2013年 合成総評試案

2013年 合成総評案 大賞:明日もこの部室(へや)で会いましょう


ネタスレであることが、クソゲーオブザイヤーinエロゲー板(通称「KOTYe」)の本質。
2012年、ゲー無代表『華麗に悩殺♪ くのいちがイク! ~桃色ハレンチ忍法帳~』と、ネタゲー代表『SEX戦争 ~愛あるエッチは禁止ですっ!~』による異種クソゲー決戦は、スレの在り方にまで議論が及ぶ大接戦の末に決着した。
終始話題を席巻したsofthouse-sealによる連覇の野望は、達成目前で新鋭スワンアイに阻止されたのである。
そして2013年。修羅の国における新陳代謝の激しさを噛み締めつつ、住人達は新たなクソゲー開拓の第一歩を踏み出してゆく。

その一歩目で、いきなりスレは爆心地となった。
前年の大賞争いも終わらぬ1月のうちにスワンアイがスタートダッシュを決め、『リア充爆発しろ! ~変身能力手に入れたんだけど質問ある?~』(通称『ずっぷ』)を一番槍として送り込んできたのである。
『SEX戦争』の血を色濃く受け継いだカオスな設定や展開は、まさしく怪物と呼ぶに相応しい代物であった。
本作の大まかな流れとしては「リア充達にバカにされていたコミュ障の主人公が、ふとしたことで手に入れた変身能力を使って復讐する」というものだ。
設定のぶっ飛び様はバカ抜きゲーであるため大した問題では無いものの、例によって説明不足が尋常では無い。
「変身エステ」なる所で主人公は変身能力を入手するのだが、経緯の説明は最初から前回のあらすじ以下に圧縮されており、この名称が初出した僅か4行後に「そして・・・僕は変身能力を手に入れたのだった。」で終わりである。
以後、掘り下げた説明が行われることもない。
前振りがすでに投げっぱなし状態なのだから、本編も当然まともなはずがなかった。
ヒロインのほぼ全員が彼氏持ちで、中にはセフレがいたり彼氏とのエロシーンがある者までいるのに全員処女。『SEX戦争』由来の新古品設定は健在である。
電波出力が高すぎるエピソードも目白押しだ。
主人公を毛嫌いしていたヒロインを彼氏に変身して抱いたのがバレた途端、怒るどころかデレる。
失禁したヒロインを見て男子生徒達がオ○ニー始めたら教師に見つかり、罰として廊下でオ○ニー。教師は女生徒共々オカズに志願する。
最早なんでもありだが、本作にはこれらに大義名分を与え得る特異な舞台設定さえ用意されていないのである。
挙句の果てに、抜きゲーの命たるHシーンは、全編コピペの粗製乱造かつ尺が短い最凶のワンパターン。
「ずっぷ!ずっぷ!ずっぷ!ずっぷ!ずっぷ!」とピストンを重ねて「ああ…もう出そう」で射精するのをベースに、喘ぎ声を混ぜ込み、少量の会話と地の文で形を整えたらエロシーン3分間メイキングの完了だ。
個別ルートも選んだ直後からHシーンに突入し、終わったらまた別のHシーンと物語としてはスッカラカンな出来である。
だが「ずっぷ!」のヘビーローテーションによって洗脳される住人は後を絶たず、ずっぷの旗のもとに集う門徒を増やした本作は、確固たる支持基盤を獲得するに至った。
そして初っ端から強力な門番として人外魔境に立ち塞がり、1年を通じて引き合いに出され続けることになる。

続く2月には、プラリネの『モテすぎて修羅場なオレ』がエントリーを果たした。
4人のヒロインと肉体関係を持っている四股状態で始まる本作は、事前情報だけ見ると面白そうな題材に見えるものの、実態はその全てを裏切っていた。
修羅場を回避する楽しみも何も無く、プロローグが終わった後の選択肢1つでルートが固定されエンディングまっしぐら。
そもそも四股状態なのもモテすぎてというよりは成り行きの関係で、四股がバレてもヒロインが折れて修羅場にならないため、完全にタイトル詐欺である。

春の訪れとともに始まったのは、余計なものを加えて台無しになった作品群による波状攻撃であった。

先陣を切った『星彩のレゾナンス』は特定ルートに限れば名作百合ゲーと評されたが、別ルートに入ると急に頭の悪い文章に変わる点や、ハメ技を使い続ければ必勝だが使わなければ必敗とバランスが大味すぎるアクション要素が批判された。
次に発車した『淫獄痴漢列車』は、メーカー同士のコラボ作品でありながら根幹の設定が他社の丸パクリで、つまらないミニゲームやターゲットの中に女装した男が密かに紛れているなどの独自要素も誰得であった。
両作とも再プレイ時にはアクション部分をスキップできるため、一段と蛇足感が増す。

この流れに乗じ、春の陽気にくつろぐスレ住人達を狩ろうとする亞人が現れた。
Softhouse-sealの『エルフと淫辱の森』である。
まともなCGにゲーム性ならぬ芸無性を付加するクソゲーマイスターとして名を馳せたsealの登場に、スレには恐怖が広がった。
肝心の内容は、端的に言えば「簡素化したくのいち」である。
防御が無くなるなど自機のアクションは半減、被弾後の無敵時間がやたらと長いお陰でボスも連打で圧勝と相変わらずゲーム性は皆無に近い。
また画面手前に配置された木や草がせっかくのミニアニメを隠してしまったり、陵辱イベントが敗北時ではなくステージ開始前に強制発生するなど、どこか的外れな印象も否めない。
とはいえ、エロCGやミニアニメ含む回想モードなど最低限あるべきものは備わったため、最終的には「いつものseal」の一言で片付けられた。

ならば真のアクションを見せてやると出撃したのが、FULLTIMEの3DガンSTG『UNDEROID -アンダロイド-』だ。
本作はゲームとして破綻をきたしてはいないものの、細かいツッコミどころが満載された「遊べてしまうクソゲー」であった。
ジャンプはできるが飛び越える物体が無く、雑魚が猪武者ばかりで対処法が各個撃破一択だったりと、せっかく豊富なアクションの多くに使い所がない。
被弾による脱衣もあるがバランスが悪く、休憩を挟まないと全裸どころか上着が脱げるより先に命が尽きる。
CG方面では、ヒロインの口元が今にも光線を吐きそうに怪しく光り、髪・怪物の長い舌・チ○コモザイク・その他諸々は胴体を貫通し、足を挫くと股関節はバルーンアート並に捻れる。
ほかにも説明不足に伏線放置・会話はテンポもセンスも悪いが読み飛ばし不可・テキストとCGの不整合・強烈な違和感を覚えるリピート映像など、気になり始めると止まらない。
個々のクソ要素はスライム級でも、合体すればキングを目指せることを本作は示してくれた。

5月生まれの作品からは、2本が舞台へと上がって来た。

1本目は、『ひよこストライク!』等で一定のファン層を獲得していたEx-iTからの意外なエントリーとなった『逃避行GAME』(通称『逃避行』)だ。
のっけからマスターアップ宣言の後に延期というチョンボをやらかし、掴みはバッチリである。
起動と同時にプレイヤーを出向かえるのは、このご時世に「START」「LOAD」「END」の3種というファミコン並みの項目数を誇るタイトル画面。
前作から大幅劣化しているばかりかオプションすらなく、いきなりの惨状にプレイヤーの方が現実逃避したい気分になる。
シナリオも避けては通れぬ重要な部分がスッポリ抜けている為、話を削ったのでは?と邪推してしまう。
しかし本作のポテンシャルの源はなんといってもバグである。
一部ボイスが流れない・背景の暗転といった軽微なものから、特定のルートに入れないという致命的なものまでボロボロ出てくる始末であった。
特に話題となったのは名前が「???」のキャラのボイスが全て「イラッシャイマセー」という謎の女性の声に置き換わってしまうイラッシャイマセーバグだ。
モブが「イラッシャイマセー」の応酬だけで会話。
テキストは「ありがとうございました」なのに音声は「イラッシャイマセー」
身の丈2m超の殺し屋があらゆる意志を「イラッシャイマセー」で表現しているとき、地の文で「互いに互いの言葉を押し付けているだけ。これは会話ではなかった。」と真理が示される。
など、デバッグ能力皆無の烙印と引き換えに笑いの死に花を咲かせる悲壮な自爆技に、住人達は喝采を惜しまなかった。
「イラッシャイマセー」は「ずっぷ」と並ぶ流行語として定着し本作の代名詞になっただけでなく、ようかんマンを改変したAAまで生まれて親しまれた。
また予約特典はHシーンをヒロイン視点で見られるものだが、本作には回想モードが無いため決して見ることが出来ない無用の長物と化している。
特典の不具合を理由に発売を延期したのは一体何だったのか。
その後もパッチ配布の告知と延期を何度も繰り返した末、ようやく改善されたときには発売から2ヶ月が経過していた。
一連の騒動はメーカーのリアル逃避行が疑われるまでに発展し、今後に大きな不安の影がよぎるのであった。

2本目はShelfが放った『Qualiaffordance-クオリアフォーダンス-』(通称『クオリア』)だ。
本作はフルアニメーションの学園ADVが謳い文句だが、そこから膨らむ期待と実際の内容は大きくかけ離れている。
Win98時代を思い起こさせる異様に古臭いシステムは軽い先制パンチにすぎない。
全編アニメーションがウリのはずが、大部分は立ち絵や一枚絵にループやスライドといった単調な動きが加わっているだけであり、普通のADVと大差ない。
その動きも、笑顔でひとりマカンコウサッポウを繰り返すなどお粗末で、臨場感よりも違和感の方がはるかに強い。
エロ方面では単調なループが有効に作用するかと思えば、Hシーンはほかと違って1シーンがまるごと1本の動画として埋め込まれており、等速で前戯から通して見るか全部スキップして終了するかの2択。
早送りやブックマーク再生などできるわけもなく、不便さに加えて作画崩壊や低画質との相乗効果であまりにも使いにくい。
シナリオは超展開とご都合主義のオンパレードだ。
一見ありふれた学園萌えゲーだが、個別ルートではヒロインの化けの皮が剥がれて裏の顔が判明。
主人公はそれをあっさり受け入れ、悪の組織相手に中二妄想級のトンデモ大活劇が始まってしまう。
世話焼き幼なじみは、友人の仇を探すため売春斡旋をしているスーパーハッカー。主人公はヒロインのナビで敵アジトへの単独潜入作戦を敢行する。
小動物系ロリは金で暗殺を請け負う凄腕のスナイパー。主人公は何の訓練も経ず学生から暗殺者へと華麗な転身を果たす。
高飛車巨乳は悪徳宗教団体の傀儡教祖。主人公は教祖の右腕となって敵対する幹部を排除し、内部からの組織改革を成し遂げる。
主人公の持つ超能力は目の前のピンチに対応して都合よく進化するため、この程度の芸当は朝飯前である。
唯一化けの皮をかぶっていない義妹ルートに救いを求めても、待っているのは正気を失った姉が義妹をいじめ殺しにかかる鬱展開。最後は姉がトラックに轢かれ物理的に排除されてグッドエンドだ。
このように本作はシナリオ・システム・エロのすべてが低質だが、もはや笑うしかないところまで突き抜けているためある意味では長所であり、ツッコミ練習用教材としても非常に有用と言える。

次に放たれたのはブランドの個性を過剰に発揮した問題作、ニトロプラスの『君と彼女と彼女の恋。』である。
ストレス要因を多く抱えており、ゲームの強制終了、セーブデータの消去、一部でセーブ・ロード不可、ランダムQ&Aを全問正解するまで無限ループ、特定ルートに入れなくなる、回想モードの部分消去、純愛を謳いながらNTR、と種類も豊富だ。
しかしこれらは意図的な演出であり、そうまでして強いメッセージ性が込められた内容を絶賛する声もあった。
あまりにクセが強いため賛否両論が激しく噴出した、クソゲーならぬ「くさやゲー」とでも呼ぶべきか。

夏の盛りには、高らかに鳴り響く行進曲の調べに合わせて声なき雌獅子が盛り始めた。
MBS Truth -Cherish Pink-の『クラス全員マヂでゆり?!~私達のレズおっぱいは貴女のモノ・女子全員潮吹き計画~』(通称『マヂゆり』)は、タイトルから察せられる通り、おバカなノリの百合抜きゲーである。
希少な百合ハーレムものとして秀でたところもあるが、ボイス量に問題を有していた。
百合ゲーの女性主人公にボイスがないだけでも不満点としては充分である。
さらに主人公にはTPOをわきまえずディープな妄想をする癖があり、そのせいでヒロイン達のボイス量まで圧迫されるに至っては完全に行きすぎだ。
日常シーンでは、主人公が隠密変態単独行で覗き・盗撮・服泥棒を楽しむだけで会話が全く無い場面が目につく。
あろうことかHシーンにおいても傾向は変わらない。
主人公が「雌ライオン」と呼ぶ己のリビドーを荒ぶらせ、時には数十クリックもの間ヒロインにしゃべる暇を与えないエロ妄想とマシンガントークを炸裂させるのだ。妙に壮大で軽快なBGMと組み合わさり、雰囲気はぶち壊しである。
度々挿入される無音声幕間劇など、ボイスの少なさを工夫で補う努力の跡は見られるものの、皮肉にもそれが喋らない印象を強めてしまった。
余談ではあるが、誤クリックしやすい位置にある「NEXT」機能は、未読であっても次の選択肢まで強制スキップしゲーム終了以外に中断方法がない。この百合ゲーにあるまじき漢仕様も批判の対象となった。

夏の終わりから冬にかけては、数々の有名ブランドが意表をついて大攻勢に転じた。
信頼と実績を金に変える現代の錬金術士達がばら撒いた大型地雷群は、哀れな爆死者の数を急激に増やしていくことになる。

Lassの『少女神域∽少女天獄』は鬱グロ異能系の作風を匂わせていたのに反し、延々続く観光案内と料理談義がシナリオの大半を占めていた。
終盤で待望の鬱グロ展開に入ったら入ったで、登場人物の無駄な多さや難読漢字の濫用に困惑されられ、何もわからないままエンディングを迎えてしまう。
しかもシナリオ構成はいわゆる金太郎飴で、どのルートでもヒロインがすげ変わるだけで展開は代わり映えせず、行き着く先はすべて鬱エンド。
事ここに至って、冗長な日常描写やそこに頻出する強調記号と選択肢には実は何の意味もなく、謎に対してヒントすらろくに与えないままの投げ出しフィナーレであることをプレイヤーは知るのである。
もはや完全にライターのオ○ニーであり、買取価格が一時100円にまで下落した事実が本作の価値をよく表していると言えよう。

実りの秋には9月27日発売の3作品が相次いでKOTYeの門を叩き、盛大な収穫祭が催された。

先鋒としてエントリーの儀式を始めたのはSAGA PLANETSの『カルマルカ*サークル』だ。
あらすじは、「魔可」と呼ばれる七つの大罪になぞらえた能力を持つ主人公とヒロインが、過去や未来を改変できる超常存在「カルマルカ」との接触を目指すというものだ。
体験版の巧みな引きも併せてシリアスな展開が期待されていたのとは裏腹に、その実態は矛盾まみれの電波シナリオであった。
主人公は憤怒の魔可を持っており怒った時のみ超人的な身体能力を発揮するはずが、特に怒っていないときでも石をやすやすと圧砕する。
カルマルカに並々ならぬ興味を示していたはずのヒロインも、別のルートでは「ぶっちゃけカルマルカなんかどうでもよくね?」と根幹の設定を一蹴する始末。
魔可の設定もルートによっては自然消滅し、代わりに新設定が追加されて超展開が繰り広げられる。
特に、追手から自分を逃がすために瀕死の重傷を負った主人公に対し、ヒロインが永遠の愛を誓いつつ置き去りにして去る場面は、プレイヤーにシュールな苦笑いを提供した。
このように、本作のシナリオは支離滅裂な設定・説明不足・ご都合主義の合わせ技で不整合の嵐となっており、ライターを7人も揃えた人海戦術の弊害が際立っている。
選評者からは「笑い所のないチャージマン研!」と斬って捨てられ、購入者からは「個別ルートはTRUEルートと違いすぎるのでスキップで無視した方が良い」とまで言われており、散々も散々である。
なお、主人公ではなくプレイヤーが憤怒の魔可にとらわれそうなのをよそに、本作の公式ジャンルは「ハッピー&スマイルADV」であった。

このギャップが受けてハッピー&スマイルマンなるAAが誕生し、いきり立つ住人たちに癒やしを与える役割を担ってゆくのであった。

中継ぎを務めた『ノブレスオブルージュ』は、女装+双子入れ替わりがテーマにもかかわらず、エロシーンで主人公をのっぺらぼうにして女装ものの強みを自ら捨てている。
さらに、ヒロインに惚れた途端に主人公が後先考えず正体をばらして公認カップルになるなど、入れ替わりものの仁義もわきまえていない。
シチュエーションの不文律を理解せずに既存品の上っ面をなぞっているだけでは、クソゲーとの誹りを免れまい。

収穫祭のトリを飾ったのは戯画の『バルドスカイゼロ』である。
良く練られたシナリオと爽快感あるアクションが人気を博しているバルドは戯画の看板シリーズで、中でも高い評価を得た『バルドスカイ』の前日譚である本作は大いに期待を集めていた。
と同時に、半年にも及ぶ延期や製作陣の一新という戯画マイン警告信号もまた発されていたのである。
期待が勝り、警告を黙殺して購入に踏み切ったユーザーを待っていたのは、爆死体となる運命であった。
まず事前情報でも新要素満載を謳っていたアクションパートだが、コンボの概念が消滅・武装が減少・ラスボスさえゴリ押しで秒殺・理不尽すぎる即死級の不意打ちなど、進化どころかどこもかしこも退化している。
一方で、シナリオも本作が忌避されることとなった大きな要因だ。
出来の悪いラノベの様に冗長で意味もない会話、伏線は投げっぱなし、そして前日譚なのにバルドスカイにどう考えても話が繋がらない。
主人公は常に高圧的で常識や良心を感じさせない言動をとり、そこに深い理由付けもないため単なる不快な人物になってしまっている。
さらに前作主人公に関しては、「強いが馬鹿」扱いで大量殺人犯という設定まで追加された上、恋人の悲惨な死に様を皮肉たっぷりに掘り返されるといった胸糞悪い描写の大盤振る舞いである。
この段階で既にバルドシリーズが積み上げてきた信頼はゼロにまで堕ちていたが、ダメ押しとして続編の制作を発表。
単体で完結しているかのように匂わせておいて事実上の分割商法という仕打ちには、住人も怒りを通り越して呆れ返るばかりであった。
単品としても大概だが、前作への思い入れが強いほどハリウッド映画版ドラゴンボールのようなコレジャナイ感がいや増す本作は、ファン殲滅用の指向性戯画マインとして猛威を振るったのである。

時は流れてクリスマス・イブ、ある程度の落ち着きを見せていたスレに心優しいサンタクロースが選評を届けにやってきた。
11月末に発売されていたALcotハニカムの『赤さんと吸血鬼。』である。
本作は好きになる過程の薄っぺらさとダイジェスト並みのぶつ切り展開を兼ね備え、全てが唐突なキングクリムゾンシミュレータと化してしまった。
次々と脈絡なく股を開いていくヒロイン達と日常シーンの合間に突然おっぱじめる構成は、「Hシーンによる奇襲」と評されている。
肝試しの相手を選んだ瞬間に表示されるHCGや、「夜の寮で委員長と停電ハプニング中に、突如昼の学園屋上にワープしたと思ったら、仲良くなった覚えのないメイドが尻を突き出してくぱぁ」という大転換を3クリックの間にやってのける「停電くぱぁ」はその代表例だ。
グラフィック・設定・システム周りは時代相応以上の出来であっただけに、シナリオのせいでまとめて台無しになってしまったことが悔やまれる一作であった。

違う意味で有名なブランド、スワン系列の黒鳥から発売されたのが『雨音スイッチ~やまない雨と病んだ彼女そして俺~』だ。
副題からヤンデレものと勘違いしそうになるが、本作にデレはなく、ヒロインは徹頭徹尾病みオンリーの狂人である。
主人公の母の葬式にウェディングドレス姿で乱入し、遺影にブーケトスして結婚式の開始を宣言するシーンは本作が抱える狂気をよく表している。
そして狂っているのはヒロインだけにとどまらず、グラフィックや演出にまで及ぶ。
気合が入った絵は極一部で、全体として見ると明らかにデッサンの狂った立ち絵や異様に画力が低いCGが並ぶ典型的なパッケージ詐欺。
アニメーションの演出も、Hシーンを差し置いて首絞めだのリストカットだの誰が見たいのか分からない部分に採用しており、何を思ったのか回想まで可能だ。
メンヘラものとしてオンリーワンの存在感を持っているものの、とてもフルプライス作品とは思えないチープさまで備えていてはクソゲー扱いも致し方ない。
さらに多方面狂気仕様は限度を超えてギャグの域に到達しており、本作は文句なくKOTYeへの参戦資格を得たのであった。

こうして本格的な冬に差し掛かる頃には数々のクソゲーが揃い踏みしたが、スレには漠然とした不作感が蔓延していた。
金城鉄壁の門番『ずっぷ』に比肩しうるクソゲーの不在がその一因であろう。
しかし、安々と奈落へのポールトゥウィンを許すほど修羅の国は甘くない。
1年を通して新鮮な怪物や魔物が湧いて出る暗黒大陸においても、格別に瘴気の濃い逢魔が刻はこれからやって来るのだから。

そして、やはり年末の魔物は現れた。

その魔物とは、ド年末の瘴気を浴びて深化を遂げたEx-iTから孵化した『雛といっしょ』(通称『雛遺書』)である。
2012年初頭の発表からおよそ2年をかけ、前々作から数えて3作連続マスターアップ後に延期という前人未到の離れ業を経て世に出た本作。
発売前から嫌な予感は渦巻いていたが、はたしてそれは現実となった。
まず目に入るのはくたくたの梱包で、詫び状を入れるために一度開封して手作業で再梱包したのが原因だ。
そしてその詫び状には、不具合によりパッチを当てるまでゲームが進行できない旨が記載されていたのである。
実際の内容は、10分足らずでプロローグが終わるとルート分岐の選択肢が表示され、どれを選んでも直後にエラーで強制終了。以上だ。
完全な欠陥品と知りながらの発売強行に「新たな伝説の誕生か!?」とスレは一時騒然。
体験版未満の情報量で内容がほとんど不明なことから「シュレディンガーのエロゲー」「パンドラの箱」など様々な異名が付けられ、「ゲー無」にもなっていない「 ー 」だと恐れられた。
メーカー対応は「電気街祭りを優先」「原因がわからない」「ミラーサイトの担当者が不在」といった小学生並みの釈明とパッチの公開延期を繰り返すお粗末さで、かえって火に油を注ぐ結果となる。
七転八倒の末に配布されたパッチによって確認可能となった中身は「ミドルプライスのファンディスクとしては非常に薄い」の一言だったが、破綻やネタ性も無かったためにようやく騒ぎは収まった。
また、バグを装った未完成隠しの疑惑があることも無視できない。
というのも、パッチのデータを解析するとシナリオ・イベントCG・スタッフロールの画像まで出てくるのである。
プロローグだけを完成品の価格で販売しておいて、修正・お詫びパッチと称してパーツを継ぎ足していく新手の未完成商法と疑われるのも仕方あるまい。
延期に延期を重ねて年内ギリギリに強行発売し、完成度が低いを通り越して進行不能という典型的な年末の風情が感じられる本作は、まさしく血統書付きの魔物であった。
プレイできないという単純明快なクソ要素と事前事後の経緯により、修羅の国の非情な現実と業の深さを再認識させた負の功績は計り知れない。

雛遺書騒動が落ち着く頃には年も明けており、住人達が気を緩めていた矢先に未曾有の波乱が待ち受けていた。
年末の魔物を踏み台にして成り上がらんとばかりに、息を潜めて機をうかがっていたクソゲー共が一斉蜂起したのである。
その中には、かつての王や遅れてきた怪物の姿もあった。
年末ですら、始まりにすぎなかったのだ。
例年なら予備期間でしかない1月はまさかの主戦場となり、時間の壁を超えた最終戦争が勃発するのであった。

1月6日に現れた一番手が、夏にOne-upから発売されていた『聖ブリュンヒルデ学園少女騎士団と純白のパンティ ~甲冑お嬢様の絶頂おもらし~』(通称『ブリュパン』)である。
『マヂゆり』の姉妹作にあたる本作は問題点もほぼ同じで、ヒロインの反応に単発の「!?」や「……」を多用する新機軸のボイス抑制技を引っさげて参戦。
全社的なコスト削減意識の高さを存分に知らしめただけでなく、フルプライスのくせに主題歌が無い・立ち絵も基本1種類・タイトルの「おもらし」「純白パンティ」といった要素も適当な扱い、と可能な限りの手抜きまでもが際立っていた。

5日後には、GLaceが年末ギリギリに送り出していた『Timepiece Ensemble』が少々遅れてやって来た。
シナリオは、ほとんど一つの教室内で単調な話が延々続く罰ゲーム、のち時々超展開。
タイトル画面が無い演出や過去作からの謎キャラ続投も、不便さやモヤッと感が先に立っては制作者の自己満足だ。
またテキスト・立ち絵・一枚絵の間に不整合が多く、時には同じ場面で衣装が瞬時に切り替わるゲリラ手品まで見られる。
納期に追われ突貫作業ででっち上げた、年末産特有の異臭が香り立つ完成度であった。

選評ラッシュはまだまだ続く。
その中でひときわ異彩を放ったのが、あのアーベルの姉妹ブランドRed Labelの『JK辱処女~純粋な心の持ち主ほど処女を好むという法則~』(通称『枝豆』)だ。
2011年の大賞獲得を最後に姿を消していた古豪が帰ってきたのである。
起動するとロゴ表示よりも早くヒロインの嬌声が響き、本編では主人公と出会う場面よりも前に2人のエロシーンが存在するなど、冒頭から時系列がおかしい。
また主人公はJKを孕ませ実娘もいずれ犯そうとする不純な人物であり、「純粋な変態」とでも解釈しなければ副題と完全に矛盾する有様である。
CG差分の少なさは相変わらずで、文章と画像の乖離が激しい。
テキストでは徐々に脱がせていく場面でも、画面には半裸で横たわり微動だにしないヒロインが表示され続けるのみ。場面転換すら把握できないときもある。
そんな中で豊富な差分が用意され好待遇なのが、なぜか「枝豆」なのである。
クリ○リスの隠喩としてエロシーンの真っ最中にでかでかと表示される形で登場。その後も色を変えたり、腕の代わりに注射されたり、主人公のイチモツ代わりに汁気を帯びたりと、異次元のセンスをたぎらせ活躍の場を広げていくのだ。
ひと目で脳裏に焼き付くシュールな絵面のインパクトは絶大で、枝豆は瞬く間に本作そのものの象徴として認識された。
矛盾系AAを元に作られた枝豆AAが少しも矛盾していないことが、本作における枝豆の万能性を表している。
かつて糞システムとアペンド商法で苦痛を振りまいた悪逆非道の王は、あさっての方向に全力で突き抜けて笑いをもたらす新たな一面を見せてくれたのだった。

翌日には『妹*シスター -My sister-』もエントリーを果たす。
本作は公式サイトの日本語が不自由すぎて、発売前からスレで注目を集めていた。
「主人公の部室」や「いい肉な妹日」を筆頭に、あらすじやキャラ紹介までエキサイト翻訳以下の怪しい言い回しで記されているのである。
本編はというと、妹押しなタイトルにも関わらず義妹を実の妹と詐称して実妹好きを怒らせ、ほかのヒロイン達は妹要素が無いに等しい。
ただHシーンはなかなかの出来であり、多少の誤植こそあれシナリオに破綻は見られないため、色々な意味でガッカリゲーに近いと言える。

そして終盤には3Dゲー三連星が示し合わせたように相次いで登場。
華麗に3者凡退を決め、3Dエロゲーは鬼門であることをまざまざと見せつけた。

『プレミアムプレイ ~ダークネス~』はキャラのカスタマイズ性こそ評価されたが、それ以外は総崩れだった。
ストーリーは睡眠導入剤代わりに使えそうなほど退屈で、全9パターンの内容が酷似しているため冗長さも9倍である。
Hフリーモードは「アアッアッアッアッあっははおもしれーなー」「おほぉおおおぉイイノッモノスゴクタノシーワー」など、繋ぎ・抑揚・内容のトリプル違和感ボイスが10秒足らずでループするマインドブラスト仕様だ。

『3D少女カスタムエボリューション』は2008年に発売された『3Dカスタム少女』の後継作だが、前作の命綱であった有志による豊富な独自開発データが一切流用できない。
そのくせ、追加されたのは劣悪な操作性でゴーストタウンを彷徨う箱庭要素のみ。
ピストン毎にボイスがリピート再生されて「気持ちいい」が「キモッキモッキモッキモッ」になる笑いどころも修正された今となっては、前作の純劣化版と言っても過言ではない。

『いたずら学園』は、リアルタイム痴漢シミュレーターを謳っていながら痴漢要素ゼロ。
モブがいてもお互いに無視を決め込み、電車・バスや教室など場所がどこだろうと隠す気のない堂々たる性行為を痴漢とは呼ぶまい。
ほかにも、ランダムすぎて支離滅裂な会話、寝ているヒロインによる睡姦ならぬ夢遊病ご奉仕、車窓の風景が書割、絶頂時にヒロインの頭が消えるバグで畳み掛けてプレイヤーを困惑させ、まともなのは制服カスタムのみである。

こうした激しい闘争の真っ最中に、7月の発売以来眠り続けていた不発弾が発掘されていた。
ミルクプリンの『明日もこの部室(へや)で会いましょう』(通称『部室』)である。
公式サイトのブランド名ミスや少なすぎるサンプル、そして「発売予定」のままの告知からはやる気の無さが漂っており、ネット上に1件も感想が見つからなかったマイナーぶりも頷ける。
しかし気まぐれに爆破処理が行われた結果、夏の怪物どころかゾンビウイルスを内包した未知の細菌兵器だと発覚する。
第一報の着弾後まもなくパンデミックが発生しスレが狂騒の坩堝と化していく中、緊急出動した対策班によって解明された全容は想像を絶していた。
キャプションにいきなりの誤植、クイックセーブ&ロードやバックログの一括表示さえ出来ない化石UI、Hシーン後もこだまするBGV、Hシーンまで侵食する寒いパロネタとメタ発言、不安すら覚えるほど逆三な立ち絵、全商品エロゲにしか見えないカメラ屋の背景など、粗は探すまでもなく目立つ。
また公式サイトに記載の人物設定は本編との食い違いが激しく、主人公名からして間違っている。
有志が該当箇所を塗りつぶすと、KGBに検閲削除されたかの如く真っ黒になったほどだ。
だが、ここまでが余興に思えるほど、真の問題はシナリオに集約されている。
本作のあらすじは「廃部寸前の写真部を存続させるため、主人公がヒロインをモデルにした写真で実績作りを目指す」とごく普通で、進め方も毎日誰と行動するかを選び続けるだけのオーソドックスなものである。
ここまではいい。では何が問題なのか?
まず9割以上が共通ルートで、その大半が意味のない雑談とカメラの雑学で占められているため非常に退屈。
ドラマ性があるとすれば、女性が苦手なはずの主人公が女子部員たちとあっさり打ち解け、学園内でエロ妄想を声に出して垂れ流せるまでに成長するところくらいか。
しかもセオリー通りに目当てのヒロインを選び続けると、土壇場でモデルの依頼を一笑に付されてバッドエンドへ直行する。
見ただけで個別ルートフラグが折れる罠イベントが隠されているからだ。
内容はヒロインがモブ男と一緒にいるのを遠くから目撃するだけで、発生した後も展開に変化はなく、表向きは引き続きヒロインとの親睦を深めていける。
これでは回避必須のイベントだとわかるはずもない。
そしてバッドエンドで主人公は碌な写真を撮れないまま卒業を迎えるが、それでも写真部は存続するのである。失意の主人公が衝動的に身投げするのも無理からぬことであろう。
悪質な罠を打開するまでは何度でも繰り返されることも含め、プレイヤーの心に理不尽の3文字を刻みつけた。
この段階で体調を崩すほどクソであるが、個別ルートは全体の1割にも満たないながら更なる魔窟であった。
構成は単なるHシーンの詰め合わせであり、それが済めばいきなり数年後に飛んでエンディングとなる。
主人公の写真やその成果には最後まで一切触れられず、部の存続が一部の後日談でかろうじて確認できるのみ。穴だらけの風呂敷は、畳まれないまま放置されてしまうのだ。
代わりに主人公の成長物語の続きが描かれており、ついには裸族のDNAを覚醒させて解脱に至る。
幼馴染ルートでは自室で服を着ない掟を公布して「ある意味DV」と呆れられ、メインヒロインルートでは2人して山奥の洋館での隠遁生活を始め、常に全裸でSEX三昧の日々を送るのである。
すでにプレイヤーを置き去りにする瞬発力を発揮しているが、後者のルートはさらに予測不能な次元に飛び立ってしまう。
引きこもっている間に細菌テロが発生し、街がラクーンシティ状態に陥っていることがさらっと明かされるのだ。もちろん前振りは何も無い。
そして、それでもなぜか招待状が届いた学園祭に参加するべく街へ出ようとする場面で、
「――果たして、無事に明日、部室で会えるかどうかは、誰にも分からない」
と、無理やりタイトルに繋げる圧倒的な力技によって本作は幕を下ろすのである。
この「裸族ニートからのバイオハザードエンド」は常人の理解力ヒューズを一発で飛ばし、初見の誰もが茫然自失となった。
果ては、主人公名前の変更時に規制を超えて255バイト分まで入力できるバグが発見される。
主人公名を長くすれば本来の台詞を次頁に追いやれる特徴は住人達の格好の玩具となり、独自の台詞や『ずっぷ』と『イラッシャイマセー』のAAをメッセージウィンドウに再現することすら可能にした。
作成されたネタ画像は電波シナリオに頭を抱えていた住人達を熱狂とともに癒やし、凶悪な兵器による脅威を払拭せしめたのである。

以上、主要なエントリー作品の紹介を終えたところで2013年の結果発表に移ろう。
次点は、
『リア充爆発しろ! ~変身能力手に入れたんだけど質問ある?~』
『Qualiaffordance-クオリアフォーダンス-』
『逃避行GAME』
『雛といっしょ』
そして大賞は、
『明日もこの部室(へや)で会いましょう』
とする。

2013年のKOTYeは12の月からクソゲーが名乗りを上げ、全月制覇が達成されたほどの大豊作となった。個性に富んだ骨太なクソゲーが跋扈し、群雄割拠の様相を呈したのである。

クソ要素の特徴としては「手抜き」と「破綻したシナリオ」が主流であった。
まず「手抜き」だが、大手で無い限り潤沢な資金があることは珍しいエロゲー業界では、コストの問題で制作に支障をきたすことは日常茶飯事であろう。
だからといって品質が著しく低くては元も子もなく、手抜きと呼ばれるのも致し方ない。
続いて「破綻したシナリオ」だが、エロゲーは基本的に読み物であり、当然ながらシナリオの重要性は大きなウェイトを占めている。
好みの問題もあるとはいえ、それ以前に設定矛盾や超展開のように物書きの基本的なタブーすら破り放題では、読み物として失格である。
こうした粗製濫造の結果、面白みのないクソゲーが数多く排出されてしまった。
ゆえに、その暗い雰囲気を一撃で吹き飛ばす「笑い」を生み出すクソゲーがひときわ珍重され、歓喜をもって迎えられたのも今年の特徴である。

大賞・次点は、KOTYeの基本理念を前提に、こうした傾向も考慮して選出した。
『クオリア』は、低品質さを維持しながらの超展開シナリオが痛面白さに昇華された、バランス型で堅実なクソゲー優等生として。
『逃避行』は、詰めの甘さが神様の気まぐれで奇跡的に笑いへと転じた幸運の象徴として。
『雛遺書』は、内容以前に遊べる状態まで完成させない手抜きの極致と、業界のシビアな現実を端的に示す好例として。
それぞれ次点に名を連ねるに値する個性と資格を備えている。
ただし今年の次点争いは熾烈であり、評価基準の匙加減がわずかに変わっただけでも勝敗が入れ替わる大混戦であったことを改めて強調しておきたい。

だがこの戦いは、いわば審査員特別賞争いにすぎなかった。
次点のうち1つと大賞は満場一致で早々に確定していたからだ。
『部室』と『ずっぷ』がほかを完全に凌駕していることは、確かな実感として住人達の胸に刻まれていたのである。
両作がものの見事にスレの本旨に沿っていることが最大の理由であった。
まず「その年でいちばんクソだったエロゲーを決める祭典」であるからには、絶対的な品質の低さが最重要視される。
その点、両作はエロゲーの中核であるシナリオとエロに単調・薄い・電波の大三元を抱えており、バグやメーカー対応の悪さといったドラに頼らずとも、クソゲーとしての基本点は確固として高く揺るぎない。
さらにそれらが1周して笑いに繋がってるだけでなく、常套句の汎用性や名前バグの応用力の高さは、住人によって活用されてさらなる笑いへと進化した。
もうひとつの趣旨である「クソゲーを掴んでしまった怒りや哀しみを笑いへと昇華する」にも合致しているのだ。
今年の特徴として挙げた、手抜き・破綻したシナリオ・笑いの3要素もすべて高水準で満たしている。
ただし、類似点の多い両作は一部で方向性を異にしていた。
『ずっぷ』は薄さと単調さを中核に据えており、比較的小さく収束してしまった印象は拭い切れない。
対して『部室』は理不尽・物語の放棄・化石UI・誤植・設定詐欺まで追加で備えているだけでなく、ネタツールとしての自由度も高く、クソさと笑いの大パノラマを内包している。
この「クソゲーとしての雄大さ」が、両雄の勝敗を決定づけた。
おまけに名も無き修羅の立場で歴代の王者達を圧倒したことで、修羅の国の底知れなさをも示してみせたのである。
以上を鑑み、2013年KOTYeの大賞は『明日もこの部室(へや)で会いましょう』とする。

前年王者の君臨、新勢力の台頭、古豪復権の兆し、そして大賞をさらっていったダークホース。
今年もまた、入れ替わりが激しく先の見えない大荒れの1年となった。
歴戦のシットメーカー達はすでに次弾の発射に向けて動き始めており、激動の時代が続くことを予感させている。
ただでさえ、クソゲーを批評するからには否定的な論調になるのは必然であり、やむをえない。
しかし、だからこそ笑いに繋げることが理念とされているのだ。
この姿勢は、徹底的な検証が難しいエロゲでクソさ競争に特化するリスクへの対応でもある。
クソゲーカーストで最上位ではなくとも、笑いに昇華できそうな作品は積極的に歓迎して話題にする。本家とは異なる路線だが、こうした独自の柔軟性が生み出すエンターテイメントによって、負の感情を払拭せんとすることもまた、ネタスレとしての健全な在り方であろう。
「ネタスレだから」を免罪符に気に入らないものを罵倒するだけでは、否定自体が目的となって公開処刑ごっこに堕しかねない。
無と負がはびこる不毛のクソゲーにさえ、見た者に興味をも覚えさせる笑いを花開かせて「ネタスレだから」と胸を張る。KOTYeはそんな紳士の集う社交場であり続けたい。

最後に、クソゲーを掴んだ怒りや哀しみにとらわれたとき思い出してほしい言葉を、KOTYe2013の結びとして贈る。

「――果たして、無事に明日、クソゲーに克てるかどうかは、誰にも分からない。
 それなら、この場所(スレ)で会いましょう。」