お嬢様はご機嫌ナナメ 選評

選評

【2013】 クソゲーオブザイヤーinエロゲー板 55本目http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1386166159/
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名前:お嬢様はご機嫌ナナメ 選評[sage] 投稿日:2013/12/23(月) 00:17:28.63 ID:A1JA1CX40 [1/13]
タイトル:お嬢様はご機嫌ナナメ
発売日:2013/05/24
ブランド:ensemble
価格:税込9,240円

要点
・全体的におかしい設定だらけのキャラとストーリー
・キャラを全員トンデモ設定にした結果、普通の人間が少ない
 ・しかも普通のキャラのルートが短かったりする
 ・本筋の設定が割と滅茶苦茶。かなり破綻している
・システム等に目立ったバグはなく、絵に特別おかしいところもない
・しかしそれゆえにシナリオのクソさが目立つ
・発売から半年ほど経ってからアフターシナリオを配布
 ・内容は薄い。何故か本編のどのルートのアフターでもない扱い
 ・ついでに人気投票1位のキャラを出番一つなくスルー
 ・さらに通常の購入特典と同じように1ヶ月の期間限定

お嬢様はご機嫌ナナメは『日本は1000兆の借金しても大丈夫!』の超理論を展開したことでタイトルを目にした人も居たかもしれない
インパクトで言えばたしかにそれが一番であったが、他の部分というかそのシナリオ全体がアレであった

主人公はメインヒロインである七枷 七波(ななめ ななみ)お嬢様に付いている執事である
いきなり脱線するがこの七枷(ななめ)、どうやってもこう読めない。枷の読みは「かせ、カ、ケ」であり、どう考えても「め」にはならない。
仮に名前ならばとんでもない読みでも理解できなくはないが、苗字にこれは無理がないだろうか

さて話を戻すが、「主人公に勝たないと結婚できない」というよく分からん暗黙のルールみたいなものがあるせいで、
主人公は多くの御曹司から決闘を吹っ掛けられてきたという設定でこの話は始まる
が、この時点でおかしい。日本には決闘罪、正確には「決闘罪ニ関スル件」という法律がある
決闘を挑んだ者・応じた者・行った者・立会人などみんな捕まるそうである

もちろん、これ一つだけであるなら目くじらを立てるようなことではないだろう
決闘罪で捕まるということも現実的にはあまり考えられない
が、この作品中にはこれ以外の犯罪行為が数多く登場し過ぎるのだ
金持ちだから何やってもいいだろという雑な設定が、だんだんと鼻に付いてくるのである
と同時にこの根本的な決闘の所もおかしくね?となってくる

具体的にどんな犯罪行為があるかといえば、まず主人公は勝手に屋敷の物を裏で売り払っている
また横領をしていた相手から10億ほどの金を騙し奪ったりもする
もちろん作中でも先に説明した決闘が行われ、外国から呼んで来た格闘家と野良試合をしたりする

加えて主人公を敵対視する友禅寺鶴美(ゆうぜんじ つるみ)は決闘前に主人公を襲わせる
結果として襲撃を受けた主人公は轢き殺そうとしたり、銃撃したりしている
さらに妹ルートでは妹を連れ去ったり、お嬢様ルートではどこからか独自の電子通貨の導入を決定したりしている

挙げられるだけで窃盗、暴行、傷害、銃刀法違反、殺人未遂、誘拐、恐喝、詐欺などの罪を犯していると思われる
が、不思議なことに誰も捕まらない。
設定上は現代日本のはずだが、1000兆の借金がどうにかなるあたり実は平行世界で、法治国家ではないのかもしれない

次に経済の話についてだが、そもそも経済において特に国家がとる経済政策においては何が間違いで何が正解かを厳密に定めるのは難しい
一時期は正解だとされていた理論が間違いになることもあるし、逆もまた然りなのである
つまり経済というものに、それもよりにもよってエロゲで触れようとすること自体が間違ってると言えるだろう

もちろん、エロゲの内容が全て正しい必要なんてないのだから、適当でも構わないと考える人もいるかもしれない
だが、それならなぜよりによって経済の話に触れるのか?
金持ちキャラが出てくる作品など過去に山ほどあったと思うが、経済に触れなくても話は進められるということはそれらの作品が証明してくれるだろう

ついでに、今現在の日本の経済状況を想定して書いてあるのも性質が悪い
今流行っているものを取り入れたネタなども、すぐに鮮度が落ちてしまって面白くなくなることからあまり好まない人もいるだろう
経済の話の動きかたはそれ以上である。この作品のシナリオはそもそも面白くなかったが、数年もすると理解不能になって読めなくなる可能性もあるのだ
そういったネタを入れようとすること自体が愚かしいと言えるだろう

ただ『1000兆の借金をしても大丈夫』という話の内容を批判対象にしていいかは少し疑問な所はある
というのも、この部分を一から考えたとはまるで思えないのである。どこかで見た話を丸写しした可能性もかなりあると思われる

途中でデフレについて妹に説明し、その直後に自分で説明したことから財閥の経営が危険であることに気付くシーンがある
デフレなのに決算が前年比と変わらず、利益を増やすヒット商品もでていないことから粉飾決算を行っている、と主人公が判断するのだが
コスト削減という概念はとこかに行ってしまったのだろうか。というか、人件費を削らないのにデフレが持続する社会とかもはや意味不明である
直前にデフレに付いての説明では触れているところを見る限り、やはり経済についての説明部分はどこかからコピーしてきたものらしい

ついでに、一期だけの決算内容から何が分かるというのだろうか。この作品は全体的にやたらと数字を出したがるが、特に意味はない
どころか出てきた数字から繋がる結論が間違っていたり、そこから矛盾がどんどん生まれたりする
しかも別に数字をだす必要はほとんどない。説得力が増すと思い込んでいるふしが見られる
こういう説明の書き方は雑というのを通り越して、ただの字数稼ぎにしか見えない。というか実際そうなのだろう

それとデフレ=企業の損益という解釈になっているが、物価の下降要因は一つではない
また目安となるインフレ率は物価の平均をとっているのであって、数十%下がるものもあれば上がるものもある
なのでマイナス2%のインフレ率=企業業績も一律マイナス2%とは、ならないのである

ついでにマイナス2%の物価下落とは、リーマンショック時くらいの下落の仕方である
このレベルで物価が下落するなら、それなりに大きな問題がでていないとおかしいのだ
それなのに「デフレということを失念していたために今まで気付かなかった」という説明がされている
これは経済を一部分だけ切り取ったせいで起きている現象で、実際は全体が連動しているために他にも問題が起きているはずなのである

この作品は経済に関わらず、こうしたハリボテ設定が多い
説明されるところだけだと問題ないように見えて、裏での繋がりが全く出来てなかったりするのだ
また、別の所で語られる設定とかみ合ってない、なんてこともザラである

と、ここまでがこの作品の投げやりな共通設定によるクソな部分である
だが、各ヒロインの個別ルートに入ることでさらに別の問題が出現してくるのだ
ルートは全部で5ルートあるが、途中で1度分岐した後でさらに分岐する形になっている

本来一度目の分岐に名前はないが便宜上名前を付けておくとする
一つは財閥ルート、もう一つはアイドルルートである

・七波ルート
財閥ルート側は3つの内の一つ、お嬢様ルートだが先に簡単にキャラ説明をしておく
七波はかまってちゃんな上に、ギャグを連発したり、お嬢様であるがゆえに常識がなかったりする
まあ簡単にいうと変人のウザキャラだ

しかし、いざという所ではまともそうな発言をしたり、実は頭が良い設定である
べらべらと余計な説明台詞を喋りまくる主人公と違って、掴みどころがないためにそれなりに頭良さそうにみえる
それとかなりの無茶振りだらけな感じがするのだが、中の人が頑張っているために割といいキャラである

そんな七波のルートは、分家の一つだった友禅寺家の鶴美との対決になる
そのため説明説明また説明で、かなりの部分をよく分からん話の説明に費やされる
ちなみにこの説明はちょくちょく経済な話がはいるので、また間違いだらけだったりする
パッと見ただけではよく分からず、真面目に考えると間違ってるだけの説明とは必要なのか?
深く考えず読み飛ばせる人には気にならないかもしれないが、それならそもそも説明をカットしてくれた方がマシである

また終盤にはよく分からん仮想取引バトルが展開されるが、ここもツッコミどころだらけである
いちいちツッコミ入れてるとホントにキリがないのが省略するが、ここで出てくる電子通貨の名前がまたアレである
円と交換できる天(てん)という名前で、作中ではTENと書かれる……書いた人は円天事件を知らないのだろうか

ちなみにこの電子通貨の登場は財閥ルート入り後である
共通終了から1ヶ月経っているという話はあるが、準備する時間が足りない気がする
電子通貨の発行許可はそんな簡単に出るのだろうか?
また、円と交換できる電子通貨というのはかなり危険な話である
なんとなく詐欺っぽい話なのだが、円天事件を分かっていれたとするとかなり笑えない話である

・花ルート
桜咲 花(さくらざき はな)は主人公の妹で、主人公が執事であるようにメイドだったりする
まあよくある兄のことが好きというただの妹キャラである。ちなみに血は繋がっていない

多少変態な感じもするが、この作品中では割と常識人である
が、それゆえにルートはあまり中身がない。花と恋人となり、鶴見にさらわれ、帰ってきて終わりである

ただ、このルートは全体的に見るとそんなに悪くない
他のルートより短いため、減点となる部分が少ないのだ
みんな-100点くらいのなかに5点のシナリオがあると相対的にすごく良くみえる、という所だろうか

・詩綾ルート
雪小路 詩綾(ゆきのこうじ しあや)は七枷財閥と並ぶ雪小路のお嬢様である
共通ルートでは本人が主人公と、弟の詩音(しおん)七波が婚約しようとしたりしてゴタゴタするが
主人公に協力してくれる大人しい感じの人、という話だった

が、ルートに入るとこのキャラは豹変する
まずドMらしい。さらに腐女子で、突然主人公を拉致監禁したりする
また腐女子であるために婚約者が見つからず、いきなり主人公は婚約者にさせられそうになる
確かにキャラとして印象に残る設定だった。しかしこの話、どのルートのどこからでも展開できる感じがする

またドMらしいが、主人公だけにそういう所を見せるのか怪しい所がある
さらにこの作中ではなぜか、主人公以外でヒロインと同年代の男性キャラが出てこない
居るのは子供と老人だけで、あとは名無しのモブである
何故か親友キャラまで『心が男だけど体は女』のキャラなのである。ちなみにこの設定が活かされることはもちろんない

こうなると「コイツは男と会う機会が少なかったから主人公に惚れてるだけなんじゃ……」という疑問が残るキャラだった
先に書いたように腐女子だから婚約者が見つからなかったという説明がされるものの、いまいち納得しにくい

・音羽ルート
ここからはアイドルルート、まずはアイドルを目指す音羽ルートである
この響木 音羽(ひびき おとは)というキャラはとにかくウザイ。ただウザイだけである
一応貧乏キャラでもあり、なのでアイドルを目指しているという設定もある
が、反省もしなければ常に態度もデカく、頭は悪い。なんでコイツに惚れるのか全く理解できないのだ

アイドルになるために努力したりするシーンもあるにはあるのだが、全体的な行動・言動がウザすぎる
そのうえ無謀としか言えない行動ばかりなのに、全て上手くいくご都合主義な展開に冷めるというのもある

また、ウザキャラという意味では七波と被っている
しかし七波が「一見ウザいけど実はしっかりしてて頭もいい」キャラなのに対し
音羽は「ただウザい」だけなのである。一応、惚れると可愛い的な文章はあるが、全く可愛いと思えなかった

・透夏ルート
もう一人のアイドルルートは透夏ルート
一峰 透夏(いちみね とうか)はお嬢様ではあるが、詩綾や七波のような財閥の大金持ちではない
このため、割とこの作品では常識のある方だ
また主人公が昔から通っていた道場の娘で、昔から主人公のことが好きだった
いわゆる幼馴染的キャラで、近すぎて恋愛にならなかったタイプのヒロインである

が、道場の娘で薙刀をやっていて主人公に女として見られないという理由から
たまたま音羽に誘われてアイドルになる事を決意する……

正直「え?」と言いたくなる。女らしく見られたいからアイドルになる、はちょっと苦しい理由である
結果として、透夏の個性が活きることはほとんどない

結果として主人公と恋人にはなるが、それまでの設定は無駄になり、この作品でやる必要のない話が延々と続く
このキャラでただ普通に話を作ればよかったのに、という感想しか出てこないルートである
しかも終わり方も「俺たちの戦いはこれからだ!」な打ち切りエンドなので、何のためのシナリオかさっぱりである

音羽がウザい、透夏はやる必要のない話ということもあってアイドルルートは特に評価が低い
特に透夏は普通の幼馴染的ルートで、道場でも継いでくれればよかっただろう

また共通ルートで手に入り、財閥ルートで問題になる約10億円の裏金があった
しかしアイドルルートでは驚異的な方法で解決する。それは「いつの間にかなくなってしまった」だそうだ
正直いい加減にもほどがある。何の解決にもなってないが、アイドルルートではそれで終わりである

と、ここまで各ルートを見てきたがこの作品はここで終わらない
アフターシナリオという凶悪なクソが潜んでいたのである

・アフター
公式に七波アフターと書いてあるように七波が中心となっているが、なぜか全ルートの話が終わった後らしい
七波と共に鶴美と戦い、詩綾に拉致監禁され、花が鶴美にさらわれ、音羽と透夏がアイドルになった後だそうだ
……一部ヒロインの扱いが雑だったり、鶴美が2回も襲って来たりしているが気にしてはいけない
真面目に繋がりを考えると実は繋がらないのも、気にしてはいけないらしい

ちなみに友禅寺鶴美、実は主人公の母親である
このことは七波と花のルートの最後で明かされるが、割とバレバレだった
ただキャラ自体の評判は割と良く、人気投票で1位を獲得している
が、アフターには出番一つない

本編では親子なのにも関わらずよく分からん設定で延々と戦わされ、花ルートの最後で和解したかのような話がほんの少しあるだけだ
なのでアフターで少しは……と思った人も少なくなかっただろう

しかし父親の墓が近くにある事が分かり「じゃあ一緒に墓参りでも行くか」というところでアフターは終わりである
もう少し書いて、せめて一緒に墓参りくらいさせたらどうなのか
中の人呼ぶのが大変なら一枚絵で出すとか、そのくらいあったんじゃないだろうか

しかもこのアフターシナリオ、発売直後に制作開始を発表
そして半年近くたってから突然の配信。しかも1ヶ月限定の制限付きだった

このブランドでは発売日と同時に初回特典としてパッチを出すことがある
その時に中古対策などの意味で1ヶ月限定が付くのは分かる
だが、発売から半年も経って出すアフターに1ヶ月限定を付ける意味がどこにあるのだろうか

また通常はパッチだが、今回は追加ではなくアフターのソフトを新規インストールになっている
この辺りの告知もいい加減だったため、配信されてからパッチじゃなかったと驚く人も結構いただろう
それならばなぜ1ヶ月の期間を設けたのか、まったくもって謎である

それに、約半年後の1ヶ月である、気付かなかった人もいるのではないだろうか
大した中身は無かったもののこの対応はクソだと言わざるおえない

まとめ
この作品を見ると、通して雑な設定が大きなマイナスになっている
そのうえ設定を出しては放り投げるようなスタイルのため、延々と設定を読まされる羽目になる
こうした設定の説明文で水増しされた部分を取り除くと、後には残るものがないようなゲームだった
水増しされているためプレイ時間こそ掛かるものの、中身は特にないというのはかなり悪質だろう

キャラ設定も奇抜なことをやろうとし過ぎて、普通なキャラが少なくなっている
かつ常識のあるキャラはルートの中身が特に薄い

また絵や音楽、システムなどに不満がなかったというのも悲しい点である
これは「良い食材(絵・音楽・声優)を良い調理器具(システム)で調理したのに出来上がったのはクソ不味い料理だった」
と言えば分かりやすいだろう。つまり料理人(シナリオ)だけが駄目だったのである

加えてアフターシナリオは予想外の追い討ちだった
この対応で一気にクソゲーになったとも言える

こんなシナリオでこの対応をされては、ユーザーの機嫌もナナメになるというものである
それこそ隠していた金のように、いつの間にかファンも消えてしまうことだろう

最後にスクショ類
デフレの話
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ちょっとしたミス
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消えたお金(音羽ルート)
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消えたお金(透夏ルート)
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だいぶ長くなってしまいましたが、以上です