ヤギホノミヤマにおける身分制度の詳細
王族
《神の血族》。ホカゲ族当主の一族であり、長である女王は神と同一の存在とみなされる。
【女王】
女神。全ヤギホ民族を統べる至高の存在。神聖にして不可侵。絶対的な権力を持ち、圧倒的な権威をもってヤギホ民族全体を服従させている。
《神の血族》の筆頭・ホカゲ族の長。最高神官でもあり、ヤギホ陸軍の統帥権をもつ。神から授かった力を持ち、もっとも祝福された部族のもっとも恩寵豊かな娘が継承するといわれている。
神秘のベールに覆われており、いかなる条件の娘がいかなる儀式を経て即位しいかなる生活を送っているのかなかなか明らかにされないが、『女王の長女が女王となること』と『女王は女神の娘であり女神に等しい存在・現人神であること』だけは誰もが理解しうるところである。
外国人と結婚することはない。基本的に七部族の有力者、とりわけ神官として優秀な者を婿に取って《神の血族》の血を保つのが通例。
【王女】
女王の娘たちであり、次の女神の候補者たちである少女たちのこと。
幼い頃からヤギホの神事や政治、歴史や経済について英才教育を受ける。女神になれるのは原則として長女であり、不測の事態が起こった場合は次女、三女が繰り上げで継承権を与えられることになっている。女神にならなかった王女も、神官と結婚して神事に携わるか、上級武士と結婚して軍事に携わるか、を求められることが多いが、母であり神である女王の《神のお告げ》次第では外国への嫁入りもあり得る。
【王子】
女王の息子たちのこと。女神の血を受け継いだ者として民から大切にはされるとは言え、あくまで『神の子』であり『神』にはなれない。
王位継承権と引き換えにそれなりの自由を得ている。伝統に倣って剣術を初めとする武術と神事について学習する慣例はあるものの、成人後の進路は特に定められていない。女王の命により外国へ婿入りすることが多いが、神官や武士の家に婿入りして自ら神官や武士になる者も相当数いる。
【神官】
女王の側近たち。神事を執り行なうが、宗教と政治が分離していないこの国においては官僚や政治家も兼ねた存在である。
ほぼ全員が七部族の出身者であり、明晰な頭脳と女王への忠誠心・信仰心が問われる。
女王直属の大神官は全部で7名(七部族から1名ずつ)で、大神官補佐がそれぞれ5名ずつ、計35名。その他領主権を持つ一般神官が各地域におり、一般神官の補佐や見習いも含めると全国で数百名程度になる模様。大神官は基本的に七部族出身者しかなれないため、9割以上がカガリ族、テルハゼ族、トモシビ族である。
【武士】
もののふ。女王のために命を賭して戦う者たち。ヤギホ刀を携えヤギホおよびヤギホの女神を守るために死を恐れることなく戦う。
《祝刃守(ほぎはもり)》
女王の親衛隊。詳細は
別ページ。
軍人(いくさびと)
諸外国からは『ヤギホ陸軍』と呼ばれている存在。ヤギホノミヤマ王国の常備軍。常に戦闘訓練を受け有事には全武士を指揮することを任ぜられる。ヤギホ刀や剣、槍、弓はもちろん、大砲や鉄砲の扱い方についても訓練され、いざという時には指南できるよう教育される。
《祝刃守》に次いで名誉ある地位だが、七部族出身者しかなれない。主な構成員はマオキ族、ネアブリ族、ノシ族である。
常時首都に駐屯しているのは数百名程度だが、各地で職業軍人として鍛錬を積んでいる者を併せると総勢二千名を超える。
上武士(かみもののふ)
七部族出身の一般的な武士。予備兵役。いざという時には召集され軍人に指揮される存在。常に心身を磨くものとし、独特の美学の中で生きている。ヤギホの象徴的な存在。
下武士(しももののふ)
七部族以外の部族出身者や七部族の中でも落ちこぼれの武士がここに属する。ヤギホの男として心身を磨きいつでもヤギホ刀で戦えるようにしておくのは当然のことなので、能力面で上武士に劣ることはない。
女王の《神託》により外国に軍事力として輸出される存在。中には率先して傭兵になる者もあるらしいが、『ヤギホ魂』を穢す行ないとみなされ、公ではあまり好まれない(が、憧れる悪童は後を絶たない)。
【職人】
基本的には製鉄を生業とする者、鍛冶職人。
社会的地位としては神と国を守る《祝刃守》や軍人より下位に位置付けられているが、ヤギホの象徴・ヤギホ刀を作る存在であるため、非常に名誉な職種とされている。
部族内で徒弟制度をもち、各部族によってそれぞれの鍛冶方法があるようだが、ヤギホ刀作りは儀式の一種でもあるため、ほとんどのことが口伝であり、部外者に伝えられることはない。
現在の女王が即位してからしばらくして、選抜された鍛冶職人たちが大砲や鉄砲の鋳造を始める。製法を無許可で口外した者は『神のお求めのところになる』が、ほとんどの職人は女王の武力となれることに誇りを持ち、自ら道を逸れることはない。また、『神のお告げ』があれば密かに伝授されることもある模様。
近年発明された火薬・爆薬の製法も現在は限られた者にしか開示されていない。ただし、外国人でも女王への敬意とヤギホノミヤマへの貢献が認められれば学習・研究を許可される。
その他様々な道具作りの職人たちがおり、鍛冶以外の職人もいて、一定の尊敬を集めている。
【農民】
大地や平地で農作物を作る者たち。国の半数を占める日蔭者。食糧供給の点から公的には尊重されるが、戦に直接関係しないため、見えないところで蔑ろにされがち。
ほとんどはイモ農家である。大豆も生産されている。
豚も飼育している。一応ヤギホ豚というブランディングはされているが、特別に美味しいわけでもない。とは言え国内にしか流通しない上もともとの飼育頭数が少ないので、ちょっと貴重。
【漁師】
海辺で海産物を獲る人々。「海に潜れば何とかなる」と思われているため、農民よりも蔑ろにされている。
【商人】
大通商路に巣食う魔物のような存在。鍛冶職人たちの敵。生活に困窮した武士が武具を売ってしまうため、諸外国に鉄や鉱石が流出する原因となっている。
かつて取り締まられていた時代もあったが、現在の女王は、外貨獲得のため、また、ある目的のために、商業を奨励している。
【鉱夫/鉱女】
この国の最下層の人々。神の火の山で生涯神に対して赦しを乞い続けることを義務付けられた咎人たち。
落盤事故や酸素不足、有毒物質の噴出により命を落とす者が後を絶たないが、『神のお求めのところ』である。
彼ら彼女らが掘り出した鉱石が職人の手を経て武器となる。
何らかの罪を犯した者が落とされる地位。出身部族はあまり関係なく、ホカゲ族の者でも掘りに行かされる者が出る。女王を侮辱した者、何らかの秘密を漏らそうとした者、自分より上の身分の者を殺傷した者などが神官の裁きによって送り込まれるが、当人および当人の親族の同意を得ずに未婚の女子に種付けを試みた男がもっとも重い罪に問われ危険な場所に行かされる。表向きは「未婚の女子は将来女神の父となる男児を産む可能性があるので安易に穢してはならない」という理由のようだが、その法を定めた時代の女王が本当は何を考えていたのかなど記録に残っていない。
他、鉱夫/鉱女のさらに下に何らかの存在があるようだが、表社会から完全に葬り去られている。
最終更新:2015年07月16日 13:18