経済学IA: イントロ

日本人経済学者

宇野弘蔵(うの こうぞう: 1897 - 1977)

宇野弘蔵は日本におけるマルクス経済学者として有名である.ただしマルクス「経済学」者であって,宇野は自身をマルクス主義者ないし社会主義者と自称したことはない,と言っている.

一般的にマルクス主義と言えば,唯物史観,労働価値説,革命論などがイメージとして持たれがちであるが,これらがマルクス本人の思想であるのかということに宇野は疑問を持ち,それを否定した.

宇野は,マルクス自身は『資本論』にあるように,科学としての資本論を述べたとし,またマルクス自身は貨幣を重視したと言った.(貨幣というのは経済学的には「やっかいな」存在であるので,それを軽視する学派・学者も多い)

さらに,マルクスは革命を分析しようと試みたものの,その中でとりあえず恐慌のレベルまでは科学的に分析できるとマルクスは述べていると宇野は考えた.

高田保馬(たかた やすま: 1883 - 1972)

その他の人物

佐藤優(さとう まさる: 1960 - )

佐藤優は元外務省職員で,いわゆるノンキャリとして入省し,1988年から1995年まで在ソ連・在ロシア日本国大使館に勤務した経験を持つ.鈴木宗男元衆議院議員との関係も深かったが,それ故にいわゆる鈴木宗男事件と呼ばれる汚職事件に絡んで背任容疑で逮捕され,後に偽計業務妨害で再逮捕された.その後,裁判において懲役刑が確定し,これにより国家公務員法に基づき外務省を失職した.

ソ連の大学の経済学部には,社会主義経済学科と資本主義経済学科があるが,前者では新古典論が,後者ではマルクス経済学が教えられていた,ということを彼は言っている.(この言い方がソ連の大学の経済学部に対して正確なものかは不明だが)一見すればこれは奇妙に感じる(逆だと思うのが一般的なイメージだろう)が,これは以下のように考えることもできる.すなわち,新古典派における重要な理論(特にミクロ経済学)にレオン・ワルラスの一般均衡理論があるが,彼自身は社会主義者で,いわゆる科学的社会主義者を自称しており,経済学と社会主義を結びつけることを目標としていた.一般均衡理論と彼自身の社会主義思想は無関係とする評価もあるが,一般均衡理論はポーランドのオスカル・ランゲなどの社会主義側の代表的な経済学者に継承され発展していったという事実もある.また,一般均衡理論ではニューメレールと呼ばれる価値尺度財は存在するが,貨幣とまで言い切れるものを考えない理論ともされる.さらに「競り人」と呼ばれる中央集権的な存在を仮定している点も,一般均衡理論が計画経済的な側面を持つ理論とされる理由に挙げられる.一方で,マルクス経済学に関してだが,『資本論』はあくまで資本主義についての分析が著されたもので,資本主義とは何かということを学ぶ上では重要な資料であるともされる.

なお,佐藤勝の著書『帝国の時代をどう生きるか 知識を教養へ、教養を叡智へ』(角川書店)に,この発言とその前後の経緯が記されている.

最終更新:2014年06月05日 15:31