ヒルディカは統一国家ではない。それぞれが独立した島および諸地域の《連盟》である。
 法制度、政治体制、経済理念などは共通しているものの、歴史を紐解く際、これらを全て包括して語ることは難しい。

  第一~第六の島は、タスターニャ選帝侯国の植民都市として、
  第七~第八の島は、チンコン国の経済的属領として、
  第九~第十二の島は、ステラクス帝国に従属し、
  それぞれ独自に発展を遂げてきた。
  しかし周辺国の庇護はいつしか失われ、
  別個の文化を持つ島々は寄り集まって共生することを強いられた。
  近年これにクレスティンから購入した西の半島領、
  各地に建設した植民都市群が加わり、現在に至っている。

  《クエンティス・ラタ・ヒルディカ》とは、《数多の首を持つ竜の連盟》を意味する。
  諸島・諸地域は文字通り、一つ一つが《竜の首》であり、
  すなわち《ヒルディカ》とはこれらを支える一個の肉体である。

 ~ヒルディカ公学校用ヒルディカ史教本 序文より~


ヒルディカ暦について

 連盟結成以前は島ごとに使用している暦が異なる状態だったが、連盟結成時に統一した。
 よって、ヒルディカにとっての《近代》の幕開けとなる連盟結成の年を「連盟暦元年(紀元)」とし、これ以前を「紀元前○年」と表記する。



古代 ~周辺国への従属~


  ※すべて周辺国の史料による。
   他国史料は、前3000年時点で群島に比較的高度な文明が存在し、文字文化を有していたことを示すが、
   群島からは文献史料が発見されていない。

 前3000年頃(約3178年前)
   七の島・チンコン間、記録上最古の朝貢貿易
   (チンコン帝室会計記録より)

 前2000年頃(約2178年前)
   ステラクス史家の著作に四の島産ワインへの言及
   (ファルカン・トルサ『帝国年代記』より)

 前1800年頃(約1978年前)
   アスタリカで確認された最古の竜鱗細工の制作年代(現物はフェルアン神殿蔵)
   竜鱗細工は群島にのみ棲息する亜竜の鱗を原材料とするため、
   この時期既に両国間で交流があったとみられる

 前1114年(1292年前)
   タスターニャ入植者、一の島に上陸

 前1107年(1285年前)
   タスターニャによる一~三の島入植

 前1099年(1277年前)
   タスターニャによる四の島入植

 前1083年(1261年前)
   タスターニャによる五~六の島入植

 前1072年(1250年前)
   フレオリックの乱勃発
   五~六の島島民によるタスターニャ入植者らへの叛乱

 前1076年(1254年前)
   フレオリック、ステラクス神官ウィラベル・パスタニと接触
   (ウィラヘル・パスタニ『双帝伝』より)

 前1077年(1253年前)
   五の島および六の島、ステラクスとの軍事協定締結

 前1078年(1252年前)
   フレオリック処刑、フレオリックの乱終結

 前1079年(1251年前)
   ステラクスによる九~十二の島への騎士団派遣

 前1064年(1242年前)
   ステラクスによる九~十二の島属領化

 前1061年(1239年前)
   タスターニャ、ステラクス、十一の島にて会談
   群島に関する両国間の不干渉が成立

 前1058年(1236年前)
   タスターニャ選帝侯、チンコン皇帝に書簡送付(現物はチンコン博物図書院蔵)
   群島に関する両国間の不干渉が成立
   同時期にステラクス・チンコン間でも成立したと推定される

 前931年(1109年前)
   ステラクス職人、十の島のガラス工房を訪問し手記に残す
   (アッシア・カーン編『帝都巷談集』より)
   のちの特許、商標制度の前身ともいえる試みが確認できる

 前890年頃(約1068年前)
   この時期までに九の島に医学校開設(ソラール医科大学構内最古の石碑の建造年代より)
   現在のソラール医科大学の前身

 前848年(1026年前)
   ステラクス、十の島のガラス職人200名余を本土に移住させる
   のちのステラクスにおけるヒルディカ人街の基礎となる

 前820年頃(998年前)
   ヤギホノミヤマ独立戦争
   一~六の島はタスターニャ植民地としてヤギホノミヤマを支援、
   九~十二の島はステラクス属領として宗主国を支援
   タスターニャは表面的には不干渉であったため、群島間の衝突には至らず

 前820年頃(998年前)
   群島で発掘された最古のヤギホ刀の制作年代(現物はミシャルテ大学附属美術館蔵)
   発掘場所は五の島、遅くともこの時期にはヤギホ人武士が上陸していたとみられる 
   ヤギホノミヤマ独立戦争に関与か

 前810年頃(988年前)
   ステラクス、帝政から王政に移行、神官制度を廃止
   九~十二の島を放棄

 前805年(983年前)
   九~十二の島、ステラクスと同盟締結
   詳細な経緯等は不明

 前560年頃(738年前)
   ヒムレス・ヒムネス誕生、後の《長剣派》教主
   (長剣派……竜信仰の一派。終末思想と予定説を特徴とする)

 前545年頃(723年前)
   コンスウェイラ・フィン誕生、後の《円盾派》教主
   (円盾派……竜信仰の一派。教義は不詳だが長剣派から派生し多少解釈を異にする)

 前515年(693年前)
   《黒水晶の夜》事件
   十二の島の領主令嬢ルメラ・スィリストレによるステラクス神官の傷害事件
   ルメラは直後に自害
   この事件により九~十二の島とステラクスの関係が急激に悪化

 前513年(691年前)
   ステラクス・九~十二の島間の同盟破棄
   七~八の島で《灰枯病》(当時は死病)が流行
   チンコンによる群島民入国禁止令

 前512年(690年前)
   飢饉により群島から死者多数(タスターニャ、ステラクス等複数国の史料による)
   《灰枯病》の流行が群島全土に拡大

 前509年(687年前)
   タスターニャ滅亡


中世 ~宗教紛争~


  ※この前後から群島民による史料が出現
   ただし数は少なく、戦乱により大半が焼失したとみられる

 前508年(686年前)
   ヒムレス・ヒムネス、二の島において《長剣派》を結成
   世相が追い風となり急速に信者が増加

 前493年(671年前)
   この時期までに、二の島、四の島、五の島の領主が長剣派に改宗
   各地で暴動発生

 前489年(667年前)
   コンスウェイラ・フィン、九の島において《円盾派》を結成
   やはり急速に信者が増加

 前480年(658年前)
   ヒムレス・ヒムネスおよびコンスウェイラ・フィンによる《聖骸論争》

 前473年(651年前)
   《聖者の行進》事件
   三の島にてコンスウェイラ・フィン暗殺、島全土を巻き込む大暴動に発展

 前472年(650年前)
   ヒムレス・ヒムネスの火刑
   《知恵の林檎戦争》勃発

 前475年~前265年頃(653年前~443年前)
   群島各地で大量に発掘されたクレスティン産とみられる武器の制作年代
   同じくヤギホ刀の制作年代
   《知恵の林檎戦争》にあたり両国が間接的に関与か

 前268年(446年前)
   《調和の音色》条約
   《知恵の林檎戦争》終結


近世 ~荒廃からの復興~


 前267年(445年前)
   各島で復興計画基本方針策定、着手開始

 前266年~264年(444年前~441年前)
   各島で視察団を各国に派遣

 前264年(442年前)
   四の島の酒造所再建、ワイン醸造が再開
   一部諸外国との国交樹立または再開
   一~八の島でステラクスと国交再開
   各島で軍団再編成

 前263年(441年前)
   この時期までに各島で海賊掃討令(食い詰めた群島民が各地で海賊化したため)
   各島で上下水道の整備に着手
   クレスティン、全島と通商条約締結(いわゆる不平等条約)

 前262年(440年前)
   神殿破壊運動
   九~十二の島でステラクスと国交再開

 前261年(439年前)
   十の島のガラス工房再建、運用再開(ステラクスの支援による)
   九の島の医学校再開
   チンコンの物的支援、ラステロイ・ヘクスラントの人的支援により復興加速

 前259年(437年前)
   商船団を各国に派遣

 前258年(436年前)
   九の島で法学校設立

 前255年(433年前)
   十の島、ステラクスと技術提携

 前252年(430年前)
   群島初の新聞発行
   前240年までに15の新聞社が設立

 前250年(428年前)
   この時期までにアガデスタ、ヤギホ、ムベルムリリーを除く大陸全ての国と国交再開
   一部国と通商条約締結

 前242年(420年前)
   一の島で法学博士マロア・ティスケスが群島憲法草案を発表
   この時期までに全島で常備軍整備

 前240年(418年前)
   一の島で群島初の銀行が開設
   この時期までに全島で上下水道整備

 前236年(414年前)
   群島初の株式会社設立
   クレスティンとの通商条約改正

 前219年(397年前)
   群島初の保険会社設立(当初は貧困層の葬儀費用を填補するものだった)

 前173年(351年前)
   九の島の医学校が《ソラール医科大学》、法学校が《ミシャルテ法科大学》と名称変更

 前161年(339年前)
   群島共通民法公布、施行

 前154年(332年前)
   群島初の商工会議所が設立(当時は任意加入)
   商標制度、特許制度導入(古代に十の島で導入されていた様式を基礎とする)

 前130年(308年前)
   ミシャルテ法科大学、《ミシャルテ九科大学》と名称変更、学科を追加

 前128年(306年前)
   群島共通法廷設立
   訴訟法公布、施行

 前121年(299年前)
   群島共通商法公布、施行

 前89年(267年前)
   群島共通治罪法案公開(各地で強い反発により白紙)

 前86年(264年前)
   拷問の禁止
   奴隷取引に関する細則制定(群島共通商法特則)

 前73年(251年前)
   群島共通治罪法公布、施行(一部の島のみ)

 前52年(230年前)
   法学博士エイカ・ビンクス『自ら由とせよ』発行
   後の自由言論令の基礎となる

 前40年(218年前)
   移民船による集団移民
   (対象国:チンコン、ラステロイ、クレスティン)
   後の各国ヒルディカ人街の基礎となる


近現代 ~海洋国家への道程~


  元年(178年前)
   クエンティス・ラタ・ヒルディカ 結成

  2年(176年前)
   各種連盟法公布、施行
   連盟憲法は前242年マロア・ティスケス案の理念を土台とし、ミシャルテ九大学法学研究者らが修正

  3年(173年前)
   最高法院設立

  6年(172年前)
   公学校令公布、施行
   8歳から10歳の国民のうち希望者に無償教育

  9年(169年前)
   奨学令公布、施行
   公学校・私塾の成績優秀者に奨学金供与、一定条件で外国人にも適用

  18年(160年前)
   自由言論令公布、施行

  44年(134年前)
   ヤギホノミヤマと国交樹立

  45年(133年前)
   ヤギホノミヤマに集団移民
   後のヒルディカ人自治州の基礎となる

  75年(103年前)
   ヤギホ王族男性が九の島に亡命
   ミシャルテ九科大学にてヤギホ語、ヤギホ文化の教員として一生を終える(106年没)

  80年頃(98年前頃)
   各地で原因不明の記憶障害を主症状とする奇病が発生
   かつての風の国出身者、風の国に深く関与していた者が罹患

  86年(92年前)
   第十一席ユリーユ・シャイフ・ラタ・プリツヴィが行政機関《竜の首》を掌握

  89年(89年前)
   クレスティンより西端の半島(現:西の半島)を購入(購入額は機密として公開せず) 

  90年(88年前)
   西の半島にて開拓政策

  97年(81年前)
   第一次アスタリカ侵攻(原因不明の猛嵐により海軍壊滅、頓挫)

  98年(80年前)
   第二次アスタリカ侵攻(原因不明の猛嵐により海軍壊滅、頓挫)

 100年(78年前)
   ヤギホノミヤマ侵攻(ヤギホ軍人奴隷の反抗、また上陸直後のヤギホ軍の猛反撃により頓挫)

 101年1月(177年前)
   《仄暗きたそがれ》事件
   (反ユリーユ派によるクーデター、ユリーユ派は捕縛、処遇は最高法院《赤い瞳》に一任
   《竜の首》構成員が一夜にして12人中10人入れ替わる近現代ヒルディカ最大の事件)

 101年2月(177年前)
   《赤い瞳》、ユリーユ・シャイフ・ラタ・プリツヴィに死刑判決(処刑は即日執行)
   《竜の首》より恒久平和宣言

 159年(19年前)
   《竜の首》を計14名に増員、西の半島総督および植民都市総督を追加

 175年(3年前)
   ヒルディカ大使アスターシャ・ハイリィによる舌禍事件
   ハイリィは2ヶ月後事故死

 178年 現在



参考地名

第一の島 ダッファ島(現領主:ヴェントゥーラ) シンボルカラー:紫
第二の島 ホロンズゥ島(現領主:ドーチェッタ) シンボルカラー:橙
第三の島 ミガターヤ島(現領主:ティトクリフ) シンボルカラー:黄色
第四の島 ゼラズニィ島(現領主:ゾズマ) シンボルカラー:深緑
第五の島 キンサーラ島(現領主:トキサカ) シンボルカラー:深紅
第六の島 ザラフィータ島(現領主:カラカ) シンボルカラー:薄青
第七の島 アザレア島(現領主:ク=ファン) シンボルカラー:紺碧
第八の島 メトジェ島(現領主:アッヘンバッハ) シンボルカラー:薄紅
第九の島 イズラフィヤ島(現領主:ヨランダ) シンボルカラー:漆黒
第十の島 スンバーリ島(現領主:ラディム) シンボルカラー:純白
第十一の島 ココニッサ島(現領主:空位) シンボルカラー:白銀
第十二の島 カッザーレ島(現領主:プリツヴィ) シンボルカラー:黄金

西の半島 (現総督:パシュトゥム) シンボルカラー:緑
各地の植民都市(現総督:タラスク) シンボルカラー:指定なし




























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最終更新:2015年04月12日 16:23
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