ベタオリ

ベタ降りとは、自分のアガリは考えず、放銃による失点を最低限に抑えるために最も安全な牌を切る選択です。正しく降りることは手作り以上に利用頻度が高く、結果に影響を与えやすい技術なので、麻雀の基礎から学ぶ人は第一章の内容より先に降りの技術を身につけることを推奨します。

 

危険牌を探すのではなく、安全牌を探す

 

序章でも触れましたが、他家の攻撃に対しては、まず攻めるべきか降りるべきかの押し引き判断があり、攻めるべきなのであれば、多少切る牌の危険度に差があっても最大限にアガリを目指す選択、降りるべきであれば、最も安全な牌を切る選択が多くの場合有利になります。よって、「危険牌を探す」技術より、「安全牌を探す」技術の方が遥かに重要です。

 

降りるべきであれば徹底してベタ降りするのが基本

 

繰り返しになりますが、降りるべきであれば、アガリは考えずメンツを崩してでも最も安全な牌を切るのが基本であり、「比較的安全な牌」を切ってアガリを目指すのは多くの場合損になります。勿論、安牌を切りつつアガリやテンパイを目指す選択が可能であればそれにこしたことはありませんが、押すべき手でない場合に徹底してベタ降りする技術に比べれば重要度は低いです。

 

「読み」より牌の組み合わせを重視

 

手作りは打ち手の意志よりも、統計的なメンツのできやすさの影響の方が遥かに強いので、安全牌を探す場合も、大抵は手牌読みより、牌の組み合わせから待ちになりにくい牌を選ぶことを重視します。

 

ただし、「読み」は重要度が低いというだけであり、全く不要と言うわけではありません。特に、牌の組み合わせだけでは放銃率に大差ない牌同士を比較する場合や、完成メンツやターツをある程度限定できる鳴き手に対するベタ降りや押し引き判断については、「読み」を考慮するケースも増えます。「読み」の中でも基本的で体系化しやすいものについては、第2章で扱います。

 

基本的な牌の危険度

 

左に行くほど安全になります(不等号がついてない場合も基本的に左の方ほど安全だが同程度なので逆転することも多い)。特に重要なので、覚えることを推奨します。(より詳細な判断については講座36で取り上げます)

 

現物<3枚見え字牌(Aランク)<スジ19(Bランク)<2枚見え字牌、両スジ456、1枚見え字牌(Cランク)<スジ28、スジ37(Dランク)<無スジ19、片無スジ456、無スジ28、無スジ37(Eランク)<両無スジ456(Fランク)

リーチにベタ降りする場合は講座35で取り上げたように、現物<3枚見え字牌(Aランク)<スジ19(Bランク)<2枚見え字牌、両スジ456、1枚見え字牌(Cランク)<スジ28、スジ37(Dランク)<無スジ19、片無スジ456、無スジ28、無スジ37(Eランク)<両無スジ456(Fランク)の順で切れば多くのケースで事足りますが、種々の影響で安全度が変動したり、同ランクの牌同士でも切り順に優劣ができる場合があります。個別の読みによって判断が変わるケースについては第4章で扱うとして、ここでは一般的に成り立つことについて取り上げます。

 

現物の切り順

 

アガリを目指さず完全に降りるのであれば、今テンパイしてない他家が将来テンパイする可能性を考え、共通安牌を残し、他家がテンパイした時に危険度が高い牌から先に切ります。(逆に、自分のテンパイをまだ考えるのであれば将来テンパイしやすくなるよう自分にとっても不要な牌を優先する。)

 

 また、同じ安牌同士でも、他家に鳴かれる可能性のある牌とない牌とでは、通常は鳴かれる可能性のある牌を優先します。何故なら、将来ロン牌になる可能性があり、他家が鳴いて他のテンパイ相手に勝負してくれることで、ベタオリ時の被ツモ率が減少することで失点の可能性が減るからです。但し、トップ目で下家が親であったり、下家が高打点の可能性の高い仕掛けをしている、流局間際でノーテン罰符を余計に取られたくない等、鳴かれることを特に避けたい局面であれば鳴かれない牌を優先します。

 

字牌待ちの危険度

 

放銃率がスジ19<字牌になっているのは、19牌はシュンツやターツで他家が持っている可能性がある分、リーチ者が持っている可能性が低くなるためです。

 

1枚見え同士なら役がつかない客風を役牌より先に切りますが、2枚見え同士なら放銃率は役牌<客風になります。1枚目をポンされる可能性が高い分、役牌トイツで持たれている可能性が低くなるためです。1枚目が切られたのが遅い役牌ほど途中で重なったケースが少ないのでより安全になります(直前に切られたものは1枚見えスジ19より安全)。

 

字牌はトイツ以上でしか使えないので、巡目が深くなっても通っていない場合は危険度が高くなります。1枚見え字牌序盤はスジ28より通りやすいが、中盤過ぎはスジ28以上、終盤は無スジ19程度に危険になるので注意が必要です。

 

スジの危険度

 

135から打5リーチのように、愚形複合ターツの一部からの切り出しだとスジで当たることになります(両スジ456がスジ2378より放銃率が低くなるのはこのケースが少ないため)。テンパイ以前に愚形複合ターツを愚形に固定することは少ないので、早い段階で5が切れているとカン2は考えにくく、スジ19に近い放銃率になります。1も早い段階で切られていればシャボや単騎も考えにくいので更に安全になります。

 

逆に、リーチ宣言牌が複合ターツの一部だった可能性が高いと読める場合はスジの放銃率が高まります。「宣言牌のスジ」という理由だけではスジ全体と放銃率は大差ありませんが、明確に放銃率が高いと読めるケースもあります(具体例は第4章で扱う)。同じスジを切るにしても、早い段階で関連牌が切られていたり、その牌が多く切られている(当たり牌が少ない場合リーチはされにくいので)愚形待ちに放銃することが考えにくい牌から切るようにします。

 

スジ以外でリャンメン待ちに当たらない(当たりにくい)牌

 

ノーチャンス(4枚とも見えている牌からリャンメン待ちに当たらないことがわかる牌)に関しては、カンチャン、ペンチャン待ちが有り得る(4枚見えた牌の2つとなり)ならスジ、シャボか単騎待ちにのみ(4枚見えた牌の1つとなり)当たるなら字牌相当の危険度になります。「4が4枚見えていて9が通っている場合の6」といった、4枚見えの内側が安全になる場合は見落としやすいので注意が必要です。

 

赤が各色に1枚ずつ入っているルールでは、リーチ以前に赤5を切っている他家は同じ色の5は持っていない可能性が高いので、5が4枚見えている場合と同様に3や7が(1が通っているなら4、9が通っているなら6も)ノーチャンスとして扱えます。しかもカンチャンやシャボにも基本当たらない(24赤5、33赤5とあればそれぞれ2、3を切る、1も通っている場合の4はペンチャンもないので更に安全)のでノーチャンスの場合より安全です。また、赤5が切られている場合のスジ28も通常のスジより安全(13赤5なら通常はカン4に受けるので)になります。

 

無スジの危険度

 

字牌やスジがリャンメン待ちで当たらないことから放銃率が低くなるように、無スジ同士でもリャンメンに当たる可能性が低いものを選びます(リャンメンであたるパターンが2通りある両無スジ456は他の無スジより放銃率が特に高い)。早い巡目に切られた牌が、「複合ターツの一部」であった可能性が低いので、その牌をターツの一部とする待ちで当たる可能性は低くなります(序盤で4が切られている場合の無スジ23や片無スジ56)。その牌が切られた後に手出しで字牌が切られた場合はより安全(334北と持っているところから3が切られることは少ない)になります。全体的にはスジほど安全にはなりませんが、比較的安全な牌(あるいはスジ側が比較的危険な牌)である場合はスジより先に切ります。

 

ワンチャンス(3枚見えている牌から、最後の1枚が手の内になければリャンメンに当たらないことがわかる牌)は他の無スジよりは比較的安全ですが、スジや早い巡目で切られた牌を複合ターツの一部とする待ちよりは基本的に危険です。(ただし、6と7が共に3枚見えている場合の8といった、ダブルでワンチャンスになっている場合は通常のスジより安全)

 

ワンチャンス同士なら、最後の1枚がリーチ者の手の内にある可能性が低いほど安全と言えます。手牌で暗刻を持つワンチャンスと、場に3枚切れているワンチャンスとでは、後者の方が4枚目が切られる可能性が高いですが、それなのに切られないということはリーチ者が持っている可能性が高くなるので、後者の方が危険になり、その中でも早い段階で3枚目が場に切られた牌ほど危険度が高まると言えます。

 

上に挙げたような通りやすい牌が1枚も無い場合は、両無スジ456や特に危険と判断できる牌以外から、「1つ通れば他の牌も通る」ような切り方をして安全牌を水増しするのが有効です。アンコ落とし(3巡凌げるので最も優秀)やトイツ落とし、7が切れているリーチに対して1→4と切っていく(4が通るとは限らないのでトイツ落しに劣る)のがその例です。自分で多く使っている牌は危険度がやや上がるとはいえ、無筋を複数切るよりは放銃率を下げることができます。

 

 リャンメンで当たる可能性が低い牌ほどではありませんが、無スジ同士の場合でも、愚形待ちに当たりにくい牌は比較的危険度が下がります。基本的に愚形待ちの出現率の低さから、無スジ19(リャンメン以外はシャボか単騎)<片無スジ456(1が切られているカン4待ちは出現率が低い)<無スジ28<無スジ37(ペンチャン待ちがある))ですが、愚形待ちに当たりにくい牌(スジの危険度の文中で取り上げたように、早い巡目で1が切られていれば25待ち以外で2が当たることは考えにくい)は無スジ19より若干通りやすくなります。降りるならそもそも無スジは切らないので重要度は低いですが、危険牌を押す場合や安牌を水増しする場合は考慮します。

 ドラやドラそばの危険度

 

 ドラを切った場合の放銃率は非ドラを切った場合に比べ約3%ほど増加し、放銃時の打点は約1.5倍になります。元々の放銃率が低い牌ほど、ドラであることによる危険度の上昇度が大きいので、Cランクまでの牌は2ランク程度、Dランク以降の牌は1ランク程度危険度が上がります。「ドラで無ければかなり通りやすい牌」でなければ降りる時は切りません。ドラそばについては放銃率が1.1倍ほど増加。同ランクの牌同士ならドラが絡まない牌を切るようにします。

 

 

 

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最終更新:2014年11月08日 22:28