2012年 総評

SEX戦争 ~愛あるエッチは禁止ですっ!~』(8/31)《スワンアイ》


791 名前:2012年KOTYe総評 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(1+0:5) ◆7vFCW65x4U [sage] 投稿日:2013/03/30(土) 00:06:44.93 ID:qV2DnmqI0
クソゲーオブザイヤーinエロゲー板(通称「KOTYe」)が誕生してから4年目となる2011年、本企画は異例の事態に見舞われていた。
「五惨家」の襲来、そして大賞のダブル受賞……
そのあまりの豊作ぶりに、二か月近くものあいだ総評選定の場は紛糾し、
遂には「究極のクソゲーとは何か?」という本質的な問いにまで議論が及ぶこととなった。

2012年1月27日、そんなスレ住人達を嘲笑うかのように、softhouse-seal(通称「seal」)より今年最初の刺客が放たれる。
『華麗に悩殺♪ くのいちがイク! ~桃色ハレンチ忍法帳~』(通称『くのいち』)の推参である。
前年に大賞を受賞した『学園迷宮』をはじめ、『変態勇者』『淫姫』『学園快談』などを次々と世に送り出し、一躍クソゲー界に勇名を轟かせたseal。
本作も体験版の惨状などから早くよりその存在が危険視され、購入予定者は戦々恐々としながら来たる決戦の日に備えていた。
本作は『スパルタンX』のように、ステージを横に進みながら敵を倒していくタイプのアクションゲームであるが、
実はジャンプ中は完全無敵であるため、斜め上方向にキーボードを押しっぱなしにしているだけで簡単にボスまで到達できてしまう。
そのボスも大体ボタン連打で倒せるので、ゲーム性はほぼ皆無と言っても過言ではないだろう。
また敵忍者と接触すると、その敵忍者に犯されるアニメーションが流れるのだが、
表示が小さい上に10秒足らずで終わってしまうので、とても実用に耐える代物ではない。
まさに前年覇者としての矜持を見せつけるかのような迷走ぶりを展開していたが、
更にsealは何を思ったのか、「前述のミニアニメーション以外のエロを全撤廃する」という大暴挙に打って出てしまう。
今までsealは、たとえシステムがどんなにクソでも「絵はいいんだよ」と擁護されることが多かったが、
その絵をかなぐり捨ててしまったら一体何に価値を見出せばいいと言うのか?
最後の砦であるミニアニメも、パクリ元の『シノビガール』(同人)のものにあらゆる面で劣っていた上、
本作の体験版には驚くべきことに、そのミニアニメの大半と全てのイベントCGが収録されていたので、
わざわざ製品版を購入する意味など雀の涙ほども無いだろう。
こうした惨状から、本作は「苦の一」「門番どころかデモンズウォール」などと畏れられ、開幕と同時に一気に最底辺へと躍り出ることとなった。

sealのターンはまだ終わらない。
続いて登場したのは、系列のDevil-sealより2月10日に発売された『獣ノ躾 ~本能と理性の狭間で悶えるケモノ~』(通称『獣ノ躾』)である。
本作は調教SLGであり、ヒロインを娼館で働かせて借金を返済するのがゲームの目的となるが、
「借金を返済すると、何故か返済額の倍近い金額をふんだくられる」という闇金業者も真っ青なバグの存在により、事実上クリア不可能となっている。
本作はこのほかにも、シーン回想で調教シーンの一部が閲覧できない、調教アイテムが勝手に売却されてしまう、素材の入手量が極端に少ない、
初期の修正パッチを当てるとエラー落ちする等のバグがてんこ盛りだったので、まともにゲームをプレイすることすら困難な有様であった。
幸い、最新のパッチによってこれらの不具合は概ね解消されたものの、この年明け早々からのsealの大攻勢は、
「今年こそ、単独の大賞受賞を狙いに行く」という彼らの悲壮な決意の表れであったと言えよう。

seal騒動も落ち着いてきた3月、戯画の『マテリアルブレイブ』(通称『マテブレ』)が、年度末の魔力に惹かれて姿を現した。
本作は伏線未回収の一本道シナリオに加えて、引継ぎ要素の薄さや探索パートの面倒臭さなどが問題視されていたが、
衆目を集める主因となったのは、親睦イベントにおける「ジュースを奢る展開」の多さだった。
このジュース一本で心も股も開いていくヒロインたちの様子に対し、「ジュースに媚薬でも混ぜたのではないか?」との邪推までされる始末であったが、
その辺にあるFlashゲーム程度には楽しめる出来だったので、大賞を争うにはやや力不足だったと言えるだろう。
3月は他にも、そのあまりに不愉快な言動から、恋人はおろか友達にすらなりたくないヒロインが多数登場する『Friends』や、
伏線もエンディングも投げっぱなしで、決算に間に合わせるために見切り発車したとしか思えない『Princess-Style』などの選評が届いたが、
その後は特に話題になる作品も無く、住人達は一時の平穏の尊さを噛み締めていた。

そんなある種弛緩した空気が流れていた6月、分厚く覆われた梅雨空の雲間から不気味に舞い降りる二つの黒い影があった。

その一つ目は、黒鳥より発売の『NTR48 ~俺の家族が寝取られるまでの48日間~』(通称『NTR48』)である。
本作はインストーラーがバグっており、ディスクを入れて最初に表示されるのは「ゲームを起動する」と「アンインストールする」の二項目のみ。
当然「ゲームを起動する」をクリックしても何も反応は無く、
「アンインストールする」をクリックすると、何故か「前作『濁悪催眠』を削除します」のポップアップが表示される。
のっけから凶悪な雰囲気を漂わせている本作だが、やはり「48」という不吉な数字を冠したことが祟ったのか、
その中身も語るにおぞましい「ナニカ」で満ち溢れていた。
まずタイトルを見て某アイドルグループを連想した人は多いと思うが、制服がそれっぽいこと以外に全く関連性は無い。
副題にある「寝取られるまでの48日間」もまるで意味を成しておらず、どのルートも唐突にヒロインが凌辱されてお仕舞いである。
また本作は、母、姉、妹などの「家族寝取られ」をコンセプトとしているが、主人公は彼女たち(姉を除く)を単なる家族としか思っていない。
寝取られには様々な形があるとは言え、「主人公側に一切恋愛感情が無い」というのは、流石に寝取られ作品として致命的だろう。
なお、本作はHシーンの尺も非常に短いので、単なる抜きゲーとしても使い物にならない点に留意したい。
寝取られ作品は昨今、凌辱規制の煽りを受けて粗製濫造の様相を呈しているが、そんな中でも群を抜く本作の酷さはひときわ輝きを放っていた。

二つ目の影の名は、あかべぇそふとすりぃの『JOKER-死線の果ての道化師-』(通称『JOKER』)である。
同ブランドは、数々の名作を生み出したあかべぇそふとつぅの姉妹ブランドを統合したものであり、
その第一弾となる本作は、「萌えゲーアワードの総合金賞を獲る!」と社長が豪語したこともあって、内外から大きな注目を集めていた。
しかし、いざ体験版が公開されると、「ざざーんざざーんごごうごうばばばば」「ごごろぴごーーん、なんてときどき落雷」
などの斬新すぎるテキストが次々とお目見えし、予約者たちの間に激しい動揺が走ることになる。
製品版においても、その狂気的なテキストはとどまる所を知らず、
「びひゅおうおうおうおうひゅうおうおうおうおうおう」「そそそそそそそそそそそとセイタカアワダチソウののオーケストラ」
等々の場面をキャプチャーしたものがネット上で広まり、「エロゲー界に鬼才あらわる!」として各地で大きな話題となった。
この奇怪なテキストだけでも、雰囲気ぶち壊しなこと甚だしいが、
主催者の気分一つで殺されるモブがいる一方で、主人公は迂闊な行動をしても何のお咎めも無かったりと、
本作からはデスゲームの根幹たる「ルールの公平性」というものがすっぽりと抜け落ちている。
それどころか、「夜間に腹をナイフで刺されたのに、翌朝何事も無かったかのように登校する」などの超科学的な展開も起こるので、
物語を真剣に読むことが馬鹿馬鹿しくなってくるだろう。
当初は「文字通り切り札を切ってきたか!」などと期待をされていた本作であったが、どうやら掴まされたのはただのババだったようだ。

長い梅雨も終わって7月に入ると、sealより『魔物っ娘ふぁんたじ~』(通称『魔物っ娘』)が発売された。
『変態勇者』と『学園迷宮』に次ぐseal製RPGの第3弾として製作された本作だが、一言で言ってしまえばまるで成長していない。
宝箱が開かない、敵のグラフィックが表示されない、ボス戦で逃げると勝利扱いになる等の細かいバグから、
唐突なエラー落ち、ボスを倒しても先に進めない、階段やダンジョンの入り口が透明で見えない等の致命的なバグまで完備。
更には、「ダンジョンで逃げると別の場所に強制ワープし、運悪く壁の中にワープすると操作不能になって詰みになる」
という摩訶不思議な現象まで発生する。
ゲームバランスも相変わらず苛烈で、即死級のダメージを与えてくる敵が頻繁に出現したり、
次の町に進むと武器の値段が10倍以上に跳ね上がったりと、プレイアビリティの欠片も感じられない。
幸い、今作は救済措置として最強装備を初めから所持しているため、それで無双するのが無難だろう。
「同人の方が余程マシ」とまで評されるseal製RPGだが、本作もその低クオリティぶりは健在だったようだ。

このようにsealは、7月の時点で早くも3作目の刺客を送り込んで来ていたが、
そんなsealの盛況ぶりとは裏腹に、今年は「地雷の報告はあっても選評が届かない」という事態が相次いでいた。
その大きな原因となったのが、年初に発売された『くのいち』の存在である。
「HCG0枚」の与えたインパクトはあまりにも強烈で、「最早まともなクソゲーでは太刀打ちできない」と、みな暗黙のうちに認めていたのだ。

「今年のKOTYeはsealの一人勝ちか?」
そんな諦観に満ちた空気がスレ内に広まっていた頃、sealの猛威を食い止めるべく、三つの勇気ある作品が立ち上がった。

その先陣を切ったのが、『SEX戦争 ~愛あるエッチは禁止ですっ!~』(通称『SEX戦争』)である。
開発元のスワンアイは黒鳥の姉妹ブランドであり、スワン系列としては『NTR48』に続いてのエントリーとなったわけだが、
発売して即座にメーカーファンから黒歴史扱いを受けるその実力は尋常なものではない。
本作は「バカゲー+抜きゲー」をその主たるコンセプトとしているが、
いずれの見地から見ても、とても商業作品とは思えない――もとい、作品と呼ぶのも烏滸(おこ)がましい程の惨憺たる代物であった。
まずバカゲー方面。
本作は「数十年ものあいだ、男女間でSEXによる争いを続けている学園」がゲームの舞台となっているが、
その歴史的経緯や争いの理由などは一切説明されない。
世界観がぶっ飛んでいること自体はエロゲーでは珍しいことではないが、そのことについて何らの理由付けも行われない作品は流石に稀有だろう。
一体誰がこんな学園に入学したがると言うのか……ライターに小一時間問い詰めたいところである。
また本作のシナリオは、フラグ管理が破綻している上に「全編ダイジェスト風味」で進行するため、
話が途中で飛んだり、途切れたり、無かったことにされたりといった事態が頻発する。
その結果何が起こったのかと言うと、
  • SEXの強さによって序列が決まる世界なのに、そのトップランカーたちが何故か全員「処女」である。(処女膜の再生)
  • SEX勝負に負けたはずなのに、後日談では何故か勝利したことになっている。(記憶の改竄)
  • ヒロインの破瓜シーンで、主人公が「使い古しのマンコなのに気持ちいい!」と発言する。(新古品)
  • 主人公と一度もHをしていないのに、何故か主人公の子供を孕んで(!?)いたりする。(種無し懐胎)
  • とあるヒロインのフラグを折ると、そのヒロインが「初めから存在しなかった」ことにされて別のヒロインと摩り替わっている。(世界線の変更)
等の怪現象が次々と発生。
「“バカゲー=何をやっても許される”と製作者が勘違いしているのではないか?」とスレ住人からも危惧される事態となった。
次に抜きゲー方面。
本作はエロシーンまでもがダイジェスト仕立てで構成されており、大抵のシーンが「10~20クリック程度」という涙モノの淡白さで終了してしまう。
物語の中盤において、主人公は学園TOPの性技の持ち主として注目されることになるのだが、
挿れてから僅か数秒で暴発するその姿の前では立つ瀬が無いと言えよう。
このように、シナリオ・エロシーンともにダイジェスト風味で仕立てた甲斐があってか、
本作はフルプライス(9,240円)ながら「クリアまで1時間、コンプに3時間」という犯罪級の短さになってしまった。
肝心のテキストも「ペロッ……これは精子!!」などの下品なパロネタに頼り切っており、
選評者をして「こんなに短いのに、クリアするのが苦痛でならない」とまで言わしめる始末。
もはや一体どこに価値を見出せばいいのか分からない有様であったが、
挙句の果てには「おまけシナリオをインストールすると、本編データが上書き消去されてプレイ出来なくなる」という本末転倒なバグまで披露し、
「メーカー側にとっても黒歴史だったに違いない」というファンの推論を裏付ける結果となった。

二番手を務めたのは、製作期間およそ10年の超大作、Exceptionの『白神子 ~しろみこ~』(通称『白神子』)である。
本作は「前世紀の遺物」とでも言うべき古臭い絵柄が話題となり、発売前から今年のダークホースとして注目を集めていたが、
中身の方も昭和時代を彷彿とさせるような古臭さが前面に出ていたため、購入者から即座に「おじいちゃん向けエロゲ」などと名付けられてしまった。
この10年どころか軽く15年は時代を間違えた作風の古さも然る事ながら、本作が普通の作品と一線を画している所以は、
「100以上の選択肢と34個のエンディング」が織り成す異常なプレイ時間の長さにある。
物語やヒロインに余程の魅力が無ければ耐えがたい冗長さであるが、その肝心の物語は陳腐で平坦な展開が延々と続き、
ヒロインに至っては「肛門の筋肉がゆるゆるで、身体から汚物の匂いを漂わせている」なんて有様なのだからどうしようもない。
選評者から「真綿で首を絞められるかのようだ」とまで評された本作の苦痛度は、まさに地獄の耐久マラソンも斯くやの凄まじさであっただろう。

この『白神子』に触発されたのか、EMUの『パジャマさんこんにちわ』(通称『パジャマさん』)も、7年半もの長い眠りから目を覚ました。
「フルボイスなのにたった201MBしかなく、しかも体験版と全く容量が同じ」ということで大きな騒動を巻き起こした本作だが、
その中身も「そのまま永眠していれば良かったのに……」と言われるほど悲惨極まりないものであった。
本作は「学生寮病みキャラ猟奇純愛ADV」を名乗っており、心の闇を抱えたヒロインたちを主人公が救済する物語だが、
「総プレイ時間=2時間」という分量でまともな展開を書けるはずも無く、各ルートとも僅か十数分で起承転結の全てが終了してしまう。
その展開の速さたるや、さながらジェットコースターのようであり、一例を挙げると、
――奇病で身体が成長せず、過去の裏切りから極度の人間不信で主人公も殺そうとする年増双子ロリが、
「君たちを大人の女性として認めるよ」と言われた途端に「素敵!抱いて!」と態度が豹変して両想いになる――
などといった具合であり、その温度差の凄さにプレイヤーは目を白黒させることとなった。
この展開の速さに合わせたのか、イベントCGも一瞬チラ見せしただけでポンポン切り替わる「超贅沢仕様」になっているが、
これは本来あるべきシナリオを大幅に削ってしまったことが原因であり、中には本番シーンが丸々カットされるヒロインまで存在するほどだった。
まさに悪い夢でも見ているような惨状を呈していたが、物語の方も「今までの話は全部主人公の妄想でした」という壮絶な夢オチで幕を閉じるため、
プレイヤーはパッケージ裏に書かれた「嘘だろ?騙された……」という言葉を深く心に刻みつけることになった。

かくして、これら三つの作品による大掛かりな反攻作戦が展開されていたが、当然seal側も黙って見ていたわけではない。
11月には『欲情トマランナーズ ~エルメロスは絶頂した~』(通称『トマランナーズ』)を発売し、
クソゲー界の盟主としての地位を死守せんと、すかさず反撃に乗り出したのである。
同作品は高速スクロール型のアクションゲームであり、タイミング良くボタンを押すことで敵を倒したり穴を飛び越えたりするゲームだが、
その肝心のボタンの反応が非常にシビアで、ボタンを押しても攻撃が出なかったりジャンプが出来なかったりといった事態が頻発する。
また穴の判定も相当いい加減で、穴の上(空中)を普通に走れてしまうこともあれば、
逆に穴の手前で地面を貫通して落下死してしまうこともあるなど、見た目に頼れないポイントがあちこちに点在している。
このため本作をクリアするためには、何度も死にながら穴の本当の位置を把握する作業が必須となり、
本来は「タイミングゲー」であったはずが、実際には理不尽な「死に覚えゲー」になってしまっていた。
本作は「使うボタンがZ(攻撃)と↑(ジャンプ)の二つのみ」「数十秒で終わるステージがたった五つあるだけ」という非常に簡素なゲームであるが、
そんな短いゲームを、少しでも長く楽しんでもらおうと苦心する製作者の御高配には感涙を禁じ得ない。

sealの反撃によって一層の混迷を極めていた年末、今年も個性溢れる魔物どもが昏がりから這い出てきた。

まず現れたのは、FLATZの『Cross Quartz』(通称『CQ』)である。
本作は『メトロイド』シリーズや『悪魔城ドラキュラ』シリーズのような探索型のアクションゲームであるが、
「バランス調整」という名の作業をどこかに置き忘れてきたのか、商業エロゲーにあるまじき超絶鬼畜ゲームになってしまっていた。
まず本作の大きな特徴として、「敵から特定の攻撃を受けると、移動リフトなどの一部の床を一定時間すり抜ける」というものがある。
移動リフトの下には大抵針山が待ち構えているため、「攻撃を喰らう→針山でティウンティウン」という即死コンボが至る所に顕現してしまった。
また本作は、ハシゴなどの操作性が極悪な上、イライラ棒のような精密な動作を頻繁に要求されるので、
プレイヤーは否が応でも死亡数を積み重ねていくことになる。
このように即死ポイントが大量に散りばめられているにもかかわらず、
セーブポイントが「全500フロア中、たった30個」しか設置されていない点も特筆すべきであろう。
「ボス部屋やアイテム部屋の周辺にセーブポイントが無い」なんてこともざらにあるため、
折角苦労して目的を達成したとしても、その帰り道で死んだらもう一度最初からやり直さなければならないという心折設計になっている。
これらの苦難を突破した先にあるエロシーンも、カクカクのコマ落ちアニメのような低質さであったため、
作中キャラが「クソゲーじゃねぇか」と自虐ネタに走ったのも無理からぬと言ったところか。

続いて登場したのは、REALの『いたずらっ娘 ~うちの娘にかぎって~』(通称『いたずらっ娘』)である。
本作は7月27日に発売された3Dエロゲーであり、当初から「FPSが同種作品の数分の一しか出ないほど激重」「一部環境で起動不可」
などの製品失格レベルの不具合を抱えていたが、「3Dエロゲーではよくあること」として大した話題にはならなかった。
しかし、「修正パッチやDLCを配布するたびに新たなバグを追加する」という斬新なサポート体制が実を結び、
年末になってようやくKOTYeの門を打ち破ることと相成ったのである。
本作は当初確認されていたバグの数は全部で5個だったが、修正パッチが出るたびに9個、14個と加速度的に増えていき、
ver1.06になる頃には30の大台を突破。
バグの内容も、乳房が垂れて地面とくっつく、腕が異様に伸びてあらぬ方向に折れ曲がる、視点が遠くなってキャラが豆粒のように小さくなるなど、
抜きゲーとして致命的なものが大半を占めている。
直せば直すほど悪化していく状況に、メーカー側も遂に匙を投げ、現在も大量のバグを放置したまま沈黙。
やる気のない極薄シナリオや誰得感漂う追加コスチュームなども相まって、購入者たちの間に阿鼻叫喚が響き渡ったが、
そんな惨状を尻目に本作は萌えゲーアワードの3D部門で銀賞を受賞し、エロゲー業界の業(ごう)の深さを知らしめた。

さて、主要なエントリー作品をすべて紹介し終えたところで、早速今年の大賞と次点の発表に移りたいと思う。
まず次点は、
『華麗に悩殺♪ くのいちがイク! ~桃色ハレンチ忍法帳~』
『パジャマさんこんにちわ』
『いたずらっ娘 ~うちの娘にかぎって~』
そして大賞は、
『SEX戦争 ~愛あるエッチは禁止ですっ!~』とする。

元来エロゲーとは、一つ良ければ全て良しとする風潮がある一方で、ユーザーの信頼を裏切るものはオ○ニーと揶揄される業界である。
つまり、究極的には「エロ」さえまともなら他がダメでも許されるのに、それすら軽んじてしまったら痛烈な批判に晒される世界なのだ。
この点において『CQ』は、本質的には単なるマゾゲーに過ぎなかったものの、
エロを軽んじるどころかそもそもエロまで辿り着かせないという離れ業をやってのけたため、「エロゲーとして大問題」と激賞を受けることとなった。
アクションゲームとしては評価できる部分もあったので、次点には惜しくも届かなかったが、
この「エロに対して真摯であったかどうか?」という視点は、『CQ』の騒動によって改めて見直され、今回の選考に強い影響を与えたと言えるだろう。

その基準の下で特に称賛されたのが、極小容量に比例する内容の薄さと、夢オチという作劇最大のタブーを兼ね備えた『パジャマさん』、
誰得DLCやバグ追加パッチで失笑を買った『いたずらっ娘』、そして最後まで大賞の座を争った『くのいち』と『SEX戦争』である。
前年覇者・sealが送り出した渾身の一作『くのいち』と、急成長株・スワンアイが生み出した決戦兵器『SEX戦争』。
両者の実力は拮抗し、二年連続のダブル受賞が検討される事態にまで発展したが、実力は同じでもその趣(おもむき)は大きく異なっていた。

『くのいち』は、斜めジャンプのみで攻略できるゲーム性や、HCGが存在しないエロシーンなど、
そのクソゲーたる所以は「中身の無さ」に集約されたものである。
その虚無性は、同人ゲーの劣化コピーに過ぎないという点や、製品版の付加価値が殆ど無いという点などにも表れており、
「製品として完成していながら何も残るものがない」というゲー無の極致にまで達していた。

一方『SEX戦争』は、中身自体は様々なネタで溢れていたものの、
その中身の方向性は、「ヒロインは全員ヤりまくりのビッチだけど何故か全員処女」といった具合に支離滅裂であり、
ターゲット層を満足させるどころか、その神経を逆撫でする様な迷走ぶりが際立っていた。
物語の方も、打ち切り漫画顔負けのダイジェスト展開や、下品なパロネタとお寒いノリを満載したテキストが猛威を振るい、
「意味不明すぎてポルナレフ状態になった」「開始10分でもうプレイするのが苦痛」などの声が上がる始末である。
そうした惨状を知ってか知らでか、メーカー側も「本編をおまけディスクで上書き消去する」という暴挙で追い討ちをかけ、
「一体このゲームは何の為に生まれてきたのか……?」という疑問を誰もが抱かずにはいられなかったであろう。

この二作の争いは熾烈を極め、2,100円と9,240円という価格差や、それぞれのクソゲーとしての方向性、
果てはsealゲー乱発によるマンネリ感に着目してみるなど、様々な視点から検証・比較が行われた。
それでもなお決着を見ず、長きに渡って議論が続けられたが、最終的に決め手となったのは、クソゲーオブザイヤーというスレの在り方であった。
KOTYeの本質はネタスレであるということ。ならば、ゲー無よりもネタゲーたる者が大賞となるのが道理である。
どちらが勝るとも劣らない、支持者の数も完全に互角だった両者の差を決定付けたのは、ただそれだけだった。
故にKOTYeの精神に則り、ここに『SEX戦争』を本年の大賞とする。だが、その影に全く劣らぬクソゲーがあった事を我々は忘れてはならない。

古豪のアーベルソフトウェアが戦線を離脱し、sealが終始話題を席巻した今年のKOTYe。
熱すぎた前年の名残もあって、今後の行く末を不安視する声も少なからずあったが、そんな不毛の大地にもやはり新たな生命が芽吹くこととなった。
特に『SEX戦争』と『NTR48』を輩出したスワンアイは、2013年でも早々にエントリーを果たしており、
ヒットメーカーとしての地位を揺るぎないものとしつつある。
また細かいネタも挙げると、延期を『DRACU-RIOT!』の所為にした『青空と雲と彼女の恋』、EDに「シナリオ(更迭)」と載せた『氷華の舞う空に』、
バグで画面中生首だらけの『イブキノキセキ』、全スクリプトをレンタルサーバー上に置いた挙句、大量の利用規約違反をした『Fortuna Rhapsody』、
更には、発売日の「後に」延期を発表したり、デバッグをアーベルに委託したりした『MISTAKE×MISCAST』など、騒動には事欠かない年だった。
こうした世代交代が続く限り、魔境に挑む漢たちの戦いもまた、果てなく続いていくのであろう……

最後に、見事栄冠を勝ち取った『SEX戦争 ~愛あるエッチは禁止ですっ!~』の製作元であるスワンアイに対し、
次の言葉を送ることでKOTYe2012の結びとしたい。

「愛の無いゲーム製作も禁止してください」