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***神話前話 ◆wd6lXpjSKY 「おいおっさん! コイツを診てくれ!!」 ドン! 勢い良く病院に転がり込んだライダーことルフィは近くに居た医者にタダノの治療を頼む。 息を切らしながら下を向いているがタダノを落とすことは無かった。 幾ら腕が疲れようがまどかを背負っていようが彼が甘えることは無かった。 守れるものは総て守りたい。 口には出さずそんな大層な思想をも持ち併せていないが彼の信条とでも言うべきか。 彼を彼としている行いがそれを許さない。 仲間を見捨てる行いなど彼という存在が赦す筈がない。英霊だろうが海賊だろうが関係ない。 「君は一体……いや、今はいい。私が見てあげるから君とお嬢さんは待っていなさい」 「ありがとうございます……その脇腹が」 「見れば解る。何に貫かれたのか斬り裂かれたのかは解らないけど……事情は後で聞こう」 「頼む、おっさん。俺の仲間なんだ、だから頼む」 「出来る限りのことはするが……まぁ大丈夫だと思って待っていなさい。 それだけ呟くと医者は担架に乗せられたタダノを奥へと運んで行った。 それを見届けるまどかには若干ではあるが安堵の表情が浮かぶ。 色々なことが起こり過ぎた時間ではあったがある程度の終着は見せてくれるようだ。 そんな彼女を支配する不安はキャスターに攫われたことではない。 仲間であり友達であり大切な存在である彼女が支配していた。 「ほむらちゃ……なんで……」 突然の襲撃。 聖杯戦争に参加していたことも驚きだが敵に回るとは想像もしていない。 心の何処かで自分を助けてくれると期待していたのかもしれない。 そんな幻想を簡単に壊された鹿目まどかの心は暁美ほむらに支配されていた。 自分が比較的安全な環境に移れたからこそ頭が急激に働き始める。 だけど、それはタダノ負傷やキャスターの拉致ではなくてもっと近しい存在のことばかり。 気付けば彼女のことを考えている、嫌ではないが理由が理由であり喜ばしいモノではない。 暁美ほむら。 貴方はどうして私を襲ったの。 「まどか」 願いを叶えるため。 そのためなら私を殺してもいいってこと……なのかな。 「まどか」 魔法少女にとって最後のチャンス。 死に物狂いになってまでも掴み取りたいモノ……なんだよね。 「まどか!!」 「ふぇ!?」 現実に引き戻された鹿目まどかは小動物のような声を挙げる。 集中していたようでライダーの呼びかけを無視していたようだ。 恐る恐る彼を見るが怒りの表情は浮かべていなく、寧ろ此方を心配していた。 「お前、キャスターに変なことでもされたか?」 「ううん、私は大丈夫です。だから、その……ごめんなさい」 「……そっか。ならいい。タダノの所に行くぞ」 麦わら帽子を被り直すとそれだけ呟いてライダーさんは歩き出しました。 大丈夫。嘘になる……のかな。 きっとライダーさんは私が嘘を憑いていることを知っているんだと思う。 でも、私が口に出さないから知らないフリをしていてくれてる。強い人だな、って思います。 頼れて、ついつい甘えちゃうぐらい強い人で……答えを全部導いて欲しいとも思っちゃう。 そんなことを秘めながら鹿目まどかはライダーの後を着いて行く。 黙って歩いていると目の前から点滴をしている少年が歩いて来た。 病院だから当然ではあるが年も近い見た目をしているため何処か親近感を感じてしまう。 だがこの少年もNPCと考えるとどうも違和感しか感じないのが正直な所である。 タダノと会話しても、店員と会話しても、通行人と会話しても。 どれも違和感を感じない。違いがあるとすれば聖杯の話題になるか否かのみ。 直感ではNPCやマスターといった見分けなど出来る方が難しいだろう。 「――運ばれた男の人の知り合いですか?」 「え……そ、そうです」 すれ違いざまに少年は鹿目まどかに語り掛ける。 その言葉に反応し足を止める彼女。近くで見れば更に同年代であることを感じる。 自発的に話し掛けるNPCも存在する辺りこの空間は現実と何が違うのか。 魔女の反応は感じないがその代わりにサーヴァントがいるぐらいだろうか。 そんなことを考えていると少年は更に言葉を紡ぐ。 「あの人、鉄骨に刺されたみたいに脇腹が裂かれていたけど大丈夫?」 「すごい傷ですよね……でもカエルさんみたいなお医者さんは大丈夫って言ってくれましたけど……」 「カエル顔……? でも、お医者さんが言うなら大丈夫だよね」 カエル顔の医者。 初対面で申し訳ないが彼を表す表現にはうってつけの言葉である。 緊張的な場面ではあるが彼のおかけで空気が和んでいる。 決して彼の顔を貶している訳ではないので、勘違いしないでもらいたい。 少年が言ったとおりタダノの傷は深い。 始まりの男である夜科アゲハが放った黒い流星の切れ味は尋常じゃ無いほどに鋭く。 直撃こそしていないがその痛撃でタダノは意識を手放している。 部外者から見れば貫かれただの斬り裂かれただの。 とにかく現実とはかけ離れた漫画や映画でしか見たことの無いような傷であった。 少年が気になってまどかに話し掛けるのも無理は無い。 「もしかして、普段からあんな危険なことに関わっているの?」 「え、いや……そんな訳はない、かな?」 「だよね……うん。突然ごめんね」 鹿目まどかの心臓は若干鼓動を早める。 下手に解答しては自分が聖杯戦争に参加していることをバラしてしまう。 出来るだけ慎重に……と考えていたが少年はあっさり納得し少し笑っていた。 現実を噛み締めながら鹿目まどかは思う。 願いは叶えたい。でも帰りたい。 二つの気持ちが渦を巻く中、その中心には暁美ほむらの存在が浮かぶ。 願いを叶えても。 元の世界に帰っても。 其処に暁美ほむらが居る保証は何処にも無い。 「じゃあ、行くぞまどか」 「あ……はい」 「まどかって言うんだね……僕は浅羽直之、って紹介しても意味無いよね」 笑い気混じりに浅羽は自分の名前を告げる。 「そう……かもね。それじゃ、さよなら? でいいのかな」 「うん。さようなら、まどかさん」 こうして二人の少年少女は出会いを果たす。 方やNPCと思い込んでいる鹿目まどかだがそれが幸せかもしれない。 敵に気付かないとはある意味で幸運なことである。 戦闘をサーヴァントに任せていればそれに越したことはない故に。 エレベーターのスイッチを押し到着するのを待つ。 その光景にライダーが少年のような瞳ではしゃいでいるのが印象深い。 頼れる存在だったり笑える存在だったりライダーの存在は鹿目まどかにとっての支えになっていた。 「君も参加者なんだねまどかさん……あの麦わら帽子のサーヴァントも強そうだったし」 ガコンと音を立てながら飛び出して来た冷たいお茶の缶がやけに冷たく感じた。 周りには誰もいなくて僕一人だけなのが聖杯戦争の境遇を表しているようで何だか虚しくなってくる。 エレベーターを見送りながら缶を開けてお茶を飲んだ。今日のお茶は冷たい。 病室に入室しベッドに腰掛けるまどかとそれを見ているライダー。 カエル顔の医者が言うに、タダノは別に死ぬ訳でもないし明日になれば動ける程度には治るとのことだった。 激しい運動は出来るだけ控えるようにと忠告されたが警察という職業柄厳しいかもね。と、言葉を添えられた。 まどかに何か聞き出したいような表情を浮かべていたが、彼女の悲しい瞳を前に諦め、間を空けた後に微笑む。 事情聴取などは明日にでも警察の方でやるだろうし、幸いこの病室に患者は居ないから泊まっていくといい。 そう言い残しカエル顔の医者が去ったのが数分前の出来事であった。 (ほむらちゃん……) 鹿目まどかが想うのは自分を攫ったキャスターではない。 勿論気になっているし、これからの戦いで関わるような何かを感じるがそれよりも濃い想い。 暁美ほむら。友達である存在からの襲撃は彼女の心に深い謎と闇を残している。 何故なのか。 参加していることにも驚いたが自分が参加している以上、友達が居ても不思議ではない。 いや、不思議である。鹿目まどかは自らの意思による参加ではなく巻き込まれての参加だ。 誰にも言っていないし、言える状況でも無ければ、参加している現状を報告することも出来ない。 その中で暁美ほむらが現れたのは何か特別な、偶然では片付けられない運命を感じてしまう。 運命を解体していくとそこには見滝原や魔法少女の共通項が浮かび上がっていく。 もしかしたら美樹さやかを始めとする他の友達も参加しているかもしれない。 巴マミならば頼れる先輩として自分を導いてくれるだろうか。既に死んでいる。 佐倉杏子なら不器用ながらにこの世界を生きているのだろうか。閉ざされた世界で。 美樹さやかならばいつものように笑顔で接してくれのだろうか。黒く穢れきったソウルジェムを携えて。 ここまで考えると全員に繋がる共通項が一つ浮かび上がってくるのは避けられない。 それは魔法少女ではない。軸である自分が契約していないために除外する。 すると点と点を結び合わせた時、中心にくる『存在』が一つ、まっさらな紙に絵の具を零すように。 どうしようもない現状を創り上げる一つの存在が彼女達を繋ぎ合わせているのだ。 「もしかしてキュゥべぇ……あなたが私達を聖杯戦争に参加させたの……?」 これはただの空論であり子供が将来の夢は海賊王だとか世界を統べるだとか同類である。 根拠も無ければ証拠も無く、なんでと聞かれれば無言になってしまう幼稚な発想と変わらない。 強いて言うならば直感だとか運命を感じるだとか、オカルト的な解答になりかねない。 そんなことを言われても困るだけである。最も話す相手がいない。いるとすればタダノだろうか。 「ライダーさん……?」 タダノは別の病室にて絶賛安静中ではあるが、この病室にはライダーが居る。 自分の境遇を考えるよりもまず、彼との情報共有に務めるべきだったとまどかは想う。 自分が攫われている間に何があったのか聞いておかなければならない。 そしてキャスターとのことや暁美ほむらのことを彼に伝えなければならない。 やらねばやらぬことを考え、振り向くとライダーは寝ていた。 ベッドの上で大の字、布団も掛けないで豪快に寝ていた。 その姿は聖杯戦争中でありながらも、何処かどうしようもなく笑みが溢れてくる光景である。 自分を助けるために無茶をしてくれたんだろう。頭が上がらない。 彼は強い。 それはステータスの話ではなく一人の人間として強く感じている。 どんな嵐に負けずに立ち向かう。ピンチの時には傍に駆けつけて一緒に居てくれる安心感。 空高くまで走りだすような勢いと世界中の海を股に掛けるような行動力は純粋に羨ましい。 自由の象徴でもある彼に鹿目まどかは意図せずに頼っている。 本来ならばマスターである自分がしっかりしなくてはならない、頬を叩いて切り替える。 外を見れば太陽も沈んでいる。 今日は色々なことがあった。明日がもっといい日になるとは限らないのだ。 寝れる時に寝てしまおう。いざという時に動けなければ迷惑を掛けてしまうから。 ボタンを押して部屋の電気を消すまどか。シャワーの一つでも浴びたいが朝に済ませよう。 布団の中に入り暖かい温もりを感じる。 身体の中から一気に疲れが溢れだし、眠気が一緒に襲って来た。 これならば早く寝れそうだ。そう想い瞳を閉じた彼女の聖杯戦争一日目は終了する。 「ほむらちゃん……」 最も何もかも忘れることなど不可能で。 今日起きた出来事総てが悪夢となって現れると思ってしまう程に、不安が心を支配していた。 【C-7/病院/一日目・夜】 【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】 [状態]睡眠中、疲労(小)、不安 [装備]なし [道具]なし [思考・状況] 基本行動方針:叶えたい願いはあるが人を殺したくないし死にたくもない。 0.今日は眠る。 1.キャスター(食蜂)への親近感、タダノへの攻撃、ほむらの襲撃などいろいろあって混乱。 2.起きたらタダノと会話をする。 3.聖杯戦争への恐怖はあるが、『覚悟』を決めたい。 4.魔女のような危険人物は倒すべき…? [備考] ※バーサーカー(一方通行)の姿を確認しました。 ※ポケットに学生証が入っています。 表に学校名とクラス、裏にこの場での住所が書かれています。 ※どこに家があるかは後続の方に任せます。 ※アーチャー(モリガン)とタダノは同盟相手ですが、理由なくNPCを喰らうことに少なくない抵抗感を覚えています。 ※セイバー(流子)、ランサー(慶次)、キャスター(食蜂)を確認しました。 ※『とある科学の心理掌握(メンタルアウト)』により食蜂に親近感を抱かされていました。 ※暁美ほむらと自動人形を確認しました。 【モンキー・D・ルフィ@ONE PIECE】 [状態]睡眠中 [装備]なし [道具]なし [思考・状況] 基本行動方針:まどかを守る。 1.寝る!! 2.タダノを攻撃した奴についてはアーチャー(モリガン)に任せる。 3.バーサーカー(一方通行)に次会ったらぶっ飛ばす。 4.バーサーカーに攻撃がどうやったら通るか考える。 5.タダノとの同盟や今後の動きについてはまどかの指示に従う。 6.肉食いたい。 [備考] ※バーサーカー(一方通行)と交戦しました。  攻撃が跳ね返されているのは理解しましたがそれ以外のことはわかっていません。 ※名乗るとまずいのを何となく把握しました。以降ルーシーと名乗るつもりですが、どこまで徹底できるかは定かではありません。 ※橋を渡り、まっすぐ(ルフィ主観で)走っています。まどかがいる+市街地なので病院を見落とすことはないと思いますが実際どうなるかは後続の方に任せします。 [共通備考] ※タダノ&アーチャー(モリガン)と同盟を組みました。  自分たちの能力の一部、バーサーカー(一方通行)の容姿や能力などの情報を提供しましたが、具体的な内容については後続の方にお任せします。 【タダノ ヒトナリ@真・女神転生 STRANGE JOURNEY】 [状態]魔力消費(小)、ダメージ(処置済み) [装備]なし [道具]なし [思考・状況] 基本行動方針:聖杯戦争に勝利する 1.気絶中 [備考] ※警察官の役割が割り振られています。階級は巡査長です。 ※セイバー(リンク)、カレン、ライダー(ニューゲート)、刑兆について報告を受けました。(名前は知らない)  ライダー(ニューゲート)のことはランサーと推察しています。 ※ルフィの真名をルーシーだと思っています。 ※ノーヘル犯罪者(カレン、リンク)が聖杯戦争参加者と知りました。 ※まどか&ライダー(ルフィ)と同盟を結ぶました。  自分たちの能力の一部、連絡先、学生マスターと交戦したことなどの情報を提供しましたが、具体的な内容については後続の方にお任せします。 ※人吉、セイバー(纒流子)、ルキア、ランサー(慶次)、キャスター(食蜂)を確認しました。 病室に戻るとアーチャーさんが当然のように僕を待っていた。 眠りから覚めたあとに聖杯戦争の事を考えると僕は頭が少し痛くなっていた。 脱落者が出たということは戦闘が始まっていることを肯定している。 僕が眠っている間に殺し合いが行われているのは、常に背中に敵が潜んでいるようで落ち着かない。 気を紛らわせようとお茶を買いに行ったらまさか他のマスターと出会うなんて想像もしてなかった。 空気を入れ替えるどころか、ぞっとする体験だった。 唯でさえ急患のように運ばれてきた男の人も令呪を宿していたのに。 自分を含めると最低でも三人のマスターが病院に居ることになる。 「お茶、入ります?」 考えるだけで恐ろしい。僕はそっとアーチャーさんにお茶を差し出した。 「僕はいいよ。気持ちだけってことにしておいて」 手を数回顔の前で振り拒否られてしまった。 サーヴァントにはそもそも食事や給水は必要ないのかもしれない。 さて。僕はこれから何を話せばいいのか解っていなく、気付けば無言になっていた。 「学園のニュースについてだけど」 浅羽が黙っているのを感づいてかアーチャーは語り掛ける。 「屋上での爆発ですよね?」 「そう。解っているとは思うけど聖杯戦争参加者の仕業だと思っている」 日中に起きたアッシュフォード学園での屋上爆破事件は大々的に取り上げられている。 病院内を歩いても患者や医者、看護師の話題はそれ一色に近い状態だった。 当然ではあるが、日本の学園で爆破事件など起こることは滅多に無いケースである。 聖杯戦争に関わる世界ならではのイベントと言えよう。 屋上で戦闘を行った。つまり学園内にいる生徒には配慮したのだろう。 願いを求めて参加しているからにはなりふり構っていられない参加者もいると思っていた。 それは嬉しい誤算でもあるが、願いを求めて参加している以上、遊びではない。 浅羽もその参加者の一人であり、自らの意思で参加しているのだ。 などと考えるのは当然過ぎることであり、黙ってアーチャーの話に耳を傾ける。 「それで。僕達が遭遇した参加者は老人一人と理性を持ったバーサーカー、そのマスターだけ」 一人は老人。 浅羽がPSI粒子の影響で体調を崩していた時に現れた老人。 共闘を持ち掛け、あろうことかアーチャーに鞘替えを提案した人物だ。 アーチャーは彼とは異なる人種であり交渉は決裂、次に会う時は敵同士の関係になる。 サーヴァントを引き連れずに交渉を持ち掛け、内容も大胆であった。 それでも生身で仕掛けてきたことを考えると実力に相当の自信があるのだろう。 もう一人はバーサーカーとそのマスター。 理性を持った狂戦士は翼を操り腕を振るい大地を抉っていた。 バーサーカー同士の戦闘は一言で表せば圧巻であり、出来れば関わりたくない。 「情報が少ない――大胆に学園に出向いて情報収集をしようと思うんだ」 立ち回るにも圧倒的情報力不足は戦闘に響いて来るだろう。 彼らは知らないが、とあるキャスターは地力は最低層ながらも情報を駆使して学園を手球に取っていた。 お世辞にもステータスが高いとは言えないアーチャー。 無論、数値だけが総てではなく、数値だけで決着が着くなら戦闘は要らないだろう。 彼が提案したのは戦闘があったであろう学園への潜入だった。 犯人は現場に戻る。言葉通り他の参加者と遭遇出来るかもしれない。 戦痕から何か他サーヴァントに対する手掛かりを掴めるかもしない。 ニュースを見て同じことを考えた参加者が学園に来るかもしれない。 「だから君の答えを知りたい。夜の学園に潜入するのは行儀悪いってなら大人しく――」 一人で向かう。 言葉には出さずに、喉元で抑えこむ。 なるべくならマスターに負担は掛けたくない。 唯でさえイレギュラーである聖杯戦争だ。精神的負担は少ないほうが安全に決っている。 「夜の学園……なんだか、ワクワクしますよね」 その言葉にはどこか懐かしみを感じて、ちょっぴり切ない響きだった。 対する答えは笑みを含めた予想外な一声だった。 優等生風であるマスターからそんな答えが返ってくるのは正直に言って驚きである。 詮索はしないが有難い限りであった。 「後悔は無いね?」 「勿論です。殻に閉じ籠もってたら……何のために聖杯戦争に参加したか解らないから」 彼にはもう一度逢いたい存在がいる。 願いを叶えるために危険を承知で参加しているんだ。 黙っていたら何も変わらない、だから――。 窓の隙間から吹いてくる夜風が今日はやけに冷たく感じた。 【浅羽直之@イリヤの空、UFOの夏】 [状態]健康 [令呪]残り3画 [装備]なし [道具]なし [思考・状況] 基本行動方針:聖杯の獲得を目指す。 1.学園に向かう 2.アーチャーに運ばれてきた男(タダノ)とまどかのことを話す [備考] ※PSI粒子の影響を受け、PSIの力に目覚めかけています。身体の不調はそのためです。 →念話を問題なく扱えるようになりました。今後トランス系のPSIなどをさらに習得できるかは後続の方にお任せします。 ※学園の事件を知りました。 ※タダノがマスターであることを知りました。 ※まどか、ライダー(ルフィ)を確認しました。 【穹徹仙@天上天下】 [状態]健康 [装備]NATO製特殊ゴム [道具]ダーツ×n本 [思考・状況] 基本行動方針:聖杯を目指す 1.学園に向かう。 2.マスターを守る。 [備考] ※学園の事件を知りました。 [共通備考] ※美樹さやか、不動明、間桐雁夜、一方通行の戦闘を目撃しました。 ---- |BACK||NEXT| |044:[[Cat Fight!!!]]|[[投下順>本編SS目次・投下順]]|046-a:[[背に腹は]]| |044:[[Cat Fight!!!]]|[[時系列順>本編SS目次・時系列順]]|046-a:[[背に腹は]]| |BACK|登場キャラ|NEXT| |043:[[裏切りの夕焼け]]|[[浅羽直之]]&アーチャー([[穹徹仙]])|050-a:[[月夜を彩るShuffle Beat]]| |044:[[とある戦士の相互理解(ウェイトゥアンサー)]]|[[タダノヒトナリ]]|056-a:[[未知との再会]]| |~|[[鹿目まどか]]&ライダー([[モンキー・D・ルフィ]])|054:[[MEMORIA]]|
***神話前話 ◆wd6lXpjSKY 「おいおっさん! コイツを診てくれ!!」 ドン! 勢い良く病院に転がり込んだライダーことルフィは近くに居た医者にタダノの治療を頼む。 息を切らしながら下を向いているがタダノを落とすことは無かった。 幾ら腕が疲れようがまどかを背負っていようが彼が甘えることは無かった。 守れるものは総て守りたい。 口には出さずそんな大層な思想をも持ち併せていないが彼の信条とでも言うべきか。 彼を彼としている行いがそれを許さない。 仲間を見捨てる行いなど彼という存在が赦す筈がない。英霊だろうが海賊だろうが関係ない。 「君は一体……いや、今はいい。私が見てあげるから君とお嬢さんは待っていなさい」 「ありがとうございます……その脇腹が」 「見れば解る。何に貫かれたのか斬り裂かれたのかは解らないけど……事情は後で聞こう」 「頼む、おっさん。俺の仲間なんだ、だから頼む」 「出来る限りのことはするが……まぁ大丈夫だと思って待っていなさい。 それだけ呟くと医者は担架に乗せられたタダノを奥へと運んで行った。 それを見届けるまどかには若干ではあるが安堵の表情が浮かぶ。 色々なことが起こり過ぎた時間ではあったがある程度の終着は見せてくれるようだ。 そんな彼女を支配する不安はキャスターに攫われたことではない。 仲間であり友達であり大切な存在である彼女が支配していた。 「ほむらちゃ……なんで……」 突然の襲撃。 聖杯戦争に参加していたことも驚きだが敵に回るとは想像もしていない。 心の何処かで自分を助けてくれると期待していたのかもしれない。 そんな幻想を簡単に壊された鹿目まどかの心は暁美ほむらに支配されていた。 自分が比較的安全な環境に移れたからこそ頭が急激に働き始める。 だけど、それはタダノ負傷やキャスターの拉致ではなくてもっと近しい存在のことばかり。 気付けば彼女のことを考えている、嫌ではないが理由が理由であり喜ばしいモノではない。 暁美ほむら。 貴方はどうして私を襲ったの。 「まどか」 願いを叶えるため。 そのためなら私を殺してもいいってこと……なのかな。 「まどか」 魔法少女にとって最後のチャンス。 死に物狂いになってまでも掴み取りたいモノ……なんだよね。 「まどか!!」 「ふぇ!?」 現実に引き戻された鹿目まどかは小動物のような声を挙げる。 集中していたようでライダーの呼びかけを無視していたようだ。 恐る恐る彼を見るが怒りの表情は浮かべていなく、寧ろ此方を心配していた。 「お前、キャスターに変なことでもされたか?」 「ううん、私は大丈夫です。だから、その……ごめんなさい」 「……そっか。ならいい。タダノの所に行くぞ」 麦わら帽子を被り直すとそれだけ呟いてライダーさんは歩き出しました。 大丈夫。嘘になる……のかな。 きっとライダーさんは私が嘘を憑いていることを知っているんだと思う。 でも、私が口に出さないから知らないフリをしていてくれてる。強い人だな、って思います。 頼れて、ついつい甘えちゃうぐらい強い人で……答えを全部導いて欲しいとも思っちゃう。 そんなことを秘めながら鹿目まどかはライダーの後を着いて行く。 黙って歩いていると目の前から点滴をしている少年が歩いて来た。 病院だから当然ではあるが年も近い見た目をしているため何処か親近感を感じてしまう。 だがこの少年もNPCと考えるとどうも違和感しか感じないのが正直な所である。 タダノと会話しても、店員と会話しても、通行人と会話しても。 どれも違和感を感じない。違いがあるとすれば聖杯の話題になるか否かのみ。 直感ではNPCやマスターといった見分けなど出来る方が難しいだろう。 「――運ばれた男の人の知り合いですか?」 「え……そ、そうです」 すれ違いざまに少年は鹿目まどかに語り掛ける。 その言葉に反応し足を止める彼女。近くで見れば更に同年代であることを感じる。 自発的に話し掛けるNPCも存在する辺りこの空間は現実と何が違うのか。 魔女の反応は感じないがその代わりにサーヴァントがいるぐらいだろうか。 そんなことを考えていると少年は更に言葉を紡ぐ。 「あの人、鉄骨に刺されたみたいに脇腹が裂かれていたけど大丈夫?」 「すごい傷ですよね……でもカエルさんみたいなお医者さんは大丈夫って言ってくれましたけど……」 「カエル顔……? でも、お医者さんが言うなら大丈夫だよね」 カエル顔の医者。 初対面で申し訳ないが彼を表す表現にはうってつけの言葉である。 緊張的な場面ではあるが彼のおかけで空気が和んでいる。 決して彼の顔を貶している訳ではないので、勘違いしないでもらいたい。 少年が言ったとおりタダノの傷は深い。 始まりの男である夜科アゲハが放った黒い流星の切れ味は尋常じゃ無いほどに鋭く。 直撃こそしていないがその痛撃でタダノは意識を手放している。 部外者から見れば貫かれただの斬り裂かれただの。 とにかく現実とはかけ離れた漫画や映画でしか見たことの無いような傷であった。 少年が気になってまどかに話し掛けるのも無理は無い。 「もしかして、普段からあんな危険なことに関わっているの?」 「え、いや……そんな訳はない、かな?」 「だよね……うん。突然ごめんね」 鹿目まどかの心臓は若干鼓動を早める。 下手に解答しては自分が聖杯戦争に参加していることをバラしてしまう。 出来るだけ慎重に……と考えていたが少年はあっさり納得し少し笑っていた。 現実を噛み締めながら鹿目まどかは思う。 願いは叶えたい。でも帰りたい。 二つの気持ちが渦を巻く中、その中心には暁美ほむらの存在が浮かぶ。 願いを叶えても。 元の世界に帰っても。 其処に暁美ほむらが居る保証は何処にも無い。 「じゃあ、行くぞまどか」 「あ……はい」 「まどかって言うんだね……僕は浅羽直之、って紹介しても意味無いよね」 笑い気混じりに浅羽は自分の名前を告げる。 「そう……かもね。それじゃ、さよなら? でいいのかな」 「うん。さようなら、まどかさん」 こうして二人の少年少女は出会いを果たす。 方やNPCと思い込んでいる鹿目まどかだがそれが幸せかもしれない。 敵に気付かないとはある意味で幸運なことである。 戦闘をサーヴァントに任せていればそれに越したことはない故に。 エレベーターのスイッチを押し到着するのを待つ。 その光景にライダーが少年のような瞳ではしゃいでいるのが印象深い。 頼れる存在だったり笑える存在だったりライダーの存在は鹿目まどかにとっての支えになっていた。 「君も参加者なんだねまどかさん……あの麦わら帽子のサーヴァントも強そうだったし」 ガコンと音を立てながら飛び出して来た冷たいお茶の缶がやけに冷たく感じた。 周りには誰もいなくて僕一人だけなのが聖杯戦争の境遇を表しているようで何だか虚しくなってくる。 エレベーターを見送りながら缶を開けてお茶を飲んだ。今日のお茶は冷たい。 病室に入室しベッドに腰掛けるまどかとそれを見ているライダー。 カエル顔の医者が言うに、タダノは別に死ぬ訳でもないし明日になれば動ける程度には治るとのことだった。 激しい運動は出来るだけ控えるようにと忠告されたが警察という職業柄厳しいかもね。と、言葉を添えられた。 まどかに何か聞き出したいような表情を浮かべていたが、彼女の悲しい瞳を前に諦め、間を空けた後に微笑む。 事情聴取などは明日にでも警察の方でやるだろうし、幸いこの病室に患者は居ないから泊まっていくといい。 そう言い残しカエル顔の医者が去ったのが数分前の出来事であった。 (ほむらちゃん……) 鹿目まどかが想うのは自分を攫ったキャスターではない。 勿論気になっているし、これからの戦いで関わるような何かを感じるがそれよりも濃い想い。 暁美ほむら。友達である存在からの襲撃は彼女の心に深い謎と闇を残している。 何故なのか。 参加していることにも驚いたが自分が参加している以上、友達が居ても不思議ではない。 いや、不思議である。鹿目まどかは自らの意思による参加ではなく巻き込まれての参加だ。 誰にも言っていないし、言える状況でも無ければ、参加している現状を報告することも出来ない。 その中で暁美ほむらが現れたのは何か特別な、偶然では片付けられない運命を感じてしまう。 運命を解体していくとそこには見滝原や魔法少女の共通項が浮かび上がっていく。 もしかしたら美樹さやかを始めとする他の友達も参加しているかもしれない。 巴マミならば頼れる先輩として自分を導いてくれるだろうか。既に死んでいる。 佐倉杏子なら不器用ながらにこの世界を生きているのだろうか。閉ざされた世界で。 美樹さやかならばいつものように笑顔で接してくれのだろうか。黒く穢れきったソウルジェムを携えて。 ここまで考えると全員に繋がる共通項が一つ浮かび上がってくるのは避けられない。 それは魔法少女ではない。軸である自分が契約していないために除外する。 すると点と点を結び合わせた時、中心にくる『存在』が一つ、まっさらな紙に絵の具を零すように。 どうしようもない現状を創り上げる一つの存在が彼女達を繋ぎ合わせているのだ。 「もしかしてキュゥべぇ……あなたが私達を聖杯戦争に参加させたの……?」 これはただの空論であり子供が将来の夢は海賊王だとか世界を統べるだとか同類である。 根拠も無ければ証拠も無く、なんでと聞かれれば無言になってしまう幼稚な発想と変わらない。 強いて言うならば直感だとか運命を感じるだとか、オカルト的な解答になりかねない。 そんなことを言われても困るだけである。最も話す相手がいない。いるとすればタダノだろうか。 「ライダーさん……?」 タダノは別の病室にて絶賛安静中ではあるが、この病室にはライダーが居る。 自分の境遇を考えるよりもまず、彼との情報共有に務めるべきだったとまどかは想う。 自分が攫われている間に何があったのか聞いておかなければならない。 そしてキャスターとのことや暁美ほむらのことを彼に伝えなければならない。 やらねばやらぬことを考え、振り向くとライダーは寝ていた。 ベッドの上で大の字、布団も掛けないで豪快に寝ていた。 その姿は聖杯戦争中でありながらも、何処かどうしようもなく笑みが溢れてくる光景である。 自分を助けるために無茶をしてくれたんだろう。頭が上がらない。 彼は強い。 それはステータスの話ではなく一人の人間として強く感じている。 どんな嵐に負けずに立ち向かう。ピンチの時には傍に駆けつけて一緒に居てくれる安心感。 空高くまで走りだすような勢いと世界中の海を股に掛けるような行動力は純粋に羨ましい。 自由の象徴でもある彼に鹿目まどかは意図せずに頼っている。 本来ならばマスターである自分がしっかりしなくてはならない、頬を叩いて切り替える。 外を見れば太陽も沈んでいる。 今日は色々なことがあった。明日がもっといい日になるとは限らないのだ。 寝れる時に寝てしまおう。いざという時に動けなければ迷惑を掛けてしまうから。 ボタンを押して部屋の電気を消すまどか。シャワーの一つでも浴びたいが朝に済ませよう。 布団の中に入り暖かい温もりを感じる。 身体の中から一気に疲れが溢れだし、眠気が一緒に襲って来た。 これならば早く寝れそうだ。そう想い瞳を閉じた彼女の聖杯戦争一日目は終了する。 「ほむらちゃん……」 最も何もかも忘れることなど不可能で。 今日起きた出来事総てが悪夢となって現れると思ってしまう程に、不安が心を支配していた。 【C-7/病院/一日目・夜】 【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】 [状態]睡眠中、疲労(小)、不安 [装備]なし [道具]なし [思考・状況] 基本行動方針:叶えたい願いはあるが人を殺したくないし死にたくもない。 0.今日は眠る。 1.キャスター(食蜂)への親近感、タダノへの攻撃、ほむらの襲撃などいろいろあって混乱。 2.起きたらタダノと会話をする。 3.聖杯戦争への恐怖はあるが、『覚悟』を決めたい。 4.魔女のような危険人物は倒すべき…? [備考] ※バーサーカー(一方通行)の姿を確認しました。 ※ポケットに学生証が入っています。 表に学校名とクラス、裏にこの場での住所が書かれています。 ※どこに家があるかは後続の方に任せます。 ※アーチャー(モリガン)とタダノは同盟相手ですが、理由なくNPCを喰らうことに少なくない抵抗感を覚えています。 ※セイバー(流子)、ランサー(慶次)、キャスター(食蜂)を確認しました。 ※『とある科学の心理掌握(メンタルアウト)』により食蜂に親近感を抱かされていました。 ※暁美ほむらと自動人形を確認しました。 【モンキー・D・ルフィ@ONE PIECE】 [状態]睡眠中 [装備]なし [道具]なし [思考・状況] 基本行動方針:まどかを守る。 1.寝る!! 2.タダノを攻撃した奴についてはアーチャー(モリガン)に任せる。 3.バーサーカー(一方通行)に次会ったらぶっ飛ばす。 4.バーサーカーに攻撃がどうやったら通るか考える。 5.タダノとの同盟や今後の動きについてはまどかの指示に従う。 6.肉食いたい。 [備考] ※バーサーカー(一方通行)と交戦しました。  攻撃が跳ね返されているのは理解しましたがそれ以外のことはわかっていません。 ※名乗るとまずいのを何となく把握しました。以降ルーシーと名乗るつもりですが、どこまで徹底できるかは定かではありません。 ※橋を渡り、まっすぐ(ルフィ主観で)走っています。まどかがいる+市街地なので病院を見落とすことはないと思いますが実際どうなるかは後続の方に任せします。 [共通備考] ※タダノ&アーチャー(モリガン)と同盟を組みました。  自分たちの能力の一部、バーサーカー(一方通行)の容姿や能力などの情報を提供しましたが、具体的な内容については後続の方にお任せします。 【タダノ ヒトナリ@真・女神転生 STRANGE JOURNEY】 [状態]魔力消費(小)、ダメージ(処置済み) [装備]なし [道具]なし [思考・状況] 基本行動方針:聖杯戦争に勝利する 1.気絶中 [備考] ※警察官の役割が割り振られています。階級は巡査長です。 ※セイバー(リンク)、カレン、ライダー(ニューゲート)、刑兆について報告を受けました。(名前は知らない)  ライダー(ニューゲート)のことはランサーと推察しています。 ※ルフィの真名をルーシーだと思っています。 ※ノーヘル犯罪者(カレン、リンク)が聖杯戦争参加者と知りました。 ※まどか&ライダー(ルフィ)と同盟を結ぶました。  自分たちの能力の一部、連絡先、学生マスターと交戦したことなどの情報を提供しましたが、具体的な内容については後続の方にお任せします。 ※人吉、セイバー(纒流子)、ルキア、ランサー(慶次)、キャスター(食蜂)を確認しました。 病室に戻るとアーチャーさんが当然のように僕を待っていた。 眠りから覚めたあとに聖杯戦争の事を考えると僕は頭が少し痛くなっていた。 脱落者が出たということは戦闘が始まっていることを肯定している。 僕が眠っている間に殺し合いが行われているのは、常に背中に敵が潜んでいるようで落ち着かない。 気を紛らわせようとお茶を買いに行ったらまさか他のマスターと出会うなんて想像もしてなかった。 空気を入れ替えるどころか、ぞっとする体験だった。 唯でさえ急患のように運ばれてきた男の人も令呪を宿していたのに。 自分を含めると最低でも三人のマスターが病院に居ることになる。 「お茶、入ります?」 考えるだけで恐ろしい。僕はそっとアーチャーさんにお茶を差し出した。 「僕はいいよ。気持ちだけってことにしておいて」 手を数回顔の前で振り拒否られてしまった。 サーヴァントにはそもそも食事や給水は必要ないのかもしれない。 さて。僕はこれから何を話せばいいのか解っていなく、気付けば無言になっていた。 「学園のニュースについてだけど」 浅羽が黙っているのを感づいてかアーチャーは語り掛ける。 「屋上での爆発ですよね?」 「そう。解っているとは思うけど聖杯戦争参加者の仕業だと思っている」 日中に起きたアッシュフォード学園での屋上爆破事件は大々的に取り上げられている。 病院内を歩いても患者や医者、看護師の話題はそれ一色に近い状態だった。 当然ではあるが、日本の学園で爆破事件など起こることは滅多に無いケースである。 聖杯戦争に関わる世界ならではのイベントと言えよう。 屋上で戦闘を行った。つまり学園内にいる生徒には配慮したのだろう。 願いを求めて参加しているからにはなりふり構っていられない参加者もいると思っていた。 それは嬉しい誤算でもあるが、願いを求めて参加している以上、遊びではない。 浅羽もその参加者の一人であり、自らの意思で参加しているのだ。 などと考えるのは当然過ぎることであり、黙ってアーチャーの話に耳を傾ける。 「それで。僕達が遭遇した参加者は老人一人と理性を持ったバーサーカー、そのマスターだけ」 一人は老人。 浅羽がPSI粒子の影響で体調を崩していた時に現れた老人。 共闘を持ち掛け、あろうことかアーチャーに鞘替えを提案した人物だ。 アーチャーは彼とは異なる人種であり交渉は決裂、次に会う時は敵同士の関係になる。 サーヴァントを引き連れずに交渉を持ち掛け、内容も大胆であった。 それでも生身で仕掛けてきたことを考えると実力に相当の自信があるのだろう。 もう一人はバーサーカーとそのマスター。 理性を持った狂戦士は翼を操り腕を振るい大地を抉っていた。 バーサーカー同士の戦闘は一言で表せば圧巻であり、出来れば関わりたくない。 「情報が少ない――大胆に学園に出向いて情報収集をしようと思うんだ」 立ち回るにも圧倒的情報力不足は戦闘に響いて来るだろう。 彼らは知らないが、とあるキャスターは地力は最低層ながらも情報を駆使して学園を手球に取っていた。 お世辞にもステータスが高いとは言えないアーチャー。 無論、数値だけが総てではなく、数値だけで決着が着くなら戦闘は要らないだろう。 彼が提案したのは戦闘があったであろう学園への潜入だった。 犯人は現場に戻る。言葉通り他の参加者と遭遇出来るかもしれない。 戦痕から何か他サーヴァントに対する手掛かりを掴めるかもしない。 ニュースを見て同じことを考えた参加者が学園に来るかもしれない。 「だから君の答えを知りたい。夜の学園に潜入するのは行儀悪いってなら大人しく――」 一人で向かう。 言葉には出さずに、喉元で抑えこむ。 なるべくならマスターに負担は掛けたくない。 唯でさえイレギュラーである聖杯戦争だ。精神的負担は少ないほうが安全に決っている。 「夜の学園……なんだか、ワクワクしますよね」 その言葉にはどこか懐かしみを感じて、ちょっぴり切ない響きだった。 対する答えは笑みを含めた予想外な一声だった。 優等生風であるマスターからそんな答えが返ってくるのは正直に言って驚きである。 詮索はしないが有難い限りであった。 「後悔は無いね?」 「勿論です。殻に閉じ籠もってたら……何のために聖杯戦争に参加したか解らないから」 彼にはもう一度逢いたい存在がいる。 願いを叶えるために危険を承知で参加しているんだ。 黙っていたら何も変わらない、だから――。 窓の隙間から吹いてくる夜風が今日はやけに冷たく感じた。 【浅羽直之@イリヤの空、UFOの夏】 [状態]健康 [令呪]残り3画 [装備]なし [道具]なし [思考・状況] 基本行動方針:聖杯の獲得を目指す。 1.学園に向かう 2.アーチャーに運ばれてきた男(タダノ)とまどかのことを話す [備考] ※PSI粒子の影響を受け、PSIの力に目覚めかけています。身体の不調はそのためです。 →念話を問題なく扱えるようになりました。今後トランス系のPSIなどをさらに習得できるかは後続の方にお任せします。 ※学園の事件を知りました。 ※タダノがマスターであることを知りました。 ※まどか、ライダー(ルフィ)を確認しました。 【穹徹仙@天上天下】 [状態]健康 [装備]NATO製特殊ゴム [道具]ダーツ×n本 [思考・状況] 基本行動方針:聖杯を目指す 1.学園に向かう。 2.マスターを守る。 [備考] ※学園の事件を知りました。 [共通備考] ※美樹さやか、不動明、間桐雁夜、一方通行の戦闘を目撃しました。 ---- |BACK||NEXT| |044:[[Cat Fight!!!]]|[[投下順>本編SS目次・投下順]]|046-a:[[背に腹は]]| |044:[[Cat Fight!!!]]|[[時系列順>本編SS目次・時系列順]]|046-a:[[背に腹は]]| |BACK|登場キャラ|NEXT| |043:[[裏切りの夕焼け]]|[[浅羽直之]]&アーチャー([[穹徹仙]])|050-a:[[月夜を彩るShuffle Beat]]| |044:[[とある戦士の相互理解(ウェイトゥアンサー)]]|[[タダノヒトナリ]]|057-a:[[未知との再会]]| |~|[[鹿目まどか]]&ライダー([[モンキー・D・ルフィ]])|054:[[MEMORIA]]|

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