世界を変える力が、その手にあると囁く ◆A23CJmo9LE




休養。
それはあらゆる生き物に必要な生命の営みの一環。

例えば入浴。
命の洗濯と言われるその行為は、ローマや日本などで特に好まれた。
清潔に体を保つことは健康を保つのに大きな効果をもたらす。
加えて程よい体温の上昇や、温泉の効能、ストレスの解消など精神肉体の両面から健全さを保つ。
カシス色の髪の少女は麒麟殿温泉の広い湯船に、その豊満な肢体を投げ出していた。
蜂蜜色の髪の少女は脱衣所で己がマスターの着替えが乾くのを待つ。

そして同時刻。
青い髪の少女は自宅の浴室でシャワーを浴びながら考えを纏めていた。
黒神の青年はマスターの両親――無論NPCだが――のいないリビングルームで一人、テレビのリモコンを操作する。

「アッシュフォード学園、それと連なる通学路で事件か。どうやら派手にやってるようだな」

メディアを通じて得られる情報、そこから戦場の激化を感じ、思考にふける明。
学園を休んだのは幸運だったか、さやかの友人たちは関わっているだろうか、今後関わっていくだろうか。
映像や音声の片隅からも情報を得ようと耳目をこらす。

同じようにリモコン――麒麟殿温泉の空調のものを拝借している――で以て情報を集めるサーヴァントがいる。
暁美ほむらの落としていったベレッタを手に取り、リモコンをこめかみに突きつける操祈。

『物的読心(カテゴリ044)、右手で触れた物質から24時間以内の記憶情報を抽出』

得られた情報は……皆無。
いや、正確にはないわけではないのだが、既に体験した以上のものが入ってこない。
まるでそれ以前は、時間の流れから乖離したどこかに置かれていたかのように一切の記憶情報が刻まれていない。
年単位で遡れば何か得られるかもしれないが、得体の知れない情報に触れるのは避けるべきと経験が語っていた。
一方通行は敵に誘導され、魔術を『偶然』発動させてしまい大ダメージを受けたことがあるという。
それと似たような仕掛けがあの魔法少女によってされていないとは言い切れなず、深入りは避ける。

思考に沈むサーヴァントに浴室のマスターから思考が流れてきた。

『だいぶ楽になって来たかも❤そろそろ上がりたいんだけど?』

『バーサーカー、どう?何か新しいこと分かった?』

それに対して各々答えを返す。

『もう少し待ってて☆着てた服はまだ着れたものじゃないわよ。
 間に合わせの服装でいるのもかっこ悪いし、なによりまだ完調してないでしょぉ?』

『際立ったものはあるにはあるが、報道では詳しいことはわからないな。
 少し、情報を整理したい。上がったら話そう』

答えに応じた行動にマスターが移る。
伊介は鼻の下まで湯船につかり、ふてくされたようにぶくぶくと水面を泡立てる。
さやかはシャワーノズルを捻り水を止め、浴室を出て体を拭く。

魔術師のクラスは一人、思考する。
狂戦士のクラスは二人、相談する。

「学園で爆破事件、さらに誘拐ね……まどか、巻き込まれてないかな?」

ぬれた髪を乾かし、ショートパンツにシャツとラフな格好に着替えて自室で合流。
僅かに流れたニュースの続報を耳にし、表情に不安を浮かべる。

「なんとも言いかねるが、さほどの心配はしなくてもいいと思うぞ。
 もし巻き込まれているなら、ほむらが連絡をよこすはずだ。
 彼女…いや、正確にはあのサーヴァントは――」


◇  ◇  ◇

(暁美ほむら、またはそのサーヴァントは監視網を町にめぐらせている。
 透視、遠隔視、盗聴、使い魔。方法力は分からないけどそれは間違いないわぁ)

川を下り、執拗に追ってきたのは鹿目まどかにとってより脅威になるものを排除しようとしたからだろう。
学園での事件、その首謀者両方を掴んでなければとれる選択ではない。
かなり広範囲に、正確な情報収集の手段を用意しているとみる。
それが具体的になにかは不明だが……

◇  ◇  ◇


「おそらくは人形だろうな。
 あの空飛ぶ人形のように、上空からの監視からもしれないし、ミニサイズの人形をばら撒いているかもしれん。
 でなければ俺たちや、さやかの友人…まどか、か…を見つけることも出来ないだろう。
 現在進行形で少なくともまどかのことは見ているだろうさ。こっちも覗いてるかもしれんな。
 だから火急の事態となれば、連絡してくるだろうさ。便りがないのは無事な証拠だろう」
「え゛っ、あたしさっきまでお風呂入ってたんだけど……
 いや、それよりも――それもよくはないけど!あんまり口に出しちゃマズイこともあるんじゃ…?」

あのキャスターに見られていたかもしれない。
不快感はある。
しかしほむらの手の内や、こちらの思考など漏れては困ることも話していた。
マズイ事態の引き金になるのでは、そう心配するが

「ああ、そうだな―――」

◇  ◇  ◇

(だからこそ……もちろんそれ以外の打算もあるけどぉ、先の虹村さんたちとの話では全ては明かせなかった。
 敵の情報という手札はともかく、切り札は見せられない)

朽木ルキア、鹿目まどか、夜科アゲハに対する心理掌握の名残。
そして令呪により得ている前田慶次への命令権。
これらは行使しえるジョーカーであり、特に前田慶次は戦局に偏りをもたらすカードだ。
万一、白髭のライダーと争うことになった場合、そしてまだ見ぬ暁美ほむらのサーヴァントのために伏せた手札。
追加の令呪で解かれている可能性もあるが、それでも令呪の残数は大きなもの。
知ると知らぬでは違いが生じる。
そうした戦局に影響する情報以外にも明かさなかった考察はある。

◇  ◇  ◇

「もちろん警戒はしていた……あいつは人形遣いのキャスターだ。
 なら俺のような超能力でも、きみのような魔法でもなく人形で以て情報を集めるはず。
 この家の中に人形のような異物はない。
 俺のテレパスで感知できる範囲で、になるが……アモンの力はその気になれば世界を呑みこむ」

かつて対峙した敵デーモン、アグウェルは鉱物との一体化による奇襲・感知能力を有した。
『悪魔の体に人の心持つ戦士(デビルマン)』ならばその上を行く。
テレパシーにより世界中のデビルマンと交信しようとしたこともあるのだ。
家一軒くらいなら、その内に獅子身中の虫がいないか把握はできよう。

「ん~……なら信じるけど。大きく出るね、世界ってこの、何処とも知れない聖杯戦争の会場でも?」

能力のことを問うてみる。
軽い口調だが重大なことだ。
世界の果てに存在したヒトを基にした怪物、聖杯戦争を行うだけに用意するには大規模にすぎるこの地。
その疑問の答えもまた求めるものだ。


◇  ◇  ◇

(この地は恐らく聖杯戦争のためだけに用意されたいわば箱庭。
 能力覚醒のための因子が、その副作用を抑えるある種の霊地が揃うなんて、偶然なら幸運力がとんでもないわぁ。
 作為的な物と思って間違いないゾ。
 赤いテレホンカードは世界を渡るための物と言ったけど、どちらかというとその本質は――)

◇  ◇  ◇


「鍵は世界の改変、だな。かつて君の友人、まどかとほむらの二人が行ったというそれと同等の力がこの戦場を生み出したのだろう。
 了…サタンも同じくイマジネーションによる世界の創造を可能とする。
 作るのは難しくても、壊すのはあっけないもの……それだけなら俺にも可能だ」
「ここも世界改変、っていうか創造されたものってこと?
 そんな簡単にできるものなのかな……?まどかもほむらもいろんな要素が重ならないとできなかったと思うんだけど……」
「できる者は多くはないだろうが、その候補を多く知ってるだろう?
 天戯弥勒がその一人である可能性はある。本人ができずとも、宝具を拝借、または再現しているかもしれん。
 たとえば因果を逆転させる槍、『大神宣言(グングニル)』などなら運命を塗りかえ、世界を変える事も可能だ」

例に挙げたのは北欧神話のオーディンが所持する宝具。
運命を、そして世界の理を塗りかえる槍だ。


◇  ◇  ◇

(『主神の槍(グングニル)』という霊装を用いた、魔神オティヌスによる世界改変。
 アレも元いた世界へ帰るためのもの、だったらしいわねぇ。
 そして、未元物質(ダークマター)はその霊装を作り出す材料にもできる。
 作られた世界、元の世界へ帰るナニカ、その材料。
 『主神の槍(グングニル)』は神の子や聖人の特性と交わると『神殺しの聖槍(ロンギヌス)』の偶像力が混ざるとか。
 なら、逆もあり得るはず。
 有名な武具っていうのも大変ねぇ。
 そして『聖杯』とは神の子の血を受けた杯であり、『聖槍』とは神の子の血に濡れた槍。
 『天之杯(ヘブンズフィール)』から『不明金属(シャドウメタル)』という神の子の血を注ぎ、『聖遺物』を『赤』く染め上げる。
 そうして世界を基の形に戻す霊装、『主神の槍(グングニル)』を作り出すことができる……
 状況から推察した、この聖杯戦争のメインプラン。
 未元物質以外にもグングニルのスペアプランらしきものがあれば、確証力もあがるんだけどぉ)

◇  ◇  ◇

「『大神宣言(グングニル)』は神の用いる宝具だから用意は難しいが、高名なだけにそれを元型とした槍は多数存在する。
 例えば派生の一つ、ゲイ・ボルクも運命を曲げる槍だな。
 グングニルの材料となったというユグドラシルに匹敵する宝樹はそうはないだろうが、ゲイ・ボルクは鯨の骨で作られたなんて言われてるし、複製できなくはないかもしれんな」
「そんな簡単にできるものなの?宝具って」
「魔術師の霊装というのは伝承上の武器を再現したものが強力だ。
 論理の可逆を利用すれば空想上のものでしかない武器、例えば実在しないアーサー王の妹、クイーン・アンの盾なども『再現』できる。
 無論、オリジナルには届かないだろうが、複製の『槍』でも元となる世界があればそれを再現する、あるいは元に戻すくらいはできるだろう。
 例えばタイムパラドックスの修正や……元となる人物の存在するNPCの創造などなら」

NPCの出来は大したものだ。そこまで入念な観察をしてはいなかったが、人間との相違点を見出すことはできなかった。
当然作り出すのは容易ではない。
しかし、原型があるのなら。
泥から人を作り出すのは神の所業だが、人から人を作り出すのはそれに比べれば容易だ。
科学ならばクローニング。魔術ならば人形。
世界の創造もまた神域だが、その異常を戻すなら修正力も味方する。
世界改変の力を秘めた宝具ならば、どちらもできるはずだ。

「その力を以て、なぜ聖杯戦争という形をとっているのかは……葛藤の表れではないかと思っている」
「葛藤?」
「願いというのは言ってみれば、限定的な世界改変を望むということだ。
 俺ならもう一度、了…サタンと会える世界を。君ならほむらによる改変がなされなかった世界を望んでいると言える。
 この世界は、いうなれば下書きというかモデルルームのようなもので、勝ち残った一人が望む世界を作り出す」

脳裏に浮かぶ親友にして宿敵の顔。
あの天使長ルシフェル/魔王サタンでさえも、純粋な善/悪ではなく、デーモン族のために神や人間と滅ぼそうとしたのだ。
世界を変える力があったとして、その力を自らの意思のみで振るうのは強い覚悟が必要となるだろう。
そしてその結果に微塵の後悔も迷いも抱かない者など、まずいない。

「ずいぶん、その…身勝手というか無責任な感じがするね、それ」
「思い当たる節が…いや、なんでもない」
「えー、ちょっと失礼じゃない?」

軽口気味に抗議はするが否定はできない。
聖杯戦争というのは他者の願いを踏みにじり、自らの願いを叶えようというもの。
参戦した時点で、身勝手と言われようと反論はできないだろう。

(願い、か……
 まどかの願いは、多分魔法少女が願いの果てに絶望しないこと。
 ほむらの願いは、まどかが魔法少女とならず平穏な生を送ること、かな。
 相反する願いだけど、ほむらは悪魔となってその二つを両立させた。
 けどそこにまどかの意思は介在していない。だから、あたしは悪魔の願いを踏みにじる。
 ……きっと他の人の願いも)

マスターなら皆それを覚悟しているのだろう。
聖杯がないなら戦いに大義はないが、もしあるのなら。
願いのために杯に心血を注ごう。

「それじゃあさ、バーサーカーはやっぱり聖杯はあるって考えてるんだ?」
「………………ああ、そうだ。
 だが今の優先事項は違うんだろう?
 さやか、君の願いは鹿目まどかの無事も含まれるはずだ。
 なら今はそちらを考えて構わないさ。聖杯戦争については、俺が思考しよう。
 少なくとも、聖杯の否定にはまだ早いということは覚えていてくれればいい」
「そ。ありがと、バーサーカー」

大局を見るならば聖杯戦争について考えるのをやめるべきではない。
しかし情勢はあまりに複雑怪奇。
知っているのとは違う親友と、腐れ縁の友人が同時に存在する。
どう対応すべきか。
ほむらと協力するのは、いい。
しかしまどかをどう扱う?
協力者として共に戦うべきか、庇護対象として帰らせるべきか。
これもまた葛藤か、と友人の顔を浮かべる。
連絡くらいはとりたかったと、自らの携帯電話に手を伸ばす。

「ん?そういえば電話番号は分からないのか?
 最近の電話は持ち運びできるうえに電話番号を記録しておく機能もあるらしいじゃないか」

少し古い英霊であるため、明に携帯電話の知識はない。
聖杯に与えられた日常生活の常識として知っている程度、ジェネレーションギャップに悩む老人のよう。
そんな発言に苦笑いを浮かべながら答える。

「あたし、ほむらと番号交換するほど仲良くはなかったみたい……協力したこともあったと思うんだけど、少なくともあの世界ではやっぱり敵、だしね。
 まどかとなら、普通なら番号交換してるんだけどさ、やっぱりあの世界特有の弊害があって。
 あの子、設定だとアメリカからの帰国子女で、しばらく見滝原にいなかったことになってるからやっぱり番号まだ知らないんだよ」

悪魔による世界改変の影響。
それが僅かに、しかし確実に情報網の祖語という決裂を生んでいた。

「覚えていないのか、番号?」
「いや、情けない話だけど現代っ子は大体メモリ頼りで……」
「そういうものなのか」

友人や学校の連絡先くらいは暗記していた時代の人間からすれば現代の電話事情は軟弱に見えるだろうか。
咎めても詮無い事と明も分かってはいるので、それ以上特に言うことはないが何となく気まずい雰囲気になる。

「……遊園地ですぐに踵を返したのは失敗だったかもしれんな。すまない」
「なーに言ってんの。あたしが覚えてればいい話だし、キャスターの陣地に長居したくないっていうのは間違ってないって。
 だから、今は『待ち』。
 何かあったらほむらが連絡してくるっていうのは多分間違いないし、まどかは多分あたしの番号知ってるからかけてくるかも。
 あたしだけで街に飛び出して連絡つかなくなったら、いざっていう時に困るだろうし。
 寝間着じゃないのもいざって時にすぐ飛び出せるようにね」

ひらりと服の裾を翻してベッドへ向かう。

「かなり早いけど、いったん寝ちゃうね。
 魔法少女だし、多少寝なくても大丈夫だと思うから何かあったら起こしてよ」
「ああ。明日はほむらのところだったな?」
「うん。また学校サボりだね。じゃなきゃ宿題とかでこんな早く寝るなんてできないだろうけど」

じゃあお休み、と言って電気を消す。
明は霊体化し、ベランダに出て思考を続ける。

(情報整理と言っておきながら、急な話題転換をしてしまったな。
 さやかも、感付いているだろうか)

世界改変の力を持つものが、その選択を他者に委ねる。
まるで悪意と理性の葛藤と例えたが……

(鹿目まどか、円環の理と言っていたか。
 その力が、ほむらとさやか、二人に選択を迫っているとするならば。
 この聖杯戦争を引き起こしたのは……願いのための殺し合いを行っているのは鹿目まどかということになる)

魔法少女の力が殺し合いの元凶かもしれない。
確証もないことを聞かせたくはなかった。

(同じことがほむらにも言える。
 悪魔として世界を改変した結果悩み、選択を他者に委ねる。伝聞でしかないがあまり精神的に強い子とも思えんしな。
 サタン、いや了は自らの記憶を消して人間の振りをしていた。
 さやかの記憶を消したように彼女たちがそうしている、というのはさすがに考えすぎだといいのだがな)

自らも記憶を消し、一参加者に身を堕とす。
記憶を失くした自分が同じ選択をするか試す。
そんなifを試みるのも不可能ではないはずだ。

(……飛躍するが、さやかはどうなんだ?魔法少女の才能は。
 どういった理屈で才能が決まるのかはわからんが、あの二人と同じ条件を満たすなら彼女もまた世界改変の力を秘めている可能性もある)

もしさやかが、二人の世界改変のどちらを支持するか悩んでいるとしたら。

(さやかが、この世界を作ったというのも動機・才能としてはあり得る……のか?)

まどか、ほむら、さやか。
三人の魔法少女は、いずれかが光の蛇のように潜んでいるのかもしれない。
彼女たちの秘める力こそが、世界改変をもたらす『聖杯』である。
聞いたところであまり愉快な気持ちになる仮説ではない。

(今はまだ俺の胸に秘めておこう。少なくともまどかやほむらに話を聞くまでは)

魔法少女について理解を深める必要があるだろう。
…………魔法少女以上に世界を変えるといったら浮かべる存在もいる。

(了。お前はこの聖杯戦争を知っているのか?もしや俺の敵は、やはりお前なのか?)

未だ敵の見えてこない、この世界。
姿を見せていないのか、それとも……



【C-6/自室/一日目・夜】


【美樹さやか@魔法少女まどか☆マギカ 叛逆の物語】
[状態]健康
[令呪]残り三画
[装備]ソウルジェム
[道具]グリーフシード×5@魔法少女まどか☆マギカ、財布内に通学定期
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯が信用できるかどうか調べる
0.眠る。
1.明日の正午までに暁美ほむらへ回答する。
2.与えられた役柄を放棄し学校に行かないことに加え、あえて目立つ行動をとり天戯弥勒や他の参加者の接触を誘う
[備考]
※浅羽直之、アーチャー(穹撤仙)を確認、フェザーと名乗られました。
※暁美ほむらが昔(TV版)の存在である可能性を感じました。
※暁美ほむらが何かしらの理由で時間停止に制限が掛かっていることを知りました。
※まどか、ほむらへの連絡先を知りません。


【不動明(アモン)@デビルマン】
[状態]魔力消費(小)
[装備]なし
[道具]なし
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯が信用できるかどうか調べる
1.さやかに従い行動
2.何かあったらさやかを起こす
3.あえて目立つ行動をとり天戯弥勒や他の参加者の接触を誘う
4.マスターを守る
[備考]
※穢れの溜まったグリーフシードを『魂喰い』しました。今のところ影響はないですが今後何らかの影響があるかは不明です。
※キャスター(フェイスレス)に不快感を覚えています。
※世界改変の力を持った、この聖杯戦争の原因として魔法少女(まどか、ほむら、さやか)とサタンを想定しています。

[共通備考]
※マップ外に出られないことを確認しました。出るには強力な精神耐性か精神操作能力、もしくは対界宝具や結界系宝具が必要と考えています
※マップ外に禁人種(タヴー)を確認しました。不動明と近似した成り立ちであるため人間に何かがとりついた者であることに気付いています。NPCは皆禁人種(タヴー)の材料として配置されたと考えています
※間桐雁夜(名前は知らない)、バーサーカー(一方通行)を確認しました。
※暁美ほむらとの交渉『鹿目まどかを守るための同盟』の回答期限は2日目正午までです。
※キャスター(フェイスレス)を確認しました。
※学園の事件を知りました。
※聖杯戦争の会場を作ったのも、願望器自体も世界改変の力と予測しています。










◇  ◇  ◇

「やっほー、犬飼さん☆調子はどうかしらぁ?」

長い髪を纏め、ゆさっ、と擬音を纏いそうな躯にタオルを巻いて浴室に合流。
かけ湯をして、二人並ぶように湯船につかる。

「マシにはなってるっていったでしょ❤服は?」
「もう少しすれば大丈夫だと思うわぁ。コンビニのTシャツともさよならできそうね☆」
「家に着替え取りに戻れそうにもないし、しょうがないけど。
 はぁ~、ホントむかつく❤」

生徒名簿によっていくつかの情報を掴んだのだ。
なら敵もまたこちらの情報を掴む可能性は高い。
のこのこ戻って待ち伏せでもされたら目も当てられない。

「出たらホテル探して、ゆっくり休みましょ。
 さすがに明日は登校しろ、なんて言わないから☆」
「もし言ってたら殺しちゃったかも❤」

絶対命令権の行使……それができればどうなっていただろうか。
いまより状況は良くなっているか、それとも。
このキャスターが優秀である、のは事実なんだが。
ランサーと結んだ。学園を掌握した。
ランサーに裏切られた。ライダーに追い込まれた。
逃げた先でマスターに殺されかけた。別のライダーに取り入った。
生きて、武器も獲得できているのは、マシだろうか。
そういえば

「……さっきまであんたが伊介の服の近くにいたから大丈夫だと思ってたけど、さすがに銃が人にばれたらやばいんじゃない?」
「大丈夫よぉ。まだ道具作成はしてないけど、脱衣所にあったリモコン借りてNPCを何人か放ってるから☆
 魔力も増えてるから、これまで以上に使っていけるわよぉ」

能力として目覚めてるか試すのは体の調子が安定してからの方がいい。
今は魔力の増強だけでも十分。
これまで能力行使は必要分に抑えていた。
今後は些細な調べ物や、NPCへの具体的な命令、『幻想壊し』の行使も含めて戦略の幅を広げられるだろう。
それだけに、学園に広めた『派閥』に近付きにくくなったのは痛いが、危うきに近寄るべきではない。
それよりも

「明日は図書館に行きたいのよねぇ」
「え~、好きなの?そういうの。一応戦争に来てるのに❤
 それよりあのライダーとの話とかは――」
「もうある程度すませてきたゾ☆
 この後合流することになってるけど、悪くない関係を築けたと思うわぁ。
 彼らには話してないけど、それでもこの聖杯戦争の事とかサーヴァントの真名のこととか話したから、調べ物って言えば反対はしないわよぉ」

あまり乗り気でないマスターに理論武装して提言するが、やはり渋い顔。
なんとも気分屋なものだ。
サーヴァントについてだけじゃない。
その先にある聖杯、聖遺物について。世界改変の力について。
願いが叶うのかも調べるつもりなのだから、それなりに重要な事項だというのに、いい気なものだ。
もちろん、口には出さない、出せない。
暁美ほむらの眼が、耳が、何処の壁に障子にあるか知れたものではないから。

(聖杯に至る情報はないかもしれないけどぉ、わざわざ用意した図書館になにもないなんて無駄足力しないでしょ☆
 サーヴァントの伝承くらいは間違いなく置いているはずだゾ。
 そこから超能力とか魔術とか挟んで、世界を変える力について、何かわかればいいんだけど)

その結果如何で方針も考えるべきだろう。
聖杯戦争に勝つべく動くか。
天戯弥勒に勝つべく動くか。
願いを叶えるために。

「……犬飼さんの願いって家族のためにお金が欲しい、だったかしらぁ?」
「なーに、いきなり❤そうだけど」
「おしゃべりよ、おしゃべり。どんな家族か聞かせてよ」

本当に唯の気まぐれというか、会話のための会話。
心底知りたい情報なら能力を使えばいいが、それはコミュニケーションを疎かにしていい理由にはならないし、こうしたトークは嫌いではない。
命を懸けるほど、きな臭い職業について、こんなところに挑みかかる状況というのはどんなものなのか。
学園都市の暗部とは異なるだろうそれに触れていいかは悩むところだが、聖杯戦争にいるのだから願いのことを聞いてみたいと思った。

「ママはねー、犬飼恵介っていうの。
 伊介っていうのもママからもらった名前よ、いいでしょ?」
「そうね、いい名前だと思うわぁ。にしてもエイスケって、私が言うのもなんだけど変わった名前ねぇ」
「男の人みたいって思った?それ、正解❤」
「え?」

まさかの発言に少々驚く。
彼女の世界では父をママと呼ぶのか?と考えるが、それなら少々応答として疑問が残る。

「ちなみにパパも男よ」
「あー、そういう。納得したわぁ」

理解すればなんということはない。
別に同性婚くらいなら文化的にさほどおかしなものでもない。
暗殺者というきな臭い環境に置かれているとなると些か複雑に見えるが、本人たちが納得しているなら口出しするようなことでもない。

「養子なのねぇ。それでもこんなところに来るなんて家族仲力は良好そうで羨ましいわぁ」
「あっは、何それ❤
 でも伊介にとっては当たり前の事だから」

自信満々気に、誇らしげに語る。

「水はね、血よりも濃いの❤」

浴槽に満ちた水に映った伊介の口から、そう言葉が紡がれた。


【A-4/麒麟殿温泉/一日目・夜】

【犬飼伊介@悪魔のリドル】
[状態]疲労(中)魔力消費(微小) 微熱、PSIに覚醒
[令呪]残り三画
[装備]ナイフ
[道具]バッグ(学習用具はほぼなし、日用品や化粧品など)、ベレッタM92F(残弾12発)、コンビニで買った着替え
[思考・状況]
基本行動方針:さっさと聖杯戦争に勝利し、パパとママと幸せに暮らす
0.食蜂操祈に心を許さない。
1.もう少し休んだら刑兆たちと合流。
2.ホテルでもとって休養。
3.学園と家にはあまり近付かない。

[備考]
※『とある科学の心理掌握(メンタルアウト)』によってキャスターに令呪を使った命令が出来ません。
※一度キャスターに裏切られた(垣根帝督を前にしての逃亡)ことによりサーヴァント替えを視野に入れました。
※PSI粒子の影響と食蜂の処置により魔力量が増大。今後能力に覚醒するかは後続の方にお任せします。
→症状は現在完治とはいかないまでも小康状態にあります。


[共通備考]
※車で登校してきましたが、彼女らの性格的に拠点が遠くとは限りません。後続の方にお任せします。
※朽木ルキア&ランサー(前田慶次)を確認しました。
※人吉善吉、アサシン(垣根帝督)を確認しました。
※紅月カレン、セイバー(リンク)を確認しました。
※夜科アゲハ、セイバー(纒流子)の存在を知りました。
※洗脳した生徒により生徒名簿を確保、欠席者などについて調べさせていました。紅月カレン、人吉善吉、夜科アゲハの名簿確認済み。
※ライダー(ルフィ)を確認しました。
※ランサー(慶次)への絶対命令権を所有しています(宝具による)

【キャスター(食蜂操祈)@とある科学の超電磁砲】
[状態]ダメージ(大)、魔力消費(大)
[装備]
[道具]ハンドバック(リモコンが一つ)、アッシュフォード学園の制服
[思考・状況]
基本行動方針:勝ち残る。聖杯に託す願いはヒミツ☆
1.ホテルでもとって犬飼伊介を休ませる。
2.犬飼の体調が安定したら能力を試してみたい。
3.明日は図書館でサーヴァントや聖杯、世界改変について調べてみたい。
4.犬飼伊介には一応警戒する
[備考]
※高等部一年B組の生徒の多くを支配下に置きました。一部他の教室の生徒も支配下に置いてあります。
※ルキアに対して肉体操作が効かなかったことを確認、疑問視及び警戒しています。
※垣根帝督が現界していたことに恐怖を抱きました。彼を消したことにより満足感を得ています。
※人吉善吉に命令を行いました。後始末として『食蜂操祈』および『垣根帝督』のことを認識できなくしました。現在は操っておりません。
※ランサー(慶次)とセイバー(流子)の戦闘を目撃した生徒を洗脳し、その記憶を見ました。
 それにより、慶次の真名とアゲハの能力の一部を把握しました。流子の名は聞いていませんでした。
※まどかの記憶を見ました。少なくともインキュベーターのこと、ほむらの容姿、タダノとの同盟、ルフィの真名と能力を把握しています。他にどのようなことを知ったかは後続の方にお任せします。
※超能力を目覚めさせる因子の存在(PSI粒子)に気づきました。アッシュフォード学園、麒麟殿温泉の近くにあるとほぼ確信しています。
※ほむら、またはそのサーヴァントは情報収集の能力があると推察。重要事項は胸の内に秘めるつもりです。
※赤いテレホンカードの完成形はオティヌスの用いた『主神の槍(グングニル)』に近いものと考えています。

※以下の情報を刑兆、ライダー(ニューゲート)と共有しています。
  • アゲハ&セイバー(流子)、ルキア&ランサー(慶次)、善吉、カレン&セイバー(リンク)、タダノ&アーチャー(モリガン)、まどか&ライダー(ルフィ)、ほむら、ウォルター&ランサー(レミリア)の容姿と把握する限りの能力(ルフィについては伏せた点有)。
 サーヴァントならパラメータも把握。
  • アゲハ、ルキア、善吉、カレンのこの地での住所、連絡先。

  • アゲハはタダノを一撃で倒す程度の能力者である(暴王の月の存在)。
  • ルキアは稲妻のような物を放つ能力者である(白雷の存在)。
  • 善吉の技能と『欲視力』。
  • カレンは能力者ではないが、それなりに戦える人物である。
  • まどかは強力な魔法少女となり得る才能がある。
  • ほむらも魔法少女であり、操祈にダメージを与えることができる。
  • タダノはサキュバスのようなものに耐性があるかもしれない。ただし耐久はアゲハに倒されるくらいで、人並みか。
  • ウォルターは能力者ではないが、腕の立つ戦闘者。吸血鬼と何らかの因縁がありそう。

  • ランサー、真名は前田慶次。巨大な刀が変形(真名解放?)して朱い槍になると予測。
 逸話、もしくは技能系の宝具持ちと予測。
  • セイバー(流子)は『鋏』と『糸』がキーワードになる英霊。文明への反抗者と予測。
 二刀流の可能性を警戒。
  • セイバー(リンク)は剣技や騎乗スキルに加えて結界、炎などの多芸さから『勇者』がキーワードになると予測。
  • アーチャー(モリガン)は『サキュバス』と『分身』あるいは『もう一人の自分』がキーワード。
 リリム、あるいはリリト?それなら海、出血、原罪、天罰などが弱点で、子供は注意が必要。
 何かを撃ち出す宝具を持っているはず。
  • ランサー(レミリア)は『吸血鬼』がキーワード。
 ただしその吸血鬼としての在り方はあまりにベタすぎる。無辜の怪物や幻想上のものの様な迷信に近い存在と予測。
 宝具であろう槍を警戒。日光は弱点になると予測。
  • ライダー、真名はモンキー・D・ルフィ。ニューゲートの知り合いで能力者。
 キーワードを上げるなら『麦わら帽子』、『ゴムのような体』、『覇気』あたりか。

  • 刑兆はスタンド使い(バッド・カンパニーと言い、ビジョンも見せた)であり、多くの人物にスタンドを目覚めさせた経験がある。そのリスクなどについてそこそこ詳しい。
  • ライダー(ニューゲート)とルフィは知り合い。能力者。
  • キャスター(操祈)はアサシン、垣根帝督と同郷の超能力者で、垣根の方が上位。
 宝具(能力)は心を操ることで、対魔力で抵抗可能。

  • 能力を覚醒させる何か(PSI粒子)が学園、温泉近くにあり、それにより犬飼が学園都市の超能力に近いものを身に付けつつある。
  • 麒麟殿温泉は能力獲得時に頻発する体調不良を和らげる効能がある。
  • 魔力供給、対魔力、獲得のリスクに見る超能力、犬飼の能力(PSI)、スタンドの近似性。
  • 天上、天国に見る魔術、超能力、スタンドの近似性。
  • アゲハ、ルキア他多数のスタンドでも超能力でもなさそうな能力者の存在。
  • 魔法少女という人型の願望器の存在。その才能を持つ鹿目まどかに、魔法少女である暁美ほむら。
  • スタンドを目覚めさせてきた刑兆、学園都市の超能力者で『絶対能力進化』のことを知る垣根と操祈、『フラスコ計画』に関与した善吉など能力覚醒に関する参加者が多い。
  • 幻想御手(レベルアッパー)、虚数学区などの複数の能力者を束ねてなる超常の存在。
  • 不明金属(シャドウメタル)という、複数の能力者と天上が関わるであろう存在と、謎の磁性体である赤いテレホンカード。
→以上よりこの聖杯戦争はマスターを能力者として進化・覚醒させ絶対能力者(レベル6)『天之杯(ヘブンズフィール)』とし、サーヴァントも含めぶつけ合わせることで不明金属(シャドウメタル)を獲得。
 それによって『元いた世界へ行くテレホンカード』を『平行世界へ行く霊装』、『天上、あるいは根源へ行く霊装』、『英霊以上の超常の存在を連れて来る霊装』などに完成させようとしている、という予測。




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最終更新:2016年01月01日 00:18