押し引き判断もオーラス開始時の順位が特に重要になるので、オーラス押し引き判断の内容を元にオーラス開始時の順位分布を求めることで攻めるか降りるかの目安にすることができます。
しかし、ラス前が終了したうえで更にオーラスがあるので、厳密な正解を求めることは困難です。そこで、オーラス押し引き判断で取り上げたシミュレータによる結果を元にラス前の押し引きについて考察することにします。
東3局0本場(東風戦なのでラス前)
南家11巡目ドラ白 35m345888p3567s
点数状況
東家 31000
南家 21700
西家 29300
北家 26000
東家が9巡目、西家が10巡目でリーチ。3sは親にスジ、西家に無スジ。
対二軒立直より、平場であれば2人リーチの両方に通っていない牌を切って愚形2翻で押すのは損ですが、降りても西家が東家に40符3翻以上を放銃する以外はほぼラス。一方リーチしてあがれば3着以上確定、ツモなら2着、ツモ裏ならトップまであるので押し有利と言えそうです。
シミュレータの結果によると押した場合は平均順位3.28、降りた場合は3.41、ラス率だけでもほぼ互角なので、天鳳のラス回避重視ルールであったとしても押すのが正解と言えます。
南3局0本場
東家10巡目ドラ6p 12366m11167p3457s
東家 38000
南家 27000
西家 12000
北家 23000
西家が9巡目にリーチ、7sは無スジ、現物は2m1枚
平場であれば親の良形2翻テンパイなので明確にリーチで押すのが有利ですが、降りた場合ほぼトップで余裕のある点差でオーラスを迎えられます。一方満貫を放銃するとオーラス2着目と僅差まで落ちてしまうので、順位を考慮した場合は降り有利になりそうです。
シミュレータでは押した場合平均順位1.23、降りた場合は平均順位1.20と平均順位では降りがやや勝りますが、順位点だけでなく素点も考慮すると押した方がやや勝るという結果になりました。雀荘ルールであれば押し、天鳳ルールでは降り有利になりそうですが、差としては微妙なのでどちらかが明確に有利と言うのは難しそうです。
シミュレータを用いる際は、アガリ率等の値は自分で見積もる必要があるので、結論をそのまま実戦で適用できるとは言えない面もあります。しかし、これまでは何となくで判断せざるを得なかった難しい局面についても一定の判断を下すことができるようになります。また、結論自体は優劣微妙であっても、より条件が押し(降り)有利になる個別の要素があれば明確にそちらが有利と判断できるようになるので、判断基準の体系化を重視するデジタル派のみならず、個別的な判断を重視するアナログ派にとっても大いに有用です。
参考http://dora12.net/modules/university/meaningless/sample/sample06.html
http://dora12.net/modules/university/meaningless/fukuchinko/fukuchinko01.html