聖なるかな-The Spirit of Eternity Sword 2-


概要

タイトル 聖なるかな -The Spirit of Eternity Sword 2-
ジャンル 転生神話SRPG
発売日 2007/8/3/
ブランド ザウス
価格 9,240円(税抜8,800円)

選評

598 名前:聖なるかな[sage] 投稿日:2011/09/02(金) 13:26:27.75 ID:gknoW3Mt0 [1/8]
これは、かってエロゲ界屈指の大作怪作SRPGの公式続編と銘打たれオリジナルスタッフが中心で造られている
(1の原画師はサブ原画で参画)
今回は大規模な延期もなくプロモ・体験版の素晴らしい出来に誰もが前作を上回る大作を期待した
※1は海月級の延期があった
が、しかし出てきたのは【素晴らしいのは体験版まで】【苦行と徒労感漂う作業ゲー】【前作の善さを廃止し問題点を拡大した設定崩壊】
と三拍子揃った糞ゲだった
そしてマスターアップ直後に開発チームの主力が退社独立というオマケがついた
作品スレやwikiでも「マスターアップじゃなく開発ギブアップして発売」「んへw(主人公の僭称)」「楽しめるのは序盤とバトルのみ」と
諦められた当作品はいかなるものだろうか?

 まずはじめに、前作・今作・メディアミックス展開された作品群は『永遠神剣シリーズ』と称され、同一世界・同一の神話(ルール)
の下に運営されている。
 設定資料集とか各メディアに散見された設定群を抽出統合して、ものすごく乱暴に要約すると…
まず1本の神剣(原初神剣=創造主)があった。何かの理由で、神剣が砕けてその破片が散らばりあらゆるモノが創造された。
 うち、いくつかは武器の形を取りあらゆる伝承・神話で出てくる伝説の武器の原型となる。その武器(永遠神剣)に選ばれ手に取った者は、
人知を越え、高位の武器によっては広義の意味で神や悪魔的存在にまでなることが出来る。(高位になると宇宙単位での創造破壊も可能)
 ただし、神剣の力は無償ではなく神剣そのものにも意志人格があり、用いる毎に持ち主の人格精神に干渉していく。
安易に用いすぎれば剣に自我を乗っ取られてしまうと言う代償も背負うことなる。その代価は高位な武器であるほど高い。
 この強大な力に触れた各世界の人間がどう動くか!?というのが各シナリオの表だった根幹である。
そして、その裏では「剣は一つに戻るべき」と考えるロウと「あるがままであるべき」というカオスな派閥の神的存在(高位神剣所有者)
があらゆる次元の生命存在をユニットにウォーゲームをやっている
 こんな設定で、前作では主人公とヒロインが「仲間と世界を守るため」に自分たちのその世界での存在概念を代価にカオスの神的存在
にクラスチェンジして、ロウ派閥を追い返し、永遠の闘争に旅立つところで終わった。
 そして今作は別世界でのお話である。

【素晴らしいのは体験版まで】
今作は、一言でいうと異世界漂流物である。
主人公と仲間がある騒動から偶然神剣所有者に覚醒し、そのエネルギーで学園が次元の狭間に
切り離され、漂流しながら先生一人と生徒達だけで帰還する道を模索するというのが導入
 漂流の果てに、中世ファンタジー風の世界のとある王国に漂着する。
そこでは、“光をもたらす者”と呼ばれる組織から永遠神剣と神剣所有兵を授り、王家を乗っ取った将軍と、
唯一生き延びた王女様が率いるレジスタンスが内戦をしている世界であった。
神剣を持つ主人公達は勇者として迎えられ、生活の保障を約束にレジスタンスに参加することになるという、王道鉄板の熱血展開。
神剣の力と代価、王家の呪いと復讐の連鎖、ダークな世界観に前作をクリアした者は懐かしい単語群と共にニヤリと笑い、
初体験者は唐突なるイベント群に戸惑いながら進む。
そして、次元を越えて主人公達を迎えに来た“旅団(神剣所有者による私設タイムパトロールだと思えばいい)”からの使者との邂逅、
恩返しのために神剣を手に帰還までの間、同行を申し出る王女に物語の更なる加速を夢想する……
――本当に夢想だけであった。

【苦行と徒労感漂う作業ゲー】
1.異世界修学旅行
で、アクシデントがあり旅団の本拠地とは別の世界に漂着する学園と旅団の使者達。
漂着先の筈なのに、なぜか“旅団”のガイドが居る。シナリオの破綻を予感させつつ、現れたのは、前作の全MAP級の広大な地形
そして、広大なMAPにちらほらといる敵ユニット。戦う十倍以上の時間を移動に費やし、
戦いに来たのかジャングルを探検しに来たのかわからなくなる。 作品スレをして「異世界修学旅行、救世主体験コース付」と称される通り、修学旅行の名所巡り
は面倒で煩わしい
そして、敵の拠点に攻め込もうとした矢先、いきなり「結界がはられている!」といわれ拠点目の前で
一定ターンの間足踏みを余儀なくされる。そして拠点からは行列を成して出てくる敵ユニット
回復できる拠点で迎え撃つと楽だが、そこまで戻ってさらにまた進軍するのも面倒くさい
修学旅行に行列と時間待ちは必須事項なのだろう。開発スタッフはよく考えている。
以後、綺麗だが飽きるほどに広大なMAPは面が進む毎に範囲の拡大を続けマラソンさながらの
移動をすることになる

2.窮極奥義:リセット!
広大な地形の彷徨、足踏みを乗り越えて先に進むと現れるのが「能力」と称して、“時間を巻き戻す”
という特殊能力。
敵の拠点まで攻め込んだかと思ったら、振り出しに戻され倒した雑魚敵までスタート地点に復活!
まあ1回だけなら許そう。 だが、この小技と類似(ボスだけ差し替え)は何度かお目見えし
ユーザーのやる気に直接攻撃してくる

3.もう全部あいつ一人でいいんじゃないかな(AA略
中盤、前作の主人公とヒロインの娘がやってくる。しかも登場と同時に衝撃で記憶喪失になる。
前作コンプユーザーはおおよその見当は付くだろうが、本当に何がしたいのか何が目的なのか
作中では一切明言されない(一応、ファンディスク初回版付属の資料集にものすごく後付臭い
理由付けは書かれている)。この娘、攻略はおろかサービスCG1枚すらない。エンディングで
記憶を求めて旅に出るので続編でリサイクルする意図が見え見えである(あったらの話だが…)。
作品スレをして「シナリオ上で一切絡まないのに出てくるcvアグミオンな幼女」は前作儲と炉
を釣る為の“客寄せパンダ”という僭称を与えられる。
 それはそうとしてこの娘、神級の夫婦から産まれてるので、産まれながらにして神級性能である
HPとスキル残数さえちゃんと管理すれば、こいつ1人で敵を皆殺しにしてくれる。
 その後、最強の神剣の化身と称する真ヒロイン:ナルカナが登場する。
(このナルカナ様を讃えて、聖ナルカナと呼ぶと、ほらタイトルだ!!)
このキャラに至っては、ラスボスすら一人で殺りだす。使わなきゃいいだけの話だが
性格が天然(cv:アグミオン)と言動に相応しい能力持ちの中二病(cv:一色)が無双する様に
今までの苦労は……という絶望感に襲われる。
では主人公はと言うと、確かに強いことは強いが、盾ユニット以下の鈍重な機動力に、
運用するだけで全体の足並みが鈍る謎性能となっている。
「主人公は反応速度が絡まない、イベントバトル専用」という不名誉な烙印を押さえる

4.モチベーション皆無の終盤戦、
学園生の本来の目的は、元の世界に帰ることであった。
中盤、旅団の本拠地に到着し元の世界へ帰る道順を知った。
しかし何故か世界の危機を救う為に学園は戦い続ける。学園を機動前線基地代わりに利用して
なぜか無力な先生+一般学園生まで引き連れて……。
 そもそも、遭難漂流という極限状況下において、ありがちな治安悪化・派閥形成・自治会への不信/クーデター
、そもそもな原因造った神剣保有者への悪意、帰郷への意志といった生々しい感情の発露は皆無どころか、2章以降
数十人はいるらしい名前無しモブのセリフは、中世世界以降作品通して全ルートで20個あるかどうか? 敵さんも人質に取るとか
全然有効利用しないし、無力な一般人の足掻きみたいなイベントも無い。
 機動学園(実はあるヒロインの使い魔と同化している)は世界に浮游するマナ(生命力。魔力みたいなもん)を吸収して動力源とするが、
非常時には人間からもマナを直接吸収できるという設定が公開されたため、作品スレをして「これで恫喝してるんじゃね?」
「むしろ反抗意志在る者は粛正済だろ」という邪推意見すら当時は出ていた。

 そしてほとんど伏線無しで登場する銀髪幼女。高位の真剣持でこの世界の創造主兼管理者なのだそうな
なんか知らないが、この世界をリセットするとか言い出す。この打ち切り展開にポカーンとなりつつ
お約束の面リセットを2回耐えつつ、銀髪幼女の元へとたどり着き明かされる真実──
要はナルカナという真ヒロインは全次元に対する害毒(反物質)で、拡散しないようにこの世界に隔離軟禁するのが目的だった
そのために、自分の全能力を使用して世界を保護していたが、後事を任せた部下とかお前等が隔離していた害毒を連れ出すとか好き勝手やったから
グチャグチャなった。仕方ないからリセットするしかないよ!
 要は、ラスボスさんは……DQN部下やモンスタークレーマーに悩まされる雇われ店長だったということだそうです
ユーザーに選択権はなく、主人公達は「お前の勝手なエゴで、生きる権利を奪って善いのか!!」と怒り最終戦闘へ…
エンディングは、一部ヒロインを除き「ギャグエンドルートが一番設定破綻無くてよかったんじゃね?」と作品スレでいわれる
ことでお察しください

【前作の善さを廃止し問題点を拡大した設定崩壊】
1.無償の奇跡は存在…する!?
神剣は意思を持ち、力を振るうほど所有者の心を蝕む… これは永遠神剣シリーズを通しての設定である

前作では、【マインド】という能力値で自我を何%保っているか示されていた
戦闘行動を行う毎に減少し、特に何も考えず特定キャラを酷使したり、範囲攻撃ばかり連発してるとマインドを減りすぎてレイプ眼になったり、
最悪バッドルート一直線になる
(また凶悪な技ほどマインドが低くないと使えず倍率ドン)
全体に流れるシナリオも熱いがダークだった
今作は、なんと【マインド】が廃止され自由に使えるようになった!
また、かっての仲間から神や救世主扱いで迎えられるという悲しく切ないシーンがあった神的存在になる最大の代償、この世界に居なかった事になる(記憶含む)が、
今作はなぜか皆思い出してしまい、最終的には神になったけど関係変わらずといいとこどり

そのせいでテキストやイベントのみある神剣の侵食が単なる邪鬼眼になったり、主人公が「全てを失っても構わない!」と叫ぶ最強業が失笑ものの口だけリスクとなった

2.真ラスボスは酒場の量産型モブ?
ルートによっては、世界の管理者(ワーカホリック)を倒した直後、弱った管理者を捕食した真ラスボス(ロウ側の神)が登場して最終バトルとなる
でこのキャラの立ちグラフィックは色んな酒場にいたモブキャラである
本人曰く「管理者の眼を誤魔化すために存在(力)を大量分割していた」とのこと
で、壮大な野望か意志でも演説するかと思ったら「強いエネルギーが沢山あったから捕食しに来た」
最終バトルは通り魔からの自衛ですかそうですか……
その他、ADVパートのイベントとSRPGパートが噛み合ってない。
未来世界の住人(サイボーグ)が古墳時代風の衣装着て弓を使っている。
世界を縛るためのギアスが気合いで無効化されたり、転生という概念があるはずなのに、転生前と転生後が同時間軸に居たり……
中盤以降は出来てる部分だけ抽出してパッチワークしたんじゃないの?と邪推したいほどに設定崩壊している


【総評】
序盤は良くできているし、チート要素封印すればバトルだけは楽しめる。
シナリオはスキップしろ! 移動中はバックグラウンドで映画でも観てろ!
これは未完成商法という言葉が生み出される前に実った早生の穂である


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最終更新:2014年08月02日 16:19