はにデビ! Honey&Devil 選評

ブランド eufonie
ジャンル 淫魔に憑かれた女の子といちゃラブADV
メディア DVD-ROM
原画 早川ハルイ、桜みさき(SD原画)
シナリオ 相良中通、樹原新、近江千竜
発売日 2017/05/26
定価 10,584円(税込)

選評

【2017】 クソゲーオブザイヤーinエロゲー板 避難所 3本目
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58331/1494595095/
550: はにデビ ◆ucJR0MJKU6 :2017/06/02(金) 23:12:53 ID:OEn1VXk6
メーカー;eufonie
発売日;2017年5月26日
値段;9,800円+税

はにデビ ~Honey & Devilは早川ハルイ氏の美麗なイラストと
公式の淫魔に取り憑かれた女の子の発情を鎮める手段が性交渉だけ
という謳い文句により発売前より話題を集めていたが、
発売日を向かえ、ユーザーを待っていたのは
数多の「違う、そうじゃない」の壁だった。

まず始めに立ちふさがる壁は誰であろうユーザーの分身とも言える主人公であった。
まず序盤から発情を一時的にでも和らげる手段として
性行為、及びそれに近いものであれば可能であるとわかるものの
主人公はコレを早々に拒否、理由は
「好きな者同士でやることだから出来ない」

違う、そうじゃない

確かに主人公とヒロイン達は一名を除き全て初対面であるが
そこを気にするのは状況が違うのではなかろうか。

また共通ルートの終盤付近で淫魔の完全な封印方法が発覚するが
そちらも性行為であったため、やはり主人公は拒否
理由は
「どんな理由があっても行為をした後、傷つくのは女性だ」

違う、そうじゃない

ここにいたってはヒロイン側も行為をするのは構わない問題ないと
お墨付きを与えているにも関わらず、未だに行為を拒否する様は
まるでセックスをすると死ぬ呪いでもかけられているのではないかと
邪推せざるを得ないほどの拒否反応であった。

ハーレムルートではヒロインの一人より
「もっと被害が酷くなって大変なことになっても出来ないのか」
との問いかけにも
「うん」
と答えていることから問題の根は予想を遥かに飛び越えて深いものだと窺い知れる。

確かに主人公の答えは一般的には正解ではあるが
エロゲーの主人公としては赤点もいい所である。

では個別ルートに入った場合はどうか
個別ルートは基本的に告白をして恋人同士の関係になったところからスタートする。
つまり、主人公の言うところの
「好きな者同士の関係」になったので、
ココから組んず解れつの関係が始まるのかと期待させておいて、
主人公まさかの行為拒否
理由は
「弱みに付け込みたくない」
「がっついてると思われたくない」

違う、そうじゃない

あるヒロインルートのエピローグにて初めて主人公から行為を求めることになるのだが
ヒロインからも、そっちから求められたのは初めてだといわれる始末。
本人曰く人並みに性欲はあるというが
比較対象は禁欲者か不能者かの二択であることは間違いないだろう。

なお、そんな草食系の極みである主人公だが
こと行為に及べばベッドヤクザの如く振舞うかといえば
そんなことは全く無く、至極普通の行為に始終することばかりか
地の文で、割と高頻度でいたした、だの
ヒロインが部屋に来た後、次の日は腰が重いの一言で済ましたりと
行為そのものに対しても淡白さを醸しだす辺り草食度に隙が無いと言わざるを得ないほどである。

といって、じゃあ行為に及んで無いなら何をしていたのかと問われるなら
妖怪や悪魔に関わるオカルト雑誌を読んで勉強していましたの一言に尽きてしまう。
その程度で解決するなら自分が連れ去られるような状況にはならなかったはずであるが
性行為を回避するためなら何でもよかったのではないだろうか。

ここで見えてくるのは現代社会でよく聞く草食系男子が行き着くとこうなってしまうぞ、
というメーカーからの警告であろうか
何でもかんでも飛びつけばいいというものではないが
上げ膳据え膳されても食べる素振りさえ見せないのは
提供側に対しての失礼には当たるのではと考えるのは筆者が浅はかなためだとは思いたくないところである

555: はにデビ ◆ucJR0MJKU6 :2017/06/02(金) 23:20:07 ID:OEn1VXk6
さて、ヒロイン達はどうかといえば
こちらは主人公ほど問題があるわけではないが
抱えている強制発情が本当に深刻であるのかに疑問視せざるを得ない。

言葉では何度も本当に酷かったときは男を見るだけで襲いたくなるくらいだったと語るものの
少なくとも共通ルートではそのような素振りは一切見せず、
我慢すればそのうち治まる程度の反応しか見せないため
むしろ悪化するのは行為をするようになった個別ルートなので
下手に触らず放置しておけば小康状態をキープできたのでは?と思うほどであった。

ちなみに共通ルート内で発情したのはヒロイン4人の合計で3回のみ
一度目はオープニングで主人公と二人きりだったため口淫に及んだものの、
二度目は自慰に耽り一人で処理してしまい
三度目となると4人全員が同時に発情するものの、
雑談で気を紛らわせれば何とかなる程度だったらしく特に何事もなく終了してしまう。
後になればなるほど状況が悪化するのが当たり前だと思っていたところに
回を追うごとに程度が軽くなっていくのはどういうことなのかと首を捻ることしきりである。

ユーザーが求めていたのは抑えきれなくなって襲い掛かってしまうような展開だったと思われるが
そのような需要には簡単に答えないぞという鋼の意思が垣間見えるところであった。

違う、そうじゃない

さて、このゲームを語るに当たって外せない要素がある
それはサブキャラクターの存在である。

サブキャラクターは攻略不可ではあるが3人(厳密には4人)いるが
その内の二人がプレイヤーの心をコレでもかとささくれ立たせてくれる要素を持ち合わせていた。

まず一番目がヒロイン一人、学生と社長の二束のわらじを履く遙花の秘書である上月秋乃女史である。
オープニングからすぐに登場するのだが
まず夜に帰宅中の主人公を呼びとめるのだが、不穏な気配を察知して逃げようとする主人公の腕を捻り上げ
車に押し込んで拉致するところから始まるのだから言わずもがなである。
ヒロイン達の置かれている状況を理解しているものの、
主人公に対し、遙花に指一本でも触れれば殺すと脅すところから始まり、
封印のための行為が性交渉であると発覚するや
成功後に自分から死ぬか殺されるか好きなほうを選べというものだから
遙花による優秀という評価は裏社会に向けての評価であったと伺えるものだった。

なぜ普通に交渉できないのかとプレイした人なら誰もが抱く感想ではなかろうか。

すべては遙花のためであるというが
男女交際を断る際の最初の理由に会社を持ち出すところを見ると
遙花本人のためではなく、会社のことしか考えていないのではないかとも思えてくる。
大人の正論とは本人の弁であるが
交際したら殺す、股間を切り取って焼いて食わせるというのは
大人の正論というので間違いないのかどうなのか問い詰めたいところである。

ただ、遙花ルートの最後では彼女に認めてもらおうとするあたり
次のキャラクターよりは存在意義があったのではないかということだけは記しておこう。

557: はにデビ ◆ucJR0MJKU6 :2017/06/02(金) 23:24:18 ID:OEn1VXk6
二番手に控えるはヒロイン藤堂葵を敬愛する後輩の桐原彩弓である。
登場と同時に手にした模造刀で主人公を撲殺しようとするところから始まり
出番のたびに剣を振り回すその様は侍スピリッツもかくやである。
生徒会長から注意されてもやめることの無いその行動を
本人は本当に好きなら止まるほうがおかしいと自己弁護に走るが
周りにかかる迷惑は見えないらしい

遙花の姉のような存在で認めてもらう必要が(本当にあったかは別として)あった上月秋乃と違い
葵からしてみればただの後輩である桐原彩弓には交際することを認めてもらう必要もないため
個別ルートに入れば出番はほとんどなくなり、エンディングで名前も出ないところを見ると
制作側も扱いに困ったのではないかと思ってしまうのである。

なお、サブキャラクター4人のうち、3人にはシーンそのものが無く、
まさに名実ともに壁の花であったことだけは間違いないだろう。


全体的に無味無臭感が漂う本作であるが
設定や絵は光るところがあったものの、それを生かすような要素が全く無かったのは
本来作りたかったものと、作れと言われた物の乖離がこのような作品を生み出したのではないだろうか。
と邪推せざるを得ないほどの出来の悪さにこれが期待した作品かと嘆くほか無い有様。
せめて次こそはと期待をこめて選評を終えたいと思います。

以上です
最終更新:2017年07月09日 12:10