少女神域∽少女天獄 選評

選評

【2013】 クソゲーオブザイヤーinエロゲー板 49本目
http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1373645324/
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名前:少女神域[sage] 投稿日:2013/08/13(火) NY:AN:NY.AN ID:+1/ov0vB0 [1/5]
少女神域∽少女天獄は2013年4月26日にLassより発売された作品だ
代表作「11eyes」がアニメ化されるなど、それなりの知名度があるメーカーだとは思う
今作はLassの伝統的な流れを受けた異能力系ファンタジー風の作風となっていた
                                         。 。 。。
キャッチコピーは「物語は、いつも幸福な結末(ハッピーエンド)とは限らない。」

結果としてゲームそのものがBADENDを迎えてしまったわけだが…

今作の大きな問題点は、ズバリっ、シナリオである
絵や音楽はいつものLass。つまり良くも悪くもない
だがシナリオ単体でも十分にクソゲーとして成立させてしまうのが今作の恐ろしさだろう

今作はシナリオの至る所に伏線が散りばめられており、
ユーザーはスキップでシナリオを飛ばすことを許されない仕様となっている
といっても、物語の序盤はLassらしいバトルや陰湿な煽り合いが全く無く、
むしろちょっとしたシリアス系ラブコメな雰囲気を醸し出しているのである
「舞台の街をヒロインたちと一緒に紹介しますよ」と、ただそれだけなのだ

そして苦痛なのが、その案内や馴れ合いのテキストが冗長だということか
今作のキャッチコピーにもある通りで、ユーザーは昨今絶滅しかかっているシリアスグロ系展開を求めている
なのにひたすら続く観光案内シナリオ
ついついスキップしてしまうと、所々挟まれてくる物語の鍵をスルーしてしまう
だが、スキップしないと延々とつまらないシナリオを読み続けることになるというジレンマに陥るのだ

それに拍車をかけるのが、文字上に濫用される強調記号
最初は「これも伏線なのか?」と中止するため通読する速度がさらに落ちることになる
結局、これはライターがカッコつけてるだけだと気づけば軽く流せるのだが、
いちいちそういう素振りを入れるので冗長さに拍車をかけてしまっているのだ

この展開が物語のおよそ半分程度まで続く
過去作であれば、日常と非日常(=グロ)が交互に現れユーザーの戦意を上手く保つ試みがなされていた
今作にはそれがなく、この冗長だが飛ばせない日常シーンでリタイアするユーザーは多かっただろう

この苦行を突破すると、いよいよ物語がまってましたとばかりに鬱グロ展開に入っていく、
のだが、登場人物の多さ、難読漢字の濫用が著しく、理解がなかなか進まない状況になってしまう
過去の書物の知識(=世界史の知識)をふんだんに要求してくるため、
高校時代にある程度世界史の成績が良かった人でないと理解がおぼつかなくなってしまう
かくいう当方は高校時代、世界史で赤点を取るほどの馬鹿だったため、
中国史や西欧史の知識がなく、チンプンカンプンになってしまった

物語はヒロインの親を巻き込んだ殺し合いに発展し、主人公は倒れ、そして化け物に変身してしまう
だがその一連の場面が呆気なく、どういうこっちゃ?となってしまうのだ
なんか主人公を助けるためにヒロインが立ち上がるっぽい。けどなんで?と…

そして主人公を拉致って逃亡を図るも、結局主人公は化け物として完成されて終了する
てか拉致る意味あったの?と疑問に思ってしまっては負けだ
Lass伝統の噛ませ犬「広原」の出番を奪ってはいけないと考えるべきだろう

なお、今作は親切設計になっている箇所があり、どんな選択肢を選んでも、後半のヒロイン選択場面の選択肢だけで、
各ヒロイン個別に入ることが出来る
つまり、どんなに前の選択肢で浮気しまくってもいいわけですね
このあたりはユーザーの心を掴もうと躍起になってるな、と痛感できるだろう

その上、個別に入った後も展開は妹√以外は全く同じで、ラストの選択肢の選び方、その先の展開も同じ
自分が死んでヒロインとお腹の中の子が生き残る展開が、主人公がヒロインを取り込んで終了するエンドの2つだけ
妹√も似たようなもんで、妹を道連れにするか、主人公が死んで妹が生き残るかのどちらかだけ

そのため、4人いるヒロインのうち、誰か1人をクリアしてしまえばそれで世界観は全部わかったつもりになる、
ようには作られているようである
言い方を変えれば、シナリオを考えるのがめんどくさかったのだろう

共通シナリオが酷すぎたこともあり、それらに耐え切れずスキップするユーザーにとっては、
最初から最後までよくわからないままゲームが終わってしまった、となってしまう
意地でスキップを使わずきちんと読んだとしても、その先にはユーザーのアカデミックな知識を要求されるという、
非常に『頭がいい』人向けの作品に仕上がったのが今作であったと言える
まぁ、つまりは誰にも理解されない作品に仕上がってしまったのである

それだけでなく、全体的にあまりにも「匂わせすぎ」な書き方が目立つせいで、行間を完全に読みきる事を要求されている
アスペ乙、ときちんと説明して書くのももちろん問題だが、書かなさすぎも大きな問題だと再認識した

また、今作でLassが伝えたかったキャッチコピーが全く伝わってこないのが問題だろう
というか、とりあえず殺しあってどちらかが生き残って死にました、がLassが伝えたいBADENDなのだろうか…?
アイデア自体は良かったのかもしれないが、ユーザーにどう理解してもらうか、という視点が足りなさすぎだった

最後に一言
この作品を掴まされたユーザーをBADENDに導くのはやめてください

最終更新:2014年08月03日 11:35