勇者と彼女に花束を 選評

タイトル 勇者と彼女に花束を
ジャンル 18禁アダルトADV
発売日 2011/4/8
ブランド KLEIN
価格 9,240円(税抜8,800円)

要点

体験版配布時より『大器』の逸材と囁かれていた1本。
案の定製品版はバグだらけで発売され、多くの人々が甚大な被害を受けた。
しかしパッチで修正されてからが、この作品にとって『本番』だったのだ・・・

選評

775 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2011/07/17(日) 22:56:58.57 ID:5Y5gDaCp0 [1/4]
よし、解体処理がひと段落したので解析結果のご報告といきます。
ここを追記した方がいい、という点があればどしどし指摘願います。

クソゲーを語る上で、「見えた地雷」という表現はもはや欠かせないものになっている。
前科持ちである、公表された要点が酷い、面白そうに感じないなど様々で、とりわけ酷そうに見えても絵が好みなので買うという
いわゆる『絵買いユーザー』が多く存在するエロゲー界では毎年毎月のように地雷を踏んで爆死するものが後を絶たない。
一口に地雷といっても千差万別で、踏んだ瞬間足が吹っ飛ぶタイプもあれば、毒ガスのように気が付いたら体が動かなくなっていたような
タチの悪いものもある。地雷があって、地雷ソムリエがいて、処理班が解体を試みる。これでエロゲ業界は回っていると言われている。
…とはいえ、見えた地雷は踏む側が身構えているケースが当たり前なので評価は萎みがちになるのは否めない。
ところが世の中には「地雷」であることを芸の域にまで昇華することでマイナス面に好評価を受けるものも存在する。
今回はその1つとして『KLEIN』の「勇者と彼女に花束を」を選評として紹介したい。

まず、本作が見えた地雷と評された大まかな理由は2つある。1つはメーカーのKLEINがクソゲー実績しかない発売元である事。
ただ面白くないだけならともかく、音声ズレやフラグミスなどあからさまなシステム不良を随所に残し、しかも何度開発しても
一向に成長していないという学習能力の低さには定評がある。嫌な予感しかしないと警戒されるのも当然だろう。
2つめは体験版の時点でそのシステム面の稚拙さがど素人でも理解できていたこと。どれだけ酷いかを端的に解説すると、
「音量や声が小さすぎてまるで聞こえない」「誤字が多い」「エラー落ちで終了する」等々…。
ここまで徹底していると、地雷であることをセールスポイントにしたいんじゃないかと勘繰りたくなってしまう。

ここからは製品版の概要を記す。なお、上記の問題は修正前まで「まるで」変わっていなかったことを追記しておく。

【システム】
ゴミ埋立地の上に高層マンションを建てるかのような、無茶で無謀でガタガタなシステム周りは本作でも健在である。
ホイールでバックログが見られない、セーブ&ロードのショートカットがメイン画面にない(クイックは可)など痒いところに手が届きそうで
絶対に届かない絶妙な不親切は毒のようにじわじわとプレイヤーを苦しめる。勿論これは序の口に過ぎない。
テキストと台詞が一致していない、選択肢が無限ループする、特定のルートが進行不可、見たのに登録されないCG、
BGMや音声が聞こえなくなる、一枚絵に立ち絵が重なって表示されるなどバグも完備でやりたい放題だ。
数回に渡ってパッチは当たり一部は改善したものの、「やはりKLEINはKLEINだった」という安定の低クオリティである…。
余談だが、スタッフロールで確認できるチェック担当は1人だけ。成る程、不備だらけなわけだ。

【絵】
一目見ればそれなりに可愛く見えるが、二目見ると何かがおかしいことに気付く微妙な出来ばかりである。
脱臼しているようにしか見えなかったり、構造的に無理がある立ち絵など欠点は多々あるが、もっとも有名なのが
『パッチを当てると限りなく別人に近い同一人物になる』シンシアの立ち絵問題だろう。乳が萎む、等身が変、目がデカ過ぎなど
明らかに前のほうが良かったと言われるほどの劣化なのだが、パッチを当てないと進行不可になったりするので当てざるを得ないというのが現実だ。
先に進めないVerのままで妥協するか、劣化した絵を見せられるVerにするかの二者択一を迫られるのである。どんな嫌がらせだろう…。
総CG枚数は差分込みなら90枚弱。Hシーンは1人あたり2~3回。話の短さを考えると妥当な数かもしれない。フルプライスでなければ。

【シナリオ】
それっぽい話を書き殴ってみた、という印象。文章として読み難い以前に、文章になっていないシーンがかなりある。
しかも作中で「それから数日後…」「それからまたしばらく経って…」という表現で時間軸を強引にすっ飛ばす部分が多く、
蛇足はないが要点しかないという極めてお粗末な話になっていて、逆に流れが掴み難くなっている。
降って湧いた伏線発生→テキスト上で数日が経過する→唐突に流れ無視してイベント発生→伏線回収したよ! という流れはザラ。
たしかにこの手法なら伏線を回収し忘れることもないかもしれないが、ライターは手抜きやご都合主義と思われる可能性を考えなかったのだろうか…。
世界観はギリギリのレベルで練られているものの、サブキャラなどが殆ど登場しないのでどうしても物語の幅まで狭く感じてしまう。
そこまで水増ししても短すぎな上に数回に渡るパッチを当てても解消しきれない程の誤字脱字のオンパレード。
バグで話が進められないなどはシナリオ以前の問題だが、これはパッチでなんとか修正されたのでアウトだけど百歩譲って良しとする。


パッチは当てられたものの、結局酷すぎるところを酷いレベルまで改善したに過ぎず、
修正不可能な問題点が多すぎてどうあがいてもクソゲーはクソゲーという原点に終始する。
一応絵もシナリオもシステムも息をしていないのに声優は生き生きと演技していたり、BGMは無駄に良かったりと、
出来の悪さが幸いしたのかシリアスな笑いと解釈できる部分も地味に多かったりする。
もう少しロックに突き抜けていれば数年後にカルト的エロゲとして再評価されていたかもしれない。

【オマケ】
クソ要素とは関係ないが実は本作品には裏技と呼べるものが存在する。裏技と言ってもコマンドを入力するとかいった類ではない。
公式が配布している「製品版用修正パッチ」を、「体験版」に当てると、なんとエピローグまでプレイ出来てしまうのだ。
勿論一部のCGは表示されないし回想モードを見ようとするとフリーズするなど不備はあるが、
『パッチによって体験版が簡易製品版に進化する』という驚きの仕様は発覚後住民達の多くを別の意味で喜ばせた。
(なお、メーカースレ住民は発売後早い段階でその事実を掴んでいた事を補足しておく)
これにより、「全てにおいて酷いけど個性に欠ける」と評していた一部の住民にも支持されることとなった。

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