真・恋姫†夢想-革命- 蒼天の覇王 選評

ブランド BaseSon
ジャンル 乙女繚乱煩悩爆発覇道邁進歴史AVG
メディア DVD-ROM
原画 かんたか / 片桐雛太 / 夏彦 / MtU
ぎん太郎 / 城崎冷水 / しのづかあつと / 日陰影次
八葉香南 / くわだゆうき / 神剣桜花 / 繭咲悠
さえき北都 / rei太
SD原画 城崎冷水 / くわだゆうき
シナリオ 式乃彩葉 / 新井しーな / 小沢裕樹 / 風見どり
ギハラ / 花七
発売日 2017/7/28(パッケージ版)
2017/12/15(ダウンロード版)
定価 10,584円(税込)

選評

【2017】 クソゲーオブザイヤーinエロゲー板 避難所 10本目
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58331/1513991271/
416: 恋姫選評 ◆w7T4JFRAgA :2018/01/05(金) 18:23:38 ID:7cI0/tB6
真・恋姫†夢想-革命- 蒼天の覇王
ジャンル 乙女繚乱煩悩爆発覇道邁進歴史AVG
ブランド BaseSon
発売日 2017年7月28日(パッケージ版) 2017年12月15日(ダウンロード版)
価格  9,800円(税別)

あの三国志の武将を女体化させてあれやこれやしていこうという、考えようによっては暴挙ともとれるが、
アニメ化・パチンコ化等々多くメディアにも展開され、未だ高い人気を持つ恋姫シリーズ。
今作は元祖の恋姫†無双が発売されてからはや十年目の新作である。
人気シリーズでありながらも、かつて『真・恋姫†無双~萌将伝~』がエントリーされて以来の2度目の選評入りとなった今作の問題点は……?


問題点1 新作詐欺
このゲームの公式HPにて、「真・恋姫†無双のリメイクではない」「新たな恋姫シリーズのリブート(再起動)である」
と謳っているが、これが嘘である。
このゲームは結局のところ過去作の「真・恋姫†無双」のうち、魏・呉・蜀と3本あるルートのうちの一つ、魏ルートを
グラフィック刷新・新曲BGMを追加・新キャラ&新規エピソードを追加したものの、
本編のテキストが旧作からほぼコピー&ペーストのただのリメイクである。
流石に新キャラが絡んだ部分や、一部はテキストが変わっていたり省略された掛け合いがあるものの、
最初からエンディングまで、主要イベントは全て真・恋姫と全く一緒で、大半のテキストは真・恋姫から全くそのまま、
幕間の個別エピソードに至っても、真・恋姫から引き続き登場しているキャラのエピソードの8割は全くのそのままである。
これではどう好意的に解釈したところで「真・恋姫†無双を三分の一だけリメイク」したとしか言えない。

問題点2 シナリオについて
本筋のシナリオについては上の問題点でも述べたように真・恋姫†無双の魏ルートのコピペであるが、シナリオそのものの出来は非常に良い。
そして新規に追加された新キャラと個別エピソード、そして本筋にも「合肥城防衛」をはじめとした、新たに追加されたエピソードも、
その内容自体は非常に面白く、新規エピソードだけ掻き集めても十分1本のゲームシナリオとして申し分ないほどのボリュームがある。
では一体何が問題なのかというと、
「新シナリオと旧作からのシナリオとがまるで噛み合ってない」
という事である。どういう事かというと、
  • 合肥城防衛のエピソードにて、合肥城防衛の大将を任された主人公・北郷一刀(ほんごうかずと)と、
 対する呉軍の大将・蓮華(孫権)が、お互いの素性を知らないまま親交を深める。
  • 真恋姫の魏ルートでは、反董卓連合のイベント後は、一部の武将を除いて董卓は死んだものと認識されていたのだが、
 今作では華琳(曹操)は董卓が生きている事に気付いてた上、物語の後半では董卓自身が魏軍の中に堂々と姿を現している。
  • 真恋姫の頃には特に何も言われてなかったが、今作では華琳が一刀に対し、一刀がいた世界の知識をむやみに振りかざさないように釘を刺している。
 また、真恋姫の魏ルートでは一刀の知っている三国志の知識を逆利用して、魏軍に不利になるイベント(定軍山、赤壁)を未然に回避するという
 考えようによってはとんでもなく卑怯なチート行為を行ってるが、合肥城での戦いでは、一刀の中途半端な知識が裏目に出てしまい、大失態を犯してしまう。
 この失態を大いに反省した一刀は、半端な知識に振り回される愚行を改め、改めて兵法を1から学び直すようになる。
これだけでも十分魅力的で面白い話である上に、ここからいくらでも話を大きく展開できそうなものである。
にも関わらず、
  • 蓮華の親交は結局のところ赤壁の戦いで祭(黄蓋)が死に際に蓮華と最後の言葉を交わしているという、
 どうでもいい矛盾(魏軍の中にいた祭と何故会話ができたのか)の辻褄合わせのためのものでしかなく、
 赤壁以降は特に何の接点も無い。
 後日談で「蓮華がちょっとだけ一刀と話した事がある」と出てくるくらいである。
  • 董卓の登場自体が本編には何の関わりも持たない。強いて挙げれば、朝廷が魏の戦に口出ししなくなりましたというだけの事である。
  • 失態を反省して兵法を学び直し始めた直後に起こるイベントがよりにもよって定軍山のイベントである。
 舌の根も乾かないうちに一刀が行ったのは、やはり旧作と全く一緒で、「このままでは秋蘭(夏候淵)が死ぬぞ!」と先の展開を喋ってしまう事である。
 挙句にはその後に起こる赤壁の戦いでは旧作になかったエピソードとして「孔明が十万本の矢を調達する方法」を自身の三国志知識で察知し、
 矢が奪われるのを最小限に抑えるという余計な事までしている。
 結局反省は何の意味も無かったのである。
せっかくの魅力的なエピソードをことごとく旧作からのエピソードで潰してしまっているのである。
余談ではあるが、今作では旧作と違って一刀自身の純粋な実力による知略・交渉術・武力での活躍が多く描かれているだけに、これでは台無しである。

問題点3 戦争パート
無印の恋姫†無双、真・恋姫†無双に続き、今作でも戦争を行うシステムが実装されている。
その内容は簡単に言えば「やや変則気味なRPGの戦闘システム」みたいなもので、
1本のタイムライン上に自軍と敵軍がそれぞれ行動内容を乗せていき、素早い順番で行動が処理されていくのである。
威力の弱い攻撃ほど素早く、高威力のものほど遅い。また、遅い行動を乗せてしまうと、その分その後の行動も後手に回りやすい。
戦争システム自体、作品毎に全く違うものとなっているが、今作の大きく違う点は、各武将に熟練度が設けられ、戦争に参加させる度に
熟練度が高まっていくという成長システムを設けている事である。
当然ながら熟練度の高い武将ほど攻撃の威力が高まるし、高熟練度の武将同士が集まると、攻撃に追加ボーナスが発生する。
しかしながらこの戦争システム、兵数をHPとして表し、与ダメージ被ダメージとも兵数で基準値が変わってくる。
更に戦争は複数回発生するが、その全てが自軍敵軍とも兵数がまちまちである上、兵数が減ると与えるダメージ値も連動して減っていくため、
目安となる数値がまるで見えてこない。
これに高熟練武将達によるダメージの追加ボーナスが発生したところで、せいぜい高くて10%強と消費税程度の追加ダメージしか増えないため、
ボーナスの恩恵がまるで実感できない。

問題点4 クリア特典
実感が困難とはいえ、上記戦争パートで成長システムを設けた以上、2週目以降では熟練度を引き継げるのかと期待すれば、
そんな特典なぞは存在しない。
1周目クリア時点での特典といえば、貂蝉・卑弥呼・華陀メインのおまけシナリオが解放される事と、幕間中の個別エピソードを見れる回数が無限(1周目は5回まで)
になることだけである。
戦争パートの成長システムとゲームバランスを調整し、熟練度を引き継がせる仕様にすれば何週でも遊べる楽しいゲームに成り得るだけに、
あまりにも勿体無い話である。

○まとめ
長く一定数以上のファンがいるシリーズだけあって、非常に魅力的な要素を数多く抱えた作品であり、総合してみるとこれは決してクソゲーとは言えないかも知れない。
しかしながら、せっかくの魅力的な要素をことごとく自ら潰してしまうその様相は、例えるなら
『上等な料理にハチミツをブチまける』
『おろしたての白いワンピースにケチャップをぶっかける』
かのような台無し具合・汚らしさであり、こういった要素はただのクソゲーにはあまり見られない類のもの確かである。

補足

420: 恋姫選評 ◆w7T4JFRAgA :2018/01/05(金) 18:29:46 ID:7cI0/tB6
訂正
× あまり見られない類のもの確かである。
○ あまり見られない類のものなのは確かである。
最終更新:2018年01月14日 09:19