シャンテンの進まない鳴き

シャンテンの進まない鳴き

 

シャンテンが進まなくても、①受けが広くなる ②打点が上がる ③手役がつく のいずれかを満たすので鳴くことがあります。鳴くかどうかは、基本的にこれまでに取り上げた内容を基準にして、鳴いた時の手牌が鳴かなかった時の手牌を比較して判断すれば十分です。

 

ただし、シャンテンの進まない鳴きはあくまで変化なので、シャンテンが進む受けだけでなく、鳴かずに鳴いた牌をツモる変化にも劣ることには注意が必要です。2シャンテン以上の段階は変化も含めればかなり有効牌が多く、鳴くと守備力が落ちるデメリットもあるので、受けを広くするためだけにシャンテンが進まない鳴きをするくらいなら1回のツモを優先します。1シャンテン以下の場合も受け入れが1枚だけ増える等、微妙にしか手牌がよくならない場合は同様。)。

 

シャンテンが進まない鳴きには以下のようなものがあります。

 

ヘッドレス形にする鳴き

 

ヘッドはメンツより出来やすいので、ターツが足りているところからヘッドを鳴くとシャンテンは進みませんが受け入れは広くなります(他に暗刻や連続形ターツがある場合は特に広くなる)。ただし、良形テンパイになる受けが減るなら終盤テンパイ料を狙う場合を除き鳴かず。講座29で取り上げたような愚形安手で守備を重視したい手牌の場合も鳴かずに手を進めます。

 

23m2245p222s北 ポン中中中 2pポン打北

 

ソーズが234sなら2pは鳴かない。ドラが2sの場合も、リャンメン満貫テンパイになる受け入れ(ツモ14m36pかチー)が減るので鳴かず。

 

1257m西北北 ポン888s ポン中中中 ドラ中 北ポン打西

 

2翻以下の場合はアガリ重視の局面でなければ北は鳴かず。

 

ターツを強化する鳴き(食い伸ばし)

 

連続形ターツ等、近くにメンツがあるターツはメンツ部分から鳴くことで愚形ターツを良形にすることができます(連続形ターツがある場合は、雀頭をポンすることでも受けが広くなる)。

 

45679m12388s ポン中中中 356mチー 8sポン打9m

33344m12388s ポン中中中 25mチー打3m 3mポン打4m

 

リャンメンテンパイの場合も、連続形ターツに更にメンツがくっついている場合は鳴いて3メンチャンになる変化がある場合があります。

 

23445667m99s ポン中中中 3mチー9sポン打6m

 

他には並びトイツの形でテンパイしていて他に暗刻がある場合。トイツ部分から鳴いて良形テンパイになります。

 

3344m123888s ポン中中中 25mチー打8s

 

ターツを作る鳴き(食いちぎり)

 

4連形や中ぶくれ形等、近くにメンツがある浮き牌はメンツ部分から鳴くことでターツができます。手牌にあるターツより強いターツができる場合は鳴きます。

 

4556m2245s79p ポン中中中 3467mチー打7p

 

浮き牌を作る鳴き(食い残し)

 

4枚からなるターツがある場合、ターツを崩す鳴きはシャンテンが進まないですが、浮き牌へのくっつきでもシャンテンが進むようになるので受けが広くなります。

 

2347m1357p88s ポン中中中 4pチー打1p

 

他に、メンツ部分を鳴くことで、より強い浮き牌を残せる場合もあります。

 

234567m677p3s ポン中中中 1458mチー打3s

 

メンツを手役、ドラ絡みにする鳴き(食い替え)

 

一般的なルールでは食い替えはできませんが、他家から見て食い替えと判別できない場合は鳴くことができるので、鳴いて手役やドラがついて打点が上がる場合は鳴きます。345567(4を35でチーして打7、6を57でチーして打3)、345678(25を34でチーして打8、6,9を78でチーして打3)のようにつながったシュンツ2組がある(344556は食い替え不可)場合は食い替えの可能性を考慮します。

 

23345678s白白 ポン北北北 ドラ2s

 

2赤5sを34でチーして打8s、69sを78でチーして打3s、白ポン打3s

 

メンゼンからシャンテンの進まない仕掛けをするかどうか

 

メンゼンテンパイならリーチがあるので、アガリやすさよりは打点を重視して鳴かないケースもあります。鳴くかどうかは以下に挙げる基準を目安として判断します。

 

鳴いて40符3翻以上:役がつく牌はほぼ鳴く。役有り確定の場合は既に鳴いている場合と同様に判断。

鳴いて30符3翻:良形×2の1シャンテン以上にメンゼンでもテンパイしやすい場合は序盤は役をつける牌を鳴かずにメンゼンで進める。

鳴いて2翻以下:役がついて、なおかつ良形テンパイになる受けが増える牌は鳴く。メンゼンでも良形テンパイしやすい場合は基本的にメンゼンで進め、そうでない場合も一方だけの場合は中盤程度までは鳴かずにメンゼンで進めるのが基本だが、アガリやすさ重視の局面や、メンゼンでテンパイしても失点回避の観点からリーチしない方がよい場合は鳴く。

 

2234赤5m34赤577p688s ドラ北

 

鳴いても30符3翻あるので良形を作る4m6pも鳴く。赤1ならテンパイする牌のみ鳴く

 

34m116777p45567s ドラ7p

 

25m58p36sは鳴いて打1p。ドラ5sの場合赤5m赤5pは鳴くが、他は中盤以降鳴く。ドラ3mの場合赤5m赤5p以外は基本鳴かない。

 

34789m345p67s北白白 ドラ1p

 

役はつくが良形テンパイになる受けは増えず鳴いて2翻以下なので基本的に白は鳴かない。愚形ターツがある場合やドラ白の場合は鳴く。

 

役がついたり受けが増える変化が豊富な場合は、巡目が早いうちは上記の基準より若干メンゼン寄りで進めます。

 

1368m4567p23488s ドラ北

 

役がついて受けが増える形だがメンゼンでピンズ4連形が変化することも多いので3568pは中盤から鳴きを考える。7mは鳴く(ヘッドレス形になる8sは基本鳴かない)。ドラ8sの場合はピンズも8sも鳴く。

 

456m34赤56p34赤579s西 ドラ北

 

ヘッドレス形のためピンズ4連形に加えヘッドが作りやすくなる変化もあるので、役がつき鳴いても3翻あるが6sは鳴かずにメンゼンで進める。鳴いて4翻なら鳴く。

 

チートイツと鳴いたメンツ手の比較 

 

チートイツがあるので鳴いてもシャンテンが進まない場合は、単独のトイツを鳴いて良形テンパイになりやすくなる場合、または鳴いても(三暗刻以外で)3翻以上ある場合は鳴きます。

 

34688m677p2244s西 ドラ北 24sのみ鳴く

 

11m555667p24477s ドラ北 メンゼンで進める

 

鳴くとトイトイのみ2翻になる可能性が高く、残るトイツもあまり鳴きやすくない(チートイツ以外にメンツ手変化もある)場合は鳴かずに手を進める。

 

鳴くとシャンテン戻しになる場合は基本的に鳴かずに手を進めますが、鳴いても同程度の打点が見込める(リーチチートイツと、鳴いて40符3翻が同程度)うえに残るトイツが鳴きやすい場合や、鳴いた方が高打点になりやすい場合は鳴きます。

 

4467m68899s北北白白 ドラ4s 4m89s北白を鳴く

 

4m以外から鳴いた場合はホンイツ変化があるので鳴いて打7m。

 

メンツを崩す鳴き

 

メンツ以外の残りのパーツがいずれも手役絡みの場合は、鳴いてメンツを崩す選択が有力になる場合があります。鳴くかどうかは良形テンパイのなりやすさや打点を目安に判断します。

 

2344588m68p赤5789s ドラ6p 7p6sチー打9s

 

ピンズが67pなら6sのみ鳴く。

 

35m赤567789p34678s ドラ北 4mチー打9p

 

45m233赤557789p24s ドラ5p

 

鳴いて4翻あるのでタンヤオがつくものは基本全部仕掛けるが、メンゼンならツモ3sで完全1シャンテンになるので、鳴くと良形ターツが残らない36mは序盤鳴くかどうか微妙。鳴いて3翻の場合は34567p3s(6pは78pで鳴いて打7p)、鳴いて2翻以下の場合は3sのみ鳴く。

 

2234赤577m赤5p11157s ドラ5p

 

メンツを丸々1つ落とすので鳴くとシャンテン戻しになるが、即テンパイした場合より鳴いて赤5pにくっつける方が高打点になるので27m6sは鳴いて打1s。

 

カン

 

カンもシャンテンの進まない鳴きの一種です。他家の打点を上げるリスクもあるので、カンすべきかどうかは押し引きや点数状況判断も関わってくる問題ですが、平場で他家の明示的な攻撃がない場合は、序盤ならテンパイ、1シャンテンかターツ不足形の2シャンテンのようにすぐ1シャンテンになる形。中盤ならテンパイか良形×2以上の1シャンテンであれば、リスクよりは自分の手の打点が上がる、ツモが1回増えるメリットを重視します(ただし、大ミンカンはツモが増えず、打点が上がるメリットも小さいので、鳴き手のテンパイで2~3翻のような、特にカンするメリットが大きい場合に留めるのが無難。)。

 

4566m1111477p334s ドラ北 序盤1pカン

 

カンは他家に情報を与える、テンパイが警戒されて出アガリしづらくなるデメリットもあります。カンドラが乗らないと打点が上がらない鳴き手で満貫以上の場合で、他家がまだ降りてないと判断できる場合はカンせずにツモ切ります。

 

アガリに遠いのでカンしない場合も、序盤は手が進んだ時にカンできるように、多少受け入れを狭めても4枚使っている牌を残す方が、受け入れの数より高打点の受け優先の観点から有利になります。

 

48m34899p278s南南南南 ドラ8m 打2s

 

ただし、カンすると4枚使っている牌から2メンツ作ることや、ヘッドレス形で雀頭を作ることができなくなり受け入れの面でロスが出る場合はそのことも踏まえたうえで判断すべきことは注意が必要です。

 

68888m4457p23478s ドラ7m 打7p

 

カンよりはドラ7m受けを残す。

 

123567m7777p3478s ドラ北 打7p

 

カンするとツモ2569pが愚形テンパイになるので打7p。7pが中なら単騎テンパイになってもリーチのみリャンメンに収支で勝るのでカン。

 

123456m389999p44s ドラ北 9pカン

 

シャンテン戻しになるが、ペン7pテンパイより、9pカンで打点が上がったくっつき1シャンテンの方が収支で勝るのでカン。

 

※食いちぎり、食い残しは鳴きを分類する為の造語。一般的にはいずれも食い伸ばしと表現される。

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最終更新:2014年11月07日 22:20