2010年 総評案8

総評案8:大賞 熟処女~私、はじめてなんです~(wiki選評案旧5氏 本スレ10本目735再掲)

735 名前:総評案1[sage] 投稿日:2011/02/08(火) 21:31:30 ID:99l4H/+e0
 初年度にして怪物を生み出した08年、電波一本勝負の潔さである種の感動すら覚えさせた09年が終わり、
住民たちは今年はいかなる化物がこの世に生まれ出でるのかと戦慄を覚えつつ新年を迎えていた。

 新年初っ端を飾ったのは130cmの「鬼まり」である。「鬼うた」のファンディスクである本作、メインルートは縮小再生産、
サブヒロインルートは相手を振ってエンド、そしてルートはこの2つだけ。エロシーンは実質4つの上に本番は妄想上の
1回のみという薄さ。さらにメーカー側の「本番がないとあかんのですか?」という斜め上の対応。シナリオ、エロ、
対応と全方位に渡って褒めどころ皆無という堅実なクソゲーぶりを発揮した。後に400Mもの巨大パッチでエロシーンを
追加して改善が見られたものの、新年一発目としてまずまずの盛り上がりを見せた。

 超空間の核実験場ことZEROも「オレの妹のエロさが有頂天でとどまる事を知らない」で実力を見せ付ける。この作品は
宣伝では純愛路線を全面に押し出しながらも、メインルートではNTRやレイプを不可避のイベントとして盛り込んで
来るという展開を筆頭に、このタイトルにも係わらずそれっぽいネタは皆無など期待を裏切る要素がてんこ盛り。
シナリオは超展開だらけ、エロシーンも数あれどそれぞれが短すぎるなど単純にクオリティも低い。あらゆる意味で
ZEROらしさを残すその作風は住人たちからも高く評価された。

 だが、その「俺の妹(ry」を霞ませるほどの破壊力を発揮したのが、前年の次点作品を擁するアーベルソフトウェアが
今年最初の刺客として送り出した「恋刀乱麻」である。今回は前回に懲りたのかボイスもあるしバッドも含めてエンドも
数種類揃っている。では何が問題なのかというと、搭載された戦闘システム、「五行戦闘システム」が救いようがないの
である。名前こそ大仰だが内容は5種類に増えただけのジャンケン、この運ゲー10本勝負が各ルートで10回程度行われる。
ただでさえ引き分けが多い上にもっさりした戦闘エフェクトもカットできないため、味わわされる作業感と疲労感は筆舌に
尽くしがたい。システムとして純粋にクソ、という点では他の追随を許さないところがあり、その個性は住民たちに絶賛された。

 3月にはOverflowの「Cross Days」が案の定の参戦。大方の予測を裏切ってパッチこそわずかな程度で済んだが、
それが消し飛ぶような問題を巻き起こしたのは流石と言う外ない。最大の問題は「宣伝詐欺」──即ち、一部ヒロインの
雑誌告知シーンを削除した上に、好みの大きく別れる「男の娘」と「ガッツ」を一切事前告知せずに、しかもルート数では
ほぼ半数に達するほどの大きな扱いで盛り込んだことである。さらにそれに対する抗議や反発を「2chで宣伝ありがとう
ございます(笑)」などと煽りで返した挙句、プロデューサーの出演するニコ生では都合の悪い言葉をNG指定する見事な対応。
ネット認証ソフトであることにより中古売り逃げという退路が絶たれた上に、追撃の罵詈雑言が雨あられと降ってくるという
孔明も裸足で逃げ出す悪辣な罠に引っかかった犠牲者は数多く、発売直後の作品別スレッドは怨嗟の声渦巻く呪詛の儀式場と
化してしまった。定価13440円(買取不可)の末路がこの体たらくでは泣くに泣けない話だと言えるだろう。

 一方、ZERO、アーベル、Overflowと同じく定評あるSSαは戦極姫2を大きなバグもなく出荷。前評判の高い大物同士の
間で大きく明暗が別れることになった。もっともSSαは携帯版でバグ乱舞ゲーを2本も出しているため、企業体質が改善
したというより足掛け数年でやっと一つの作品が完成したと考えるのが妥当かもしれない。

 だがクソゲーと呼ばれるものは決して「定評ある」メーカーのみから生まれるものでもない。そのことを我々に思い出させて
くれたのがういんどみるが送り込んだまさかの刺客、「色に出にけり我が恋は」であった。王道のストーリーとキャラ萌えに
定評のある同社だが、ユーザーが見たものは風呂場でスッポンポンになって奇声を発しながら腰をクネクネさせるヒロイン
という大変シュールな絵だった。主人公はセクハラ魔人、ヒロインは奇行や迷言だらけ、エロシーンですら笑わせにかかる
テキストなど同社の作風から想像できない作品に仕上がっており、クラスター爆弾クラスの広域破壊能力を如何なく発揮した。
犠牲者という意味では10年度でも屈指のレベルだろう。

 しかしなんと言っても上半期で一番の話題作といえばbiscottiの「Floating Material -The hill where the star born-」に尽きる。
 公式HPですら間違えてしまうほどタイトルの長ったらしいこの作品、HPキャラ紹介の文章がwikipediaや他メーカーから
盗作という、発売前から伝説を成し遂げたことで聞いている人も多いだろう。その後の追跡調査でサンプルのゲームCGも大部分が
トレスであることが判明。copy rightの部分まで他からのコピペというのは笑うところなのだろうか。さすがにメーカーも反省
したのか、発売延期して疑惑部分については削除と謝罪で対応することとなった。
 とはいえゲーム部分だけでも十分にひどい。会っただけでヒロインが主人公に一目ぼれするプロローグ、やたら「、」が多く
読みにくい文章、まさかのSEなしと目に付くところだけでこの有様。これに耐えてシナリオを続けても、山場に来るとヒロインの
問題が学外で勝手に解決してしまう感動ゼロのシナリオと、書き直したパーツの変なやっつけCGがプレイヤーを奈落に突き落とす
仕様である。
 早くからコピー疑惑で騒がれた作品であったが、クソゲとしてはまさに「本物の作品」だったと言えよう。

 夏に入り、話題をさらったのはまたもアーベルソフトウェアだった。彼らの放った第二の刺客、デュアル・エムが前評判を上回る
出来栄えでスレに降り立ったのだ。本格探偵モノを銘打っているが、序盤情報による消去法でアッサリ犯人にたどり着くうえ、
選択肢を間違ってもパートナーが全自動でやってくれるためバッドエンドも存在しないという親切なセミオート設計。アドオンで
修正されたものの左利きの犯人が堂々と右手で銃を撃つ、暗号にまさかの誤植など、ジャンルは本格クソゲーの間違いではないかと
思えるような素晴らしい内容に満ちているのは流石である。もちろんボイスもOP・ED曲もない。相変わらずのアーベルらしさに
あふれるその素晴らしいクオリティは、住民たちから手放しの賛辞を受けた。

 LOST SCRIPTの「ふぇいばりっとSweet」も忘れられない。
 この作品の問題は、フルプライスにも係わらず総容量468Mというところから始まる。さらに数だけあっても実用性皆無のエロシーン、
ただでさえ少ない内容の9割が共通というシナリオの薄さ。それでもシナリオ自体は面白いかと思いきや、シナリオの中核を担う
主人公とメインヒロインの設定とエピソードは「西洋骨董洋菓子店」のパクリもといリスペクトだったという体たらくである。
その何ともいえない出来栄えはクソゲに飢えていた住民たちにそれなりに歓迎され、秋に向けて住民たちの期待は膨らんでいった。

 そして9月、満を持して登場したのがPurple Softwareの新ブランド、delightが世に放った「Orange Memories」である。
 内容は「エロゲではよくあること」で片付くものでエロシーンも質はともかく数を揃えており、ここまでならただの凡作で
終わるはずであった。ところがデータ解析を行った人間が内部に大量の未使用ボイスを発見したのである。この結果、少なくとも
6つのエロシーンが削除されたことが判明。つじつま合わせのために関係ないシーンのCGを流用したらしく、「ラブホエッチの
CGで星空が見える」などといった不自然なシーンが存在。さらにヒロインの名前を「奏」から「心」に変更した際に一括置換を
行ったため、「奏者」「伴奏」が「心者」「伴心」などと誤植される有様。もちろん一部のフラグ処理がおかしいといった基本も
しっかり抑えている。この脇の甘さを隠すどころかあえて見せびらかすという捨て身の姿勢は住民たちに大いに歓迎されるとともに、
久々の本格派にスレは沸きかえった。「delight」とは「大喜び」という意味とのことだが、この出来栄えで大喜びなのはメーカーと
KOTY住人くらいであろう。

 ところがこの盛り上がりも束の間、その後スレは再び年末まで停滞を迎えることになる。この間、アーベルの三作目である
「萌恋維新!」や原作ファンを失望どころか絶望させた「JINKI EXTEND Re:VISION」、体験版で終わればみんな幸せだった
「なないろ航路」などが名前として挙がったものの、どれも普通につまらない上に不愉快というインパクトに欠ける出来栄えに
終わってしまった。

 このまま何事もなく年の暮れを迎えるかと思われた12月──やはり年末の魔物はやって来た。
 その魔物の名はHammer Headsの「熟処女」。本作品はいわゆる低価格作品ながら、オチンチンペに始まるタイプミス、
ミス音声の収録、台詞と音声のズレなど抜きゲーのはずなのに「真っ最中」で致命的に萎えさせる仕様を誇る。極めつけは一部の
エロシーンのテキストを他作品からまるまるコピペしてるせいで作中に登場しない人物の名前が出てくるという点で、スタッフの
能力とモラルの低さを象徴するエピソードと言えるだろう。誤字脱字もひどいを通り越して凄いのレベルに突入しており、
「女性を放っておくなって許せない」「寛げた俺の下半身」「ゆっくりを受け入れてください」などなど、それだけでも十分すぎる
破壊力を誇っている。ただ萎えさせるのみならず笑わせるにまで押し切るその圧倒的な迫力はスレ住民から熱狂的に支持された。

 これに追い討ちをかけるのが信頼と実績のアーベルソフトウェアが本年四作目にして最後の刺客として送り込んだ「まるめる」である。
 「あなただけの物語を作れ!」という煽り文句から想像できるとおり、本作はマルチエンドで実に18のエンドがある。
ところが実際にはエンドの攻略順がほぼ固定されており、独自どころか一本道というひどいオチ。発売当日のアドオンを発表しながら、
内容はヒロインの表情差分という必要最低限の機能を補う程度の代物。キャラ10人中4人はセリフなし、背景の昼夜が無茶苦茶など、
量産型の駄作では済ませないあたりは流石熟練のクソゲメーカーといったところか。唯一の救いは既に名声を確立したメーカーであった
だけに、犠牲者が少なくてすんだということだろう。


 それでは、本年度の入選作と大賞を発表しよう。

 入選作は「恋刀乱麻」、「Orange Memories」、「Floating Material」の3作。大賞は「熟処女」とする。

 業界でのアフターサービスの金字塔を打ち立てたCross Daysは間違いなく今後も語り継がれる作品となるだろうが、最大の問題点は
ゲーム内容と無関係であるためクソ「ゲー」としてはもう一つと判断した。そうした中で入選作はいずれもゲームをやるだけで
やるせなさがこみ上げてくる破壊力を有するメンバーが選ばれ、その中でも一番大きな「本編の文章盗作」を実行した熟処女が大賞に
輝くこととなった。

 魔王が君臨した08年、王者を生んだ09年と比べて、10年度は群雄割拠の戦国時代という形容が相応しいだろう。突き抜けてひどいもの
こそなかったが、クソゲと呼ぶに十分値するゲームが数多く排出されたユーザーにとって過酷な一年であった。
 そうした一年を代表する言葉は「コピー」だろう。トレスやリスペクトはもちろん、文章のコピペにまで至った事例まであり、
一部メーカーのモラルの低下は目を覆いたくなるレベルだった。また、KOTYに限らず期待を裏切ったと言われる作品も例年より多く
排出され、メーカーが安定したクオリティを残すことがいかに困難かを感じさせる一年でもあった。
 そうした中で一年に四作も発表しながらも、どれ一つとして前評判を裏切ることなくクソゲーを出し続け、二年連続の入選作を
排出するに至ったアーベルの安定性は流石というほかない。その作品群は住民に「アーベル四天王」と称され、最後の作品は発売後
しばらく工作板にスレッドが出来ないという偉業すら達成した。ある意味で業界の頂点を極めたと言えるだろう。
 よって、一年の最後の言葉はこの偉大なるアーベルの言葉をお借りし、biscottiとHammer Headsに贈ろうと思う。

「盗作なんかしないであなただけの作品を作れ!」