タンテイセブン 選評

ブランド Digital Cute
ジャンル ミッション解決型探偵ADV
メディア DVD-ROM
原画 こうぐちもと、えきもち
シナリオ 嘘屋 佐々木酒人
発売日 2017/06/30
定価 9,504円(税込)

選評

【2017】 クソゲーオブザイヤーinエロゲー板 避難所 5本目
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58331/1499673221/
63: タンテイセブン選評 :2017/07/13(木) 11:09:51 ID:Y5l/mxHc
タイトル:タンテイセブン(ver1.25)
ジャンル:ミッション解決型ADV
メーカー:デジタルキュート


青春は「謎」に満ちている。
そうキャッチフレーズで世に出されたミッション解決型探偵ADV「タンテイセブン」
公式を見た者は、各キャラの能力(異能)を使って探偵のように物探しや推理していくものだと期待して購入しただろうが、
実際は推理どころか幼馴染と食レポをして購入者に飯テロに遭うとは誰も想像していなかっただろう。

初期は製品版なのに体験版だった。体と顔がずれている。あるミッションから先に進めない
とある意味インパクトが強かったタンテイセブン。
後にアップデートで改善はされたものの、そこから待っていたものは違う異様なものが待ち受けていた。

事前内容として、この後に触れるキャラクターがいるので異能持ち及びメインとなるキャラクターを簡単に紹介する。
比婆蛮悟(ひば ばんご)
 主人公、異能持ち。

露梨子かすみ(つゆなし かすみ)
 蛮悟の幼馴染で定食屋の娘。異能持ち。

阿部摩り耶(あべ まりや)
 零士の妹で、蛮悟の幼馴染。異能持ち。

阿部零士(あべ れいじ)
 まりやの兄で、蛮悟の幼馴染。異能持ち。

横溝薬子(よこみぞ くすこ)
 蛮悟の一つ上の先輩で薬屋の娘。異能持ちではない。

黒曜(こくよう)
 ある所から修行として蛮悟の街にやってきた女の子。蛮悟と同じ異能を持つ。

海老一 真珠・辰砂(えびいち しんじゅ・しんしゃ)
 双子みたいだけど実は従姉妹。父ちゃんムスカ。異能持ち。

驚木蒼海(おどろき あおうみ)
 お寺の息子で蛮悟の幼馴染。異能持ち。


まず始めに重要な事を一つ伝えておきたい。
問題になってしまった原因が、おそらく本来あるはずだったものが一切入ってないことだろう。
公式の特徴にあるミッションシステムがあるのだが、メインとサブは名前だけで「ゲーム性のものは実際には何も搭載されていない。」
それによってあらゆる面で崩壊してしまい、結果として主にシナリオが大きな問題を抱えることとなってしまった。
では、一つずつ見ていこう。

1.シナリオ関係
ここが大きな問題となっており、筆者としてはいくつもの「謎」を残してしまっている。
「謎」を残してしまう要因として考えられるのは、

(1)時系列がバラバラ
(2)過程がすっ飛ばされている
(3)整合性が取れていない

の3つだった。
これらが複合することによって何が起こっているのか?

最も問題点となったのが八名家関連であり、2章で突拍子もなく既に入った後の前提で話を進めており、肝心の建物内に入ったことは一切語られない。ダイジェスト風とかでなく本当に「一切語られない」のである。
そこで何か危険な体験をしたのでどうにか解決しようと探り、目途が立ってきたところでいきなり解決した後になってたりとこちら側の置いてけぼり感が半端ない。
つまり本来ならば
①準備・確認→②建物内調査→③後日談→④解決しようと調査→⑤解決→⑥後日談2、となるのに。
2章で③の話、3章で①の話、4章で④の話、5章で⑥になってたりといつの間にか終わった事になっており、重要な部分の②と⑤が飛ばしてしまっているのである。
本来ならばミッションシステムがまともに入っていれば②と⑤があったのだろうが、システムが削除された後の代用のシナリオができなかったのか、飛ばされることとなったのだろう。

上記の八名家関連が一番問題のところだと目につくところではあるが、過程をすっ飛ばされている内容は他にもある。

異能に目覚めた経緯で黒曜からある壺を開けて中身を見たことで能力に目覚めた事を聞かされ、どうにかしたいから壺を探そうとなったのだが、
幼い頃は蛮悟の家にあった→後に蒼海のお寺に預けて別の人に渡した。蒼海がその人に聞いて探してみる→いつの間にか蛮悟の家にある
と、ザ・ワールドにでもかかったポルナレフのような展開になったり
最初に壺を覗いたのは蛮悟、かすみ、まりや、零士、蒼海の5人なのに、なぜ海老一姉妹も異能に目覚めていた事についても、
「実は海老一姉妹も壺を覗いて異能に目覚めた」ということになっており、「いつ・どこで・どのように」の部分がすっ飛ばされている。

結果として「終わりよければ全て良し」みたいな終わり方をしているが、こちら側としては「謎」は「謎のまま」と何にも解決になってない。
コナンで例えれば、事件が起きた、みんなで調査をしよう、(トリックや動機の説明を飛ばして)犯人を捕まえて事件は解決したよ!やったね!
といった具合である。

整合性がとれてないについては、例えとして学園祭の出来事を出すと
薬子がクラスで学園祭にいろんなお茶を出す「茶店」を開くのに葉を集めたいとメンバーにお願いするから薬子のクラスの事を知っているはずなのに、学園祭当日になると「茶店」の事は知らないことになっている。
これは、シナリオ修正の際に後付けで追加しており、それらの前後を確認しないでやった結果なのではないかと推測する。
他にもミッション名と詳細内容と実際内容が一致していないのも

+ ...

お寺の藁人形とあるがそんなものは一切出てこないし、蒼海が依頼してくることも全くない。そもそも真相って何の真相なんだ?
どう考えてもテストプレイしてないだろとしか言いようのないものである。

これらの(1)(2)(3)が各ミッションにばらけており、どれがどのように繋がっていくのかをプレイヤー側が推理しないといけない事になっている。

もう一つのシナリオに関する問題点として「テンポの悪さ」を筆者は感じ、これのせいで何度も投げ出しそうになった。
要因としては主に2つ、サブミッションによるメインミッションの影響と一部のキャラクターの設定によるもの、である。

まずミッションについては、特定のサブをクリアしないとメインに影響が出るよ、と教えてくれるのだが、どれがどれに影響するのか全く分からなく、
クリアするにしてもただ読むだけならいいのだが、選択肢あるものはノーヒントで正解を選ばないといけなく、しかも正解しているのかもよく分からない。
失敗してもやり直しすればいいのだが、これが正解ルート(ゴール)までたどり着くのに何度もやらないといけない。
さらにどうてもいいサブがいくつもあるのだが、意外とメインのキーとなったりするのもあるので結局は全てやることになってしまい、作業感が半端なく押しかかってくる。

次にキャラクターの設定であるが、主にかすみと蒼海の二人である。
かすみはおバカキャラとして常にトンチンカンな事を、蒼海はルー大柴の様な英語交じりで会話をしてくる。
二人の会話の意味が分からない、第三者(蛮悟とか)が突っ込む、という事が何度も繰り返され、なかなか話の先が進まなかったりする。
蒼海はそこまで出番はないが、かすみはほとんど出てくるので、全体的に話をややこしくしてしまうだけで思うように進まない。
これと上記のミッションとの弊害が重なってしまうとテンポが悪くなってしまい、イラっとすることが多くなり、途中でギブアップしたくなった。


「解決しない謎」と「テンポの悪さ」の二つが悪影響を及ぼしてしまい、全体的にダメな内容となってしまっている。
DLCで番外編シナリオの予定しているようだが、あくまで予定なので期待はできないだろう。


2.ゲーム性(システム)

では異能を使った探偵としてのゲーム性はどうか?
結論を先に言ってしまえば、公式にある特徴のミッションシステムが「一切搭載されてない」ため、あってないようなものとなっている。
秘密文書だけはあるが、穴だらけで全てそろうことはできなくなっている。
+ ...
ミッションシステムが無くなったことにより探索関係もほぼ無意味になってしまったが、実際はどういうものだったか?
蛮悟の能力として「見えない物を視えるようにする」「相手に気持ちを色で判断できる」といったもので、これを使ったモードがある。

一つはシナスタジアビジョン
異能を発動している時に見える状態。怪しい箇所に目のマークが現れクリックして視るとより詳しく調べることができる。
一見探索モードとしてチュートリアルでできるのだが、この探索があるのはこのチュートリアルの時だけでその後には一切無い。
似たような状況はあるのだが、蛮悟が勝手に見つけてしまうので、こちら側から操作することは一つもない。なぜチュートリアルを入れたのか。
ちなみに、公式にはペット探しとあるが、当然そんなものはなく別の内容に変わっている。

もう一つはシナスタジアバトル
人を視ることによって気持ちを察知し、相手の矛盾や弱点を暴き、相手の心の壁を砕くモード。
矛盾や突っ込みを入れれそうなワードがログに「白い大文字」で出て、それに合わせた証言で矛盾等をつきつけ相手を揺さぶると心の壁を壊すというものだが、
本来失敗すればバッドエンドになるようなはずだが、間違えてもちょっと前に戻ってやり直すだけで、正解するまで何度もできる考える必要のないただの無駄な作業にしかすぎない。

突き詰めればなかなか面白いシステムだっただけに、中途半端に終わってしまった感があり、非常にもったいないものだと感じた。

3.Hシーンについて
エロゲーたるもの当然Hシーンはあるわけだが、抜きゲーとして見るといまいちだと思う。
理由としては、一つ一つが短いこととなぜか前編後編と分かれていること。
短いのはそのままの意味だが、かすみの本番有となるとある程度昂っていざ挿入する時に「後半へ続く」と出てミッション選択画面に戻ってしまい、一瞬白ける形になってしまう。
また、アニメーションによるHシーンとあるが、数あるシーンの中でアニメーションがあったのはたった一つだけである。
しかもその相手がロリキャラの黒曜となぜこいつなのか本気で分からない。

ホモシーンについては、多くは語らないこととする。
賛否両論であることと、見るなら見ろ、見たくないなら見るなとして選択肢が出るので、エピローグ以外では回避することができる。


4.その他
  • 飯関連が無駄に凝っている
 探索よりもかすみとの食レポが無駄に力入っており、実写付きで出されるものだから飯テロでプレイヤーの腹に大ダメージを与えてくる。
 (夜中に肉ステーキとか寿司とかどんな拷問だよ・・・)
+ ...
  • ハートマークがいっぱい出てくる
 会話にやたらとハートマークが入る。2個3個は当たり前、多いと5個6個と入ってくる。目がハートマークになったりとどんなけハートマークが好きなんだ?
 (ところどころに▽が出てくるが、おそらくハートマークのミスだろう。たくさん出すわりには扱いが雑である。)
  • 一部のバトルにおいて、特定の選択肢をすると高確率で強制終了を起こす。
  • 何回やり直しても埋まらないCGがある。おそらくカットされた部分がそのままに残ってしまったものかもしれない。
 ついでに言ってしまうと、公式の画廊ページにある3列目の右側(吊るされているようなCG)はゲーム中どこにも出ない。

感想としては、絵も良かったしシナリオの設定としても面白そうだと思った。
異能使ったビジョンやバトルも突き詰めれば非常に面白いものになっていただろう。
しかし、公式にあったシステムの大幅削除やシナリオの削除によって魅力のあるものが失い、「素材は良かったのに調理する人が失敗した」というよくある失敗である。
公式はパッチは出しているものの、システムミッションの未実装については沈黙を続けており、おそらくこの先でも語られることはなく、適当にDLCを出して茶を濁しつつ、そのままひっそりと終わらせるつもりだろう。
終わった時にかすみの一言がこの様に語ったが
+ ...
一本道のシナリオが別に悪というわけではない。下手に個別ルート作るよりも一本道の方が良い場合もある。
しかしそれは、始めから終わりまでしっかりと形がなっているからそこであって、今回の様な中途半端なものではただの力不足であり、制作側の言い訳にしかならない。
青春は「謎」に包まれている、とあるが筆者からすれば、制作は「謎」に包まれている、と一言を残して終わりたいと思う。

補足

130: 名無しさん :2017/07/14(金) 08:44:04 ID:G0I3lz0g
タンテイセブンを選評したものです。
トリップ付いてないのであれですが、自分のPCでは書き込めできなかったので、ネカフェでやったのもありましたので付けてませんでした。

補足といいますか、いくつかのコメントについて

Hシーンの後半へ続く表記について
これはこちらの勘違いがありました。申し訳ない。
実際は後半へ続く、というのはなく(かすみの場合だと)突如アイキャッチが入ってミッション選択画面に戻り、後半を選ぶという感じになります。
+ ...

ヒババンゴについて
うる覚えですが、48のネタを見かけたような気がしましたので、関係してるかもしれません。

強制終了について
こちらは5章のダンディ先生(板野)の問い詰める時のミス選択したら起こりましたので環境によるものかもしれません。

ハートマークについて
別の方が上げたの通り、男女関係なくオヤジまで付けてますのでゲンナリします。

かすみですが、上記の前半後半シーンの時と物語終盤の時と二回破瓜しています。
差分用意してなかったのかもしれませんが、きっちり血が出ちゃってます。

ver1.5

452: 変動する名無しさん★ :2017/07/22(土) 19:11:39 ID:???
タンテイセブのパッチ後のやってきましたので、その分について報告を

タンテイセブンVer1.50(Ver1.51)について

シナリオ
  • タンテイセブンについて
 ここで出ました。薬子の半分引退は、3年生で受験生だからあまり参加できない、というもの。
+ ...

  • 八名家関連
 いちおう解決になった。なかなかのボリューム(最後はちょっとゾワッときた)で、黒曜ちゃんマジチート。
黒曜ちゃんの素性もちょっと分かる。ほんとに穴だらけのシナリオだったんだな・・・

  • 海老一従姉妹の異能と壺について
 異能に目覚めたきっかけも追加されていた。蛮悟達が覗いた一年後に海老一従姉妹が蒼海のお寺に来ており、その際に壺を発見して覗いてしまったことになっている。
 壺は蒼海がどうにかして持ってきたとなっているが、その内容については詳しく話してはいない。

  • 八名家とは別だが、ビジョン使うところが増えたよ!やったね!

選評にあった時系列がバラバラになったことについて
 選評では時系列がおかしかったとありましたが、謎が分かってきました。
実際には1章で家に入っており、2章から、詳しく調べようと準備→建物内探索→今日はここまで、また準備と調査してから探索 を繰り返しており
最初はこの探索部分が全く無く準備・調査しか見れなかったから、こちら側は全て「探索する前の準備なんだ」と思い込んでしまって時系列がおかしいものだと思い込んでた。
本来は時系列通りになっており、あまりにもスッカスカのせいで何がどうなっているか繋がりが分からなくなる原因になっていた。


見れなかったCG(吊られたCG)
 5章のBADENDルートがこれになっていたが、フラグ管理が不具合により辿り着くことができなくなっていた。(1.50でも不具合でできなかったが、1.51で解消)

秘密文書が変わっている
 DLCの件が無くなっている。あと二つが埋まらない。(見つけた人いましたら教えてください)
+ ...

+ ...

八名家関連は終わったが、まだ殺人事件とかのものはあまり触れられていないので、今後のDLCで追加の可能性があるかもしれない。
それなりに説明できるようにはなっている追加だったので、最初から入っていればまだ評価は変わっていたかもしれない。
それでも、未完成品を売ったという事には変わりないが。

あと上にある通り、最後のかすみのセリフが変わっています。
ミッションが「コンプリート」になってたのに同じ様にしたら「クリア」になってたりと、フラグがどうなってるのかも分からなくなってきた。
5章の最後らへんに出てくる問い詰めの強制終了は相変わらず発生します。
最終更新:2018年01月14日 09:20