俺がヤマタノオロチなら 選評

ブランド ソフトハウスSORA(解散)
ジャンル 俺がヤマタノオロチになっちゃったら困っちゃうラブラブADV(公式サイト表記)
俺がヤマタノオロチなのかよ!?ADV(Getchu表記)
メディア DVD-ROM
原画 上木乃アロエ
シナリオ 火々野未完
音楽 ayato sound create
発売日 2014/6/27
定価 9,504円(税込)
CG数

選評1

【2014】 クソゲーオブザイヤーinエロゲー板 98本目
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1418623583/
954俺がヤマタノオロチなら 選評 ◆fDd5dl3vHzuj [sage]:2015/01/13(火) 21:37:09.88 ID:MOKu7bvn0
俺がヤマタノオロチなら
ジャンル 俺がヤマタノオロチになっちゃったら困っちゃうラブラブADV(公式サイト表記)
      俺がヤマタノオロチなのかよ!?ADV(Getchu表記)
ブランド ソフトハウスSORA
発売日 2014年6月27日
価格  8800円+税

2014年の6月末に発売された本作は奇天烈なタイトルやぶっ飛んだあらすじが脚光を浴び、大いに注目を集めたが他の魔物達に押し出され一向に解明が進まないでいた。
2014年のKOTYeも最終盤を迎えたこの時期に再調査を挑んだ結果、その正体はまさにヤマタノオロチ級のクソゲーであった事が判明した為ここに選評を記す。
まずは話題の種となったあらすじを見て頂こう。

それは美しい港町……俺の故郷……須賀町……。
北側は海、南側は山。 温暖で平和な小さな町。 時間が穏やかに流れる、俺の町。

そこで俺は、幼なじみの山代マイと仲良く暮らしていた。
俺とはちょっと距離があるが、マイの親友である 橘ゆずの。
同じクラスで、なぜか俺に付きまとってくるちょっと風変わりな女の子・八樹さゆり (やつき さゆり)。
上級生で学生代表、学園中の憧れである 播磨幸穂 (はりま ゆきほ) 先輩。
悪友の秋山慎吾や、やさしい大人たちにも見守られ、みんなとわいわい楽しい日々を過ごしていた。

しかしある夏休み。 俺たちはとんでもない事件に巻き込まれてしまう。
俺の中に居るアイツが目覚めようとしていたのだ……。

俺の名前は 八賀谷翔太 (やつがや しょうた)。 俺は、ヤマタノオロチの生まれ変わりだった……。

○登場人物
  • 八賀谷翔太(やつがや しょうた)
 本作の主人公。平和主義の優男である。父親が神職である為、自らも将来神職になるのに備えて父親の親友である山代家の櫛名神社にお世話になっている。
 後述の夢子先生が顧問を務める化学部に所属。
 あらすじの通り太古に存在していたヤマタノオロチの生まれ変わりである。
 人間の姿になり櫛名田姫と結ばれ幸せに暮す約束をしていたが、ヒルコの甘言に乗せられ呪いの影響で大暴れする。
 ヤマタノオロチであった頃にかけられた呪いにより、次の誕生日にヤマタノオロチに戻るか死ぬ運命にある。
 死なずに済む方法は生贄を殺しヤマタノオロチに戻るか、ヒルコを始末するかのどちらかとなる。

  • 山代マイ(やましろ まい)
 主人公の幼馴染。実家である櫛名神社で看板巫女を勤める。(公式サイトの紹介では山代神社となってるが・・・)
 料理センスは壊滅的だが何故か塩むすびだけは美味しく作れる。
 その正体は数千年前にヤマタノオロチと婚約していた櫛名田姫(クシナダヒメ。ゲーム中では櫛名田比売、櫛稲田姫と表記がブレる)の生まれ変わり。
 その為、現代にヤマタノオロチを復活させるための生贄として重要なポジションを占める。

  • 橘ゆずの(たちばな ゆずの)
 マイの親友であり、距離感はあるものの主人公とは古い付き合い。薙刀部所属。
 無口で表情も乏しいが冷たい訳ではない。大のゾンビ好きで可愛いと感じるというぶっ飛んだ感性の持ち主。
 最近謎の夢を毎日見ている為困っている。
 その正体は櫛名田姫を護衛するためヤマタノオロチと戦っていた戦士の生まれ変わりである。
 謎の夢はその頃の記憶の断片であり、主人公がヤマタノオロチの生まれ変わりであることに気づき警戒する。

  • 八樹さゆり(やつき さゆり)
 突如転校してきた同級生。写真部所属。
 主人公を危険な人物と認定し、四六時中監視を行っている。私生活が尽く謎な不思議な存在である。
 その正体はかつてヤマタノオロチを倒したスサノオノミコトの転生後の姿。
 主人公がヤマタノオロチに戻るのを阻止する為様々な行動をしている。
 ちなみに女に転生してしまったのは姉のアマテラスが入り込んでしまっている為である。

  • 播磨幸穂(はりま ゆきほ)
 学園代表を務める所謂完璧美人の上級生。
 ティータイムが大好きであり、ティーパーティーを主催したりする。
 その正体は人類が現れるよりも昔に干魃で苦しんでいた自分たちを救ってくれたヤマタノオロチを一途に慕う狐である。
 常人には見えない尻尾と耳が生えている。

  • 越野夢子(こしの ゆめこ)
 化学部顧問の化学教師。学園一の人気教師である。
 おっとりしてて天然なのが人気のポイントらしい。好物はどうみてもチンコの形のビッグマツタケアイス。
 その正体はスサノオノミコトの姉であるヒルコであり、ヤマタノオロチに殺戮を行わせた黒幕。
 両親のイザナギとイザナミが禁忌を犯した際に生まれた為、神の国を追放されて生きてきた。
 新世界の神となるべくヤマタノオロチを完全に支配下に置こうと暗躍する。

  • 秋山慎吾(あきやま しんご)
 主人公の親友。エロDVD等を貸し借りしている。

  • 山代悌史(やましろ ていじ)
 櫛名神社の宮司でマイの父親。物語中盤で襲撃され、長い間意識不明の重体となる。作中ではおじさんと呼称される。

○シナリオ
 どこぞの部室よろしく物語の8割方は共通ルートであり、個別ルートは1時間にも満たない。
 共通ルートも決して長く無くせいぜい3~4時間もあれば終わる。

  • 共通ルート
 夏休み前~夏休み中盤におじさんが襲われ、目覚めた後にマイの告白を受けての選択肢までが共通ルートである。
 神社の仕事、文化祭、海水浴など一般的な学園モノでは陳腐とも言えるイベントが目白押しである。
 後に問題点は挙げるが、個別ルートと比べればまだマトモであり、CGの質も比較的安定している。

  • マイルート
 マイの告白を承諾すると分岐する。設定的にはトゥルールートだと思われる。
 周囲の執拗な思わせぶり発言の果てにようやく自身の正体と呪いを思い出した主人公とマイは、主人公の誕生日前夜にヒルコに立ち向かう。
 一時は危機に陥ったが駆けつけたスサノオノミコトがアマテラスと協力して神の国へ帰す事を条件にヒルコを説得し、あっさり成功する。
 ヒルコの呪いも解けて死ななくて済んだ主人公とマイが数年後結婚し、幕切れとなる。

  • ゆずのルート
 気になる娘にゆずのを選ぶと分岐する。先ほどまで異常に警戒していたゆずのとあっさり付き合い出す超展開からルートは始まる。
 デートとエロシーンを消化するとあっという間に誕生日前夜に時間が飛び、ゆずのとスサノオノミコトを引き連れヒルコの元に向かう主人公。
 スサノオノミコトが凄まじくショボイ戦い(コレについては後ほど触れる)でヒルコを片付けると、やはり数年後ゆずのと結婚して終わりとなる。
 全ルート中最もそのルートのヒロインが活躍しないルートであり、全部スサノオノミコトがなんとかしてくれる。

  • さゆりルート
 気になる娘にさゆりを選ぶと分岐する。またもや共通ルートの態度から一変しあっさりと付き合いだす。
 デートとエロシーンを...(以下略)
 相変わらずヘボい戦いを制するスサノオノミコトだが、このルートではヒルコを消滅させず封印させて終了となる。
 ヒルコの呪いが解けたものの、神であるスサノオノミコトとセクロスした為に不老不死となった上に幸穂先輩以外の人々の記憶から
 完全に消えてしまうという突如湧いた新設定を引き連れて旅に出ようとする主人公とスサノオノミコトであった。
 しかしスサノオノミコトの中で眠っていたアマテラスが突如目覚め、アマテラセックスを繰り広げて幕切れとなる。
+ ...
  • 幸穂ルート
 気になる娘に幸穂を選ぶと分岐する。
 なんの前触れもなく正体をカミングアウトされ付き合い出しセクロスに励む主人公。
 そしていつも通りの流れで誕生日前夜にヒルコと対峙するが、幸穂はヒルコの攻撃で瀕死の重傷を負う。
 しかし幸穂が散り際に持っている力を全て主人公に渡した為、あっさりと呪いを克服する事に成功。
 その隙にスサノオノミコトが呪文らしき物を唱えてヒルコの封印に成功する。(ショボイ戦いは不要な様子)
 ついでにスサノオノミコトが幸穂に力を分け与えた事であっさり幸穂は回復する。
 以後幸穂は櫛名神社に匿われ時々中庭を素っ裸で走り回る楽しい日々を送る事となるのであった。

  • 夢子ルート
 気になる娘に夢子を選ぶと分岐する。作中ではバッドエンド的な位置づけとなる。
 足コキに始まる夢子もといヒルコの快楽攻めにより、あっさり身も心も虜になってしまう主人公。
 日々破壊衝動が高まり乱暴な振る舞いを見せる様になっていく。
 ヒルコの命令に従いヤマタノオロチに戻る事を決めた主人公はゆずのを撲殺、マイを拉致殺害し見事ヤマタノオロチに復活を遂げる。
 その後全世界を相手にしても問題無い圧倒的な無双ぶりを魅せつけ人類を完全にヒルコに屈服させ共に新世界の神となる。
 ちなみにルート中の選択肢によっては復活前にスサノオノミコトに始末されてゲームオーバーとなる。

○問題点
 では上記の背景を踏まえた上で本作の問題点を一つづつ挙げていく。

  • 最悪のタイトルとあらすじ
 本作がクソゲー化している最もたる理由がコレである。と言うのも主人公の正体についていきなりネタバレをかましているからだ。
 普通このようなタイトルとあらすじならば「最序盤でヤマタノオロチの生まれ変わりだと気づいた主人公らがテンヤワンヤする話」だと思ってしまうが
 本作は「思わせぶりな発言をする連中とその真意について迫っていく話」とも言うべき物となっている。
 実際主人公が自身の正体に気づくのは個別ルート後半の最終盤であり、それも散々引っ張った上で明らかになるのだ。
 しかしネタバレタイトルのせいでプレイヤーからすれば驚愕の事実でも伏線回収でも何でも無くなってしまっている。
 例えるならば犯人の名前とトリックが表紙に書いてある推理小説を読むような物だ。
 よって他の問題点を無視したとしてもこの問題点のせいで読み進める気力が9割以上削られてしまうだろう。

  • 決して予想を裏切る事なく進行する展開
 では仮にネタバレで無かったら正体について考える楽しみが有るのだろうか?残念ながらそうでは無い。
 理由としては二つ程有り、一つ目としては「思わせぶりな発言が多すぎる」と言う点が挙げられる。
 真相を知っている人物が思わせぶりな発言をする事はあらゆる作品で普遍的に見られる事であるが、本作はその頻度が異常に多い。
 と言うかマイと慎吾以外の人物は何かしら知っている方の立場の為、それらの人物との会話には必ずと言っていい程思わせぶりな発言が入る。
 例えば「主人公の誕生日には~」「何か思い出しました?」「お前は危険な存在だ~」等こんな事ばかりである。
 特に監視している立場のさゆりに至っては常にこの類の発言しか無いような物でうんざり感が半端ではない。

二つ目の理由は「事の重大性とは裏腹に余りにも語られる世界が狭い」事だ。
 前述の通り主人公がひとたびヤマタノオロチに戻れば人類終了となるような重大な危機に瀕している状況下にも関わらず
 上で挙げた登場人物の間のみで話が進行する為、特にネタバレが無くとも中盤辺りには黒幕を含めた裏側に全て感づいてしまう。
 (誇張では無く本当に上記以外で固有名詞を持つ人物が居ない。)
 作中ではやれ黒幕が分からない等と直前まで大騒ぎしているので余計に滑稽である。

  • 圧倒的な描写不足
 物語では無く文章と表現の問題に話を移したい。
 上でシナリオは短いと言ったがそれに一役買っているのがこのなんでも端折って語る傾向である。
 比較的日常の描写が多く見られる共通ルートであっても、海水浴は特段約束を取り付けたり、話題に上がる段階も踏まず
 日が変わると突然思い出したかのように海水浴に出かける事になっていたりする。
 また大鷲パークという遊園地に行くのも、やはり慎吾が前触れもなくチケットを持ってきて即日出発したり大変忙しい。
 (午後1時に出発したのに今日は一日よく遊んだという旨の発言をしたりする。)

個別ルートではこの傾向が更に強まり全てが超展開気味に進行する。
 シナリオの項でも触れた通りゆずのやさゆりは分岐直前まで主人公を警戒して避けていたり監視していたにも関わらず
 ゆずのはマイに応援されたから、さゆりは興味が湧いたからという理由で急激に態度が軟化し、スグにエロシーンに突入する。
 幸穂に至っては共通ルートで超人的な描写や普通では無い事を匂わせる展開が非常に薄いにも関わらず
 ルートに入った途端に湖畔に連れ出し正体をバラすという正真正銘の超展開である。
 また全ルート共通でルートに入ると誕生日前夜まで盛りがついたようにセックス三昧となり日常シーンは殆ど無くなる。
 本作のキモである主人公が自身の正体に気づくのも、共通ルートではさんざっぱら「自分で思い出すのが大事」と放置プレイだったのも関わらず
 どのルートでも誕生日直前に神通力的な物で思い出させられる為、あっさり思い出す上にそれを受け入れる。

 フィナーレであるヒルコとの決戦も前述の通りスサノオノミコトが説得したり、戦ったり、封印したりで片付ける訳だがこれらも全て簡潔にまとめられている。
 説得は神の国へ帰れる事とアマテラスの名前を出した時点で二つ返事で納得して和解してしまうし(文章の行数で言うならば二、三十行位の短い間である。)
 封印にしても「山よ、風よ、海よ」的な極簡単な呪文をスサノオノミコトが唱えるだけで即座に封印完了してしまう。
 特に酷いのが戦うパターンであるが、
これが低質なCGで動きもしないまま
 「カキーン!カキーン!」「おりゃー」「うわぁー」と言うやりとりとちょっとした会話を挟むと、
+ ...
 ヒルコの剣を弾き飛ばすか、刺して勝利するのみである。
+ ...
 そもそも説得出来るなら全ルートで説得すればいいし、封印にしても殺すにしてもルートによって
 「身内の事だから自分で始末する」「身内の事だから自分で封印する」とスサノオノミコトの考えがてんでバラバラで何を基準に手段を選んでいるのか全く分からない。

また唯一ヤマタノオロチになる夢子ルートの締めも、単にヤマタノオロチとして圧倒的な戦力を誇って人類をフルボッコにしたと
 地の文であっさりと語られるのみで、ヤマタノオロチの姿は勿論その過程もすっ飛ばして新世界の神なったと締めくくる。
 具体的に分かるヤマタノオロチの戦果としては鎌倉駅をぶっ壊した事位か。
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  • 統一性の無い文章
 先までの問題と比べれば大した事では無いが、作品全体を通して名詞が安定していない。
 たとえば登場人物紹介で述べた様にクシナダヒメの表記一つ取っても「櫛名田姫」「櫛名田比売」「櫛稲田姫」と3種類の表記が混在している。
 また主人公の寝具が場面によってベッドだったり布団だったりコロコロ変わる。
 クソゲーの嗜みと言える誤字も完備で、元素記号と言うサイエンスな名詞が元祖記号とか言うファンタジーな物になっている。(それ以前に読みからして違うハズなのだが)
+ ...
 サラッと書いてしまったが本作はジャンル名ですらも媒体によって異なる等とても一人のライターが担当してるとは思えないブレっぷりである。

  • 低質なグラフィック
 プレイしていれば自ずと気づく問題であるが本作は絵の面もとても褒められた物ではない。
 先日先行して紹介したが、まずは背景画像からしてショボイ。
 実写写真をそのまんま流用した為に「鎌倉駅」の表記が残ったままの駅を始め、他にも恐らく実写を流用してるだけだと思われる手抜き背景は多い。
 (鎌倉駅ほどハッキリと分かる場所は無いので特定は困難であった。)

鎌倉駅
+ ...
 多分実写流用
+ ...

大鷲パーク
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 流用で無くてもやたらと塗りがベッタリしていたりする。

 校庭の背景
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 また基本的に背景絵は実に殺風景であり、人がたくさん居るという状況下の神社だろうが体育館だろうがモブキャラが立っていたりしない。(祭りの屋台背景のみモブ有り。)
 特に酷いのは主人公の自室でテレビらしき物が一台有るだけの全く生活感が無い部屋になっている。これではベッドも布団も本当に有るのか疑わしい。

主人公の部屋
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文化祭で大賑わいの体育館
+ ...

 立ち絵に注目すると一枚一枚だけ見ればなんの事もないが、すぐに差分が少ない事に気づくだろう。
 表情差分で3種、ポーズが2種位な物であろうか。服装も巫女服、制服、水着、浴衣はあるが、普通の私服が無いので出歩く時は基本制服な為違和感バリバリだ。
 登場人物紹介で挙げた人物以外には立ち絵は基本無いが、例外的におじさん襲撃事件の調査に来た刑事だけには有る。とは言ってもどこぞの名探偵の犯人の様な真っ黒ぶりだが。

真っ黒な刑事
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 ちなみに立ち絵についてはシステム的な問題も抱えており、それは後述する。

さてイベントCGの方に話を移すがこちらもやはり低質だ。
 正確に言うと「明らかに同じ人物が描いて塗ったとは思えない絵が混在している」と言うべきか。
 傾向的には序盤に出るCG程安定している物が多く、逆に後半に向かうにつれ質も数も低下していく。(ただしエロCGはまともな物が多い。)
 特に劣化傾向にあるのがさゆりのCGで、序盤の着替え覗きはこうで、
+ ...
 海水浴でのハプニングエロではこんな感じであるが
+ ...
 さゆりルートの写真撮影時にはこうなったり、
+ ...
 エロシーンでもこんなんである。
+ ...
上で挙げた戦闘のCGも同様だ。
 ギャルカディア程の極端さは無いが、他が壊滅的だからといって絵に期待すると痛い目に会うだろう。

 ちなみ一枚絵の差分も大分少なく、基本1枚にたいして多くて4種位の差分しか無い。
 そして個人的に驚愕だったのが「立ち絵を一枚絵に組み込んでいるCG」が有る事だ。
+ ...
 これであるが他の人物が一枚絵として描き込まれて居るのに対し、
 後ろに立つ幸穂は同シーンで使用している立ち絵をまんま貼り付けているだけなのである。これには驚きを隠せない。
 ついでだがこのCGの場面では大変オシャレなテーブルクロスがかけられているとの説明で有ったが、最近はグレー一色のテーブルクロスがオシャレなのだろうか?

  • サウンド周りについて
 クソゲーは音は良い とは昔からよく言われるが本作はどうだろうか。
 BGMが全13種類あるがその内3種類は主題歌とそのアレンジなので実質9種類である。
 それぞれの楽曲が異常に酷いと言う事は無いと思うが、如何せん数が少ないため同じ様な音ばっかり聞いてるなと感じる。
 キャラクターボイスはヒロイン勢はフルボイスだが、慎吾やおじさんを始めとした他キャラには一切無い。仮にもフルプライスなのに。
 それよりも問題なのが効果音である。
 普通カーソルをボタン等に乗せると「ピッ」「ピロッ」と言った効果音が鳴るが、本作のそれはどういったわけか人の声なのだ。(誰の声なのかはよく分からない。)
 カーソルがボタンをかする度に「ぴこっ」、クリックすると「しゃらら~ん」と執拗に喋るので非常にウザい。勿論オプションでこれだけを切ることは出来ない。
 他に耳に障る音は上でお見せしたさゆりが写真撮影する時のCGで出てくるシャッター音である。
 どういう訳かシャッター音というよりはノイズのような「ババッ!」という感じの音の為、最初はスピーカーが壊れたのかと思った。

  • システム周りについて
 システムもまるでヤマタノオロチの時代作られたのかと思う程時代遅れな物となっている。
 バックログはメッセージウィンドウに一つづつ流していく方式だし、そのバックログはホイールで出せるのに読み進めはホイールで出来ないと言う超不便仕様だ。
 各種メニューも右クリックで戻れないし・・・と一体何時の時代のゲームなのだと思ってしまう。
 これだけなら可愛い物だがゲームテンポが致命的に悪くなっている仕様がある。
 一つ目が「立ち絵は基本一度に一人だけ表示する」という仕様だ。
 たとえその場に複数人居ようとヒロイン同士で会話していようと、立ち絵が出るのは今喋っている人物のみが表示されるのだ。
 しかもその立ち絵の切り替わりも一々ゆっくりフェードイン・フェードアウトで行われる為、一言づつ言い合う場面なんかでは凄まじくテンポが悪い。
 二つ目が「しょっちゅう出てくるエンドカード」である。
+ ...
 これが事有る度に出てきて場面が切り替わるのだが、話の大区切り毎などでは無くゲーム内時間で一日に一回は必ず出てくる。
 ただでさえ立ち絵の仕様でイライラするのにとんだ追撃である。

  • バグ
 某批評サイトでも挙がっているが、本作は相当バグまみれだ。
 とは言っても進行不能になるような重大な物では無い。しかし細かいバグが累積しているのでかなり体感的にはバグってる様に感じる。
 以下に自分で再現出来たバグを挙げていく。
 ・起動時に何故かウィンドウ枠が表示されない時がある。
 ・コンフィグ画面から戻れずフリーズする。
 ・一旦バックグラウンドウィンドウにすると画面内容が更新されなくなる事が有る。
 ・BGM鑑賞モードのEXITからは戻れない。
 ・文章が繋がって表示される事が有り、その際は名前表示欄に文字が被る。
+ ...
 ・内部指示的な文がメッセージウィンドウに表示される。
+ ...
 ・セーブロード画面の2ページ目以降に切り替えても画面は変わらず、2ページ目以降の内容が神経衰弱状態。
  |セーブ画面呼び出し直後:
+ ...
  |しかし2ページ目以降を呼ぼうとクリックしても変化はない。
  |セーブサムネイルをクリックすると初めてそのページでの内容に更新される:
+ ...
 ・セーブロード画面中にウィンドウを移動すると、ウィンドウ枠のみ移動し画面内容はその場に残り続ける。

 最も厄介なのはセーブロード画面関連であり、しょっちゅう使う機能なのに2ページ目以降を使うのが大変面倒な事になっている。

  • まとめ
 紛うことなき完全なクソゲーである。絵もシナリオもボリュームも何もかもが楽しむに値しない。
 作中では頻繁に罰当たりな行動が云々~という台詞が出てくるが、何よりも罰当たりなのは神々の名前を騙ってクソゲーを作る事ではなかろうか。
 強いて良い所を上げるならマイはそこそこ可愛い事と良質なCGが当てられているエロシーンはまぁまぁエロい事位だろうか。
 確実なのは、俺がヤマタノオロチならこの様なクソゲーは即座に破壊している事だろう。

補足

【2014】 クソゲーオブザイヤーinエロゲー板 99本目
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1421156054/
今日もう一度オロチをやって検証できた事が有りましたので参考までにご報告します。

○ギャラリー・シーンの枠が埋まらない
前の選評作成時点でギャラリーが4枠、シーンが3枠埋まらない事には気づいておりましたが、
本日改めて全選択肢のパターンで進めても相変わらず埋まらないので、どうやらバグか仕様で埋まらないみたいです。
ちなみに埋まらないと言うのはゲーム中には出ると言う意味では無く、ここに入るCGは確認出来なかったという意味ですのであしからず
ギャラリー4ページ
+ ...
ギャラリー5ページ目
+ ...
シーン1ページ目
+ ...
シーン3ページ目
+ ...

○SEについて
風の噂でどうやら体験版では普通のSEだと言うのを耳にした為、一応体験版の方も確認した結果以下の動画のような結果でした。
しかし体験版をプレイ中に新たなバグ(?)の様な挙動も発見してしまいました。
SEが鳴るボタンの上にカーソルを置いたままCtrlでスキップするとSEが超高速で鳴りまくるという現象です。(動画にその様子は入ってます。)
加えてこの現象は製品版でも発生するので、製品版ならカチカチと人の声が鳴りまくります。
(体験版の様子:ttp://yui.oopsup.com/download.php/kotye2014/orochiSEtrial.wmv)

多分これで補足することも無いと思いますので一旦仕舞となると願うばかりです

選評2

【2014】 クソゲーオブザイヤーinエロゲー板 避難所 2本目
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58331/1420456305/
772 :俺がヤマタノオロチなら選評2 ◆YyLs4BhItQ:2015/01/24(土) 00:23:24 ID:ekAH1C7.0
○はじめに
 2015年の1月は前年度と打って変わって静かな年明けであった。
12月の作品にエントリーがなく、語るべき話題をなくした住民の中には総評に向けて弛緩した空気が流れていた。
しかし前年の恐怖の記憶を忘れられない(懲りない)住民たちは、まだ何かあるのではないかと不発弾の再検証作業を行っていた。
そしてその中で、ひとつの不発弾に注目が集まった。
その名は『俺がヤマタノオロチなら』。
あまりにも突き抜けたタイトルとあらすじ、そして批評サイトでのぶっちぎりの低評価など、すわ部室の再来かとスレ住民が身構える中、緊急出動した対策班によって解明されたその実態は、
致死性の細菌を内包した大量虐殺兵器…ではなく、どこか懐かしいエロゲ少年時代のガラクタの詰まったタイムカプセルであった。
本稿では、この絶対的な低品質かつどこか郷愁を漂わせる、古き良きエロゲ創世時代からの使者について、その詳細を解説する。

なお、作品の内容に入る前に、まずこの作品を語る上で重要なキーワードがある。それは『ズレている』と『古臭い』というものである。
この先この作品のあらゆる要素を語る上でこの単語は欠かせないものであるので、頭に留めておいて頂きたい。

○シナリオついて
 このゲームのシナリオの問題点は、大きく分けてもったいぶりすぎて滑稽な共通ルートと、超展開とデウスエクスマキナすぎる個別ルートに二分されている。
シナリオの詳細は選評1に詳しく記載されているのでそちらを参照して頂きたいが、何より最大の問題点は、選評1でも言及されている通り、タイトルとジャンル名が壮絶なネタバレになっているということであろう。
このゲームのジャンルは『俺がヤマタノオロチになっちゃったら困っちゃうラブラブADV』(公式サイト記載)であるが、このジャンル名とあらすじを読んで、普通この作品がどういう作風だと想像するだろうか?
多くの人は主人公が怪物だと判明して登場人物達がドタバタ劇を展開するライトでポップなギャグシナリオ、もしくは八岐大蛇だけに8股とかかけちゃったりして…などというバカゲーだと思うのではないか?
ところがどっこい、本作のキモは主人公の中に眠った怪物と神代の時代から続く因縁を巡る本格()サスペンス()伝記物()であり、ジャンル名から想像される内容とはかけ離れている。
そしてこの作品において、主人公は自分自身の中に怪物が眠っているとは知らず、それを利用しようとする者、怪物化を阻止しようとする者が現れ、少しずつ主人公の正体の謎が解けていくというスタイルを取っている。
しかし主人公の正体はタイトルの時点で盛大にネタバレされているので、主人公が自分自身の正体について悩んだり、周りが恐れたり警戒したりという姿を見せられたところで、そこに物語性が生まれるはずもない。
そのくせ登場人物達は序盤からひたすら主人公の正体について思わせぶりな台詞を放ち続け、にもかかわらず肝心な部分ははっきりしたことを言わずに終盤まで引っ張り続けるので、うんざりすることこの上ない。
このズレっぷりを一言で表すなら、かの名作『痕』のタイトルを『俺が鬼なら』にし、ジャンルを『俺が鬼になっちゃったら(略)』に改変することだといえば、理解してもらえるだろうか?

 この時点でシナリオの中核に致命的な欠陥を擁している事は明らかだが、例えば古畑○三郎のように、物語の結末が明らかだったとしても、そこに至るまでの過程を楽しむことのできる作品というのも存在する。
ではこの作品が、主人公がヤマタノオロチであることを知ってから、そうならない為に抗う過程を主眼に置いているのかというと、そのようなことは全くない。

個別ルートに入ってからの展開は、基本的に主人公とヒロインが悪化していく状況に対して右往左往しつつセクロスをし続けるだけであり、主人公たちの見せ場というのはほぼ存在しない。
唯一主人公の活躍といえるものは、さゆり(スサノオ)ルートにおいて黒幕の襲撃からさゆりを庇って名誉の負傷することくらいだろうか。
そうこうしているうちに、それまで散々『自力で思い出せ』と引っ張ってきたにもかかわらず、終盤には『もう時間がない』などの理由で打って変わって事情を知る者達による裏設定の大公開時代が到来する。

例えばメインヒロインのルートでは、散々引っ張ってきた主人公の正体や黒幕の正体まで何から何まで『もう一人の幼馴染がテレパシーで過去の記憶を見せてくれた』『スサノオの仲間の神様が調べてくれた』
などという理由で、主人公とヒロインの与り知らぬところですべて解決。
物語のクライマックスであるはずの黒幕との対決においても、主人公もヒロインも何もせず、スサノオが黒幕と対峙して説得してあっさり終了と、盛り上がりどころといえるものは一切ない。
それまで散々世界の危機とか、スサノオが勝てるかどうかは五分五分などと危機感をあおってきたにもかかわらず、カップラーメンを作るより短い時間で大団円である。
この黒幕は存在を抹消され高天原を追放されたスサノオの姉であり、ヤマタノオロチを復活させて神々に復讐する野望に燃えているのだが、スサノオが自分のことを姉だと気づいただけで感動して戦意喪失、
さらに高天原へと帰れるように取り計らうとスサノオが告げるだけであっさりすべての計画を放棄してめでたしめでたしという流れがわずか3分の間に無限圧縮されており、この変わり身の軽快さには唖然とせざるを得ない。
+ ...

他のヒロインのルートにおいても基本的に流れは同じであり、主人公は蚊帳の外で超常存在の間だけで全てが勝手に解決し、最後は超展開で幕を閉じる。
その中でも特にひどいのがさゆりルートであり、黒幕を封印して全て終わったと思いきや、主人公はもう神の眷属であり人間として生活できないので、知り合い全ての記憶を消して二人で旅立たねばならないと突如告げられ、
眠る幼馴染達に密かに別れを告げ旅立つというしんみりした展開になった直後に、突然それまでさゆりの肉体のなかに隠れていたアマテラスの人格が目覚め、さゆり(スサノオ)の人格や黒幕をコケにした挙句、主人公を誘惑してアマテラセックスにもつれ込む。
これもわずか5分の間の出来事であり、黒幕を説得して封印⇒さゆりと愛を誓う⇒幼馴染との別れというそれまでの流れが完全にぶち壊しであり、思わず机に突っ伏すほどの脱力感であった。
黒幕が高天原を追放されたのは本人の責任ではなく、親が禁忌を犯したせいでそのとばっちりを受けた為であるため黒幕にも同情すべき事情があり、さゆりもそれを汲んで姉を殺したくないと説得し、本人同意の上で封印するという手段を選んだわけである。
ところがアマテラスはそれまで世界の危機にも隠れて見ていただけで何もしなかったにもかかわらず、全てが終わった後にのうのうと現れ、さゆりを使えない奴呼ばわりしたり、黒幕(アマテラスにとっても姉)なんかさっさと始末すれば良かったなどと言い放ち、
挙句の果てにはさゆりの体の制御権を乗っ取って弟(妹?)の彼氏を寝取るという乱行に及ぶわけである。
つまらなかったのはお前ではなくプレイヤーだと声を大にして言い返したいところである。
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主人公も主人公で、さゆりと二人ならこの先ずっと永遠の時を過ごしても大丈夫、などと愛を誓った直後にアマテラスにさゆりの体が乗っ取られたにもかかわらず、あっさりそれを受け入れて俺が愛する人はアマテラスなどと言い出す有様である。
常人には理解しがたい思考回路だが、作中でも神々の倫理観は人間のそれとは大きく異なることが度々強調されているため、そういうものなのだろうか?

そもそもさゆりルートのキモは、主人公を邪悪な魔物と思い込んで痛い言動を繰り返していたさゆりが主人公の内面に触れてデレていくその過程と、
元々男だったスサノオが現世では女に転生してしまい、女として主人公を愛してしまったため、もう二度と男に戻ることはできないというのを受け入れて女に生まれ変わる決意をする一途な健気さにこそある。
にもかかわらず、最後の最後で突然振って沸いたようなウザビッチが乱入してきてもプレイヤーが感情移入などできるはずもなく、全てがぶち壊しである。
製作者としては女としての経験は全てが初めての一途で初心なさゆりと、奔放でビッチなアマテラスの二つの人格で二度美味しい、というのを目指したのかもしれないが、的外れもいいところである。
それにしても畏れ多くも日本の主神とも言うべき、いと貴き女神様をこのようなウザビッチに改変するなどとはまさに神をも畏れぬ所業であり、国が国ならテロが起きてもおかしくないのではないだろうか。

 さて、シナリオの大筋が完全に滑っていることは理解していただけたと思うが、それ以外の日常描写の部分のクオリティも決して褒められるものではない。
その理由として1つあげるとすると、冒頭にも書いたようにセンスが絶望的に古臭いということである。

まず冒頭にいきなり『ヒロインが着替え中の部屋に入っちゃった』イベントが3連発。
そもそも自宅の居間はともかく、何故写真部部室や生徒会室で服を着替えているんだという突っ込みは置いておくとしても、イベントの流れも全く同じで、
ヒロインが着替え中の部屋の扉を開けて固まる⇒必死に言い訳⇒猛烈に罵倒される⇒その言い方は言い過ぎだと反論⇒長く見続けるために時間稼ぎしているとさらに怒られる⇒そんなつもりはないと再反論⇒もういいから出て行けと怒られる
というテンプレのような展開が5分間の間に3回繰り返される。
海水浴イベントにおいても、寝ぼけて隣で日光浴していたさゆりの胸を鷲づかみ⇒海に投げ飛ばされる⇒他3人のヒロインがつかまる浮き輪の中央に浮上⇒3方から押されてヒロインの胸に順番に顔が衝突、というラ○ひなレベルのラッキースケベイベントが続く。
さらに言えば、この投げ飛ばされる際のSEが本気でファミコンレベルのチープな効果音のため、20年前に立ち返ったかのような感覚に襲われる。
それを何とか乗り越えた後も、教師が化学実験の際に胸を押し付けてきてドキドキイベントだの、外出時に『ビッグマツタケアイス』なるものを恍惚とチュパるだのといった古代のセンスのお色気イベントが待っている。
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しずかちゃんのパンチラや入浴シーンですらドキっとできた時代ならいざしらず、今日日の少年誌のほうがもっとエロく魅せる工夫をしており、今時の小学生ですら鼻で笑い飛ばすレベルの茶番劇だろう。
お色気イベント以外においても、夏祭りでさゆりがテンプレチンピラにナンパされ、主人公が颯爽と()助けに入るイベントなど、いったい何十年前のセンスなんだと言いたくなるイベントが続く。
このうんざりするような日常イベントも遊園地を最後に打ち止めとなるが、その後は前述のシリアス()展開からの超展開に突入するため果たして良かったのか悪かったのか…

 さらにさらに問題があるのはストーリー中に留まらず、この作品はなんとエンディングでさえ問題を抱えている。
本作のエンディングは、イベントCGと、背景グラを交互に表示するというオーソドックスな手法なのだが、そのクオリティが極めて低く、演出も古臭い。
まず、BGMがOPテーマソングの使いまわし、グラフィックのエフェクトやスタッフロールのスクロールなどもなく、セピア調にしたイベントCGにそのままスタッフ名を上から書き込んだだけの一枚絵が順番に表示されるだけである。
そしてスタッフ自体が絶望的に少ないのをごまかすためか、イベントCGの間にゲームタイトルだけしか書き込まれていない背景グラを差し込み、しかもそれぞれの画像を一枚ごとに10秒以上表示するという超時間稼ぎ仕様となっている。
ちなみにこのゲームのスタッフは外注のBGMと声優さんを除けば7人しかいない。
にもかかわらずEDが2分以上あるということは、どれだけ引き伸ばされているかがよくわかるだろう。

それに加え、あらすじとタイトルで最重要機密を先行大公開している本作であるが、その旺盛なサービス精神はエンディングにすら発揮されている。
普通のゲームであればこういうEDで表示されるCGは、当然そのルートのヒロインのCGであると思うだろう。
ところがどっこい、この作品では何と全ルートでEDが共通で、しかもまだプレイしていないルートのデートCGや、キスシーンのCGをどこよりも早く先行上映してくれるのである。
またCGのチョイスも謎で、何故かさゆりのCGは一枚もない。
そのためさゆりルートのEDなのに、流れてくるCGは他ヒロインのデートシーンやキスシーンである。
シナリオ上はマイと並ぶメインヒロイン的扱いにもかかわらず、CGのクオリティにしろシナリオにしろ色々とあんまりな仕打ちであった。

そして散々時間を引き延ばした挙句、もうこれ以上引き伸ばせないよとばかりに突然画面が暗転し、曲の途中なのにブツっと途切れ、気づいたらタイトル画面に戻っているのである。
クオリティの低さと演出の古臭さに更にやっつけ感も加わり、これまたエロゲ原始時代にタイムスリップしたかのごとき感覚にとらわれるのであった。

○グラフィック面について
 この作品のグラフィックが極めて低クオリティなのは誰の目にも一目瞭然であろう。
元々同人レベルの古臭い絵面ではあるが、選評1にある通り、イベントCGのクオリティはシナリオが進んでいくにつれてさらに低下していく。
特にさゆりのCGの劣化が激しいというのも選評1と同感である。
ただし、選評1では「エロCGは比較的まとも」と評されているが、筆者の印象ではむしろ通常イベントCGのほうがまだ安定で、エロCGのほうが劣化が激しいという感じだった。
特に正面以外の横や斜めからのアングルのCGにおいて体型や表情が不自然に崩れているものが頻出であり、処女がいきなりアヘ顔チックになったりと実用性はかなり厳しいものとなっている。

エロ以外の通常イベントのCGは、個別ルートに入ってからはそもそも日常イベントがほとんど存在しないこともあって数は極めて少ないが、クオリティ自体はまだマシなほうだと思う。
ただ、やはり選評1でも指摘されている先輩の立ち絵をそのまま挿入しただけのお茶会のCGは中々のインパクトがあった。
ちなみに余談ではあるが、左下の主人公のグラスの中身は『アイスコーヒー』であることも付け加えておこう。

立ち絵のクオリティはまだ悪くないほうだが、表情差分が極めて少なく、表情が変化したのか良く分からなかったり、台詞や地の分と表情が一致していない場面も度々見受けられる。

背景にしても、実写の風景写真をそのままトレスしたものがほとんどである。
スレの調査により、鎌倉駅、としまえん、極楽寺駅前、明治大学などの風景であることが明らかとなっている。
こういった実写写真を加工して風景にするというのは昔から良く見られる手法ではあるが、それにしても本作はあまりにもそのままであり、看板の店舗名まで実在する店舗そのままというのは流石に怠慢すぎないだろうか。
スレでも初期から指摘されていたが、作中の須賀駅が実在の鎌倉駅の表記すら消されていないというのはあまりに衝撃的であった。
その他、地の分では『満天の星空』とあるが実際は背景が夕方だったりするなどの不整合はあるが、これまでの問題点に比べれば瑣末なことだろう。

○システムについて
 このゲームのシステムに関しても、とても現代の作品とは思えないくらい古臭いものとなっている。
まず公式サイトの製品情報のページを見てみよう。
そこには要求スペックが『CPU:必須IntelCeleron/推奨PentiumⅢ500Mhz相当』『色数:必須ハイカラー/推奨フルカラー』『DirectXに対応したサウンド機能』という目を疑うような文字が躍っている。
今時この基準を満たしていないような骨董品のようなマシンが実働しているのだろうかと思わずにはいられないほどの時代錯誤感である。

そしてゲームを起動して、画面全体にデカデカと表示される『俺がヤマタノオロチなら』のアイキャッチ。
さらにこの時代のフルプライスにもかかわらずOPムービーなどというものはなく、タイトル画面に直接OPテーマ曲が流れる方式である。
タイトル画面のデザインの古臭さも、よけいに作品全体の古臭さを際立たせている。

ゲーム内においてもバックログの一括表示ができず、1行ずつ戻っていく形式であり、さらに行を戻っていくと自動で音声が再生されるのである。
そのためマウスホイールぐるっとまわすと、複数の台詞がブツブツブツっと連続で切れて流れ、地味にうるさい。
ホイールで読み進めることができないのもそうだし、コンフィグやセーブ画面から右クリックで抜けることができないなど、細かな不便さが積み重なって小蠅にたかられているような鬱陶しさとなっている。

細かなバグも数多く、選評1で挙げられたものの中で特に問題となるのは、文章の改ページ命令入れ忘れが度々あることである。
2ページ分の文章が1つの枠に続けて表示され、これが地の分なら読みづらいだけで済むのだが、会話が連続しているところだと問題になる。
なぜなら、このゲームは台詞を次に送ると再生中の音声が停止する仕様なので、台詞2ページ分連続して表示されると、事実上前の音声は聞き取ることができない。
バックログからも再生することができないので、死にボイスとなってしまっている箇所が存在する。

その他に筆者が確認したものといえば、コンフィグでのAutoの速度設定で、文字送り速度と改ページウェイトの設定が逆になっている、などというものもあった。

 しかし、上記の細かな不具合など全て吹き飛ばしてしまうような重大な欠陥が、このゲームには存在する。
それはグラフィック、シーン回想に関する問題である。
まずこの画像を見てほしい。これはシーン回想のマイのページである。
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繰り返すが、これはマイだけのページであり、全ヒロイン共通で1ページではない。
こんなショボいシナリオのくせにエロシーンだけはえらく潤沢…と思わせて、その実態はもちろん甘くはなかった。
その正体がコレである。
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そう、まさかのエロシーンを前戯と本番とピロートーク(エロシーンなし)に3分割することで大幅水増ししているのである。
かつてCGの差分を別枠に登録することで水増しするという荒業を敢行した例はあったが、回想を分割して水増しというのは初めての試みではないだろうか?
この前戯なんていらねーぜ本番はよ!というせっかちさんにもきっちり対応した製作者のご配慮には落涙を禁じえない。

そしてさらに、中段右端の枠はなんと未実装である。
ゲーム中全ての選択肢を試したが枠が埋まることはなく、恐らく未完成なのだろう。
さゆりのページにも未実装枠が2つあるほか、シーン回想だけでなくグラフィック回想にも未実装は存在する。
また、グラフィック回想において基本的にはイベントCGは各ヒロイン別に、シナリオで前のものから順に登録されているのだが、
何故か最終ページの末尾にマイ以外のヒロインのエロCGが飛び石領地のように配置されている。
これまでの経緯から察するに、開発のスケジュール管理などがきっちりされていたとは到底思えず、恐らく最後の最後になって時間が足りず、間に合った分だけとりあえずぶち込んでしまえ!というのがこの結果なのだろう。

○音声関連について
 音声に関しては、外注されているBGMについては別に名曲というほどでもないが、悪くない出来ではある。
ただし今時キャラ個別BGMすらなく、全部で13曲しかないという少なさのため、ずっと同じBGMばかりでメリハリに欠ける上、シーンとBGMがいまいちマッチしていない箇所も度々見受けられる。
終盤の黒幕との対峙シーンにおいてもそれ専門のBGMはなく、それまでの日常シーンのBGMの使いまわしであり、ただでさえ盛り上がらないクライマックスをさらにだるいものにしている。

その他、これはBGMの問題というより演出の問題だが、物語中盤のマイから告白されるシーンで、告白をOKするとOPテーマ曲が流れ始める。
この作品唯一ともいえるそこそこ盛り上がる場面なのだが…このデカデカと流れるOPテーマのせいで囁くようなマイの台詞が全く聞こえなくなる。
せっかくのメインヒロインの最初にして最大にして最後の見せ場なのにこの仕打ち…マイといいさゆりといいつくづくメインヒロインに厳しいゲームである。
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しかしそんな些細な(?)ことよりも、何よりも問題なのはエロシーンのBGMである。
エロシーンのBGMは前戯と本番でそれぞれ分かれているのだが、本番のBGMが明らかにおかしい。
前戯のシーンはこれ
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で、いかにもHシーンに使われるBGMであることがわかるだろう。
ところが、本番はコレである。
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どう考えても探索行動中とかそういう時に流れるBGMであり、筆者は初めてこれが流れ出したときに噴き出してしまい、BGMの設定を間違ったんだなと本気で思った。
しかし他のHシーンもいくつか例外があるが基本的にこれであり、挙句の果てにアマテラセックスに至ってはコレである。
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もう完全に悪役が悪だくみ中という感じであり、ヒロインとの情事の欠片も感じられない。さゆりェ…
このせいで筆者はもうエロシーンに入ると噴いてしまうようになってしまい、ただでさえグラフィックの時点で厳しい実用性がさらに損なわれる結果となった。

色々とズレているのはBGMだけに留まらず、SEに関してもおかしい。
まず選評1でも指摘されているが、システムSEは何故か人の声というまさかのボイスパーカッション仕様である。
この「カチッ」というSEはシステムボタンをマウスが掠めるだけで鳴るので、クライマックスだろうがエロシーン中だろうがマウスをちょっと動かすだけでカチカチ鳴って非常に鬱陶しい。
その他右クリックすると「♪ピコッ」、決定すると「♪チャララーン」、こちらも妙に耳に障って何度も聞いているうちにイライラしてくる。

システムSE以外のクオリティも本気でファミコンレベルである。
選評1でも言及されているさゆりのカメラ音のほか、前述した海水浴でさゆりに投げ飛ばされる際のSEがコレ
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で、
最終決戦でのさゆりと黒幕の剣戟の音がコレである。
+ ...
もはやWindowsの時代すら飛び越し、PC-98の時代まで先祖返りするSEには驚きを隠せない。
外注によりそれなりのクオリティを保っているBGMとは対照的に、予算が尽きたのかSEは自分達で適当に作った結果がこの惨状なのだろうか。

○まとめ
 さていよいよ全体のまとめに入る。
本作はシナリオ、グラフィック、システム、音声の全ての要素に重大な瑕疵を抱えており、とてもとてもフルプライスどころか商業作品の域に達しているかどうかもギリギリなレベルである。
筆者の個人的な印象としては、『新米同人サークルがそこそこ頑張ってやっとこさ完成にこぎつけたデビュー作』という感じであった。
クソゲーのタイプとしては、プレイ不能の重篤なバグなどといった一撃必殺の必殺技でプレイヤーをKOするタイプではなく、あらゆる要素が絶対的低品質という手数と、ズレたセンスの小技による状態異常によってじわじわと削ってくるタイプであった。

ただ…クソゲーであることは疑いようもない事実だが、一方で『わざと手を抜いて作ったクソゲー』という印象はあまり受けなかった。
低品質なシナリオはライターの描写力不足と決定的にズレた古臭いセンスに、グラフィックの低品質さはグラフィッカーのデッサン力不足に、
システムの問題とバグは製作スタッフの技術力不足とスタッフのスケジュール管理失敗に、そしてSEの低品質さは開発資金不足に、それぞれ起因している気がするのだ。
もっと言うと、実は10年以上前に開発されていたゲームが何かの手違いで販売されずに封印され、何故か現在になって突然販売されることになった、という印象すらある。

実は冒頭にシナリオの問題点を挙げる際に、エロゲー黎明期の傑作、『痕』を引き合いに出したが、それには理由がある。
筆者はこの作品をプレイしている間、ずっと懐かしさというか既視感のようなものを感じていたのだが、あるときその理由に気づいた。
その理由はこの作品が『痕』に似ている点が多々ある、ということである。
それは主人公の中に眠る怪物と、それを巡る怪異、そしてその怪物に抗うというテーマ、登場人物が過去の関係者の転生体であるということなどといった、単にストーリ上だけの要素に留まらない。
ボイスがあることを除けば、シナリオ、グラフィック、システム、サウンド、要求スペックなど、ありとあらゆる要素が20年前の時代の作品のクオリティそのままなのである。

思い起こせば当時は背景が実写写真を加工しただけのものも珍しくなかったし、イベント絵も現在とは比べ物にならないほど稚拙だった。
BGMがピコピコ音丸出しのものも珍しくなく、当時名作といわれた作品のシナリオでも今から冷静に振り返ってみれば超展開やデウスエクスマキナ、根性論で強引に解決しているものも少なくなかった。
しかしそういった今から見れば低品質なゲームであっても、我々は萌えの魂で補完し、楽しむことが出来ていたのだ。

それがいつの間にか、エロゲーにはOPテーマソングがつき、さらにOPムービーまで実装され、エロゲーに声がついているのももはや当たり前になった。
グラフィックも当時からは考えられないほど美しく進化し、CGを採用したり、立ち絵の表情が滑らかに変わったり、画面効果などを利用してより臨場感のある演出を行う作品も現れた。
変化が少ないシステムでさえ、シーン回想、クイックセーブとロード、細やかな設定のできる自動文字送り、前の選択肢まで戻る機能、詳細なコンフィグ設定と使いやすいインターフェイスなど、確実に進化している。
しかしそれが当たり前になったからこそ、我々は感動を失ってしまっているのではないだろうか?

そんな中、本作は敢えて20年前と変わらぬ姿を見せてくれることで、そういった古き良き時代の熱い気持ちを思い起こさせてくれるのである。
初めてエロゲにOPテーマソングとOPムービーがついたときの感動を。
初めてエロゲに声がついたときの興奮を。
10年前から何も変わらない紙芝居ゲーであると揶揄されるエロゲーにおいてすら、この20年間着実に進化を遂げてきたという感慨を。

本作はそういったエロゲ少年時代の懐かしい香りを現代に運んでくれる、絶対的に低品質かつどこかほろ苦い、味わい深いクソゲーであった。

参考資料


極楽寺駅前(看板にある施設は全て実在するものです)
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としまえん(練馬区)
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人の声のSE
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