2014年 総評

新世黙示録 ―Death March―』(7/25)《ザウス【本醸造】》

手抜きと未完成による全月制覇の波状攻撃に見舞われた前年は、同時にそれを吹き飛ばすような笑いにもまた恵まれたのが印象的だった。
文句なく質は低いのになぜか笑えてしまう。
そんな愉快なゲーム達に囲まれ、ネタスレであるというKOTYeの本質にも迫った意味深い一年は、
低品質とネタ性の芸術的融合によりクソゲーでありながら「雄大」とまで激賞された、『明日もこの部室で会いましょう』の栄冠をもって幕を閉じたのである。

そして心機一転。
迎えた2014年KOTYeは、前回終盤の混乱もどこ吹く風。
比較的穏やかな新年を満喫していた。
もちろん無風とはいかない。
開始早々、トゥルーで脈絡なく鬱シリアスに突っ走りつつそれまでの設定を丸ごと放り投げた『きみと僕との騎士の日々 -楽園のシュバリエ-』が到来。
神がかって痛々しい主人公と「じゅぶっ、ニチニチニチニチーー!ドクーーーン!!」という勢いある擬音が心を掴む『巨乳JK生主生ハメ生中出し』も花を添えたものの、
どうにも小粒感は拭えない。
二年連続開幕デモンズウォールで訓練されきった歴戦の住人達は落ち着いたものであり、平和な幕開けだと縁側で茶をすするような思いに浸る者も多くいた。
しかし、やはりここは修羅の国。
仮初の平和も決して長くは続かない。

3月終わりのこと。
年度末と増税前の駆け込み需要、二つの節目に誘われるように特大の銃弾、いや焼夷弾が安穏とした空気を切り裂いてKOTYeの地を爆撃した。
エフォルダムソフトより発売された『銃騎士 Cutie☆Bullet』(通称『銃騎士』)の登場である。
体験版の出来やCG以外散々だった前作の評価から、元より画集として以外の意義を諦められていた今作。
その半分以上地中に埋もれたハードルをすら華麗に潜り抜けて行くとは、誰に予想できただろうか。
まずはシナリオ。
主人公達が王国を騒がす様々な事件に挑むシリアス路線のキャラゲーなのだが、
真面目な場面にいちいち茶化しめいたギャグを混ぜ込んで滑り倒すため、良い話でも笑える話でもなくなっている。
黒幕の動機からして「半額の日にジムに行くのを主人公の父親に邪魔された恨み」と茶番以下の下敷き。
面々は真剣な面持ちで「乳首が黒く塗られる事件」といった冷笑もののイベントを追いかけ、
主人公が病床の父親から銃士隊を託される場面に「病気は治ったけど調子こいてピーナッツサンド食べたらアナフィラキシーショックで死にました」
と余計な描写を入れて混ぜっ返す等、畳みかけるシリアスブレイクが読み進める気をこれでもかと奪っていく。
中でもとある外人ヒロインの言葉が「はなげかーにばる」「はらませてあげる」などと低俗な空耳で聞こえる設定は悪質の極み。
発言毎にブリザードでその場の空気をぶち壊し、翻訳の挿入によるテンポ悪化まで引き起こす屈指のストレス要因となっている。
捻りがなく見え見えな上同じ展開を繰り返す単調さも合わさり、物語の価値は完全にストップ安。
フルプライスに恥じない文量というかくあるべき姿すら苦痛を長続きさせるクソ要素と扱われる始末であった。
加えて、期待されたイラストはSDを除くCG数が衝撃の35枚。
大半がHシーンに偏っており、基本2種の立ち絵と少ない背景も相まって、
大部分を占める日常パートが「絵の変わらない紙芝居」という商品失格の代物と化してしまった。
一枚絵0のグランドルートからなだれ込む黒一色のスタッフロールは感動に充ち溢れ、止め処ない血の涙を誘う。
1JKS=35枚としてCG数の単位に採用されたり、テキストソフトにメーカー名を「絵フォルダ無」と変換され煽られてしまったのも致し方ないことだろう。
当然各所は即炎上。
代表の二転三転する釈明等燃料には事欠かず、業界を巻き込む大惨事「銃キシーショック」へと発展する中、騒動の絶頂期にエフォルダムソフトは解散を発表した。
この笑えない顛末は当スレにも混乱に似た熱気を運び、舞台の昂りに呼応するかのようにここから怒涛の選評ラッシュが巻き起こるのであった。

春祭りの二番手は『心壊少女 ~僕は彼女が×××されるのを目撃した~』(通称『心壊』)。
前年『雨音スイッチ』で住人を震え上がらせた黒鳥の新作だ。
グッドエンドなしで前作を遥かに超えるバイオレンスが渦巻き、キャラの壊れっぷりは相当なハイレベル。
ニッチ層には期待の目を向ける者もいたのだが、その狂気は度を超えてゲームの質までも浸食していた。
まずインストールの段階で目につくこととして、容量が1GBを切っている。
当然まともな内容を望めるはずがなく、シナリオは通してスカスカのレンコン状態。
主人公を追い詰め、今にも襲いかからんとするヒロインが次のクリックで「彼女は窓から落ちて死んだ」とだけ表示されて退場等、
過程をすっ飛ばした超展開が次々発生する。
システム周りも快適とは言えない。
特に回想モードは杜撰な出来で、未見の撲殺アニメを自動開放するフラグミスや、平和な場面でも構わず流れ続ける回想モード用の陰鬱なBGMがリアル恐怖体験を演出。
原画家の独特なパース感覚は胴体の消失といった異様な場面を量産し、コンボとばかりに不安感を煽りたてる。
回想不可能な複数のHシーンを尻目にしれっと7クリックの日常シーンを紛れ込ませるなど、話題になった誰得チョイスも健在であった。
擁護しておくと、設定や展開自体には随所に光る要素がある。
とはいえ圧倒的作り込み不足の前には無力であり、壊れた少女を描く前にぶっ壊れた制作体制の方を何とかして下さいよと突っ込まざるを得ない。

『心壊』のわずか1日後には、過去作のおさらいに終始する極薄一本道シナリオをフルプライスで売り出した強気な姿勢が光る『Endless Dungeon』がエントリー。

全10枚中9枚のCGをゲーム外で閲覧可能にして自ら商品価値を投げ捨てた『えろどるっ☆』、
設定詐欺のほのぼの感と淡白さで「行為後即眠ってしまう疲れたおっさんのためのゲーム」と評された『堕姫3 ~エルフ貪り調教編~』の二作も間を置かず参戦。
マシンガンの如き猛攻をかけてスレ住人を翻弄する。

そんな中、隙をついて戦場をすり抜けようと試みる忍の影があったが、そうは問屋がおろさない。
牛乳戦車による3Dアクション、『くのいちが如く-脱がせ!爆乳ニンジャーズ!-』も、
くのいち・アクションとKOTYeの「混ぜるな危険」を押さえていたためかハンターの目を逃れられず、あえなくお縄となってしまった。
あからさまに『閃乱カグラ』をコンセプトにした本作だが、
『マインクラフト』で作ったようなステージを粗いモデルが『ノットトレジャーハンター』ばりのダバダバ走りで駆け抜ける様に、くのいちものの風情やエロスは微塵もない。
脱がせという割に脱衣モーションすらなく、元ネタには程遠いチープさである。
売りのアクションも低質の一言。
操作性が悪く穴一つ越えるにも苦労する反面、戦闘は適当に殴るだけで雑魚からボスまで対処可能なseal式を採用。
道中の長さと敵の少なさもあって猛烈な作業感に苛まれるのだが、なんと本作ではこのアクションパートで溜めた金で購入しなければHシーンの閲覧ができない。
結果、パンツを下ろしたまま金回収の作業周回プレイに興じる諸兄の悲痛な嗚咽が、殺風景なマップにひたすらこだますることとなった。

続いて同じ3Dの土壌から未知の異形が産声を上げる。
KISSによる『カスタムメイドオンライン』(通称『カスオ』)だ。
本作は好みの外見・性格に設定したメイドと幅広いプレイが楽しめる人気シリーズの新作にして、業界初のクライアント型基本無料オンラインゲーム。
通常は対象外の形態ながら、特典付きパッケージ版が販売されていたため無事エントリーと相成った。
その特異な試みはかねてより注目されていたのだが、サービス開始後即座に不具合でログイン不能になる盛大な滑落事故が発生。
「ログインできた人は方法を教えてほしい」と公式がアナウンスする笑いどころまで作り、完璧なスタートダッシュを見せつけた。
そして数日後、ようやくプレイ可能となった先に広がっていたのは、体験版どころか開発初期のサンプル版並みの完成度であった。
大半の機能が未実装。
マニュアルがなく何をすればいいのかさえ不明。
手探り感を楽しもうにも、基本無料特有の疲労システムによって瞬速で行動不能に陥り、メイドをただ眺める位しかできなくなってしまう。
もはやゲームと呼べるのかも怪しい驚天動地の出来栄えであるが、
オンラインゆえ頻繁なアップデートが予想され、現状の検証をいくらしたところで効果は期待できない。
その流動性の扱いも含め、結論はひとまず先送りされるのであった。

ここで余談をひとつ。
『銃騎士』を筆頭に、3月28日発売のゲームがこの時点で5作、最終的には6作エントリーしており、「増税の悪夢」として大きな盛り上がりを見せていた。
時期を同じくして特定ジャンルの作品が転び続けているという報告もあり、その中のとある発言が大変興味深い。
曰く、「騎士ものは地雷。神様ゲーも微妙。」
スレに大規模なフラグがセットされたことを、当時の住人達はまだ知らない。

さて、地を割り天を焦がす実りの春が過ぎ、季節は夏へと移ろい始める。
梅雨を控えた6月の初めには、3年前より皆勤を続けるsofthouse-sealの『繁触きょうしつ~女子校ハーレムなら何をヤっても許される!?~』がエントリー。
ズキュウウウンの効果音付きで「そこに痺れる憧れるぅ!」と射精、「あば、あばばばば……ッ!」と喘ぐヒロインなど、
Hシーンでまで自重せず雨霰と安直なパロネタを乱打してダダ滑るその姿に誰もがおかえりなさいの生温かい拍手を贈る中、
息もつかせぬクソゲーの攻勢は未だ衰える気配を見せない。
次いで舞台に躍り出たのは、湿った空気を吹き飛ばさんと必殺の武器を携えた愉快な2人の騎士だった

先陣を切るは『恥辱の女騎士「オークの出来そこないである貴様なんかに、この私が……!!」』。
凌辱ゲーの雄、ルネという意外なメーカーからの殴り込みである。
老舗だけあって抜きゲーとしての基礎自体は良質に纏めているが、それを帳消しにする程に本作のデバッグ体制は崩壊していた。
鎧を脱ぐ前から立ち絵が全裸な位は小手調べ。
サムネと中身が一致しない回想モード、統合ミスによる画像荒れ、公式と名前の違うヒロイン等、探さずとも粗は土石流のように押し寄せる。
「ヒヤヒウアして」「根さんの顔」を始め誤字も非常に多く、
上記の画像バグで口元が壊れている際には「メテォオ~!」と発音まで壊れていると、芸の細かい合体技まで披露してくれる。
現在は大方が修正済だが、笑えないクソが蔓延る中降って湧いた「ヒヤヒウア」の語感の良さは一服の清涼剤となり、
大量のAAを生むなど新たな流行語としてスレに名を刻む不名誉を授かってしまうのだった。

第二陣は「ゲームブック風ADV」「複数主人公視点」を売りに固定ファンを獲得した縁 -yukari-発の『○&○』シリーズ3作目、『Knight&Princess』である。
のっけから環境依存の起動不可バグをやらかし、W主人公の片割れのルートが一周数分で終了とつかみは上々。
続く冒険パートでは、ゲームブックの性質を考慮して尚看過できない無意味なGAME OVERの多さがプレイヤーの心をへし折りにかかる。
ほとんどにHシーンどころかCGさえ用意されず、いちいちテンポが失速。
内容も「裸で外に放り出された。GAMEOVER 」「目的の姫が見つかった。GAMEOVER 」のように投げやりで、イライラの苗床でしかない。
そしてこれら多すぎる分岐を管理しきれなかったらしく、破れては再生する処女膜、突然場所が変わって開始される超時空レイプなど描写の不整合から、
ルート解放の起点イベントが対象ルートと繋がっていないという致命的なものまで、フラグ周りの不具合は枚挙に暇がない。
おまけに、局部にピアスをつけるフラグがONになると回想も含む適用後のシーン全てにおいて画面にピアスの画像しか表示されなくなる金物マニア歓喜の特大バグを搭載。
唯一の評価点であるエロすらも見事ふいにしてしまった。
シリーズの名物として「ちくしょう」のセリフがあり、本作でも主人公達が口癖として使用するのだが、
真にちくしょうと叫びたいのが一体誰かはおそらく言うまでもないことである。

この翌日には王座奪回へと執念を燃やすスワンアイが、
『私たち・花のオシオキ部!~やられたらヤり返す…エロ返しだ!~』(通称『オシオキ部』)で上半期最後のエントリーを掻っ攫う。
本作を一言で表すなら「お粗末」。
珍しく最序盤だけはきっちり纏めて仕上げているものの、以降はお得意のハリボテダイジェスト進行だ。
人物は園芸用移植ゴテで優しく触る程度にしか掘り下げられず、全くの無魅力。
「下着泥棒が現れ、難なく捕まえた」「いつの間にか幼児退行していた教師からの突然のご奉仕」
といった無味乾燥な小話とやっつけHシーンが反応に困る小滑りのギャグテイストに彩られて延々と続く。
話の締めとなるハーレムルートですら、時系列のおかしな展開の後に35クリックのHシーンを挟み、終始盛り上がらないまま淡々と滑ってゲームエンドである。
「俺は4人に交互に入れていき、全員イカしていった」と童貞の妄想の如き状況描写で幕を引く根性からも、ライターのやけくそ具合が見て取れよう。
派手な技こそないが全編そつなくクソであり、完成されたつまらなさは選評者に「クソさに感心するあまり一周して面白くなる」と称された。
低品質を芸風へと昇華し、文章要素のみで並み居る強豪と真っ向から殴り合う蛮勇ぶりは、さすが前々回王者の貫録と讃えるべきであろう。

このスワンアイの変わらぬ姿に触発されてか、7月も早々に宿命のライバルが大胆な奇策でもって殴り込み、下半期の開戦を告げた。
『ビッチ生徒会長のいけないお仕事』(通称『ビッチ』)、softhouse-sealから本年2作目のエントリーである。
まず大抵の環境で開始直後に強制終了を食らう程度は、seal製の様式美として流してしまって問題ない。
ストーリーは、エロゲーの様な体験を夢見る某国の姫が従者の少女を伴って日本の高校に留学し、生徒を食い荒らすというもの。
途中まではあらすじ通りに話が進むのだが、ある時突然、2人が「未来を救うため過去に来てHしているアンドロイド」であると語る謎のモノローグが入り、
プレイヤーは一気に疑問符の渦に突き落とされる。
公式サイトに説明は一切なく、背景が明かされることもない。
そもそもこの設定崩壊を除いても細かい不整合は嵐の如く吹き荒れており、
「放蕩ぶりを諌めていた従者が姫の処女喪失を笑顔で祝福」「体育館での乱交後、無人の着替え場所を探して体育館に赴き、再び乱交開始」
などなど、ポルナレフも大忙しだ。
その後も姫と未来の使者とを行き来するツギハギ展開は続き、機械であることを利用して体を入れ替えた2人のHシーンが終わると、
1クリックでタイトルに戻って物語も終了する。
話が置き去りだろうが、回想の20枠中13枠が空欄だろうが、これでフルコンプである。
後の検証で、未来が云々という設定やセリフは過去作からの流用と判明。
また上記はパッケージ版の仕様で、DL版ではストーリーが一貫しており、シーンも20枠きちんと揃っている。
推測するに、納期に間に合わなかったパッケージ版の一部を流用でごまかし、DL版は納品までに最低限形を整えたためこのようなことが起きたと思われる。
流用して尚完成せず、意図的に起動不可を仕込んでシュレディンガー戦法を狙ったところ、
環境依存バグでバグが動作せず起動できてしまったのではないかとの声もあった。
後にパッチで内容が差し替えられ改善。
しかしKOTYeに新たなクソの方向性を切り拓くその「いけないお仕事」ぶりは、笑いを通り越して真顔へと変わった住人達の心に嫌という程焼き付くのであった。

夏の盛りから秋にかけては、過去にヒット作を生み出し地位を築いた人気ブランドが徒党を組んで襲来。
自らの命を燃やす覚悟に裏打ちされた悲壮なる自爆テロの殲滅力は、数多くのファンと住人達を阿鼻叫喚へと叩き込んだ。

1本目は哲学的なテーマと美麗なグラフィックが支持を得た『ギャングスタ・リパブリカ』のファンディスク、
WHITESOFTによる『ギャングスタ・アルカディア ~ヒッパルコスの天使~』(通称『ギャルカディア』)である。
本作の問題点は「薄さ」に集約される。
合計5時間のボリュームではファンディスクだろうとフルプライスには厳しい。
テキストも日常描写を始め本筋と関係のない部分は一言二言で畳まれる収納上手仕様で、
Hシーンですらスワンのバカゲーを思わせるねじ込み具合なのだから、エロゲーとしては首を傾げざるを得ない。
薄いのはシナリオだけに留まらない。
CG枚数はSDを除いて44、新規に限れば29と1jksをすら下回る体たらくだ。
質自体前作が見る影もない劣悪さで、本当にクレジットの原画家が描いたのかと声が上がる中、後日メーカーのカミングアウトにより原画詐欺が確定。
未だ「鋭意制作中」と表記されたままの公式サイトから漂う露骨な売り逃げ態勢と共に、ユーザーの大きな不興を買うこととなった。
「共和国から理想郷へ」のコピーはどこへやら。
完成したのがソドムとゴモラも真っ青な罪業の都市では、名を冠された天使もたまったものではないだろう。

続いて選評が届いたSORAHANEの『はるかかなた』(通称『はるかな』)も、これまで積み上げた全てを文字通り遥か彼方に吹き飛ばす出来栄えだった。
全体的に重要な事柄をさらっと済ますシーンが目立ち、
ご都合主義、不可解な心の動きを多く含んだシナリオはお世辞にもテーマとなる死生観や人間関係を描ききれているとは言えない。
中でもメインとなる実妹ルートは飛び抜けて低レベルである。
突如発覚するヒロインの遺伝病と幾ばくも無い余命に始まり、打つ手なく死んだかと思えば真エンドでは腎移植であっさり完治。
同じく唐突に病弱と判明した主人公と隔離病室で病人同士の近親子作りセックスに励み、医者が出産を簡単に許可するなど、
不条理に塗れた新設定と超展開の嵐が、「平和な『恋空』」とでも形容すべきチープなヒューマニズムを伴って容赦なくプレイヤーの横っ面を殴りつけていく。
加えてまともなプレイを不可能にする大量のバグが本作のクソゲーとしての地位を決定的にしている。
新規に導入された独自エンジンが非常に不安定で、当初は強制終了とフリーズが度を超えて頻発。
パッチのリリースは2ヶ月で4回を数え、バージョン更新毎にセーブデータの互換性が切れる仕様が「賽の河原システム」と揶揄された。
発売から半年を経て致命なバグは概ね改善されたが、未だフリーズの報告が散見される他、スキップに既読判定がない等細かい不満点は置き去りのままだ。
システムを一新し、過去作で好評を得たSF系の世界観から現実的なヒューマンドラマへと転換を図った結果、
儚くも現実の厳しさを身をもって知るオチとなってしまったのは何とも因果な話である。

そして大型地雷祭りも3作目を迎え、ついに試練の時が訪れる。
ザウス【本醸造】発の『新世黙示録 ―Death March―』(通称『チーズ』)が、終末を告げる天使のラッパをBGMに衝撃の降臨を果たしたのである。
企画・シナリオに『メガテン』シリーズの基礎を築いたクリエイターを迎え、ゲーム性に重きを置く本醸造名義久々の新作として鳴り物入りで発表された本作。
しかし往年のファンの期待に反し、誤字だらけでやけに見辛い公式サイト、酷悪な出来の体験版と危険信号を連発。
いざ判明した全容は、大方の予想を遙かに超える常軌を逸したものだった。
本作は突如現れたゾンビに侵攻される日本を舞台とし、3Dダンジョンを巡るRPGパートと、事件の真相に迫るADVパートで構成されている。
前者から見て行こう。
公式ジャンルは「戦略RPG」だが、およそ体裁を整えるためだけに組み上げたような稚拙なものである。
ソードバトルを称する戦闘はどこぞの反逆者よろしく「火力を上げた剣で殴ればいい」作業ゲー。
売りである剣の合成・強化システムも、いかに丹精込めようと少し進めば型落ちで使い物にならなくなる上より強い剣が簡単にドロップするため、
随時それに乗り換えていく尻軽プレイで十分と完全に形骸化している。
操作性も壊滅的で戦闘のテンポは非常に悪く、執拗なエンカウントまで加わって何もかもが果てしなく煩わしい。
途中で自動戦闘・過程スキップ機能が開放されるとこれを使わない理由が見当たらず、いつしか戦略=「戦闘省略」RPGとの共通認識を得るのであった。
また敵グラフィックは使い回しの嵐、ダンジョンはギミックのない一本道ばかりと視覚的にも気が滅入る単調さ。
唯一、手抜き命名システムによって量産された「筋者ホーリー」「メタボゴッド」などのキラキラネームゾンビが立ち並ぶ異様な光景だけは、
舞台となる世紀末的世界観を端的に表した成功例なのかもしれない。
本パートの所要時間は15時間前後。
その全てが苦痛に満ちた作業とあっては、価値を見出す方が困難だろう。
さて、現時点で既に眩暈のする惨状だが、残るADVパートは更なる腐海である。
まずシナリオをクソたらしめる最大の問題点が主人公の存在にあった。
名を鳥海知空(とりみちから)。
主張は一貫せず、自らの言動に責任を持たず、それにより起こる失敗は他人のせいにして激昂し、
常に自分が正しいと不遜な態度を取っているかと思えば折に触れて激しく自己を卑下して鬱に陥るなど、文字通り知性が空としか思えない人格破綻者である。
ストーカー行為を擁護し、二人乗りを咎めた近所のおばさんを人格攻撃する様は世のルールを弁えているかすら怪しく、主人公どころか人間失格の域。
全編彼の一人称視点で進行する上一貫して成長せず、プレイ中は逃れようなくこの思想と二人三脚だ。
当然共感も感情移入も不可能。
30時間に及ぶ長大なテキストが丸ごと拷問と化してしまった。
主人公よりは数倍マシといえど他の登場人物も大概で、上述したおばさんを除く全員がミストさんに例えられたと言えば凄まじさは推し量れよう。
そしてキャラが理解不能ならシナリオは支離滅裂。
本作の愛称『チーズ』を産んだ「血塗れの男性や警官の忠告、鳴り響くサイレンを頑なに無視してチーズを買いに行く」イベントを始め、
全ての事象に合理性・必要性が認められない。
伏線や設定は基本的に回収されず、一本に繋げるのが不可能な程構造が崩壊している。
顕著な例が中盤のループ現象だろう。
前後でキャラの性格や立場・世界の状況まで様々な部分が変化するのだが、
そこからは新たな設定準拠で新たな物語が始まり、以前の展開や多くの謎は纏めてなかったことにされてしまう。
挙句ループの原因を作中の誰も知らず、明かさないまま放置して終わりである。
更に言うなら、結末もなぜか突然神になった主人公が全てをなかったことにして大団円という夢オチ同然のもの。
ここに至ってさえぶん投げるなら、これまでの苦行に一体何の意味があったのかと頭を抱えざるを得ない。
CGまで原画詐欺を疑われる低クオリティで、画集としての逃げ道も残さない徹底した作品作りは古豪の最後の意地と取るべきか。
ヒロインの一人アマテラスとのHシーン、通称アマテラセックスにおける、絶頂時に後光が差した一枚絵が束の間の笑いをもたらしたものの、
実用度は何をか言わんやであり、救いのなさに変わりはないままであった。
「チーズ買ってくる」と言い残して消息を絶った者は数知れず、使命と割り切らないとプレイが続かないとの評より「ゲー務」の称号を得た本作。
その苦行性たるや、発売直後から明確にクソゲーとわかっているのに、訓練された住人達をして最初の選評に1ヶ月以上、全容の解明には数ヶ月を要した程である。
「キャラが不快な30時間の『りんかね』」と「15時間の『くのいち』」のハイブリッドとでも言うべき内容はまさにデスマーチ。
隙のない全方位クソゲーにして最凶クラスの核地雷と言えよう。

有名メーカーによるこの大攻勢に常連も黙ってはいない。
ここでの知名度は俺の方が上だとばかりに、softhouse-sealが本年3作目となる『セックス あ~ん♪ パンツァー』を投入して勝負をかける。
本作はお馴染みの横スクロールアクション。
新要素としてオナニーするか犯されると溜まるゲージがあり、MAXになると一時的な能力強化ができる。
この強化なしでは越えられない穴や段差が存在し、その度にいちいちオナニーを強制され面倒である。
また強化中の跳躍力上昇が公式で説明されていないため、気づくまで何度も無駄に飛び跳ねてはティウンティウンを繰り返すハメになる。
戦闘面についてはバランスが極端で、基本的に敵が弱く難易度は緩いのだが、ラスボスだけはこれまで通りだとまず勝てない程強い。
ではどうするか。
正解は「とにかくオナニーをして強化で殴ればいい」である。
エロアニメのモーションが体験版で確認できる3パターンと全て同一であるなど、出来は「いつもの」で純粋につまらない。
しかしこの「とにかくオナニーをする」という斬新な攻略法はスレに笑撃を呼び、
笑えるクソゲーを産み出す安駄製造機の帰還として、住人達に一時の安らぎを与えるのだった。

だが帰還したのは笑いだけではなかった。
4年前に悪辣な販売手法と事後対応で『Cross Days』を次点入りさせたお騒がせメーカー、オーバーフローが、
『ストリップバトルデイズ』(通称『ストリップ』)で久々の大賞候補へと返り咲いた。
本作は野球拳をして服を剥ぎ、お触りから本番に持ち込むという内容で、過去作収録のオマケゲームに新要素を加えて単体で商品化したものだ。
グー連打でも余裕で完勝、お触りモードはほとんどのケースで「乳をつついて舌で舐めればいい」と、システムは作業そのもの。
新規含む一部キャラにボイスがなく、大半のCGがオマケ版の流用とあってはファンアイテムとしても怪しいところだろう。
ただこれらは概ね発売前告知通りの内容で、ここまでならよくあるゲー無で済んだ話だった。
しかし、サプライズ精神こそオーバーフローの真髄と言うべきか。
パッケージ版付属のアンインストーラーを使用するとインストールフォルダに加えて一つ上のフォルダも一緒に消去してしまう危険極まりないバグが発覚。
同時にCドライブのユーザーフォルダにも悪影響を及ぼし、
無関係のアイコンが消えたり設定ファイルが壊れてPCの動作が不安定になるなど、完全にマルウェア同様の挙動を見せた。
かの『みずいろ』と違いHDD丸ごと消去とはならないようだが、ゲー無性によるアンインストール促進とかみ合って被害率が高く、悪質度で言えば上位互換レベル。
クソゲーを装って破壊工作を行う「ゲー謀」と名づけられた本作は、
「ヤリ捨てには死をもって報いる」という『School Days』以来の鉄の掟を、画面外の我々にも身をもって知らしめる執行者だったのである。

これら怒涛の進撃の合間には、全体的に粗だらけの内容に加え、
過剰に個性的な言い回し・擬音の連打が真面目に抜く気を奪っていく『艶乳 ~ツリ目で淫らでヤバい秘書』も参戦。
ゲシュタルト崩壊する程頻出する「全自動腰振りマシーン」や、
「ウドピュ」を基本に「ウドピュ~」「ウドピュっ」「ウドゥピュッ!」といった小癪なバリエーションのみで賄われる射精音は大きなインパクトを産み、
直近のsealと共に大玉の打ち上げ花火で鮮やかにスレを彩った後、夜空の中心で爆死の大往生を遂げるのだった。

12月末には、発狂難易度のスキンシップ機能と水増し・手抜きの数々で多くのプレイヤーから匙を投げられた、
『強引にされると嬉しくて初めてでもよく喘いじゃう令嬢な幼馴染 優衣 「やめて、脚に触らないで……でも本当は気持ちいいの」』が2014年内最後のエントリーを果たし、
締めを飾る。

ここで、ついに長らく棚上げとなっていたブラックボックス、『カスタムメイドオンライン』の解剖検証が行われた。
「クソすぎて誰も遊ばず、内容がわからない」との噂が荒廃の気配を伝える現状。
真相と対峙する時が来たのだ。
まず、起動前に必要なアップデートは約10GB。
ファイル数は万を数え、数時間の待機を強いられる。
そしてそれを乗り越え目にした姿は、余りにも既視感に溢れていた。
売りであるオン要素から育成機能、果ては特典アイテムに至るまで、尽くが未実装のままだったのである。
加えて検証の深化により、ゲーム性は土台の時点で腐りきっていたと発覚。
bot以下に貧相なメイドのコミュ力、常時フル勃起の主人公モデル等、数え役満を狙える規模のドラですら序の口程度。
最大の問題は徹底してプレイヤーの煩悩を消化不良にさせるシステムにあった。
例えばメイドを好みに着飾って楽しもうにも、衣装獲得に必要な「仕事」の成功率が服装で変化する上同じ服で居続けると激減するため、
衣装を求める限り成功率の高い服を選んで定期的に着せ替えなければならない。
疲労による回数制限が効率重視の傾向を助長しており、コンセプトのカスタム性をゲーム自身が否定している。
最たるクソシステムが夜伽=メイドとのHに現れる精神値だろう。
この値が愛撫などコマンド一つ毎に減少していき、0になると射精も絶頂もなくプレイがその場で強制終了。
完遂には全コマンドの減少値を把握した上で合計がオーバーフローしないよう計算機片手に管理し続けるというプロ事務員の如きスキルが要求され、
行為に集中など出来たものではない。
あろうことかここにも疲労が登場し、1日に5回程しかHができないのはエロゲーとして致命的である。
本番が正常位の一つしかない、初期状態の乏しいプレイ内容も見過ごせない。
新規プレイは夜伽の度に貯まるポイントで購入するのだが、
本番の解放には1日で入手できる20倍以上の値が必要で、達成まで毎日代わり映えしない前戯を続けるハメに陥ってしまう。
その上ポイントは2区分あり、解放対象毎に必要な種類が完全固定。
状況次第で「挿入後即放尿を繰り返す」といった謎のプレイを求められるなど、何もかも自由にさせては貰えない。
一応課金すれば本番含む上位プレイの即時解放が可能ではある。
ただここにもプリペイドカードだと購入額から税分が差っ引かれ(1500円だと1389Pの加算)、
商品が全て100P単位なので端数が無駄になるという地味な嫌がらせを完備。
そしてプレイ自体がモーションや音声に使い回しの目立つ微妙な実用度のため、このゲームをプレイする価値がどこにあるのかと根源的疑問に直面することとなる。
この「課金しないと苦痛しかなく、課金をしてもつまらない」ゲーム性は、ノウハウもないのに基本無料システムに手を出し、
その雛形だけを盛り込んでしまった浅はかさに起因する。
迅速な対応を求められるジャンルで問題を先送りする姿勢にも製作者の無知が滲んでおり、
結果として課金で止め時を失ったプレイヤーに長期間の「継続する苦痛」を与えるというかつてないクソの境地まで打ち出すに至った。
メイドの3Dモデルはとりわけ優れたもので、慣れ親しんだスタイルを貫かなかったことが悔やまれてならない。
上っ面をなぞるだけでは大成など夢のまた夢であると、ここまでその身で語った作品も貴重と言えよう。

年は明け、2015年。
『チーズ』は外伝をサプライズ発売するも起動に必要なファイルを入れ忘れて喝采を浴び、
『カスオ』は動作が重くなるアップデートを施して年内のサポートを終了。
強者達が恥の上塗りに精を出す一方、年末の魔物はついに姿を見せなかった。
幕開けが静かなら幕引きも静かだと、再び茶を啜りながらぴりりと冷えた年始の空気を楽しむ住人達。
一部の者は不発弾を発掘してはハンマーでぶっ叩いて遊ぶ余裕まで見せ始めたが、修羅の異名は伊達ではなかった。
このまま終わらないのがKOTYeである。

1月5日の早朝、前年王者を輩出したミクル…もといミルクプリンの親ブランド、potageより腐臭漂う寒中見舞い、『ヤリ友ペット欲情生活』が投げ込まれた。
本作はレイプ・監禁に興味のある主人公が陵辱動画配信者として目覚めていく抜きゲー…のはずだった。
蓋を開けてみると、主人公の絡むシーンが双方合意の和姦ばかり。
個別は全てヒロインと幸せにHをしてENDとなる。
果てには主人公自身が「レイプや監禁は当分いいか」と語りだす始末で、純然たる設定詐欺である。
一応凌辱ゲー然としたNTRルートも用意されているが、内容は背景も理由も説明されないまま飛ぶように場面が変わってヒロインの犯される姿を垂れ流すだけ。
「闇堕ち担当教師・前野」「闇堕ち親父」など悪ふざけでしかない竿役の名前や、
ラリったようなテンションでネットスラングとパロディを乱発する電波じみたテキストからは抜かせようという意欲すら感じられない。
そもそもHシーンが平均20クリック強の極薄で、大半の声優が致命的に大根とあってはとても実用に耐えるものではないだろう。
この有様にもかかわらず「前後でぇぇえんんっ……前後ォ前後ぉぉ……」とクソゲーネタをぶち込む態度が、
「開き直ってわざとクソに作った炎上商法の一種では?」との邪推を呼び、「養殖クソゲー」とあだ名されたが、真相は定かでない。
どのような思惑だろうと、クソゲーである以上我々は満面の半笑いで受け入れるのみである。

この8日後には6月の発売以来潜み続けていた魔物、ソフトハウスSORAの『俺がヤマタノオロチなら』(通称『オロチ』)が永い眠りから目を覚まし、暴れ始めた。
日付は1月13日。
奇しくも前年の不発弾、『部室』の第一報と同日のエントリーである。
印象的なタイトルやわかるようでわからない絶妙なあらすじが注目を集め、発売前に一度話題となっていた本作。
『チーズ』達の勢いに押され、次第に忘れられていったのだが、暇を持て余した処理班により年明けにしてようやく開封に成功。
その先に見たのは、古の香りを現代に運び込む、神話の時代よりの使者の姿だった。
本作は主人公の正体の謎を軸に日本神話の要素をちりばめた伝奇サスペンスである。
が、謎も何もタイトルの時点で彼がヤマタノオロチであることは明示されており、盛大なネタバレとなっている。
全体の8割を占める共通パート中登場人物達はひたすら正体について思わせぶりな発言を続け、明確にはせず最後まで引っ張るので滑稽なことこの上ない。
そして個別ルートは陳腐を極めた紙展開。
数千年復讐を狙い続けた黒幕が一言二言の説得で改心し、
前世の因縁から主人公を毛嫌いしているヒロインは「ちゃんと話し合おう」と歩み寄るだけで「素敵!抱いて!」と催眠の如く心と股を開く。
全編に亘って大抵の障害を「スサノオがなんとかして解決」するため、主人公達の見せ場はほぼ皆無。
カップ麺を作る間に終わる最終決戦を除けば残るのはHシーンの詰め合わせである。
エンディングすら最後の最後で脈絡なく湧いて出るアマテラスとヒロイン置き去りのアマテラセックスをして幕、など怒る気も失せる作りとなっている。
グラフィックも問題の宝庫だ。
背景は実写画像の流用で、加工が雑なためキャラとミスマッチを起こしている。
雑さの極北として、作中で須賀駅とされている建物に堂々と「鎌倉駅」の表記が残されたままである様は住人を仰天させた。
立ち絵含めて明らかなデッサン崩れも散見される他、一部の塗りに至っては「たのしいぬりえ」程度のクオリティに突き抜けたものさえある。
また、本作は珍しく音響周りに不備を抱えている。
BGMは13曲と少なく、甘々なHシーンで探索行動中を思わせる曲が流れる等、いまいちしっくりこない箇所が多々見受けられる。
効果音はファミコン級にチープで、システムSEに至ってはなぜか人の声である。
カーソルをボタンに乗せると「カチッ」、右クリックすると「ピコッ」、決定で「チャララ-ン」と妙に機械的なボイスが再生され、
ちょっとボタンを掠めるだけでいちいちカチカチ喋り出して非常に鬱陶しい。
システム面に言及すると、一行ずつ戻るバックログ、ホイールでの読み進め不可、立ち絵の表示枠が一人分、と骨董品レベルのUIに加え、
神経衰弱状態のセーブロード画面、複数の文が繋がる、コンフィグから戻れなくなる、といったバグを数々完備し、隙なく低レベルに纏まっている。
クソの手数で言えば本年屈指。
あらゆる構成要素に重大な欠陥を持つ正真正銘のクソゲーである。
ただ昨今問題になっている手抜き売り逃げ狙いの気配は不思議と感じられない。
この低質さはおそらく全て製作者の力量不足が原因で、10年以上前にお蔵となったものが今になって発売されたかのよう、とは選評者の言である。
褒められた出来でないとはいえ、確かに黎明期から発展期にかけてはこういった洗練されていない作品が多数あったことも事実。
10年停滞していると言われつつ、やはりエロゲーも確かに進化を続けている。
本作は便利な現代に慣れてしまった我々に些細な諸々への感謝を思い出させるため現れた、古代のエロゲー達の魂の姿なのかもしれない。

以上で主要なエントリー作品の紹介を終え、今回の結果発表に移ろう。
次点は
『銃騎士 Cutie☆Bullet』
『カスタムメイドオンライン』
『ストリップバトルデイズ』
『俺がヤマタノオロチなら』
大賞は
『新世黙示録 ―Death March―』
とする。

冒頭で述べた通り、前回は負の要素から湧き出るネタの密度をもって決着を見た。
当スレはクソゲーを肴にして楽しむネタスレであるから、当然ネタ性に重きを置くのも一つの趣だが、それはあくまで一面にすぎない。
ゲームとは娯楽である。
心から楽しめるものが良ゲーなら、その対極にあるクソゲーは本質的に「楽しむに値しないもの」、一番のクソゲーは「最も楽しめないもの」のはず。
本年はまさにそれをまざまざと見せつけるかのような様相であった。
トレンドとしてはひたすら「薄い」「不快」「つまらない」ことだろうか。
無価値を突き詰めた作品が名を連ね、ただ質が低いだけではインパクトがないと切って捨てられる惨国時代。
半端な笑いなど何の武器にもならない負の境地がそこにはあった。
これを踏まえ、次点以上には無価値性、つまりクソゲーとしての完成度に加え、他を圧倒する個性を兼ね備えたものを選出した。
『銃騎士』は寒さを極めたテキストと劇的に少ないCGの二段構えからなる「無価値の象徴」として、
『ストリップ』はゲー無にデータ破壊ソフトを忍ばせて撒き散らした「現実への侵略者」として、
『オロチ』は郷愁を感じさせる程に古今東西のクソ要素を詰め込んだ「クソのタイムカプセル」として、
それぞれ特定の方向に突き抜け、条件を高いレベルで満たしたいずれ劣らぬ負のエリートである。

そして、残るは『チーズ』と『カスオ』。
上記3作があくまで多くの部分に苦痛を抱えた程度であるのに対し、この2作は全てが苦痛。
ベースの時点で一段高い位置にいる。
甲乙つけがたい両者の明暗を分けたのは、どちらがより苦痛かという観点で見た際の「クソの普遍性」だった。
『チーズ』はRPG+ADV。
クリアを目指すゲームデザインである。
にもかかわらずシナリオ、キャラ、ゲーム性、グラフィックと積み上がるクソのレギオンがそれを強烈に阻んでくる上、
シナリオを中心に有機的に連動し、相互作用によって不快や苦痛を超えた「ゲームプレイへの嫌悪感」という領域まで達している。
楽しめないことにおいてこれ以上ない完成度であり、苦痛性に焦点を当てるならKOTYe誕生以来積み上げてきたクソ要素の臭大成そのもの。
ここに負のクソゲーは一つの到達点を見たのだ。
対する『カスオ』も確かに全ての動作に苦痛を伴うが、ここで本作の方向性が問題となった。
好みのメイドと自由に時間を過ごすというコンセプトはプレイスタイルを定義せず、明確なゴールがないため到達点の判断は各々に委ねられる。
つまり内包する苦痛を一人のプレイヤーがゲーム中に全て体験するとは限らないのである。
また少数とはいえダンス鑑賞や写真集作成に最低限の楽しみを見出す者が確認でき、
グラフィックの美麗さもあってキャラメイクツール位の存在価値は認められたのも大きい。
もちろん数千円を払って購入した商品が暇つぶし以下の実用性とあってはクソゲーとの謗りを免れないが、
遊び方を固定されて逃げ道がなく、「誰にとっても普遍的にクソ」である『チーズ』にはあと一歩及ばない。
一分の隙もない毒物と、猛毒であるが場所によって毒性にばらつきのある液体。
どちらかを口にしろと迫られた時の選択は、おそらく万人に共通であろう。
ゆえに最も楽しめない作品『新世黙示録』が、2014年KOTYe大賞に相応しいとの結論に至った。

前年のテーマが「正」なら今回は「負」。
ある意味正統派とも言える、クソゲーが「クソ」たる所以に焦点を当てた一年であった。
また全月制覇こそ逃したとはいえ心粟立つ盛況ぶりに変わりはなく、単純なエントリー数だけで見れば過去最多の大豊作。
かの「五惨家」超えを果たした「増税の悪夢」も記憶に新しい。
これらが散々言われている業界の終わりの始まりなのか、はたまた単純に住人のセンサーが感度を増しただけなのか、今はまだ答えを出すに早いだろう。
ただ一つ確かなのは、それでも我々が変わらずクソゲーを楽しみ抜いたことだ。
我々は正義の味方ではないし、審査機関でも、業界を貶めるものでもない。
ただクソゲーを、ひいてはエロゲーを愛しているだけの集団である。
検証がいかに苦痛だろうと、その先が希望の見えない無明の荒野だろうと、余さずゲームを遊びつくし、必ずエンターテイメントへと発展させる。
それこそがKOTYeの選んだ愛し方なのだ。
想像を絶する瘴気に襲われた今回もその基本を忘れず、挫けることなく本気で遊んだ精神を誇りに思いつつ、
全てのクソゲーを懐広く迎え入れ決して忘れないKOTYeの地平が、エロゲーの空と共に途切れずどこまでも続いていく未来を願ってやまない。

最後に、栄冠を勝ち取った『新世黙示録』とその開発陣一同、また今後現れるであろうまだ見ぬ異形のクソゲー達に、
スレ住人の決意の証として一つの挑戦状を叩きつけることで結びとしよう。


「いかなるデスマーチが待っていようと、我々はクソゲーをなかったことになどしない。かかってきなさい」