2011年 7-10合成総評案

2011 7-10合成総評案 大賞:「未定」


クソゲーオブザイヤーinエロゲー板 29本目
666 名前:総評10 ◆M9if/ibBdA [sage]: 2012/03/04(日) 00:25:39.19 ID:W9ppoiR10
2010年のクソゲーオブザイヤーinエロゲー板(KOTYe)は「驚嘆」の年であったと言えよう。
『色に出でにけり わが恋は』の襲来……。
それは、萌えゲーの安心ブランドとして親しまれていた「ういんどみる」が突如殺人ピエロと化し、
虚を突かれた信徒達の阿鼻叫喚がこだまする悲しい事件であった。
『アイ惨』ショックに蹂躙された暗黒大陸においては、文字通り「一寸先は闇」。
地雷の埋まったこの大地で、明日をも知れぬ一歩を力強く踏み抜いていく覚悟が新たに試されたのであった。

2011年、戦いの火蓋が切って落とされたのは1月28日のことだった。
ミュスカデによる、『令嬢の秘蜜』(通称『秘蜜』)の登場である。
前年エントリー作『熟処女』のBGMをこっそり流用していることからも推して知れるが、この2作は制作スタッフが共通している。
『熟処女』と言えば、他ゲーからのシナリオコピペや、「ひっかかか(中略)うふっ テイクツー」などのNGボイス混入が記憶に新しいが、
ハーフプライスでも許されなかった前作の惨状を、フルプライスの本作が軽く凌駕するとは誰が予想できただろうか。
本作はセレブ系インモラルADVを謳っているが、インモラル要素どころか「紅茶」と「媚薬」以外の要素が皆無であり、
1日目はヒロインが紅茶に媚薬を盛ってH、2日目はヒロインの母親が紅茶に媚薬を盛ってH、
3日目はヒロインの姉が(以下同文)……と、ドリフのオチよりも安心安定のワンパターンな展開が以下延々と続く。
抜きゲーとしても失格であり、Hシーンの音声には「胸だけで満足なの(プツッ)それで(プツッ)よっ!」などのNGボイスが混入。
CGの差分は少ないどころか1枚もなく、テキストでは挿入前の段階なのにCGでは全力で暴発。もはや早漏どころの騒ぎではない。
ともあれ、リアルテイクツーに失敗してしまったスタッフ達の今後の去就に、好事家達の期待が集まることとなった。

二番手を務めたのは、シルエットによって2月25日に発売された『コイ★カツ』である。
まずプレイヤーを歓迎するのは、DVD-ROMにも関わらず686MBというコンパクトさであるが、それを可能にしたのは驚愕の「収納術」。
「CGでは白タイツ、文章では黒タイツ」、「CGでは半脱ぎ、文章では全裸」など、本作では一回のHシーンで二通りのシチュが楽しめるのである。
その収納精神はシナリオ全体にも遺憾なく発揮されており、表題にある「コイカツ(恋愛活動)」からは曖昧な恋愛要素を徹底排除。
「恋愛に憧れるお嬢様サークル」のはずが、初対面からわずか数日でキス、手コキ、本番と流れ作業の如く移行するSEX集団として描かれている。
全方面に隙のない低品質ぶりで見事「クソゲーの優等生」的地位を獲得した本作であったが、それを尻目にメーカーは失踪してしまった。

こうして幸先の良いスタートを切ったKOTYeであったが、春の訪れに向けてさらに様々な作品が彩ることとなる。
「バトル+ADV」を名乗りながら3回しかバトルが無く、そのバトル自体も作業系運ゲーでしかない『ろーるぷれいんぐがーる!!』、
主人公が限度を超えてキモ鬱陶しく、「バグ以上に、テキスト自体がバグ」と評された『とらぶる@すぱいらる』などが順当に名を連ね、
「そんなに実妹がよけりゃ、ヨスガにそらってろっ」と製作者が煽って炎上した『White -blanche comme la lune-』の選評も届いた。
そして、スレが温まった3月の終わりに、年度末に合わせてやってきた特大級のクソゲーが門を叩くこととなる。

それが、TEATIMEによる『修羅恋~SeeYouLover~』(通称「修羅恋」)だ。
「自分を奪い合う女の子達がマジ喧嘩する様子を見ながらハラハラドキドキ!?」という、地雷臭漂うコンセプトの本作であるが、
蓋を開けてみると『らぶデス』シリーズで訓練されたTEATIME本スレ住人をも駆逐するクレイモア地雷であった。
その口喧嘩たるや「不潔女」、「メスゴリラ」などの小学生並の語彙が飛び交い、それすら数種類で枯渇する無限ループ仕様。
取っ組み合いでは踵落としやサマーソルトのような大技も見られるが、発泡スチロールで出来たマネキンのような重量感のない動作である。
その間、主人公の出来ることはといえばどちらかの女の子を「応援」するか「両方をなだめる」のみで、延々と茶番を見せられる。
シナリオは金箔を超える「薄さ」の限界に挑戦しており、会話の内容はBotさながらに数個の持ちネタを繰り返されるのみ。
ヒロインは出会った直後から胸を揉もうがキスしようが怒ることはなく、連続で話しかければ30秒足らずで好感度がカンストする尻軽仕様。
肝心のエロはというと、本番の体位が3種類しかなく、エレキバンにしか見えない残念乳首も哀愁を誘う。
紫色の精液、絶頂時に鳴り響く水洗トイレの効果音などのサイケなセンスと相まって、TEATIMEファンも会社内情を案じる事態となった。

続いて、桜の季節の訪れとともに現れたのが『勇者と彼女(キミ)に花束を』(通称「勇者と彼女」)である。
開発元のKLEINは何度やっても学習しない「駄目な子」として知られており、今回も生暖かい目で見守られていた。
いざ発売されると、誤字の嵐、唐突なエラー落ち、BGM消失現象にボイス音量が極小、と大方の予想通りの惨状。
選択肢の無限ループとルート進行不能と、パッチ無しではまともにプレイできない核地雷級のバグを持っていたが、
パッチを適用すると約1名のヒロインの立ち絵が「グレイ(宇宙人)」になるため、クリアを取るか萌えを取るかで究極の二者択一を強要される。
シナリオは伏線を張った直後に「それから数日後…」で即回収するダイジェスト風味で、設定を読めばその時点で予想が付く稚拙な代物。
最終的に「体験版に修正パッチを当てると最後までプレイ可能」という大チョンボをかまし、爆笑と共に受け入れられることとなった。

それに続いて4月末に出たPurplesoftware delightの『PrimaryStep』もまた、「やっぱり駄目な子だなぁ」と思わせる作品であった。
前回、『Orange Memories』でデビュー作がエントリーという不名誉を達成した同ブランドであるが、
今回は「全5キャラ中1キャラしか攻略できない」という前代未聞のバグを入れたまま発売してしまったのである。
ネットがない状況では「8800円で1キャラ、CG15枚のみ」の純然たるぼったくりであるが、公式サイトでは一言触れるのみ。
パッチ適用後にCGらしきファイルが増えていたという報告もあり、「未完成を隠すためにわざとルートを塞いだのでは?」との邪推もあった。
そのCGの枚数もフルプライスを感じさせない少なさで、騎乗位のHシーンで主人公が2m級の巨人化を遂げるなど品質面でも怪しい。
内容はと言えば、四時間経過を「短針が四周」と表現する斬新な筆力によって紡がれるシナリオは「駄文」の一言に尽き、
体調を崩すくらいに面白くない展開が延々と続く中、笑いどころといえばHシーン中にある「俺の膣内から」という誤字しかない。
その破壊力はライターのペンネームにあやかって「tiroフィナーレ」のフレーズで親しまれた。

こうして怒涛の上半期を終えようとしていたKOTYeスレであったが、それまで以上の大異変が5月27日に訪れることとなる。
その日発売の作品が5作連続でエントリーする異常事態が起こったのである。

その先陣を切ったのが、softhouse-sealの『変態勇者の中出し英雄記』だ。
2000円ほどの低価格ゲー路線を取りながらも、毎度確かな原画家チョイス、安定した塗りのクォリティで知られる同ブランドであるが、
今回は紙芝居ADVでいいのに無駄にRPGパートをつけるサービス精神が大当たりし、消化不良のクソを排出してしまった。
AVGとして見ると、キーボード操作以外不可、バックログ未搭載・ウインドウ消去不可など、DOSゲー時代を思わせる不親切仕様。
RPG部分は苛烈なバランスであり、序盤のスライムで生命の危機に瀕するほどのシビアさで、中盤以降でも毒沼を数歩行くだけで瀕死。
プレイ時間の水増しのためか、勇者達はフィールド上で『星をみるひと』も顔負けの牛歩戦術を取る。
既存のRPGの文法にことごとく反抗する仕様に「小中学生がRPGツクールで作ったゲームかよ」と毒づきたいところだが、
実際はフリーソフトの「WOLF RPGエディター」で作っており、さらに言えば大部分の素材がデフォルトという衝撃が待っていた。

次に選評が届いたのは、またもTEATIMEの手による『恋愛+H』である。
「恋人になる過程を経てから、H主体の熱愛モード」という本作の着眼点は、当初、18禁版『ラ○プラス』として内外から期待を集めていた。
だが、蓋を開けてみると、なぜかセーブ機能が存在しない。
攻略はノーヒントで、毎回面倒な性格設定をやらされるのにも関わらず、セーブできない。
この時代にセーブなしという、『仮面ライダー倶楽部』も真っ青の鬼仕様にはさしものKOTYeスレ住人も度肝を抜かれたのであった。
その他の仕様も「開発の都合上できなくなりました。ごめんね。」の一言で済ませ、怒号が飛び交う中で火に油を注ぐこととなる。
さて、本作で恋人同士のイチャつきが体験できるかというと、そんな要素は全く無い。
シナリオは時系列を無視して安いエピソードを列挙し、恋人とのミニゲームも、フリーズと隣り合わせの「ジャンケン」など稚拙なラインナップ。
「またね」と書いてあるセリフを「このケーキはすごくおいしいわね!」と喋るなど、音声周りのバグも完備である。

肝心のヒロインはと言えば、Hシーンで体位を変えるごとに性格がランダムで設定される狂気の「多重人格者」仕様。
初体験でいきなり足コキされたり、デート時の清純ぶりから性格反転、「そんなチンポで!」とドS口調で罵倒されるハメになる。
Hに関しても片手落ちであり、前作からのガッカリ乳首に加えて、今作では石膏のごとく全く揺れないおっぱいに噴飯するハメになる。
わざわざ自室やラブホテル等が用意されているのに、なぜか本番行為は屋外でしかできないマニア向け仕様なことも特筆べきであろう。
効果音も相変わらず意味不明で、調整不足の大音量で「ぐっちゃぐっちゃ…」と鳴り響いた後、絶頂時には「ばりっっ!」という謎の破壊音。
体位はさすがに前作の3つから増えたが、座位を空気椅子で行うなどシュールさを一層引き立てる結果となっている。
かくして、『修羅恋』の傷もまだ癒えぬTEATIMEファンは誘蛾灯のように本作に引き寄せられ、さらなる受難に悶絶したのであった。

フィアンセの『美衣菜△です!-Loveイチャ同居生活のススメ-』(通称「美衣菜△」)も忘れてはならない。
主人公は表題の「美衣菜」さんと同棲中の設定であるが、肉欲に負けてあっさり他の女の子と浮気し、当然のごとく痴情のもつれに発展。
三角関係が不可避なこと自体はゲームデザインとして受け入れるとしても、浮気相手との関係をレイプでご破産させようとする行動原理や、
「罪滅ぼしの仲直りセックスは気まずいから我慢しよう。俺は大人の男だから(要約)」などの電波なモノローグがプレイヤーを苦しめる。
CGモードの一覧では差分を逐一並べることで約5倍の水増しを敢行し、歴戦のスレ住人をも唸らせたが、
一番の衝撃は、新規ブランドのデビュー作を名乗りながらその正体がアーベルの別ブランドであったということであった。

こうして居並ぶ群雄の中でも、ひときわ大きく騒動を巻き起こしたのがコンプリーツによる『まままーじゃん』だ。
2年以上の延期の末に結晶した約140MBのDVD-ROMが織り成すは、主婦3人と卓を囲む「脱衣麻雀」である。
麻雀エロゲーといえば『いただきじゃんがりあん』、『おまたせ!雀バラや♪』などの魔境が思い起こされるが、
本作はそれらとは毛色が違い、一言で言えば「地獄の耐久麻雀」である。
セーブ中断なし、「半チャン1回で精算、ビリだった人が服を一枚脱ぐ」というのが基本的なルールであるが、
一人の本番を見るのには、全員を全裸にするまでの12回と、お目当ての相手をビリにする2回の計14回分の半チャンが必要。
半チャン1回を約15分程度として、最低でも3.5時間はぶっ続けでプレイするほかない。
しかしながら麻雀で狙った相手をビリにする方法などほとんど無く、この理論値通りに相手を脱がせることは至難の業なのである。
結果として、パンツを下ろしたまま5時間以上やっても一枚も本番CGを見られないプレイヤーの怒号が響き渡ることとなった。
麻雀パートの出来も壊滅的であり、清一色は数え役満扱いで計算され、嶺上開花は出した瞬間エラー終了。
素人のごとく早漏リーチを連発する一方で、チョンボに対しては玄人ばりの厳しい対応を見せる奥様方にもイラつかされる。
果てには下家の捨て牌が亜空間に消える「ネオ亜空カン」までもが発見される始末であり、
最盛期には「超えてはならない一線<ジャンライン>を無造作に踏みつけていく」と評された。
結局、パッチが出されることでセーブは可能になり、多大な不満を抱えつつも大賞本命の危機は脱したが、
奇しくも同じ日に同じチョンボをやらかした『恋愛+H』制作陣と共に強烈な印象を与えることとなった。

その後、「純度300%の聖少女ゲー」のふれこみのうち110%くらいが脱糞だった『STARLESS』も「糞ゲー」として選評が届き、
これら同日発売のエントリー5作品は「五惨家」と並び称されることとなった。
6月下旬には、これまた「神ゲーだが『糞ゲー』」の『euphoria』が登場し、8月の終わりにはついに大賞級の問題作が届くこととなる。

それこそが、二年連続で次点を輩出するアーベルが満を持して送り込んだ刺客、
『ゾンビの同級生はプリンセス~不死人ディテクティブ~』(通称「ゾンビ」)である。
本作の目玉は「探偵ハイパーリンクシステム」であり、テキスト本文中に「TIPs」や「視点変更」などのリンクが埋め込まれている。
だがこれがとんでもない曲者であり、「テキストがクソ」以前に「テキストをまともに読めない」前代未聞のクソ要素となっているのだ。
第一に、仕様面から見ていこう。
前提として、このゲームでは視点変更のリンクを全て踏まなければ話が進まず、どこかで画面が暗転してゲームオーバーになる。
要するに一度のミスで「詰み」もしくは「即死」になるのだが、それらのリンクはバックログからは一切クリックできず、
ひとたび見逃したりクリックミスをするとタイトル画面に戻るかロードするしかない。
加えてスキップ機能では普通に飛ばされるため、目を皿にしながら既読文章を一回一回慎重にクリックしなければならないのである。
一応、リンク部分は薄桃色で表示されるが、嫌がらせとばかりに画面構成がピンクや紫色主体であり、
カメレオンのごとく巧妙に擬態していることにも触れねばなるまい。
第二に、そういった仕様がどんな結果をもたらすのか?
とにかく慎重なクリックで読み進める以外の対策はないが、それでも、気付いた瞬間すでにクリックが暴発してしまう事故が多発。
存在自体に気付かなかった場合には、もう一度全編を血眼でドブさらいする作業が待っている。
セーブ&ロードで対処しようにも、第二話では数分ごとの中継地点と共に即死ポイントが数十個並ぶ発狂仕様だ。
内容は4時間程度の超極薄だが、即死ポイントの数はおよそ70個に及び、その間ずっと気の休まらない濃密な苦行の時間が続く。
すなわち、テキストADVなのにも関わらず即死ゲーのような感覚で慎重なクリックを迫られる「全編苦行仕様」なのである。
そして最後に、内容に触れよう。
設定からして「これは『こ○ゾン』ですか? はい、『怪○王女』です」と言いたくなる本作であるが、
シナリオは約4時間・計2話を終えたところで「COMING SOON」と表示されていきなり終了。
見ての通りまごう事無き「有料体験版」であるが、一ヶ月以上後に追加で配布された3話も明らかに「打ち切り」エンドである。
なお、あくまでもこれは「アドオン」と公称されており、メーカー的には製品版の2話で完成品扱いであることにも注意されたい。
短くても内容が濃ければ評価のしようもあるが、
総当たりどころか正解以外選べない推理パートや、たった14クリックで終わる戦闘シーンの前には立つ瀬がない。
エロCGの枚数は差分を逐一表示して7倍増ししているが、差分抜きで数えると9枚と、フルプライスとしては犯罪レベルになっている。
『デュアルエム』を超える短さ、『MQ』ばりの投げっぱなし、『恋刀乱麻』を凌ぐ苦行システム、『美衣菜△』の差分詐欺……
本作はまさに、これまでKOTYeを賑わせてきたアーベルクソゲーの集大成であると言えよう。

クソゲーのエントリー攻勢はまだまだ続き、9月22日には、
正ヒロイン以外のまともなEDを実装せずに茶筒とのHを実装し、ニッチ層を激怒させた『プリンセスX~僕の許嫁はモンスターっ娘!?~』が到来。
そして、11月末には待望の……もとい、恐れていた事態がスレに訪れることとなる。
KOTY関連スレにあまねく知られる年の瀬の風物詩、「年末の魔物」が到来したのである。

その魔物の名は、softhouse-sealの『学園迷宮エロはぷにんぐ! ~イクぜ!性技のダンジョン攻略~』(パッケージ版、通称「学園迷宮」)。
今度の作品はダンジョンRPGなのだが、プロローグの終了→ダンジョン突入の流れで100%バグでゲームが止まる、と掴みは上々。
だが、恐ろしいことにこの製品失格レベルのバグもまた、「掴み」に過ぎない。
まず第一に素材。公式HPでは魅力的なスクリーンショットが公開されているが、製品版をプレイしながら再度見るとツッコミどころしか無い。
開発版の戦闘画面は「白熱のタイムバトル」を謳い、背景には校内の風景、右スペースには各キャラの行動順を示す大きなバーがあるが、
製品版では背景が真っ暗で、右スペースは空白の枠。あまつさえ、そこにはウインドウからはみ出した文字が突き刺さり、世紀末を感じさせる。
探索画面の場所名やちびキャラも消失しており、 納期が足りなければ他の全てが削られていくという厳しい現実を雄弁に物語っていると言えよう。
第二にシステム。本作のそれを一言で言えば、何から何まで「かゆいところに手が届かない」。
手始めに、キーボード操作以外不可だった前作『変態勇者』の反省を生かし、今回は移動もコマンドの選択も全て「マウス操作以外不可」に変更。
戦闘では初期状態から習得スキル一覧が表示されておりネタバレ全開、そのスキル表示も肝心の効果や消費EP(技ポイント)がわからない、
探索では階段が表示されずオートマップ機能やワープゾーンもない、メニューでは回復時や装備変更時に数字の変動が見られない、
店では装備品の効果が見られないのにワンクリックで買ってしまう等々、最初から最後まで地味にプレイヤーをイラつかせる。
パラメータ関連も、100円以上の所持金表示はもれなくバグり、戦闘中は正確なHPを参照不可と、製作陣のどんぶり勘定精神が窺い知れる。
第三にバランス。本作は装備への依存度と素早さの重要性が極端に高く、スキルは無属性固定ダメージのため序盤しか役に立たない。
コンビニ感覚で点在する店では最初から最強武器がお手頃価格で購入でき、中でも妹キャラの最強武器は素早さも異常増加するため、
戦闘開始と同時に3,4回連続攻撃で初期装備の数十倍のダメージを与えるというリアル無双状態となる。
なお、終盤は全体大ダメージ+麻痺攻撃が乱れ飛ぶ理不尽ゲーなのでこれ以外の戦略は無く、鈍足の先輩キャラはほぼ何も行動できない地蔵と化す。
攻略者達の間にはどこぞのKOTY大賞よろしく「お金を貯めて装備で殴ればいい」の共通見解が生まれることとなった。
そして最後にバグ。最初の強制終了もさることながら、本作では「表示と実際の結果が一致しない」という状況がとにかく多い。
装備品の効果からして詐欺で、HPバーと実際の数値が連動しない、メニュー画面で蘇生アイテムを使うと回復せずに数だけ減る、
状態異常回復アイテムを使うと蘇生アイテムが減るなど、文字通り枚挙に暇がない。モンスター名の取り違えも日常茶飯事であり、
「デカマラゴブリン」との戦いの最中に飛んでくる「オレオーガのメガエロフレイム!」はスレ住人に笑撃を与えた。
また初回パッチ時には、「戦闘中にゲームを終了すると、その時の敵がボスであろうがロード直後に出現する」という危険極まるバグがあり、
極めつきに、「野生で瀕死のラスボスが現れ」「逃げたら勝利扱いになり」「そのままエンディングに突入した」という前代未聞の怪現象も発生。
メーカースレではバグ報告のたびにどこか楽しげな悲鳴が上がり、「開発度1%のロマサガをやってる気分」との声もあった。

この後もsealは連投を続け、系列ブランドのDevil-sealからは、『淫刻の虜姫 ~囚われた没落の姫姉妹、淫教の果てに~』を投入。
『学園迷宮』とは真逆に、ダンジョンを「前に進む」だけの完全な一本道作業にし、最下層にクリア不能の無限ループバグを仕込んだ怪作である。
seal名義では、異様な難度で『大奥記』ごっこをやらされる『世にも気持ちいい学園の快談~オバケになってあの娘に仕返し!~』をリリース。
年末にかけて電撃戦さながらの快進撃で、一躍KOTYeスレを風靡することと相成ったのであった。
それに負けじとTEATIMEは別ブランドから『肉体契約書』を出し、驚愕の薄さとネオジオCDも真っ青のロード地獄で再び注目を集める。
アーベルもまた、系列ブランドのディサベルから『魔法少女と恋+』を発売。『熟処女』同様のNGボイス混入や他ゲーからのテキスト流用、
『美衣菜△』同様の他ゲーからの原画流用、さらには『アイ惨』顔負けの真っ暗背景など、クソ要素の悪魔合体でスレを沸かせることとなった。
この通り、KOTYeは2011年も初めから終わりまで大豊作に恵まれたのであった。

※大賞をどうするかについては現在「未定」として捉えてください。
遅きに失してしまったが主要なエントリー作品を全て紹介したところで、今回の結果発表に移ろう。
次点は、『勇者と彼女』、『秘蜜』、『修羅恋』、『恋愛+H』、
大賞は
『学園迷宮エロはぷにんぐ! ~イクぜ!性技のダンジョン攻略~』
および
『ゾンビの同級生はプリンセス~不死人ディテクティブ~』
の同時受賞とする。

まず、今回は過去に類を見ないほどの大豊作であったが、そんな中でも『学園迷宮』の存在感は群を抜いていた。
未実装と数々のバグが織り成す爆発力は誰もが認めるところであるが、一方でCGやテキストなどエロゲーとしての本分は死守しており、
全会一致のクソゲーでありながらも、それを語るプレイヤーを笑顔にさせる奇妙な爽やかさを持っていた。
そんな本作は、まさしく「最高のクソゲー」であったと言えよう。
それに対して『ゾンビ』は、一言で言えば「最凶の糞ゲー」であった。
第一に「テキストの評価以前にまともに読むことすらできないシステム」は、テキストとシステムの両面から言って革命的ですらある。
加えて本作はパッチによって修正される未完成品ではなく「アドオン追加可能」な完成品であり、評価に一切の手心は必要ない。
話のボリュームは言うに及ばず、CGの枚数もエントリー作品中随一の少なさで、エロゲーとしての本分を全く果たしていないことが明白である。
当初、この「最強」と「最凶」の二作による白熱した議論が行われたが、決着を見ることはなかった。
なぜならば両者は根本から方向性を違えている作品であり、比較することはできないのである。
2011年を代表するクソゲーとして、粗造乱造sealの集大成『学園迷宮』と、苦痛未完成アーベル集大成『ゾンビ』の二つをもって
2011年のエロゲーのクソゲー集大成が完成すると言えるだろう。
そのためこの2作品で一つの大賞を分け合うことで、2011年のクソゲーオブザイヤーとしたい。

2011年は、数多の強豪が覇権を争い、KOTYe史上に残る激戦の年となった。
上半期末には「五惨家」が登場し、そこから名を上げたsealは月毎にKOTYeスレを賑わせる新たなヒットメーカーの地位を確立した。
中でも『学園迷宮』は近年稀に見る「笑えるクソゲー」として、末永く愛されることとなるだろう。
『ゾンビ』もまた、アーベルと共に歩んできたKOTYeのこの3年の足跡を体現した逸品であると言えよう。
そのあまりの不評に耐えかねたか、「エロゲー批評空間」で何者かが七瀬葵女史の情報を削除依頼に出す椿事もあった。
だが、多くの人にとってそれ以上に認めがたいのは、
現時点で本作が、『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』の菅野ひろゆき氏の遺作であるという事実であろう。

菅野氏は去る12月19日、43歳の若さでこの世を去った。
最近は手掛けた作品が住人の間でも「ただ不誠実なだけの唾棄すべきクソゲー」と言われていたが、
かつて氏が手掛けた作品はまぎれもなくエロゲ史上に名を残す傑作であり、中でも『この世の果てで恋を歌う少女YU-NO』は
ADVの一つの完成系として名高く、今でもエロゲの最高傑作を挙げようといえば必ず『YU-NO』の名前は出てくるのである。
たとえその晩節が綺麗なものでなかったとしても、数多の名作を残しゲームを確実に進化させ、幾度となくこのスレを盛り上げてくれ、
そして最期までゲームを作り続けた偉大なクリエイターが居たこと我々は決して忘れてはならない。

最後にもう一度、KOTYeの理念に立ち返ろう。
我々は「ゲームを単体として評価する」ものである。
クソゲーは忌むべきものであるが、それを作った人々を憎むことはあってはならない。
実際、2010年KOTYeの覇者ういんどみるは6月末に『Hyper→Highspeed→Genius』で名誉を挽回しており、
かつて次点を輩出したLeafやフロントウイングも、それぞれ『White Album2』、『グリザイアの果実』で賞賛を勝ち得ている。
そして、げーせん18の『戦極姫3』にいたっては、「大帝国よりも面白い」と言わしめる快挙を果たすこととなった。
今回不名誉を被ってしまった製作者の方々についても、
いつか「心入れ替えて面白い作品を作ろう」と思い立つその日を信じ、心から応援したい。

最後に、往年の名作『EVE burst error』の主人公、天城小次郎の名台詞を拝借することでKOTYe 2011の結びとする。

「クソゲーというのはな、製作者の悲しみとプレイヤーの怒りと
 それを水に流す笑いに裏付けされたものなんだ。批判や嘲笑とは、わけが違う」

改善案など

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