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2015年総評案4 大賞:戦極姫6 ~天下覚醒、新月の煌き~

これをもって主要なエントリー作品の紹介を終了し、大賞及び次点と受賞理由の発表に移る。

2015年の大賞争いは、隙の無い絶対強者が現れず混戦となった。
最多勢力は粗製濫造された量産型クソゲーである。
品質向上に要する様々な力が足りず完成度が低い、ただそれだけの粗悪品。
そんな矮小な枠からいかに脱却するかが、さらなる低みへと至る鍵となる。
好例として、新たな資金調達法と並外れた薄さのコンボで詐欺寸前にまで迫った『猫撫ディストーション 恋愛事象のデッドエンド』と、頭の痛くなる文章を徹底することで笑うしかない領域へと踏み込んだ『ANOTHER POSSIBILITY』を挙げておきたい。

しかし更なる存在感を示したのは、どれも一長一短がある曲者達であった。
新主人公によってシナリオの大部分がヒロイン達の魅力ごと壊滅させられたものの、SLG部分には遊べる余地がある『戦極姫6』。
総じて拙く笑いに転じた部分も多いが、ボリューム不足が祟って小柄感が払拭しきれない『不条理世界の探偵令嬢』。
そして、ゲーム部分が単純作業すぎて娯楽になっていない一方で、特に量においてエロCGが充実している『Love and Peace』。

エロゲー及びクソゲーに何を求めるのかによって、これら3作への評価には個人差が大きい。
果たして支持は分かれ、議論はさながらジャンケンで最も強い手を決めようとしたかのように堂々巡りとなる。
追検証と再三の意見調整も解決の決め手にはならず、こじれにこじれた膠着状態は2ヶ月以上に及んだ。
総評案執筆者のみによる合議という特別措置の発動を経て、ようやく見出された判断基準が「クソゲーを語るスレたるKOTYeとの親和性」である。
クソゲーベクトルの大きさを比較しても決着がつかないなら、向きすなわち性質の差に着目して勝敗を決するよりほかはない。

この視点に立って3作のクソさの核を見てみると、全面的に稚拙ながら小型な『不条理世界の探偵令嬢』と、長いがワンパターンな『Love and Peace』は、クソゲーとしても語るネタとしても広がりに欠ける傾向が否めない。
対して『戦極姫6』は、ダメ主人公というありがちな核にもかかわらず独創的とまで評された。
徹頭徹尾やり捨てという一点の狂いが広範囲に波及し、テンプレ王道ハーレムがまったくの別物へと変貌した、空前の劇的暗転ゆえである。
力不足や手抜きから生じる縮こまったつまらなさと、要点を履き違えた挑戦が創り上げた伸びやかな負のオリジナリティ。
今回は、クソゲーを語るスレにとって比較的望ましい方向性として後者に重きを置き、その傾向が最も強いものを勝者としたい。
そしてそれを、「クソエロゲーとは?」という永遠の命題に対して現時点で出せる答えのひとつと信ずる。

以上を踏まえ、
次点は
『不条理世界の探偵令嬢 ~秘密のティータイムは花園で~』
『猫撫ディストーション 恋愛事象のデッドエンド』
『ANOTHER POSSIBILITY』
『Love and Peace』
とし、
そして栄えある大賞は
『戦極姫6 ~天下覚醒、新月の煌き~』
に授与することで、修羅の国の新たな地平を切り拓いた猪武者への手向けとする。