超限勇希 ムゲンフィニティ 選評

【2014】 クソゲーオブザイヤーinエロゲー板 95本目
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71 :名無しさん@初回限定:2014/11/06(木) 22:26:28.81 ID:EIGslrD+0
2010年「色に出でにけり わが恋は」が「前後ぉぉぉん♪」の迷セリフで話題をさらい見事大賞に輝いたその年、
惜しくも選評が届くことなく、ひっそりと消えていったクソゲーがあった。
それがだんでらいおんより発売された「超限勇希 ムゲンフィニティ」である。

このゲームでまず目につくのはその未完成っぷりであった。
誤字脱字多数なのは当たり前、テキストとボイスの文章がまるで違うものになっているようなこともあり、
ゲームを進めていると立ち絵画像が存在しない、背景画像が存在しないというエラーメッセージが表示されることもしばしば。
果てには「この先立ち絵が正しく表示されない可能性があります」というメッセージが表示され、ダミーの立ち絵が出てくる始末である。
さらに主人公が乗るロボットの初登場シーンというロボットものでは定番の山場でも本来あるべきCGが存在せず、
代わりに真っ白な背景に右上に大きく「e_ka17無限大のキボウ」という文字だけが書かれた状態となり、折角の山場が台無しになっている。

またテキスト中に「カメラ視点」だとか場所や時間の指示といった、制作過程の指示の残滓と思われるものが散見されたり、
ガヤ音声や電車の走行音のSEがそのシーンだけで終わるはずが数シーン後まで延々続いたりといった事が起こる。
特にガヤ音声の方は、後のシーンで主人公が人気のない森へ足を踏み入れたにも関わらず、音声上は人の気配が溢れまくっているという事態を引き起こしている。

このゲームには戦闘パートがあるのだが、この戦闘パートとADVパートとの齟齬が起こる場面もあり、
例えば、主人公機のサポートメカ登場(ADV)→サポートメカと一緒にバトル(戦闘)→主人公のピンチにサポートメカが駆けつける(ADV)
と、サポートメカと一緒に戦ったと思ったら実はまだ戦場に来ていなかったというポルナレフ状態を味わわされる。

これらの要素は後に配布されるパッチによって解消され、エラーの出なかった場面でも背景が追加されたりと改善がなされた。

しかし、それでもなおこのゲームには語るべきクソ要素が残されてる。

このゲームでは主人公のボイスはフルボイスではなく一部ボイスであるが、そのボイス配分が少しおかしな事になっている。
ロボットものでは大事な見せ場となるシーン、サポートメカとの合体シークエンス。
文章上では主人公がヒロインと共にセリフを叫んでいるのだが、ここでは主人公のボイスはついていない。
そのため音声上ではヒロインが1人で叫んでいる状態で、盛り上がるはずのシーンがなんともシュールなシーンに成り下がっている。
一方で日常会話のシーンで唐突に一言だけ主人公のボイスがついている部分があり、プレイしている方がその不意打ちぶりに驚かされる場面も。
このように肝心な部分に声がなく、どうでもいいところにボイスが付いているという奇妙な仕様になっていたりする。

ADVパートでは、各キャラのセリフが立ち絵の下に吹き出しで表示されるという形式で、
その吹き出しの大きさが立ち絵の表示位置に合わせて横は全体の1/3程度、縦は4行程度しかないため、長セリフになるととても読みづらい。
さらに立ち絵なしのモブキャラのセリフも吹き出しで表示され、画面に立ち絵が最大人数(3人)表示されていると、
モブキャラのセリフが別の立ち絵キャラの下に表示され(吹き出しの口は一応違う所を向いているが)一層読みづらくなってしまう。

また立ち絵に関しても、複数原画家の採用により他に比べて明らかに絵のレベルが劣るキャラが存在する。
そのキャラは幸いヒロインではなくサブの男キャラではあるのだが、違和感は大きく見た目に完全に浮いた存在になっている。

そんなADVパートよりも格段に、そしてこのゲームで最もひどいのが戦闘パートである。
このゲームの戦闘のルールは以下の通り。

  • 攻撃コマンドには近接、遠距離、対空の3属性が存在する。
  • 自分にも相手にも苦手属性があり、戦闘の中で苦手属性を探り大ダメージを当てて倒そう。
  • 防御、回避は敵の強力な攻撃や苦手な属性攻撃に対し活用して有利に戦闘を展開しよう。

いわゆるじゃんけん方式の属性相克バトルというわけである。

では実際の戦闘はどうか。まず数字で表記されるステータスは自機の耐久値(HP)のみである。
相手の耐久値が表示されないぐらい特に珍しくもない、よくあることだと思われるだろう。
しかしそうではない、相手の耐久値はもちろん、与ダメージも被ダメージも表示されないのだ。
つまり与ダメージが表示されないので自分の攻撃は当たったかどうかしか分からないのである。

そうなると相手の苦手属性を探るには、攻撃を受けた時の相手のリアクションがヒントとなりそうなのだが、
その相手のリアクションもダメージの大きさではなく、耐久値の残り具合で変化するようなので、全くヒントにならない。
さらにそのリアクションのセリフがあるのは有人機のみで、無人機にはそのセリフがないのだが、
このゲームでの戦闘のおよそ半分はその無人機とのバトルなのである。

だが問題はそこだけではない。相手に効いているかどうか以前にそもそも自分の攻撃が何属性なのか分からないのだ。
攻撃コマンドは「ムゲンソード」といった具合に武装名で表示されるのみで、属性についての表記は何もない。
「ムゲンソードだから近接属性かな」と想像は出来るが、明記されていないのでそうとは限らない。
さらに初期の主人公機は武器が2種類のみで、防御回避共に無し。
ストーリーが進み、サポートメカと合体した状態で初めて防御コマンドが追加。
さらに特定ルートのみで現れる2体目のサポートメカと合体してようやく武器が3種となり、
おそらくこの状態で3属性揃って防御も可能となるわけで、つまり万全の体制で戦闘できるのはごくわずかということである。

ここまで書けば勘の良い方はお気づきかもしれないが、敵の攻撃についてももちろん属性不明である。
加えて自機の苦手属性についても不明で、敵の攻撃も決まったパターンがあるわけでもなく、
特定の前兆や予備動作もないので、何の攻撃が来るのか分からない。
したがって防御、回避コマンドは一切活用のしようがない。

このように敵味方共に攻撃属性や苦手属性が分からず、攻撃が有効打なのかどうかも分からず、回避や防御も有効に使えない。
そのため戦闘は運任せで適当に攻撃コマンドを選び、ゲームオーバーになったらやり直すという作業となる。
本来はじゃんけんバトルのはずが、実際にはお望みの目が出るまでサイコロを振るだけのゲームというわけである。
それでも、負けても進む戦闘があることと、ゲームオーバーになってもその戦闘から即やり直すことが出来るのはせめてもの救いと言えるだろう。
(ただしパッチ前は雑魚でもかなり苦戦、一部戦闘に至ってはどう足掻いても攻略不可能な調整であった。)

なお最終的にはパッチによって戦闘をスキップできる機能が付きプレイヤーには一安心となったが、
事実上公式にも戦闘パートはいらない子とされた措置であり、戦闘パートの存在意義は完全に失われてしまった。

ストーリーそのものはいわゆる熱血スーパーロボットもので、お約束もおさえた王道展開ではあるのだが、
説明不足や描写不足、超展開のような粗も多く、加えて演出やらシステムやら主題歌やら一部声優の演技力やら、
どれも今ひとつなクオリティで、パッチで大きな問題が無くなっても尚出来の悪さが目立つ残念な作品となっている。
最終更新:2014年12月16日 09:58