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2014年総評案1 大賞:新世黙示録 ―Death March―

21 :総評案1  ◆yQ3eOP/D8Q:2015/02/02(月) 00:53:01 HOST:ngn2-ppp3373.east.sannet.ne.jp
2013年のKOTYeは『明日もこの部室(へや)で会いましょう』の大賞受賞で幕を閉じた。
だが例年に無くクソゲーが豊漁な年で、『リア充爆発しろ! ~変身能力手に入れたんだけど質問ある?~』、
『逃避行GAME』、『Qualiaffordance-クオリアフォーダンス-』、『雛といっしょ』と言った次点作だけでなく、
多くの話題性があるクソゲーが揃った年であった。
かつての王様『アーベル』『softhouse-seal』が姿を消した一方、大手メーカーも容赦なくクソゲーを排出する状況に、
エロゲーの業界もどうしたのだろうか、と考えさせる年でもあった。

さてそんな中で始まった2014年だったが、総評が決まるまではそれなりに大人しい期間が過ぎ、
今年は平和なのかもしれない、と誰もが考えたものの…。
では、各作品を紹介していくことにしよう。(発売日順に紹介する)

1月に発売の『きみと僕との騎士の日々 -楽園のシュバリエ』はシステム面やCG、音楽などは良質だったものの、シナリオに大きな問題が。
物語には必ず背景やキャラの設定があるのだが、本作ではそれらが着脱可能なパーツに過ぎない。
各ヒロインの個別シナリオではその事実は明らかにされず、全てが丸投げ。
トゥルーシナリオで全てが駆け足で明かされるのだが、それでも結局何が言いたいのか分からないまま終わってしまう。
着飾って可愛くなった女の子を丸裸にしたら微妙な感じとでも言える作品だった。

『艶乳 ~ツリ目で淫らでヤバい秘書~』もまた設定があってないようなものになる作品だったが、
非常にインパクトが強いテキストがユーザーの心を強く引きつけた。
「ベロが亀頭全体をテロリン~、テロリン~とローリングしてくる」
「舌がローリングするレロレロ感と唾液にまぶせられたヌルヌルした感覚」
「おまんこ見せたガール」「全自動腰振りマシーン」
「パッション」「スケベスイッチ」「高熱で溶け出したドロンドロンのマグマ」
「ウドピュ」「プニュッポ」「キュゥ~~~」
など、2012年発売の某作品を思わせるような独特の感性が突き抜けていた。
それだけでなく、中出しをするとBADEND確定というある意味非常に現実的な展開や、理解不能な主人公やヒロインの行動、言動は、
ユーザーを混乱に陥れるのに十分であった。

2月には大きな話題になる作品がなく、一時の安寧を満喫していたスレであったが、3月は多くの作品が投下されることになる。

『心壊少女 ~僕は彼女が×××されるのを目撃した』は『雨音スイッチ』を排出した黒鳥の作品。
タイトルからはヤンデレがテーマなのかと連想させるが、実際はガチのメンヘラキチガイゲーとなっている。
今作は前作の反省が全く活かされておらず、主人公置き去りの超展開が延々と続いている。
圧倒的な描写不足とダイジェスト風味であることが原因だったが、それでもニッチ層になら…という希望は感じさせる作品ではあった。

某有名巨乳バトルゲーをパクった『くのいちが如く -脱がせ!爆乳ニンジャーズ!-』は、
アクションゲーかと思いきや、単純な作業ゲーでしかなかった。
しかも、バトルの操作性はかなり悪く、画像は某オンラインゲーを連想させるレトロな出来で、旧世代の匂いが漂っており、
CGもその辺の無料同人ゲーのほうが遥かにマシという救いようがないゲームであった。

『カスタムメイドオンライン』は有名作をオンライン化したエロオンラインゲーとして注目を集めた。
が、いざ蓋を開けてみると、メーカー側のオンライン環境構築が全くもって出来ておらず、
せっかく購入してもログイン出来なければプレイ出来ないという状況が続いた。
ようやくログイン出来る状態となっていざゲームを始めようにも、様々な問題が判明する。
CGやテクスチャの完成度については過去作からの積み重ねがあり良質なのではあるが、
まず実質的な未実装機能が多く、ゲーム内容がそもそも完成していないのは基本として、
無駄に水増ししたガチャでユーザーから金をむしり取る構図にて不快感を煽ると、
ポイントを貯めるためにポイントを使うという矛盾がユーザーを更に苦しめるという構図であった。
特にゲームの楽しみとも言える夜枷が苦痛でしか無い。
というのも、プレイを完結させるためには、どのコマンドを選んでいつ射精するか、を計算機を使って計算しないといけないのだ。
しかもそれらの数値についてはゲーム内に記述がなく、攻略wikiを見ながら計算するしか無い。
そんな状況でプレイを楽しめ、というのはとても無理。少なくとも大半の人間には。
もはやオンラインゲーとしての魅力はなく、サービスは2015年2月現在でも続いているのだが、
実際にプレイしている人間がどれだけいるのか?すら怪しい作品だ…。

『私たち・花のオシオキ部! ~やられたらヤり返す…エロ返しだ!~』は2013年の王者を排出したスワンアイの作品。
今作はオープニングまでなら文句がない出来となっている。
コメディっぽさを出しながらも、対決構図をしっかりと表現するなど良い掴み。だが、いいのはここまで。
8割の共通シナリオと2割の個別シナリオは全てがやっつけ仕事という描写不足で片付けられており、
最後はやっつけハーレムエンドで終了する。結局はいつものスワンアイという評価。
言動のクズ具合なども含め、全てがクソすぎて、1周回ってむしろ笑いに昇華出来るという良さを見せてくれた作品だった。

だが、これらがどうでも良くなるほどのインパクトがある作品が現れることになる。
そう、『銃騎士 Cutie☆Bullet』である。
前作で絵は良いけどシナリオは…の典型例をやらかし評価を下げた絵フォルダ無ソフトから発売された今作は、
前作同様に原画家に有名原画家を据えて、シナリオには目をつぶっても原画集として…という流れで注目作となっていた。
また、OPムービーが気合が入ったフルアニメーションということもあり、話題性は前作以上でもあった。
やはり、いざ発売されてみると、世界観のつまらなさや展開やキャラの言動がおかしかったり、寒いギャグの濫用とシナリオは×。
原画集としての価値しかないのか…という状況、とかそんなのはどうでも良くなるほど、とんでもない事実が判明する。
そう、フルプライスゲーにも関わらず、CGの枚数が35枚、SDの枚数が9枚(差分含まず)という驚異的な少なさだったのだ。
フルプライスゲーとしては異常に少ないこのCG枚数では、原画集として求めていたユーザーも到底満足できるはずがなく、
『絵フォルダ無』と揶揄される程であった。
この後、絵フォルダ無はメーカーを解散、親会社であったあかべぇがニコ生で火に油を注ぐなど、場外乱闘が長く続くことになった…。
なお、あかべぇが責任をもって出すと言ったシナリオ修正やCG追加パッチは、
2015年2月に『新作騎士物(仮)』として購入者に無料配布する予定となっているようだ。

4月に発売された『堕姫3 ~エルフ貪り調教編~』は、フルプライスなのだが非常にボリュームが薄い作品だった。
フルコンプに8時間程度という内容であるため、シナリオはあってないようなものだ。
また、古臭いCGに古臭いシステム、文章とCGの不一致、主題歌など、いかにも昔ながらの匂いを発しており、
言い方を変えれば加齢臭漂う不思議なゲームだったが、加齢臭すら癒やしになるのがクソゲーオブジイヤースレなのだった。

そして5月がやってきた。5月は3月に勝るとも劣らない、クソゲーの大量進撃にスレ民は恐れおののいた。
その中でも特に目立っていたのが以下の2作品。

『Knight&Princess』(5/23)《縁 -yukari-》はまず、起動できるかどうかという問題にぶち当たることになる。
一部環境下で起動不能という環境依存バグがあるせいだ。
そのバグを乗り越えると、待っているのは偏ったシナリオや、強制BADなど理不尽な選択肢のオンパレード。
フラグ管理はあってないようなものだ。
だがそれら以上にインパクトを残したのはピアスバグと呼ばれるバグ。
これは、ピアス表示をONにすると、キャラのCGは表示されずにピアスだけ表示されるというバグで、
登場人物がピアスを除いて透明になったと考えれば分かりやすいものだ。

だが、バグという観点で更に上を行く大物が登場することになる。『はるかかなた』である。
もともとシステム面には定評があるメーカーだったのだが、何を考えたのかエンジンを完全新規のものに変更。
その影響であまりにもシステムが不安定になってしまった。
今作は起動することは可能ではあるのだが、殆どの環境で強制落ちが物凄い頻度で発生しまともにプレイすることが出来なかった。
しかも、修正パッチが出るたびにセーブデータの互換性がないため、パッチを当ててまた1からスタートしなければならない。
その上、既読判定はバグ対策で削除され、予告していたシナリオプレイヤーは実装されず。
発売から2ヶ月経ってようやくそれなりにプレイできるようになったが、そこに待っていたのはご都合主義全開スイーツ展開であった。
特にトゥルーシナリオでは、後付新設定でお涙頂戴すると、病弱兄と難病持ち病弱実妹との間で病室で性行為をし妊娠。
そして臍帯血目当てに出産。最後は主人公も実妹も健康になり、双子を出産してハッピーエンド…。
まるで加◯とヨ◯ガノ◯ラ、恋◯()のいいとこ取りをしようとして大失敗したようなシナリオだった。

この2台バグ作品が去った後、スレにやってきたのは『俺がヤマタノオロチなら』だった。
今作はなにより、ゲームタイトルで壮大なネタバレをかましていることが話題を集めた。
そしてゲーム本編は全てがユーザーの予想通りに進むため、何一つおもしろみがない。
あまりにも端折過ぎた描写だったため、予想通りなのに超展開に進んでいく。
この描写はフルプライスであるにもかかわらず、全体の8割を占める共通シナリオは4時間程度、
個別シナリオは1時間程度で読み終わるという薄さに貢献している。
それ以外でも、古臭いCGやシステム周り、手抜きが露骨なサウンド、細かい大量のバグなど、クソゲーとして全方位型とでも言える出来だった。

そして7月がやってきた。先に言っておくと、7月は選評が多く届いた。
その中でもクソゲーとして注目を集めた3作品を紹介しよう。

『ビッチ生徒会長のいけないお仕事』は定番softhouse-sealの作品だったが、期待に応えてくれるものであった。
まず待ち構えているのはドライブ依存のバグ。これを何とか乗り越えると、序盤はそういう性癖の人には悪くないシナリオが続く。
が、それは仮初の姿で、本当の地獄はここからはじまる。
中盤、サリナが絡むシーンでは、いつの間に気絶したのかが分からない状況になるが、それは序の口だった。
その次のシーンでは、エロゲーみたいな展開を実際に確かめるために日本に来たという設定にも関わらず、
実は未来を救うためにエッチをしていたことが判明する。さらにその後のシーンで、ヒロインたちは未来から来ていたことが判明する。
しかもエンディングにおいて、実は二人はロボットだったということが判明するという、
誰しもをポルナレフ状態に陥れるだけの強烈なシナリオであった。

『ギャングスタ・アルカディア ~ヒッパルコスの天使~』はフルプライスとしては非常に薄いボリュームであり、
一般的なエロゲーであればCGがあるだろうという描写でも軽く流されるなど、
力が入っている場所と入っていない場所が露骨になっていた。
また、CG数水増しだけでなく、一部のCGが非常に低品質であることが注目を浴びると、
メーカー側がゲームの品質の低さを認めた上で、本人の承諾なくCGを弄ったことなどを謝罪するに至っている。
何があっても売って稼ぐ、というメーカー側の思惑が感じ取れた。

そして『新世黙示録 ―Death March―』。通称『チーズ』である。
ゲームが始まるとまずは日常描写から始まる。グダグダな日常描写を切り抜けると、非日常に入り緊迫感が広がる。
のだが、街がボロボロになったその場面での最初の選択肢が『チーズを買いに行く』なのだ。
まずその『チーズ』でユーザーに警戒感を抱かせると、その後も期待通りにクソゲー化していく。
頭の悪い主人公の行動、発言と、妹の謎の発作を多用するだけのワンパターンな展開が続くと思いきや、
初回シナリオで強制BADとなると、2週目では何故かゾンビがもともといる世界でプレイすることになる。
更に2週目が終わると、3週目としてまた別の世界でスタートし、そして、いくつかの背後設定が明らかになる、
のだが、これもまた多くが軽く語られて終わってしまう。
そして、その設定が明かされた後は、ラスボスの子が出てきて、ユーザーを置き去りにしてシナリオは進み、ラスボスを倒して終了。
したかとおもいきや、結局ループした世界はなかったことになり終了し、やはりポルナレフ状態に陥れられてしまう。
それ以外にも、ADVパートやバトルパートの質の低さ、武器育成システムを台無しにするラスボスの設定など、
ありとあらゆる要素がクソであり、その要素の多さゆえに選評執筆者でさえも腐心している様子が伺える大物であり、
メーカーの対応も杜撰と、救いようがないエロゲーだったと言えよう。

7月の作品の破壊力に負けるように、夏バテに悩むスレに新作が現れることがなく、9月になった。

9月に発売されたのは『ヤリ友ペット欲情生活』。
去年のKOTYe大賞に輝いた『部室』のライターによる抜きゲーだったが、期待通りのクソ具合を見せてくれた。
主人公はレイプや監禁といったシチュが好みで、そのシチュを果たせそうな会社の誘いに乗りレイプをしようとする。
だが、実際にレイプはすることはなく、全て同意の上での幸せなセックス。最後には自分の趣味を否定するという謎具合。
NTRシナリオでも、堕ちる過程は描かれず、単に女とセックスして終了。それだけでなく、登場人物の吹っ飛んだセリフが彩りを加えている。
抜きゲーとしてライターがシナリオを書いたのか、そもそもその時点から疑問符を付けざる得ないだろう。

更に時は流れ、10月にはオーバーフローから『ストリップバトルデイズ』が発売された。
今作は過去作などのおまけを詰めあわせ、おまけを少々加えた作品であった。
それだけなら大きな問題にはならなかっただろうが、今作はアンインストール時に特定の条件下において、他のデータも消去してしまう。
ロープライスゲーであることで金銭的ダメージはあまり無いが、大事なデータまで削除されてはたまったものではないだろう。


以上が2014年のまとめである。大賞、次点は以下のように決定した。

大賞:『新世黙示録 ―Death March―』

次点:『カスタムメイドオンライン』『銃騎士 Cutie☆Bullet』『はるかかなた』

今年は選評こそ数が多かったが、大きなインパクトを残す作品はそこまで多くなかった印象が否めない。
だが、インパクトを残せば非常に強烈で、その中でも『新世黙示録 ―Death March―』はまともにプレイすることすら困難にさせるだけの出来で、
頭ひとつ、ふたつ程抜けだしていた作品だった。
次点の3作品では、『カスタムメイドオンライン』はオンラインエロゲーという新境地に挑もうとした心意気は買うが、
あまりにも不出来な内容でユーザーの苦痛を煽った点が、『銃騎士 Cutie☆Bullet』はCG数詐欺とメーカー対応の不味さを、
『はるかかなた』は致命的なバグとシステム劣化、強引なご都合主義シナリオで非常に印象が強かった。

次点以下の作品や、紹介しなかった作品についても光る要素はあった。
その中で感じたのが、値段不相応なボリュームの作品が増えてきた、という点。
エロゲー業界は昨今のオタクブームで裾野が広がったとは調査会社が発表しているが、
実際は大量の零細メーカーが多く、パイの奪い合いで共倒れ状態になっているのではないだろうか?
安定した大手ブランドでさえも、昨年や今年を考えると低品質作品を出すことがあり、零細メーカーは更に苦しいことは簡単に推測できよう。

こういう形で2014年のクソゲーオブジイヤーは幕を閉じた。
今年は29作品もの選評が投下され、例年以上に大いに盛り上がった年だった。
その一方、スレの趣旨をわきまえない荒らしの出現などに悩まされた年でもあり、
2015年は少しでも平和なスレを満喫したいと思わされた。
もちろん、クソゲーが減ることは、業界にとって良いことだし、求めてもいけないものだ。

そんなわけで2014年屈指の良作エロゲーから最後に一言

『メーカーに「くそげー」を求めるなんて、ひどーとく的です!』

最終更新:2015年02月02日 18:53