赤さんと吸血鬼。 選評

選評1

【2013】 クソゲーオブザイヤーinエロゲー板 55本目http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1386166159/
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名前:赤さんと吸血鬼。選評 1/6 ◆4.NGLbaCw6 [sage] 投稿日:2013/12/24(火) 14:07:48.41 ID:ou7+CqO00 [2/9]
タイトル:赤さんと吸血鬼。
ジャンル:ある朝、赤さんが落ちていたADV
発売日:2013年11月29日
ブランド:ALcot ハニカム
価格:9,240 円(税込)

要点
・実質一本道でボリューム不足
・なにもかも唐突で脈絡のないストーリー展開
・雑学で文章量水増し
・一部の伏線を投げっぱなしのまま終了
・赤さんが不快

どうしてこうなった―――――

2013年11月29日、ALcotハニカムから新作「赤さんと吸血鬼。」が発売された。
見栄えのするグラフィックに加え、このメーカーの作品はアタリとハズレが交互に続いてきたという過去の法則に従えば良作の番であることも相まって、発売前には一定の期待を集めていたのだが……。
あまりに完成度の低いシナリオがほかの要素までひっくるめて台無しにしてしまった。いわゆる「素材は良いのに調理が駄目」というパターンである。
以下にその詳細を記す。

第一にボリュームの少なさ。
ストーリーはほぼ一本道で、3人いるヒロイン達の個別ルートは事実上存在しない。
選択肢の影響は、一部イベントでペアになる相手・後に入るエロシーン・最終的に結ばれるヒロインが変化する程度である。
一周目が終わったあとはスキップを駆使してわずかな取りこぼしを回収する作業が残るのみで、コンプまではせいぜい十数時間前後。
フルプライスでこの量では到底充分とは言えまい。

次に内容の薄さ。
これはおもに心理描写の不足と設定の活かされなさに起因する。

まず、恋愛ものの重要点である好きになる過程がろくに描かれない。
「なんで惚れたか確かめたいから抱いて」
「お前を見極める必要があるからち○ちん挿れて」
「いつの間にか好きになってたから抱いて」
と、ヒロインたちが序盤から次々と股を開いていくさまは出来の悪い抜きゲーを彷彿とさせる。
そうして主人公は最初の選択肢より前の段階でメインヒロイン3人全員と寝るのだが、その三股がバレてたときですらヒロインたちはあっさり受け入れてしまい修羅場にもならない。逆にハーレム展開もない。
エロシーン中だけ人が変わったように双方ノリノリになるも、終われば何事もなかったかのように元通りというひどい有様である。

そもそも主人公やヒロイン達には大きな目標や葛藤が無いか、あっても掘り下げられない。
なんとなくやって来た転校生。ついて来ただけの従者。漫然と日々を過ごし、単に仕事だからとバトルを仕掛けてくる敵対者がいればただ自衛のためだけに応戦。
一応難題を抱えているヒロインもいるがあまり触れられもせず、最終的には本人が風邪でダウンしている間に別のヒロインが電話一本で容易く解決してしまう。
そして主人公は何をするでもなく、基本受け身のくせにリアクションも薄く、ほぼ全編を通して状況に流されるのみ。

要するに人物の内面や設定とストーリーの間に強い結びつきがない。言い換えれば、これといってストーリーを盛り上げることもなければストーリーによって掘り下げられることもないのだ。
そのため最終盤で主人公の素性やヒロインの秘密などが立て続けに明かされる展開でさえ、見せ場というよりもただ慌ただしく、突如打ち切りが決まった漫画の最終回のようである。

さらに、わざと難語や遠回しな表現を使ってから聞き返させた上で言い直したり、本筋に無関係な雑学を事あるごとに披露するといった文字数稼ぎの乱用が内容の薄さに拍車をかけている。

ストーリーのぶつ切り感も尋常ではなく、例えるなら下手くそに編集されたダイジェスト。
個々のシーンが前触れもなく始まり尻切れトンボで終わるだけでなく、それらの連結がアイキャッチや暗転といった合図もなしに行われることが多い。
つまりは状況を理解するために必要不可欠な情報が欠けているのだ。
そのためプレイヤーはこういった場面転換が行われる度に現状を見失って置き去りにされ、今はいつどこで何が行われている最中なのかを一から把握し直す必要に迫られる。
特に日常シーンは短いエピソードの寄せ集めという構成のため切り替えが頻繁で、次々にシーンが飛ぶ印象を強く受ける。
酷い場合は場所を変えずに時間だけが唐突に飛ばされ、「登校の準備をしていたはずが放課後になっていた」のように場面転換自体に気がつかないほど。

エロシーンも同様で、その多くが「挿入寸前に始まり絶頂と同時に終わる」ため情緒の欠片もない。さらにストーリー全体の流れを考慮せず日常シーンに混入されており、初手にワンクリックでいきなりエロCG表示から入るという奇襲を頻繁に仕掛けてくる。
例えば、肝試しでペアになりたい相手を選択した瞬間にエロ真っ最中の場面にワープして肝試しは徹頭徹尾ガン無視、という具合である。
これでは感情移入どころではない。

冒頭が「一体どうしてこうなったものか。」「正直、何が起こっているのかわからない。」といったライターの開き直りとも取れる一文から始まる場面も多々ある。唐突だと理解しているなら世に出す前に改善してほしかったものだ。

加えて、地の文に一人称と三人称が不規則に混在していることがより一層の混乱を招く。
実は全てひっくるめて計算ずくの演出というわけでもない。仮にそうだったとしても、得られる効果より負担や混乱の方が大きいのでは本末転倒である。

ここまで述べた通り、描写は手抜きで構成もでたらめなため、態度は突然変わるし場面もいきなり切り替わる。
これら内外両面の唐突さが合致する瞬間の、二重の「どうしてこうなった」こそが本作のクソ要素の真髄であろう。いくつか具体例を挙げる。

・停電くぱぁ
夜の寮で突然の停電ハプニングの最中、唐突に昼間の学校屋上が表示される。
何事か理解する間もなく、さらに唐突にヒロインが丸出しの尻を主人公に向けてくぱぁしているCGに切り替わってエロシーンに突入。
そしてこれがそのヒロインの最初のエロシーンなのである。もちろん痴女という公式設定などは無い。
夜の寮→昼の屋上→くぱぁまではわずか3クリックの急転直下である(画像1)。

・フライング脱衣
あるヒロインが夜中に主人公の部屋へ忍び込んで告白して即Hという毎度の急展開シーンで、エロCGがフライング表示される。
そのため入室の段階ですでに半裸でそのまま告白、しかもその点について両者とも言及しないという噴飯物の状況に陥る(画像2)。
繰り返しになるが、これもまたそのヒロインの初体験で痴女設定はない。
ちなみにこの次のシーン冒頭では珍しく状況説明が行われるのだが、それでも16クリック後には別のヒロインによるパイズリ状態へと移行完了する。

・良心的逆レイパー
サブヒロインの一人は、二回あるエロシーンの両方がほぼ逆レイプである。
しかも主人公とのまともな絡み一発目が肉体的絡みという相変わらずの唐突さ。
何度でも言うが設定上処女ではあっても痴女ではない。
具体的には、最初は体育倉庫に呼び出したところを不意に押し倒してそのまま、次は事前に催眠で意識を混濁させた上で夜這い。
主人公があまり抵抗もせず受け入れるので結果オーライなのかもしれないが、このサブヒロインの公式設定にある「普段の行動はごく良心的」というフレーズが虚しく響くことに変わりはない。

画像1:ttp://yui.oopsup.com/browse.php/KOTYE/akasan1.jpg
画像2:ttp://yui.oopsup.com/browse.php/KOTYE/akasan2.jpg

赤さんについても触れておこう。
思わせぶりな扱いから察するとシナリオの柱として重要な役割を果たしそうな気配が濃厚だが、実際はせいぜい日常を賑やかす程度の脇役にすぎない。
赤子の胴体に少年の頭を繋ぎあわせたような歪な姿をしている上に中身はほとんどオッサン(画像3)で、見た目が乳児なのを悪用してヒロインたちの乳を性的な意味で執拗に狙うという、概ね悪い意味でクセの強い誰得キャラクターである。
様々な謎のうち半分は早い段階で自らバラすも以降のシナリオにさほど絡まず、残り半分はそのまま最後まで放置という意味の無さ。
SF的な設定もご都合主義な展開に強引な理由付けをするための手段でしかなく、観る側を楽しませるためではなく作る側が楽をするための便利な道具にすぎない。
手抜きの結果として予定と違うものになってしまったという意味でなら、本作を象徴するキャラクターと言えよう。

画像3:ttp://yui.oopsup.com/browse.php/KOTYE/akasan3.jpg

シナリオ以外の要素は軒並み標準以上の質を保っている。
CGは個性的かつ美麗だし、エロシーンも20あって尺やバリエーションもそれなり、ムービー・声・音楽・システムなども悪くなく、設定もそれ自体に問題があったわけではない。
だからこそシナリオがこれらを活かしきれなかったことが余計に残念だ。

メーカーは発売日を境に本作を話題にしなくなったことから鑑みるに、胸を張って勧められる出来ではないという自覚があるのかもしれない。
いずれにせよ少なからぬファンの期待を裏切ったことは確実であり、その事実は重く受け止めていただきたいものである。

選評2

【2013】 クソゲーオブザイヤーinエロゲー板 55本目http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1386166159/
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名前:赤さんと吸血鬼。 ◆BhMxq0rEd. [sage] 投稿日:2013/12/24(火) 17:25:57.88 ID:rm4ltM0W0 [5/9]
赤さんと吸血鬼。選評
メーカー:ALcot ハニカム
発売日:2013年11月29日
価格:9,240円(税込)

「ALcotハニカムの奇数作は良作の法則」を信じて購入したがどうしてこうなった

要点
・設定だけのハリボテ
・攻略キャラは3人しかいないのに全編共通ルート
・エロシーンは唐突かつぶつ切りで実用に耐えない
・チョロインを超えた何か
・後に何も残らない

まず簡単に登場人物について紹介
・主人公
ヒロインと同じ寮で生活している

・赤さん
主人公の未来の子供と自己申告する赤ちゃん
主人公とはテレパシーで会話が可能で、中身はおっさん思考

・吸血鬼
人の思考と視界が読める能力者で、人間の血を飲むとパワーアップ
太陽に弱いが、UVカットジェル等ある程度対策をしている

・メイド
吸血鬼によって身体能力を上げられた従者
その代わり燃費が悪く大食らい

・理事長の孫
行方不明の理事長(祖父)に変わって学園の理事長代理をしている

上記3ヒロインルートの途中にバイト戦士と赤髪(敵キャラ)の唐突なエロシーンが挟まる


本作の特徴として、赤ちゃん(作中で赤さんと呼称)が玄関先に捨てられており、主人公達が世話をする過程で仲良くなる。
しかし、この赤さんが何故ここにいるのかといった話は一切明かされず、途中から主人公とテレパシーをやりとりしたり、ラスボス撃破後瀕死の主人公を治療したりと非常にご都合主義。
赤さんは主人公の未来の赤ちゃんとして確定したいとは言うものの、本人の思考はおっさんで、隙あらばヒロイン達の裸を見ようとしたり胸を触ったりする。

本作は3ヒロインのルートが存在するが、全編共通ルートとなっており、3回の選択肢で3ヒロインのうち誰を選ぶかでENDのみ変わる。
各選択肢でオート5分程度の話が挟まるが、シナリオ分岐などはせず全ヒロインと唐突にエッチする。
暗転→エロシーン→暗転→全然関係ない話 とキンクリ仕様(暗転すらないパターンも)かつ、ヒロイン側から唐突に襲われて、ダメだと言いつつノリノリの主人公。そして3~4股になるが、ヒロイン同士にバレてもあっさり流されて終わる。
また、ヒロインが主人公に惚れる描写がほとんどなく、唐突にエッチだけして日常に戻るだけで感情移入もクソもない。

シナリオ序盤、吸血鬼が人の心を読めることが主人公にバレるきっかけとなる学園爆破予告事件が起こる。
タイミング的に吸血鬼の存在を知る組織による工作かと思ったらそうではなく、犯人の動機が最後まで説明されない。

理事長の孫ルートで行方不明の理事長の問題と実家との確執を解決するのかと思ったら、ジェバンニも真っ青になるレベルの早さで吸血鬼とメイドがいつの間にか解決してしまった。

第四章で敵キャラとして唐突に少年と赤髪が現れる。吸血鬼が彼らの心を読めないので警戒するがだらだらとシナリオが進行する。
第五章でようやく吸血鬼と少年、メイドと赤髪が決闘する。その際に赤髪が結界を貼って誰にも戦いを悟られないようにしたが、赤さんは普段から認識の外にある存在、特異点だからという謎理論で戦いを感知して主人公とともに決闘の場へ。
吸血鬼は人の視界が見えるかわりに自分の視力がないという設定が明かされ、主人公の視界が吸血鬼の助けになって吸血鬼の勝利となった。
メイドが少年にトドメを刺そうとしたが先生が乱入、先生実は炎を扱う能力者で吸血鬼ハンターだったんだぜ!!
実は主人公も吸血鬼ハンターで心を読まれないために記憶を封じられていたんだぜ!!
などと最終バトルのための後付設定がドンドン飛び出してくる始末。
また、この戦い自体の必然性も皆無で、何がしたかったのかわからない。

最後を盛り上げようとしたのはわかるが、唐突なバトルの上、全ルート共通なので全く盛り上がらないし、1人攻略後はスキップして1時間もあればフルコンプ可能という、後に何も残らないシナリオであった。

今なら赤ちゃんの育て方とスウェーデンの豆知識とエロシーン20枠がたったの税込み9,240円!!安い!!

以上です

最終更新:2014年08月03日 11:47