ポケモン強弱の変動記【第2世代】

新タイプの悪、鋼の登場により、初代で最強を誇ったエスパーポケモンは勢力を大きく落ち着かせ、
逆にこれら新タイプの弱点を両方突け、初代でエスパーに苦渋を舐めさせられてきた格闘タイプが躍進した。
一度かかれば実質戦闘不能だった状態異常こおりも自然回復するようになり、「ふぶき」も命中率が低下、
「じわれ」のような一撃技と「きりさく」のような急所技も命中率や急所率の計算方式が変わって狙いにくくなり、
これらの技に依存していたポケモンが弱体化した。

特殊が特攻と特防に分離し、第1世代で特殊が高かったポケモンの大半はこの世代でどちらかの能力が低く調整された。
非伝説の中でも総合能力が高かったギャラドスやパルシェンもこの調整で弱体化し、金銀初頭は対戦での使用率が低くなった。
その一方で能力調整だけでなく、新技や持ち物の登場により以前よりもさらに強くなったポケモンも登場。

氷タイプの全般的な弱体化とガラガラやヘラクロスの台頭により、飛行タイプを持っていることの優位性が増した。

新勢力ポケモンの平均種族値

HP 攻撃 防御 特攻 特防 素早 合計
平均 81(82) 78(79) 82(83) 70(72) 82(85) 68(70) 462(471)
最大 255 134 230 130 230 130 600(680)
最小 20 10 10 10 42 5 250
(当時に於いての最終進化系60種、ルギア、ホウオウ、セレビィ込みで3種、平均値四捨五入)
()内はルギア、ホウオウ、セレビィ除外時

第2世代前半

新勢力ポケモン

  • エアームド
新タイプの鋼と高い防御種族値とが相まって、飛行タイプ中でも最大クラスの物理耐久を誇る。
特殊技で弱点を突かない限り突破は困難であり、ほとんどの物理アタッカーを止められるだけのポテンシャルを持っていた。

  • エーフィ
新登場のイーブィ一族。特攻と素早さが高いエスパータイプ。
タイプが同じで種族値傾向も似ているフーディンと比べると、特攻と素早さは劣るものの、HP、防御、特防の耐久面全てで勝っている。
また、朝の日差し、甘えるなど補助技も優良。金銀で新登場の特殊アタッカーではトップの汎用性をもつ。

  • クロバット
新登場の130族。攻撃技は貧弱だったが、
その高い素早さとそれなりの耐久により先手を打って相手を混乱させるなど、当時から優秀な撹乱要員であった。
ヘラクロスに対しては相性が良かったが、流石にガラガラを安定して止めることまではできなかった。

  • ツボツボ
説明不要の驚異的な防御・特防と、そこからどくどく・まきつくなどを駆使して相手をじわじわ追い詰める耐久型のメッカ。
下記のブラッキーとともに、ただの力押しではない嫌がらせ、耐久戦術の普及に貢献した。

  • ドーブル
種族値はエイパムにも劣る低さだが、唯一無二の技スケッチによりほとんどの技を習得可能。
サポート型だけでなく、怒りの前歯などで自ら決定力を生む型も存在し何をしてくるか分からない点が魅力。
ただし大爆発はこの世代では習得できない。

  • ハッサム
前作では活躍できなかったストライクが進化。素早さと引き換えに攻撃と防御を大きく上げ、鋼タイプが付き弱点が炎だけになった。
とは言えまだこの時代は攻撃技が貧相で、主に剣の舞や高速移動のバトンタッチ要員として活躍した。
ちなみにストライクはポケスタ金銀のリトルカップ出場可能ポケモンの中で最高種族値というのもあり、最メジャー格となる。

  • ハピナス
ラッキーの進化系。防御は相変わらずほぼ皆無、特攻も前作ラッキー以下となったが、そのラッキーをも超える全ポケモン最高のHPを誇る。
しかも初代でリフレクターを覚えさせて金銀に持ち込むことで、問題の物理耐久も難なくタマゴうみとセットでカバー可能。
更に特防もトップクラスになり、多くの特殊アタッカーの猛攻を受けることができた。「ハピで止まります」はこの頃から健在。
このハピナスなどを突破する為の役割理論はこの世代に生まれ、大きく取り上げられた。
ラッキーもストライク同様にポケスタ金銀のリトルカップに活躍の場を見出す。

  • バンギラス
2代目600属。岩タイプというのもあり、カイリューに比べタイプ的に高い物理攻撃を生かしやすい。
「のろい」や「いやなおと」で決定力を上げることもできる。
特殊も95と最低限ある上技範囲も広いため両刀構成も現実的、とLv55以上という制限に余りある強さがあった。

  • ブラッキー
新属性「悪」を持ち耐久力に優れる、エーフィ同様にイーブイの新進化系。
黒い眼差し+毒々に再生回復や鈍いを織り交ぜた耐久戦法が強力で人気を博した。

  • ヘラクロス
当時タイプ一致技がめざパ止まりだった虫タイプがほとんどな中で、高威力の専用虫技メガホーンを持つアドバンテージは大きく、
当時の全国大会決勝戦でも炸裂したこらえる+起死回生も強烈。
自身の攻撃力の高さも相まって、飛行タイプでもなければ受けきれない高火力を発揮した。
独特のタイプと高い特防のおかげで耐久性能も優秀であった。

  • ホウオウ【禁止級】
メインの炎技と噛み合わせが悪い物理寄り種族値を持つなど一見ルギアと比べれば使いづらそうだが、
「おにび」の無かった当時は「せいなるほのお」の五割やけどは物理アタッカーにとって脅威。
特防も高く自己再生も覚えるのでかなり硬く、一致波乗りや10万ボルトでもなかなか落ちない。

  • ポリゴン2
ポリゴンが進化して全体的にパワーアップ。鈍い+自己再生で鉄壁の要塞と化し、カビゴンにすらタイマンで競り勝つほどの強さを発揮。
恩返し+鈍い+自己再生+眠る、とゾンビ型と呼ばれる複数の回復技を使用するタイプの元祖にして、泥仕合の元凶。

  • ムウマ
初となる単ゴーストタイプ。タイプの性質上、ノーマル・格闘狩りによく使われていた。
特に当時猛威をふるっていたカビゴンを止めるために投入されることが多かった。
黒い眼差し+道連れで確実に封じ、痛み分けで耐える戦法が盛んであった。

  • ルギア【禁止級】
ミュウツーと同格。耐久力に優れ、素早さも高く急所率の高い専用技エアロブラストと攻防共に強力。
鈍い、自己再生を持てたため難攻不落の要塞と化した。

強くなったポケモン

  • カイリキー
今作で高威力のクロスチョップを獲得。特防の上昇や前述の通り格闘に弱い新属性2種の登場、台頭したノーマル勢も追い風となり、
活躍し出した格闘勢の中でも頭一つ抜けた存在感を見せつけた。

  • カビゴン
特防の大幅強化、鈍いや腹太鼓による決定力の底上げに加え、ねむねごの性能で鬼のような回復力を手に入れた。
火力・耐久・持久力などあらゆる面で優れる「殴ってくる不落要塞」であり、この世代では最強クラスにまで昇進した。

  • ガラガラ
専用アイテムの太いホネで驚異的な破壊力を獲得。
初代では素早さの差からサンドパンの劣化扱いされていたのが、これによりすっかり立場が逆転した。

  • ガルーラ
Lv55鈍い+吠えるで相手の積みポケモンを一方的に無効化して暴走する。
当時の吠えるは先制不発なので後出しエアームドですら止まらない。
ゴーストには無力だが、追い討ちでカバー。

  • サンダー
飛行複合による優位性、めざめるパワー獲得、10万ボルト習得のアドバンテージなど。
電気タイプ最強の特攻も有って、電気トップクラスに躍り出た。

  • ドククラゲ
遺伝技のミラーコートにより電気、エスパーへの奇襲ができるようになったほか、剣の舞を活かせる一致物理のヘドロ爆弾を獲得。
特攻は低下しているが水、毒両方に耐性を持つポケモンがほとんどいない為、止められにくいのが魅力。

  • ピカチュウ
専用アイテム電気玉により驚異の特攻を手に入れることができた。その特攻はミュウツーに迫る程。

  • ピクシー
腹太鼓+アンコール+再生回復持ち。腹太鼓を使わせればカビゴン以上。
あまりに強力だったためか一部大会などではコンボが禁止指定になるほど。

  • ファイヤー
日本晴れの登場により大文字の破壊力は全ポケモントップクラスまでに到達。「晴れ文字」という言葉を定着させた。
Lv55なら水タイプやカビゴンすら押し切らんばかりの火力を得た。

  • ベトベトン
特防の大幅上昇、ヘドロ爆弾獲得と大爆発の威力上昇で火力・耐久共に強化された。
ガラガラの台頭は痛いが、苦手なエスパーが減少したのは大きい。

  • 電気全般
雨乞いの追加で雷が必中化しその雷の追加効果も強化。更にめざめるパワーで地面対策もできるようになった。

  • 炎全般
タイプ一致で弱点をつける鋼タイプの登場で有利な相手が増加。
日本晴れの追加で火力の底上げと同時に弱点を減らせるようにもなった。

弱くなったポケモン

  • カモネギ
空を飛ぶと切り裂くの仕様変更により主力技の使い勝手が大幅に悪化。専用アイテムの長葱もこれをフォローするには至らず。

  • ゲンガー
寝言の登場により催眠術の株が暴落。特殊分離による特防低下や新ポケ登場も向かい風。
金銀初期では、地震持ちやノーマル技のみのカビゴンを止められることからムウマの方が使用率が高かった。
だが、大爆発の強化や新技の取得により型が増え読みにくくなった面もある。

  • ダグトリオ
地割れの命中率が素早さ依存でなくなり、切り裂くの急所率も変更され大幅弱体化。
物理技の需要増加とガラガラの台頭で紙物理耐久と火力不足が一気に露呈し初代とはうってかわって不遇の立場に。

  • パルシェン
大爆発の仕様が変更・得意とするガラガラの台頭などの強化点もあったが、
吹雪の命中率の低下と不一致10万ボルトも致命傷になる程低下した特防の影響は深刻。
まきびしを習得できない金銀初頭はマイナークラスに陥落。

  • フリーザー
吹雪の命中・追加効果ダウン、氷状態の仕様変更、特攻の低下による火力ダウン、弱点である岩・炎技の普及率増加や鋼の登場で大幅弱体化。
なお、この時期では「こころのめ+一撃技」は使えない(出来たのはニョロボン・ドーブルのみ)。

  • ペルシアン
命綱である切り裂くの仕様変更で、99時代のトップメタから一気に転落。タマゴ技の催眠術もねむねごの前では無意味。

  • ミュウツー【禁止級】、ヤドラン
ド忘れの調整、エスパータイプの調整で弱体化。
種族値の問題でミュウツーはまだまだ強かったが、ヤドランの使用率は一時期大きく下がった。

  • モンジャラ
ギガドレインやめざパ、リフレクターの獲得などプラスはあったものの、
特防が大きく落ち、得意の粉技がねむねごで対策されるようになったのは痛手となった。

  • ルージュラ
特攻は上がったものの、ねむねごにより悪魔のキッスが弱体化。最メジャーのカビゴン相手にはほぼ何もできない。
黒い眼差し+滅びの歌を覚えるも、低い耐久とはアンチシナジー。氷・エスパー双方が弱体化された影響を受け、マイナークラスに転落。

  • エスパー全般
エスパーに強い悪、エスパー半減の鋼の登場やゴーストが弱点になる等で弱体化。
特殊分離の影響などによりそれなりの強さに落ち着く。
ただしナッシーやスターミーはもう一つのタイプでのプラス面があってかまだまだメジャーであった。

  • 氷全般
吹雪の命中率・氷率大幅低下、氷状態の仕様変更、氷に強い鋼タイプ登場とそれによる格闘や炎の相対的な見直しによって大幅弱体化。
吹雪の代わりに冷凍ビームが採用され始める。そもそも弱点を突かれるリスクが少ない不一致で事足りたので、一気に不遇と化した。

強くなった面も弱くなった面もあるポケモン

  • ケンタロス
特攻の低下と破壊光線の弱体化により前作のような戦い方は成り立たなくなった。格闘の大幅強化で弱点を突かれる機会も増加。
しかしねむねご角ドリル地割れといったいわゆる害悪型が登場し、ピクシー同様コンボが大会などで使用禁止になるほどだった。

  • フーディン
特殊受けの台頭、エスパーの調整や特防の低下は痛いが、
攻撃面では三色パンチ、サポート面でもアンコール等を手に入れ、
前作と異なり技のバリエーションは充実。

  • 毒全般
弱点だったエスパーが弱体化で使用率低下し、環境的に動きやすくなった。
更に多くのポケモンがヘドロ爆弾を習得しようやくまともな一致技を得た。
しかし虫に効果抜群でなくなり弱点を突けるタイプが草のみになってしまい(毒も虫に耐性を持つようになったが)、
新タイプ鋼の弱点または等倍となるタイプの技を覚えるポケモンが少ないため、鋼が出た瞬間交代させるしかなくなった。

  • 岩全般
ノーマルが増えたことと鈍いの追加でノーマル耐性と物理耐久を買われると需要は前作よりは増したと言える。
しかし鋼の登場でノーマル耐性は岩のアイデンティティでなくなった他、その鋼も弱点として追加された。
とは言え、メタグロスのいなかった当時はそこまで影響が大きくないのは救い。
むしろバンギラスの影響による水技の使用率増加の方が痛手であり、
化石ポケモン以外は波乗りなどで即死するようになった(ウソッキーは当時完全にネタキャラ)。
一方で砂嵐の登場により、当時は岩、地面、鋼以外毎ターン8分の1のダメージを与えられるという強力なダメージソースを手にした。


第2世代後半

クリスタルバージョンで技教え親父の登場、新たな遺伝技、
ポケモンスタジアム金銀のご褒美であるスーパー技マシン(今の技教えマニア)により、
それまで不可能だった技の組み合わせや強力なメイン、サブウェポンを習得したポケモンが登場。

強くなったポケモン

  • エレブー
初代からのサイコキネシス、金銀で習得した冷凍パンチに加え新たにクロスチョップを習得。
単純に技のバリエーションが増えたのも一因だが、クロスチョップの急所率のお陰で鈍いを積んだカビゴンにも奇襲できるようになった。

  • カモネギ
ポケモンスタジアム金銀でバトンタッチ持ちカモネギを入手可能。厳選は不可だが積み技は元々揃っていたため活路を見出せるように。

  • ガラガラ
つるぎのまい習得によりますます強くなり、エアームドですら受けられなくなった。
ガラガラ対策に泥棒を持つエアームドも現れるほど。

  • グライガー
タイプは優秀なものの技に難があり当初はあまり使われなかったが、
ポケモンスタジアム金銀で地震持ちグライガーが入手でき、多少は状況が改善された。(ただし厳選は不可)

  • サンダース
ライコウという壁はあったもののバトンタッチを獲得し、サポート性能により磨きをかけた。

  • スイクン
クリスタルで固定シンボルで登場することから厳選がしやすくなり、実質的な耐久力が上昇。実戦で使われるようになった。

  • パルシェン
まきびし習得で強化された。吠えるライコウとの相性の良さもあって前述のマイナー級から急転、
使用率が大幅に上昇し一躍メジャーに。

  • ブラッキー
バトンタッチ習得により黒い眼差しや鈍いと絡めた戦術が可能になった。

  • メガニウム
剣の舞を習得。宿り木のタネとのコンボでカビゴンを押し切るなどが可能になった。リフレクターを使ってガラガラ受けにも。

  • ライコウ、ランターン
念願の主力技、10万ボルトを覚えられるようになった。
特にライコウは吠えるを覚えさせてパルシェンと組ませた「昆布戦法」の金字塔となった。

  • 第2世代の水全般(オクタン、キングドラ除く)
吹雪弱体化によりこの時代から一気に需要を高めた冷凍ビームが習得可能になった。

削除済みポケモン一覧


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最終更新:2024年04月15日 10:47