2014年 総評案 > 合成案2

2014年総合成案2 大賞:新世黙示録 ―Death March―

793 : 総評案2  ◆WC67BWToi2 :2015/03/16(月) 02:54:55 HOST:O005086.ppp.dion.ne.jp
手抜きと未完成による全月制覇の波状攻撃に襲われた2013年度は、同時にそれを吹き飛ばすような笑いにもまた恵まれたのが印象的だった。
文句なく質は低いのになぜか笑えてしまう。
そんな愉快なゲーム達に囲まれ、ネタスレであるというKOTYeの本質にも迫った意味深い一年は、
低品質とネタ性の芸術的融合によりクソゲーでありながら「雄大」と激賞された「明日もこの部室で会いましょう」の栄冠をもって幕を閉じたのである。

そして心機一転。
迎えた2014年度KOTYeは、昨年度末の混乱もどこ吹く風。
比較的穏やかな新年を満喫していた。
開始早々、トゥルーで脈絡なく鬱シリアスに突っ走りつつそれまでの設定を丸ごと放り投げた『きみと僕との騎士の日々 -楽園のシュバリエ』が到来。
神がかって痛々しい主人公と「じゅぶっ、ニチニチニチニチーー!ドクーーーン!!」という擬音が住人の心をつかんだ『巨乳JK生主生ハメ生中出し』も花を添えたが、
どうにも小粒感は拭えない。
過去二年連続で開幕デモンズウォールに蹂躙された影響もあってか歴戦の猛者達は落ち着いたものであり、平和な幕開けだと縁側で茶をすするような思いに浸る者も多くいた。
しかしここは修羅の国。
仮初の平和も決して長くは続かない。

3月終わりのこと。
年度末と増税前の駆け込み需要、二つの節目に誘われるように特大の銃弾、いや焼夷弾が安穏とした空気を切り裂いてKOTYeの地を爆撃した。
エフォルダムソフトより発売された『銃騎士 Cutie☆Bullet』の登場である。
体験版の出来やCG以外散々だった前作の評価から、元より人気原画家の画集としてのみ注目されていた今作。
その半分以上地中に埋もれたハードルをすら潜り抜けて行くとは誰に予想できただろうか。
まずはシナリオ。
主人公がヒロイン達と王国を騒がす様々な事件に挑むオーソドックスなキャラゲーなのだが、
真面目な場面に茶化しめいたギャグをセットで挟む手法が執拗に繰り返され、しかも尽く滑っている
核となるイベントが「乳首が黒く塗られる事件」など冷笑ものなのにテンションだけは無駄にシリアスで感情移入できず、
黒幕の動機からして「半額の日にジムに行くのを主人公の父親に邪魔された恨み」と茶番以下の下敷き。
病に倒れた父親が死の淵で主人公に銃士隊を託す場面では「病気は治ってたんだけど調子こいてピーナッツサンド食べたらアナフィラキシーショックで死にました」と余計な描写が入り、
しんみりした空気をブリザードで吹き飛ばしてしまう。
中でもとあるヒロインの母国語が主人公達に「はなげかーにばる」「はらませてあげる」といった低俗な空耳で聞こえる設定は悪質の極み。
日常だろうがクライマックスだろうが関係なく発言毎に雰囲気がぶち壊れ、翻訳の挿入によるテンポ悪化まで引き起こす屈指のストレス要因となっている。
捻りがなく見え見えな上同じ展開を繰り返す単調さが合わさり物語の価値は完全にストップ安。
フルプライスに恥じない文量というかくあるべき部分すらも苦痛を長続きさせるクソ要素と扱われる始末であった。
加えて期待されたイラストはSDを除くCG数が衝撃の35枚。
大半がHシーンに偏っており、基本2種の立ち絵と少ない背景も相まって、大部分を占める日常パートが「絵の変わらない紙芝居」という商品失格の代物と化してしまった。
一枚絵0のグランドルートからなだれ込む黒一色のスタッフロールは感動に充ち溢れ、止め処ない血の涙を誘う。
1JKS=35枚としてCG数の単位に採用されたり、テキストソフトにメーカー名を「絵フォルダ無」と変換され煽られてしまったのも致し方ないことだろう。
当然各所は即炎上。
代表の二転三転する釈明等燃料には事欠かず、業界を巻き込む大惨事「ジュウキシーショック」へと発展する中、騒動の絶頂期にエフォルダムソフトは解散を発表した。
この一切笑えない顛末は当スレにも混乱に似た熱気を呼び込み、舞台の昂りに呼応するかのようにここから怒涛の選評ラッシュが巻き起こることとなる。

春祭りの二番手は『心壊少女 ~僕は彼女が×××されるのを目撃した』。
昨年「雨音スイッチ」で住人を震え上がらせた黒鳥の新作だ。
グッドエンドなしで前作を遥かに超えるバイオレンスが渦巻き、キャラの壊れっぷりは相当なハイレベル。
ニッチ層には期待の目を向ける者もいたのだが、その狂気は度を超えてゲームの出来までも浸食していた。
まずインストールの段階で目につくこととして、容量が1GBを切っている。
当然まともな内容を望めるはずがなく、シナリオは通してスカスカのレンコン状態。
刃物を持って主人公を追い詰めたヒロインが次のクリックで「彼女は窓から落ちて死んだ」とだけ表示されて退場等、過程をすっ飛ばした超展開が次々発生する。
システム周りも快適とは言えない。
特に回想モードは杜撰な出来で、未見の首吊りCG・撲殺アニメを自動開放するフラグミスや、平和な場面でも構わず流れ続ける回想モード用の陰鬱なBGMがリアル恐怖体験を演出。
原画家の独特なパース感覚は胴体の消失といった異様な場面を量産し、コンボとばかりに不安感を盛り上げる。
回想不可能な複数のHシーンを尻目にしれっと7クリックの日常シーンを紛れ込ませるなど、話題になった誰得チョイスも健在であった。
擁護しておくと、設定や展開自体には随所に光る要素がある。
とはいえ圧倒的作り込み不足の前には無力であり、壊れた少女を描く前に崩壊した制作体制の方を何とかして下さいよと突っ込まざるを得ない。

『心壊少女』のわずか1日後には、過去作のおさらいに終始する極薄一本道シナリオをフルプライスで売り出した強気な姿勢が光る『Endless Dungeon』がエントリー。

全10枚のCG中9枚をゲーム外で閲覧可能にして自ら商品価値を投げ捨てた「えろどるっ☆」、
設定詐欺のほのぼの感と淡白さで「行為後即眠ってしまう疲れたおっさんのためのゲーム」と評された『堕姫3 ~エルフ貪り調教編~』の二作も間を置かず参戦。
マシンガンの如き猛攻をかけてスレ住人を翻弄する。

そんな中、隙をついてひっそりと戦場をすり抜けようと試みる忍の影があったが、そうは問屋がおろさない。
牛乳戦車の3Dアクションエロゲー、『くのいちが如く-脱がせ!爆乳ニンジャーズ!-』も、
くのいち、アクションという当スレと縁の深いポイントを抑えていたためかハンターの目を逃れられず、あえなくお縄となってしまった。
あからさまに閃乱カグラをコンセプトにした本作だが、
マインクラフトで作ったようなステージを粗いモデルがノットトレジャーハンターばりのダバダバ走りで駆け抜ける様にくのいちものの風情やエロスは微塵もない。
脱がせという割に脱衣モーションすらなく、元ネタには程遠いチープさである。
売りのアクションも低質の一言。
操作性が悪く穴一つ越えるにも苦労する反面、戦闘は適当に殴っているだけで雑魚からボスまで対処できるseal式を採用。
無駄に長いステージと敵の少なさもあって作業感は猛烈に加速し、
アクションパートで溜めた金で購入しなければHシーンを閲覧できない世知辛い仕様が加わって悲劇を生んだ。
パンツを下ろしたまま金回収の苦行周回プレイに興じる諸兄の悲痛な嗚咽が殺風景なマップにこだまする地獄絵図を前に、誰もがかける言葉を失うのであった。

続いて同じ3Dの土俵から未知の異形が産声を上げる。
KISSによる『カスタムメイドオンライン』だ。
本作は容姿・性格・服装を自由に設定したメイドと幅広いプレイが楽しめる人気シリーズの最新作。
通常は対象外の基本無料ゲームながら、特典付きパッケージ版が販売されていたため無事エントリーと相成った。
業界初のクライアント型オンラインゲームとしても注目されていたのだが、サービス開始後即座に不具合でログイン不能と盛大な滑落事故が発生。
「ログインできた人は方法を教えてほしい」と公式がアナウンスする笑いどころまで作って完璧なスタートダッシュを見せつけた。
そして数日後、ようやくプレイ可能となった先に広がっていたのは、大半の機能が未実装の、開発初期のサンプル版並みの完成度であった。
マニュアルがなく何をすればいいのかすら不明。
手探りで何とか進めようにも、基本無料特有の疲労システムによって瞬速で行動不能に陥り、メイドをただ眺める程度しかできなくなってしまう。
もはやゲームと呼べるのかさえ怪しい驚天動地の出来栄えであるが、オンラインゆえ頻繁なアップデートが予想され、現状の検証をいくらしたところで効果は期待できない。
その流動性の扱いも含め、結論は要素が出揃ってからとひとまず先送りされた。

ここで余談をひとつ。
『銃騎士』を筆頭に、3月23日発売のゲームがこの時点で5作、最終的には6作エントリーし、「増税の悪夢」として大きな盛り上がりを呼んでいた。
時期を同じくして特定ジャンルの作品が転び続けているという報告もあり、その中のとある発言が大変興味深い。
曰く、「騎士ものは地雷。神様ゲーも微妙。」
スレに大規模なフラグがセットされたことを、当時の住人達はまだ知らない。

さて、地を割り天を焦がす実りの春が過ぎて季節は夏へと移ろい始める。
梅雨も控えた6月の初めには、2011年以来の皆勤を続けるsofthouse-sealの『繁殖きょうしつ~女子校ハーレムなら何をヤっても許される!?~』がエントリー。
ズキュウウウンの効果音付きで「そこに痺れる憧れるぅ!」と射精、「あば、あばばばば……ッ!」と喘ぐヒロインなど、
Hシーンでまで自重せず雨霰と激寒なパロネタを乱打してダダ滑るその姿に誰もがおかえりなさいの生温かい拍手を贈る中、
息もつかせぬクソゲーの攻勢はいまだ衰える気配を見せない。
次いで舞台に躍り出たのは、湿った空気を吹き飛ばさんと必殺の武器を携えたゆかいな2人の騎士だった

先陣を切るのは『恥辱の女騎士「オークの出来そこないである貴様なんかに、この私が……!!」』。
凌辱ゲーの雄、ルネという意外なメーカーからの殴り込みだ。
問題点は単純明快、デバッグ体制の崩壊である。
鎧を脱ぐ前から立ち絵が全裸な位は小手調べ。
サムネイルと中身が一致しない回想モード、統合ミスによる画像荒れ、公式サイトと名前の違うヒロイン等、探すまでもなく粗は次々と湧いて出る。
「ヒヤヒウアして」「根さんの顔」をはじめ誤字も非常に多く、
上記の画像バグで口元が壊れている際には「メテォオ~!」と発音まで壊れていると、芸の細かい合わせ技まで披露してくれる。
単体では小石程度でも土石流となって押し寄せる圧力は凄まじく、正常なプレイを妨げるに十分であった。
パッチで大方が改善された現在は良質の抜きゲーだが、笑えないクソが蔓延る中降って湧いた「ヒヤヒウア」の語感の良さは住人の心を潤す恵みの雨となり、
大量の派生AAを生むなど新たな流行語としてスレに名を刻む不名誉を授かってしまった。

第二陣は「ゲームブック風ADV」「複数主人公視点」を売りに固定ファンを獲得した縁 -yukari-による○&○シリーズ3作目、『Knight&Princess』である。
のっけから環境依存の起動不可バグをやらかし、W主人公の片割れのルートが一周数分で終了とつかみは上々。
続くゲームパートでは、ゲームブックの性質を考慮して尚看過できないGAME OVERの多さがプレイヤーの心をへし折りにかかる。
ほとんどにHシーンどころかCGすら用意されず、プレイテンポがいちいち失速。
内容も「裸で外に放り出された。GAMEOVER 」「目的の姫が見つかった。GAMEOVER 」のように投げやりで、見る度に体の力が抜けること請け合いである。
そしてこれら多すぎる分岐を管理しきれなかったらしく、破れては再生する処女膜、突然場所が変わって開始される超時空レイプなど描写の不整合から、
ルート解放のための起点イベントが対象のルートと繋がっていないという致命的なものまで、フラグ周りの不具合は枚挙に暇がない。
おまけに局部にピアスをつけるフラグがONになると回想も含む適用後のシーン全てにおいて画面にピアスの画像しか表示されなくなる金物マニア歓喜の特大バグを搭載。
唯一の評価点であるエロすらも見事ふいにしてしまった。
シリーズの名物として「ちくしょう」のセリフがあり、本作でも主人公達が口癖として使用するのだが、
真にちくしょうと叫びたいのが一体誰かはおそらく言うまでもない事だろう。

この翌日には2年ぶりの王座へと執念を燃やすスワンアイが『私たち・花のオシオキ部!~やられたらヤり返す…エロ返しだ!~』で上半期最後のエントリーを掻っ攫う。
本作を一言で表すなら「お粗末」。
珍しく最序盤だけはきっちりと纏めて仕上げているが、以降はスワンお得意のハリボテダイジェスト進行だ。
人物は園芸用移植ゴテで優しく触る程度にしか掘り下げられず、全くの無魅力。
「下着泥棒が現れ、難なく捕まえた」「いつの間にか幼児退行していた教師による突然のご奉仕」
といった無味乾燥な小話とやっつけHシーンが反応に困る小滑りのギャグテイストに彩られて延々と続く。
話の締めとなるハーレムルートですら時系列のおかしな展開の後に35クリックのHシーンを挟み、終始盛り上がらないまま淡々と滑ってゲームエンドである。
「俺は4人に交互に入れていき、全員イカしていった」と童貞の妄想の如き状況描写で幕を引く根性からも、ライターの投げやり加減が見て取れよう。
派手な技こそないが全編そつなくクソであり、完成されたつまらなさは選評者に「クソさに感心するあまり一周して面白くなる」と称された。
低品質を芸風へと昇華し、文章要素のみで並み居る強豪と真っ向から殴り合う蛮勇ぶりは、さすが一昨年王者の貫録と讃えるべきだろう。

このスワンアイの変わらぬ姿に触発されてか、7月も早々に宿命のライバルが大胆な奇策でもって殴り込み、下半期の開戦を告げた。
『ビッチ生徒会長のいけないお仕事』、softhouse-sealから本年2作目のエントリーである。
まず大抵の環境で開始直後に強制終了を食らう程度は、seal製の様式美として流してしまって問題ない。
ストーリーはエロゲ脳を患った某国の姫がエロゲのような体験を夢見て従者の少女を伴い日本の高校に留学するというもの。
途中まではあらすじ通りに話が進むのだが、ある時突然、2人が「未来を救うため過去に来てHしているアンドロイド」であると語る謎のモノローグが入り、
一転プレイヤーは疑問符の渦へと叩き落とされる。
公式サイトにそういった記述はもちろんなく、背景の説明は一切されない。
そもそもこの設定崩壊を除いても細かい不整合は嵐の如く吹き荒れており、「放蕩ぶりを諌めていた従者が姫の処女喪失を笑顔で祝福」
「体育館での乱交後、無人の着替え場所を探して体育館に赴き、再び乱交開始」などなどポルナレフも大忙しだ。
その後は姫と未来の使者とを行き来する支離滅裂な展開が続き、機械であることを利用して体を入れ替えた2人のHシーンが終わると、
1クリックでタイトルに戻って物語も終了する。
話が置き去りだろうが、回想の20枠中13枠が空欄だろうが、これでフルコンプである。
後の検証により、未来が云々という設定やセリフは過去作からの流用と判明。
また上記はパッケージ版の仕様で、DL版ではストーリーが一貫しておりシーンも20枠きちんと揃っている。
推測するに、納期に間に合わずパッケージ版の一部を流用でごまかし、DL版は納品までに最低限形を整えたためこのようなことが起きたと思われる。
流用して尚完成せず、意図的に起動不可を仕込んでシュレディンガー戦法を狙ったところ、環境依存バグでバグが動作せず起動できてしまったのではないかとの声もあった。
後にパッチで内容が差し替えられ改善。
しかしKOTYeに新たなクソの方向性を切り拓いたその雄姿は、笑いを通り越して真顔へと変わった住人達の心に嫌という程焼き付くのであった。

夏の盛りから秋にかけては、過去にヒット作を生み出し地位を築いた人気ブランドが徒党を組んで襲来。
自らの身を捧げる覚悟に裏打ちされた悲壮なる自爆テロの殲滅力は、多くのファンと共に住人達を阿鼻叫喚へと叩き落とした。

1本目は哲学的なシナリオと美麗なグラフィックで支持を得た「ギャングスタ・リパブリカ」のファンディスク、WHITESOFTによる『ギャングスタ・アルカディア ~ヒッパルコスの天使~』である。
本作の問題点はとにかく「薄さ」に尽きる。
合計5時間のボリュームではファンディスクだろうとフルプライスには厳しい。
シナリオも力が入っているのは本筋の構成だけで、日常パートを始めテーマと関係のない部分は一言二言で畳まれる収納上手仕様となっている。
Hシーンですらスワンのバカゲーを思わせるねじ込み具合なのだから、エロゲーとしては首を傾げざるを得ないだろう。
薄いのはシナリオだけに留まらない。
CG枚数は背景・SDを除いて44、新規に限れば29と1jksをすら下回る体たらくだ。
質自体前作が見る影もない劣悪さで、本当にクレジットの原画家が描いたのかと声が上がる中、後日メーカーのカミングアウトにより原画詐欺が確定。
未だ鋭意制作中と表記されたままの公式サイトから漂う露骨な売り逃げ態勢と共に、ユーザーの大きな不興を買うこととなった。
「共和国から理想郷へ」のコピーはどこへやら。
完成したのがソドムとゴモラも真っ青な罪業の都市では、名を冠された天使もたまったものではないだろう。

続いてエントリーしたSORAHANEの『はるかかなた』も、これまで積み上げた全てを文字通り遥か彼方に吹き飛ばす出来栄えだった。
全体的に重要な事柄をさらっと済ますシーンが目立ち、
ご都合主義、不可解な心の動きを多く含んだシナリオはお世辞にもテーマとなる死生観や人間関係を描ききれているとは言えない。
中でもメインとなる実妹ルートは飛び抜けて低レベルである。
突如発覚するヒロインの遺伝病と幾ばくも無い余命に始まり、打つ手なく死んだかと思えばtrueルートでは腎移植であっさり完治。
同じく唐突に病弱と判明した主人公と隔離病室で病人同士の近親子作りセックスに励み、医者が臍帯血による治療の可能性を理由に出産を簡単に許可するなど、
不条理に塗れた新設定と超展開の嵐が平和な恋空とでも形容すべきチープなヒューマニズムを伴って容赦なくプレイヤーの横っ面を殴りつけていく。
加えてまともなプレイを不可能にする大量のバグが本作のクソゲーとしての地位を決定的にしている。
新規に導入された独自エンジンが非常に不安定で、当初は強制終了とフリーズが度を超えて頻発。
パッチのリリースは2ヶ月間で4回を数え、バージョン更新毎にセーブデータの互換性が切れる仕様が「賽の河原システム」と揶揄された。
発売から半年を経て致命的なバグは概ね改善されたものの、未だフリーズの報告が散見される他スキップに既読判定がない等細かい不満点は置き去りのままだ。
システムを一新し、過去作で好評を得たSF系の世界観から現実的なヒューマンドラマへと転換を図った結果、
儚くも現実の厳しさを身をもって知るオチとなってしまったのは何とも因果な話である。

そして大型地雷祭りも3作目を迎え、ついに全住人を震撼させる試練の時が訪れる。
ザウス【本醸造】発のRPGエロゲー『新世黙示録 ―Death March―』が、終末を告げる天使のラッパをBGMに衝撃の降臨を果たしたのである。、
企画・シナリオにメガテンシリーズの基礎を築いたクリエイターを迎え、ゲーム性に重きを置く本醸造名義久々の新作として鳴り物入りで発表された本作。
しかし往年のファンの期待を横目に誤字だらけでやけに見辛い公式サイト、劣悪な出来の体験版と危険信号を連発。
いざ判明した全容は大方の予想を遙かに超える常軌を逸したものだった。
本作は突如現れたゾンビに侵攻される日本を舞台とし、3Dダンジョンを探索して敵と戦うRPGパートと、主人公達が事件の真相に迫るADVパートによって構成されている。
前者から見て行こう。
公式ジャンルは戦略RPGだが、有効な手段が限られている上に自明で、体裁を整えるためだけに適当に組み上げたような稚拙なものである。
ソードバトルを称する戦闘はどこぞの反逆者よろしく「火力を上げた剣で殴ればいい」作業ゲー。
売りの一つである剣の合成・強化システムも、どれだけ丹精込めようと少し進めば型落ちで使い物にならなくなる上、
ドロップでより強いものが簡単に手に入るため随時上位剣に乗り換えていくだけで十分と、愛着を否定した尻軽仕様に成り下がっている。
戦闘のテンポは非常に悪く、執拗なエンカウントも重なってあらゆる場面で楽しさより煩わしさが先に立つ。
途中で自動戦闘・過程スキップ機能が開放されるとこれを使わない理由が見当たらず、いつしか戦略=「戦闘省略」RPGとの共通認識を得るのであった。
加えて操作性の悪さが不快感に拍車をかける。
特にダンジョン移動は酷悪で、方向転換すら満足に出来ず、コンパスやミニマップの不在が容易く現在位置を見失わせる。
また敵グラフィックは使い回しの嵐、ダンジョン構造はギミックのない一本道ばかりと視覚的にもこの上ない単調さ。
唯一、名称と属性を機械的に並べる手抜き命名システムによって生産された「筋者ホーリー」「メタボゴッド」などのキラキラネームゾンビが立ち並ぶ異様な様だけは、
舞台となる世紀末的世界観を端的に表した成功例なのかもしれない。
本パートの所要時間は15時間前後。
その全てが苦痛に満ちた作業とあっては価値を見出す方が困難だろう。
さて、現時点で既に眩暈のする有様だが、残るADVパートは更なる腐海となっていた。
まずシナリオをクソたらしめた特大の問題点が主人公の存在にある。
名を鳥海知空(とりみちから)。
主張は一貫せず、自らの言動に責任を持たず、それによって起こる失敗は他人のせいにして激昂し、
常に自分が正しいと不遜な態度を取っているかと思えば折に触れて激しく自己を卑下して鬱に陥るなど、文字通り知性が空としか思えない人格破綻者だ。
ストーカー行為を擁護し、二人乗りを咎めた近所のおばさんを人格攻撃する様は世のルールを弁えているかすら怪しく、主人公失格どころの話ではない。
シナリオが彼の一人称視点で進行する上一貫して成長せず、プレイ中は逃れようなくこの思想と二人三脚となる。
当然共感も感情移入も不可能。
30時間に及ぶ長大なADVパートが丸ごと拷問と化してしまった。
主人公よりは数倍マシといえど他の登場人物も大概で、上述したおばさんを除く全員がミストさんに例えられたと言えば凄まじさは推し量れよう。
そしてキャラが理解不能ならシナリオは支離滅裂。
本作の愛称『チーズ』を産んだ「血まみれの男性や警官の忠告、鳴り響くサイレンを頑なに無視してチーズを買いに行く」イベントをはじめ、
あらゆる事象に合理性・必要性が認められない。
伏線や設定は基本的に回収されず、一本の線に繋げるのが不可能な程構造が崩壊している。
顕著な例が中盤で発生するループ現象だろう。
その前後でキャラの性格や立場、世界の在り様まで様々な部分が変化するのだが、
そこからは新たな世界準拠で新たなストーリーが始まり、これまでの設定や展開、多くの謎は全てなかったことにされてしまう。
挙句ループの原因を作中の誰も知らず、明かさないまま放置して終わりである。
更に言うなら結末もなぜか突然神になった主人公が世界を元通りに作り直して大団円という夢オチ同然のもの。、
ここに至ってさえぶん投げるならここまでの苦行に何の意味があったのかと頭を抱えざるを得ない。
もはや枝葉だがCGまで原画詐欺を疑われる低クオリティで、画集としての逃げ道すら残さない徹底した作品作りは老舗の最後の意地と取るべきか。
ヒロインの一人アマテラスとのHシーン、通称アマテラセックスにおける絶頂時に後光が差した一枚絵が束の間の笑いをもたらしたものの、
実用度は何をか言わんやであり、救いのなさに変わりはないままであった。
「チーズ買ってくる」と言い残して消息を絶った者は数知れず、使命として割り切らないとプレイが続かないとの評より「ゲー務」の称号を得るに至った本作。
その凄まじさたるや、発売直後から明確にクソゲーとわかっているのに、訓練された住人達をして最初の選評に1ヶ月以上、全容の解明には数ヶ月を要した程である。
「キャラが不快な30時間のりんかね」と「15時間のくのいち」のハイブリッドとでも言うべき内容はまさに全方位クソゲーの極地。
苦痛度において隙のない最凶クラスの核地雷と言えよう。

有名メーカーによるこの大攻勢に常連も黙ってはいない。
ここでの知名度は俺の方が上だとばかりに、softhouse-sealが本年3作目となる『セックス あ~ん♪ パンツァー』を投入して勝負をかける。
本作はsealお馴染みの横スクロールアクション。
新要素としてオナニーするか犯されると溜まるゲージがあり、MAXになると一時的な能力強化ができる。
この強化中でないと越えられない穴や段差が存在し、その度にいちいちオナニーを強制され面倒である。
また強化による跳躍力上昇が公式で説明されていないため、気づくまで何度も無駄に飛び跳ねてはティウンティウンを繰り返すハメになる。
戦闘面については極端なバランスが目を引く。
基本的に敵が弱く難易度は緩いのだが、ラスボスだけはこれまで通りだとまず勝ち目がない程強い。
ではどうするか。
正解は「とにかくオナニーをして強化で殴ればいい」である。
エロアニメのモーションが体験版で確認できる3パターンと全て同一であるなど、出来はいつも通りで純粋につまらない。
しかしこの「とにかくオナニーをする」という斬新な攻略法はスレに笑撃を呼び、
かつてのような笑えるクソゲーを産み出す安駄製造機の帰還として、住人達に束の間の安らぎを与えるのだった。

だが帰還したのは笑いだけではなかった。
4年前に悪辣な販売手法と事後対応で「cross days」を次点入りさせたお騒がせメーカー、オーバーフローが、『ストリップバトルデイズ』で久々のKOTYe大賞候補へと返り咲いた。
本作は野球拳をして服を剥ぎ、お触りから本番に持ち込むという内容で、過去作に収録されていたオマケゲームに新要素を加えて単体で商品化したものだ。
グー連打でも余裕で完勝可能、お触りモードはほとんどのケースで「乳をつついて舌で舐めればいい」と、システムは作業そのもの。
新規含む一部キャラにボイスがなく、大半のCGがオマケ版の使い回しとあってはファンアイテムとしても怪しいところだろう。
ただこれらは概ね発売前告知通りの仕様で、ここまでならよくあるゲー無で済んだ話だった。
しかし、サプライズ精神こそオーバーフローの真髄と言うべきか。
ソフト付属のアンインストーラーを使用するとインストールフォルダに加えて一つ上のフォルダも纏めて消去してしまう危険極まりないバグが発覚。
同時にCドライブのユーザーフォルダにも悪影響を及ぼし、
無関係のデスクトップアイコンが消えたり設定ファイルが壊れてPCの動作が不安定になるなど、完全にマルウェア同様の挙動を見せた。
かの「みずいろ」と違いHDD丸ごと持って行かれはしないようだが、ゲー無性によるアンインストール促進とかみ合って被害ケースが多く、悪質度で言えば上位互換レベル。
クソゲーを装って破壊工作を行う「ゲー謀」と名づけられた本作は、
「ヤリ捨てには死をもって報いる」というschool days以来の鉄の掟を我々プレイヤーにも身をもって知らしめる執行者だったのである。

これら怒涛の進撃の合間には全体的に粗だらけの内容に加え、過剰に個性的な言い回し・擬音の連打が真面目に抜く気を奪っていく『艶乳 ~ツリ目で淫らでヤバい秘書~』も参戦。
ゲシュタルト崩壊する程頻出する「全自動腰振りマシーン」や、
「ウドピュ」を基本に「ウドピュ~」「ウドピュっ」「ウドゥピュッ!」といった小癪なバリエーションのみで賄われる射精音は大きなインパクトを産み、
直近のsealと共に大玉の打ち上げ花火で鮮やかにスレを彩った後、夜空の真ん中で爆死の大往生を遂げるのだった。

12月末には、発狂難易度のスキンシップ機能と水増し・手抜きの数々で多くのプレイヤーから匙を投げられた、
『強引にされると嬉しくて初めてでもよく喘いじゃう令嬢な幼馴染 優衣 「やめて、脚に触らないで……でも本当は気持ちいいの」』がエントリーし、2014年の締めを飾る。

そしてここでついに長らく棚上げとなっていたブラックボックス、『カスタムメイドオンライン』の解剖検証が行われた。
「クソすぎて誰も遊ばず、内容がわからない」との噂が荒廃の気配を伝える現状。
真相と対峙する時が来たのである。
起動前に必要なアップデートは約10GB。
ファイル数は万を数え、数時間は待たねばならない。
それを乗り越え目にした姿は、余りにも既視感に溢れていた。
売りであるオン要素から育成機能、果ては特典アイテムに至るまで、予告されていたほとんどが未実装のままだったのである。
加えて検証の深化により、ゲーム性は土台の時点で腐りきっていたと発覚。
bot以下に貧相なメイドの会話パターン、常時フル勃起の主人公モデル等、数え役満を狙える規模のドラですら序の口程度。
最大の問題は徹底してプレイヤーの煩悩を消化不良にさせるシステムにあった。
例えば好みの衣装で着飾ったメイドの艶姿を楽しもうにも、衣装獲得に必要な「仕事」の成功率がメイドの服装で変化する上同じ服で居続けると激減するため、
衣装を求める限り成功率の高い服を選んで定期的に着せ替えなければならない。
疲労による回数制限が効率重視の傾向を助長しており、コンセプトであるカスタム性がゲーム自身によって否定されている。
同種のクソさの最たるものが夜伽=メイドとのHに現れる精神値だろう。
この値が愛撫などコマンド一つ毎に減少していき、0になると射精も絶頂もなくプレイがその場で強制終了。
完遂には全コマンドの減少値を把握した上で合計がオーバーフローしないよう計算機片手に管理し続けるというプロ事務員の如きスキルが要求され、行為に集中など出来たものではない。
あろうことかここにも疲労が登場し、一日に5回程度しかHができないのはエロゲーとして致命的に過ぎる。
本番が正常位の一つしかない初期状態のプレイ内容の乏しさも見過ごせない。
新規プレイの追加には夜伽毎に貯まるポイントを用いるのだが、
本番の解放には一日で入手できる20倍以上の値が要求され、達成まで毎日代わり映えしない前戯をし続けるハメに陥ってしまう。
その上ポイントは2区分あり、解放対象毎に必要な種類が完全固定。
状況次第で「挿入後即放尿を繰り返す」といった謎のプレイを半ば強制されるなど、何もかも自由にさせては貰えない。
一応課金により本番含む上位プレイの即時解放が可能ではある。
ただここにもプリペイドカードだと購入額から税分が差っ引かれ(1500円だと1389Pの加算)、商品が全て100P単位なので端数が無駄になるという地味な嫌がらせを完備。
そしてプレイ自体がモーションや音声に使い回しの目立つ微妙な実用度のため、このゲームをプレイする価値がどこにあるのかと根源的疑問に直面することになる。
この「課金しないと不便しかなく、課金をしてもつまらない」ゲーム性は、ノウハウもないのに基本無料システムの雛形だけを盛り込んでしまったことに起因する。
迅速な対応を求められるジャンルで問題の修正を先送りする姿勢からも製作者の無知が滲んでおり、
結果として課金したせいで止め時を失ったプレイヤーに長期間の「継続する苦痛」を与えるというかつてないクソの境地まで打ち出すに至った。
メイドの3Dモデルはとりわけ優れたもので、慣れ親しんだスタイルを貫かなかったことが悔やまれてならない。
上っ面をなぞるだけでは大成など夢のまた夢であると、ここまでその身で語った作品も貴重と言えよう。

年は明け、2015年。
『新世黙示録』は外伝をサプライズ発売するも起動に必要なファイルを入れ忘れて喝采を浴び、
『カスタムメイドオンライン』は動作が重くなるアップデートを施して年内のサポートを終了。
強者達が恥の上塗りに精を出す一方、年末の魔物はついに姿を見せなかった。
幕開けが静かなら幕引きも静かだと、再び茶を啜りながらぴりりと冷えた年始の空気を楽しむ住人達。
一部の者は不発弾を発掘してはハンマーでぶっ叩いて遊ぶ余裕まで見せ始めたが、修羅の異名は伊達ではなく、このまま終わらないのがKOTYeである。

1月5日の早朝、昨年王者を輩出したミクル…もといミルクプリンの親ブランド、potageより腐臭漂う寒中見舞い、『ヤリ友ペット欲情生活』が投げ込まれた。
本作はレイプ・監禁に興味のある主人公がとある誘いを契機に陵辱動画配信者として目覚めていく抜きゲー…のはずだった。
蓋を開けてみると主人公の絡むシーンが双方合意の和姦ばかり。
個別は全てヒロインと幸せにHをしてENDとなる。
果てには主人公自身が「レイプや監禁は当分いいか」と語りだす始末で、純然たる設定詐欺である。
一応凌辱ゲー然としたNTRルートも用意されているが、内容は背景も理由も説明されないまま飛ぶように場面が変わってヒロインの犯される姿を垂れ流すだけ。
「闇堕ち担当教師・前野」「闇堕ち親父」など悪ふざけでしかない竿役の名前や、
ラリったようなテンションでネットスラングとパロディを乱発する電波じみたテキストからは抜かせようという意欲すら感じられない。
そもそもHシーンが平均20クリックの極薄で、大半の声優が致命的に大根とあってはとても実用に耐えるものではないだろう。
この有様にもかかわらず「前後でぇぇえんんっ……前後ォ前後ぉぉ……」とクソゲーネタをぶち込む態度が「開き直ってわざとクソに作った炎上商法の一種では?」との邪推を呼び、
「養殖クソゲー」とあだ名されたが、真相は定かでない。
どのような思惑だろうとクソゲーである以上我々は生暖かい目で受け入れるのみである。

この8日後には6月の発売以来潜み続けていた魔物、ソフトハウスSORAの『俺がヤマタノオロチなら』が永い眠りから目を覚まし、暴れ始めた。
日付は1月13日。
奇しくも昨年の不発弾、部室の第一報と同日のエントリーである。
印象的なタイトルやわかるようでわからない絶妙なあらすじが注目を集め、発売前に一度話題となっていた本作。
その後は特に俎上に載りもせず、次第に皆の興味は失われていったのだが、ひょんなことから年明けにして人気が再燃。
とうとう出動した処理班によって封を解かれた先に見たのは、古の香りを現代に運び込む、神話の時代よりの使者の姿だった。
本作は主人公の正体の謎を軸に日本神話の要素をちりばめた伝奇サスペンスである。
が、謎も何もタイトルの時点で彼がヤマタノオロチであることは明示されており、盛大なネタバレとなっている。
全体の8割を占める共通パート中登場人物達はひたすら正体について思わせぶりな発言を続け、明確にはせず最後まで引っ張るので滑稽なことこの上ない。
そして個別ルートは陳腐を極めた超展開。
数千年復讐を狙い続けた黒幕が一言二言の説得で全て水に流して改心し、
前世の因縁から主人公を毛嫌いしているヒロインは「ちゃんと話し合おう」と歩み寄るだけで「素敵!抱いて!」と催眠の如く心と股を開く。
全編に亘って大抵の問題を「スサノオがなんとかして解決」するため主人公達の見せ場はほぼ皆無。
カップ麺を作る間に終わる最終決戦を除けば残るのはHシーンの詰め合わせである。
エンディングすら最後の最後で脈絡なく湧いて出るアマテラスとヒロイン置き去りのアマテラセックスをして幕、など救いようがなく、怒る気も失せる作りとなっている。
グラフィックも粗の宝庫だ。
背景は実写画像の流用で、加工が雑なためキャラとミスマッチを起こしている。
雑さの最たる例として、作中で須賀駅とされている建物に堂々と「鎌倉駅」の表記が残されたままである様は住人を仰天させた。
立ち絵含めて明らかなデッサン崩れが散見される他、一部の塗りに至っては「たのしいぬりえ」程度のクオリティに突き抜けたものさえある。
また、本作は珍しく音響周りに不備を抱えている。
BGMは13曲と少なく、ヒロインの告白を大音量の主題歌で塗りつぶしたりHシーンで探索行動中を思わせる曲が流れる等、しっくりこない箇所が多々見受けられる。
効果音はファミコン級にチープで、システムSEに至ってはなぜか人の声である。
カーソルをボタンに乗せると「カチッ」、右クリックすると「ピコッ」、決定で「チャララ-ン」と妙に機械的なボイスが再生され、
ちょっとボタンを掠めるだけでいちいちカチカチ喋り出して非常に鬱陶しい。
システム面に言及すると、一行ずつ戻るバックログ、ホイールでの読み進め不可、立ち絵の表示枠が一人分、と骨董品レベルのUIに加え、
神経衰弱状態のセーブロード画面、複数の文が繋がる、コンフィグから戻れなくなる、といったバグを数々完備し、隙なく低レベルに纏まっている。
クソの手数で言えば本年度屈指。
あらゆる構成要素に重大な欠陥を持つ紛うことなきクソゲーである。
ただ昨今問題になっている手抜き売り逃げ狙いの気配は不思議と感じられない。
この低質さはおそらく全て製作者の力量不足によるもので、10年以上前にお蔵となったものが今になって発売されたかのよう、とは選評者の言である。
褒められた出来でないとはいえ、確かに黎明期から発展期にかけてはこういった洗練されていない作品が多数あったことも事実。
10年停滞していると言われつつ、やはりエロゲーも確かに進化を続けている。
本作は便利な現代に慣れてしまった我々に些細な諸々への感謝を思い出させるため現れた、古代のエロゲー達の魂の姿なのかもしれない。

以上、主要なエントリー作品の紹介を終えたところで、今回の結果発表に移ろう。
次点は
『銃騎士 Cutie☆Bullet』、
『カスタムメイドオンライン』、
『ストリップバトルデイズ』、
『俺がヤマタノオロチなら』、
大賞は
『新世黙示録 ―Death March―』
とする。

冒頭で述べた通り、昨年度は負の要素から湧き出るネタの密度をもって決着を見た。
当スレはクソゲーを肴にして楽しむネタスレであるから、当然ネタ性に重きを置くのも一つの趣だが、それはあくまで一面にすぎない。
ゲームとは娯楽である。
心から楽しめるものが良ゲーなら、その対極にあるクソゲーは本質的に「楽しむに値しないもの」、一番のクソゲーは「最も楽しめないもの」のはず。
本年度はまさにそれをまざまざと見せつけるかのような様相であった。
トレンドとしてはひたすら「薄い」「不快」「つまらない」ことだろうか。
無価値を突き詰めた作品が名を連ね、ただ質が低いだけではインパクトがないと切って捨てられる惨国時代。
半端な笑いなど何の武器にもならない負の境地がそこにはあった。
これを踏まえ、次点以上には無価値性、つまりクソゲーとしての完成度に加え、他を圧倒する個性を兼ね備えたものを選出した。
『銃騎士』は寒さを極めたテキストと劇的に少ないCGの二段構えからなる「無価値の象徴」として、
『ストリップバトルデイズ』はゲー無にデータ破壊ソフトを忍ばせて撒き散らした「現実への侵略者」として、
『俺がヤマタノオロチなら』は郷愁を感じさせる程に古今東西のクソ要素を詰め込んだ「クソのタイムカプセル」として、
それぞれ特定の方向に突き抜け、条件を高いレベルで満たしたいずれ劣らぬ負のエリートである。

そして、残るは『新世黙示録』と『カスタムメイドオンライン』。
上記3作があくまで多くの部分に苦痛を抱えた程度であるのに対し、この2作は全てが苦痛。
ベースの時点で一段高い位置にいる。
甲乙つけがたい両者の明暗を分けたのは、どちらがより苦痛かという観点で見た際の「クソの普遍性」だった。
『新世黙示録』はRPG+ADV。
クリアを目指すゲームデザインである。
にもかかわらずシナリオ、キャラ、ゲーム性、グラフィックと積み上がるクソの大群がそれを強烈に阻んでくる上、
シナリオを中心に各要素が有機的に連動し、相互作用によって不快や苦痛を超えた「ゲームプレイへの嫌悪感」という領域まで達している。
楽しめないことにおいてこれ以上ない完成度であり、苦痛性に焦点を当てるならKOTYe誕生以来積み上げてきたクソ要素の臭大成と言えよう。
ここに負のクソゲーの一つの到達点を見たのだ。
『カスタムメイドオンライン』も確かに全ての動作に苦痛を伴うが、ここで本作のジャンルが問題となった。
公称ジャンルは「メイド育成SLG」。
好みのメイドを作成して自由に時間を過ごすというコンセプトはプレイスタイルを定義せず、明確なゴールがないため到達点の判断は各々に委ねられる。
つまり内包する苦痛を一人のプレイヤーがゲーム中に全て体験するとは限らないのである。
また少数とはいえ着飾らせたメイドのダンス鑑賞やスクショによる写真集作成に最低限の楽しみを見出す者が確認でき、
グラフィックの美麗さもあってキャラメイクツール程度の存在価値は認められたのも大きい。
もちろん数千円を払って購入した商品が暇つぶし以下の実用性とあってはクソゲーとの謗りを免れないが、
遊び方を固定されて逃げ道がなく、「誰にとっても普遍的にクソ」である『新世黙示録』にはあと一歩及ばない。
一分の隙もない毒物と、猛毒であるが場所によって毒性にばらつきのある液体。
どちらかを口にしろと迫られた時の選択は、おそらく万人に共通であろう。
ゆえに今年度最も楽しめない作品、『新世黙示録』が2014年度KOTYe大賞受賞に相応しいとの結論に至った。

2013年度が「正」なら今回のテーマは「負」。
ある意味正統派とも言える、クソゲーが「クソ」たる所以に焦点を当てた年度であった。
また全月制覇こそならなかったものの本年度も前年に劣らぬ盛況ぶりであり、単純なエントリー総数だけで見れば過去最多の大豊作。
かの「五惨家」超えを果たした「増税の悪夢」も記憶に新しい。
これらが散々言われている業界の終わりの始まりなのか、はたまた単純に住人のクソゲーセンサーが感度を増しただけなのか、今はまだ答えを出すに早いだろう。
ただ一つ確かなのは、本年度も我々が変わらずクソゲーを楽しみ抜いたことだ。
我々は正義の味方ではないし、審査機関でも、業界を貶めるものでもない。
ただクソゲーを、ひいてはエロゲーを愛しているだけの集団である。
検証がいかに苦痛だろうと、その先が希望の見えない無明の荒野だろうと、余さずゲームを遊びつくし、必ずエンターテイメントへと発展させる。
それこそがKOTYeの選んだ愛し方なのだ。
想像を絶する負の猛攻に見舞われた今回もその基本を忘れず、挫けることなく本気で遊んだ精神を誇りに思いつつ、
全てのクソゲーを懐広く迎え入れ決して忘れないKOTYeの地平が、エロゲーの空と共に途切れずどこまでも続いていく未来を願ってやまない。

最後に、栄冠を勝ち取った『新世黙示録』とその開発陣一同、また今後現れるであろうまだ見ぬ異形のクソゲー達に、
スレ住人の決意の証として一つの挑戦状を叩きつけることで今年度の結びとしよう。

「たとえループでなかったことにされようと、我々は何度でも楽しい結末に辿りついてみせる。かかってきなさい」