2011年 総評案8

2011総評案8 大賞:学園迷宮エロはぷにんぐ! ~イクぜ!性技のダンジョン攻略~


クソゲーオブザイヤーinエロゲー板 28本目
192 自分:総評案:8 ◆R40NpZ22.k [sage] 投稿日:2012/02/12(日) 16:10:46.32 ID:WgWiHncu0
2008年―――
『魔法少女アイ参(通称:アイ惨)』のエロCGがないエロゲーという虚無を発端に始まった
クソゲーオブザイヤーinエロゲー板(以下、KOTYe)も、気がつけば既に3回目の大賞を決めてきた。
絵はよし、バグも無し。しかし、真っ直ぐ過ぎる電波シナリオ一本で全てのクソゲーに
一目置かれることになった2009年の『りんかねーしょん☆新撰組っ!』。
群雄割拠の中「前後おォォん♪」という萌えゲーに有るまじき発言によって強烈な印象を残し、
ストーリーのダメさ加減と100以上の選択肢によってその中でも個性を見せた2010年の『色に出にけりわが恋は』。
そうして4回目の開催となる2011年は、これらの大賞作をも霞ませるほどの強烈な個性を持ったクソゲーは生まれてくるのだろうか?


最初の動きを見せたのは1月末。
多くの住人が2010年の総評について殺気立ちながら議論を進めていた中、
そんなことお構いなしに2011年度の門番となるゲームが現れた。
muscadetより発売された『令嬢の秘蜜』である。
このゲーム、その実体は2010年に「谷原さん」という迷言やNGボイスで、
一躍KOTYeやまとめblog等で話題となった『熟処女』を制作元Hammerheadsと同じ会社であり、さらにはスタッフまでほぼ同じであった。
ただ、『熟処女』が低価格帯のエロゲーだったのに対し、フルプライス(税込:9240円)にもかかわらず、
『熟処女』の駄目さ加減までも同じだとは予想もしなかっただろう。
シナリオはあって無いようなもので、居候初日から出された媚薬入りの紅茶を飲んでエッチ、
二日目にヒロインの母親が用意した媚薬入りの紅茶を飲んでエッチ、
三日目にヒロインの姉のお土産の媚薬入りの紅茶を飲んでエッチ、
とひたすら媚薬入りの紅茶を飲んでエッチをするだけというインモラル(笑)ADVである。
また、絵のクオリティ自体は低くないものの、今のご時世で差分はなし、
テキストも「えt……」「オレの苦労の原因(ルビ貴美枝)」「はぁ、あ、いいっ!あんっ※あえぎ声」
といった明らかにチェックしないで出した感が伝わってくる出来である。
音声に関してもNGシーン入り、音声がぶつ切りで聞こえる、音量設定にばらつきがある、といった具合で
「シナリオ」「絵」「音」とどの分野をとっても隙がないクオリティの低さを見せつけてくれた。
他にもオフィシャルHPのタイトルが『令嬢の秘”密”』、「女性のみフルボイス」(予定)
としていたら本当に予定だった、とどこまでもネタを提供してくれた。
時期が時期であったため、2010年の総評へ話題に持っていかれてしまった感はあったが、
住人に対して強烈な印象を残したのは確かであり、現在に至るまでスレ立て時に必ず>>1には媚薬入りの紅茶をふるまう文化を根付かせるほどようになってしまった。
こうして門番としては十分な実力を備えた魔物も現れ、「今年も一筋縄ではいかなそうだ」と住人に予感させる静かな始まりとなった。

その後しばらくは、
システムやバグ等の問題はないものの、CGと文章を一致させない斬新なエッチシーンや、
クオリティの低いBGMや素人のような声優の演技で話題となった『コイ☆カツ!』。
「フルプライスで天乃御剣のCG集を買ったら、なんかオマケでつまんないゲームもついてた」、
と選者に言わしめた『ろーるぷれいんぐがーる!』。
「体験版にだまされた…」「シナリオ短すぎ」「同人レベル」といったお手本のような感想が
スレに跋扈した『シークレットゲーム CODE:Revise』。
といったいわゆる「正統派クソゲー」と言われる作品群がいくつかエントリーされたが、
何れも小物扱いで大きな話題に上がることはなかった。

他にも、フル3Dと言いつつも90年代を思わせる大雑把なテクスチャ処理、売りである女の子同士の売りの「修羅場」も、
延々と続く茶番にいったい何を楽しめばいいのか、とされた10年ほど発売するのが遅かった『修羅恋~SeeYouLover~』。
一部シナリオはひどいがゲームの内容はよくある凡作レベルでありながら、初回特典のクオリティの低さや、
妹キャラに定評があるブランドながら妹キャラの情報提示と実内容のギャップ、
義妹の「そんなに実妹がよけりゃ、ヨスガにソラってろっ」発言などで、ゲーム外で大炎上を起こした『White -blanche comme la lune-』。
発売前から見えている地雷と言われつつも、解体作業をしてみればやはり地雷であり、
バグは満載、さらにはパッチを当てたら立ち絵が劣化。
しかし、パッチを当てなければ進行不可という二者択一を迫られる『勇者と彼女に花束を』。
朝から昼までの時間経過を「ぐるぐるーっと短針が四週ほど」、テストの点数に対して「二桁は軽く違った」、
エッチシーンにて主人公の「俺の膣内から~」等の迷言、伏線の投げっぱなしや矛盾も沢山。
あまりの酷さにライターのtiro氏は"tiroフィナーレ"などと揶揄され、
他の面でも「ごらんの紫だよ!」と相変わらずの言われ様であり、
前作『Orange Memories』と五十歩百歩の実力を示してくれた『Primary Step』。
と、それぞれ他にはない個性を持った作品がエントリーしながらも、どこか住人は物足りない様子であったのも確かであり、
もっと強烈な個性を持った作品の登場を住人は待ちわびたのであった。


そんな願いがかなったのは5月末。
後に、KOTYeにてひと悶着を生むことになったゲームたちが静かに産声を上げることとなった。
その中でも尖兵を務めたのは、softhouse-sealから発売された『変態勇者の中出し英雄記(通称:変態勇者)』であった。
softhouse-sealといえば
「(絵のクオリティが)高い!」「(エッチシーンの絵がエロくて)抜ける!」「(値段が)安い!」
といった3つを特徴にバカゲーを量産しているソフトハウスではあるが、
今回発売した変態勇者も例によって例の如く、低価格帯の抜きゲーとして発売された。
ただ、いつもと違ったことといえば、変態勇者は紙芝居形式でのAVDでの発売ではなく、ゲーム性のあるRPGで発売でされたことであった。
そしてそのRPG要素こそsofthouse-sealがKOTYeの門を潜るきっかけになることになろうとは誰が思ったであろうか。
では、そんな変態勇者のゲームバランスであるが、RPGを遊ぼうとして通常モードを選ぼうならば初期HPが約30にも拘らず、
フィールドに出ると一発で最大値の半分のダメージを削る雑魚が2体現れたり、
ダメージソースの最低値がなぜか4にも関わらず雑魚敵が5体現れたり、
毒を食らうと2,3歩歩くともう瀕死状態、などとRPGのバランスとは何であるかを考えさせられるような調整具合である。
基本システムに至っても、フィールドの速度はかの迷作『星をみるひと』を
思い浮かばせるような非常に遅い移動スピードがユーザーをイライラさせ、
百歩譲ってそこは許しても、タイトル画面からADVパートも含めてすべての部分でバックログ未搭載にウインドウ消去不可、
おまけとばかりにマウス非対応、といった仕様に進行不可バグまで加えるのはさすがとしか言いようがないであろう。
低価格帯というハンディキャップはあるものの、元々実績のあったADVへRPGという蛇足を為した結果、
予想以上に劣悪なシステムに仕上がってしまい、住人に対して強烈な印象を焼きつけることとなった。


変態勇者のエントリーから約2週間後。
変態勇者と同日に発売された2本目のゲーム―――
そして3月にもKOTYeに3Dというジャンルを引っ提げてやってきた
TEA TIMEから発売された『恋愛+H』がエントリーされた。
発売前のオフィシャルHPからは「18禁版ラブ(ピー)プラス」といったコンセプトを漂わせ、
発売に期待をしていた人も多かった一方、
一部の機能が「~できなくなりました ごめんね」と開発上の実装を見送った旨の記載がされており、
否応になく嫌な予感を持っていた住人も同様にして多かった。
そうして発売されたゲームの内容はというと、フリーズ頻発、音声ミス、といったお決まりのバグが
早速報告されたものの、その程度のバグでは住人は微動だにすることはなかった。
なぜなら、それを上回る「セーブ機能未搭載」というとんでもない仕様が隠されていたことが明らかになったからであった。
ゲームを始めたら最後、ゲームの終わりまでプレイするまでクリアの方法はない上、前記の通りフリーズが頻発するため、
その度にユーザーの精神をどんどんと侵食していくというおまけつきである。
さすがにセーブ機能未搭載なんてバグだろ、とも思われたが、取扱説明書には「つづきから」といった記載はなく、
最初からセーブ機能の実装は予定になかったことも明らかとなった。
他にもロード頻発や起動不可、スキップなしでも1分で終わるデート、などさまざまな部分での駄目っぷりも目立ち、
さらにはメーカースレには担当ライターが降臨し、申し開きを行ってお茶を濁したという心温まるおまけまでついた。

加えて、奇妙な因果関係を持った3本目のソフトも同時期に存在が確認された。
コンプリーツより発売された『まままーじゃん』である。
ジャンルはさまざまな伝説を古今東西で作ってきたテーブルゲームの一つである「麻雀」である。
KOTYeにおいてはバグをネタにまで昇華させた「いただきじゃんがりあん」の宇宙麻雀が有名ではあるが、
本作ではそういった類はなく、麻雀に勝った上でヒロインを脱がせていくというオードソックスな4人打ち形式の脱衣麻雀である。
しかし、このゲームの何がすごいかと言うと、半荘が終わって対象のキャラクターを
最下位にさせてようやく一枚脱がせることができるという点である。
また、このゲームにもセーブ機能などという充実した機能なんてものは存在せず、
こっちも始まったが最後、全員の服を脱がせ終わるまでゲームを止めることができない。
にも拘らず、計算上は最低でも14回戦を行わないと1人のキャラクターのエンディングにはたどり着けず、
頭の悪いAIによって"のみ"手による場荒らし、チョンボ発生、といった要素によって狙って最下位を選ばせることをより難しくしている。
システムも2年延期しているにも関わらず酷い有様で、点数計算が不正、点棒の消失といったことや、
大明槓後に牌の数がおかしくなり、下家の捨て牌が最終的に消失する「ネオ亜空カン」といった現象まで起こる始末である。
後日、『恋愛+H』と『まままーじゃん』にはバグの修正に加えてセーブ機能を追加するパッチが出たが、
これら2作品は2011年の今にして、セーブ機能というものにより、
如何に幸せになれるかということを選者に知らしめることになったすさまじいゲームになったと言えよう。

その他、オフィシャルHPやスタッフから実体はアーベルソフトウェアということを即見抜かれてしまい、
内容も「いつものアーベル」と言われ一蹴、さらにはCGの一部に別のブランドの、別のゲームの、別の原画家の絵を平然と流用した
FIANCEEより発売された4本目の『美衣菜△です!(通称:△)』。
発売前は普通の抜きゲーの雰囲気を漂わせていたものの、蓋を開けてみればエッチシーンの多くから漂ってきたのは
強烈な糞尿臭であった真の”糞”ゲーである、Empressから発売された5本目の『STAELESS』がエントリーされた。
(補足:STERLESSはあくまでクソゲーではなく、”糞”ゲーであり、そういった趣味嗜好をもつ人にとってはかなりの良作となります)
これらの5本の発売は、発売された5/27に因み、5.27事件と呼ばれることとなり、5本をまとめてスレでは『五惨家』というような呼称で呼ばれることとなった。
特に『恋愛+H』と『まままーじゃん』は修正パッチが出たとはいえ、この時代に有るまじき「セーブ機能無し」という要素は住民に大きな衝撃を与え、
もう今年はこいつらにはかなうソフトは出てこないんじゃね、といった空気がスレには蔓延していくこととなった。


計画停電でいっそう暑く感じた夏も終わりを迎える8月末、
KOTYeではお馴染みとなっているあのブランドから1本のソフトが発売された。
アーベルソフトウェアの新作『ゾンビの同級生はプリンセス -不死人ディテクティブ-(通称:ゾンビ)』である。
このゲームの存在は前々から認知されており、オフィシャルHPでは発売日を過ぎてもキャラクター紹介やCGの多くにComming Soonの文字、
「俺を殺したヤツを、絶対ぇに探し出す!」という思わず突っ込みたくなる決め台詞、
小売業者のほうが詳しい情報が載っている、といった不安要素は相も変わらず健在であった。
しかし、クソゲーをこよなく愛すはずの住民でさえこの"見えている地雷"に手を入れる勇者はなかなか現れず、
発売から1ヶ月が経った頃、ようやく住人の一人が解体作業を終え、選評が届くことになった。
本作において、まず目に入ってくるのはインストール方法やユーザーサポートが、
その年の優れたエロゲーを選ぶ「萌えゲーアワード」の投票用紙の裏に記述されていることであろう。
そして肝心の内容も、
「何者かに殺され、主人公は魔界の王女によって不死人にされて自分を殺した人物を探すため、不死身の体をヒロインに利用されつつも一緒に探偵事務所で活動を行う」
という設定もなんだか最近どこかで見たような既視感を感じることができる。
ストーリーはと言うと、4時間ほどで終了する2話構成の話、といつも以上に薄い内容であり、
戦闘シーンも14クリックで終了といった要素もポイントが高い。
システム面では、キャラクターごとに本編とは別視点のシナリオを楽しめる「探偵ハイパーリンク・システム」という
一見面白そうなシステムを搭載しているが、リンクの際にクリックミスで読み飛ばした場合、
バックログからはたどることはできず、見るためにはもう一度その話を読みなおさなければならない。
また、スキップを使用してもリンクが存在する場面で止まってくれたりなどしない。
シーン数も全9シーンと少なく、どの分野をとってもフルプライスのゲームとしては容量不足な感が否めない。
恒例のアドオンを導入しても全3話とやはり薄さが目立つ具合であるが、住人の多くはそれでも
「いつも通りの未完成品を売りつけたアーベルだな」といった結論を出してしまってはいるが、
それでもどこをとっても隙がない本作は、十分に五惨家に対抗できるゲームとして住民には認知されるようになった。

秋には、ニッチなモンスター娘好き向けのゲームであるはずにも関わらず、モンスター娘のシナリオは
「製作陣が全くモンスター娘にこだわりを持っていない」と言われ、さらには見た目が円柱なヒロインや
ウルトラマンよろしくな巨大娘とのエッチが余計に大きな失望と反感を買い、
ニッチ向けのゲームの在り方を考えさせられた『プリンセスX~僕の許嫁はモンスターっ娘~』。
「シナリオを読み込んでチェックしている時にも8回、泣きました。自信作です予約して下さい!!」
というメーカーの言葉通り、いつも通りに無難につまらない内容を見せつけられた水夏ファンが
8回慟哭したであろう『水夏 弐律』といった作品がエントリーした。
しかし、やはり決め手になるものはなく、住人は間を持たせるためにロリ巨乳や過去の話で華を持たせ、秋は過ぎて行った。


五惨家登場から半年の月日が流れた11月末。
まだ少し早い年末に奴らはやってきた―――そう、年末の魔物たちである。
まず、1体目の魔物であるが、これがある程度予想されていた場所から現れた魔物であったといえる。
アーベルソフトウェアのブランド、DisAbelが送り出した魔物、『魔法少女と恋+(通称:魔法少女)』である。
発売前の評判から例に漏れずエントリーされたこの作品であるが、前回のゾンビ同様に魔法少女も大物と言われつつ、
なかなかに手を入れる住人が現れずに年も明けた1月半ばになってようやく選評が届いたほどであった。
それほどかかった内容はどうなのかと言うと、選者に気軽にプレイできる、と言わしめたほどボリュームがない。
どれくらいボリュームがないかというと、キャラクターと絡みはほとんどないが、
ルート分岐を選択するといつの間にかヒロインと仲良くなっており、
エッチを行って気が付いたらゲームが終わっていた、といった具合である。
後にバグであったことが分かり、実際にはもっと多くのイベントが存在して修正パッチも出てはいるが、
それでもシナリオはオフィシャルHPのストーリーに毛が生えたもので分かる内容であり、
アドオンを追加してようやく核心が分かるようでは褒められたものではないだろう。
他にも、エッチシーンではヒロインの一人である「マリア」のシーンにいきなり「威斎」という名前が出てくるが、
これは2010年にエントリーした萌恋維新のエッチシーンをそのまま流用しているため、このようなことが起こっている。
加えて、NGボイス混入といったところから、ダメなところまで去年のゲームからパクってきたとまで言われる始末である。
おまけとばかりに△で使用したエッチシーンの絵を流用するなど、斬新な流用の仕方にはもう清々しく感じさせるほどである。
一つ一つの駄目な要素はそれほど大きくはないものの、それらが全てにおいてまんべんなく広がっており、
選評が届くのが遅れたのは、全てにおいてユーザーを凌辱し、ユーザーの心を容赦なく折らせ、
さらには精神的に参らせるほどの威力をもっていたゲームであったからであった。


そして、同日に発売されたもう1本の魔物。
ちょうど半年前に五惨家の尖兵を務め、KOTYeの扉を叩いたsofthouse-sealであったが、
再びこのようにKOTYeの門を潜ることとなってしまった。
奇しくも変態勇者同様にRPG要素を含むゲーム
『学園迷宮エロはぷにんぐ! ~イクぜ!性技のダンジョン攻略~』である。
この作品は低価格帯のゲームとして発売されたダンジョン攻略型RPGであるが、
変態勇者の実績から発売前から何かやらかすんじゃないかと密かな期待を持たれていた。
しかし、その密かな期待は、住人が予想した以上の内容で襲いかかってくることになったとは思いもよらなかった。
まず、本作はダンジョン攻略型のRPGというだけあり、ダンジョンの奥深くにいる魔王を倒すことが目的となるのだが、
OPイベントが終了してダンジョンに入ろうとするとエラーが発生してゲームが終了する。
それ自体はオフィシャルHPのパッチを当てれば直るが、それを乗り越えた先に待ち受けるダンジョンは、
店や休憩所や下への階段があるにもかかわらず、表示上にはそれらが分かるような表示は一切なく、
ダンジョン攻略の楽しみを彩る宝箱といったものも一切ない。
マッピング機能といったような親切な機能も一切なく、全てのマップはユーザー自身が覚えるか紙に書いてマッピングを行うしかない。
また、店は5Fごとに存在するが、全ての店の品ぞろえは同じであり、お金もすぐにたまるため5F時点で最強武器を購入することが易々と出来てしまう。
加えて、特定キャラにその時点で最強武器を装備させると8割方進むまで一撃必殺の先制攻撃3回がデフォルトとなる無双ぶりを見せつけることより、
とある言葉をもじり「お金を貯めて装備で殴ればいい」というような言葉まで生まれてしまった。
では、その戦闘システム自体はどうかというと、オフィシャルHPやパッケージには
「戦闘パターンを読みきれ!!」という触書があり、右側の行動順を把握して攻撃、スキル、防御等を選び、
戦略を立てて戦ういった画面が紹介されている。
しかし、実際のゲームでは行動順表示は未実装であり、スキルは武器・ステータスに関わらず固定ダメージ、
防御選択時の減算なし、といった具合であり、公式の触書とは何だったのであろうかと思わせられる。
加えて、背景は真っ黒、攻撃エフェクトがずれる、敵のHPが減った状態でエンカウント、
といったバグやら未実装が所狭しと詰め込まれており、プレイしていると必ず何かしら
「おかしい……絶対になんかおかしい……」と思う場面に巡り会うことは必至である。
そのほかにも変態勇者でマウスが使えなかったことに反省し、今度はマウスしか使えないシステムに変更、
ラスボスを含むイベント戦でも逃げて勝利といったことも随所で起こり、
KOTYeでは住人総出で未実装の洗い出しやバグの発生条件の確認、さらにはパッチの修正確認といったデバッグ作業が行われ、
一時期はメーカースレが引っ越してきたかと思うくらいに学園迷宮の話題でもちきりになるほどであった。


学園迷宮、魔法少女の発売2週間後、3匹目となる魔物が飛び出してきた。
softhouse-sealの凌辱色を強めた一ブランドであるDevil-sealから発売された
「淫刻の虜姫 ~囚われた没落の姫姉妹、淫教の果てに~(通称:淫姫)」である。
本作も低価格帯のSLGとして発売されたが、中身自体はRPGであり、主人公とヒロインの二人でダンジョンの
奥にある秘伝書を手に入れるために攻略するといった内容である。
しかし、ダンジョン攻略とはいっても自由度は恐ろしいほど低く、
ダンジョンに入って行えるのは「前に進む」か「拠点へ戻る」の2つだけ。
戦闘に関しても、スキルといった概念はなく、ヒロインも好き勝手に戦うため、戦略は主人公が殴るか
アイテムでステータスの補助をするか逃げるかといったことしかできず、延々と攻撃をクリックし続けなければならず、
まるでハイパーオリンピックをプレイしているような錯覚に陥る。
ENTERキーを押しながら攻撃ボタンの上にカーソルを合わせればスピードを上げることはできるのだが、
説明書などにはそういった記載は一切ないため、気がつかなければユーザーはクリックによって虐げられることとなる。
また、本作はレベルという概念がなく、敵を倒したときのEXPや特別なアイテムを使用することで
攻撃力・防御力・素早さを上げることができるが、敵が攻撃してくるダメージは敵のスキルも含めて防御力依存であり、
防御力を上げれば敵の攻撃はほぼ通らなくなる。
そのため、学園迷宮に対し、淫姫でも「防御を上げて物理で殴ればいい」という言葉が生まれた。
他にも進行バグによって最下層を降りてもまた最下層という無限ループによりクリアができなかったり、CGの指定ミスといったバグも存在。
また、パッチを当ててクリアできるようになっても今度はヒロインとのエッチの順番を間違えるとゲームが止まってしまったり、
と新たなバグを増やす結果となってしまったりしている。
CG自体のクオリティ自体は他のsofthouse-seal作品と同様に高く、抜きゲーとしては価格相応の出来であるため、
「ダンジョン要素がひたすらめんどくさいクソゲー」「なぜRPGにしたし」といった言葉がスレには飛び交ったゲームであった。


年末の魔物としてその他にも、マップ移動がヒントもなにも無しでひたすら面倒くさく、
据え置きの七英雄の一つである大奥期みたいと言われた『世にも気持ちいい学園の快談~オバケになってあの娘に仕返し!~』。
皆無に等しいシナリオ、ヒロインとのエッチシーンは全9種、ちょっとした動作でもロード発生、回想モードがないといった
3000円の同人ソフトのほうがマシと言わしめた『肉体契約書』がエントリーし、熾烈を極めた2011年は幕を下ろした。

今年も2010年と同様に多くの作品が群雄割拠する年になった。
しかし、2011年は前年に比べて一回りも二回りも個性を持った作品がそろうことになったと言えよう。
そんな主要エントリー作品の紹介を終えたところで、2011年の次点を発表しよう。
2011年の次点は、
『ゾンビの同級生はプリンセス -不死人ディテクティブ-』
『恋愛+H』
『まままーじゃん』
そして大賞は
『学園迷宮エロはぷにんぐ! ~イクぜ!性技のダンジョン攻略~』とする。

学園迷宮が大賞たる理由、それは今年に発売されたゲームのうち、最も愛されたクソゲーだったということに尽きるだろう。
次点以上にノミネートされた作品はいずれも薄い、バグが酷い、未完成といった要素を含んでいる。
特に恋愛+H、まままーじゃんは、込んだゲームにもかかわらずセーブ機能をオミットするという離れ業を行い、
この2作品でも十分大賞も狙える器はあったと言えよう。
学園迷宮はそれらと並べるとバグのレベルも高いとは言えず、加えて低価格製品というハンディキャップもある。
しかし、恋愛+H、まままーじゃんの駄目な要素はただ苦痛を生みだすものであるが、学園迷宮のバグや未実装は
幾分か苦痛な部分があるのは間違いないが、それ以上にそれらの存在が面白いといった点にある。
KOTYというものは本来、「俺こんなクソゲー掴んじまったから笑ってくれよwww」といったことを原動力に動いている。
そういった中、目の肥えた住人さえも「なんだよこれwww」と、楽しませることができた、昨今少なくなった
「愛すべきクソゲー」として認知されたということだけでも、大賞を受賞するには要素としては十分ではないだろうか。
また、学園迷宮はCGやシナリオ自体は悪くない。
むしろCGに関しては業界でもかなりレベルは高く、
実績のある紙芝居形式のゲームで出せばまずKOTYeになど話題にも上がらなかったであろう。
そんな中で、RPGという要素を加えるという、明後日の方向に全力で入れた結果、
住人達に笑いを提供することになった作品はそうそうない。

ただ、だからと言って決してバグを出したり未完成状態で発売することが許されるわけではない。
願わくば、バグや未完成といった、事前に防ぎようのある不具合などはしっかりと防いでほしいものである。
そうであれば、住人も含めたユーザーが不要な涙を流すことなどないのだから―――


2011年、振り返ってみればあまり良くない出来事が多い年であった。
3月におこった地震などはソフトハウスの業務への影響で最も大きかったが、
中でもチュアブルソフトの『アステリズム』の開発凍結と解散の危機は特に影響が大きかったと言えよう
(幸いにもユーザーの応援により同作は開発継続が行われることになったことをここに付け足しておく)。
他にも、年末に仲介業者の開発資金横領によって解散に追いこまれることになったRococoWorksの事件や、
晩年はクソゲーマイスターとして名を連ねることになったものの、
『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』、『DESIRE 背徳の螺旋』と言った名作を輩出した
菅野ひろゆき氏の急逝は大きな波紋を生んだ事件となり、多くの住人を深い悲しみに落とし込んだ。
また、パープルソフトウェアの10周年記念のサントラの問題などもあまりの酷さにKOTYeでも一時期話題に上がったほどだった。
無論、いいこともなかったわけではなく、
過去において住人たちに愛すべきクソゲーとして認定され、KOTYeの顔の一つとも言われていた姫シリーズの最新作『戦極姫3』や、
2010年の大賞に輝いてしまった「色に出でにけりわが恋を」発売した「うぃんどみる」が発売したの新作『Hyper→Highspeed→Genius』は
ともにユーザーから高評価を得ているようで、昨今得てしまった不名誉も返上できたのではないかと言えよう。


世の中はまだまだ不景気が続き、どのゲームブランドで何が起き、
来年もまた残って作品を作っていられるか分からない状態の中、クソゲーなんて出ないに越したことはないものの、
我々を納得させるような笑いに満ちたクソゲーが来年もまた(あまり出ても困るが)出ることを願ってやまない。

最後に、今年となっていきな4作ものゲームをエントリーさせ、
強豪ぞろいの中で年末の学園迷宮で大賞をかっさらっていたsofthouse-sealに、とある首相の迷言を捩った一言を贈り、
2011年クソゲーオブザイヤーinエロゲー板を締めくくるとする。

「僕はものすごくゲーム開発に強いんだ(キリッ」


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最終更新:2014年08月02日 22:19