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2015年総評案3 大賞:戦極姫6 ~天下覚醒、新月の煌き~

2014年のKOTYeは圧倒的戦力を持つクソゲー同士の頂上決戦であった。
課金オンラインゲームという異次元から姿を表した「カスオ」、そしてあらゆる面が弩級のクソさを誇る「チーズ」の激突は記憶に新しい。
結果はオンラインゲームという不確定さに対し、確実なクソさを誇るチーズが大賞に輝きクソゲーとは何かという原点に立ち返る接戦となったのである。
年が明けて2015年、「いかなるデスマーチが待っていようと、我々はクソゲーをなかったことになどしない。かかってきなさい」との決意の下、
修羅の国の住人達は来るべき新たな好敵手に立ち向かうべく万全の態勢を整えていたのであった。

戦いの火蓋は1月から切られる事となった。
真っ先に前線に現れたのは新規ブランドのRegulusが送り込んだ「1/7の魔法使い」(通称:1/7)であった。
本作は魔法学園に通う落ちこぼれの主人公が協力、不屈の意志で世界の危機に立ち向かうというアツい王道な展開…となるはずであった。
グラフィック、音楽、UI等は問題無いにも関わらず本作がクソゲーとされる理由はただ1つ。
「文章力とシナリオが致命的に低レベル」な事である。
魔法の力が劣っている事を戦術で補うとされている主人公は主人公補正による不死属性頼みの猪突猛進脳筋スタイルに終始する。
戦闘は全編「強化魔法で加速して突撃で殴れば良い。」の一点だけで相手と渡り合う。例え描写的にどんなにレベルが上の相手でもこれだけで進んでしまう。
時系列が狂うのは朝飯前で、そのルートで行っていない実績を評価されて昇進する、訓練の日程がコロコロ変わる等なんでも有りだ。
個別ルートの戦闘はどのヒロインと組んでも「大技ドカーン→やったか?→駄目でした」のワンパターン、そもそもヒロインを組む過程もコピペばりのワンパターンと引き出し不足が深刻である。
クソゲー特有の個別ルートに入ると突然性獣と化す変貌っぷりもバッチリだ。
シナリオも超展開を連発しラスボスも瞬殺でアッサリ世界を救ってしまい伏線や設定はバッサリ忘れ去られる。
これらを彩るのは「何だって…!?」「つまり……どういうこと?」を乱発する圧倒的に貧弱な語彙力である。当然没入など不可能である。
シナリオライターの技量一発でクソゲー化してしまった典型例とも言える存在であった。

しかしこんな1/7も哨戒部隊に過ぎなかった。
年明けのKOTYeを席巻すべく登場したのはかつての王者、アーベルソフトウェアの「不条理世界の探偵令嬢 ~秘密のティータイムは花園で~」(通称:不条理探偵)だ。
2011年大賞の「ゾンビの同級生はプリンセス -不死人ディテクティブ-」以来の新作で有るが、お得意のミステリー物と言う事もあり大した惨事にはならないと見込まれていた。
しかし修羅の国という不条理な世界は本作を大惨事へと変貌させてしまったのである。
流しプレイで約5時間のシナリオはエロパート、バトルパート、推理パートと分かれているが揃いも揃ってダメダメである。
エロパートは「女の重要人物から情報を得よう→セックスで素直にさせよう→セックス」のループ。
それで得る情報もどうでも良い事や隠し事でも無い事ばかりで何の意味が有ったのか頭が痛くなる。
バトルパートはKOTYeでも屈指の盛り上がらなさを披露する。
探偵たるもの時には格闘もこなすのがお決まりであるが、本作のバトルは演出というものが殆ど無い為驚くほど盛り上がらない。
敵が攻撃をしても「シュッ」「ボカッ」という軽いチープな音が鳴るばかり。地の文で「避けた」「回り込んだ」と淡々と解説。BGMも全く合っていない。
特に致命的なのは絵に動きが全く無い事だろう。差分がほぼ無い上に絵事態に躍動感という物がまるで無い。画面が揺れたり特殊効果がかかる事もない。
その為銃を蹴り飛ばすシーンや刃物で襲ってくる相手と対峙するシーンでも全く緊張感が欠けている。
さて、本作のメインとされている推理パートだが実際にプレイヤーが推理する事は無い。
と言うのも推理に関わる選択肢は殆ど無く、有っても二択で死ぬか正解かの両極端な投げやり感溢れる物だからである。
だからと言って一本道の推理が見事な訳ではなく、絶頂する事で能力が向上するメインヒロインが弾き出す推理はお子様レベルの発想に過ぎない。
物的証拠無し、単純な消去法で詰めて行ったら勝手に犯人が自爆して判明するだけとミステリーとは何かという不条理極まる結末になってしまう。
さてミステリーの癖にシナリオがクソな本作だが、他の要素も勿論低級である。
立ち絵は一部衣装差分を除き一種類づつの為、レイプされた後だろうとニコニコなヒロインは序の口に過ぎない。
一枚絵には差分が少ないのでバトルパートの貧相化を招き、エロシーンでは状況と全く合わない。
特にシュールなのは死んだ魚の目をしてると称されるヤル気0な主人公のグラフィックであった。
その他低機能なUI、打ち切りEND、水増しCGモード等クソゲーに必須な要素も兼ね備えた珠玉の一作となっている。
本作はアーベルは時間が経ってもやっぱりアーベルであったと王者の帰還を象徴するかの如き物であった。

2月に入ると4作のクソゲーが名乗りを上げた。
まずはぱれっとの陵辱物ブランドLamiaの「エロ本を捨ててから兄の様子がおかしい」(通称:エロ本)。
妹にエロ本を捨てられ激怒した主人公が復讐の為に妹を盗撮したり陵辱するのが骨子である。
シナリオ自体は和姦ルートが有る等陵辱ゲーとして難が有るものの致命的にぶっ壊れてはいない。
しかし問題なのはCGが異常な事である。
キャラクターの顔はまともなものの、その他の骨格や立体感が破綻をきたしており化物と化している。
アニメーション効果も一部を引き伸ばしてるだけなので「軟体動物」「スライム」と呼ばれる不気味な動きとなってしまっている。
当然陵辱ゲーとして使える訳もないので、ユーザーはエロ本よりこのクソゲーを捨てる事となるであろう。

続いてぷちうさが送る「キシ×カノ」がエントリー。
騎士物という昨年ジュウキシーショックを筆頭に暴れた系譜である事から住人の注目を集めていたが、やはり騎士物のジンクスは克服出来なかった。
「騎士の祭典で優勝して名誉騎士となる」という目的が有るにも関わらず全く活かされておらず、ヒロインと一日中セックスした後なので疲労で負けた等とふざけた展開が繰り広げられる。
その他総じて変態なヒロインと流れ作業の如くデート&セックスをし、取ってつけたようなハーレムルートが有ると全体的に適当感漂う一作となった。

ハーレム繋がりとしてPeasSoftの「毎日がハーレムすぎて王子は姫を決められないっ! 」もエントリー。
十把一絡げなラノベの如きタイトルは完全に詐欺であり、本作にハーレムは無い。
ヒロインが主人公に好意を持つのも個別ルート後な上、複数人プレイも無くサブヒロインのルート等も無い。
ヒロインも揃ってキチガイの領域に達する変態ばかりで、ひたすらつまらない話を圧縮形式で見続ける事となるその様は「面白くないボボボーボ・ボーボボ」と呼ばれた。
せいぜい見どころは肉汁たっぷりのショコラケーキで笑いを誘った程度である。

2月組を締めたのは最早おなじみとなったPotageの「超・秘湯めぐり」(通称:秘湯)であった。
昨年の「ヤリ友ペット欲情生活」から続けてエントリーとなる本作は同じく意図的に作られたクソゲーなのではと思わせる冷気を放っていた。
冷気の源は薄さと相変わらずのパロまみれである。
旅館の中と周辺という限られた舞台で展開する本作は非エロシーンの描写は2~20クリックで一日が終了。エロシーンもコピペパターンで30クリック程度しか無い。
その為2時間足らずでフルコンプ可能というフルプライス作品としては犯罪的な薄さである。
その薄さの中にもライター好みの極寒パロネタを詰め込んでいる。と言うよりそれ以外の文は無いと言って良い。
もっともパロというレベルでも無く単にネットで見かけた表現を徹底的になぞっただけの様な物だが。
選択肢一回分の文章が丸々同社製品の宣伝で有ったりと並の人間が作れる程度の寒さでは無い。
システムもかつての部室の完全流用で不便な上、例の名前入力バグも使える等全く改善が見られない。
同ブランド系列で毎回名前を変えるライターの謎と合わせてPotageの闇の深さには背筋が凍る思いである。

3月に入ると昨年の「Knight&Princess」に続き、縁 -yukari-の「影狼」がエントリーした。
最近やたらと見かける人狼ゲーム物の本作だが、人狼ゲームの肝である巧妙な駆け引きは完全カット。
人狼サイドの主人公に対し馬鹿な村人達が勝手に自爆して勝ち確と緊張感の欠片もない。

7日後に発売されたアトリエさくら Team.NTRの「繋がらない携帯電話 ~ただいま他の男とめちゃめちゃセックス中~」もあえなくエントリー。
作中のエロシーンの殆どが主人公の妄想かただのレイプとNTR要素を完全放棄。
終いには寝とり要因と思われたイケメン友人が実は主人公のケツを狙うゲイであったと一体何を狙って作ったのか全く分からない物となっていた。

3月はこんな物かと一息つく住人であったが、春の風に乗ってやって来る見覚えの有る黒船が襲来し平穏は崩れ去る。
その黒船こそげーせん18の「戦極姫6~天下覚醒、新月の煌き~」(通称;姫6)である。
時は2008年、KOTYe初年度に膨大なバグ、低質なグラフィック、壊滅的なSLGパートを引っさげかのアイ惨と対峙したがあえなく敗れ去ったあの「戦極姫」の6代目当主である。
敗れたものの遠征先の本家KOTY、携帯ゲーム版KOTYに移植作で参戦し、コンシューマとの格の違いを見せつけ二冠王に輝いた伝説のクソゲーだ。
しかし初代こそ伝説級のクソゲーであったが、シリーズを重ねる毎に着実に進歩を重ね、5に至る頃には名作級扱いされるまで丸くなった。
その為もう二度とKOTYeの土を踏む事は無いであろうと既に修羅の国では過去の人となっていたが、何を思ったのかその末裔が再び乱世に舞い降りたのである。
何故?と訝しむ住人であったが、ある一人の男こそが全ての元凶であった。
その名も「榊 月冴」(さかき つかさ)。彼こそが再び姫を修羅の国へと堕落させたのである。
戦極姫シリーズは初代より「天城 颯馬」(あまぎ そうま)が歴代主人公を務めており、知略を活かした軍師として姫武将に仕える事でシナリオが展開されていた。
しかし流石に6代目ともなると製作陣もマンネリ化を感じたのか、ダブル主人公として別なタイプの主人公を投入したのである。それこそが月冴であった。
彼は颯馬とは逆に武術が売りのタイプとされており、見かけも常識人的な颯馬と対照的に風来坊的な意匠にする等マンネリ打破の手段としては頷ける物があった。
では何故それが問題なのか。結論から言えば彼がゲスの極みだからである。
まず余りにも性欲が強すぎるのだ。ヒロインを見ればセックスする事しか考えず、ヤってしまえば後は使い捨て。抱いたヒロインの顔も忘れる始末。
口八丁手八丁で相手の無知にや隙に付け込み次々とヒロインを食い荒らす様は質の悪いホストの様である。
これだけでも十分致命的なのだが、更なる悲劇はヒロイン達の知能レベルが彼と同等に引き下げられてしまった事であった。
具体的な理由を明示せず「不思議な魅力がある」という説明だけでベタ惚れし、その理由が棒姉妹のヒロイン同士で納得されてしまう。
惚れ込むトドメが殆どの場合「月冴の作る飯がうまい→素敵!抱いて!」というワンパターンで統一されている為、「月冴が媚薬を盛っているのでは?」「媚薬飯」等と揶揄された。
この結果招いたのはシリーズ通して出ているヒロイン達が過去作で身持ちが固かろうとなんだろうと喜々として股を開いていくシリーズファン程血を吐く惨劇であった。
こうなると常識人の颯馬に救いを求めたくなるが、ダブル主人公にも関わらず颯馬で攻略出来るヒロインはごく僅かしか無く、殆どが月冴専用という追撃が待ち構えている。
結果的に月冴専用のヒロインは大きく株を下げ、颯馬専用ヒロインは相対的に株が上がるという珍妙な事態となったのである。
エロ以外でも月冴のヘイトは留まる事を知らない。
かつてレイプ魔だったが「まな」という女性に有って以来更生し、以後まなが生活の中心だと言っているのにも関わらず肝心なまなは空気という設定の薄っぺらさも完備。
武が自慢との売りであるのにいつの間にか知略もバッチリなチート性能になり、颯馬との合戦では突如舞空術を披露し本陣に殴りこんでアッサリ勝利と所謂「最低オリ主SS」のテンプレを
なぞるかの如きやりたい放題さも嫌悪感に一層の拍車をかけた。
当然ながらシリーズファンを含むユーザーは激怒、メーカーに多くの苦情が舞い込む事となった。
その証左として公式で「月冴については否の意見が多かった」と明言、更にパワーアップキットとなる遊戯強化版では月冴は無かった事にして颯馬の新シナリオだけ追加される事となった。

この時点でシリーズを重ねる毎に良くなる法則は崩れているが、本作は肝であるSLG部分も大幅劣化されていた。
そもそも天下統一を目指すのが目的であるのに殆どのルートでは途中で打ち切りENDとなる。
ゲームバランスも元々鉄砲を集めてゴリ押し等の作業感ある内容なのはシリーズ恒例であるが、本作では部隊を率いる武将の能力が高ければ圧倒的な兵数差があろうと覆せるようになり
「レベルを上げて物理で殴ればいい」のスベリオン理論も会得した。
本家への遠征で多くの事を学んできたようである。
シリーズ恒例の仕様となりいちいち槍玉に挙がる事も少なくなっていた要素のCGのクォリティが非常に極端な事も引き継いでいる。
担当によっては初代にも匹敵する低クォリティなCGはこの慣例を知らない者には驚愕であろう事は想像に難くない。
かように実に7年越しの姫は先祖の無念を晴らそうと修羅の国統一へと乗り出した。姫6とそれを操る月冴の恐怖は瞬く間に住人に広まり、通年で話題となるのであった。

このまま姫6の天下統一事業が進むかと思われたが、そうは行かない。5月にはなんと9つの群雄が姫6に負けじと覇を唱えるべく出陣する。

まずはWHITESOFTの「猫撫ディストーション恋愛事象のデッドエンド」(通称:猫撫デッド)が戦端を開く。
昨年「ギャングスタ・アルカディア」で壮大な原画詐欺とペラペラボリュームで多くのユーザーを釣ったWHITESOFTだが、再び調略せんとの企みを抱いていた。
本作は同メーカーの「猫撫ディストーション」のファンディスクである…が生まれが特殊であり、修羅の国でも珍しいクラウドファンディングで集めた資金を元に作製されている。
2014年1月に最初の発表があり、最終的には2015年5月に目標金額120万円の300%強を達成した事でめでたくリリースされた。
投資したユーザー達は早速成果物を確認するが、そこに待ち構えていたのはCG5枚、合計20クリック以下のエロシーン2回という損失確定報告であった。
挙句の果てにはスタッフロールで流れる投資者の名前を間違えるとうチョンボもやらかす。
記念碑として残るはずのスタッフロールが薄さと合わせてとんだ公開処刑となってしまい、あえなくWHITESOFTの謀略は2年連続で成功してしまったのであった。

続いて到着したのはくらむちゃうだーの「裏技スペクトラム 」である。
フルプライスなのにインストール容量1GB未満と掴みはバッチリ。
「このテンションと内容に君はついて来れるか!?」との煽り文句でお送りするシナリオは秘湯ばりの薄ら寒いパロとギャグテイストで、きっちり読んでも10時間足らずだ。
「深夜のテンションで書いた作品」と称されるバカバカしさには住人も付いて行く事は不可能であった。

住人に折檻を加えるべく現れたアーベル系列のRed Rebelによる「JK聖女淫罰~穢れし肢体への裁き~」だ。
本作は学園と魔女裁判の要素を組み合わせ、魔女の疑いがかかっているヒロインを残虐な拷問を加えるリョナゲーチックな宣伝であった。
しかし実際には制度がハッキリせず、魔女だと何なのかもよく分からないまま手足を切断されるヒロイン、快楽を与える拷問の内容がイマラチオ、
特に動き回っている訳でも無いのにすぐに疲れ果てて動けなくなる拷問官の主人公と何もかもが中途半端。

同じくニッチ層狙いのいちゃらぶ堂による「女の子はドSな変態でできている」(通称:ドS)もやはり爆死。
ドSとは何かを全くライターが理解しておらず、「クズ」「ゴミ」「強姦魔」と言葉責めにもならない低級な暴言を繰り返すヒロイン、
しかもそのヒロインの好感度が何の説明もなく最初からMAXでエロシーンともなればすぐにデレデレしだす。
逆に主人公はエロシーンではAV男優並の言葉責めと変態プレイで猛烈にヒロインを責める。
結果、ヒロインが「私よりあなたの方がドS」と認める完全なタイトル詐欺、ジャンル詐欺となった。
ユーザーが見たい物は変態でドSなヒロインであって、変態でドSな野郎では断じて無い。
グラフィックも低質な塗りや変な構図、ただのサラリーマンにしか見えない主人公と何もかもが低質である。
先のJK聖女淫罰と合わせ、やはりニッチ層向けエロゲーはクソゲー率が高い事を再確認させるのであった。

5月のクソゲーラッシュはまだまだ続く。
2013年にエントリーしたGLaceの新作「恋魂」もエントリー。
リアル中学生の妄想の様な痛々しいネーミングの設定だらけでユーザーの気力をゴリゴリ削る。
その設定の元繰り広げられる厨二バトルは絶対服従のギアス、メイド・イン・ヘブン、超パワーを相手にチート性能と卑怯な手で主人公が乗り切る脱力クォリティ。
その主人公も言動がただの馬鹿ヤンキーで不快感の塊と何もいい所は無い。その様は「キルラキルを真似て失敗した」と揶揄された。
加えて初期バージョンでは半分のルートが進行不可であり、その分のエロシーンで使う画像が未収録であった為、回想モードでかのアイ惨を思い出す真っ黒背景エロシーンが蘇った。
その他回想シーンで見れる内容が本編で見られない、絵のクォリティも適当と2年越しのエントリーでも変わらず未成長である事を魅せつけた。

同じく2年越しの参戦となったのは「淫獄痴漢列車」を放ったBLACKRAINBOWの「麻雀バトルヒロインズ 」である。
高性能バトルスーツでの格闘大会が舞台なのに何故か戦いは麻雀で進行、エロシーン以外の描写が殆ど無い為何の話なのかも把握困難な出来となっている。


2年どころか3ヶ月だと続いたのは2月にエントリーを果たしたPeasSoft の「中二病な彼女の恋愛方程式(ラブイクエイション) 」だ。
某中二病アニメのモロパクリである事を隠す様子も無い態度は天晴れであるが、その品質はさっぱりであった。
絵は非常に高クォリティで、シナリオも短めではあるが中二病ヒロインの魅力を引き出せている。では何が問題なのか。
答えはバグである。
本作は吉里吉里という枯れた技術と言ってもいい実績あるエンジンを使用しているにも関わらず、しょっちゅうバグって強制終了してしまうのである。
しかも落ちるとセーブデータが破損しロード不可になったり、共通セーブデータも破損して削除しないと起動不能になる重篤な物である。
その為安全に進めるにはバックアップを取りながらのプレイを強いられる。
当初は環境依存のバグと言い張っていたメーカーであったが、後にエンジン毎更新するギガパッチを配布。しかしそれでも細かいバグは多数残り、
有志開発のパッチ(数十KB)の方がちゃんと動くという何とも情けない結末となった。
スタッフロールの「デバッグ:Peassoft all staff」とは一体何だったのかと問い詰めたい所である。

他にも盗撮がテーマのくろにゃんによる「妹盗撮~自宅ストーカー~」は殆ど中身の無いシナリオとエロ描写が足りない事でエントリーを果たした。

しかし5月発売組の中で最も注目を集めていたのはなんと言ってもコイツである。
Insyncの「妄想コンプリート! 」(通称:毛根)だ。
Insyncは一応新規メーカーとの触れ込みであるが、その正体こそはかつてイラッシャイマセーで一世を風靡した「逃避行」、年末の問題作「雛遺書」を生み出したEx-iTが名前を変えただけである。
当初は2014年秋の発売予定であったが、当然の如く延期を繰り返した。このままではいつ発売に漕ぎ着けるのかとの疑念が広がる中、急展開で起きた。
なんとしびれを切らした流通サイドが強行介入し、製作を仕切り始めたのである。
その様子は定期的に進捗状況報告書というpdfファイルで公開され、Ex-iTは首輪を繋がれる事となってしまった。
進捗状況報告書に踊る「シナリオは未完成」「デバッグ進捗0%」という衝撃的な字面はEx-iTの脅威を思い出させ、住人は期待に震えた。
その甲斐もあり5月末に一応発売された本作だったが、このような製作体制でまともな内容を望めるべくも無く、やはりズタズタであった。
本作は主人公がヒロインと共有する夢についての話が主軸のはずなのだが、突貫工事のせいでちぐはぐで意味不明な物となっている。
ヒロインの出自等の設定は場面毎にコロコロ変わり、夢の謎を追う為に結成した未来予知部なる部活は個別ルートに入ると解散となるので1、2日しか存続しない。
夢の内容も伏線的な物が含まれるにも関わらず最後までぶん投げのままと明らかに発売に間に合わせる為カットした事がうかがい知れる。
特に意味不明なのがトゥルールートで、何の伏線も無いのに突如「主人公が実は主人公では無い別人」「実はループ物で主人公はぬいぐるみに転生」と全く理解が追いつかずユーザーのヒューズは吹っ飛んでしまう。
シナリオ以外もボイスと文が合っていない、選択肢が1つしか無い選択画面、サブヒロインルートが本来有った事を匂わせる無意味な選択肢、女の子の顔以外のグラフィックが適当で
男の顔はベタ塗り、トラックはホバー移動しているとあらゆる面が適当クォリティに仕上がっている。
しかし幸い逃避行や雛遺書の様な重篤なバグは発生しない為、流通による首輪は一定の効果が有った事は間違いない。
フリーザ級の襲来に住人は備えていたが、実際に襲来したのはナッパ級であったと住人達は安堵の表情を浮かべるのであった。

合計9作のエントリーラッシュに流石の住民達もくたびれ果てたが、その後夏の間は新たに2作がエントリーするにとどまった。

7月にインターハートの「淫らな魔法使いと救性主」(通称:救性)が調教SLGと銘打ち登場。
しかしSLGパートはテキストのみでの進行でゲーム性は皆無、調教もヒロインへの魔力供給の名義で行われるほのぼの調教、時には立場逆転でヒロインが責めると調教物としては失格であった。
CGと回想の多くがリプレイ出来無いという致命的な欠陥も有り、抜きゲーにもならず消え去る事となった。

8月にはMieiから「人妻公然恥辱電車~携帯一つでお触り即ハメし放題他人の妻を粘着種付け寝とり~」が登場。
256MBの容量に詰まっている物は強制わいせつと痴漢の区別が付かない適当シナリオ、差分が少ない微妙クォリティの残念な結果だった。
ただしヒロインの見た目と声は良いとされ一応見どころも有る駄ゲー程度に落ち着いた。

夏も終わりを迎える9月になると今年2作目の騎士物が現れた。
あかべぇそふとすりぃの「聖騎士Melty☆Lovers」(通称:聖騎士)である。
昨年ジュウキシーショックを引き起こした「銃騎士」のお詫び補填作品として製作された本作は通常販売の他、銃騎士のソフトを送りつける事で交換でも貰える珍しい事情を抱えている。
さて、内容は勿論クソである。
相変わらず騎士設定の意義が見いだせない超展開シナリオではあるものの、銃騎士の寒い文体はオミットに成功している。
絵は良いという本来銃騎士に課せられていた最低限のハードルのみはクリアした為、幸か不幸か銃騎士の再来とは成らなかった。

10月発売のシミュレーションRPGであるETERNALの「剣聖機アルファライド」も登場。
10ヶ月の延期、ライターの実績に疑問、ダブル主人公というなにやら不吉な様子に住民からそこそこ注目を集めていた。
蓋を開けると売り文句であったユニット同士に合体による強化要素も実際には合体しない方が強いという仕様、Unity使用のせいでフリーズ発生とやはり駄目な子であったが
飛び抜けたクソさに欠けていた為住人の期待には応えられなかった。

さて2015年の年内エントリーは以上である。今年は年末の魔物が現れる事は無かった。
しかし検証が進まぬ為未だにエントリーが果たされていない注目作もあり住人達の間には燻りが残っていた。

年明けの1月にこれらの検証は進み、3作が追加でエントリーを果たした。
まずはTRYSET MAD「ANOTHER POSSIBILITY」(通称:アナポ)。
主人公が記憶喪失から36時間で回復する合間に初対面のヒロインが突如オナニーを始める等の苦笑物のバカバカしいシナリオが展開する。
攻略対象ヒロインの内3人が実妹、実母、実の娘と倫理観など何処吹く風である。
エロシーンもかの「ずっぷ」リスペクトのコピペであり「う゛ッ!」で射精するパターンを「う゛ッ!?」「う゛ッ!!?」「う゛ッ!!」とアレンジする様子は
「絶対に笑ってはいけないエロシーン」と呼ばれた。

Empressが6月に発売していた「ClosedGAME」も2011年以来のエントリーとして参戦。
SF風な世界を舞台に上級市民が下級市民をデスゲームへと参加させるという骨子、安心クォリティの原画とテキストと上辺は良かったのだがシナリオが全てを台無しにした。
厳密なルールに則った運営が要求されるのがデスゲームの醍醐味であるが、本作ではその設定やギミックの意義がコロコロ変わり完全に破綻している。
ゲームマスターもこっそりヒントを与えたりとデスゲームとは一体何だったのか感がえさせられる。
ヒロイン毎のルートも単にセックスする相手が違うだけ程度のコピペにしか過ぎない。
相変わらず糞ゲー兼クソゲーな内容で人を選ぶのもお馴染みだ。

さてそんな中最も注目度が高く、そのクソ度が注目されて大作がようやくエントリーを果たす。ミンクが放った「Love and Peace」(通称:LaP)だ。
処女しか感染しない凶暴化の病気が蔓延している学園に、唯一その病気を治せる精液を持つ主人公が殴りこみ浄化を図るSLGな本作。
エロゲー的には有りな設定ではあるが、不味かったのがこれを書くライターがなんと13人も居た事であろう。
当然の如く担当箇所毎にちぐはぐな設定が織り成すシナリオはユーザーの理解を困難にさせてしまっている。
もっともご大層な話を望める設定では無いので流せると諦め、肝心のSLGパートに以降するユーザーが多数であったが、そここそが本当の地獄であった。
学園内のマップをボス目指してマスを移動していくのが基本的な目的だが、これが基本ノーヒントで虱潰しを強要される。
しかも動けば殆どの場合戦闘が発生しその度に戦闘をこなさなければならない超作業ゲーと化している。「1しか出ない人生ゲーム」と揶揄されるのも納得である。
では戦闘は面白いのか?宣伝では属性、攻撃レンジ、キャラクター毎の長所短所がある戦術的な物がアピールされているものの、見事に全ての要素が死んでいる。
ではどうするか。答えは「回復役を潰して正面から殴ればいい」となる。
しかし場合によっては 与ダメージ<回復量 となり延々と戦闘が続く事もまま有る為、単純作業とも行かないのが何とも心憎い。
エロシーンの閲覧には敵ヒロインの捕獲というイベントが必要であるが、コレが実に低確率であり上記の苦行戦闘を100回しても発生しない時はしない。
本作のCGボリュームは素晴らしく、差分無しで271枚と力が入っているものの皮肉にもこの捕獲の難易度のせいで苦行具合に拍車がかかっている。
一周ではフルコンプが出来無い仕様も相まって、ヒロインよりもユーザーが先に凶暴化する事は避けられないだろう。

さて以上が2015年のエントリー作品の全てである。早速大賞及び次点の発表に移りたい。
次点は
  • 不条理世界の探偵令嬢 ~秘密のティータイムは花園で~
  • 猫撫ディストーション恋愛事象のデッドエンド
  • 妄想コンプリート!
  • Love and Peace

大賞は
  • 戦極姫6

とする。

2015年は昨年のチーズや一昨年の部室の様にずば抜けた弩級クソゲーが不在であった事は否定出来ない。
しかしその分様々な特徴をもつクソゲーの百花繚乱であった。
全編脱力クォリティでアーベルの力量を魅せつけた「不条理探偵」。
クラウドファンディングという新境地から生まれた「猫撫デッド」。
名前は変わってもEx-iTは不滅であり、進捗状況報告書という新技を披露した「毛根」。
これらは各々が次点に輝いても恥ずかしく無いクォリティを誇った。

しかし大賞争いは近年珍しい程激しいデッドヒートとなった。姫6とLaP…その力量は拮抗しており決着は中々つかなかった。
ゲーム性、シナリオ、キャラクター、エロとどの面を取っても決定的な差が認められず、一向に大賞は決まらなかったのである。
しかし一点だけ違う物が有った。それは「クソさの多面性」である。

LaPは誰がやっても均一的なクソさを体感出来るだろう。
エロを集める為に運否天賦の苦行を繰り返し、シッチャカメッチャカな文章を読んで精神を削っていく様は正に凶悪と言える。

しかし姫6はそうでは無かった。と言うのも最も槍玉に挙がったシナリオもとい月冴に対する体感的なクソさは均一とは言えない。
クソゲー界でも稀に見るクソ主人公っぷりはシリーズファンであろうと新規ユーザーであろうと非常に低質かつ不愉快に感じる事は相違無いが、
その特性上姫シリーズの過去を知るほどより苦しさが増す特殊な毒性を持っている。
KOTYeの基本ルールとして「シリーズである事は 基本的に 考慮されない」という物がある為、主にこの部分が争点となったのである。

だがこと姫6においてはこのルールの先に存在するのではなかろうか。
姫6がこれ程のポテンシャルを持つ所以は決して「シリーズだから」「前作より悪化しているから」という相対的な物では無い。
感じ方の差こそあれ月冴に端を発するユーザーの精神を逆撫でする構図、そして単純に低質なゲーム性、CGの質こそが本質である。

また姫シリーズそのものの体質も他のシリーズエロゲーとは一線を画している。
先に述べた通り姫は初代こそ伝説級のクソゲーであったが、買い支えるシリーズファンに呼応して改善されてきた稀有な例である。
そのシリーズ作も続編的な物では無く、毎度お馴染みの面子が基本的に同じ枠組みの中でのシナリオを繰り返す所謂「偉大なマンネリ」と言うべき物で有った。
つまり姫シリーズは「今迄と同じ」である事こそが売りであり、かつ存在意義とも言えるのではなかろうか。
そうした視点で見た場合、姫6は明らかにその存在意義を失っているどころかそれらを全力で踏みにじっているのである。
こうしたバックグラウンドが有る以上、前作までとの兼ね合いを考慮せずには評価はままならない。

さて、これらの前提を踏まえた上で姫6のクソさは如何ほどか改めて確認しよう。
シリーズファンにとっては突如降臨した月冴という邪悪な男によってお馴染みの面子がアホ化し蹂躙される様に血涙を流した。
これは偉大なマンネリに慣れた故の反応であるが、逆に慣れているが故にお馴染みの作業ゲーム性、CGの質の乱れと言った要素はあまり重要視されなかった。
一方で新規ユーザーからした場合、その慣れが無い故に月冴補正が幾分抜け、代わりにゲーム性やCGが目に付く事となる。
つまりシリーズファンからすれば「月冴のせいで台無しになりクソになった」、新規ユーザーからすれば「月冴はまぁアレだったがそれ以外にも酷いゲーム性とCGだった」とクソさの感じ方が全く変わる事が推測される。
しかしこのどちらも間違いでは無いのだ。
これこそが姫6の持つクソさの多面性である。同じクソゲーを見たのに人によってプリズム加工の如く全く違った様相が浮かぶというクソゲーは他に類を見ない。

KOTYeはかのアイ惨によって創設以降、ありとあらゆるクソさを持つクソゲー達と相対してきたが「誰が見てもクソだが、その様相は見る物によって全く異なる」
という幻覚の様な特徴を持つクソゲーはなかなかお目にかかる事は無い。
KOTYeはこの様な色取り取りなクソさを楽しむ場である事も事実でありこの世界に新たな足跡を残し、名前の通り新月の煌めきを放った事は賞賛に値する。

よって極めて接戦かつ例外的な扱いではあるが、2015年KOTYeの大賞は「戦極姫6~天下覚醒、新月の煌き~」とする。

2015年のKOTYeは近年の中では比較的落ち着きを保っていた事は確かである。
連続エントリーを果たしていたSealやスワンと言った常連も姿を見せなかった事からもその様子が伺えるだろう。
しかしそんな中でもそれぞれ特徴有るクソゲーが産まれ、結果従来無かった特性を持つ姫6が大賞に輝く事となった。
クソゲー達は年々その多様性を高め、その結果住人達が検証に要する経験値も鰻登りとなっている。
しかしこういった豊富なフレーバーのクソゲー、そして時には良ゲーを嗜む事でよりKOTYeは成長を続けるのだ。
クソゲーという谷が有るからこそ、良作に出会った時に山から見える景色が映える。
この奇妙とも言える関係を愛する場所こそKOTYeなのである。だから何回後悔を重ねてもきっとクソゲーを求める事を辞めはしないだろう。

先祖伝来の土地に舞い戻り天下統一事業を達成した戦極姫6に賞賛を送ると共に、
最後に良しも悪しも選り好みせず食らう精神の体現として次の言葉を送り2015年を締めたい。

「クソゲーも喰らう 良ゲーも喰らう。両方を共に美味いと感じ―――― 血肉に変える度量こそがエロゲーマーには肝要だ」