、そして時に冷徹な判断を求められる一団の長である彼の行動は迅速だった。

「おう、ここじゃルフィ!」

呼び声に応えたのは一人の男。
かつての白ひげの傘下であるが故この戦場に馳せ参じた男。
元タイヨウの海賊団船長という一団の長であった男。
そしてルフィの船に乗った10人目の麦わらの一味。
見聞色の覇気によって彼もここにきているとルフィは感じていた。

「あいつのとこまで飛ぶからサンジが方舟にやった時みたいに頼む!“ゴムゴムのォ”!!」」
「心得た!‌魚人空手、“七千枚瓦回し蹴り”」

アモンとモビーディックの直線状に陣取ったジンベエが蹴りを構える。
そしてルフィがその足に向けて両手を伸ばしてしっかりと掴む。

「“JETロケット”!!」
「“ゴムシュート”!!」

ジンベエが振るった脚の勢いとルフィの突撃。二つの技が合わさった猛スピードでアモンへとルフィが突貫する。
二度目のビームを撃たせる前に、右腕を犠牲にしたジョズの覚悟に応えるために。

「“ゴムゴムの”!!」

アモンのもとにたどり着く寸前でルフィの体が黒く、大きく膨らむ。
迎撃、転移、アモンにどちらを許す間もない電光石火でルフィという砲弾が着弾した。

「“巨人のJET砲弾(ギガント・ジェット・シェル)”!!!」

その一撃はまさに一騎当千。巨人すら見下ろす巨大な魔神柱アモンを吹き飛ばし、空中に舞わせた。
だが、ルフィは止まらない。

「“ゴムゴムのォーーーー”!!」

ルフィの体の膨らんだ部分が移動していく。
腹部から胸部へ、胸部から右腕へ。大きく逞しく膨らんだ腕はまるで巨人族の腕。

「“象銃(エレファント・ガン)”!!!」

その巨大な拳でアモンを殴り、さらに大きく吹き飛ばす。
だがまだ終わらない。
ゴムの体を活かしてアモンに足を巻き付け逃がすまじとしがみつく。
そして左腕も右腕と同様に黒く大きく膨らませて

「と“象銃乱打(エレファント・ガトリング)”!!!」

拳のラッシュを叩きこむ。
上体とゴムの弾力のみでの連打だが、それでも威力はすさまじくアモンは宙を舞い続ける。
さやかの持つ癒しの力とデーモン族の再生力で回復を続けようとも追いつかないダメージに、このままいけばアモンとて倒れただろう。
しかし悪魔アモンは万の時を重ねたデーモン族の大勇者。経験値の桁が違う。

アモンが海面を〈見下ろす〉。
すると魔力の炸裂が起こり、海面に大きな波濤が生じる。
波が立ちそれがアモンの末節に触れると、巨大な柱が溶けるように転移し、またもアモンは姿を消した。

「また消えやがった。ったく、ラチ明かねえ」

アモンがいなくなったことでルフィは空中に放り出される。
空を飛ばなければ海に落ちることになるが

「よっと。消える前にぶっ飛ばすか、消えた先に回り込んでぶっ飛ばすしかねえだろ」
「う~ん。エースもそれしか思いつかないか。おれ難しいこと考えるのだめだからな~」

エースが炎に転じて追いつき、そして二人してストライカーに着地する。
そしてアモンを探すため、スクアードを中心にして編成しつつある白ひげ海賊団に合流すべく動く。

――プルルルル、ガチャ――

そのタイミングでエースの持っていた子電伝虫が鳴り、応答することになる。

「魔神柱捜索なら私に考えがあるわぁ☆」

声はモビーディックにて待つ食蜂操祈のものだった。

「私の『派閥』に白ひげ海賊団の一部を加える。より正確に、無駄なく、リアルタイムで上方の共有ができる監視網を敷く。
 発見次第それは私の知ることになり、場所の指示が即座に出せる。ルフィさんがその指示の前兆を感知すれば、襲撃までのタイムラグを極限まで減らせる。どうかしらぁ?」

それは極めて傲慢な要求だ。見ず知らずの女の指揮下に入るだけでなく、操らせろ、頭の中を晒せなど普通ならまず受け入れられることはない。
それを機器を通じて大衆に発したのなら怒号が起きかねない。
だが白ひげ海賊団は沈黙を守る。
答えるのは自分たちではない。決めるのは一船員のすることではない。ただ彼らは船長の命令ならばどんな無茶でもやるのだから。

「できるのか?」

子電伝虫から今度はニューゲートの声が響く。
実際、策は打たなければならない。固有結界は世界の修正力を受け、長く展開できるものではない。
いつまでもアモンが逃がしていては消耗戦で負けることになるだろう。

「『外装代脳(エクステリア)』を宝具として持ってこなかったからぁ、令呪が必要になるけど。できる……いえ、やってみせるわ☆」

令呪を使う。それはこの戦いに間違いなく全力を尽くすという覚悟と誠意の表れだろう。
しかし伊介は賛同しないらしく、騒ぎ声がうっすらと子電伝虫越しに響く。

「犬飼さん。あの魔神柱を倒すのにサーヴァント数騎が必要というのは間違ってないわぁ。一方通行や垣根帝督なら分からないけれども、彼らも今はお互いぶつかり消耗している。
 チャンスは今、この固有結界の白ひげ海賊団の力が必要なのよぉ。だから、まだあなたに生きる意志と聖杯を欲する理由があるなら。ここであなたも抗いなさい」

操祈はそれを静かに一喝した。
能力を使えば黙らせることも従わせることも容易いだろうに、それでも彼女は言葉を用いた。
さすがにその意味が分からないほど犬飼伊介も愚鈍ではない。

「……話は決まったわぁ。あとはあなたの決断次第よ、白ひげ海賊団船長『四皇』エドワード・ニューゲート!」

常盤台の女王が、同盟者である男に問うた。
ならば海に君臨する四皇として答えるのみ。

「スクアード。見聞色を扱える奴を選抜してキャスターにつけろ。
 マルコ。エース。それにジンベエ、麦わら。機動力に長けたお前らが遊撃の中心になる。そのつもりで準備しとけ」

犬飼伊介の令呪が輝き、食蜂操祈に魔力が満ちる。
食蜂操祈の宝具によって白ひげ海賊団の一部の瞳に星が宿る。
再びアモンが姿を現した……それを見聞色により予見していた男が一人。
その情報は即座に操祈を通じて白ひげ海賊団に共有され、即時の対応が可能となる。

焼却式が再戦の狼煙のように放たれる。
脅威であった光線だが、予見できていたためにマルコが不死の能力を活用して受け止めきることに成功する。
悪魔を宿す者たちの戦端が加速していく。



◇  ◇  ◇



「さて、彼らは頑張っているかな」

固有結界を脱してルイ・サイファーは一人そう漏らす。

「彼らの手で明が地獄に送られるならそれでよし。もし叶わずとも私の手で行えばいい……だが、君には任せられない」

ルイの言葉に応えるように新たな影が現れる。
白と桃色を基調にしたドレス。どこまでも伸びて見える髪をツーサイドに纏め。花飾りのついた弓を携え。瞳を金色に輝かせて。
一人の少女が、光臨した。

「君の力を受けては穢れが払われ、せっかく受肉した明がまた英霊の座に還ってしまう。それは私も(おれ)も望まない。そうだろう?」

語り掛けられても少女は返事をしない。
ただ金色の瞳を虚ろに輝かせて、ルイのことなど視界に入っていないように振る舞う。

「……やはり私など眼中にないか。鹿目まどかという自我はなくしても、まるで抑止の守護者のようにひたすらに魔法少女を救い続ける。まさしく理というだけのことはある。
 虚ろなその目で今も見ているのだろう?過去、現在、未来、美樹さやかや暁美ほむらも含んだ全ての時空の魔法少女を見通す規格外の『千里眼』の保有者……グランドキャスター、円環の理よ!」

円環の理と呼んだ少女に向けてルイが攻撃を放った。
刹那のうちに五月雨の如き銃撃の連打を放つが、その全てを円環の理は矢でもって打ち払ってみせた。

「さすがだ。だがいつまで私を無視できるかな。美樹さやかを救いに来たようだが、それとともに明を解放させるわけにはいかないのでね、ここは通せない。
 そして君にも私を放ってはおけない理由があるぞ、グランドキャスター」

ルイ・サイファーの体に魔力が満ちていく。
そして美しい少女の姿から、三対六枚の翼と光と闇を暗示するような黒白の二本の魔羅を生やした魔王の姿へと転じて見せた。

「そう、ルイ・サイファーなど偽りの名。
 我は人類を最も原初へと近づける大災害。母から離れ、楽園を去った罪から生まれた最も古い罪。人をあるべき起源に還す、遡及たる進化こそこの身の獣性。
 我が名はルシファー!七つの人類悪が一つ、『回帰』の理を持つ獣の資格者である。さあ、冠位の術者よ。倒すべき敵がここにいるぞ!」

ルシファーがその正体を明かしたことで円環の理もついに目の前の存在を敵とみなし、無言で矢をつがえる。
グランドキャスター。ビーストⅡ。
聖柱や魔神柱、英雄と比してなお規格外の怪物が今ぶつかり合う。



◇  ◇  ◇



操祈の敷いた監視体制によりアモンと海賊たちの戦いは海賊有利に進んでいた。
一切の死角なく周囲を警戒し、アモンが姿を現した瞬間に誰かが襲撃することに成功を幾度も続けている。
飛行能力を持つマルコ、炎となって飛ぶエース、水中の移動速度ならば飛びぬけるジンベエ、巨躯に伴う歩幅を活かしたリトルオーズJr、そしてギア2の機動力で頭一つ跳びぬけたルフィ……どこに現れようと彼らのうち誰かが一番槍となり、そしてすぐにスクアードの指揮のもと白ひげ海賊団が続く。
圧倒的な力の源となるアモンの巨体だが、巨人討伐の経験もあるルフィ達には見つけやすく攻撃しやすい標的になってしまっていた。

「今のところは順調☆あとは時間との戦いねぇ。私の令呪、この固有結界。その二つが保てているうちに倒しきれるかどうか……」

魔神柱に転じる前のニューゲートとの戦いでアモンがずば抜けた回復力を見せたのは鮮明に覚えている。
首を折っても倒れなかったタフさを発揮し、現に白ひげ海賊団やルフィの集中攻撃にも未だに耐え続けているのだ。
それでも少しづつ魔神柱にダメージが蓄積しているであろうことは見て取れる。
あとは動きを止めることさえできれば心理掌握の影響下にマスターを置くことは不可能ではないだろう。
詰将棋のように少しづつ、確実に勝利に近づいていると操祈は考えていた。

(……あらぁ?派閥から何人か外れた?妙ね、令呪も切れてないし、魔神柱も姿を見せていない――)

突如として戦況に変化が生じた。
魔神柱の姿を確認する前に派閥内に犠牲者が出たのだ。
その事実にショックを受けながらも操祈は周囲を探っていく。透明化、超長距離からの攻撃などを想定してもあれほど大きな魔神柱の姿を捉えられないなどありえないのだから。

犠牲者が出たところを探れば、異変はすぐに見つかった。
そこには確かに脅威があった。魔神柱とは思えぬ、しかしその名残がどことなく見える怪物の姿が。
白と黄金と青を基調にした筋骨隆々の肉体。
陥没するように裂けた胸部から魔神柱の者を思わせる赤く大きな眼球。
頭部には世界樹の枝のように伸びる無数の黄金の魔羅。
見るものが見ればある者はデビルマンの、またある者は第一の獣の面影をその恐ろしくも神々しい姿に見出すであろう。
サイズは5mあるかどうか。その程度の大きさの者は白ひげ海賊団にも散見しており、魔神柱から姿を変えたことで気づくのに遅れが生じたのだ。

規格外の自己改造スキル、デーモン族の変身能力がより戦闘に適したカタチにその姿を変貌させ、改めて猛威を振るうアモン。
先ほどまでと比して矮躯と言えどその脅威は変わらない。
むしろ魔神柱の巨体に秘めた力が人型のサイズに圧縮されたようなパワーとスピードで白ひげ海賊団を蹂躙していく。
操祈が伝達するよりも先にそれに気づいたのは高みから戦場を俯瞰しているオーズだった。
雄叫びを上げ、隕石のように巨大な拳を叩きこむ。
だがアモンはそれを容易く真っ向から受け止め、カウンターの拳で大きくオーズを吹き飛ばす。
アモンが象銃(エレファント・ガン)を受けて宙を舞ったように、オーズもまた宙を舞う。アモンも追って跳び、オーズの巨体を地面にたたきつけて白ひげ海賊団に甚大な被害を与えようとするが

「させねえよい!」

そこで操祈の伝達を受けた“不死鳥”マルコが割り込んだ。
人獣型へとその身を転じ、不死鳥の爪でアモンを切り裂く。オーズを追って空中に飛び出たアモンにそれを躱す術はないと断じていた。
だがアモンはデビルマンの持つ一対の黒い翼を背中から新たに生やし、飛行能力を得ることでマルコの攻撃を回避して見せた。
だがそこへさらなる追撃、オーズの肉体を足場にして新たな戦士がアモンに斬りかかる。
白ひげ海賊団5番隊長“花剣のビスタ”。世界一の剣豪とも渡り合う双剣がアモンに向けられた。
それを回避するであろう先にマルコが回り込み退路を断つ。
ビスタの刃を受け入れるか、マルコの爪に立ち向かうか……逡巡することもなくアモンはビスタを迎え撃った。

金属音。
刃が肉を裂く音でなく、刃と刃がぶつかり合う音が響いた。
ビスタの二刀、そしてアモンの両手にも二刀が握られ四刀がぶつかり合っていた。
さらにアモンの周囲にどこからともなく剣が現れ、弾丸のようにビスタに襲い掛かる。
それは美樹さやかの魔法少女としての力による刀剣生成、さらにデーモン族の持つテレキネシス。
召喚した二振りの剣でビスタの攻撃を受け止め、さらに無数の刃で反撃する。

「切断する」

技巧など欠片もない、ただ剣を叩きつけるだけの技未満の攻撃。
しかし並のサーヴァントなど置き去りにするアモンの力と速度で繰り出されればいくらビスタと言えども脅威となる。足場が不安定なオーズの体ではなおのこと。
ましてや撃ちだされる剣に限りはなく、弾いたと思っても再びそれがテレキネシスで襲い掛かるとなれば防戦一方にもなろうもの。
さらにその刃がマルコにも向けられた。
剣のないマルコは回避するしかないが、空を飛ぶことで巧みに避ける。

「我が眼を見よ。覗覚星、開眼」

その間隙でアモンが魔力を高め、胸部の眼球にそれが収束していく。焼却式の構えだ。
狙う先は今度こそ白ひげ(キング)

「おれがそれを許すかよい!」

襲い掛かる刃をその身に受けながら射線上にマルコが割り込む。
その瞬間に焼却式が放たれるが、十分な魔力を貯めていなかったのかマルコの翼と再生の炎によって防がれる。

「へっ、黄猿に比べりゃ温いにも――ぐっ!?」

焼却式の傷は即座に癒えた。
しかし裂傷は未だに体に剣が刺さっているため再生の炎があっても意味がない。
その刺さった剣をアモンがテレキネシスで再び動かし、マルコの体に新たな傷を刻む。
傷は消えても痛みは消えず、翼の裂傷は飛行から安定と速度を奪う。
その瞬間に飛びかかったアモンにはさしものマルコと言えど対抗できなかった。

悪魔の爪と牙が襲い掛かる。
突き立った剣によるダメージと合わさり、ついにはマルコの片翼を引きちぎるにまで至るアモン。
片翼を失くし、機動力と戦力を削がれたマルコの霊核を抉ろうとさらにアモンが牙をむくが

「魚人柔術、“海流一本背負い”!!」

アモンを呑み込むような勢いで水柱が立ち上った。
海侠のジンベエによる援護が放たれたのだ。
防御も迎撃も間に合わず、押し流されていくかと思われた。しかし海流にアモンが触れた瞬間、またも魔神は姿を消す。
そして即座に海流を投げてよこしたジンベエの目の前に転移した。
引きちぎったマルコの翼を口に咥えたまま、ジンベエも獲物にする気か両の拳を合わせて槌のように叩きつける。
ジンベエもかろうじて防御には成功したが、突如目の前に現れての不意打ちに耐えきれず大きく吹き飛ばされる。
それによってアモンの近くに戦士がいなくなり落ち着いたのか、咥えていたマルコの翼をバリバリと音を立てて咀嚼する。

嚥下音。
魂喰いなどでなく、悪魔が人を喰らい咀嚼するように、アモンがフェ二クスの翼を血肉にしていく。
魔力と腹が満ちたか、調子を確かめるように拳を開閉すると、再度海面に足をつけて転移する。
今再び、モビーディックへと。
モビーディック近くの海面に転移すると同時に大きく飛翔し、デビルマンの如く口腔から火炎を放射する。

「“鏡火炎”!!!」

だが本丸の守りは万全なもの。アモンの炎に勝る勢いでエースが炎の壁を作り叩きつける。
大悪魔アモンと言えど炎の扱いではエースに及ばず、吐き出した火炎の勢いも呑まれてエースの“鏡火炎”が目前まで迫る。

アモンはそれを避けることなく、なんと拳を叩きつけた。

「うわぁア!!」

メラメラの実は能力者の体を炎へと変える自然系悪魔の実だ。
すなわちエースの放った“鏡火炎”もまたエースの体の一部。もしその実体を捉えることができたなら、広範囲に広がる炎はあたかも魔神柱の巨体のように体のいい的になってしまう。
黒く染まったアモンの拳はエースの実体を捉え、鏡火炎ごと殴りぬいてみせたのだ。

「オイオイ、まさか武装色か?」

新世界では見慣れたものだが、それをまさか目の前の魔神までもが使うとは思いも及ばずニューゲートの口から驚嘆が漏れる。
魔神柱相手にはこれまでの戦闘で肉弾戦にはなっていなかったが、少なくとも正気を保っているようにみえた青いバーサーカーは使っているようには見えなかった。
姿かたちが変わっただけでなく、僅かな時間でそれまで習得したのかと脅威を覚える一行。
だがアモンの新たな脅威はそれに留まらない。
モビーディックの上空でエースを殴り飛ばした感覚を反芻するように拳を見つめると、さらに体に魔力を巡らせる。
起きた変化は二つ。
背中に生えた悪魔のような翼の他に、また別の雄大な鳥の翼が一対生えてくる。
そしてその翼から全身に青い炎が灯り、体に残ったダメージが癒えていく。

「……確かめたいのだけれども☆あれは一番隊長のマルコさんのそれ……不死鳥の能力だと思っていいのよねぇ?」

ニューゲートとエースと同様、船上でそれを見ていた操祈が二人に問うた。二人がほぼ同時に首肯したのを見ると操祈は彼女なりの推察を口にし始める。

「不死鳥……つまりはフェニクスね。ゲーティアに記された悪魔の一柱。序列は三十七位、爵位は侯爵。つまりはアモンと同一の起源力を持つということ。ついでに言うなら二柱ともにエジプト神話に由来するはずよぉ。能力の相性は悪くないでしょうね☆
 悪魔は契約者に力を与えるもの。そして悪魔の実はそれを口にしたものに力を与えるもの、よねぇ?
 神の子は自らの肉をパン、すなわち小麦になぞらえた。人の肉とは、すなわち穀。
 マルコ隊長の血と肉と力……かつての同胞が宿る悪魔の実を口にしたアモンは新たにフェネクスの力をも得た。魔神アモン・フェニクスってところかしらぁ☆」

そう。
規格外の自己改造スキルによりデーモン族は無機有機、生体死体を問わず力を奪う。
アモンの超能力、明の経験値、さやかの魔術を持った魔神は今新たにマルコの覇気とフェニクスの能力を得たのだ。

「だがそれなら奴には明確な弱点ができたってこった。能力者になったのなら海に落とせばいい。能力者相手の経験値もおれ達は豊富に――」
「ライダー、少し聞いてくれ」

攻略を諦めないニューゲートに、ひたすらに考察を続けていた刑兆が意見を述べはじめた。

「魔神柱に質量があると聞いた時点で疑問だった。なぜあいつはおれ達の頭上に転移して押しつぶす戦術をとらないのかと。
 それをやらなかったってことは、できねーんだろーよ。能力に制約があってな」

スタンドも、学園都市の能力も〈条件〉を満たせば強力なのであって当てはまらなければ真価を発揮はできない。
そして刑兆は近似とは言わないまでもアモンの戦術から連想する能力者がいた。片桐安十郎という弓と矢で射抜いた能力者が。

「水から水へ。それがあいつの空間移動の条件だと思うぜ」

海面から海面へ。波から波へ。ジンベエの放った海流からその出元へ。
空中に現れることは決してなく、常に操祈の監視網の視界の及ぶ範囲に現れた。
その仮説は操祈にも補強される。他の何かの位置情報によって能力を補強し、空間移動を可能とする能力というのは実例があり、アモンほどの大質量を転移するならそうした補助があった方が自然であると。
能力開発という外法の分野に秀でた二人の知見によってアモンの能力がついに露わになるも、それは一行を前向きにするような朗報とは言い難いものだ。

「つまり、なんだ。フェニクスの力を得たあいつは能力が発動できるならあらゆるダメージが即座に回復する。しかし奴の能力を封じるために海に放り込もうとしても水から水へ転移する能力によって退避されると」
「そう、なるわねぇ……」

加えて言うなら戦闘能力でもマルコやビスタら隊長格を制して見せた。
さらに派閥に入った白ひげ海賊団の幾人かが倒された影響で操祈の能力行使にもニューゲートの固有結界維持にも限界が近づいている。
風はここにきてアモンに吹いているようだ。

「ゴムゴムの“鷹回転銃(ホーク・ライフル)”!!!」

だがこの男だけはそんなものはどこ吹く風と凍った海上でアモン相手に渡り合う。
自身の体とまどかの魔力のみが寄る辺であるため、二人と違ってほぼダメージはない。
イゾウやブレンハイムの銃撃、エースの火銃、ビスタの飛ぶ斬撃など援護を受けながらも蒸気を上げ、唯一アモンに優る速度を武器に互角の攻防を見せていた。
だがそれでは決定打に至らない。
人型になったアモンはルフィ相手に一方的に攻撃を受けることなく、ギア2の速さであっても直撃は避け致命打は回避する。
多少のダメージはあるが、さやかの治癒魔術とフェニクスの青い炎がそれを癒していく。
そしてダメージを負いながらルフィに追いすがり、覇気を纏った拳をルフィに振るう。
武装の扱いではルフィが優る故にそれがダメージになることはないが、剣戟や火炎が混ざればそれはルフィの身を削る。
魔神柱相手には回避続きの千日手、そして今度は回復能力による不毛な消耗戦。

「だったら!」

状況を打破しようと親指から空気を吹き込む。
魔神柱を追いすがる遊撃戦では解除していた宝具、ギア3を改めて発動するのだ。

「ゴムゴムのォ!!“灰熊銃(グリズリー・マグナム)”!!!」

肥大化した両の腕にさらに覇気も纏わせて掌底を放つ。
アモンの全身すら覆いつくす巨人族の一撃。
だがアモンは真っ向からそれに渡り合う。
彼もまた腕に武装色の覇気を纏い、二本の脚と二対の翼でその身を支えて両の拳で迎え撃つ。

力は、互角。
だがその後の切り返しの速度が違う。
拳をぶつけ、威力を相殺した瞬間にアモンはルフィの腕を跳び越え本体の方へと踊りかかる。
伸ばしきった腕、何よりそれによって生じる隙はルフィの戦闘において必然生じてしまうものだった。
あわやアモンがルフィの首にたどり着くその寸前で

「“蛍火”!!」
「“群鮫”!!」

エースとジンベエが炎と水を飛ばして放つ。
相反する二種類の攻撃が同時にアモンに着弾し、ルフィの危機を救う。

「悪い!助かった!」
「礼はあとじゃ!こいつをどうにかんせんと」

二つの技のダメージも持ち前の回復力で癒えていく。
それを横目に、ついにエースやジンベエの体から光の粒子が立ち上り始めた。
ついに固有結界のリミットが刻一刻と迫っている。
――――――――ならばここで勝たねばならない。

「白ひげのおっさーーーーーーーーーーん!!!」

最も多く魔神アモンと拳を交わしたルフィは気付いていた。
こいつとて無敵ではない。回復を上回る量のダメージを叩きこめばそれは有効であると。

「おれが後は引き受ける!一気にコイツの体力削るから、援護頼む!」

ギア2ではいくら当てても倒し切れない。
ギア3ではいくら当てても押し切れない。
制限時間も残り僅か。ならば、ここで切るべきカードは一つ。

「まどかーーーーーーーーーーーーーー!!!」

だがこれは、今の自分一人でやれるものではない。
仲間の協力が必要になっている。

「ちょっと今までより疲れると思う!けど、お前もがんばれ!!」
「ッ!はいっ、ルフィさん!」

仲間の許しも得た。
真名を解放する。
覇気を纏い、草履を脱ぎ捨て、ゴムとなった筋肉を肥大・硬化して――――――

「ギア“4”――――“弾む男(バウンドマン)”!!!」

ギア3のさらに先。さらなる宝具、ギア4。
アモンと並ぶ巨体。空をも蹴る弾力。刃も通さない硬度。
猛獣はおろか、神獣や幻獣クラスであってもなぎ倒しかねないモンキー・D・ルフィのさらなる戦闘形態。

「いくぞ怪物!!ゴムゴムのォーーーー!!」

拳を腕の中に収まるほどに収縮させ、アモンに向けて殴りかかるルフィ。
アモンは翼でもって空を飛びそれを回避しようとするが、空中を蹴ってルフィもまた空を飛び後を追う。
―――――速度ではルフィが優った。
追いすがる勢いそのままに拳を解放。アモンに向けて全力で殴りつけた。

「“猿王銃(コング・ガン)”!!!」

アモンの防御は間に合った。しかしそれが効果を発揮するかと言えば話は別だ。
ガードの上から抑えきれなかった衝撃がアモンを彼方へ吹き飛ばす。
そして弾む男(バウンドマン)の速度はアモンが吹き飛ぶ速度を上回る。手を緩めることなどなく、ルフィがさらに追撃を仕掛ける。

「ゴムゴムのォ!!」
「■■■ーーーーーーーーーーーー!!!」

アモンが雄叫びでそれに答えた。内に満ちるは怒りか、闘志か。少なくとも言葉など無意味と思っているのは伝わる。
獣のような声を上げて、しかし戦術はクレバーだった。
さやかの力で剣を召喚し、ルフィの体目がけて放つ。アモン自身も吹き飛ぶ勢いを翼で押し止め、武装した拳でもって迎撃に向かう。

剣閃。拳閃。いずれもルフィの体を捉えた。
されど弾む男(バウンドマン)の壁は厚く。
覇気によって硬化した皮膚はその全てを無力と嗤うかの如く弾いてみせた。
そこへ返しの拳が繰り出される。

「“大蛇砲(カルヴァリン)”!!!」

皮膚の張力すらも活かしたストレート。
放ったそれがさらに覇気の強弱によって伸縮を調節され、拳を繰り出したままに第二撃、三撃と追い打ちを繰り出す。
一つ一つがギア3の一撃すら凌ぐパワーで、アモンの体を彼方へと吹き飛ばし戦場を変えていく。

「おやっさーん!」

アモンを追って飛んでいくルフィを見送り、ニューゲートのもとへとジンベエが駆け寄る。

「あの姿は強力じゃが、覇気を消耗する故長くは持たん。それにいくらあの姿でも再生の炎の上からダメージを与えるには限界がある。ルフィの言うようにわしらも援護に向かわねば!」

麦わらの一味でもあるジンベエはギア4の強みも弱みも知っている。
ならばこそ助けが必要であるとも知っている。
固有結界の残っている残りわずかな時間が、ギア4の発動している短い時間が残された勝利へのリミットだと。

「分かってらァ。テメェら、尻を拭ってやれ!最後の一手だ、気合入れろよ!!」

鬨の声を上げ、船長に従う一味。子電伝虫を通じて白ひげの策が通達されていく。

「キャスター。おめェも――」
「もちろん☆いまさら盟約を反故にするなんてしないわよぉ……虹村さん、私にはあなたが協力してほしいんだけど☆」






白ひげ海賊団の作戦準備。
アモンとルフィの一騎打ち。
そのどちらもが佳境に入る。ギア4も、『白ひげという名の時代(オックスベル・シンギング)』ももはや数分と保つまい。

「ゴムゴムのォ!!“獅子(レオ)・バズーカ”!!!」

渾身の覇気を込めた一撃がアモンに入る。凡百のサーヴァントならばその一撃だけで座に還るであろう強力な一発。
だが、アモンはそれを受け止め耐える。
耐えてさえしまえば、新たに獲得した再生の炎により傷が癒え――――


ガチャン

と錠が閉じるような音がした。
発生源はアモンの右腕。発したものは枷のような形をした、冷たく大きな氷。
その氷に触れた瞬間、アモンの体から青い炎とフェニクスの翼が消える。


「そいつはおれの長年連れ添った悪魔だ。再生の瞬間も、その隙も誰よりおれが知ってるよい」



「凍った海面をくりぬくのが必要なのはいいが、片腕のおれにやらせる必要はあったか?」
「言うな、ジョズ。おれなど彫刻家でもないのに氷を刻まされた。そりゃ青雉の氷を切り刻むのは簡単ではなかろうが」



そう、ここはかつて頂上戦争が起きた地マリンフォード。
大将青雉が凍らせた海面の上に成り立つ戦場。
海の力に触れていれば能力者は力を発揮せず、そして水に触れていなければアモンは転移できない。
ジョズが氷を、ビスタが枷を用意し、そして復活したマルコが枷をアモンに嵌める。
環境と能力を最大限に活かし、アモンの能力の一部を封じたのだ。

その瞬間にルフィのギア4が終わりをつげた。
覇気と体力を消耗したルフィが落ちていく。
アモンがそれを見逃すはずもなく――右腕はマルコに極められているため左腕を振るい――追い打ちを狙う。

「“神火 不知火”!!」
「魚人空手“槍波”!!」

だが炎と水の槍がそれを阻まんと放たれた。
アモンはそれを幸いと態勢を整える。
炎で枷を溶かし、水で転移をしようとする……だがその狙いも予期されたもの。
二つの槍は空中で衝突して互いに打ち消す。炎は掻き消され、海水は蒸発し。
水蒸気爆発が引き起こされた。

二つの攻撃をあえて受けるつもりだったアモンはその衝撃をまともに受けさらなる損傷を負う。
ならばと口腔から火炎を吐き氷を溶かそうとするが、マルコがそれをさせるはずがない。
腕を決めたままアモンの口に脚を突っ込み、そのまま喉笛を貫かんばかり。
さすがにアモンも枷を溶かすのは無理と判断するざるを得ない。
ならば、と今度は空中から真っすぐ下へと猛スピードで降下していく。
海面にたどり着けば、アモンは転移ができる。そして能力者であるマルコを無力化できるはずだと。

神の杖が落ちたか、と言わんばかりの勢いでアモンが降下していく。
だがその行く先に、海はなかった。
周囲を見渡しても僅かばかりの水たまりすらなく、まるですべて干上がってしまったかのよう。
――――――視界に入るのは大気に走った巨大なヒビのみ。

「知らねえか?地震が起きると津波が来る。津波の前にどれだけ水が引いていくかで津波の大きさは予測できる…でけえぞ、この津波は。グララララララ」

グラグラの実。世界を滅ぼす最強の超人系。
放った震動は海震となり、津波を呼ぶ。海の水を引かせることでアモンの退路を断ったのだ。
せめてもの抵抗、と降下の勢いはそのままにマルコを地面に叩きつける。
躱すこともできただろうが、枷を残すことを優先してマルコはあえてその一撃を受け入れる。
地面に叩きつけられる衝撃の全てを自身とアモンの体に与え、氷の枷を砕かせない。

「■■■ーーーーーーーーー!!」
「ぅぅおッ!」

猛り狂ったアモンが勢いそのままにマルコを再度地面に叩きつけようとすると

「いい位置だ。キャスターの言ったとおりの場所に誘導してくれたな」

マルコの懐から姿を現したミニチュアの兵隊から声が響く。
それはニューゲートのマスター、虹村刑兆のもの。

「気ィつけな、バケモノ。そのあたりにはさきほどおれのバッド・カンパニーが地雷を敷設していた。下手に動くと吹っ飛ぶぜ?」

その言葉を合図にしたわけではなかろうが、アモンが一歩を踏み出した瞬間。

爆音。

バッド・カンパニーの地雷は常人の脚一本すら吹き飛ばすことはできない。
だからこそ火力の嵩増しにあるものを併用した。それは食蜂操祈が道具作成したリモコン、その炸裂による幻想壊し(ブロークン・イマジン)
しかしそれを合わせてなおアモンの強靭な肉体には大きなダメージにはならないだろう。
そのためさらに操祈は能力を上乗せした。
とある科学の心理掌握(メンタルアウト)』、その真価は微細な水分操作。
バッド・カンパニーの地雷の炸裂を目印に、による爆裂を機に、アモンの体内の水分子を操作して見せた。人ならざる怪物の精神の操作はできずとも、ただ水分を操るだけなら可能。
それによって起きた現象の名はキャビテーション。
水にかかる圧力の変化によって大量の気泡が生じ、その気泡が弾けることによって対象物に深刻な損害を与える現象だ。
操祈はアモンの体液に同様の現象を引き起こし、体内から大ダメージを与えた。
ルフィたちとの連戦のダメージもあり、ついにアモンが膝をつく。

そして操祈はアモンの体内の水分を操作したことで一つの確信を得た。
美樹さやかはそこにいると。
ならば残るは最後の一手だ。体内の美樹さやかを露出させることができれば『とある科学の心理掌握(メンタルアウト)』の支配下に置き、アモンの暴走を止めることができるはず。

残る白ひげ海賊団の主力が一斉にかかる。
各隊長や、傘下の海賊団船長の刃がアモンに迫る。ルフィも覇気は使えないなりに全力で拳を打ち込まんと構える。
対してアモンもまたここまで見せていなかった切り札を投入してきた。
突如アモンの体内から泥のようなものが溢れた。その濁流でマルコも押し流され、アモンとの距離が離れてしまう。
それは魔術王がケイオスタイドと名付けた泥、すべての生命の根源足る混沌、インキュベーターがグリーフシードの穢れと呼ぶもの。
さらに泥から新たな影の軍団が姿を表し、アモンを守るように次々と周囲へ襲い掛かる。
其はインキュベーターたちが魔女の使い魔と呼ぶもの、魔女Oktavia Von Seckendorffが従える心象風景の一端。
――――――ケイオスタイドより生まれた新たな生命を魔術王はラフムと呼んだ。

繰り出された使い魔(ラフム)は楽団員のような姿のHolger。
たかだか使い魔と侮るなかれ、原初の海より生まれたその力は群れになれば天の鎖に宿る邪神すら餌食とする。
Holgerの軍団が白ひげ海賊団の主力やルフィに襲い掛かり、アモンのもとへたどり着くのを阻む。
連戦の疲労、そして消えかけた固有結界の不安定さの相まって皆苦戦を強いられる。
アモンも気付いているのだ。もうこの固有結界は長くないと。

ならば、とルフィが地面に手を伸ばしさらなる能力を行使しようとするが

「よせ、ルフィ!ここはおやっさんの心象風景じゃ。それをお前さんの能力の支配下に置いてしまえばその瞬間に世界が上書きされてしまう!」

ジンベエが咄嗟にそれを止めた。
ダメもとの覇王色の覇気も通じず、サーヴァント級の戦力はみな抑えられた。
万事休すか。
伊介も、操祈も、刑兆も、ニューゲートやルフィですらもそう思った。
――――――そこに、一筋の希望が光臨する。



◇  ◇  ◇


円環の理とルシファーの衝突はまさしくこの世の物ではない戦いだった。
もし食蜂操祈の手による避難が進んでいなければ尋常でない被害が出たであろう。
その戦いにも決着が近づいていた。

「終わりだな、円環の理」

決着をつけようとするのはルシファー。
対する円環の理はボロボロになってしまったドレスを纏いながら堂々と向き合っているが、胸のソウルジェムには穢れが満ち、生半可でなく消耗しているのが見て取れた。

「正直、意外と手ごたえがなくて驚いているよ。核となる人格……鹿目まどかが抜けてしまえばそんなものか?暁美ほむらはこういう事態は想定していなかったのだろうが」

ルシファーの手に魔力が満ちていく。
円環の理も矢を一矢放つが、ルシファーは涼しい顔でそれを躱して反撃する。

「受けよ。我が座す地獄の最奥コキュートスの再現、絶対零度の一撃を!」

放たれた極大の氷魔法。
魂すら凍てつかせる一撃はソウルジェムを本体とする魔法少女にも致命的であろう。
ルシファーの放つ魔術の中でも極めて強大な其れが円環の理に直撃した。

「ふむ、やったか」

そう呟いて戦場をあとにする……はずだった。
だが絶対零度を受けてなお平然とした円環の理の姿が目に入った瞬間、ルシファーの背筋についぞ感じたことのないような寒気が走る。

「……そうか。妙だと思ったよ。結局君は私のことなど眼中にないのだな」

円環の理がその千里眼で見据えるのは、冠位の敵である獣ではない。魔法少女だ。
先ほど放った矢はルシファーに抵抗すべく放たれたものではない。エドワード・ニューゲートの固有結界に向けて放たれたものだったのだ。
穢れを払う存在である円環の理のソウルジェムがなぜ穢れをため込んでいるのだ?ダメージの表れではなく、武器とするものだったのだ。

「私の中から出てきて……」

円環の理が初めて言葉らしい言葉をつぶやく。
それに応じるようにソウルジェムの穢れが放出され、一つの像を結んでいく。

「……そうか!そうだな、君もまた私の同類というわけだ!ビーストⅡ、ティアマトの泥より産まれし仔よ!ラフムなどに留まらない力の一端を解放したか!
 円環の理の別側面(オルタナティブ)、鹿目まどかの影法師(ドッペル)よ!
 いや、あえてこう呼ぼう……ビーストⅠ、魔女Kriemhild Gretchen!」

そう。
救済の魔女。その性質は慈悲。
この星の全ての生命を強制的に吸い上げ彼女の作った新しい天国へと導いていく。
この魔女を倒したくば世界中の不幸を取り除く以外に方法は無い。
もし世界中から悲しみがなくなれば魔女はここが天国であると錯覚するだろう。

その功績をもって彼女のクラスは決定された。鹿目まどかも円環の理も、彼女の一面。グランドキャスターすら仮初の冠位。
其は個人が到達した、人類を最も端的(最短)に救う大災害。
全ての人類を天国に導き、この世を楽土へと作り変える慈悲深さこそ彼女の獣性。
その名もビーストⅠ。七つの人類悪が一つ、『憐憫』の理を持つ獣の資格者、その一人である。

円環の理はすべての魔法少女と魔女の力を振るうがゆえに、彼女自身の魔女としての力すらも影法師(ドッペル)として発動したのだ。
目には目を。歯には歯を。獣には獣を。

放たれた慈悲のドッペルがルシファーの魔力を奪う。
命を生み出す母であるビーストⅡは、命を吸い上げるビーストⅠの力に敗れた。
そうなることは分かり切っていた、と無感動に円環の理は千里眼で彼方を見る。
固有結界の中、かつての友の成れの果てのために放った慈悲深い一矢の行方を見送り、彼女は再び責務へと還っていった。




◇  ◇  ◇

ラフムによって抑え込まれたのは白ひげ海賊団の実力者たちとルフィだけ。
操祈は眼中になく、マスターに裂く戦力などあまりに惜しいと無視されている。

それが、アモンの敗因となった。
固有結界にどこからともなく一本の矢が撃ち込まれる。
真っすぐに、真っすぐに鹿目まどかに向かってその矢は飛んだ。

それは繋がり(コネクト)。魔法少女が仲間へと力を分け与える現象。
矢を受けると即座にまどかの様子に変化が生じた。
白と桃色を基調にしたワンピース。花飾りのついた弓。それはいつか夢見た、魔法少女になった自分の姿にそっくりだった。

疑似サーヴァントという概念がある。
神霊をはじめとしたサーヴァントとして召喚するにはあまりに強力すぎる存在を現世に喚ぶために、召喚対象を適した依り代に憑依させる召喚方法だ。
容姿、性別、その他様々な要素が似通っていたり適合していなければ依り代足り得ない。
もしもの話、神霊の域に達するであろう円環の理を疑似サーヴァントとして召喚するならば最も適した依り代は誰だろうか。
答えは一つしかない。それは『鹿目まどか』以外にありえないだろう。

円環の理の力の一部を受け取り、今のまどかは疑似サーヴァントと呼べる存在になっていた。
そうするべきだ、というように静かに弓を構え。
そうしなければならない、というように矢をつがえる。

まどかの脳裏に聞きなれた声が響いた気がした。
――――ひとりじゃないよ――――
だからはっきりとそれに答えた。

「うん、今だね!」

残心。
一流の弓兵は放つ前からその一矢が的に届くか分かるという。
円環の理を一部受け継いだせいか、まどかには矢を放ったその瞬間に必中の映像が浮かんだ。
放たれた矢は真っすぐと空を駆け、その風切り音にさらされただけの使い魔すらも浄化していく。
さもありなん、今の鹿目まどかはビーストⅡを撃つものグランドキャスターであり、魔女を浄化するもの円環の理である。
ただの一矢ですべてのラフムを薙ぎ払い……そしてその矢はアモンにも届いた。
それと同時に固有結界もついに限界を迎えた。
虹村刑兆、エドワード・ニューゲート、鹿目まどか、モンキー・D・ルフィ、そして倒れた美樹さやかが、元居た空間にそろって帰還する。。

そこはグランドキャスターとビーストⅡの決戦跡。
規格外の存在の衝突にしては一帯が更地になる程度で済んだのは軽微なものだが、つい先ほどまでの光景と一致しない様に面々は驚きが少なからず見え隠れする。

「浄化、されてしまったのか……!」

悲鳴のような声をあげたのは満身創痍のルシファーだ。
鹿目まどかの姿と魔力、そして倒れる美樹さやかの姿が己の敗北を悟らせた。
ダメージも相まって力なく地に膝をつく。

「さやかちゃん!」

さやかの姿に怖れ半分、期待半分の声をあげてまどかが駆け寄る。
獣の姿から浄化することはできた。だが命まで救うことができたかはわからない。
先ほどまで戦っていた相手に無防備に駆け寄るのにニューゲートとルフィが無警戒なわけではないが、連戦のダメージで初動が遅れ、疑似サーヴァントとなったまどかを止めることはできなかった。

「……ぁ、まどか」
「さやかちゃん!」

手を取ると小さくさやかが言葉を発した。
まどかは歓喜交じりにその声に答える。
しかしさやかはまどかの姿を目にすると悲し気な表情を浮かべ、そして何かを察したように目を細めた。

「今の私さ、バーサーカーと合体してるんだ」
「え?」
「円環の理の力でソウルジェムが浄化されて、本当なら私も円環の理の一部に戻るはずなんだけど。バーサーカーと一つになって、私の肉体と無理矢理つながることで現世に留まってる、地縛霊みたいな状態」
「それって……」

ぽつぽつと呟かれるさやかの言葉を咀嚼するたびにまどかの表情に悲しみが満ちていく。

「うん。ある意味で今のまどかと同じ疑似サーヴァントってやつかな。その状態をやめたら私はもう逝くことになる」

ようやく会えた友人との再会。しかしそれが一時のものでしかないのだと、二人の眼尻に涙が浮かぶ。

「でもさ、それはそれでいいんだよ。だってさあ、まどかは知ってるでしょう?私は本来はもうとっくにこの世にいないはずなんだ。
 色んな偶然が重なってここにいるけど、それだって本当はあり得ないことなんだよ。恭介と仁美におはようって言えて。パパとママにただいまって言えて。でもって、こうして私の友達であるまどかにまた会えたんだから言うことないって。なーんだってアメリカ留学に行って私のこと知らないなんてことになるかなー、この子は」

さやからしい笑みを浮かべて、涙を浮かべるまどかの頭を励ますように撫でる。

「その姿……疑似サーヴァントになったなら分かるでしょ?円環の理のこととか、英霊のこととか」
「う、うん……やっぱり、それなら私は魔法少女にならないと――」
「ううん。それは必要ないよ」

迷いながらも一歩を踏み出そうとしたまどかの言葉をきっぱりとさやかは止めた。
そしてがっしりとまどかの手をとる。力になる、というように……あるいは逃がさない、というように。

「あんたの願いは正しいよ、まどか。正しくて、尊くて誰にも冒させたくない綺麗な願いだ。円環の理は絶対にこの世界に欠かせない。だからこそ私はこの聖杯戦争に参加したんだ」

さやかの眼が決意に満ちる。
やっと見つけた、自分の願いと友達の願いを踏みにじらない方法を実現するために。

「でもさ、ほむらの願いも分かるんだ。私だってまどかには一人の人間として生きてほしい。ママさんみたくバリバリかっこいい大人になってさ、パパさんみたいないい男見つけてさ。
 立派になったタツヤくんと喧嘩したりしてもいい。魔法少女の幸せを願うだけじゃなくてあんたには自分の幸せを掴んでほしい」

さやかの手に力がこもる。
まどかの手を強く握る。

「まどかの願い。ほむらの願い。私の願い。その三つを矛盾なく叶える方法、やっと思いついたんだ」
「ッ、待って、さやかちゃん!私が裂けちゃう!」

二人の繋いだ手を通じてさやかの方へと魔力が、因果が流れ込んでいく。
それに伴い神秘に満ち溢れたまどかの桃色の衣装は失われ、対照的にさやかの胸に置かれたソウルジェムに輝きが満ち、衣装も青を基調にした魔法少女のものへ変わっていく。

「もともと私は鞄持ちまでやってたんだもん。だから、私はそこに還る力を利用すればいい。それに今の私はデビルマンの力だって使えるんだから――」

魔法少女の姿だったまどかが、完全に元の姿に戻る。疑似サーヴァントとしての力も失い、只人へと堕ちる。
対してさやかのソウルジェム――魂は神秘に満ち、肉体という枷を解き放たれて一個の概念へ進化する。

「答えは一つ。私自身が円環の理になることよ」

世界が、改変される。
悪魔により塗り替えられた円環の理は、その在り方を美樹さやかに乗っ取られ、新たな形へ。
大規模なものではない。ただ円環の理の一部だったものがその中心に収まるだけで編纂事象に及ぼす影響は微小なもの。
だが当事者であるまどかからすれば力と運命を書き換えられた大改編だ。

「……ごめんね、まどか。結局は私とほむらのわがままだ。私たちの思う幸せをあんたに押し付けちゃってるのかも」

新たな円環の理となったさやかがまどかに頭を垂れる。
別離と謝罪の涙を浮かべているが、それでも彼女の頭に後悔はない。

「これでお別れかな。大丈夫、円環の理はこの美樹さやかちゃんがしっかり務めるからお任せあれっ。あ、また私に会いたいからって魔法少女になるとかダメだよ~?」
「待って、待ってよさやかちゃん!こんなの、こんなのってないよ!!」

まどかの頭はぐちゃぐちゃだ。
円環の理を奪われたことを怒るべきなのか。さやかとの別れを悲しむべきなのか。

「―――――うん、まあまどかはそういう子だよね。私の理不尽に怒るよりも、別れを惜しんでくれる優しい子だ。自覚がないかもしれないけど、あんたのそういうところすっごくいいところだよ」

逝こうとしていたところ、振り返って目じりの涙を拭いまどかに語り掛けた。

「もう誰の役にも立てない、なんて悲しいこと言わないで。まどかの願いがあったから円環の理はある。今のまどかが円環の理じゃなくてもその始まりを作ったのは確かにまどかなんだから。まどかに助けられた私に、これくらいの恩返しはさせてよ。
 だから。幸せに生きて、っていうのが負担ならさ。あれだ、ほむらの奴を幸せにしてあげてよ。あいつは間違いなくまどかなしじゃあ幸せになれない奴だから」

暁海ほむら。
その名を聞いてまどかの表情が変化する。
そう、彼女もまたこの聖杯戦争にきているのだ。
―――――ならば、せめて。彼女を助けるくらいのことはしなければ。

「お、凛々しい顔。やっぱりママさんの子供だ。うん、大丈夫だよね」

まどかのことはもう心配いらない、とさやかなりに確信できたのだろう。
美樹さやかとしてでなく、円環の理(グランドキャスター)として目下最大の心配事の種へと視線を向けた。

「ルシファー。バーサーカー、不動明は私を支えてくれた恩人だからその友達のアンタに今はどうこうしないけど。
 もしまどかやほむらに危害を加えようってんなら、恋慕の魔女の成れの果て……愛欲の獣として顕現してでもアンタを止めるから」

‌概念へ昇華しようとも、獣に堕落しようとも友を守ると誓いを胸に。
円環は理は昇天する。
これから無限に続く、救済の旅路に向けて。

「じゃあ、今度こそ。バイバイ、私の一番の親友」

人として最期にそう言い遺して円環の理は彼方へ消えた。
それと同時に残された美樹さやかの肉体が末端から灰になっていく。
天戯弥勒の施した処置によって、この地で死体は魂魄まで残さず消えてしまう。
一人の人間の痕跡が跡形もなく消えていく様を見るのは、まどかの悲嘆もあって周囲に沈痛な空気を振りまく。

そこへ風切り音。そして肉を裂くような音。
その場にそぐわない異音に皆の目がそちらに向く。

こぽり、と血を吐く音。
視界に飛び込むのは一本の剣。たった一つ残った、美樹さやかがこの地にいた物証。
それが食蜂操祈の胸に突き立っている光景だった。

「美樹ちゃん、の……さやかの願いに害なす者は、ここで俺と地獄に堕ちろ……!」

下手人の声が響いた。
それは灰へと還りつつある美樹さやかの亡骸から発せられたもの。
だが、その体の本来の宿主であった少女はすでに昇天している。ならば、そこにいるのは。

「明……!ケイオスタイドなしでも、美樹さやかの肉体と合体して受肉していたのか!」

その正体にルシファーが真っ先に気付く。
それは即ち彼の目的が達せられるということ。そして、親友がここで最期を迎えるということ。
浮かべる表情には歓喜と抑えきれない悲哀が混ざり合う。

「ルシ…ファー。お前がここにいる理由も、なぜ俺にそんな顔を向けるのかも理解できないが……いずれその理由を尋ねに、行くぞ。コキュートスで震えて待ってろ……!」

剣を一つテレキネシスで操り、言葉を発するだけで限界を迎えたのか。
美樹さやかの亡骸も不動明の魂も、灰へと還り風に舞った。

「ねむったんだね……明。もっとも、この眠りは永劫のものではないけれども」

それを見届けた、ボロボロのはずのルシファーの体に力が漲っていくのを一行は感じた。操祈への攻撃もあって空気が殺気立つ。

「おっと、そう警戒しないでくれ。円環の理に敗れ、最早私に余力はない。手出しをすれば愛欲の獣が単独顕現するなどとまで言われた以上、私は手を出さないよ。
 Homulillyならともかく、Oktaviaにできるのかは疑問だし(おれ)は止まる気はないだろうが。これで私の観劇も幕引きだ」

そう言うと緊張の糸が切れたのか倒れるように地に伏せる。

「ビーストⅠ、Kriemhild_Gretchen。ビーストⅡ、ルシファー。もし本当にビーストⅢの資格者がOktavia_Von_SeckendorffかあるいはHomulillyならば。獣の顕現は連鎖する。
 ヒトナリ。秩序と混沌の狭間で君は一体いずこに至る?天秤の英雄に上り詰めるか、比較の獣へ堕ち果てるか……」

無念ではない。だが未練はある。

「鹿目まどか。冠位の英雄に足る者よ。憐憫の獣たるものよ。これより南で君の仲間が、タダノヒトナリが闘っている。
 相手は聖柱。魔神柱と比して劣らぬ怪物だ。興味があるなら行ってみるといい。(おれ)もそろそろ着いてもおかしくないころだ」

もう一人の自分と、二人の英雄(けもの)に後を託して。

「コキュートスで明を待つのはダンテとゼノンでいい……私は一足先に『母』となって現世で待とう。(おれ)よ、後は君が見届けてくれ」

ルシファー……否、ルイ・サイファーも一時この世を後にした。

そしてもう一人。
食蜂操祈も今彼岸へと遠ざかりつつある。
心理掌握の応用で体液の流出を抑えようとも、霊核を貫かれては儚い抵抗にすらならない。

「犬飼、さ――」

だが食蜂操祈は死を無抵抗に受け入れるような諦めのいい性格ではなかった。
マスターの名を呼び、彼女が反応したところに。
リモコンを向け、宝具を使用した。

「残り二画、全令呪を以て命じる♡宝具を使って、記憶を刻め」

操られた伊介が令呪を行使させられた。
そしてその命令によって宝具の力はブーストされ、命令通り対象に記憶を深く刻み込む。
それによって力を使い切って食蜂操祈の霊基は消失した。
しかし宝具の力は令呪の後押しがあったために現存する。
変化が生じたのは二人。

「なッ…!んだこれ……!」

一人は虹村刑兆。突如送り込まれた知識に僅かながら混乱をきたす。

「落ち着いて☆私の知ってる一方通行と垣根帝督に関する知識力を送ったわぁ。死にかけの状態だったから一部しか送れてないと思うけどぉ、あのニ騎の攻略には役立つと思うわよ☆」

もう一人は犬飼伊介。
瞳に星を浮かべて、まるで食蜂操祈のように振る舞う。

食蜂操祈(わたし)の記憶を刻みこん(ダウンロードし)た。基本が私になるから淑女力マシマシ、って感じだゾ☆」
「……それで、聖杯戦争を続ける気か?」

伊介の令呪は使い切り、サーヴァント食蜂操祈も消失した。
それでも操祈の頭脳を駆使して戦い続けるつもりなのかと、ニューゲートたちはそう思った。

「いいえ、そんなつもりは微塵もないわ」

だが操祈はそれにノーと答えた。

「令呪の魔力が残っている限りマスター、サーヴァントいずれが倒れてもその命令は影響力を及ぼし続けるわぁ。でも逆に言えば令呪の魔力が消えれば、人格の転送なんて複雑な真似泡沫と消えるでしょうね☆
 つまり、私があと少しの命であることに変わりはないっていうこと」
「なら、なんでこんな真似を?」

遺言でも残すのか。最後に一花咲かすのか。
同盟相手とはいえ、頭を弄られた刑兆は敵意交じりに伊介(みさき)を睨んだ。

「あなたたちに頼みたいことがあるのよ、虹村さん、エドワードさん。報酬は先払い、あなたに刻んだ二人のサーヴァントの情報力。
 それで犬飼さんを無事に元の世界まで……電話ボックスの向こうにまで帰してあげてほしいの」

口にした目的は傍若無人に振る舞ってきた操祈のものとは思えない、誠実で慈しみあるものだった。

「何よぉ、そんなに意外?」
「……多少はな。まあ百歩譲ってそれはいいとしても、なんで犬飼を操る必要がある?」
「彼女意地っ張りだもの。勝ち目がないって言っても、聞き耳もたないわよぉ。これでもプロの暗殺者らしいし、狙われたら虹村さんでも面倒よ☆
 ……もうすぐ私が表層にも出ていられなくなるけど、それでも犬飼さんには帰るという目的を刻んでおくからお願い……お願い、します」

伊介にしろ操祈にしろ、らしくもなく頭を下げる。
……押し付けられたとはいえ報酬の情報を受け取っている以上、刑兆も無碍にはできない。

「なんだってそこまでする?短い付き合いだが、仲がいいようには見えなかったが」
「サーヴァントだもの。死んだ先達が生きている後進を見捨てるわけにはいかないわぁ」

それに、と。
虹村刑兆の羽織っている傷ついた黒い学ランを見る。
彼もいつまでも学ランだったわけではないが、それでも。操祈の憧れる英雄の姿としてはそれが印象深い。

「仮にも英霊の端くれが、巻き込まれた女の子一人無事に返せないようじゃ、ヒーローに怒られちゃうわぁ☆」
「……こうまで言ってんだ。女子供を守りたいってんなら、それ以上は野暮だぜ刑兆。近くの電話ボックスの場所は分かるか?」
「ここから少し東へ進めばあるはずよぉ。あ、鹿目さん。あなたは……どうするの?虹村さんと一緒に闘うのかしらぁ?サーヴァントは知り合いみたいだけど」


虹村刑兆は己の意思で戦い続ける。
犬飼伊介は庇護者の意思で離脱する。
鹿目まどかは…………

悪魔は去りて、聖杯戦争は未だ続くのか。
それは戦士の決断にゆだねられた。


【キャスター(食蜂操祈)@とある魔術の禁書目録 死亡】


【A-4/南部/二日目・未明】


【虹村刑兆@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]魔力消費(大)
[令呪]残り3画
[装備]いつもの学ラン(ワイヤーで少し切れている)
[道具]なし
[思考・状況]
基本行動方針:おやじを殺す手段を探す。第一候補は聖杯。治す手段なら……?
1:ひとまず犬飼を送り届ける
2:天戯弥勒、またはその関係者との接触を予測。その場合聖杯について問い詰める。
3:バッド・カンパニーの進化の可能性を模索。能力の覚醒に多少の期待。
4:公衆電話の破壊は保留。

[備考]
※バッド・カンパニーがウォルターに見え、ランサーに効かなかったのを確認、疑問視しています。
→アーチャーとの交戦を経てサーヴァントにはほぼ効かないものと考えています。
→キャスター(操祈)がほむらと交戦してダメージを受けたのを確認し、対魔力が重要な要素であると確信。
※サーヴァント保有時に紅いテレホンカードを使用しても繋がらない事を確認しました。
※サキュバスなどのエネルギー吸収能力ならばおやじを殺せるかもしれないと考えています。
※学園の事件を知りました。
※麒麟殿温泉の下見は済ませました。なにかあったか詳細は後続の方にお任せします。
※夢を通じてニューゲートの記憶を一部見ました。それにより17歳の頃のルフィの容姿を把握しました。
※心理掌握により、一方通行と垣根帝督に関する知識を一部得ました。


【ライダー(エドワード・ニューゲート)@ONEPIECE】
[状態]ダメージ(中、右腕は戦闘に支障)、魔力消費(大)、『手出しを許さぬ海の皇のナワバリ(ウィーアーファミリー)』発動中
[装備]大薙刀
[道具]なし
[思考・状況]
基本行動方針:刑兆の行く末を見届ける
1.ひとまず犬飼を送り届ける
2.刑兆に従う

[備考]
※NPCの存在、生活基盤の存在及びテレカのルールは聖杯、もしくは天戯弥勒の目的に必要なものと考えています。
※キャスター(操祈)と垣根が揃っていたのと同様、ルフィと自身が揃っているのにも意味があるかもしれないと考えています。
※宿およびその周辺をナワバリとしました。
※浅羽、バーサーク・アサシン(垣根)、ほむら、セイバー(リンク)を確認しました。




【犬飼伊介@悪魔のリドル】
[状態]疲労(中)魔力消費(大)微熱、PSIに覚醒
[令呪]なし
[装備]ナイフ
[道具]バッグ(学習用具はほぼなし、日用品や化粧品など)、ベレッタM92F(残弾12発)、コンビニで買った着替え
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯戦争から脱落する
0:食蜂操祈ダウンロード。淑女力大アップ☆
1:電話ボックスから帰還する



[備考]
※『とある科学の心理掌握(メンタルアウト)』によってキャスターに令呪を使った命令が出来ません。
※一度キャスターに裏切られた(垣根帝督を前にしての逃亡)ことによりサーヴァント替えを視野に入れました。
※PSI粒子の影響と食蜂の処置により魔力量が増大。今後能力に覚醒するかは後続の方にお任せします。
→症状は現在完治とはいかないまでも小康状態にあります。
※操祈の過去を夢に見ましたが、その記憶は消去されました。
※『とある科学の心理掌握(メンタルアウト)』のよって操祈の記憶をダウンロードされ、彼女の影響下にあります。ただし令呪の魔力が減ることでその影響も減っていきます。
※『とある科学の心理掌握(メンタルアウト)』によって目的を聖杯戦争の脱落に書き換えられました。




【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]魔力消費(大)
[令呪]残り3画
[装備]なし
[道具]なし
[思考・状況]
基本行動方針:人を殺したくないし死にたくもない。けれど願いのために聖杯を目指す。
0.さやかとの別離に深い悲しみ。
1.ほむらを探す。ほむらの力になりたい。
2.タダノとも話がしたい。南で戦ってる……?
3.聖杯戦争への恐怖はあるが、『覚悟』を決める。
4.魔女のような危険人物は倒すべき…?
[備考]
※バーサーカー(一方通行)の姿を確認しました。
※ポケットに学生証が入っています。表に学校名とクラス、裏にこの場での住所が書かれています。
※どこに家があるかは後続の方に任せます。
※アーチャー(モリガン)とタダノは同盟相手ですが、理由なくNPCを喰らうことに少なくない抵抗感を覚えています。
※セイバー(流子)、ランサー(慶次)、キャスター(食蜂)を確認しました。
※『とある科学の心理掌握(メンタルアウト)』により食蜂に親近感を抱かされていました。
※暁美ほむらと自動人形を確認しました。
※夢を通じてルフィの記憶を一部見ました。それによりニューゲートの容姿を垣間見ました。
※一時的に円環の理の疑似サーヴァントになっていたことで座及び円環の理に由来する知識を一部得ています。



【モンキー・D・ルフィ@ONE PIECE】
[状態]ダメージ(中、応急処置済み)、覇気使用不可(残り10分弱)
[装備]なし
[道具]なし
[思考・状況]
基本行動方針:まどかを守る。
1..バーサーカー(一方通行)に次会ったらぶっ飛ばす。
2.バーサーカーに攻撃がどうやったら通るか考える。
3.タダノとの同盟や今後の動きについてはまどかの指示に従う。
4.肉食いたい。ギア4使って腹減っちまった。
[備考]
※バーサーカー(一方通行)と交戦しました。
 攻撃が跳ね返されているのは理解しましたがそれ以外のことはわかっていません。
※名乗るとまずいのを何となく把握しました。以降ルーシーと名乗るつもりですが、どこまで徹底できるかは定かではありません。
※見聞色の覇気により飛鳥了の気配を感知しました。もう一度接近した場合、それと気づくかもしれません。
※フェイスレスを倒したと考えています。


[共通備考]
※タダノ&アーチャー(モリガン)と同盟を組みました。
 自分たちの能力の一部、バーサーカー(一方通行)の容姿や能力などの情報を提供しましたが、具体的な内容については後続の方にお任せします。





――ほむら、聞こえる?――


「!? 美樹さやか?どこに!?」


――あ、よかった。まだ念話通じた。ごめん、もう逝くから手短にすますね――


「行く?逝く、ってあなたまさか」


――うん、負けちゃった。でも大丈夫。円環の理は安定したから――

「円環、ってだからそれは何なのよ……?」

――それも詳しくは話してられないや。まどかに聞いて。西へ、まっすぐ。まどかと合流して。あとは、お願い――


【美樹さやか@魔法少女まどか☆マギカ 叛逆の物語 昇天】

【円環の理 安定】






とある世界で、一人の女の子が生まれ落ちた。
とある世界に、一人の青年が流れ着いた。

新たな物語が胎動を始める。




【バーサーカー(不動明)@デビルマン 死亡】
【ルイ・サイファー@真・女神転生 STRANGE JOURNEY 転生】
【To be continued 『デビルマンレディー』......】



【A-4/南東部/二日目・未明】

【暁美ほむら@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]疲労(大)、焦り
[令呪]残り3画
[装備]ソウルジェム@魔法少女まどか☆マギカ
[道具]グリーフシード(個数不明)@魔法少女まどか☆マギカ(一つ穢れが溜まりきっている)、オートマチックの拳銃
[思考・状況]
基本:聖杯の力を以てまどかを救う。
0:すぐにまどかのもとへ。
1:温泉に向かいまどかを助け、帰還させる。
2:キャスター(フェイスレス)を倒す。


[備考]
※自分の能力の制限と、自動人形の命令系統について知りました。
※『時間停止』はおよそ10秒。連続で止め続けることは難しいようです。
→女神ノルンが死亡したことで制限が解かれています。本人はまだ気づいていない可能性が高いです。
※アポリオン越しにさやか、まどか、タダノ、モリガン、アゲハ、流子、ルキア、慶次、善吉、操祈の姿を確認しました。
※明、ルフィのステータスと姿を確認しました。
※美樹さやかの存在に疑問が生じています(見たことのない(劇場版)美樹さやかに対して)
※一瞬ソウルジェムに穢れが溜まりきり、魔女化寸前・肉体的に死亡にまでなりました。それによりフェイスレスとの契約が破棄されました。他に何らかの影響をもたらすかは不明です。
※エレン、さやか、まどかの自宅連絡先を知りました。
※さやかと連絡先を交換しました
※ジャファル、レミリア、ウォルターを確認しました。
※天戯弥勒と接触しました。
※巨人を目撃しました。
※キャスター(フェイスレス)のマスターは最初の通告で存在が示唆されたマスター(人吉善吉)と予想しています。
※間桐雁夜が「誰かを守るために聖杯戦争に参加していた」ことを知りました。


【セイバー(リンク)@ゼルダの伝説時のオカリナ】
[状態]魔力消費(小)、疲労(中)、ダメージ(中、右腕は戦闘に支障あり)
[装備]なし
[道具]なし
[思考・状況]
基本行動方針:マスターに全てを捧げる
0:カレンの意思を引き継ぎ、聖杯戦争を勝ち抜く。
1:暁美ほむらに従う。
2:アーチャー(モリガン)に対する強い敵意。

[備考]
※アーチャー(モリガン)を確認しました。
※セイバー(纒流子)を確認しました。
※夜科アゲハの暴王の流星を目視しました。
※犬飼伊介、キャスター(食蜂操祈)を確認しました。
※人吉善吉、アサシン(垣根帝督)を確認しました。
※垣根帝督から食蜂操祈の能力を聞きました。
※朽木ルキア、ランサー(前田慶次)を確認しました。
※ウォルター、ランサー(レミリア)を確認しました。
※巨人を目撃しました。
※バーサーカー(一方通行)を確認しました。
※様々な音楽、魔術をヒアリングしたことで新たな音楽を習得しました。
 時のオカリナで演奏することで主催陣営の空間(?)に転移することができるようでしたが、今後も同じように成功するかは不明です。


[共通備考]
※バーサーカー(不動明)陣営と同盟を結びました。
※浅羽直之、バーサーク・アサシン(垣根帝督)を確認しました。
※ライダー(白ひげ)を確認しました。
※ルイ・サイファーを確認しました。





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虹村形兆&ライダー(エドワード・ニューゲート
犬飼伊介
キャスター(食蜂操祈 DEAD END
美樹さやか&バーサーカー(不動明
ルイ・サイファー

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最終更新:2018年06月19日 00:04