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**2015年総評案1(修正1) 大賞:[[戦極姫6>戦極姫6 選評]] #blockquote(){2014年のKOTYeは、クソゲーとはクソなゲームであるという原点に立ち返った一年であった。 その年でもっとも楽しむに値しないもの・・・それこそがKOTY大賞を冠するに相応しいと。 そんな最終決戦は、不完全の完成形『カスオ』と負完全の究極形『デスマ』の死闘の果てに『チーズ』こと『新世黙示録 ―Death March―』の受賞で幕を閉じた。 名はその姿を現すという言葉通り、プレイヤーに死の行軍を強い、苦痛をデスループさせるゲーム性は、真に「負を極めし邪神」。 それは「キャラが不快な30時間の『りんかね』」、「15時間の『苦の一』」とまで畏敬され、修羅の国に暗い影を残す程であった。 しかし、これ程の大厄災に見舞われようと、年が明ければ住民は次なる獲物を求め新たな一歩を踏み出す。 修羅と呼ばれた漢達は、何度クソゲーを踏んでも立ち上がるタフガイで、それでいてクソゲーを愛するHENTAI集団である。 めげぬ、懲りぬ、考えぬ、喉元過ぎれば熱さを忘れる住民達は「いつ何時どこのクソゲーの挑戦でも受ける。かかってきなさい」と決意表明をし、 眼前に現れるであろう猛者達の戦いを心待ちにしながら、2015年は静かに始まった。 新年一発目に現れたのは、新規ブランドRegulusから発売された『1/7の魔法使い』(通称『1/7』)。 昨今の流行に忠実に合わせた、「魔法」「学園」「落ちこぼれ主人公」と抑えるところは抑えてはいるのだが、その内容は選評者曰く「学芸会」レベルであった。 会話のテンポが非常に悪く、「何だって・・・!?」「つまり・・・どういうこと?」という表現をコピペのように使いまわすため登場人物が痴呆に見える上に、 直前に言っていた話と辻褄が合わなくなったり展開がデジャブったりと白昼夢のように錯覚する状況が頻繁に訪れる。 主人公も「魔法力の乏しさを戦略や駆け引きで補う頭脳派」と冠されてはいるが、 実際の戦闘シーンでは基本、身体を魔法で強化してカミカゼアタックを繰り返すゴキブリ生命力が売りなだけの単細胞。 トゥルールートでは、物語の根幹にある人と神との将来戦争を防ぐべくヒロイン達と結束して敵地へ向かうのだが、 神託にある7人の魔法使いが世界を救う→今この場に丁度7人いるからきっと自分達の事だ、という強引な解釈から始まり、 なんか箱を空けたら魔女を倒す魔法が書かれた紙が入ってた→半日で習得した→魔女に使ったら一撃KO→ちゃんちゃん、で〆である。 CGや音楽の質などは及第点だけに、シナリオでダメになった模範的なクソゲーと言えよう。 しかし1月の注目作は『1/7』ではなかった。時を同じくして、あの「暴君」がまさかの復活を成し遂げたのである。 それこそが、あのアーベルソフトウェアの『不条理世界の探偵令嬢 ~秘密のティータイムは花園で~』(通称『不条理探偵』)。 2011年の『ゾンビ』以来となる久々の本家レーベルの新作であり、十八番ともいえる探偵モノであることから、 閉じられたシュールストレミング缶詰級と期待されていたが、開かれた中身はそれに充分に答える異臭作となっていた。 ではクリアまで約5時間の薄さと、ラストも打ち切りエンドで終わる伝統芸の内実を見ていこう。 まずは要の「推理」パートは、物的証拠もないただの言いがかりであり、犯人が出したボロをすくうだけに過ぎず、選択肢すらない『不条理』推理。 続いて「Hシーン」だが、「女を納得させるため」という強引な展開に終始する『不条理』セックス。 最後に「バトル」パート。なぜ探偵モノにバトル要素が入るかは置いておくとして、これが子供の喧嘩よりも単調な代物。 基本CGに変化はなく、「シュ」「ボカッ」という間抜けなSEや「避けた」「回り込んだ」という地の文を並べただけの『不条理』格闘。 その一方で、『枝豆』時代に培った笑いのCG要素も見て取れる。紫色のレモネードや、やけに無気力な表情でのキック、 CGモードでは差分1枚1枚を表示し、総数67枚を340枠・38ページにまで『不条理』水増しする徹底振りだ。 他にも過去作の文章を流用、すぐ調子に乗るだけで不快なだけの主人公・創志の言動などなど、ツッコミ所は随所に見られる。 生前「心入れ替えて面白い作品を作ろうかと思ってます」と遺してこの世を去った管野ひろゆき氏だったが、 こんな新作を墓前に置かれてはさぞいたたまれないことだろう。 2月27日には、potageから『超・秘湯めぐり』(通称『秘湯』)が湯煙の中から姿を現す。 13年に大賞の『部室』を送り出したみるくぷりんの本ブランドであり、前年は『ヤリ友』をエントリーさせたpotageによる、 同ブランドの『秘湯めぐり』のシリーズ作のようだが、その内容はKOTYe史上級の「薄さ」と寒すぎるテキストのハーモニーで彩られた痰を吐きたくなる出来栄えだった。 中身が薄いフルプライス作品はKOTYeでも幾度と紹介してきたが、本作の場合、エロシーンを除けば1日がものの2~20クリック程度で終わってしまう。 またゲーム内日数をいきなり飛ばし数ヵ月後のシーンを出したかと思えばまた戻ってきたりと時系列すら怪しい始末。 UIは化石と称された『部室』のものを完全流用。勿論テキストボックスで遊ぶツールソフトとしても使用可能だ。 OPは飛ばし不能、BGMはフリー素材、シナリオは適当に旅館を彷徨って一日を過ごすだけという簡素振り。 そしてそんな空虚な話にこれでもかと混ぜ込んだお寒いパロネタがプレイヤーの心の貯水池を崩壊させていく。自社作品の宣伝までする徹底振りだ。 このように本作は誰が見て取れる「手抜き」に膨大な「不快感」を詰め込んだゲス極まりないクソゲーであり、不快指数でいえば2015年トップクラス。 これをプレイするよりも、本ROMを煮立った湯・・・いや硫酸にぶち込んだほうが楽しめるかもしれない。 続いて、今より少し近未来、といった設定から姿を現したのがぷちうさの『キシ×カノ』だ。 このキシ×カノには2つの頭痛の種がある。1つは単純に話の内容。もう1つはKOTYeユーザーがどこかで覚えているようなシチュエーションである。 騎士モノという時点で一部の人間には悪寒が襲ってくるのは言わずもがな、 話の根幹にある「騎士の祭典に優勝し名誉騎士の称号を授かる」という設定も、まるで活きていない。 ヒロイン達はいずれも主人公が絡むとすぐ暴走する変態集団であり、各ヒロインパートも様式美であるかのようにわんこそばデート&Hを繰り返すのみ。 団体戦決勝に至っては1日1ヒロインとHしまくってたのでスタミナ切れで負けたという噴飯ものの敗因が涙を誘う。 話が進むと、頻繁に挿入されるアイキャッチは「りんかね」を彷彿とさせるテンポの悪さを演出しているし、 ハーレムルートは結局1人に絞れなかったので全員と付き合うことにして終わりという点もお約束かつどこかで見たような流れだ。 とはいえ、食事シーンで卵焼きと出ているのにそれらしきものがなかったり、結婚指輪を中指にはめていたりと笑える所はあったので、『秘湯』よりはマシかもしれない。 セレブ(?)界からはPeasSoftの『毎日がハーレムすぎて王子は姫を決められないっ! 』も現れるが、こちらも頭痛ネタ満載だ。 ヒロインの大半の性格がギャグを通り越してキチ○イじみており、露出癖に目覚める女に、強権で校風を変える女、 万札風呂に入る女に、放尿シーンを見せようとする女といういずれも劣らぬ酷い意味で精鋭揃い。 シナリオは共通ルートが2日間、個別ルートまでの選択肢は僅か4つ。その後は要点をひたすら省いた圧縮文章でHし続けるだけである。 キャラが不快で話は手抜き、タイトルにあるハーレムルートもなしでは一体どこに価値を見出せばよいのか、理解に苦しむだろう。 なお、ヒロインの一人がトラブルで無一文に堕ち、ウェイターのバイトをする事になるのだが、その際にトレンチに乗っているのは どう見てもハンバーグとパフェなのに、テキストではコーヒーとショコラケーキになっているが、ここが本作唯一の笑いどころではないだろうか。 選評者に「面白くないボボボーボ・ボーボボ」とバッサリ切り捨てられるのも当然と言えるだろう。「チャゲチャ」の方がまだ面白いかもしれない。 クリーチャー界より姿を現したのはLamiaの『エロ本を捨ててから兄の様子がおかしい』。 タイトルの通りエロ本を捨てられた主人公が怒りと共にヒロインに性的ないたずらをしていくというものであり、題材は悪くない。 陵辱モノなのに和姦ルートがあるのも昨今の規制を考慮すれば目を瞑れる。 しかし問題は何と行ってもヒロイン達のおかしな造詣にある。 公式サンプルにもあるのだが、全体的に基礎がなっていない体系の絵ばかり。 異常に細い手足や腕、腰など作画がおかしく、手淫するシーンは、奇怪なアニメーションも加わり、 選評者曰く「軟体動物」「スライム」と評価されてはどうしようもない。 ジャンル問わず、絵を疎かにしたゲームが名作である筈はないのだ。 1、2月勢に比べると、3月勢は比較的大人しい・・・筈だった。あの男が現れるまでは・・・。 近代TG(テーブルゲーム)の金字塔である「汝は人狼なりや?」をモチーフにしながら、 原作の根本である「村人サイドと人狼サイドの心理戦」を完全排除した縁-yukari-の『影狼』。 寝取られモノから寝取られ要素を排し、シーンの大半を主人公の妄想で占めた、 アトリエさくら Team.NTRの『繋がらない携帯電話 -ただいま他の男とめちゃめちゃセックス中-』が発売されるも、どうにも力不足は否めない。 だが、その中に、とんでもない大物が潜んでいた。それは、忘れようのない忌まわしき血の系譜だった。 げーせん18の『戦極姫6』(通称『姫6』)。 遡る事2009年、家庭用KOTYに黒船として来襲し、名だたる猛者を撫で斬りにして2冠をかっさらってきた『魔姫』。 しかし近年のナンバリングタイトルは人によっては名作扱いされる事もあり、もはやここで扱うほどのものではないと、修羅の国片隅で隠遁生活を送っているものと思われていた。 そんなのどかな平穏は、たった1人の男の手で脆くも崩れ去る事になる。名を「榊 月冴(サカキ ツカサ)」。 本作は元々前作まで主人公を務めていた颯馬と月冴のW主人公という名目だが、サブを含めると9割近いヒロインを月冴が独占しているため、実質的には月冴がメイン主人公といってもいい。 ところが問題は、この月冴が尋常ならざるゲス野郎だったことだ。この男、名だたる武将以上の強さと軍師以上の賢さを持つチート野郎なのはさておき、 性欲の権化のような男で、中だしやり捨ては当たり前、セックスの為なら女を騙す事を躊躇わず、やることやったらポイ捨て。 ルート次第ではヒロインの顔すら忘れるという、ぐうの音も出ない畜生振りを周回プレイの度にクローズアップさせていく鬼畜主人公なのだ。 また女性武将の好感度を上げていくパートは、「飯を振舞っているシーンしか印象に残らない」と評され、「媚薬飯」と呼称されることとなる。 その効果は抜群で、女性の心と股を開けるのは勿論、病気を治したり、数日で城を建てるのも造作もないという凄まじいご都合主義の極み。 おかげで女性陣の大半は、前作から思い入れがあるファンにとっては擬似ハメ撮り、新規ユーザーには即落ちチョロインにしか見えなくなってしまっている。 しかも本作は戦略シミュレーションであり、天下統一を目指すゲームな筈だが、それが毛利と羽柴ルートでしか不可能で、 他ルートではプレイヤーは嫌でも月冴が女を無造作に喰い捨てていくシーンを見せ続けられた挙句、徒労に終わるという仕様である所もポイントが高い。 合戦の描写もかなり適当で、特に颯馬と月冴が雌雄を決する決戦にて、眼前の織田の大軍を、ヒロインを文字通り踏み台にし、 『だが俺の身体は空を飛んでそのまま織田家の本陣へと向かう』の一言で飛び越え本陣を制し勝利をもぎ取ったシーンは大失笑を浴び、流行語にすらなった。 このあまりの月冴の最低ぶりに発売後非難が集中、8月に出た遊戯強化版では颯馬のシナリオのみ追加され、 開発陣も月冴の存在はなかったものにしたいという心境が窺い知れるが、もはや焼け石に水だろう。 かつて、圧倒的完成度の低さで多くの人々を絶望の淵に堕とした『魔姫』は、 最低野朗(ボトムズ)1人が無双する事で別形態の苦行クソゲーに変貌して見せたのである。 そしてこの魔姫の帰還で導火線に火が灯いたKOTYeは、ここから怒涛の選評ラッシュが届く事になる。 まずはWHITESOFTの『猫撫ディストーション 恋愛事象のデッドエンド』(通称『猫撫デッド』)。 2011年に発売された「猫撫ディストーション」のファンディスクであり、開発時に費用の問題からクラウドファンディングで資金提供を募ったことで話題になったが、 その内容は投資した人々全員を奈落に突き落とす究極の出来損ないであった。 声優の一人6役は見事ではあるのだが、問題はそのボリューム。フルコンプまで僅か30分という脅威の薄さ。 CGに至ってはパッチを当てても僅か5枚。Hシーンは7クリックと20クリックで終わるもの2つだけ。本番すらない。無論CG回想・シーン回想など存在しない。 スタッフロールには投資したご愁傷な方々の名前がズラリと並ぶのだが、どう見ても哀れな墓標に過ぎない上に、一部銘が間違っている始末。 ファンディスクにボリュームを求めるのは酷かもしれないが、捧げられた生贄の数を考えれば2015年作品の中でもっとも「悲哀」に満ちた作品だろう。 くらむちゃうだ~の『裏技スペクトラム』はフルプライスで938MBという薄さに察しが付く駄作である。 シナリオは終始ギャグテイストだが、とかくパロ、スラングが多く、深夜のテンションで適当に書き殴ったような内容だ。 そんな寒い話にも関わらず、公式は「このテンションと内容に君はついて来れるか!?」と叫んでいるが、 「ついていけるかアホ」と返すのが多くのプレイヤーの本音だろう。 ジャンル名には「魔法少女」と書かれているが、別に魔法で戦ったりはしない。 使用意図は「変身する」「目から謎ビームを出す」「掃除機に乗って空を飛ぶ」以上で全てだ。魔法少女を馬鹿にしているのだろうか? Hシーンも選評者曰く「セックス漫才」レベルであり抜くどころではなく、掃除機ニーやふたなりが混じるとあっては萎える一方だ。 公式で「君よ、活目せよ――これがエロゲーの極北だ!!!」と自信満々に煽ってはいるが、贔屓目に見てもシベリア送りがいい所である。 今年2本目となるPeasSoftの『中二病な彼女の恋愛方程式(ラブイクエイション) 』は、クソゲーの王道であるバグに特化した問題作だ。 SE音量、文章速度を変えても反映されない。見ていないCGがいつのまにか見れる。立ち絵が表示されっ放しになる。文章とボイスが合っていない。 しかしそれにも増して致命的なのは、唐突なエラー落ちだろう。それもエラーが発生するとセーブデータが消滅したり、共通セーブデータが破壊される爆弾仕様のため、 スキップを控え、こまめなセーブを取り、フォルダとまた違った場所にバックアップを作りながら進行する以外対処のしようがない。 この惨状にメーカーは「環境依存」の一点張りで凌ごうとするが、まさに火に油。結局有志の作ったパッチであっさり解決した。 スタッフロールには「デバッグ:Peassoft all staff」等と載っているが、「戦犯はおまえら全員か」と声を大にして言いたい。 選評ラッシュは止まらない。続いてはアーベルグループからの刺客、Red Rebelから『JK聖女淫罰 ~穢れし肢体への裁き~』が登場した。 学園と魔女裁判を組み合わせ、少女に拷問を施していくという内容なのだが、物語の核たる「魔女裁判」に関しての解説がゲーム中に殆どない。 それも目を潰され左腕右足を切断されてなお魔女だと認めないのに、実際魔女と認めてしまったらどうなるかが説明不足であり、プレイヤーは終始置いてきぼりである。 少女に拷問を与えるシーンにも甘さ・ぬるさが残る。「快楽」を与える最初の拷問シーンがイマラチオなのは「それちゃうやん」とツッコミが入るのは間違いない。 また、主人公はオナニー1回で服も着れなくなる程疲労したヒロインを見物していただけなのに「疲労がどっと押し寄せる」と呟くほどの虚弱野郎。 挙句前述のとおり目や左腕を失った女性に体調を気にされては立つ瀬もない。 リョナゲーと思って購入すると確実に肩透かしを食らう典型的なダメクソゲーと言えよう。 ニッチ層を狙って見事に爆発四散したのが、いちゃらぶ堂の『女の子はドSな変態でできている』(通称『ドS』)。 致命的なのが、ライターが「ドS」を何一つ理解していないことだ。女性達はbotのように「クズ」「ゴミ」「空気」といった台詞を連呼するだけ。 しかも何故かヒロイン達は最初から好感度MAXなため、プレイヤー側は褒めているのか貶しているのか分からない状況に陥ってしまうこと請け合いだ。 むしろ主人公側の方がSっ気に優れ、ヒロイン達は詰られて興奮する始末。 我々が見たいのはドS男ではなくドSヒロインだ。タイトル詐欺なのは間違いない。 ヒロイン達の変態性の方も、これまたクソである。 相変わらず女性達はbotよろしく低レベルな卑語を連呼するだけ。むしろ男の方が強烈な変態性獣スペックで女を責める始末。 だから我々が見たいのは変態男ではなく変態ヒロインだ。大事な事なので2度言うがタイトル詐欺なのは間違いない。 CGの質も悪く差分が殆どない上に塗りも酷く作画崩壊もちらほら見受けられる。抜きゲーとはしては完全に失格レベルだ。 もしこのゲームを手に取る事があったら、同梱ハガキに「こんな駄作を作るなんて!このクソメーカー!」と書いて詰れば溜飲も下がるだろう。 こうした中でも特に発売前に注目を集めたのがlysyncの『妄想コンプリート!』(通称『毛根』)である。 新規メーカーに見えて、その正体は2013年に『逃避行』、『雛遺書』2作を次点入りさせたあのEx-itが名前を変えただけの出入り口先である。 EX-itと言えば、マスターアップ後に発売延期、イラッシャイマセーバグ、詫び状をぶち込んで未完成品を強行販売などユーザー陵辱に定評のあるメーカーだが、 雛遺書であまりにもやらかし過ぎたせいか、度重なる延期もあって遂に流通先からキレられたのか真実は定かではないが、 今回は開発状況を知らせるpdfファイルを2ヶ月前から定期公表するという事態もあって相変わらず発売前から掴みはバッチリ。 しかもそこには「流通先からスタッフを増員」「テキストは未完成」「デバック率0%」という愉快な文章が目白押し。 こうしてボルテージが上がっていく中、本来の発売日から半年以上経過し、ようやく発売にこぎつけた内容は、案の定薄っぺらな代物だった。 まずシナリオは、大方の予想通り出来てる部分をツギハギした杜撰な代物だ。花見に行こうと言ったのに、花見に行くシーンはなく、 共通ルートの最後で発足した「未来予知研究部」は個別ルートに入った途端に即解散。 ヒロインの一人は、父と血は繋がってないと言うのだが、その後のシーンでは半分血が繋がってると言ったり等設定周りも怪しい。 しかもトゥルールートでは「実は主人公は主人公ではない」「本作がループ物」であることが明らかになり、わけが分からない事に拍手をかけている。 他にも文章とボイスの剥離、無意味な選択肢の数々、頭以外の骨格が怪しいCGなどネタにも事欠かない。 雛遺書騒動で免疫のついたスレ住民だが、もし流通が介入しなかったら本作は発売できていたのか、想像するだけで恐ろしい・・・。 その他にも初期バージョンでは一部のヒロインルートに入れない、まごうごとなき未完成品だったGLaceの『恋魂』。 エロシーン以外のまともなADVシーンが僅か10分未満、容量にして300MB程度のBLACKRAINBOWの『麻雀バトルヒロインズ』。 ロープライスである事を差し引いても薄すぎる上、エロゲーなのに性描写が少ない、くろにゃんの『妹盗撮~自宅ストーカー~』の選評が届き、 5月29日は同日9本の選評が届く新記録を達成したのである。 しかしこの集中振りに住民が疲弊してしまったのか、夏場は比較的穏やかな運びとなった。 そんな夏場に雨露の如く落ちた一滴は、インターハートの調教SLG『淫らな魔法使いと救性主』(通称『救性』)。 本作はSLGであり、調教を行うにはクエストをクリアする必要があるのだが、肝心のクエストに必要性がない。 何故ならゲーム性が皆無で、基本テキストが流れて終わるものだからだ。 また調教も相手を堕としていくようなものではなく、基本、「魔力を供給するため」という理由でのほのぼの調教。 挙句淫魔と化したヒロインに一転攻勢されて逆に絞られるのは調教モノとしていかがなものだろうか。 だがそれ以上に問題なのは、ヒロイン2人19種類、計38種類にも及ぶ調教シーンが回想で見られないという欠陥だ。 一番肝心なところを後から見られない。片手落ちどころか両手落ちである。 他にも無駄に長い割には寒くて冴えない共通パートなど難点も多く、調教モノとしては完全な所見殺しと言えよう。 8月末に発売されたロープライス作品は、Mieiの『人妻公然恥辱電車~携帯一つでお触り即ハメし放題他人の妻を粘着種付け寝とり~ 』。 タイトルは長いが、中身は薄い。その容量、実に256MBである。選択肢も全体を通して僅か1つだ。 設定周りも色々おかしい。キャッチコピーでは主人公は「電車内で」「強制わいせつの疑い」をかけられるのだが、実際は、 「駅のホームで」「痴漢の疑い」をかけられる。この2つは似て非なるものだが、シナリオ担当の中では一緒くたなようだ。 CGも差分に乏しく、服を脱がせたのに着たままだったり、主人公が中年設定なのに青年にしか見えなかったり、 コンバット越前のようにやたら高い位置にある浴衣の帯など品質面もかなり怪しい。 ともあれ、ヒロインのビジュアルと声には惹かれる面もあり、抜きゲーとしてはギリギリCG集レベルに落ち着いた。 その後も大きな波乱もなく、KOTYeの月日は流れていく。 9月には前年の門番級として名を馳せたジュウキシーショックの流れをくむ、あかべぇそふとすりぃの『聖騎士Melty☆Lovers』(通称『聖騎士』)の選評が届く。 銃騎士であまりにやらかしたせいで作成された補償作品という触れ込みであり、騎士設定が活かされていないのは当然として、 世界観のあらゆる部分が腐ってはいるが、お寒いテキストはなりを潜め、エロパートもそれなりだっため大きな騒動にはならず、 10月に現れたETERNALのSLG『剣聖機アルファライド』(通称『アルファライド』)も、システム面がガタガタでフリーズが頻発したり、 公式に謳った「特定のユニット同士を合体させて戦況をひっくり返す」システムも、上昇パラメータが貧弱すぎて、 結局合体せず2体で戦った方が強かったりするなどまるで機能していないものの強烈なインパクトに欠けていた為住民を驚愕させるには至らなかった。 こうして役者が出揃いつつ、年末の魔物が現れないまま、徐々に住民達が弛緩する中、年が明けた予備期間の1月に3体の大物が滑り込んできた。 その1つは、Empressの『ClosedGAME』。2011年、クソゲーならぬ糞ゲーである『STARLESS』を送り出したEmpressが、とうとう本物のクソゲーを送り出してきたのだ。 SFチックな超格差社会において、上級市民が下級市民をデスゲームに送り出すという世界観、聖少女の原画、和泉万夜のテキストと素材は完璧なのだが、 肝心のシナリオがあまりに酷かった。前日に目の前で陵辱されたヒロイン相手のHシーンで主人公が始めての男ぶり、相手も一日で処女膜を復活させるなどの整合性のなさ。 ルート分岐は豊富にあるものの、大半が焼き直しという展開の貧弱さ。デスゲームなのにゲームマスターがとにかく甘い人物で、 こっそりヒントを教えたり、数々のギミックも機能不全であったりという緊迫感のなさ。など調理の段階でうんこが異物混入したデスクソゲームであった。 9月25日に発売されたTRYSET MADの『ANOTHER POSSIBILITY』(通称『アナポ』)の選評も届く。 記憶喪失の主人公がゲーム内時間36時間で全てを思い出すのを皮切りに、ヒロイン5人のうち3人が実妹、実母、平行世界の実娘(勿論H可能)、 展開もお馬鹿路線であり、学園で出会った初対面のヒロインが席について授業が始まった途端にオ○ニーを始めるなどおかしいものばかり。 そしてHシーンはなんと『ずっぷ』リスペクトだ。「う゛ッ!」という発射合図をベースに、「う゛ッ!?」「う゛ッ!!?」「う゛ッ!!」と微妙に変化させ、 「心の底から積乱雲級の親近感が込み上げて、気持ちを真夏の清涼感に満ち溢れた青空に変える」 「あまりの運命的な嬉しさに、僕の腰も踊り狂ってしまう」 という日本語になっていない比喩表現を散りばめたら、絶対に笑ってはいけないHシーンの完成である。 悪質な事件や犯罪に立ち向かう学園を舞台にしたストーリーが、何故このような馬鹿路線になってしまったか、誰もが理解に苦しむ事だろう。 そして同日発売組からは、かねてから大器と噂されていたMinkの学園バトルSLG『Love and Peace』(通称『LaP』)の選評が満を持して降臨する。 本作は処女のみが罹患し凶暴化する奇病を主人公がセックスによって浄化していくという、ストーリー自体は(エロゲ的には)普通なのだが、 ライター計13人という弊害がたたったのか、基本シナリオは日本神話やキリスト教用語ごちゃ混ぜで、リレー形式の如く新設定が続々追加されていく継ぎ足しストーリー。 だがそれ以上の苦痛が、肝心要のSLGパートにある。探索部分は基本ヒント0(稀に嘘ヒント)で、 選評者曰く「1しか出ない人生ゲーム」の中、プレイヤーはマスの大半を占める戦闘マスを虱潰しに牛歩し、 その中に混じっているシナリオ進行イベント発生マスを探していく羽目になる。 戦闘は公式で謳っている、属性・レンジ・配置の各システムが全て平等に死んでおり、基本敵の回復役を潰すのが定石手段となっている。 なお、敵側に回復役が複数いた場合、最悪、(こちらの)攻撃→(敵が)回復→攻撃→回復・・・とエンドレスに陥りロードし直すしかない局面も充分ありうる。 敵のレベルはこちらの最強キャラ準拠のため、後から参入するキャラを育成するのは困難を極める上に、 獲得経験値は敵キャラとのレベル差による変動性なため、ただでさえ弱くて育てにくい回復キャラが更に育てにくくなる苦行仕様。 最強キャラでPTを固めレベル差の大きい敵を倒すと、獲得経験値がゼロなんてザラ、といえばどれ程の苦行か、理解してもらえるだろう。 一応本作には獲得経験値が増加する連勝ボーナスなるものも存在するが、ここにもしっかり枷が付いている。何故ならロードし直すと連勝がリセットされるため、 前述のエンドレスループにハマったが最後、再び実入りが少ない経験値を再度コツコツと積み上げていかなければならないのである。 更にHシーンのメインたる「捕獲」イベントも超低確率であり、下手すれば百回戦闘しても捕獲できずエロシーンが拝めない事もよくある始末。 また、敵にはご丁寧に出現率の低いレアキャラが混じっており、それを捕獲しようと思えばチート抜きではぐれメタルを仲間にする程の苦難な道を強いられる。 その上本作はボリュームだけは素晴らしく、CGは差分抜きで271枚を誇るが、それを前述の仕様でフルコンプしようとすれば 一体どれだけの時間と労力が必要になるか、想像するだけで震えがきそうなのは間違いない。 このように本作は充分な質量に不充分な完成度を内包した苦痛苦痛アンド苦痛な苦行ゲーであり、終わりの見えなさでは間違いなく2015年一。 年明けを彩るに相応しい最高にイカレた鬼畜ヒーローと言えよう。 さて、以上で2015年全てのゲームを発表した。いよいよ本年の大賞を発表しよう。 次点は、 『不条理世界の探偵令嬢 ~秘密のティータイムは花園で~』、『真・秘湯めぐり』、 『妄想コンプリート!』、『Love and Peace』、 そして大賞は、 『戦極姫6』とする。 今年のKOTYeは、万人が認める大賞『核』不在の混戦であった。『チーズ』の爪痕も色濃く、各選評は常に前年王者と比較され、 致命的短所があっても物足りないように見られる宿命を背負ってしまった。 トレンドは多様に渡り、一纏めにするのが困難な中、黒色の個性を持つ者達が血を吐きながら凌ぎを削り続けた。 それらを踏まえつつ、本年度の次点以上は「いかにクソゲーとして度し難いか」を基準に選考を行った。 不条理世界の亡霊『不条理探偵』。 極限の手抜き旅館『秘湯』。 Ex-itの脱国先『毛根』。 これらはいずれも次点に輩出する程の力量を持っている。 しかしこの3作は、プレイすればその全貌が見え、検証を重ねても『負』の部分があまり変化する事はなかった。 またそれぞれのクソ要素も、KOTYeの歴史を紐解けば類似または該当する点があり、「斬新さ」という視点で見るとやや決め手に欠ける節がある。 そして残るは「戦極の陵辱者」たる『姫6』と、「戦闘の鬼畜者」たる『LaP』。 前述次点作が薄さを軸とした酷さであるならば、この2作は濃密な酷さを軸とし、検証を重ねるほど負が膨張したクソゲーといえる。 振り返ればKOTYeにおいて名を馳せた猛者達は、それぞれ他を圧倒する個性を持っていた。 薄いエロ、致命的なバグの数々、前作レイプ、読むに耐えないテキスト、理解不能なシナリオ、etc・・・。 姫6の個性は間違いなく月冴のクズ無双だろう。何より、物語において、この性格である必要性がまるでないのが致命傷と言える。 作品の大半に関わりながら、作品の魅力を根こそぎ奪い散らしている、という点は紛れもなく歴代にはない強烈な個性だ。 LaPの個性は苦痛極まるSLGパートに間違いない。膨大なイベントやエロシーンという美点を持ちながら、 終わりの見えない苦痛が全てを奪い、そこまで辿り着かせない苦行に仕上げている。これもまた過去にはない凶悪な個性だ。 どちらも甲乙つけがたい、斬新な負の個性を持つ作品だったが、両者を分けたのは「エロゲーとしての在り方」という着眼だった。 KOTYeでは家庭用KOTYとは違いエントリー制を採用している。理由は幾つかあるが、エロゲーは本質上嗜好品という意味合いが強く、 より多角的な視点での評価が求められるからだ。では、エロゲーとは何か? 突き詰めればそれはエロと物語を組み合わせたものだ。 だが、このエロと物語という重要なファクターにおいて、姫6は「榊 月冴」という最大の汚点がある。 飯一つで女子を堕とし、喰い散らかしては捨て、責任は取らず、また次の獲物を求めるのみ。因果応報を受ける事もなく、境遇に苦しむ事もない。 つまり「周囲が巻き込まれる」のではなく、「周囲を巻き込む」事により、作品をクソゲーたらしめているラスボスのような存在なのだ。 エロと物語が不快で苦痛となれば、例えゲーム部分の出来が及第点でもクソゲーの評価は決して拭いきれるものではない。 一方でLaPは、エロまで辿り着くのは確かに困難だが、質・量は優秀で、またプレイヤーの創意工夫次第でその道を縮める事は可能である。 また終わりの見えない苦行に、逆に闘争心を掻き立てられ、意地でも攻略してやるという難ゲー特有の道筋を立てられる分ゲームとしては成立している。 在ってはいけないクソエロゲーと、駄目だがギリギリ在りうるエロクソゲー。この差が明暗を分けた。 故に、遊べば遊ぶほどストレスをおかわりさせ続け、エロと物語を最低化させた『戦極姫6』に、本年度の大賞の称号を授与したい。 今年は年末の魔物不在の年となり、数と質どちらにおいても、過去数年に比べるとやや低調だった事は否めない。 5月29日に同日9本の快挙を成し遂げながら、その後は数不足に陥り、ゲーム性を重視したかったゲームも、総じて大コケ。 seal不在でありながら、ロープライス勢が揃って「安物買いの銭失い」だった事も印象深い。 発売後、バグと不具合のオープンワールドで多くの人々を魅了し、2chスレの勢いが一時安保スレを上回り、 「安保よりチ○ポ」なる名言を生み出した『sexyビーチ プレミアムリゾート』(通称『セクビ』)も、 その仕様の難解さと高すぎる要求スペックが災いし、選評を執筆する者が最後まで現れず、惜しくも競争中止と相成った。 何度も言われているが、クソゲーが減るのは喜ばしい事だ。しかし闇なくして光は輝けないように、クソゲーなくして名作も輝けないのである。 言うなれば、クソゲーもまた、可能性の一つなのだ。 あんなにもバグまみれだった姫が、天然ジゴロの毒牙にかかり、まったく別の形態に変貌したことが、それを証明している。 怒りは笑いに、恐怖は勇気に、悲しみは楽しみに昇華できると信じられるからこそ、我々は地雷原を歩んでいける。 まだ見ぬクソゲーに出会えるからこそ、我々は火薬に現金を投げ込む事ができる。 なればこそ、クソゲーを、愛そう。人々の受けた傷は、我々が請け負うから。 KOTYの唯一無二の理念が、いつか人の救いになると信じて・・・。 最後に、2008年の次点から7年越しで遂に栄冠を勝ち取ったげーせん18と、まだクソゲーに慣れないウブな人々に、スレ住民からこの言葉を送ろう。 「飛翼-つばさ-拡げて空高く舞い上がり、まだ見ぬクソゲーに会いに行こう」} **主な修正点 #blockquote(){※毎日ハーレムを追加 ※姫6に月冴の迷シーンの描写を追加、媚薬飯まわりの文章を変更 ※LaPに捕獲キャラの中にレア種が混じっている云々と連勝ボーナスの記述を追加 ※大賞理由まわりを大幅に変更 ※〆の言葉を変更(でもあんまり気に入ってないので改善したい) ※その他一部表現を変更、加筆、修正 }
**2015年総評案1(修正1) 大賞:[[戦極姫6 ~天下覚醒、新月の煌き~>戦極姫6 ~天下覚醒、新月の煌き~ 選評]] #blockquote(){2014年のKOTYeは、クソゲーとはクソなゲームであるという原点に立ち返った一年であった。 その年でもっとも楽しむに値しないもの・・・それこそがKOTY大賞を冠するに相応しいと。 そんな最終決戦は、不完全の完成形『カスオ』と負完全の究極形『デスマ』の死闘の果てに『チーズ』こと『新世黙示録 ―Death March―』の受賞で幕を閉じた。 名はその姿を現すという言葉通り、プレイヤーに死の行軍を強い、苦痛をデスループさせるゲーム性は、真に「負を極めし邪神」。 それは「キャラが不快な30時間の『りんかね』」、「15時間の『苦の一』」とまで畏敬され、修羅の国に暗い影を残す程であった。 しかし、これ程の大厄災に見舞われようと、年が明ければ住民は次なる獲物を求め新たな一歩を踏み出す。 修羅と呼ばれた漢達は、何度クソゲーを踏んでも立ち上がるタフガイで、それでいてクソゲーを愛するHENTAI集団である。 めげぬ、懲りぬ、考えぬ、喉元過ぎれば熱さを忘れる住民達は「いつ何時どこのクソゲーの挑戦でも受ける。かかってきなさい」と決意表明をし、 眼前に現れるであろう猛者達の戦いを心待ちにしながら、2015年は静かに始まった。 新年一発目に現れたのは、新規ブランドRegulusから発売された『1/7の魔法使い』(通称『1/7』)。 昨今の流行に忠実に合わせた、「魔法」「学園」「落ちこぼれ主人公」と抑えるところは抑えてはいるのだが、その内容は選評者曰く「学芸会」レベルであった。 会話のテンポが非常に悪く、「何だって・・・!?」「つまり・・・どういうこと?」という表現をコピペのように使いまわすため登場人物が痴呆に見える上に、 直前に言っていた話と辻褄が合わなくなったり展開がデジャブったりと白昼夢のように錯覚する状況が頻繁に訪れる。 主人公も「魔法力の乏しさを戦略や駆け引きで補う頭脳派」と冠されてはいるが、 実際の戦闘シーンでは基本、身体を魔法で強化してカミカゼアタックを繰り返すゴキブリ生命力が売りなだけの単細胞。 トゥルールートでは、物語の根幹にある人と神との将来戦争を防ぐべくヒロイン達と結束して敵地へ向かうのだが、 神託にある7人の魔法使いが世界を救う→今この場に丁度7人いるからきっと自分達の事だ、という強引な解釈から始まり、 なんか箱を空けたら魔女を倒す魔法が書かれた紙が入ってた→半日で習得した→魔女に使ったら一撃KO→ちゃんちゃん、で〆である。 CGや音楽の質などは及第点だけに、シナリオでダメになった模範的なクソゲーと言えよう。 しかし1月の注目作は『1/7』ではなかった。時を同じくして、あの「暴君」がまさかの復活を成し遂げたのである。 それこそが、あのアーベルソフトウェアの『不条理世界の探偵令嬢 ~秘密のティータイムは花園で~』(通称『不条理探偵』)。 2011年の『ゾンビ』以来となる久々の本家レーベルの新作であり、十八番ともいえる探偵モノであることから、 閉じられたシュールストレミング缶詰級と期待されていたが、開かれた中身はそれに充分に答える異臭作となっていた。 ではクリアまで約5時間の薄さと、ラストも打ち切りエンドで終わる伝統芸の内実を見ていこう。 まずは要の「推理」パートは、物的証拠もないただの言いがかりであり、犯人が出したボロをすくうだけに過ぎず、選択肢すらない『不条理』推理。 続いて「Hシーン」だが、「女を納得させるため」という強引な展開に終始する『不条理』セックス。 最後に「バトル」パート。なぜ探偵モノにバトル要素が入るかは置いておくとして、これが子供の喧嘩よりも単調な代物。 基本CGに変化はなく、「シュ」「ボカッ」という間抜けなSEや「避けた」「回り込んだ」という地の文を並べただけの『不条理』格闘。 その一方で、『枝豆』時代に培った笑いのCG要素も見て取れる。紫色のレモネードや、やけに無気力な表情でのキック、 CGモードでは差分1枚1枚を表示し、総数67枚を340枠・38ページにまで『不条理』水増しする徹底振りだ。 他にも過去作の文章を流用、すぐ調子に乗るだけで不快なだけの主人公・創志の言動などなど、ツッコミ所は随所に見られる。 生前「心入れ替えて面白い作品を作ろうかと思ってます」と遺してこの世を去った管野ひろゆき氏だったが、 こんな新作を墓前に置かれてはさぞいたたまれないことだろう。 2月27日には、potageから『超・秘湯めぐり』(通称『秘湯』)が湯煙の中から姿を現す。 13年に大賞の『部室』を送り出したみるくぷりんの本ブランドであり、前年は『ヤリ友』をエントリーさせたpotageによる、 同ブランドの『秘湯めぐり』のシリーズ作のようだが、その内容はKOTYe史上級の「薄さ」と寒すぎるテキストのハーモニーで彩られた痰を吐きたくなる出来栄えだった。 中身が薄いフルプライス作品はKOTYeでも幾度と紹介してきたが、本作の場合、エロシーンを除けば1日がものの2~20クリック程度で終わってしまう。 またゲーム内日数をいきなり飛ばし数ヵ月後のシーンを出したかと思えばまた戻ってきたりと時系列すら怪しい始末。 UIは化石と称された『部室』のものを完全流用。勿論テキストボックスで遊ぶツールソフトとしても使用可能だ。 OPは飛ばし不能、BGMはフリー素材、シナリオは適当に旅館を彷徨って一日を過ごすだけという簡素振り。 そしてそんな空虚な話にこれでもかと混ぜ込んだお寒いパロネタがプレイヤーの心の貯水池を崩壊させていく。自社作品の宣伝までする徹底振りだ。 このように本作は誰が見て取れる「手抜き」に膨大な「不快感」を詰め込んだゲス極まりないクソゲーであり、不快指数でいえば2015年トップクラス。 これをプレイするよりも、本ROMを煮立った湯・・・いや硫酸にぶち込んだほうが楽しめるかもしれない。 続いて、今より少し近未来、といった設定から姿を現したのがぷちうさの『キシ×カノ』だ。 このキシ×カノには2つの頭痛の種がある。1つは単純に話の内容。もう1つはKOTYeユーザーがどこかで覚えているようなシチュエーションである。 騎士モノという時点で一部の人間には悪寒が襲ってくるのは言わずもがな、 話の根幹にある「騎士の祭典に優勝し名誉騎士の称号を授かる」という設定も、まるで活きていない。 ヒロイン達はいずれも主人公が絡むとすぐ暴走する変態集団であり、各ヒロインパートも様式美であるかのようにわんこそばデート&Hを繰り返すのみ。 団体戦決勝に至っては1日1ヒロインとHしまくってたのでスタミナ切れで負けたという噴飯ものの敗因が涙を誘う。 話が進むと、頻繁に挿入されるアイキャッチは「りんかね」を彷彿とさせるテンポの悪さを演出しているし、 ハーレムルートは結局1人に絞れなかったので全員と付き合うことにして終わりという点もお約束かつどこかで見たような流れだ。 とはいえ、食事シーンで卵焼きと出ているのにそれらしきものがなかったり、結婚指輪を中指にはめていたりと笑える所はあったので、『秘湯』よりはマシかもしれない。 セレブ(?)界からはPeasSoftの『毎日がハーレムすぎて王子は姫を決められないっ! 』も現れるが、こちらも頭痛ネタ満載だ。 ヒロインの大半の性格がギャグを通り越してキチ○イじみており、露出癖に目覚める女に、強権で校風を変える女、 万札風呂に入る女に、放尿シーンを見せようとする女といういずれも劣らぬ酷い意味で精鋭揃い。 シナリオは共通ルートが2日間、個別ルートまでの選択肢は僅か4つ。その後は要点をひたすら省いた圧縮文章でHし続けるだけである。 キャラが不快で話は手抜き、タイトルにあるハーレムルートもなしでは一体どこに価値を見出せばよいのか、理解に苦しむだろう。 なお、ヒロインの一人がトラブルで無一文に堕ち、ウェイターのバイトをする事になるのだが、その際にトレンチに乗っているのは どう見てもハンバーグとパフェなのに、テキストではコーヒーとショコラケーキになっているが、ここが本作唯一の笑いどころではないだろうか。 選評者に「面白くないボボボーボ・ボーボボ」とバッサリ切り捨てられるのも当然と言えるだろう。「チャゲチャ」の方がまだ面白いかもしれない。 クリーチャー界より姿を現したのはLamiaの『エロ本を捨ててから兄の様子がおかしい』。 タイトルの通りエロ本を捨てられた主人公が怒りと共にヒロインに性的ないたずらをしていくというものであり、題材は悪くない。 陵辱モノなのに和姦ルートがあるのも昨今の規制を考慮すれば目を瞑れる。 しかし問題は何と行ってもヒロイン達のおかしな造詣にある。 公式サンプルにもあるのだが、全体的に基礎がなっていない体系の絵ばかり。 異常に細い手足や腕、腰など作画がおかしく、手淫するシーンは、奇怪なアニメーションも加わり、 選評者曰く「軟体動物」「スライム」と評価されてはどうしようもない。 ジャンル問わず、絵を疎かにしたゲームが名作である筈はないのだ。 1、2月勢に比べると、3月勢は比較的大人しい・・・筈だった。あの男が現れるまでは・・・。 近代TG(テーブルゲーム)の金字塔である「汝は人狼なりや?」をモチーフにしながら、 原作の根本である「村人サイドと人狼サイドの心理戦」を完全排除した縁-yukari-の『影狼』。 寝取られモノから寝取られ要素を排し、シーンの大半を主人公の妄想で占めた、 アトリエさくら Team.NTRの『繋がらない携帯電話 -ただいま他の男とめちゃめちゃセックス中-』が発売されるも、どうにも力不足は否めない。 だが、その中に、とんでもない大物が潜んでいた。それは、忘れようのない忌まわしき血の系譜だった。 げーせん18の『戦極姫6』(通称『姫6』)。 遡る事2009年、家庭用KOTYに黒船として来襲し、名だたる猛者を撫で斬りにして2冠をかっさらってきた『魔姫』。 しかし近年のナンバリングタイトルは人によっては名作扱いされる事もあり、もはやここで扱うほどのものではないと、修羅の国片隅で隠遁生活を送っているものと思われていた。 そんなのどかな平穏は、たった1人の男の手で脆くも崩れ去る事になる。名を「榊 月冴(サカキ ツカサ)」。 本作は元々前作まで主人公を務めていた颯馬と月冴のW主人公という名目だが、サブを含めると9割近いヒロインを月冴が独占しているため、実質的には月冴がメイン主人公といってもいい。 ところが問題は、この月冴が尋常ならざるゲス野郎だったことだ。この男、名だたる武将以上の強さと軍師以上の賢さを持つチート野郎なのはさておき、 性欲の権化のような男で、中だしやり捨ては当たり前、セックスの為なら女を騙す事を躊躇わず、やることやったらポイ捨て。 ルート次第ではヒロインの顔すら忘れるという、ぐうの音も出ない畜生振りを周回プレイの度にクローズアップさせていく鬼畜主人公なのだ。 また女性武将の好感度を上げていくパートは、「飯を振舞っているシーンしか印象に残らない」と評され、「媚薬飯」と呼称されることとなる。 その効果は抜群で、女性の心と股を開けるのは勿論、病気を治したり、数日で城を建てるのも造作もないという凄まじいご都合主義の極み。 おかげで女性陣の大半は、前作から思い入れがあるファンにとっては擬似ハメ撮り、新規ユーザーには即落ちチョロインにしか見えなくなってしまっている。 しかも本作は戦略シミュレーションであり、天下統一を目指すゲームな筈だが、それが毛利と羽柴ルートでしか不可能で、 他ルートではプレイヤーは嫌でも月冴が女を無造作に喰い捨てていくシーンを見せ続けられた挙句、徒労に終わるという仕様である所もポイントが高い。 合戦の描写もかなり適当で、特に颯馬と月冴が雌雄を決する決戦にて、眼前の織田の大軍を、ヒロインを文字通り踏み台にし、 『だが俺の身体は空を飛んでそのまま織田家の本陣へと向かう』の一言で飛び越え本陣を制し勝利をもぎ取ったシーンは大失笑を浴び、流行語にすらなった。 このあまりの月冴の最低ぶりに発売後非難が集中、8月に出た遊戯強化版では颯馬のシナリオのみ追加され、 開発陣も月冴の存在はなかったものにしたいという心境が窺い知れるが、もはや焼け石に水だろう。 かつて、圧倒的完成度の低さで多くの人々を絶望の淵に堕とした『魔姫』は、 最低野朗(ボトムズ)1人が無双する事で別形態の苦行クソゲーに変貌して見せたのである。 そしてこの魔姫の帰還で導火線に火が灯いたKOTYeは、ここから怒涛の選評ラッシュが届く事になる。 まずはWHITESOFTの『猫撫ディストーション 恋愛事象のデッドエンド』(通称『猫撫デッド』)。 2011年に発売された「猫撫ディストーション」のファンディスクであり、開発時に費用の問題からクラウドファンディングで資金提供を募ったことで話題になったが、 その内容は投資した人々全員を奈落に突き落とす究極の出来損ないであった。 声優の一人6役は見事ではあるのだが、問題はそのボリューム。フルコンプまで僅か30分という脅威の薄さ。 CGに至ってはパッチを当てても僅か5枚。Hシーンは7クリックと20クリックで終わるもの2つだけ。本番すらない。無論CG回想・シーン回想など存在しない。 スタッフロールには投資したご愁傷な方々の名前がズラリと並ぶのだが、どう見ても哀れな墓標に過ぎない上に、一部銘が間違っている始末。 ファンディスクにボリュームを求めるのは酷かもしれないが、捧げられた生贄の数を考えれば2015年作品の中でもっとも「悲哀」に満ちた作品だろう。 くらむちゃうだ~の『裏技スペクトラム』はフルプライスで938MBという薄さに察しが付く駄作である。 シナリオは終始ギャグテイストだが、とかくパロ、スラングが多く、深夜のテンションで適当に書き殴ったような内容だ。 そんな寒い話にも関わらず、公式は「このテンションと内容に君はついて来れるか!?」と叫んでいるが、 「ついていけるかアホ」と返すのが多くのプレイヤーの本音だろう。 ジャンル名には「魔法少女」と書かれているが、別に魔法で戦ったりはしない。 使用意図は「変身する」「目から謎ビームを出す」「掃除機に乗って空を飛ぶ」以上で全てだ。魔法少女を馬鹿にしているのだろうか? Hシーンも選評者曰く「セックス漫才」レベルであり抜くどころではなく、掃除機ニーやふたなりが混じるとあっては萎える一方だ。 公式で「君よ、活目せよ――これがエロゲーの極北だ!!!」と自信満々に煽ってはいるが、贔屓目に見てもシベリア送りがいい所である。 今年2本目となるPeasSoftの『中二病な彼女の恋愛方程式(ラブイクエイション) 』は、クソゲーの王道であるバグに特化した問題作だ。 SE音量、文章速度を変えても反映されない。見ていないCGがいつのまにか見れる。立ち絵が表示されっ放しになる。文章とボイスが合っていない。 しかしそれにも増して致命的なのは、唐突なエラー落ちだろう。それもエラーが発生するとセーブデータが消滅したり、共通セーブデータが破壊される爆弾仕様のため、 スキップを控え、こまめなセーブを取り、フォルダとまた違った場所にバックアップを作りながら進行する以外対処のしようがない。 この惨状にメーカーは「環境依存」の一点張りで凌ごうとするが、まさに火に油。結局有志の作ったパッチであっさり解決した。 スタッフロールには「デバッグ:Peassoft all staff」等と載っているが、「戦犯はおまえら全員か」と声を大にして言いたい。 選評ラッシュは止まらない。続いてはアーベルグループからの刺客、Red Rebelから『JK聖女淫罰 ~穢れし肢体への裁き~』が登場した。 学園と魔女裁判を組み合わせ、少女に拷問を施していくという内容なのだが、物語の核たる「魔女裁判」に関しての解説がゲーム中に殆どない。 それも目を潰され左腕右足を切断されてなお魔女だと認めないのに、実際魔女と認めてしまったらどうなるかが説明不足であり、プレイヤーは終始置いてきぼりである。 少女に拷問を与えるシーンにも甘さ・ぬるさが残る。「快楽」を与える最初の拷問シーンがイマラチオなのは「それちゃうやん」とツッコミが入るのは間違いない。 また、主人公はオナニー1回で服も着れなくなる程疲労したヒロインを見物していただけなのに「疲労がどっと押し寄せる」と呟くほどの虚弱野郎。 挙句前述のとおり目や左腕を失った女性に体調を気にされては立つ瀬もない。 リョナゲーと思って購入すると確実に肩透かしを食らう典型的なダメクソゲーと言えよう。 ニッチ層を狙って見事に爆発四散したのが、いちゃらぶ堂の『女の子はドSな変態でできている』(通称『ドS』)。 致命的なのが、ライターが「ドS」を何一つ理解していないことだ。女性達はbotのように「クズ」「ゴミ」「空気」といった台詞を連呼するだけ。 しかも何故かヒロイン達は最初から好感度MAXなため、プレイヤー側は褒めているのか貶しているのか分からない状況に陥ってしまうこと請け合いだ。 むしろ主人公側の方がSっ気に優れ、ヒロイン達は詰られて興奮する始末。 我々が見たいのはドS男ではなくドSヒロインだ。タイトル詐欺なのは間違いない。 ヒロイン達の変態性の方も、これまたクソである。 相変わらず女性達はbotよろしく低レベルな卑語を連呼するだけ。むしろ男の方が強烈な変態性獣スペックで女を責める始末。 だから我々が見たいのは変態男ではなく変態ヒロインだ。大事な事なので2度言うがタイトル詐欺なのは間違いない。 CGの質も悪く差分が殆どない上に塗りも酷く作画崩壊もちらほら見受けられる。抜きゲーとはしては完全に失格レベルだ。 もしこのゲームを手に取る事があったら、同梱ハガキに「こんな駄作を作るなんて!このクソメーカー!」と書いて詰れば溜飲も下がるだろう。 こうした中でも特に発売前に注目を集めたのがlysyncの『妄想コンプリート!』(通称『毛根』)である。 新規メーカーに見えて、その正体は2013年に『逃避行』、『雛遺書』2作を次点入りさせたあのEx-itが名前を変えただけの出入り口先である。 EX-itと言えば、マスターアップ後に発売延期、イラッシャイマセーバグ、詫び状をぶち込んで未完成品を強行販売などユーザー陵辱に定評のあるメーカーだが、 雛遺書であまりにもやらかし過ぎたせいか、度重なる延期もあって遂に流通先からキレられたのか真実は定かではないが、 今回は開発状況を知らせるpdfファイルを2ヶ月前から定期公表するという事態もあって相変わらず発売前から掴みはバッチリ。 しかもそこには「流通先からスタッフを増員」「テキストは未完成」「デバック率0%」という愉快な文章が目白押し。 こうしてボルテージが上がっていく中、本来の発売日から半年以上経過し、ようやく発売にこぎつけた内容は、案の定薄っぺらな代物だった。 まずシナリオは、大方の予想通り出来てる部分をツギハギした杜撰な代物だ。花見に行こうと言ったのに、花見に行くシーンはなく、 共通ルートの最後で発足した「未来予知研究部」は個別ルートに入った途端に即解散。 ヒロインの一人は、父と血は繋がってないと言うのだが、その後のシーンでは半分血が繋がってると言ったり等設定周りも怪しい。 しかもトゥルールートでは「実は主人公は主人公ではない」「本作がループ物」であることが明らかになり、わけが分からない事に拍手をかけている。 他にも文章とボイスの剥離、無意味な選択肢の数々、頭以外の骨格が怪しいCGなどネタにも事欠かない。 雛遺書騒動で免疫のついたスレ住民だが、もし流通が介入しなかったら本作は発売できていたのか、想像するだけで恐ろしい・・・。 その他にも初期バージョンでは一部のヒロインルートに入れない、まごうごとなき未完成品だったGLaceの『恋魂』。 エロシーン以外のまともなADVシーンが僅か10分未満、容量にして300MB程度のBLACKRAINBOWの『麻雀バトルヒロインズ』。 ロープライスである事を差し引いても薄すぎる上、エロゲーなのに性描写が少ない、くろにゃんの『妹盗撮~自宅ストーカー~』の選評が届き、 5月29日は同日9本の選評が届く新記録を達成したのである。 しかしこの集中振りに住民が疲弊してしまったのか、夏場は比較的穏やかな運びとなった。 そんな夏場に雨露の如く落ちた一滴は、インターハートの調教SLG『淫らな魔法使いと救性主』(通称『救性』)。 本作はSLGであり、調教を行うにはクエストをクリアする必要があるのだが、肝心のクエストに必要性がない。 何故ならゲーム性が皆無で、基本テキストが流れて終わるものだからだ。 また調教も相手を堕としていくようなものではなく、基本、「魔力を供給するため」という理由でのほのぼの調教。 挙句淫魔と化したヒロインに一転攻勢されて逆に絞られるのは調教モノとしていかがなものだろうか。 だがそれ以上に問題なのは、ヒロイン2人19種類、計38種類にも及ぶ調教シーンが回想で見られないという欠陥だ。 一番肝心なところを後から見られない。片手落ちどころか両手落ちである。 他にも無駄に長い割には寒くて冴えない共通パートなど難点も多く、調教モノとしては完全な所見殺しと言えよう。 8月末に発売されたロープライス作品は、Mieiの『人妻公然恥辱電車~携帯一つでお触り即ハメし放題他人の妻を粘着種付け寝とり~ 』。 タイトルは長いが、中身は薄い。その容量、実に256MBである。選択肢も全体を通して僅か1つだ。 設定周りも色々おかしい。キャッチコピーでは主人公は「電車内で」「強制わいせつの疑い」をかけられるのだが、実際は、 「駅のホームで」「痴漢の疑い」をかけられる。この2つは似て非なるものだが、シナリオ担当の中では一緒くたなようだ。 CGも差分に乏しく、服を脱がせたのに着たままだったり、主人公が中年設定なのに青年にしか見えなかったり、 コンバット越前のようにやたら高い位置にある浴衣の帯など品質面もかなり怪しい。 ともあれ、ヒロインのビジュアルと声には惹かれる面もあり、抜きゲーとしてはギリギリCG集レベルに落ち着いた。 その後も大きな波乱もなく、KOTYeの月日は流れていく。 9月には前年の門番級として名を馳せたジュウキシーショックの流れをくむ、あかべぇそふとすりぃの『聖騎士Melty☆Lovers』(通称『聖騎士』)の選評が届く。 銃騎士であまりにやらかしたせいで作成された補償作品という触れ込みであり、騎士設定が活かされていないのは当然として、 世界観のあらゆる部分が腐ってはいるが、お寒いテキストはなりを潜め、エロパートもそれなりだっため大きな騒動にはならず、 10月に現れたETERNALのSLG『剣聖機アルファライド』(通称『アルファライド』)も、システム面がガタガタでフリーズが頻発したり、 公式に謳った「特定のユニット同士を合体させて戦況をひっくり返す」システムも、上昇パラメータが貧弱すぎて、 結局合体せず2体で戦った方が強かったりするなどまるで機能していないものの強烈なインパクトに欠けていた為住民を驚愕させるには至らなかった。 こうして役者が出揃いつつ、年末の魔物が現れないまま、徐々に住民達が弛緩する中、年が明けた予備期間の1月に3体の大物が滑り込んできた。 その1つは、Empressの『ClosedGAME』。2011年、クソゲーならぬ糞ゲーである『STARLESS』を送り出したEmpressが、とうとう本物のクソゲーを送り出してきたのだ。 SFチックな超格差社会において、上級市民が下級市民をデスゲームに送り出すという世界観、聖少女の原画、和泉万夜のテキストと素材は完璧なのだが、 肝心のシナリオがあまりに酷かった。前日に目の前で陵辱されたヒロイン相手のHシーンで主人公が始めての男ぶり、相手も一日で処女膜を復活させるなどの整合性のなさ。 ルート分岐は豊富にあるものの、大半が焼き直しという展開の貧弱さ。デスゲームなのにゲームマスターがとにかく甘い人物で、 こっそりヒントを教えたり、数々のギミックも機能不全であったりという緊迫感のなさ。など調理の段階でうんこが異物混入したデスクソゲームであった。 9月25日に発売されたTRYSET MADの『ANOTHER POSSIBILITY』(通称『アナポ』)の選評も届く。 記憶喪失の主人公がゲーム内時間36時間で全てを思い出すのを皮切りに、ヒロイン5人のうち3人が実妹、実母、平行世界の実娘(勿論H可能)、 展開もお馬鹿路線であり、学園で出会った初対面のヒロインが席について授業が始まった途端にオ○ニーを始めるなどおかしいものばかり。 そしてHシーンはなんと『ずっぷ』リスペクトだ。「う゛ッ!」という発射合図をベースに、「う゛ッ!?」「う゛ッ!!?」「う゛ッ!!」と微妙に変化させ、 「心の底から積乱雲級の親近感が込み上げて、気持ちを真夏の清涼感に満ち溢れた青空に変える」 「あまりの運命的な嬉しさに、僕の腰も踊り狂ってしまう」 という日本語になっていない比喩表現を散りばめたら、絶対に笑ってはいけないHシーンの完成である。 悪質な事件や犯罪に立ち向かう学園を舞台にしたストーリーが、何故このような馬鹿路線になってしまったか、誰もが理解に苦しむ事だろう。 そして同日発売組からは、かねてから大器と噂されていたMinkの学園バトルSLG『Love and Peace』(通称『LaP』)の選評が満を持して降臨する。 本作は処女のみが罹患し凶暴化する奇病を主人公がセックスによって浄化していくという、ストーリー自体は(エロゲ的には)普通なのだが、 ライター計13人という弊害がたたったのか、基本シナリオは日本神話やキリスト教用語ごちゃ混ぜで、リレー形式の如く新設定が続々追加されていく継ぎ足しストーリー。 だがそれ以上の苦痛が、肝心要のSLGパートにある。探索部分は基本ヒント0(稀に嘘ヒント)で、 選評者曰く「1しか出ない人生ゲーム」の中、プレイヤーはマスの大半を占める戦闘マスを虱潰しに牛歩し、 その中に混じっているシナリオ進行イベント発生マスを探していく羽目になる。 戦闘は公式で謳っている、属性・レンジ・配置の各システムが全て平等に死んでおり、基本敵の回復役を潰すのが定石手段となっている。 なお、敵側に回復役が複数いた場合、最悪、(こちらの)攻撃→(敵が)回復→攻撃→回復・・・とエンドレスに陥りロードし直すしかない局面も充分ありうる。 敵のレベルはこちらの最強キャラ準拠のため、後から参入するキャラを育成するのは困難を極める上に、 獲得経験値は敵キャラとのレベル差による変動性なため、ただでさえ弱くて育てにくい回復キャラが更に育てにくくなる苦行仕様。 最強キャラでPTを固めレベル差の大きい敵を倒すと、獲得経験値がゼロなんてザラ、といえばどれ程の苦行か、理解してもらえるだろう。 一応本作には獲得経験値が増加する連勝ボーナスなるものも存在するが、ここにもしっかり枷が付いている。何故ならロードし直すと連勝がリセットされるため、 前述のエンドレスループにハマったが最後、再び実入りが少ない経験値を再度コツコツと積み上げていかなければならないのである。 更にHシーンのメインたる「捕獲」イベントも超低確率であり、下手すれば百回戦闘しても捕獲できずエロシーンが拝めない事もよくある始末。 また、敵にはご丁寧に出現率の低いレアキャラが混じっており、それを捕獲しようと思えばチート抜きではぐれメタルを仲間にする程の苦難な道を強いられる。 その上本作はボリュームだけは素晴らしく、CGは差分抜きで271枚を誇るが、それを前述の仕様でフルコンプしようとすれば 一体どれだけの時間と労力が必要になるか、想像するだけで震えがきそうなのは間違いない。 このように本作は充分な質量に不充分な完成度を内包した苦痛苦痛アンド苦痛な苦行ゲーであり、終わりの見えなさでは間違いなく2015年一。 年明けを彩るに相応しい最高にイカレた鬼畜ヒーローと言えよう。 さて、以上で2015年全てのゲームを発表した。いよいよ本年の大賞を発表しよう。 次点は、 『不条理世界の探偵令嬢 ~秘密のティータイムは花園で~』、『真・秘湯めぐり』、 『妄想コンプリート!』、『Love and Peace』、 そして大賞は、 『戦極姫6』とする。 今年のKOTYeは、万人が認める大賞『核』不在の混戦であった。『チーズ』の爪痕も色濃く、各選評は常に前年王者と比較され、 致命的短所があっても物足りないように見られる宿命を背負ってしまった。 トレンドは多様に渡り、一纏めにするのが困難な中、黒色の個性を持つ者達が血を吐きながら凌ぎを削り続けた。 それらを踏まえつつ、本年度の次点以上は「いかにクソゲーとして度し難いか」を基準に選考を行った。 不条理世界の亡霊『不条理探偵』。 極限の手抜き旅館『秘湯』。 Ex-itの脱国先『毛根』。 これらはいずれも次点に輩出する程の力量を持っている。 しかしこの3作は、プレイすればその全貌が見え、検証を重ねても『負』の部分があまり変化する事はなかった。 またそれぞれのクソ要素も、KOTYeの歴史を紐解けば類似または該当する点があり、「斬新さ」という視点で見るとやや決め手に欠ける節がある。 そして残るは「戦極の陵辱者」たる『姫6』と、「戦闘の鬼畜者」たる『LaP』。 前述次点作が薄さを軸とした酷さであるならば、この2作は濃密な酷さを軸とし、検証を重ねるほど負が膨張したクソゲーといえる。 振り返ればKOTYeにおいて名を馳せた猛者達は、それぞれ他を圧倒する個性を持っていた。 薄いエロ、致命的なバグの数々、前作レイプ、読むに耐えないテキスト、理解不能なシナリオ、etc・・・。 姫6の個性は間違いなく月冴のクズ無双だろう。何より、物語において、この性格である必要性がまるでないのが致命傷と言える。 作品の大半に関わりながら、作品の魅力を根こそぎ奪い散らしている、という点は紛れもなく歴代にはない強烈な個性だ。 LaPの個性は苦痛極まるSLGパートに間違いない。膨大なイベントやエロシーンという美点を持ちながら、 終わりの見えない苦痛が全てを奪い、そこまで辿り着かせない苦行に仕上げている。これもまた過去にはない凶悪な個性だ。 どちらも甲乙つけがたい、斬新な負の個性を持つ作品だったが、両者を分けたのは「エロゲーとしての在り方」という着眼だった。 KOTYeでは家庭用KOTYとは違いエントリー制を採用している。理由は幾つかあるが、エロゲーは本質上嗜好品という意味合いが強く、 より多角的な視点での評価が求められるからだ。では、エロゲーとは何か? 突き詰めればそれはエロと物語を組み合わせたものだ。 だが、このエロと物語という重要なファクターにおいて、姫6は「榊 月冴」という最大の汚点がある。 飯一つで女子を堕とし、喰い散らかしては捨て、責任は取らず、また次の獲物を求めるのみ。因果応報を受ける事もなく、境遇に苦しむ事もない。 つまり「周囲が巻き込まれる」のではなく、「周囲を巻き込む」事により、作品をクソゲーたらしめているラスボスのような存在なのだ。 エロと物語が不快で苦痛となれば、例えゲーム部分の出来が及第点でもクソゲーの評価は決して拭いきれるものではない。 一方でLaPは、エロまで辿り着くのは確かに困難だが、質・量は優秀で、またプレイヤーの創意工夫次第でその道を縮める事は可能である。 また終わりの見えない苦行に、逆に闘争心を掻き立てられ、意地でも攻略してやるという難ゲー特有の道筋を立てられる分ゲームとしては成立している。 在ってはいけないクソエロゲーと、駄目だがギリギリ在りうるエロクソゲー。この差が明暗を分けた。 故に、遊べば遊ぶほどストレスをおかわりさせ続け、エロと物語を最低化させた『戦極姫6』に、本年度の大賞の称号を授与したい。 今年は年末の魔物不在の年となり、数と質どちらにおいても、過去数年に比べるとやや低調だった事は否めない。 5月29日に同日9本の快挙を成し遂げながら、その後は数不足に陥り、ゲーム性を重視したかったゲームも、総じて大コケ。 seal不在でありながら、ロープライス勢が揃って「安物買いの銭失い」だった事も印象深い。 発売後、バグと不具合のオープンワールドで多くの人々を魅了し、2chスレの勢いが一時安保スレを上回り、 「安保よりチ○ポ」なる名言を生み出した『sexyビーチ プレミアムリゾート』(通称『セクビ』)も、 その仕様の難解さと高すぎる要求スペックが災いし、選評を執筆する者が最後まで現れず、惜しくも競争中止と相成った。 何度も言われているが、クソゲーが減るのは喜ばしい事だ。しかし闇なくして光は輝けないように、クソゲーなくして名作も輝けないのである。 言うなれば、クソゲーもまた、可能性の一つなのだ。 あんなにもバグまみれだった姫が、天然ジゴロの毒牙にかかり、まったく別の形態に変貌したことが、それを証明している。 怒りは笑いに、恐怖は勇気に、悲しみは楽しみに昇華できると信じられるからこそ、我々は地雷原を歩んでいける。 まだ見ぬクソゲーに出会えるからこそ、我々は火薬に現金を投げ込む事ができる。 なればこそ、クソゲーを、愛そう。人々の受けた傷は、我々が請け負うから。 KOTYの唯一無二の理念が、いつか人の救いになると信じて・・・。 最後に、2008年の次点から7年越しで遂に栄冠を勝ち取ったげーせん18と、まだクソゲーに慣れないウブな人々に、スレ住民からこの言葉を送ろう。 「飛翼-つばさ-拡げて空高く舞い上がり、まだ見ぬクソゲーに会いに行こう」} **主な修正点 #blockquote(){※毎日ハーレムを追加 ※姫6に月冴の迷シーンの描写を追加、媚薬飯まわりの文章を変更 ※LaPに捕獲キャラの中にレア種が混じっている云々と連勝ボーナスの記述を追加 ※大賞理由まわりを大幅に変更 ※〆の言葉を変更(でもあんまり気に入ってないので改善したい) ※その他一部表現を変更、加筆、修正 }

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