2010年 総評

大賞『色に出でにけり わが恋は』(4/29)《ういんどみる》

441 名前:26 ◆QUVFtAIYwKDS [sage] 投稿日:2011/04/10(日) 13:50:23.80 ID:ozxkE7JeP
2008年は『魔法少女アイ参』によりグラフィックが蹂躙され、
2009年は『りんかねーしょん☆新撰組っ!』によりテキストが陵辱された。
果たして2010年は、それらを超える破壊力を持つクソゲーは生まれてくるのであろうか?

初春の本スレに、2010年の先陣を切って1匹の鬼が舞い降りた。
130cmの『鬼まり。~鬼が夢見し常の世に、至る幼き恋の始まり~』である。
2009年に「変態バカゲーと思ったら超展開猟奇鬱ゲーだった」と言われた『鬼うた。~鬼が来たりて、甘えさせろとのたもうた。~』のファンディスクであるが、
『鬼うた。』では存在しなかった「普通のエロ」を期待していたユーザーを待ち受けていたものは、「スキップで10分かからず終了するシナリオの短さに加え、本番は妄想エロ1個のみ」というサランラップ並みの薄さであった。
また、イライラしているユーザーに対して、ブランド代表がブログで「本番ないとあかんのですか?」と男の下半身を読めない失言をして一悶着が起きた。
その後出た追加パッチにより、現在では品質は安定しているが、これを皮切りに2010年は多種多様なクソゲーが姿を現すこととなる。

2月に入ると、節分の豆を逆に食い荒らすかのような「耐性」を持った、厚顔無恥な3匹の鬼が姿を見せた。
まずはげーせん18の『戦極姫2 ~戦乱の世、群雄嵐の如く~』である。
これは2009年の本家と携帯KOTYで大賞を受賞した『戦極姫 ~戦乱に舞う乙女達~』にエロを追加した逆輸入品であり、2010年のド本命と予想されていたが、数々の屍の上に築いたおかげか本作では「致命的な」バグはない。
もっとも、細かいバグや絵の不統一、追加のエロであからさまに性格が違うなどのミスは、依然として健在であったが…。
12月に発売された『三極姫 ~乱世、天下三分の計~』も似たような評価であり、
本スレ住人から、「-100点かと思ったら-10点でほっとしたけど、よくよく考えるとマイナスなことに変わりはない」「姫シリーズのくせになまいきだ」と語られる程度の被害で収まった。
2010年の「魔姫」は機嫌が良かったようである。

続いて現れたのは、2009年の次点作品『MQ ~時空の覇者~』を生み出したアーベルソフトウェアの『恋刀乱麻 ~わたしが、アナタを、守るからっ!!!~』である。
美少女五行バトルと宣伝されていた本作であるが、即座に住人から「苦行バトル」と呼び変えられたバトルシステムは尋常なものではない。
公式サイトにおける主人公の紹介には「戦略的な見地からパートナーの戦いをサポート」と書かれてあり、ヒロインのブレインとなりバトルをサポートする姿を想像するであろう。
しかし実際には、戦術性や駆け引きもなく、完全な運ゲーで戦闘中はスキップ不可であるため、プレイヤーは数分間クリックし続けるという忍耐を強いられることとなる。
さらに戦闘回数は1ルートで平均10回と多く非常にしんどいこと、ラスボス前では連戦が発生するためプレイヤーに苦痛を与え続けることも指摘された。
CG自体のクオリティは高く、ストーリー展開やキャラクター配置なども破綻なくギリギリのラインでまとまっているものの、
ADVパートにおいて「会話」以外の選択肢はほぼダミーという、『MQ』の後継を伺わせる手抜きっぷりも見せつけ、直球のクソゲーとして住人達に支持されることとなった。

2月最後に顔を見せたのは、「某ラノベ」にあやかったようにしか見えない名前とパッケージで話題となった、ZEROの『オレの妹のエロさが有頂天でとどまる事を知らない』である。
本作は公式サイトにおいて「純愛に限る」と宣伝されていたため、多くの人間は「某ラノベ」を意識した純愛ゲーであると想像したはずである。
しかしトゥルーエンドの直前になると、あるルートでは純愛していた妹はナンパされた男にホイホイついて行きレイプされ、また別のルートでは妹との関係に悩んだ主人公が妹を他の男に押しつけようと画策する。
さらに男の娘が売りの男未(いもうと)はチ○コがなくなり女体化するなど、本作の正体は、期待したものと真逆のものをぶつける盛大な釣り堀であったため、多くの人間が爆死した。
「元ネタの妹」がプレイしたらディスクを叩き割りかねない、メーカー側の悪意が込められた作品といえよう。

2月の悪意に触発されたのか、3月にはオーバーフローの『Cross Days』に襲撃されることとなった。
基本的に情報は未公開で、数々の狂った世界を提供するオーバーフロー。
予約者達は日夜イメージトレーニングをして、魔境に挑む準備を整えていた。
しかし、それでも「主人公が女装してヒロインから男を寝取る」という展開は、誰が予想できたであろうか?
さらに、『THEガッツ!』のタカさんばりのマッシブ女、絶頂の瞬間にゴエモンインパクトのようなアヘ顔になる女の2人に逆レイプされる血を吐きそうなシーンも存在。
困ったことにこれらのシーンは全Hシーンの約3分の1を占めている一方、公式サイトや雑誌に掲載されていたヒロインとの絡みは「没にしました」と削除されていた。
このため『Cross Days』は『クロスゲイズ』と呼ばれ、属性のない数多くの購入者に地獄を見せた。
また、定価13440円と高額であるにもかかわらず、アクティベーション付きで売ることも譲ることもできない。
これらの仕様によって当然2ちゃんでは祭りとなったが、ブランドの代表がニコ生で煽り文句をすべてNGワードに指定した上で、「2ちゃんで宣伝ありがとうございます」などの意図的な挑発をしたことも記述しておこう。
色々な面からオーバーフローの表現する狂った世界を改めて認識することとなった。

4月に入ると、2つの作品が投下された。
まずはbiscottiの『Floating Material -The hill where the star born-』である。
本作の存在を世に知らしめたのは、デモムービーにパクリ、トレス疑惑が持ち上がったことが発端であったが、その後体験版が公開されると、原画や背景に多くのパクリ、トレスが見つかることとなった。
さらにキャラクタープロフィール、公式サイトの構成やcopy rightの部分に至るまでコピペであることが判明し、ついには「パクってない部分はない」と言われるようになった。
延期の末に発売された製品版をプレイすると、明らかに突貫工事で直した形跡が見られ、
パクリ、トレスを指摘されていたCGは、怪しい加工や削除を行いなんとか修正されているのだが、チャックと違う位置からこぼれるチ○コなど荒さが目立つ。
また、いきなり女子生徒からは一目惚れで好感度マックス状態であることに加え、アクシデントが起きても主人公が数日留守にするだけで解決し、その間の描写もゼロであるなど平坦なシナリオ。
さらには、SEがなくCGやBGMも不足しているためか、立ち絵やあえぎ声だけで進むイベントも多い。
それでも数々の修正のおかげか、一応はエロゲーの体裁を整えているので、クソゲーというよりも完全な駄ゲーとなってしまった印象が強く、クソゲーとしては弱くなった。

そしてもう1つは、『色に出でにけり わが恋は』である。
『はぴねす!』『祝福のカンパネラ』がTVアニメ化されるなど、萌えゲーメーカーとして順風満帆に見えたういんどみるからのまさかの爆弾。
OPが神、CG・BGMも高品質である一方、システムとシナリオというADVの中核に問題がある本作。
ADVのシステムは本来バグがなければ酷くなることは珍しいが、クリックするのがダルくなる妙に細かく刻まれたログ、無駄に多い100以上の選択肢という不自然なシステムを実装。
シナリオはデジャブを満喫することができる同じオチや、起伏のないひたすら長く苦行を与える展開に加え、本来は重要なイベントであるはずの学園祭が僅か2クリックで終了など不可思議な展開も見せる。
それらの展開に見事耐えきったプレイヤーを次に襲うのは、「前後ぉぉぉん♪」と謎のセリフを喚く、めまいを感じるほど頭の悪いヒロインに、萌えゲーのくせにセクハラ親父のような主人公である。
「勃起ン勃起ンの、ボッキンボッキンスティック☆」「前後おおん♪ エッチな梨桜おおん♪ 全裸で前後おおおン♪ 」などは「お前らは、何を言ってるんだ?」と問い詰めたくなる。
タチの悪いことに主人公やヒロインがキモくなっていくのは体験版の後であり、体験版や公式サイトからは「いつものういんどみるのゲーム」程度にしか感じることができないため、数多くの爆死者が出た。
システムとシナリオがダメであるためにプレイするのが苦行となってしまった正統派クソゲーであるといえる。

熱過ぎた春が終わり、やや冷ややかな5月を過ぎて6月に入るとアーベルソフトウェアから第2の刺客が現れた。
『デュアル・エム-空の記憶-』である。
本格推理ADVをうたう本作であるが、消去法であっさり犯人にたどり着く、パートナーが勝手に犯人を追い詰めてくれるためプレイヤーは何も考える必要がない、
別ルートが存在しないため犯人を間違えても強制的に主人公達が犯人を捕まえてしまう、酷いものに至っては囮捜査をしたら犯人が勝手に自白するなど、
「本格推理ADV」から「本格推理」を抜いたような作りでプレイヤーを困惑させた。
また、「4話完結」のはずが製品版には第3話までしか入っておらず、後日4話目のアドオンプログラムを配布するという、未完成品売りつけといわれても仕方がない有様であった。
しかし、アーベル探偵シリーズの登場キャラが出演したり、伏線はきちんと解消されたりするため、それなりに楽しめた人間も多かったようである。

夏の間に発売された作品では、
本編に登場しない主人公の女装姿をパッケージに載せていた『げきたま! ~青陵学園演劇部~』
ホラーとしては月並み以下であり、ロード後に「絶対に殺す……ぶっ殺す……」といった音声がエンドレスリピートするバグの方が怖いといわれた『この歌が終わったら -When this song is over-』
フルプライスにもかかわらずフルインストールで僅か468MB、某漫画の設定を丸パクリしたと思しき設定と内容の『ふぇいばりっと Sweet!』
がそれぞれエントリーしたが、いずれもクソゲーとしては小粒であり、猛暑に負けたかのように本スレにはダレた空気が広がっていった。

記録的な猛暑が漸く収まりを見せてきた9月、Purple softwareが新たに立ち上げた抜きゲーブランドPurplesoftware delightの1作目となる『Orange Memories』が姿を現した。
主人公を即座に当直室に連れ込む女教師に、殴り倒してでも我先に股を開く女子生徒達というお手軽展開、
Hシーン数は29とそこそこ存在するが、殆どのシーンでエロCGが1枚しか用意されておらず、短いものは36クリックで終了するなど、エロ重視とも言い難く、
また、イチャイチャが始まりそうなこれからという所でゲームが終了するという短さなど、萌えゲーとしても抜きゲーとしても使えない「薄い」内容であった。
薄いのはゲーム内容だけに止まらず、誤字や適当なフラグ処理などに対する修正パッチを出さないというメーカー対応の薄さ、
さらにはとある住人の解析によりシーンを削った残骸が発見されたことから実は「未完成」であったことが発覚し、プロ意識の薄さというオチまで付いた。
このため「いつもの紫未満」、ブランド名とかけて「大喜び(delight)なのはこんな未完成品でも金が入るメーカー側だけであろう」と言われることとなった。

9月にはもう1本、アーベルソフトウェアからの第3の刺客『萌恋維新! アタシら、じぇいけー、新閃組!』が現れることとなった。
最近の風潮にあわせ、萌え、JK、新撰組と「とりあえず売れそうな物をくっつけました」的なあまりに直球過ぎるタイトルであるが、
共通ルートは下手すると5クリックで次の展開に移り、スキップ機能を使えば「20秒足らず」で終了するという、フロッピーディスク時代を思い出させる涙物の淡泊さを見せ、
個別ルートも急展開過ぎて度々理解に苦しむシーンがあるなど、シナリオが明らかに薄く足りない部分が目立つ。
また、パッケージに書かれているヒロインのうち一人がパッチを当てないと攻略できないというアドオン仕様は本作でも健在である。
しかし、Hシーンのボリュームが十分であったりミニゲームが楽しめたりした分、これまでのアーベル作品と比べ若干クソ度は低いと評価された。

10月と11月には、
ゲームの内容自体は良く、後日修正パッチが出されたものの、発売時点では一部PC環境で起動すらできなかった『普通じゃないッ!!』
内容が原作をレイプしているにもかかわらず、原作を読んでいないと全く理解できない『JINKI EXTEND Re:VISION』
体験版の出来は良かったものの、蓋を開ければご都合主義満載な設定が忘れ去られ全く活かされていない上にエロが薄かった『なないろ航路』
がそれぞれエントリーしたが、これといった話題作が現れることはなかった。

12月に入ると、残された魔物が姿を現した。
まず現れたのは、Hammerheadsの『熟処女 ~私、はじめてなんです……』である。
本作は低価格抜きゲーであり、この手の作品にシナリオを期待してはいけないというのが暗黙の了解であるが、肝心のエロがダメである。
誤字が多い、音声とテキストのズレが目立つ、HシーンでNGボイスが混入している、主人公の口調が唐突に変わる、
さらには「東海林香奈」とのHシーンにおいて突然主人公が「谷原さん」と呼ぶ怪現象が発生し、もはや自家発電どころではなくなる。
後々検証が行われると、谷原さんは、同じメーカーの別ブランド作品『熟恋願望 ~秘めた想いと淫らな愛のカタチ~』のキャラクターであることが判明。
しかもHシーンのテキストが流用されていたという、低価格であることを差し引いても印象に残る本作の酷さは、住人を沸かせることとなった。

そして最後に現れたのは、アーベルソフトウェアからの2010年最後の刺客『まるめる ~ソウシンシャは@未来~』である。
本作は過去の自分にメールを送れる携帯を手に入れた主人公が、島に眠る謎を解き明かすというものであり、『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』を彷彿とさせる内容に期待が集まった。
しかしその期待も、表情の変わらないヒロインに歯止めを掛けられることとなる。
これは製品に表情差分が含まれていないためであり、毎度恒例の追加アドオンプログラムを適用することで解決されるのだが、「これは追加アドオンじゃなくて修正ファイルだろ」と誰もがツッコミを入れたに違いない。
また、過去の自分にメールを送るという注目のシステムも、蓋を開ければ、メールの選択次第でさまざま結末に辿りつくというようなゲーム性があるものではなく、
「TRUEエンドに辿りつく為には、それ以外のBADエンドを含む17個全てのエンディングを順序通り見せられる」という、アーベルお家芸の完全な一本道シナリオとなっていた。
さらにシナリオもペラペラで、ゲームは全章でも10時間ほどで終わり、途中で力尽きたのか最終章に至ってはメールのシステムすらない。
なまじ期待させる作りであったのが災いして、期待していた多くの者を爆死へと誘い込んだ。

それでは、2010年の次点と大賞を発表する。
次点は『恋刀乱麻 ~わたしが、アナタを、守るからっ!!!~』『Cross Days』『Floating Material -The hill where the star born-』
そして大賞は『色に出でにけり わが恋は』とする。

2010年は小粒揃いの「ドングリの背比べ」という状態であり、ほんの少しの差で次点に選ばれなかった作品が大賞を受賞してもおかしくない状況であった。
そのような中で、次点に選ばれた『恋刀乱麻』の「苦行バトル」、『Cross Days』の高額誰得仕様 、『Floating Material』のパクリ、トレス疑惑はどれをとっても酷い要素であるが、プレイヤーに与える苦痛という点では限定的である。
しかし、ADVの中核であるはずのシナリオがキモくてつまらないためプレイが苦痛であり、さらにALLスキップで逃げても100以上の選択肢がお出迎えするという、
『色に出でにけり わが恋は』の誰得を超えた錯乱仕様は、小粒揃いの2010年の作品の中でも強い個性を放ち、今回の大賞受賞と相成った。

2010年はクソゲーとして弾けたものがない不作な年であった。
ただし決して平穏な年であったというわけではなく、多くの大手が迷走していたとの報告が上がっている。
本スレにも、『暁の護衛 ~罪深き終末論~』『クドわふたー』『真・恋姫†無双 ~萌将伝~』『星空へ架かる橋』など、年間売り上げトップクラスの作品の選評が届く有様であった。
また、「未完成品商法」も増えてきており、これらはエロゲー界の不況を表すものともいえる。
2011年は、このようなエロゲー界の不況を全て吹き飛ばしてエロゲー界の希望となる、笑いを導く力を持ったクソゲーが(ガンガン出てきても困るのだが)出ることを願ってやまない。

最後に、見事大賞に輝いた『色に出でにけり わが恋は』のタイトルとメインヒロインの迷言を用いた一言をメーカーに贈り、
2010年クソゲーオブザイヤーinエロゲー板を締めくくることとする。

「前後ぉぉぉん♪不覚に陥ってこんな色を出さないでください。」



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最終更新:2014年08月02日 15:46