2013年度 総評案4修正版

2013年総評案4 大賞:明日もこの部室(へや)で会いましょう

クソゲーオブザイヤーinエロゲー板。
それは激変するゲーム業界の暗部を体現するがごとく、毎年のように予想外の展開に彩られ、苦痛と笑いが生まれる場所であった。
2011年のダブル受賞すら霞む、2012年の激動の世代交代。そして2013年。
ある者は絶望にこの地を離れ、またある者は新たなクソゲーに希望を寄せ、新年の収穫を今か今かと待ちわびていた。

スレ住人達が最初に収穫物、いや排泄物を手にしたのは、2012年の激論続くさなか。1月末。
クソゲー排泄四天王の一、昨年の覇者スワンアイが、名誉の先鋒とばかりに、威風堂々と名乗りを上げた。
『リア充爆発しろ! ~変身能力手に入れたんだけど質問ある?~』……大いにある。小一時間問い詰めたいところである。

本作は、前作と同じく「バカゲー+抜きゲー」路線。変身能力を得た主人公が、ヒロインたちの彼氏になりすましてHをする、というもの。
舞台説明が皆無だった前作『SEX戦争』の反省を活かしてか、なんと本作では、前作の∞倍にあたる10行もかけて能力を会得している。
超圧縮ダイジェストの締めとなる「そして…僕は変身能力を手に入れたのだった。」には、スレ民の間で乾いた笑いが上がった。
また、それまで毛嫌いしていた主人公が、彼氏に扮していたと知って、突如デレ始めるヒロインや、
懲罰として生徒にオナニーを課す教師、進んでそのオカズになる通りすがりの女子生徒たち、
何の脈絡もなく射精を始め、挙句全裸のまま野外に飛び出して警察に追われる主人公などなど、個性的な登場人物も住人を魅了する。
かの偉人、アルキメデスも全裸のまま街中を駆けまわったというが、天才の思考をユーザーに追体験させんとするスワンアイの高配には、我々としては脱帽する他ない。
また、抜きゲー最大のアピールポイント、Hシーンにも彼らは抜かりがない。
平均20クリックで終わるHシーンにはコピペが並び、ほぼ毎シーン出現するセリフ「ずっぷ!ずっぷ!」「ああもう出そう」の名言ワンツーパンチ、
そしてそれを乗り越えてもわんこそば式に襲いかかる、無味乾燥なHシーンのラッシュがユーザーを襲う。
唯一の救いは、本作品が1時間半ほどでコンプ可能である点か。安心し給え、言うまでもなくフルプライスでこのボリュームである。

かくして、新年早々このネタスレに、変身能力持ちの門番がそびえ立つ運びとなったのである。

その後も、
ユーザーの期待やゲームの売りを履き違えたとしか思えないガッカリゲー『モテすぎて修羅場なオレ』、
ディレクターが既成のシナリオを大幅改悪し、挙句外注ライター名義で駄文を世に出した、インモラル(現実)百合ゲーの『星彩のレゾナンス』、
2メーカーがコラボした結果、第三者メーカーの設定丸パクリとなった『淫獄痴漢列車』、
噛めば噛むほど味が出る、遊べてしまう3Dクソゲー『UNDEROID』、
安心と安定のSofthouse-sealクオリティでスレ民を和ませた『エルフと淫辱の森』、
長すぎる観光案内と、バッドエンドしか存在しない壮大な超展開ワールドが織りなす『少女神域∽少女天獄』など、
小粒ながら優秀な刺客が現れたが、スレから「ずっぷ!」の文字が消えることは一向になかった。

次に大々的な祭りが起こったのは、5月。若葉萌ゆるこの時期に、若き挑戦者がKOTYeの門を叩いた。否、殴り壊した。

挑戦者の名は『逃避行GAME』。前作『ひよこストライク!』で好評を得たEx-iT渾身の新作である。
前作に引き続き、マスターアップ後の延期という強烈な開幕アッパーを放った本作は、蓋を開けてみると未完成に彩られた大物であった。
まずタイトル画面に表示されるのは、「逃避行GAME」のロゴに、「START」「LOAD」「END」の3つのボタンのみ。前作の半分以下である。
敢えて選択肢を狭めることで利便性を高めたインターフェースには、ここは何の業界なのかと眼を見張るばかりである。
また、本編中では特定のヒロインルートへの選択肢が出現しない、背景が真っ黒で表示されないなど、情報量の少量化はとどまることを知らず、
挙句ボイス容量まで最小化したのか、モブのボイスの多くが「イラッシャイマセー」なる謎の女性声になっているなどのバグがスレ住人の心を撃ちぬいた。
特に、2mもあろうかという殺人鬼とのやり取りでは、
 「どうしてここがわかった」
 「イラッシャイマセー」
 互いに互いの言葉を押し付けているだけ。これは会話ではなかった。
 「イラッシャイマセー」
 「返答しないなら、去れ」
と重苦しい雰囲気が最小化され、萌えゲー特有の和やかな空気が完全再現された。

スレに「ずっぷ!」と双璧を成すマスコットキャラクター、「イラッシャイマセー」が登場した記念すべき瞬間である。

さらに極めつけには、店舗特典のストーリー追加パッチが、回想モード未実装により実質フリスビー化する不具合も発生しており、
ユーザーの多くが、非常口(EXIT)から別のゲームへ逃避行したのも無理なからぬ話しであろう。
なお、現在は多くのバグが修正されているが、シナリオに関しても、主人公がヒロインとの馴れ初めを思い出さない等の投げっぱなしの伏線が目立ち、未完成の誹りを免れない出来であったことをここに付記しておく。

この勢いに惹かれたのか、今夏、優秀な戦士たちが次々と名乗りを上げた。
同月に発売された、Selfの『Qualiaffordance-クオリアフォーダンス-』は、全編フルアニメーションを掲げつつ、繰り返し多用の日常シーン、
更にはクリックひとつでシーンカットまで飛ばされるHシーン等、その使い方をどこで間違えたのかと問わざるをえない絶妙なバランスに、
扱いにくいコンフィグ設定が加わり、新たなクソゲーの境地を開拓するに至った。

さらに翌月6月、『クラス全員マヂでゆり?!~私達のレズおっぱいは貴女のモノ・女子全員潮吹き計画~』をMBS Truth -Cherish Pink-がリリース。
ボイスを持たない主人公が妄想癖で文字数を稼ぎ、Hシーン中に一方的なマシンガントークで文字数を稼ぎ、不必要に丁寧な地の文が更に文字数を削り取る本作は、
結果、20クリック中ににボイスが1つ、といった超低コストを実現。さらに高速スキップを止める手段が「ゲームの強制終了」のみであるという斬新なバグも披露。
その極限まで予算を惜しむ姿勢をして、昨今の、制作費が高騰するばかりのゲーム業界に警鐘を鳴らしたのであった。

ついでに同時期、ニトロプラスから恋愛ゲーの皮を被った猟奇メタゲー、『君と彼女と彼女の恋。』が放たれ、
耐性のないユーザーをあまねく蹂躙したことも、記録すべき夏の思い出である。


さて、ここでこれをご覧の皆様に一つ問いたい。
恵みの夏。その後に待ち構えるのは、一体何の季節であろうか。

そう、「収穫の秋」。紅葉が茶に染まり始める、クソ色の季節の到来である。
ことここに至って初めて、スレ住民たちは、これまでの戦士たちが全て前座であったことを知るのである。
9月。大地を割って2体の魔物が突如として俗世に這い出し、地上に憤怒の炎をまき散らす事となる。

まず1体目、憤怒を纏いて降臨した彼の者の名は、『カルマルカ*サークル』。老舗 SAGA PLANETS の生み出せし召喚獣である。
本作は「7つの大罪」をモチーフとした物語であり、超能力とともに大罪(摩訶)を背負う7人のキャラクター達が、
壮大な願いを叶えるために奮闘するストーリーとなっているはずだった。はずだったのだ。
その物語は、浅い矛盾だらけの設定と、突貫工事の脆さに彩られていた。

憤怒の超能力を持ち、その発現時「のみ」怪力を発揮する主人公は、平常時に平然と小石を破砕し、
嫉妬の超能力を持つヒロインは、その能力で何故か主人公に欲情する。
怠惰の超能力を持つヒロインに至っては、残念ながら勤勉なバイト生であった。
誠に遺憾である。設定が杜撰すぎはしないかと誰もが思ったことだろう。
また、ライターたちの意思疎通が既にバグであり、劣等生があるルートで優等生になっていたり、
ヒロインによっては、シナリオの本筋を「どうでもいい」と切り捨てたり、
学費免除であるはずのヒロインが、別ルートで「学費を自分で払っている」と発言したりと、散々な状況である。
そのほか、物語中は終始笑えない冗談が繰り返され、拙い描写が延々と繰り返される。

さらに、選評者をして「笑い所のないチャージマン研」と言わしめた、説明不足の意味不明シナリオに、ユーザーは虚脱感を覚え、
「暴力では何も解決しない」と主張しつつ殴り合いの暴力に応じる不可解な主人公には、激しい怒りを覚えることだろう。
しかし、負の感情に支配されてはならない。どのようなクソをも笑いに昇華するKOTYの本質を、本作は今一度我々に提起しているのである。
なぜなら本作は、「ハッピー&スマイルADV」なのだから。

同時期に発売され、すこし遅れて発掘された2体目の魔物は、魔物というには少々メッキが眩しかった。
戯画の排出する安定のギガマイン、『バルドスカイゼロ』の推参である。
『バルドスカイ』シリーズは、同メーカーのエースチーム「チームバルドヘッド」のアクションADVであり、高いアクション性と見事なストーリーでユーザーの支持を集めてきた意欲作である。
本作はその前日譚にあたるが、時間を巻き戻すには相当の覚悟が必要と判断したのだろう、何を思ったのか彼らは、制作にあたってまず担当チームを変更した。
シナリオ、絵師は当たり前として、サウンド、プログラマも全て別人である。強豪『つよきす2学期』に通ずる何かを感じるのは、決して偶然ではあるまい。

本作の全貌を表すには一言で事足りる。「不快感」である。
まず、攻勢は製作者の詐欺から始まった。発売前にアピールした「主観エイム」「機体強化」は尽く削られ、「射撃強化」「敵をまとめて倒す爽快感」は
「ラスボスが近接ゴリ押しで楽勝」「回復しない自機体力と、逃げ回りつつちまちま射つ焦燥感」へと変貌。
バランス調整も絶妙で、体力の5割を削るギミックが、4つ連続で飛んでくるなど日常茶飯事である。
戦争で人を信ずるなかれ。無双など夢想である。戦場で気を抜いたものは死ぬ――。これらの溢れ出る臨場感はさすがだというべきであろう。

また、1ルートクリアまでに20回以上頻発したという脅威のフリーズ地獄を耐えぬくユーザーに、さらに苦痛に彩られたシナリオが襲い掛かる。
人を罵倒することに全力を掛ける主人公の性格や、チームメイトが死んだ5分後には漫才を始めるヒロインたちの豪胆さ、30クリックに及ぶ無意味な雑談は、
度重なる戦闘が生んだ弊害なのだろうか。この虚しいシナリオは、我々に戦争の虚しさを訴えているとでも言うのだろうか。永遠の謎である。
シナリオ終盤に、まるでドラえもんの道具のように出てきて難題を一気に解決する便利技術も、世間の理不尽さを体現しているかのようであった。

更に、人気のあった前作主人公が、ただの「猪突猛進の馬鹿」になっているのも非常に興味深い。今作主人公たちからの扱いも散々である。
一体に、過去に他人が生み出し、描いてきたキャラクターをためらわずに蹂躙できるライターが何人いようか。
このメタリックなクソもまた、新たなベクトルのクソゲーとして、この世界に名を残すことだろう。
おまけに、「分割はしない」と公言した矢先に続編の発表をするなど、発売後も不快感を維持する、メーカーのアフターケアには頭がさがるばかりである。

この大惨事の後も、
『ナイものねだりはもうお姉妹』、『ノブレスオブルージュ』、『妹*シスター -My sister-』と、
中型のクソゲーが多数スレに投下されたが、今までの神々しいクソに比肩しうる者は現れなかった。
しかし、思い出して欲しい。恐ろしい魔物は年末に現れる。今年もまた、例に漏れずに恒例行事「年末の魔物」が現れることになる。


12月。
まずさえずりを上げた魔物は、どこかで見た小鳥の形をしていた。
Ex-iTの今年第二作目。『ひよこストライク!』のファンディスクたる『雛といっしょ』である。
この者もまた、前作と似た武器を引っさげて現れたのだ。
まず住民たちが狂喜乱舞したのは、前代未聞の「三作連続、マスターアップ後の延期発表」である。
十分なインパクトを持って放たれたそれは、ユーザーの手に届くや否やその全貌を明らかにした。
妙にシワの多い梱包から現れる紙片には、「バグのせいで進行できない」旨が記載され、実際に起動すればわずか25クリックでエラー落ち、
メーカーは修正パッチのリリースを宣言するも、電気外祭りへの参加を優先し、あまつさえミラーサイトとの連絡不良を理由に、更に公開を先延ばしにする体たらくであった。
いざ公開されたパッチの出来も非常に粗末なもので、バグのほとんどが改善されず、結局ユーザーはその次のパッチを待つ他ない状況。
バグが解消した後も、内容が非常に薄く、ミドルプライスとしても失格ライン。解析班によって未使用のCGが多く発見されたことも付記すべきであろう。
「ゲー無」の体裁すらまともに残っていない「 ー 」と揶揄されるその実力は、尋常なものではない。
なお、2月14日公開予定だった追加パッチも、大雪の影響で無事に2月16日の深夜0:30頃に公開されたようである。

魔物が跋扈する裏で、一般のクソたちも後れを取っていない。
『雛』とほぼ時を同じくして、5月のクソゲー、インチキ経済学により突っ込みどころ満載の『お嬢様はご機嫌ナナメ』が発掘されると、
不発弾が連鎖爆発を起こすがごとく、怒涛の選評が舞い込んでくることとなった。
「一体どうしてこうなったものか。」「正直、何が起こっているのかわからない。」と、作品概要を作中で見事に言い表した、
稀代の超展開ゲー、『赤さんと吸血鬼。』が突如として飛来し、
それから1日とたたずに7月のクソ、ヤンデレと狂人を履き違えた誰得ゲー、『雨音スイッチ』が暴れまわる。

そして、本来ならのんびりと総評ムードであるべき翌年。それは2014年1月に突如として現れた。いや、「発見された」といった方が適切か。
惨憺たる有り様で拾い上げられたそれは、どこかの夏の記憶を彷彿とさせるものであった。
8月発売の『聖ブリュンヒルデ学園 少女騎士団と純白のパンティ』である。
同じ夏の魔物、『マヂゆり』と並んで「低予算ゲー」とでも形容すべきその倹約っぷりは一見の価値があり、
「……」や「…!」などのボイスの無いセリフが会話の大半を占める一方、回想やモブキャラなど、元々ボイスの無いキャラクターは非常によく喋る。
酷いシーンでは、ヒロインがいながら45クリックにつき1ボイスしか無いのだから、そのこだわりはむしろ尊敬すべきレベルに至る。

1月勢の攻勢は止まらない。今年は一体どうしたことだろうか。
次にサルベージされたのは、12月発売、GLaceの『Timepiece Ensemble』である。
本作の系統としては、カルマルカの亜種と言ったところか。
絵は申し分なく、音楽も、インターフェイスも少々不便ながらも及第点である。タイトル画面が存在しない、前代未聞の仕様など瑣末な問題である。
では残るは一体何か。シナリオである。
まず目につくのは、一つの教室内でシナリオの大半が進行する共通ルートである。起伏がなく、無味乾燥なのも想像に容易い。
そして整合性の取れないシナリオ。キャラクターの性格が時々で変化し、見ているユーザーは性格が変貌したのかキャラクターがすり替わったのか、
はたまた平行世界にでも飛ばされているのか、不可解な現象に悩みつつ読み進めることになる。

さらにこのゲームでは、一部のキャラ設定が非常にわかりづらい。
これも未完成によるものかというと、さにあらず。曰く、我々の修行と信者力が足りないのだという。
驚く無かれ、実は本作の鍵は、GLaceの前身たる「ALcotハニカム」の『1/2 summer』を既プレイでないと理解できないのである。
パズルのピースをシナリオ中ではなく、別作品に仕込むとは、これは一本取られたと言っておこう。一体何人が気づいたのであろうか。
蛇足とはなるが、これだけでは飽きたらず、本作はCGとシナリオの整合が全くとれておらず、一度のHシーン中で下着が虹色変化したりと、
斬新なクソっぷりを発揮したことも忘れてはならない。

続く形で発見されたのは、何やら懐かしい形状をした魔物である。
Red Label――かの古豪アーベルグループが、嘆かわしい後進たちを再教育せんと送り込んだ怒轟の刺客、
12月発売の『JK辱処女~純粋な心の持ち主ほど処女を好むという法則~』。
本作品は低価格帯のDL抜きゲーであるが、侮る無かれ。総スキップで1ルート3分、その小さな身体には、濃縮したクソが溢れんばかりに詰め込まれていた。
発売日の食い違った公式サイトと公式ブログ、専用ページには、物理的に不可能と思われる「ダウンロードランキング第一位獲得!」の文字が輝き、
蓋をあければ、投げっぱなしのストーリー。何もかもが懐かしい、我らがアーベル、一年の時を超えた復活である。
更に、彼らはただの復活で満足する器ではなかった。
まずはCGの大量削減。低価格たる所以である。感動的な童貞/処女喪失の1シーンに割り当てられたCGは、差分込で驚異の7枚。
111クリック間、ベッド上の金剛像と言わんばかりに不動を貫くそのヒロインには、アーベルの確固たる意志が感じられる。「まだ終わらんよ」と。

そして、本作最大のアピールポイントは、Hシーン中に何の脈絡もなく登場する「枝豆」である。
シナリオ序盤。とあるHシーンで、突如精巧な枝豆が画面に表示され、ユーザーの混乱は最高潮に達する。
なにせ、それがHCGの大半を覆い隠しているのだから無理もない。オカズに手を伸ばしたら、何故かツマミを掴まされたのだから。
どうやら実は、これはクリトリスの比喩表現らしい。アーベルらしいきめ細やかさで、
それはヒロインの興奮に合わせて「緑→ピンク→赤」と色を変え、抜きポイントを懇切丁寧に示してくれる、謎の導き手となっていた。
さらに、枝豆の進軍は留まるところを知らない。そもそも枝豆とは、一であり全である。クリトリスなどという単一の概念ではなかったのだ。
その後ある時はヒロインの腕の比喩となり、ある時は主人公のイチモツの象徴とり、ヒロインそのものへ、更には作品の権化へと変貌する枝豆。
かくして「枝豆差分」なる前代未聞の実装をした本作品は、エロゲーに新たな歴史を打ち立てたのであった。
我らが巨匠アーベルは、このゲームに一体何を込めたのか。我々にも進化が求められているのかもしれない。
また、その後のスレには彼の者を奉る「枝豆AA」が急速に蔓延ったことを付記しておく。我々がアーベルに追いつける日は近い。

さらに息の根を止めんとばかりに大物、いや怪物が追い打ちをかける。
7月のクソゲー、ミルクプリンの産んだ『明日もこの部室(へや)で会いましょう』が、半年の時を経て姿を表わした。
まずはユーザーは、「吉里吉里/KAG」を使いつながらも、一ページずつ戻っていく、伝統的すぎるバックログシステムに圧倒される。不必要に正統派である。
さらに共通ルートでの単調なシナリオが目立つ本作。
日常パートでヒロイン選択を20回ほど繰り返すとルートが確定するようで、この時点で大方のやる気を削がれると考えられるが、案ずることはない、これは前座ですら無いのだ。
まずユーザーに立ちはだかる壁は、「一人のヒロインを選び続けると、即バッド」の事象である。ルートになど簡単には通されない。残念ながら仕様である。
ではどうするのかというと、ヒロインとあまり話さない回を意図的にスルーする必要がある。この回を一度でも選んでしまうと、バッドエンド確定である。
通常プレイでは、このような条件に気づく由もなく、この時点で、ノーヒントでは10回単位のやり直しが要求されることだろう。

では個別ルートで救いがあるのかというと、ご想像の通り、そんなことは断じてない。
本作のあらすじは、「潰れそうな写真部を再建するため、主人公の力が必要であることが判明。かくして彼は、ヒロインたちと四苦八苦することになる――」
といったものであるのだが、主人公はほとんどのルートで最終的に写真部を放置することとなる。
例えば、あるルートでは大学生になった後に、幼なじみヒロインと同棲。尻を揉んで終了。写真部など言及もされない。
あるルートでは大学生になった後に、ヒロインの親の会社に、主人公が内定を貰って終了。写真部など言及もされない。
あるルートではヒロインが主人公にどこまでもついていく宣言をして終了。写真部など言及もされない。

メインヒロインルートに至っては、写真部に若干の言及こそあるものの、それらよりも更に凄惨としている。
ルートに入った直後、2回のHの後、『寝る間も忘れて肌を重ね、夜を摩擦し続けて。気がつくと数年が経っていた――。』と超絶展開。
数年分の食料を備蓄した家にこもり、彼らは裸族の儀式とばかりに、二年間に渡り性交し続けていたというのだ。
走りだした展開は止まらない。ユーザーはそのわずか5クリック後に、裸族の儀式の真髄を目にすることになる。
曰く、彼らが引きこもっている間に、街は細菌テロにより壊滅していたというのだ。当然伏線など、あるわけもない。
かくして様々な謎が残されたまま、『果たして、無事に明日、部室で会えるかどうかは、誰にもわからない』の一文でEND。
写真部はというと、他の部員たちの尽力でなんとか存続したようである。めでたしめでたし。

唯一、本作品のテーマが果たされるのは、意外にもバッドエンドである。
主人公が自室の窓から飛び降りたところでENDのこのルート。写真部存続がはっきりと記載されている。
主人公の存在意義とは、一体何だったのだろうか。

本作極めつけのネタは、名前変更バグである。
本作では主人公の名前は変更可能であり、全角で1~4文字指定であるが、とある方法を用いるとこれを回避し、半角255文字まで指定できるようになる。
プレイヤーたちの飽くなき探究心を褒め称えるかのようなこのバグは、キャラクターにオリジナルのセリフを喋らせたり、
テキストウィンドウにAAを表示したりと、長きに渡りスレ住民たちを楽しませることとなった。

かような超特大のクソを連続射出してなお、クソゲーたちはラストスパートとばかりに勢いを増していた。
前作流用や特典商法で詐欺同然と言われ、Hシーン中で連呼される「タノシイネー」が全く楽しそうではない『プレミアムプレイ ~ダークネス~』、
Hシーン中に「キモッキモッキモッキモッ」と音声をぶつ切り再生、さらに前作MODが使えない『3D少女カスタムエボリューション』、
風景テクスチャを電車窓に貼り付ける前衛的な痴漢ゲー。のはずが、電車内で堂々とHを始める露出狂ゲー、『いたずら学園』
といった異次元の戦士たち、3Dゲーのデルタアタックが1月30日、31日にかけて、トドメとばかりにスレを襲い、
3Dエロゲーたちの業の深さを広く知らしめた。

かくして、計11発のメテオが降り注ぎ焦土と化したこの地、どこか満足気な顔をしたクソゲー戦士たちが立っていたのであった。


さて、紙幅も厳しくなってきたため、そろそろ大賞・次点の発表に移りたいと思う。
2013年度クソゲーオブザイヤーinエロゲー板、次点は
『リア充爆発しろ! ~変身能力手に入れたんだけど質問ある?~』
『逃避行GAME』
『カルマルカ*サークル』

そして栄誉に満ちた、煌々たる大賞を取得したのは
『明日もこの部室(へや)で会いましょう』
である。

本来これらのゲームは、全てがディスクを叩き割りたくなる、そういった存在であった。
『リア充』はコピペと鬱陶しい擬音で神経を逆撫でし、『逃避行』はバグとメーカーの対応で殺意を加速させ、『カルマルカ』は前作の好評を覆し失望をもたらした。
しかし、これらには、ある共通の特徴が含まれていたのである。
『リア充』は「ずっぷ!」と「そして僕は~」、『逃避行』は「イラッシャイマセー」、『カルマルカ』は「憤怒の摩訶」と「ハッピー&スマイル」で年中スレを賑わわせた。

KOTYは、クソゲーを掴んだやるせなさを互いに拡散し、笑いに昇華するスレである。
一人にとってはどんなに苦痛でも、人と人とが繋がれば、必ずネタに出来る。笑顔にできる。彼らは、それを己が身を以って証明したのである。
私はこれらに、さらにはこれらをネタとして発展させた方々に、心からの敬意を表したい。これこそがKOTYの真に美しい姿ではないか。

この点で、『部室』は際立って輝いていた。
スレに現れた当初は、その意味不明なフラグ管理に、
その次は前後不明、唐突すぎる超展開に、
最後に、隠された壮絶な名前バグに、
我々住民は心から熱中し、心から爆笑できたのではないかと思う。
これらは、クソゲーとして、記憶を個人の心にしまい込めば決して得られなかった、最高のエンターテイメントではなかろうか。
その意味で、三段構えの「笑い」を潜ませていた本作は、立派な「神ゲー」である。

今年は、夏の段階ですでに豊作、その後のラッシュも鑑みると、掛け値なしに大豊作の年であった。
また、大いなる門番、閑散期を埋める小粒の精鋭たち、そして年末に現れる弩級の魔物と、稀に見る理想的な配置であったと言えよう。
しかし、理想だけではない。今年は個々のクソゲーが予想外の、新たな領域を開拓し始めた挑戦の年でもある。
激動の大航海の先に、我々はどのような大陸を発見するのであろうか。
願わくば、モラルの低下が叫ばれる中、全力ですっ飛んで転んでいくような、新進気鋭のクソゲーたちの出現を切に願う。
それが、また新しい笑いの種になるのなら。
大いなる不安と、微かな期待を胸に、2013年の終結をここに宣言する。

最後に、「神なるクソ」こと『明日もこの部室(へや)で会いましょう』より、精一杯の怨嗟と感謝を込めて、
以下の言葉を拝借することで本年の幕引きとしたい。

「果たして、無事に来年、クソゲーに会えるかどうかは、誰にもわからない」