2013年度 総評案6修正版

2013年総評案6 大賞:明日もこの部室(へや)で会いましょう

「くのいち」と「SEX戦争」――時代が違えばどちらも大賞に輝いたであろう2者の熾烈な戦いは、「SEX戦争」が辛くも勝利を収めた。
当然議論は紛糾し、あらゆる角度からの検証・比較が行われ、とうとう「クソゲーオブザイヤー」というスレの在り方にまで矛先が及ぶこととなった。
2年連続で大賞選出に難航し、その間にもクソゲーが襲来するというマストダイモードさながらの猛襲に、スレ住人も息絶え絶えであった。
今年もまた、新たな戦場がやってくる。
敵はインパクトとネタ要素に溢れた笑えるクソゲーか、はたまた苦痛を追求した負のクソゲーか。
尽きることのない戦いに休むことは許されない。そこにクソゲーがある限り。

総評案すらも出揃わぬ1月、待ちきれぬとばかりに1番手が姿を現した。
2012年覇者「SEX戦争」擁するスワンアイが、いち早く刺客を送り込んできたのだ。
その名は「リア充爆発しろ! ~変身能力手に入れたんだけど質問ある?~ 」(通称「リア充」)。
ひょんなことから変身能力を手に入れた極度のコミュ障の主人公が、その能力を使って彼氏持ちの女たちを寝取っていく
というストーリーだが、能力を手に入れた経緯説明はわずか10クリック程度というダイジェストと呼ぶのもおこがましいやっつけ仕事ぶり。
かの有名クソゲーの冒頭を彷彿とさせる脈絡のなさに、既にこの時点で嫌な予感を禁じえない。
ストーリーの都合上ヒロイン達はみな彼氏持ちであるが、例によって全員処女である。
展開も急転直下で、能力を手に入れた後は流れ作業のごとくエロシーンへ突入、能力を使ってじっくり落とすという楽しみは存在しない。
ヒロインにいたずららしいことをするイベントはあるものの、「ハメ撮り写真に化けて脅迫するもののクラスメイトにバレ、何故かその後
ハメ撮り写真を自慢」等、またもやバカゲーを履き違えたような内容ばかりである。
こんな投げやりないきさつで無惨に処女を奪われたヒロインはというと、怒りも葛藤も自己嫌悪もなく、
今までのラブラブっぷりが嘘であるかのようにあっさりとコミュ障主人公に鞍替え、その後は適当にエロを繰り返し、
気がつくとエンディングを迎えている。
せめてエロがよければ…そんな一縷の望みすらも当然あっさりとひねり潰される。
ろくな前置きもなしに唐突にエロシーンに切り替わり、終わるとすぐまた別のエロシーンに飛ぶという節操のなさで、
わずか10分程度で3つのものエロシーンがワゴンセールのごとく投売りされる。
内容は20クリック程度で終わるという薄さだけに飽き足らず、テキストにコピペの痕跡が随所に見られるというお粗末さで、
どのヒロインとHしても「ずっぷ!ずっぷ!ずっぷ!ずっぷ!」「ああ…もう出そう」というくだりが何回もお目見えするため、
自家発電よりも先に賢者モードが捗ること請け合いである。
あまりの薄さとコピペぶりに、変身能力を手に入れた際の「そして…僕は変身能力を手に入れたのだった」とあわせて「3行でわかるリア充」などと揶揄され、
住人達に寵愛されることとなった。
ジャンル表記に「寝取り」の文字も見られるが、前述の要素に加えヒロインを寝取る際に変身するのはヒロインの彼氏であるため
実際のシーンは和姦と言って差し支えなく、寝取りの醍醐味は皆無であることも追記しておきたい。
そもそも主人公はこの能力でリア充撲滅に力を入れるはずだったのだが、童貞を喪失したらどうでもよくなったらしく、「リア充撲滅計画」とやらが
その後どうなったのかは知る由もない。
コンプまでに要する時間はわずか2時間足らず、もちろん価格は強気のフルプライスである。
おざなりな背景説明、矛盾する誰得の処女設定、起承転結の承転をかっ飛ばしたストーリー、つっ込み処満載で萎えるだけのエロシーン。
新年早々、「SEX戦争」で取り沙汰された問題点を改善するどころか焼き直して全部乗せしてくるという暴挙に出たスワンアイ。
爆発すべきなのはリア充ではなく製作陣であることは言うまでもない。

負けじと名乗りを上げたのが、プラリネの「モテすぎて修羅場なオレ」(通称「修羅場」)。
スタートの時点で4人のヒロイン全員と関係を持った状態で、どう考えても1本道にはならないであろう設定だが
四股デート後の選択肢でルート決定、そのままエンディングというまさかの1本道仕様。
選ばれなかったヒロインは、わずかに恨み言を口にするだけであっさりと身を引いてしまうため、タイトルにある修羅場は作品内のどこにも存在しない。
公式HPの修羅場体験FLASHの出来は秀逸で、どんなゲームかと期待してみれば、1本道で同時攻略もハーレムルートも未実装、
モテすぎてもいなければ修羅場もないという安定のタイトル詐欺で、何を売りにしたかったのかまったく伝わってこない順当なクソゲーであった。
ゲーム自体はやや控えめの感があるクソゲーだったが、この「ストーリーの中心設定らしいものを決めただけで後は投げっぱなし」というクソ要素は、
2013年KOTYeに暗く大きな影を落とすこととなる。

その後も、シナリオが勝手に削除・改悪されたことをライターが暴露した「星彩のレゾナンス」、「最終痴漢電車」をパクった挙句
ターゲットに女装少年を紛れ込ませた「淫獄痴漢列車」、冗長なシナリオの中に伏線と無意味な強調句を織り交ぜてすべてに蛍光マーカーを引いた
参考書を読まされているような錯覚に陥るシナリオに仕上げた結果、買い取り価格が缶コーヒー以下まで暴落した「少女神域∽少女天獄」などが続き、
月替わりで届けられる選評に誰もが胸の高鳴りを隠せなかった。

春も過ぎようとしている5月、Ex-iTの「逃避行GAME」(通称「逃避行」)がお目見えした。
タイトル画面は「START」「LOAD」「END」のみというシンプルさで、コンフィグやCG閲覧モード、シーン回想などは存在しない。
辛うじてコンフィグは本編から変更が可能だが、一体いつの時代のシステムなのかと小一時間問い詰めたいところである。
シナリオは伏線をろくに回収しておらず、元々あったシナリオを削ったのではないかと邪推したくなる放置ぶり。
本編もバグが多く、ボイスが再生されないことや突然の背景暗転程度は序の口で、特定ヒロインのルートへ進むための
選択肢が出現しないという進行に関わる致命的なバグも当然の如く実装。
そして本作がもっとも注目を集めたのが、発言者が「???」のキャラや「高校生」などのモブの場合、いかなるセリフであっても
女性の声で「いらっしゃいませー」と再生される音声バグである。
屈強な殺し屋も「いらっしゃいませー」と愛想よく挨拶し、モブ同士の会話となると「いらっしゃいませー」の応酬、
言葉が通じていないのに意思疎通はできているというシュールさが歴戦の猛者たちの腹筋を崩壊させた。
残念ながらこのバグはパッチにより修正されてしまったが、この昨今貴重な笑えるクソ要素はスレにとってさわやかな清涼剤となった。
しかし不具合は本編のみに飽き足らず特典にまで波及し、エロシーンをヒロインの一人称視点に切り替えることができるパッチが
回想モードがないために適応せず、特典ディスクは文字通りただのフリスビーと化した。
本作は予約特典ディスクの不具合を理由にマスターアップ後に延期しており、その結果がこれでは立つ瀬もない。
発売から2ヵ月後、修正パッチによりようやく日の目をみたものの公式はあくまで「不具合」と主張し、未完成であったことを認めてはいない。
かつては「ひよこストライク!」という佳作を生み出したメーカーであったが、今回の惨状にはファンも肩を落とし、
発売延期を重ねている「雛といっしょ」(「ひよこストライク!」のFD)に力を注いでいるのだろうと無理やり溜飲を下げざるを得なかった。
その儚い希望が無残に打ち砕かれることを知るのは、まだ先の話である。

百合の花が咲く初夏間近の6月、スレに禍々しい徒花が咲き誇った。
MBS Truth -Cherish Pink-に栽培されたその花の名は「クラス全員マヂでゆり?!~私達のレズおっぱいは貴女のモノ・女子全員潮吹き計画~」
(通称「マヂゆり」)。
端的に表現するなら「百合をテーマにした抜きゲー」だが、百合ゲーなのにも拘らず主人公にボイスが存在しない。
ひたすら主人公が独白を披露し喋り倒す一方でヒロインのセリフは極めて少なく、その数たるや20~30クリックにひとつあるかどうかという無口さで、
動作や様子までもが地の文で書かれるという徹底ぶり。
おそらくはボイスありのセリフを極限まで削って制作費を削減しようという意図なのだろうが、ヒロインが喋らないため、彼女達がどんなキャラなのかが
非常に掴みづらい。
公式HPを見ると個性豊かなヒロイン達が紹介されているが、前述の通りセリフが極少の上に描写そのものも少ないため、性格も設定も
シナリオにまったく生かされていない。
また何かが起こるたびに主人公かひたすら妄想という名の独白を繰り広げるため、会話のテンポが非常に悪い。
加えてテキスト自体が独特のテイストで、「ボクの中の雌ライオンが~」という意味不明かつくどいフレーズが何度もお目見えするため、
数多く見られる誤字脱字と相まってじわじわとストレスがたまっていく。
日常シーンでたびたび挿入される「ちびキャラフリートーク」ではヒロイン達がきゃっきゃとおしゃべりに興じてくれるが、ここでの彼女達には
ボイスが一切ないことを付け加えておこう。
肝心のエロシーンでもこの作風は健在で、打ち上げられたマグロのごとく反応の薄いヒロインを尻目に、主人公がひたすら喋り妄想と性欲を爆発させる。
せめて地の文で描写してくれていたならまだ救いもあったのだが、ライターが主人公の妄想だけで手一杯だったのか、ろくな描写がなされないのだから始末に終えない。
テックアーツ系列のお家芸であるフルアニメーションの出来がなまじ良いため余計に虚しさが募り、ここでもストレスがたまっていく。
さらにBGMがとてもエロシーンとそれとは思えないチョイスで、「馬に乗って大草原でも駆けてるかと思った」「RPGのフィールドとか町で流れてそうな曲」
と評され、「妄想の大地を翔ける雌ライオンのテーマに相応しい壮大さ」と言われるまでに至った。
システムは一見一通り揃っているかに見えるが、メッセージウインドウ上の「NEXT」というボタンを一度クリックしてしまうと、
あらゆるオプション設定を無視して次の選択肢まで強制スキップするという落とし穴がある。
これを止めるにはゲームを終了させる以外の方法がなく、うっかりクリックしてしまったら最後、ゲームを終了させて再度ロードすることを強いられる。
性質が悪いことにこの「NEXT」ボタンはゲーム中多用するであろう「AUTO」ボタンの真上にあるため、注意を払わないと誤爆する危険性を孕んでいる。
システムといえば、「おっぱいフォーラム」について言及せねばなるまい。
言うなればCG閲覧モードであるが、内容がシステムデータではなくセーブデータに依存するため、1回のプレイではせいぜい2ページ埋めるのが精一杯で、
システム上コンプリートするのが不可能となっている。
活用するためにはそれぞれ違うページを埋めたセーブデータを作成し、いちいちロードするという手間が必要なため実用的とは言いがたい。
全体数から言えば貴重な百合抜きゲーだったが、いざプレイしてみればフルプライスとして最低限のボリュームを満たしておらず、
百合ゲーとしては痒いところに手が届いておらず、抜きゲーとしてはエロが薄いという全方面に残念な出来栄えであった。
何故このような露骨なことをしてまでフルボイスの体裁を保ちたかったのか。それは誰にもわからない。

快調にエントリーが続き、1年も3/4が終了する9月末に異変は起こった。
9/27に発売された作品が3作もスレになだれ込んできたのだ。

まずは、SAGA PLANETSより発売された「カルマルカ*サークル」(通称「カルマルカ」)。
7つの大罪をモチーフにし、主人公を含めたメインキャラ達にそれぞれの力(魔可)が割り振られている。
魔可を持つ人間は能力者と呼ばれ、儀式を行い「カルマルカ」に接触することで全ての時間を操ることができるようになる――という設定なのだが
魔可と実際の能力の関連がないものも多く、ただのキャラ付けと成り下がっている。
怠惰の魔可を持つキャラは魔可の発動と共に突如睡魔が襲ってくるはずなのだが、ごく普通にバイトをこなしていたり
憤怒の魔可を持つ主人公は魔可が発動しないと怪力にならないはずなのだが、あるルートでは普段から難なく石を握り砕いていたりと
明らかな矛盾も見て取れる。
本来であれば話の核となるはずの魔可とカルマルカだが、ルート分岐後はどんどん魔可はストーリーに絡まなくなり空気化。
その一方で個別ルートに入った途端、「公式HPにも載っていない・共通ルートでは微塵も出てこなかった”人殺しの娘”という設定が浮上」
「瀕死の重傷を負った主人公を放置して帰国」「理事長と対立するも、ヒロインの耳打ちひとつで黙らせる(内容は一切明らかにはされない)」等、
共通ルートとの整合性が取れない箇所や投げやりな展開が目に付くようになり、ボリュームもルートによってはスキップ使用で
わずか数分で終了するという噴飯物の短さ。
さらにTRUEルートへ突入すると個別ルートとの食い違いが多数出現し、中には個別ルートにおけるシナリオの根幹を完全否定するものまで存在、
内容も今までのルートを見ていれば先が読めてしまい、グランドシナリオとしては残念ながら物足りない。
魔可の設定を抜きにして恋愛ものとして見てもその要素は薄く、伝承ものとしてもラブコメとしてもどっちつかずの中途半端な感が否めないため、
ここは割り切って間違い探しもしくは矛盾を指摘するゲームとして楽しむのが最善であろう。
頼みのエロもCGの出来はいいものの、「中出し」「外出し」の選択肢を選んだ瞬間に射精するなどここでもテキストがCGと合わないという隙のなさで、
コンシューマー化でも狙っているのか数や長さもお世辞にも十分とは言えず、とどめとばかりにTRUEルートに至ってはエロがない。
壮大な設定を盛っておきながら風呂敷を畳むどころか広げることすらせず、「設定は投げ捨てるもの」と言わんばかりに放り投げ、
ライター間の基本的な刷り合わせすらも放置された本作。
なおこのゲームのジャンルは「ハッピー&スマイルADV」となっているが、こんなものを掴まされた日には笑顔どころか
憤怒の魔可に目覚めてしまうのも致し方ないというものであろう。
選評者による評価である「笑いどころのないチャージマン研!」、とあるヒロインが言い放った「ぶっちゃけ、もうカルマルカとかどうでも良くね?」。
これらのセリフが、このゲームの惨状を如実に物語っていた。

クソゲー3連星の2番手は、チュアブルソフトより発売された「ノブレスオブルージュ」(通称「ノブレス」)。
舞台はサント・アレクサンドラ女学院。生徒は常に帯剣し私闘も許されており、胸元にあるバラを散らされるか降参すると負けるという
どこか既視感漂う学院に、負傷した双子の妹に成り代わって主人公が潜入するストーリーである。
このような世紀末な学院にあっては、「命に関わる薬を盗む」「試合用の服に細工をして電流を流す」「スタンガンで気絶させ拉致・監禁」などは
取るに足らぬ些事であるらしく、見当違いな逆恨みでこれらをやってのけたキャラにはトイレ掃除等の罰当番をさせられるのみ。
ストーリー自体も短く、各キャラのエピソードをわずかにこなして即ルート分岐、あっさりと苦難を乗り越えEDというダイジェスト仕様。
男であることがバレたらどうしよう、という女装ものには欠かせない葛藤や緊張感もなく、ヒロインも男が女学院に侵入していたという
ことに対してろくな反応もなく、簡単に女装少年(主人公)とくっついてしまう。
「チュアブルソフト過去最大のボリューム」と謳うエロシーンだが、これまたひとつひとつが短い上にマップ移動によりぶつ切りにされているため
不当に水増しされている感が拭えない。
主人公の容姿は大変愛らしいのだが、構図でカットされていたり顔が描かれていなかったりと散々で、ここでも女装ものの基本すら外している。
ヒロイン達にも自分の責任や立場を自覚していないと思われる言動が散見し、製作側も含めてタイトルの元になったであろう「ノブレス・オブリージュ」を
誰ひとり理解していないことを露呈する結果となった。

9/27発売のトリを務めるのは、戯画より発売された「バルドスカイゼロ」(通称「バルスカゼロ」)。
エロゲー好きでは知らぬ者がいないであろう「バルドシリーズ」の最新作にして、好評を収めた過去作「バルドスカイ」の前日談にあたる作品である。
周回プレイを重ねることで明らかになっていくストーリーとやりこみ要素あふれる戦闘システムが魅力で、根強い固定ファンもついているシリーズだが、
ふと見てみれば原画・ライター共に過去作とは別人、開発チームも実質別チーム、やたら褒めちぎるスタッフコメント、半年に渡る延期…
一抹の不安を感じながらも踏み出してみれば、まさかのと言うべきかやはりと言うべきかの戯画マインであった。
セリフ回しがくどい一方で描写不足のシーンが多く、後出し上等で無理やり辻褄らしいものを合わせた力技を駆使したシナリオ。
ぽっと出のキャラが重要な役割を果たしていたり、ピンチになったら都合よく助けてくれる便利キャラが何とかしてくれたりと、
素人の創作物にありがちなご都合主義も健在である。
どこをどう考えても後日談であるはずの「バルドスカイ」には繋がらず、伏線は回収どころか全力で投げっぱなしで、クリアしても達成感がなく
もやもやとした消化不良感が残るばかり。
キャラクターも演技が稚拙な上に頭のネジが悉く消し飛んだとしか思えない性格で、前作主人公には大量殺戮犯という不快な設定が付加され、
今作のキャラが前作主人公を平然と扱き下ろしたため、シリーズファンの不興を大いに買うこととなった。
「バルドシリーズ」の大きな売りといえば戦闘であるが、これがまた大型地雷であった。
攻撃を当てても吹き飛ばないのであらゆる武装が繋がってしまう、それ以前に格闘ボタン連打でラスボスすら瞬殺できてしまうため、コンボを組み立てるという
戦闘システム最大の醍醐味が霧散。
その一方で攻撃を当てても敵がノックバックしないため、殴ってる最中に蜂の巣にされることも珍しくない。
装備できる武装も過去作の半分、命中率の高いはずの武装は棒立ちの敵にすら当たらぬ始末で、必殺技的武装も任意発動から自動発動になったため
爽快感どころか戦闘の邪魔になることもしばしば。
過去作では武装を使った状況等に応じてダメージ補正がかかる等細やかな設定もあったのだが、今作ではもちろん全部削除された。
エロシーンはというと、フルプライスでありながら10シーン程度しかなく、ルート分岐の際も「誰のルートに分岐しますか?」と表示される直球さで
身も蓋もあったものではない。
後にパッチで修正こそされたが、特定ルートで必ず強制終了する、それ以外でも頻繁に強制終了するというバグもあり、フルコンプまでに100回以上も
強制終了したという報告もあった。
苛立ちばかりが募るバグとシナリオに加え、ありとあらゆる要素が劣化の一言に尽き、これを半年待たされた上にフルプライスで掴み取った
プレイヤーの怒りと悲しみはいかほどであろうか。
そんな彼らにとどめを刺したのが、発売からわずか2ヵ月後に発表された「バルドスカイゼロ2」の製作決定である。
分割するほどのボリュームではないと公言した上でこのような未完成品を売りつけ、舌の根も乾かぬ内に続編製作を発表するという
どこまでもユーザーを舐めきった対応に、ファンは血涙を流すこととなった。

世間が賑わうクリスマス、スレには赤と黒のサンタクロース達が降臨していた。
赤いサンタの名は「赤さんと吸血鬼。」(通称「赤さん」)。
発売元のALcotハニカムは当たりとハズレを交互に出すことである種有名なメーカーであり、その法則に従えば
「赤さん」は良作のはずだったのだが…。
3人いるヒロインには事実上個別ルートが存在せずほぼ1本道、そのため1人攻略後はスキップを駆使すれば1時間程度でフルコンプが可能。
恋愛ものであるにもかかわらずその過程がろくに描かれず、次々とヒロインが股を開いていくチョロイン仕様。
ストーリーも序盤から起伏がなくただ漫然と流れ、終盤で突如キャラの素性や秘密などが明かされていくという打ち切りマンガのような内容で、
そのくせ無関係な雑学の量が多く、ぶつ切り感も凄まじい。
この意味不明さはエロシーンでも如何なく発揮されており、日常シーンに突如エロシーンが乱入、ワンクリックで既に挿入寸前、
絶頂と同時に終了という、低価格抜きゲーですら忌避するパターンがふんだんに盛り込まれている。
例としては、
1)夜の寮で停電ハプニングの真っ最中に突然場面が昼間の屋上に移り、ヒロインがこちらに尻を向けてくぱぁしている
  CGに切り替わり、そのままエロに突入(この間わずか3クリック)
2)あるヒロインが主人公へ夜這いをかけ告白、そのままエロという場面でCGがフライング表示されるため、ヒロインは半裸で
  主人公の部屋へ侵入・告白してしまっている
3)しかもその16クリック後には他のヒロインのパイズリシーンへ移行
などである。
念のため彼女らは処女であり、痴女という設定は存在しないこと、タイトルにもある「赤さん」は特にストーリーには絡まない
誰得キャラであることを追記しておこう。

黒いサンタの名は、昨年「NTR48」でスレを沸かせた黒鳥より放たれた「雨音スイッチ~やまない雨と病んだ彼女そして俺~」(通称「雨音」)。
メインヒロインがヤンデレという性質上絶対に何かがあると思わせる本作、しかし蓋を開けてみれば常識を悪い意味で覆す禍々しい何かが詰まっていた。
「雨音」にはアニメーションがあるのだが、エロゲーのアニメーションと言えば思いつくのはひとつ、エロシーンのアニメーションであろう。
しかしここにあるのは首絞め・リストカット・自殺シーンというニーズがあるとは到底思えないものばかりで、エロアニメーションはほぼない。
もちろん動画回想モードも完備しているが、こんな鬱動画を好んで再生するユーザーは果たして存在するのだろうか。
イラストもサンプルやパッケージには気合が入っているが、いざゲームを始めると実際のCGとの落差に愕然とするAVにありがちなパッケージ詐欺。
ストーリーも常人の理解を遥かに超越しており、ヒロインが母親の葬式にウェディングドレスで登場、「今日は私と慎二くん(主人公)の結婚式なんですよ!」と
宣い遺影に向かってブーケトスを決めるという、空前絶後のクレイジーな展開が繰り広げられる。
そこにいたのはヤンデレと言うよりはメンヘラ狂人であり、製作陣がヒロイン以上に病んでいたと言うより他なく、公式の「関わってはいけない、危ない女なのだ」
というヒロインの説明文に嘘偽りがなかったことだけは証明された。
前回の「NTR48」では寝取られをまったく理解していないと酷評されたが、今作ではヤンデレをまったく理解していないというげんなりするオチがつくこととなった。
公式HPへ行くとヒロインが雨に打たれるアニメーションと共に「ハッピーエンドってなんだろう…」という文言が表示されるが、
そっくりそのままお返しすると同時に、ハッピーエンドよりも先にエロゲーについて考えるべきだと進言したい。

悪夢のクリスマスを過ぎた頃、スレに一羽の凶鳥が舞い降りた。
Ex-iT「ひよこストライク!」のヒロインの一人で、主人公の実妹である神楽鳥雛にスポットを当てたファンディスク、
「雛といっしょ」(通称「雛遺書」)が、約2年もの時を経た12/27にようやく孵化したのだ。
マスターアップが発売の一週間前、「ひよこストライク!」「逃避行」同様、マスターアップ後発売日を変更するというきな臭さであったが、
そのきな臭さは製品および本編からも漂っていた。
パッケージを開けると真っ先に目に入るのは「パッチが配布されるまで正常なプレイができません」というお詫び状、しかも
一度シュリンクされたものを開封して封入しており、まごうかたなき新品でありながら既に中古品と変わらぬ様相であった。
プレイすると10分程度のプロローグ終了後100%強制終了するバグがあり、なるほどこれでは正常なプレイは不可能である。
この状態ではゲームの中身がろくに見えてこないため、「シュレディンガーのエロゲー」と皮肉られたのもやむなしであろう。
パッチの公布も二転三転し、「28日は電気街祭りに参加するのでパッチは無理」という唖然とするような言い訳を経て、1週間後待望のパッチが
配布されたが、どのルートも10分程度で終了するボリュームのなさで購入者を落胆させた。
パッチ解析の結果、CGやシナリオを追加したと思われる痕跡も見られ、「本編ディスクはほとんどデータが入っていない未完成品で
それをごまかすために強制終了のバグを搭載し、パッチで補ったのではないか」という推測もあった。
「特典はただのフリスビー」どころか「本編ディスクすらもフリスビー」という惨状で、2012年の製作発表から何度も延期を重ね、
2年近くも待たされた期待の成れの果てがこれでは誰が納得できようか。
「逃避行」がクソゲーだったのはこちらに力を注いでいたからだ――そんな儚い希望をすらも完膚なきまでに打ち砕いた無慈悲なクソゲーであった。

波乱を孕みつつも無事に2014年を迎え、苦行に挑み見事選評を書き上げた勇者たちを皆がねぎらい、新たに誕生するであろうクソゲーに思いを馳せていた。
しかし、そんな安息も長くは続かなかった…、否、そもそも安息などありはしなかったのだ。
これからがほんとうの地獄だとばかりに、そこかしこに仕掛けられた地雷が次々と弾け、なすすべもなくその爆風に煽られることとなる。

年明けから1週間も経たぬうちに早くも1発目が炸裂した。
8/30、One-upより発売された「聖ブリュンヒルデ学園少女騎士団と純白のパンティ ~甲冑お嬢様の絶頂おもらし~」(通称「ブリュパン」)である。
テックアーツ傘下ブランドとしては「マヂゆり」に続くエントリーである。
この時点でお察しかと思われるが、例によって「ブリュパン」もヒロインのセリフが異様に少なく、あっても「……」「!!」などばかり。
片や主人公のセリフがひたすら長く、ヒロインとの会話がろくに成立していない点やボイスがない場面になった途端にヒロインが皆おしゃべりになる点も同じである。
環境的には女多数の中に男がひとりというハーレム状態であるが、ヒロイン達との交流がままならないため、何の感慨もありはしない。
ボイスの少なさに加え、主題歌どころかOP/EDテーマもタイトル画面の流用で、とにかく経費を削減しようというスタッフの執念すら伺える。
その執念深さに反比例するように、タイトルにある「純白のパンティ」「おもらし」などに対するこだわりは特に見られず、エロCGも
立ち絵のアップ等を使った水増し疑惑が否めない。
立ち絵も表情・服装の差分を除けば基本的に1種類というお粗末さで、昨今のゲームと比べると極めて少ないと言わざるを得ない。
これで価格はフルプライス、「これがメーカーの作風」と擁護するには無理がありすぎる手抜き全開の出来に、またもやため息をつくこととなった。

クソゲーの猛攻は勢いを増していく。
7月の発売以来長らく息を潜めてこちらの様子を伺っていたそれは、浮き足立っていたスレ住民のその隙を見逃さなかった。
「主役は遅れて登場する」というセオリーに則り、約半年に渡る潜伏期間を経てようやく正体を見せた「魔物」は、地雷と呼ぶには強力すぎる核兵器であった。
ミルクプリンにより生を受けたその名は、「明日もこの部室(へや)で会いましょう」(通称「部室」)。
廃部勧告を受けた写真部を存続させるために、副部長である主人公が顧問と部長から「女の子の人物写真」を撮って
写真展もしくは学園祭に出展し結果を出すように命じられる――というストーリーである。
そのためにはモデルとなる女の子を決め、友好を深めることが必要となるが、名前で呼ぶにも抵抗を覚えるほど主人公は女の子が苦手である
…という設定のはずなのだが、次の瞬間にはあっさりと名前で呼んでいるという不可解現象が起こる。
さらに途中で「体、頭、心のいずれかを鍛える」という選択肢が出てくるのだが、どれを選んでも「こうすれば全部同時に鍛えられる」と
エロ本をオカズにオナニーをおっぱじめ、もちろんエロシーンではベッドヤクザへとジョブチェンジ、妄想とは言えヒロインを「俺専用の穴」呼ばわりするという
数年前の某クソゲー主人公を思わせる変貌ぶり。
この体たらくで一体女の子の何が苦手だと言うのだろうか。しかし、この程度はまだ掴みですらない。
作品全体の約90%を占める共通ルートは、目当てのヒロインに被写体になってほしい旨を伝えるその日まで「ヒロイン選択→カメラの手入れ→部室で過ごす」という
ヤマもオチもイミもない流れをひたすら繰り返すのみにとどまり、挙句同じヒロインだけを選択し続けていくともれなくバッドエンドへ直行する。
そのバッドエンドも、「部活はなんとか存続したものの、まともな写真を撮れなかった主人公は部活内でも浮き、卒業式の日に投身自殺を図る」という
まさかの鬱展開。
結果的には「主人公がいなくても部活は存続する」という、主人公の存在意義を疑うような結末である。
これを回避するためには、「ある特定の日にそのヒロインを選択しない」という正攻法とは相反する手法でフラグを立てる必要があるが、
基本的にノーヒントの上にチャンスは1日のみ、間違っていてもフラグ成立時と展開がまったく変わらないため、分岐点まで進めないと判別不可能という心折設計。
やっとの思いで入れる個別ルートはと言うと、ルート確定後唐突にエロシーンへ移行、おざなりなイベントをはさんで再度エロシーンへ突入、
その後何の脈絡もなく数年が経過しそのままエピローグとなり、ボイスを聞いても15分、スキップを使えばわずか5秒程度で事足りるという、
短いとか薄いなどという凡百な言葉では表現不可能なほどのあっけなさである。
エピローグも散々な出来栄えであり、主人公が撮った写真の内容や写真展・学園祭での結果はほぼ語られずじまいで、中には結果どころか
この作品の主軸であったはずの写真部の存続がどうなったのかすら不明のままのルートも存在する。
主軸放棄による説明不足のみ飽き足らず、主人公が裸族として覚醒しヒロインにも裸族スタイルを強要するルートや、
ヒロインと引きこもり2年間ひたすらSEXしていた挙句、この間に細菌テロのようなものが勃発して町が壊滅状態になっているという
誰得の超展開まで完備。
余りの脱線ぶりに、女の子が苦手という設定も写真部の存続というテーマも投身自殺をしてしまったとしか思えない。
ヒロインも作中で設定や性格が掘り下げられることはまったくなく、途中に出てくる伏線のようなものも何もなかったかのようにスルーされるため
語れる要素は皆無である。
立ち絵やCG、ショップ特典イラストにもどこか違和感がある上に、このような空っぽのシナリオのためCG枚数自体が非常に少ない。
システムのポンコツぶりも相当なもので、クイックセーブ・ロードもなく、バックログはメッセージウィンドウを一つずつ戻るという前時代仕様。
ウインドウに表記されるゲーム名は「明日もこの”部屋”で会いましょう」。
一番の突っ込みどころは主人公の名前で、公式HPでは「樫尾光」となっているが、画面に表記されるデフォルトネームは
「勇次郎」という赤の他人になっている。
これらに加え、公式HPでは2014年2月現在でも「2013年7月26日発売”予定”」表記、ギャラリーも極めて少ないことから、スタッフのやる気のなさと
投げやりさがひしひしと伝わってくる。
名前は変更可能で4文字までということになっているが、ある手順を踏むと長い名前でも255Bまでなら入力できてしまうことが判明。
才能の無駄遣いとしか言いようがない遊び心あふれる名前が有志達により投下され、興奮冷めやらぬスレを賑わせることとなった。

年始の選評ラッシュはとどまることを知らない。
懲りずにエントリーしたのは、「JK辱処女~純粋な心の持ち主ほど処女を好むという法則~」(通称「枝豆」)。
販売元のRed Labelはあのアーベルソフトウェアの系列ブランドであり、この時点で「これは(スレ的に)期待できる…!」と思った諸氏も多いことだろう。
しかし、本作はその予想と期待を斜め上に錐揉み下降するかのごときクソゲーであった。
発売されたのは12/30、ストーリー・人物紹介・CG等が公開されたのは翌年1/7なのにも関わらず、公式HPには「ダウンロードランキング第一位獲得!」の文字。
どこで、いつ集計したランキングなのだろうか。
気を取り直して進めると、ヒロインがアラサー童貞無職の主人公の政治経済の教科書を拾ったことから話は始まる。
何故アラサー無職が政経の教科書を持っているのだろうか。
首を傾げたくなる事態が次々とやってくるが、このゲームの前にあっては特に気に止める必要さえない瑣末なことである。
主人公は勉強を教えることを口実にヒロインを自宅へ連れ込み、そこで行為に及ぶのだが、この出会いの前に既に行為に及んでいるシーンが存在し、
もはや首を傾げるどころではなくなる。
序盤に頻繁に起こるこのような時系列無視に加え、かつてのエントリー作で「差分でCG数をごまかしている」という指摘を受けて反省したのか
本作では差分が非常に少ないため場面の変化がわかりづらく、スキップを多用すると話がまったく掴めなくなってしまう。
そして最大の要点は、この通称にもなった「枝豆」である。
ヒロインとのエロシーンになると何故か画面に枝豆が表示され、ヒロインの性的興奮が高まるにつれて豆の色が変化してゆくのだ。
しかもこの枝豆は画面中央にでかでかと表示される上に、元のエロCGには黒い靄のようなフィルターがかかって見づらくなるため
枝豆に欲情できる性癖の持ち主以外には邪魔でしかない。
一見この枝豆は女性性感帯の比喩と思われるが、それを覆すシーンが続々とお目見えする。
途中ヒロインの「腕」に媚薬を注射するシーンがあるのだが、何とこの枝豆にも注射が打たれているのだ。
さらに主人公がヒロインに欲情・勃起するシーンでは、何故か鞘から豆が飛び出し、あまつさえ汁まで滴っている枝豆が登場する。
枝豆とは一体なんだったのだろうか、枝豆に差分を作るくらいならエロCGの差分を作るべきだと誰も思わなかったのだろうか。
プレイ内容は豊富ではあるが、中には首を絞めたり、ヒロインにペニパンを履かせて掘らせるといった人を選ぶものも存在するので注意が必要である。
ルートによってはヒロインは在学中に妊娠し、娘を出産するのだが、主人公は娘を見て「俺が娘の最初の男になる、それが娘にとっての幸せになる」と
猟奇的な妄想に浸り始める。
サブタイトルは~純粋な心の持ち主ほど処女を好むという法則~であるが、主人公がやったことといえば、勉強にかこつけて女子高生を連れ込んで
処女を散らした後変態プレイに及び、妊娠までさせた挙句娘まで犯す気満々という純粋どころか清々しいまでのキチ○イ丸出しである。
純粋さと狂気は紙一重、といったところであろうか。

この他にも、つまらない共通ルート+超展開の個別ルートに加え、同メーカーの他作品(駄作)をプレイしないとキーパーソンの真意がわかりづらいという
抱き合わせ商法紛いの「Timepiece Ensemble」、目を疑うような誤字がてんこ盛りなのに加え未使用イラストが多く、このタイトルで妹ものであるにも関わらず
妹要素が存在しない攻略対象が混ざっていた「妹*シスター -My sister-」、ゲーム性が乏しい上に設定が面倒くさく、エロシーンでのセリフ繋ぎが雑で
妙なセリフを連呼しているように聞こえることから「タノシイネー、タノシイネー」と揶揄された「プレミアムプレイ ~ダークネス~」、
相変わらず皆無のストーリー性に加え、ユーザー達が築き上げた膨大な既存MODデータが一切流用不可な「3D少女カスタムエボリューション」、
痴漢物でありながら痴漢ゲーに必須のスリル感やヒロインを堕としていく楽しみが微塵もなかった「いたずら学園」などが続々と名乗りを挙げ、
スレ住人達は選評締切日ギリギリまで翻弄されることとなった。

以上のエントリー作より、次点と大賞を選出したい。
次点は
設定もストーリーも投げっぱなしで前作からミジンコほども成長が見られなかった「リア充」
露骨な経費削減の結果、おざなりなシナリオ・不快な主人公・感情移入できないヒロインを生み出した「マヂゆり」
設定だけをコテコテに盛り込んで物語の収束を全力で放棄した「カルマルカ」
前作ファンに喧嘩を売った上に全要素が劣化、最初から最後まで不誠実の限りを尽くした「バルスカゼロ」、
大賞は「明日もこの部室(へや)で会いましょう」とする。

お気づきかとは思われるが、2013年の大きなキーワードは「シナリオが地雷」であった。
設定だけ決めてあとは投げっぱなし、ライターの自慰臭満載の誰得仕様、起承転結という概念が皆無のダイジェスト風味…
さまざまな地雷シナリオを抱えたクソゲーがスレを彩った。
バグや異次元CGはひと目見てクソなのがわかりやすいが、シナリオ地雷はその説明が難しいとされ、実際にプレイしないとそのよさもクソさもわからない。
体験版があればある程度の確認は可能だが、体験版以降で本性を表し見事大賞をかっさらった「でにけり」の暴挙はまだ記憶に新しいところである。
選評を書くにもそのシナリオや設定を細かく読み込むことが必要不可欠であり、この想像を絶する苦行は真綿で首を絞めるように選評者を苦しめた。
膨大な量の選評を書き上げた猛者も少なくなく、その努力と執念には頭が下がるばかりである。
エロは七難隠すこの業界にあって、それすらも吹き飛ばす凄まじい破壊力を知らしめた2013年のシナリオ地雷。
その中でも「部室」のシナリオは一際抜きん出ていた。
大部分のルートにおいて「部活の存続」というテーマを放棄、「女の子が苦手」という主人公の設定も投げ捨て、ヒロイン達に至っては
公式HPの記述にあるような個性はゲーム中で大方触れられていないという杜撰さ。
彼女達とのふれあいがおざなりな一方、ゲームにあまり求められていないであろうカメラの知識やメタ発言が散りばめられ、
最後は物語の始まりとはまったく関係のない方向に着地した挙句鬱展開まで盛り込んだシナリオは、まさに「誰得」の権化。
部活動がメインの学園物にこんなニーズがあると考えた根拠は一体何なのか絞め上げたいところである。
最終的になかったことにされることがほとんどである部活の存続だが、まず間違いなく一度は攻略に失敗することを見越して、バッドエンドでは
確実に存続したことがわかるという大きなお世話ぶりも見逃せない。
まともにストーリーを構成できないのならいっそエロに特化するという手法もあったはずなのだが、そのエロも長く単調な共通ルートを終え
個人ルートに分岐した途端何かのスイッチが入ったかのようにぱかぱかとヒロインが股を開き、その内容もとりあえず回数だけは最低限こなしましたと
いわんばかりのやっつけ仕事。
部活動に邁進する青春物語にも、女の子達との甘酸っぱい恋愛にも、エロゲの本領であるエロにも楽しみを見出せないのなら、もはやゲームとして一体何を
楽しめというのだろうか。
頭を抱えたくなるほど内容がスカスカなのにも関わらずこれだけのクソ要素を隙間なくぎちぎちに詰め込んでくるというこの偉業は、怒りを通り越して
感動すら覚えるレベルである。
褒められる点がひとつもない、金太郎飴のごとくどこを切っても満遍なくクソなこのシナリオに加え、「主人公がクズ」「ヒロインに感情移入ができない」
「システムが不便」「エロが薄い」「説明不足+蛇足のコンボ」「立ち絵やCGがおかしい」「バグがある」「販売側の態度に問題がある」等、
クソゲーとして主に挙げられる要素を全て兼ね備えた上に、名前のバグという笑える要素まで持ち合わせた「部室」は
まさに大賞にふさわしいパーフェクトなクソゲーであると断言できよう。
今回のKOTYeが「萌え絵とエロさえあれば後はどうでもいい」と言わんばかりの安易な風潮への警鐘となることを願うばかりである。

2011年のダブル受賞、2012年の熾烈な大賞争い、「クソゲーとは何なのか?」「クソゲーオブザイヤーの在り方とは?」という根源的な問い。
それらを経た2013年はどんな年になるのだろうと期待も不安も大きかったが、振り返ってみれば毎月必ず選評が届くという
かつてないほどの豊作であり、そのいずれもが粒ぞろいという、戦国時代さながらの群雄割拠の年となった。
いずれ劣らぬクソゲーがここまで揃うのはある種の奇跡であり、この瞬間に立ち会えたことを我々は忘れないだろう。
2014年1月に至ってはわずか1ヶ月の間に8作もの選評が持ち込まれるという想像を絶する異常事態となり、本当に総評がまとまるのだろうかという
懸念さえ出てくる有様であった。
怒涛の選評ラッシュが終わって程なく、早くもスレには2014年の選評第1号が持ち込まれており、2014年もきっと記憶に残る
思い出深い年となるに違いない。

最後に、この熾烈な争いを戦い抜いた戦士達に見事2013年を制した「明日もこの部室(へや)で会いましょう」を準えて、
次の言葉を捧げたい。

「明日もこの部室(スレ)で会いましょう」。