聖ブリュンヒルデ学園少女騎士団と純白のパンティ 選評

選評1

【2013】 クソゲーオブザイヤーinエロゲー板 59本目
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1389714864/

聖ブリュンヒルデ学園少女騎士団と純白のパンティ~~甲冑お嬢様の絶頂おもらし~
メーカー:One-up
発売日:2013年8月30日
価格:9,240円(税込)
音声:攻略キャラフルボイス
メディア:DVD-ROM
対応OS:Windows~XP/Vista/7/8~日本語版
ジャンル:お嬢様学園で少女騎士が俺を巡って争うADV


株式会社テックアーツ傘下のブランド「One-up」より
2013年8月30日に発売された本作。

前作「デデンデン!」の評判があまり芳しくなく(※1)
また「少女騎士」「巨乳」「お漏らし」と
特定の性癖を狙い撃ちにしたコンセプト等の面から
主にメーカースレで密かな、そして僅かな期待と不安を受けて世に放たれた「ブリュパン(※2)」だが…
残念ながら予感は悪い意味で的中したといえる。


※1…テックアーツ作品のお約束として原画は評価されている様子
※2…本作の略称(公式HPより)

ブリュパンをクソゲーと捉える根拠として、
以下の三点を挙げるものとする。

・ボイス削減の意図が見て取れる冗長な構成のテキスト
・独白が長いベッドヤクザのヘタレ主人公と喋らないヒロイン
・その他、システム面など

それでは第一にテキスト面から見ていきたい。

http://yui.oopsup.com/browse.php/KOTYE/seibugaku.jpg
http://yui.oopsup.com/browse.php/KOTYE/buryu_day1.jpg
http://yui.oopsup.com/browse.php/KOTYE/buryu_day2.jpg
http://yui.oopsup.com/browse.php/KOTYE/buryu_day3.jpg

「seibugaku」は作中の断片的な場面を繋いだだけなので例外とするが、
日常シーンにおいて、
どうにもボイスアイコンの数が不足しているように思える。
反面その不足部分を補うかのような、余りある主人公の独白。
これが本作のテキストの特徴といえる。

ちなみに
day1のボイス数は2/20
day2のボイス数は2/30
day3のボイス数は2/25

day3はヒロインと二人きりの場面ゆえに
ボイス数が少ないのも頷けるが、
day1とday2はヒロイン(※3)が半数以上集合している状態である。
何故こうもボイスが少ないのか。
それはテキスト内に三点リーダー、疑問符、感嘆符が多用されているところに答えがある。

※3…ボイスが収録されている登場人物はヒロイン6名のみ

しかし元を辿ればエロゲーといえばボイスがないものだった。
音声といえば、BGMのほかに精々主題歌が一曲収録されていれば良い方であり、
力の入ったタイトルではOPテーマ、挿入歌、EDテーマと曲数の増加も見られた。

よって当時において「ヒロインの音声ボイスが無いからクソゲー!」等と言う批判は的外れも良いところであった。
そもそも音声ボイスなど無くとも、面白いエロゲーというのは存在したうえに、現代においてもそれは例外ではない。

それに比べて昨今のフルプライス価格のエロゲーときたら、ボーカルソング収録は殆ど当たり前。
ボイス面もメインヒロインに限らず、
親友キャラを始めとする主要登場人物に含まれる男性キャラ、それに加えてまさかの主人公、
挙句の果てに顔の無いモブキャラにまで音声が収録される始末。

更に世の中にはミドルプライス価格のエロゲーで、
上記の環境を整えてくれる良心的なブランドが存在するのだから頭が上がらない。

「現代のエロゲプレイヤーはこうした良心的なメーカー側が用意してくれるフルボイスという環境に甘えている」 「文字テキストを読むだけでゲームの世界観に浸るほどの想像力が欠如しているのではないか」
「昔のエロゲにはボイス自体が無かったのだから、多少ボイスが少ないだけでクソゲー批判は甘え」
「ヒロインの台詞(ボイス)が多いと読むテンポ(クリックのテンポ)が落ちるから、これくらいがベスト」

こうした意見を持たれる方も当然いるだろう。
では何故、このブリュパンをテキスト面でクソゲーと捉えるのかを説明していきたい。

余談ではあるが、
フルプライス価格のブリュパンには主題歌が存在していない。
OPテーマもEDテーマもタイトル画面のBGMを流用している。

http://yui.oopsup.com/browse.php/KOTYE/buryu_day4.jpg
http://yui.oopsup.com/browse.php/KOTYE/buryu_dayex.jpg

上記の画像を見て頂きたい。
上で挙げた画像と同じく、
プレイ画面には主人公の独白テキストが目立ち、
ヒロインの台詞は殆ど無く、あっても「……」「!!」といった記号台詞が半数以上を占めている。

ここで何が問題かと言われると、
主人公とヒロイン、またはヒロイン同士の間で会話のキャッチボールが成り立っていないのである。

テンポの良い会話というものは
例えば人物Aの台詞に、即座に別の人物が反応することで成り立つと考える。
更にそこにすかさず人物Aの返しや、上で反応した人物の追い討ち、
または人物Cや人物Dが新たに便乗したりすることで賑やかな会話が出来上がる。
無論上記は一例であり、他にもテンポの良い会話を表現する流れは幾つも存在する。

ところがブリュパンに至っては、このような相互のコミュニケーションによって成り立つ会話が殆ど行われていない。
大半の場合が主人公側の一方通行。
複数人に向けて喋っても声に出して応えてくれるのは、4~5人中1人か2人。
あまりにも光景として寂しいものがあり、ゲームの臨場感としても欠けている。

また単純な問題として、
ヒロインが内容のある台詞を喋ってくれないとプレイヤーがヒロインの性格を把握し辛いということもある。

http://yui.oopsup.com/browse.php/KOTYE/bryu_day5.jpg
この画像に登場する都瑠璃子のような無愛想な無口キャラならまだしも(※4)
他の全ヒロインも頻繁に「……」と口を閉じるのだから、
個性も何もあったものではない。


※4公式のキャラ紹介ではそのような記載が一切ないが、
  作中での「……」の頻度は彼女がダントツで多いので、開発側からすればそういう位置づけなのだろう

幸い、このゲームには複雑な設定というものが皆無ではある。
公式HPの世界観の項目には長々と用語の解説が載っているが、
流し読みする程度でも本編コンプリートには差支えがない。

しかしヒロインの口が開かれないということは、
ヒロインAの人物像、それに加えヒロインAの人間関係、
ヒロインAの普段の言動などの描写が極めて不足という事態に陥っているのだ。

よって攻略ヒロインに愛着どころか興味も示せないうちに、
ただでさえボリューム不足のシナリオは佳境に移り、個別ルートへと至る。
公式サイトのコンセプトでエロ要素を推しているだけあって、
個別ルート突入後は比較的すぐに初回エロシーンへと突入する。

http://yui.oopsup.com/browse.php/KOTYE/buryu_ero.jpg
流石にエロシーンで「!」や「……」を発言するほどヒロイン達はマグロではなかった。
しかしそれにしても主人公の独白が多いため、抜きゲーのテキストとしては壊滅的な出来である。
基本的な分量として、ヒロインの台詞は4~5クリックに1度の頻度(※5)であり、
ヒロインが喋るたびに、ほぼ確実に
長々とした主人公の独白が3~4クリック(+主人公の台詞)が挟まる。

画像を見ても判るとおり、美しいほど規則的になっている。
またエロシーン自体の長さも短めで、BGVやアニメーションも存在しない。

フルプライスの作品で主題歌はなく、ヒロインボイスは少なく、
アニメーション等の特別な要素もない。
この作品の予算は何処に使われているのだろう。
この段階では恐らくグラフィックと推測できるが…。

※5…主人公の射精時など例外はある

続いて主人公にも軽く触れておきたい。
公式HPには一切記載がないが、本作の主人公は中々のヘタレである。

http://yui.oopsup.com/browse.php/KOTYE/buryu_go1.jpg
幼い頃に甲冑武闘(正確には異なるが)で受けた傷が原因で、
些細なことでトラウマが蘇り、ヘルムを被らないとパニック症状に陥る。
日常シーンにおいて、基本的に主人公はヒロイン達に頭が上がらない。

http://yui.oopsup.com/browse.php/KOTYE/buryu_go2.jpg
一方で下半身には正直なベッドヤクザでもある。
ヒロインと二人きりで、なおかつ相手が無防備なとき
または他人の目がないときにヒロインの下着などがあるとき
主人公は水を得た魚の如く、盛った獣のように性欲を解き放つ。

画像のようにクラリスルートでは

①主人公が盛る(目的の為なら強姦も嘘吐きもする)
②賢者タイムで主人公、己の行為を後悔する
③数日後、主人公やっぱり我慢できずに欲望のまま①に戻る

といった流れが繰り返される。
抜きゲーの主人公としては理想的なタイプとの意見もあるかもしれないが、
公式HPでわざわざ情報が伏せられていることも手伝って、
あまりプレイヤーに良い印象を与えないタイプといえるだろう。

ここでも余談ではあるが、
公式HPのコンセプトに「あなただけに心と体を許し」とある。
しかし許してない場合がクラリス(※6)や幸(※7)を筆頭に割と多い。

※6…姫様第一の気の強いヒロイン
※7…ツンデレを自称する理不尽暴力ヒロイン

公式HPのストーリーの項目に
「俺を巡って争う」「女子オンリーに男1人」とあるが、
前述の通りヒロイン達の描写が少ないため、
主人公が魅力的なハーレム環境に置かれているという実感は一切湧いてこない。

エロに関しても、既に触れたとおり。
タイトルに含まれている「お漏らし」や「純白パンティ」に対するフェチ要素も薄く、
なんとなくヒロインの下着の大半が白で統一され、
なんとなくヒロインがイった時に放尿している印象が強い。
何よりの問題はこれらの要素が直接エロさに結びついていない点である。

CG自体のクォリティは高いが、差分も標準より少なめで、
衣服の着脱の差分よりも、精液の量による差分で誤魔化している面が否めない。

CGの総数は79枚、SD絵6枚。
エロシーン数は40。
なお79枚のうち3枚は立ち絵のバストアップによる水増しであるため、正確には76枚。

これが一般的に多めなのか少なめなのかは判断が付かないので、
ここでは言及しないものとする。

最後となるが、システム面についても課題は多い。
ワイド非対応(環境によってはフルスクリーン時に縦横比が合わない)、
ボイス再生を継続したままの台詞送りができない等、
他社ブランドに比べて劣る部分が見当たる。
特に後者は非ボイス部分の多い本作において、プレイのテンポを崩す点で致命的である。

いまどきメインヒロインの立ち絵が表情・服装などの差分を除き、基本一種類というのも味気ない。
クラリスのみ男装時、少女騎士時の2種類が存在するが
それ以外のヒロインは日常シーンにおいて公式HPのトップ画像(※8)のポーズのままである。
腕を組んでいる幸はずっと腕を組んでいるし、都はずっと腰に手を当てている。

実際プレイすると分かると思うが、
立ち絵が切り替わらない日常シーンをやっていると割と気が滅入る。
ヒロインの立ち絵が延々同じ角度であるため、平面的なイメージが植えつけられるのだ。

※8…左右クリックで表示が切り替わる

どうもテックアーツ傘下のブランドの作品は
異常なほどまでにボイスの量をケチる傾向にあるように思える。
原画やグラフィック、作品コンセプト自体は素晴らしいのだから
このような明らかな手抜きを行わずに製品作りに取り組んでもらいたいものである。

前作「デデンデン!」では体験版を公開していたのに、
本作では体験版を一切公開していないあたりもキナ臭い。

フルプライス価格で主題歌なし、ボイス量はミドルプライスの作品未満。
システムやボリューム自体も他社に比べて大きく劣る。
本作の価値といえば数十枚のCGのみといえるだろう。

http://yui.oopsup.com/browse.php/KOTYE/buryu_past.jpg
最後にヒロインの1人、兜不二子(※9)の過去回想シーンを貼って〆としたい。
何故か彼女の過去回想シーンではメインヒロインの台詞すら収録されていない。
ヒロイン(幼少時)はフルボイスの対象外というのなら、
なぜ兜不二子だけ収録されているのだろうか。

ボイス未収録部分に切り替わるやいなや、、
途端にヒロインの台詞の密度が増すという不思議な光景に苦笑いしつつ、
本選評を終えたいと思う。


※9…何故か彼女のボイスは他ヒロインに比べて少し多め

最終更新:2014年08月03日 11:43